【開会及び資料確認】
○環境省徳田課長
- 本日はお忙しい中、またお暑い中お集まり頂きありがとうございます。ご案内の様に本年は京都議定書の約束期間の二年目を迎えています。先般、2007年度の二酸化炭素排出量の確定値が報告され、基準年度に対して9%増という数値が発表されました。もちろん昨年秋以来の不況の中で排出量は減量していくのではないかという見方もあります。経済活動が停滞すれば、それと1対1で比例するわけではありませんけれども、排出量のほうは幾分減るということはあろうかと思います。しかしここで大事なことは、環境対策の手を緩めることなく、しっかりと次の時代を見据えて対策を打っていくことではないかと思うわけでございます。今何もしないということになりますと、また生産量が増えれば排出量も元に戻るということになりますので、しっかりと産業システムの中で、あるいは社会システムの中に環境施策を組み込んでいくということが大事ではないかと思います。
- 特に、家庭部門について見て参りますと、総排出量で約2割を占めているわけです。2割と言いますといわゆる家庭部門プラス自家用車でございますけれども、その家庭部門について90年以来約4割の増加ということになっております。他の部門ももちろんでございますけれども、やはりここの部分をしっかりと押さえていくということが大切であるということでございます。
- そこで、そのための施策のひとつとして、「見える化」ということについて本分科会で検討して頂いているところでございまして、昨年については家庭でどれだけ、またどういったところで排出されているのかというところを見えるようにし、少しでも減らそうという努力を引き出していこうということで日常生活CO2情報提供ツールというものの開発をお願いしてきたわけでございます。一応設計が終わりましたので、今年度は実際に使える状態にしていく、また実際に現場で使っていただいて改善・工夫をしていくということが一つあります。
- それからもう一つは、モデル事業というものでございまして、これについても昨年度検討していただきましたが、今年は実際に200件あまりの家庭にお願いを致しまして、そこに省エネナビをつけて実際に「見える化」をすることによってどれだけ排出量が減っていくのか、ということも含めて検討していくということでございます。昨年度が準備期間だとすれば、今年度はいよいよ本番ということになりますので、昨年度に引き続きしっかりとご検討いただければ幸いです。よろしくお願い致します。
○事務局
【委員紹介】
○事務局
○森口座長
- 座長を仰せつかりました、国立環境研究所の森口でございます。昨年度3回開かれましたこの分科会は今回が4回目という事になりますけれども、先ほどご紹介ありました通り、委員にも一部交代がございましたし、環境省のご担当また事務局担当も交代になりましたので、また改めましてこの場をお借りしてご挨拶をさせて頂きたいと思います。
- 見える化という事で、とくに日常生活をこの分科会では扱うという事でございます。温暖化問題、それ以外にも廃棄物・リサイクルといった分野もかかわっておりますが、非常に国民の関心が高い、また消費者に対策へのご協力を呼びかける場面が非常に多い分野であると思っております。ことの重要性は十二分に認識をされつつも、さまざまな情報がやや混乱気味かなというところがございまして、しっかりと消費者に分かりやすい情報を出していかなければならないと感じております。
- 具体的な例を述べさせて頂きますと、私どもリサイクルの分野でものを大切にしましょうと、長く使いましょうという事をずっと申し上げてきたわけですけれども、最近はどんどん買い換えて下さいという事も、一方でエネルギー対策という事で言われております。また、スピード感のある経済対策という事の中でエコポイント制度といったものも動いているわけでございますけれども、確かに古い機器を同じ大きさの新しい機器に買い換えるという事に関しては効果については期待されるわけであります。過去経験してきましたように、いわゆるリバウンドといいますか、大きなものに買い換える、あるいは台数が増えてしまう、という事になりますとどうしても全体量としての電気量の消費量あるいはCO2排出量が増えてきたという事があるかと思います。原単位の改善は大事だけれども、総量を抑えなければならないという事は環境行政あるいは温暖化対策の中では声高に叫ばれてきたわけでありますので、現在世の中で起きている事が将来リバウンドとしてつけが回ってこないかどうかという事は、しっかり見極めをしていかなければならないと思っております。この見える化という事業の中では、そういったデータが見える形でしっかりと出てくるという事になろうかと思います。ここに各層、関係各方面からの期待に応え、また疑問に答え、あるいは批判に耐えられるような精力的な数字をしっかりと出していくという事が、こうした場に求められる責務であろうと考えております。皆様の忌憚のないご意見をおきかせ頂ければと思います。
○森口座長
- それでは議事次第に従いまして、議題1の日常生活から排出される温室効果ガスの「見える化」の進め方について事務局より説明致します。
【議題1】日常生活から排出される温室効果ガスの「見える化」の進め方について
○事務局
○森口座長
- 今説明がありましたように、2つの事業の詳細については後ほど説明がありますが、まずこの事業全体の進め方について何かご質問があればお受けしたいと思います。
- 一点補足させて頂きますと、親委員会である見える化推進戦略会議の下にこの日常生活に関する分科会と事業者の分科会の2つございまして、昨年度からこの体制で進めております。
○辰巳委員
○環境省横井補佐
- 今年度の家庭におけるモデル事業では、ガスとか車は一次的には対象にしておりませんけれども、後でモデル事業の方でご説明させて頂きますが、家全体のエネルギー消費量を把握するという事で、家自体に計測機器が入っている世帯が対象となっておりますので、それで給湯分を測るというような事は考えております。
○森口座長
- 今日ご欠席の一方井委員からガス機器も大事であるとのご指摘がありました。事務局との事前打合せでもガスの話が出ましたが、ガス機器については電気機器に比べて個々の機器について実測する事は技術的にきわめて難しいという事で、ただ実際にどれだけ使ったかという事については検針票等がありますので、家計簿に近い形で記録を持って頂くか、記録をつけて頂くような事が出来ないか、という事についてはお願いしております。この点につきましても後ほどの議題の中で詳しくご説明頂けると思います。
○多田委員
- ごくごく些細な事で恐縮なのですが、事業の1と2のタイトルが似通っていて、区別がつき難いなという印象があるのですが、1番については仮称となっていますので、その辺も踏まえて今後ネーミング等も配慮されると思ってよろしいのでしょうか。
○環境省横井補佐
- 今後は仮称をとって、日常生活CO2情報提供ツールという呼び方にしたいと考えています。以降の分科会では「情報提供ツール」といった名前で議論して頂ければと思います。また2番目については「モデル事業」という簡単な名前で呼ばせて頂ければと思います。
○森口座長
- 確かに中身を知っていると分かるのですが、ちょっとこれだけだと分かり難いかもしれませんね。特に2番は実測や記録をつけて頂くという事で具体的なところも伴いますし、1番についてはHPなどでの情報提供が中心になると思いますので、もう少しわかり易い言葉を補う方がいいかもしれません。
○環境省横井補佐
- 先ほど給湯器の事を申し上げたのですが、電気を使用するタイプの給湯器の事でございまして、ガスを使用するタイプは今年度は測る事ができません。申し訳ありませんでした。
○森口座長
- そこのところも後ほど確認したいと思います。それでは具体的なところのご議論を頂きたいと思いますので、議題2日常生活CO2情報提供ツールについて資料3に基づいて事務局から説明をお願いします。
【議題2】日常生活CO2情報提供ツールについて
○事務局
○森口座長
- それでは只今ご説明頂きました、日常生活CO2情報提供ツールについてご意見・ご質問等頂戴したいと思います。ここは昨年度もかなりご意見を頂いたところでありますが、実務での担当者が変わられたという事もあり、構成等変わっております。
- 議論の進め方ですが、内容としましてはCO2家計簿、くらしの見える化、ヒント集の3つの分野がございます。このネーミングについてはまたご議論あるかもしれませんが、スライドタイトルで言いますと5~7番、ここについてご議論頂きたいと思いますが、その前にそれ以外の1~4、8番あたりのスケジュール、全体の進め方の部分などについてご質問がありましたら先にご意見を頂戴したいと思います。
○本藤委員
- 最初ですので、今までの議論の繰り返しになってしまうかもしれませんが、数値化、見える化の部分は大きく分けると家計簿と家電と削減行動の3つという事ですね。非常に面白い取組みで興味深く聞かせて頂きましたが、非常に盛りだくさんでやや複雑かなという感触が正直ありました。
- 最初にお聞きしたいのが、このツールによる最終的な目標はCO2削減行動に結びつける事だと思います。ただ、CO2削減行動を起こさせるためには色々なところに着眼点があると思います。少し長くなりますが、例えば社会心理学とか建築の分野では、石油危機以降省エネ行動をどうしたら起こさせる事が出来るかについて非常に多く研究されています。
- 例えばこの場合、このツールによって、関心のない人への動機付けを行うのか、関心のある人に数値を提供するのか、関心のある人に具体的な方法を提供するのか、色々あるうちで何かに絞ってこのツールで提供しようとしているのか、それともこのツールで全てをやってしまおうとお考えになっているのか、そこをお教え頂けませんでしょうか。もう少し簡単に言ってしまうと、まずどなたを対象としているのか、関心のある人なのか、ない人なのか。関心のない人だったらどういったものを提供するのか、ある人には何を提供するのか、そこのところを教えて頂きたいと思います。
○森口座長
- 大変貴重なご意見ありがとうございます。大きく2つポイントがあったかと思いますが、私は3つに分けてご議論頂きたいと申し上げましたが、その2つ目のくらしの見える化というのもまた2つに分かれていまして、家電に特化したところと削減行動について、という構成になっております。以前はくらしの見える化のところは、直接エネルギー消費に近いところに限定していて、間接的な排出量のところは家計簿のところに組み込みをしておりましたので、若干入り組んでおりまして分かりにくくなった部分もあろうかと思いますが、ただ、より本質的なご指摘、どういう人をターゲットとしているのかという事ですが、これは今日の説明の中で言えば、まずはログインして使って頂く、またログイン出来なくても使えるというような話もあったわけですが、そのあたり関係してきますので事務局の方からお答え頂けますでしょうか。
○事務局
- ツールにログインして頂く事を考えますと、まずは関心のある人が対象であると思います。それから、啓発という部分はヒント集の中で知らなかった行動をしてもらうという部分があるかと思います。また、知っている行動の場合でも、その行為の結果としてどのくらい効果があるのかという事について定量化した数値を与えるという事、簡単な行動でもある程度量として見える化して頂くという事があると思います。
- それから、CO2の排出量については従来の環境家計簿がそうなのですが、基本的にはエネルギー起源、使用時のエネルギーを中心にしていましたが、今回の家計簿では家計調査の品目と合わせる事で、ライフサイクルに関連したCO2もあわせて把握するという事ですね。ですから今までのエネルギーから範囲を広げて、暮らしに関わるもの全てのCO2量を把握して頂くという事でございます。
○森口座長
- 定量的な把握でありかつ関心の高い人というところが、現在のデザインでありますが、果たしてそれが国全体の対策として効果的なのかどうかについてはまたご議論あろうかと思いますが、重ねて何かございますか。
○本藤委員
- 今森口座長がおっしゃいましたように、それが効果があるかどうか別問題としまして、今目指しているところが、あえて割り切って言えば、数値情報の提供であると。しかも、今まではエネルギー関連の直接的な部分に限られていたものを、例えば食品であるとか衣料であるとか通常は見えない部分の間接的なCO2も含めて定量化する、そこに特徴があると理解してよろしいでしょうか。
○事務局
- あとは関心のない人をどうするかという事ですが、ある程度普及啓発を進める事によって、情報提供ツールにアクセスして頂ければ、関心のない方でもやって頂ける事があると思いますので、いかにHPへ誘導していくかという事が非常に重要なのかなと考えております。
○辰巳委員
- 昨年も言いましたが、アクセスする人は関心のある人だろうという前提で考えておりました。積極的に太陽光発電などを設置して、省エネよりさらに発電までするというような人の形はどこに出てくるのかなと。
- 例えば電気代の費用だけでそうしたものが出てくるのかなと色々と考えてしまうのですが。関心のある人はけっこう自分で行動もしているし実際の対策もしているのですが、そういったところはどう反映されるのでしょうか。
○事務局
- さらに進んでやっている人にどういった情報提供が出来るかという事については、ヒント集、リンクでの情報提供という事になりますが、色々なHPに情報がありますので、ある程度根拠が明確な情報であるのかどうかなどを検証し、リンク先を取捨選択していきたいと考えています。
○事務局
- 今辰巳委員にご指摘頂いた部分ですが、スライドの7ページ目になりますが、まずCO2量を基本的に支出額から換算するとなりますと、例えばオフセットの商品を買うと普通よりも高い商品を買ってしまう事になると、にもかかわらずCO2はたくさん出ているというのはおかしいじゃないか、というところを意識してこのオフセットという欄を作っています。
- これは、単に私はものをたくさん買っているからCO2がたくさん出ているのではなくて、オフセットした分を買いましたよという事をここで考慮するという事です。ですからご指摘頂いた太陽光発電に関しましても何かしらここで考慮出来ればいいとは考えていますが、肝心の削減量については電気代が減った分がすなわちCO2を削減した分と表現出来ると考えております。
○森口座長
- 今お二方からご指摘頂いた点は大変重要だと考えておりまして、ひょっとするとやや中途半端なものになっているのかもしれないです。つまり関心の高い方はもっと微に入り細に入り効果を計りたいと思っておられるかもしれないと。
- そうだとすると一方で入力も大変で、ある程度汎用性も出さなければならないのでこのくらいでとどめて頂いているのですが、これが若干帯に短したすきに長しになっているかもしれないので、そこのところがより熱心でお金をかけてまでも削減行動を取っている、あるいは取りたいのだけれど本当にそれが効果があるのかを診断出来るのかという事になると、ちょっと弱いのでしょうね。
- そういう意味で、高くて環境にいい物を買う事の効果がどのくらいあるのかとかそういった事に関する情報提供に関しては、今のデザインではカバーしきれていないのだと思います。
- これについてはひょっとすると議題3の方で実測をする中でそういったデータが出てくれば、それを皆さんに提供していくといった事はありうるのかなと思います。
○辰巳委員
- スケジュールの話ですが、ツールの試験運用が12月からという事ですが、これはモデル事業の家庭で使って頂くという事でしょうか。
○森口座長
- これも後ほど出てくるかと思いますが、私も事前の打合せで気になったのですが、どうせやるなら冷房期、夏にやりたいところがあるわけですね。これでいくとまだ冷房期にはツールが出来ていないと。まだツールが出来ていなくても出来ていても、モデル家庭にご協力頂く事はご協力をお願い出来ないだろうかという事は話をしております。
- その事とは別に、実際にツールを作って使える時期がこの12月という事なのですが、試験運用期間の使用対象がどうなっているのか事務局からお答え頂けますか。
○事務局
- これについては資料4にあります通り、モデル事業の中で200世帯が対象になるのですが、その世帯の方にツールへアクセスして頂いて、実際の使い勝手などを、アンケートを通して収集、改善していきたいと考えております。
○森口座長
- 少なくとも誰も使ってくれないと困るので、モデル事業対象者にはお願いするという事なのですが、それ以外にも是非自分も使ってみたいとか、ある意味パブコメのような感じで希望者を受け入れるような事はありますでしょうか。それはやはり大変でしょうか。
○事務局
- システムにまずIDとパスワードを配布するものですので可能です。是非委員の皆様にもやって頂いた方がより実践的なご意見が頂けるのではないかと考えております。
○森口座長
- 委員の数は限られていますが、各委員のネットワークでこういう事について厳しい意見を頂ける方を多くご存知ではないかと思いますので、また具体的な進め方については事務局と相談させて頂きたいと思っております。
○麹谷委員
- 今の件でモデル事業200世帯だけではなく、もっと広く参加を呼びかけて行動をシフトさせる仕掛けが重要だと思うんですね。そういう意味では、この情報提供ツールは、細かすぎるか、荒すぎるかというところは難しいところなのですが、運用していく中でそれぞれ改善していけばよいと思います。そういう意味でもより広く参加を呼びかける事が重要である事が1点。
- もうひとつ参加を呼びかけるとしたら広報をどうするかという事がとても重要だと思います。今ご説明頂いたものに加えてモデル事業にかかるところについても、広報は重要な要素だと思っておりますので、そこのところの仕掛けは重要かなと。
- 今日ここに国交省、総務省、農水省の方が来られていますから、こういった省庁の方々ともうまく連携していくという事と、親委員会では事業者に関する検討もやっておりますので密接に表裏の関係にあると思いますので、ここの調整というところも併せて、親委員会も関連しての議論となると思います。
○森口座長
- ありがとうございます。今の後半の部分につきましては、環境省の方から後ほどお答え頂きたいと思いますが、私の印象としては、事務局としては手堅く限られた数で今年度は作って頂いて、今年度は作るところまでと。
- 来年度以降より広めていって、その中で順次改善していくというような事だと思いますが、今ご指摘あったように今年度の作る過程でもなるべくたくさん参加頂いて、いろんな意見を取り込んで試行期間でもより広くやっていった方がよいのではないかというご意見かと思います。
- これについては技術的には可能だと思いますし、却ってその方が後々役に立つものになるかと思いますが、事務局の方はそれでよろしいですか。
○事務局
- 技術的には可能だと思います。ただし最大の問題はコスト的な問題です。
- いまはご議論頂いていませんが、個人情報になりますので、個人情報にどうやってアクセスしてもらうか、あるいはシステム構築の問題にもなってきますので、それほど広く参加頂くのは難しいと思っております。
○森口座長
- 今お話あったような現実的な制約は常にあるわけでございまして、どの程度数を増やす事が出来るのかなど、事務局の方でご検討頂きたいと思います。
- 後ほどの議題にもありますが、モデル事業に参加頂く家庭というのは、またそれはそれである種のサンプリングバイアスがあるわけですね。そういう方に使って頂いてご意見頂くというだけで本当に十分なのか、という事については慎重な検討が必要な気も致しますので、やたら数を多くするのではなくなるべく多様な主体に使って頂いて、将来より広げる際に役立つものにして頂きたいというのがご主旨であると思います。その点についても事務局で検討頂きたいと思います。
○多田委員
- このタイミングで聞くべき質問かどうかわからないのですけれども、両方ともスケジュールが平成22年度で切れているわけですけれども、中期計画といいますか、中期的にこれを広めていって、基本的にはまず関心のある層から入っていって、順次無関心層も引き込んでいくという事を考えていらっしゃると思うんですけれども、2、3年くらいのスパンで考えて、どのくらいの人にアクセスしてもらうのか、目安みたいなものを何かイメージとしておありなのでしょうか。
○森口座長
- あとでお答え頂きたいのですが、最近こうした検討で難しいのは単年度でいろんなものが切れてしまうので、事務局から単年度を超えたお話をして頂く事がなかなか出来ない。ただそれではとてもこのような取組みは進められないだろうと思います。
- この事業のスパンとしては3年ですが、それだけでは足りないだろうというご指摘だと思いますが、3年を超える事について何かお答え頂けますでしょうか。
○環境省横井課長補佐
- 今年度については、来年度一般公開するための基本的な作り込みを行っていく時期であると考えております。
- 来年度以降ですね、資料で言うと2ページ目の一番下、次年度以降の追加機能の案という事で、今年度作りこみした基本的なものを広く使って頂くための検討や機能の追加を考えております。どこまで出来るのかはわからないですけれども、なるべく効果の高い仕掛けを考えていきたいと考えています。
- さらに平成23年度以降につきましては、来年度どこまで進める事が出来るかによりますので、多くの方が参加して頂けるようなものを作りまして、23年度以降も継続して予算を確保し、ツールをさらにより良くしていきたいと今のところ考えております。
○森口座長
- 今のところはこのくらいがぎりぎりお答え頂ける限度なのかなと思いますが、23年度も引き続き行っていくべきだろうという事で、そのためには21年度にいいものを作って、22年度ちゃんと使ってもらわない事には継続の予算がもらえないよ、というお答えかと思いますので、是非ご協力をお願いしたいと思います。
- 時間も押してまいりましたが、まだ全体のところでも結構でございますが、そろそろCO2家計簿のあたりをご議論頂きたいと思います。場合によりましてはくらしの見える化の方にも入って頂いても結構でございます。家計簿とくらしの見える化全般的なもの、削減行動全般的にかかわる事でご意見頂けますでしょうか。
○辰巳委員
- 一番気にかかるのは、金額でCO2を計算しようとするところなんですね。
- 例えば、スライド番号7のところの上の方(光熱費)のところは今までもやっている事なので大丈夫であろうという気がするのですが、下の商品やサービスのところですね。果たして本当に出来るのかなという気がしておりまして、例えば私達がよく言っておりますのが、安いものは買うな、安いものは本当は環境負荷が大きいんだと。安く売るために色々な工夫がなされているためにわざわざ遠いところで作って運んできたり、あるいは省エネの努力をしていない機器である、などといった事は講座などでずっと言ってきている事でございます。安いものはCO2排出量が多いというのが本当なのか何とも言えないところではありますが、そこが大きな疑問なのですが。
○森口座長
- これについては私も深く関わっておりますのでお答え致しますと、今辰巳委員がおっしゃったような意味での精度はもたないと思うんですね。あくまで品目間、どの品目にお金を使う事によってCO2が変わるのかといった、品目構成の精度しか持っていない。同じ品目の中で今おっしゃったように付加価値の高いものを買った方が良いという事になります。
- そういった中で今気になるのが交通・通信を一括りにしてしまうと、同じ公共交通でも飛行機に乗るのと鉄道では違いますし、通信まで行くと携帯電話代まで入ってくるわけですよね。ですから括りの中で明らかに金額あたりのカーボンフットプリントの量が違うものについては品目を分けないと、品目間の構成による差異も見えにくくなるのであろうという気がします。
- 辰巳委員がおっしゃったさらに踏み込んだ同じ果物の中でも高いものを買った方がよいのか安いものを買った方がよいのかという事に関しては、この事業の範囲を超えていて、これは経済産業省さん主導でやっておられるカーボンフットプリントに関する個別の事業の方でやって頂くのがよいのかなというのが私の意見ですが、何かご意見ございますか。
○辰巳委員
- 私のような疑問を持つ方が多分大勢いらっしゃるのではないかと思いますので、そういうところはこういうふうに解消出来ますとか、ある程度は見なしていかなければしょうがないとかですね、そのあたりの説明をもう少し頂きたいなという気がします。
○森口座長
- この件については何段階かで議論しなければいけないだろうと思います。まず、これは上から5品目、これ以外でもCO2排出に結びついているんですよという事にまず気付いてもらう、というのが目的であると。ただ、そこから先は本当にお金と比例する問題なのかというところの解説も十分に加えて頂きたいという事かと思います。
- ちなみに上の5品目でも灯油になりますと、単価が場所によって全然違いますから、これも物量でやって頂いた方がより正確になるかなと思いますし、下の品目についてはおそらくどういう入れ方をしても家計簿で可能な範囲では正確な数字を使うのは難しいだろうと思います。
- これはやっぱり個別の商品に表示して頂くカーボンフットプリントの世界に委ねるのが現実的かなと思いますが、場合によってはカーボンフットプリントが普及してくればそのデータをここに入れていく事も可能であるわけですから、究極の姿としてはそういう事があるのかも知れません。そのあたりはいくらか割り切りせざるを得ないのかなと思います。
- それではくらしの見える化の家電製品のあたりまで広げて、またこの資料3全般につきまして何かご質問等あればお願いします。
○本藤委員
- 全般的な事になってしまいますが、このツールを200世帯に使って頂くその目的は、効果を見る事なのかコメントを貰う事なのか、もしくはその両方であるのか、つまり効果を見る事だとなかなか難しいところもあって、むしろ来年度に備えて今年度は、ある意味よく分かっている方にコメントを貰うと、そういう位置づけなのでしょうか。
○事務局
- モデル事業のもともとの目的というのは、省エネ行動、見える化という事の効果を明らかにし、それをツールに反映させるというのがあります。ツールにアクセスして頂くというのはコメントを頂くという事がメインの目的です。
○森口座長
- 今年度は来年度以降より広く使って頂くためのツールを作る段階ですね。そしてツールを作るために、実際に使って頂いてコメントを頂くというのが中心だろうと思います。
- 今年度の中で削減効果を見るのは無理だろうと思いますけども、ちょっとずつフェーズがずれると思いますので、おそらく22年度はモデル家庭で実際に使って頂いて削減効果をみて頂くという感じになるのかなと思います。
○本藤委員
- そうすると、極端な話ですがそのコメントによってこのツール自体が大きく変わりうる可能性もあるのでしょうか。例えば「かなり難しい。もっと簡単に出来ないのか」などと言われたときに、思い切ってツールを分けてしまうとか家計簿の方は切ってしまうとか、そんな事もありうるのか教えて頂ければと思います。
○森口座長
- 思い切った事をやるご意見は今日このように頂戴しておくのが一番よろしいかと思いまして、そういった意味ではモデル家庭の前にまず本藤先生に使ってもらえれば。今日の時点ではちょっと複雑すぎるのかなというご意見を頂いていると考えてよろしいですか。
○本藤委員
- と言いますのは、先ほど辰巳委員の方からお話もありましたが、今かなり興味があって色々な事をやっている人に関しては物足りないかなと。行動の範囲として、よりバリアの高い行動、すなわち断熱材や太陽光をつけるとかそういうバリアの高い行動の効果を見たいというのがあると思います。
- 一方、あまり関心のない人をここに引き込んだ場合には、そういうバリアの高い行動よりは、今まで気付いていなかったものを気付かせる、というところに焦点を合わせるという事です。
- そうすると誰に対するツールなのかという事でかなり違ってくると思います。割り切って関心の高い人だけというのならいいのですが、来年度以降関心の低い人も引き込んでいきたいと考えると、例えば家計簿をつけろといっても、なかなか厳しいかなというのが正直な感想なんですね。
- ですから、なくすというよりもこのツールを分けるという可能性もありうるのかなという質問です。
○森口座長
- 私の理解では、既にもうこれは分かれていて、家計簿をつけなければくらしの見える化に参加出来ないという事でもないと思うんですね。
- 本藤先生おっしゃるように三つあって、家計簿と家電の見える化と日々の削減行動とその三つがセットになっているのですが、そのどれかだけやるという事でも本当はいいんだと思います。そういった事がちょっと見え難いかもしれませんので、それだったらそもそも最初から入り口を別にして、別のツールですよとしてしまった方が、それぞれ初級編、上級編みたいにしていくという方が何でもパッケージにして中途半端なものにしてしまうよりいいという事でしょうか。
○本藤委員
- コメント頂く時にしても要素を分けた上できちんと頂いた方が、何に効果があるかはっきりと分かると思います。やはりいいものを作るための最初の段階としては要素に分けて色々試した方がよいのではないかと思います。
○森口座長
- ありがとうございます。時間も押して参りましたが資料3について何かコメントございますか。
○辰巳委員
- 細かい事でどうしてもスライド7が気になってしまうのですが。例えば一番上の電気の消費量については1ヶ月の数値が出ると思うんですけど、その中に製品のライフサイクルの中の使用時のCO2も入っているわけですよね。下の方の家具等によるカーボンフットプリントの排出量とダブルカウントになるのではないでしょうか。
○森口委員
- それはならないと思います。ややこしいのはカーボンフットプリントの方で使用時のCO2を表示されてしまうとダブルカウントになってしまうんですね。
- 私はカーボンフットプリントで、耐久消費財の使用時のものは表示するとしてもちゃんと分けて表示して欲しいとお願いしているのですが、今必ずしもそうはなっていないかも知れません。そうするとダブルカウントになってしまいます。ですから私のイメージは、家電製品は作るまで、買うまでというつもりでおります。
- ですから買ってその後どういう使い方をするのか分からないときに計算してしまうと非常に混乱してしまうと思いますので、カーボンフットプリント事業とうまく仕分けをしていく必要があると思います。
- それでは次に議題3ですが家庭における温室効果ガスの「見える化」に関するモデル事業について、説明をお願いしたいと思います。
【議題3】家庭における温室効果ガスの「見える化」に関するモデル事業について
○事務局
○森口座長
- それでは只今の説明について何かご意見ございませんでしょうか。
○辰巳委員
- いくつかありますけれども、家電3種類、テレビ、エアコン、冷蔵庫を調査するという事ですが、例えば省エネ行動を取る人は、なるべくエアコンなどを使わず、扇風機を使う、窓を開けようとしますし、私ならそれでどれだけ電気代が違うかを知りたいと思うのです。そういう行動が測れないかとちょっと思います。
- それから、効果の把握の方法のスライドナンバー6ですけれども、省エネナビを設置した事で、設置していない人との間の変化がどのようにしてわかるのかという事です。設置した事で表示される数値などを普段からいやでも目にする事になると思いますのでそれでもう効果があると思うのです。ですので[1]の人については、なんらかの省エネ行動へ変わると思うのですけれど、そうではない人と設置している人との違いがどうしたら分かるのかちょっと知りたいと思いました。
○森口座長
- ありがとうございました。その後半のご指摘については私も気になっておりまして、省エネナビ設置のみというのはすごく難しいんですね。設置したにも関わらず省エネ行動をとらない、強制的にとらせないというわけにもなかなかいきませんので、設置する事自体が効果になってしまうのではないかという事ですね。エコドライブでも言われておりますが、燃費計をつけただけでエコドライブしなくてもよくなってしまうんですよね。そういう点についてはこの中では何かお考えになっていますか。
○事務局
- まず、扇風機というお話ですが、エアコンをよく使う家庭をサンプリングするという事。
- それから、エアコンについていくつか省エネ行動があると思いますが、普通の方が簡単に行えるものは何かと考えてみると、やっぱり設定温度を上げたり下げたりする事なのでそういう行動に絞ってやるという事で、やや難しいものについては今回は対象とはしていないという事です。
- それから、省エネナビの導入効果を見る上では、何も設置せずに省エネ行動をしてもらう方と比べるのが一番いいのですが、そういう場合には表示部分を隠しておいた方がいいとか、そういう話もあるのでなかなか難しいであろうと。
- 例えば設置した事を見せた事による効果で何が期待出来るかというと、設置当初からずっと計測していきますので、例えばテレビなどで徐々に消費電力が減っていく、というような事が分かればいいのかなというところが限界かと考えております。
- それから意識の変化と行動の変化についてアンケートするという事で、定量化という事では若干難しい部分があると思います。
○森口座長
- 先ほどの扇風機あるいは太陽電池の話ですが、この事業の中では手が届かない事がたくさんあって、だけれどもそういうところこそ熱心に行動されている人は定量データが欲しいと思っておられるというのが良くわかりますので、今後消費者に対して情報提供していく上での重要なご指摘を頂いているように思いますので今後の宿題という事で受け止めたいと思います。他にいかがでしょうか。
○本藤委員
- 今の事に関連してですが、設置前後で変化、効果を見るという事について確認したいのですが、アンケート調査について電力消費量についても同様の事をやるのでしょうか。かなり難しいと思うのですが、設置前と設置後で1週間測って変化量を見るとかそういう事は考えているのでしょうか。
○事務局
- 電力消費量は30分ごとの累積で計測していき、最後に全てのデータがわかりますのでその定量的なものについては最初の1週間、最後の1週間で比べる、という事になります。
○本藤委員
- 例えば旅行へ行っていたとかそういう事はアンケート、ヒアリングなどで除くという事でしょうか。
○事務局
- 例えばテレビの消費電力の推移などを見れば不在かそうでないかは分かりますし、そういうところはなるべく排除して集計していくという事になります。
○本藤委員
- あくまで数字でわかるところで判断していくという事ですね。
○事務局
- そうなります。もうひとつサンプリングの条件として、夏の間長期不在にしない方を考えております。
○本藤委員
- 私自身がこういった事を経験した中で気になったのは、結構小さな事で変わるんですね。例えば子どもが受験生になりテレビを見なくなったと。それは見える化の効果ではないんですね。結構そうした事が大きく効いてしまうのが現実ですので、そうした事も留意した方がいいというのが私の意見です。
○森口座長
- 先ほど本藤委員からご指摘のあった電力消費量を測るのかどうかというお話は、個々の機器ではなくて総量のお話ですか。
○本藤委員
- もし、そうであるならば例えば電力会社からのお知らせなどを一応集めた方がいいかなと思います。というのは効果の見える化によって、その機器だけではなくて全体をやってみようと考える、たぶんそちらの効果の方が面白いのではないかと思いますので。
○事務局
- アンケート調査の中で光熱費支出という事で調査期間だけですが書いて頂く事となっています。また、電気・ガスについては前年同月についても検針票に出ていますので、そういうものも含めて回答頂くと事にしております。
○森口座長
- 贅沢を言えば個々の機器の積み上げだけではなくて、家庭の総電力量を日毎、時間毎に測る事が出来ればまた面白いデータが色々と取れるわけなんですが、技術的な限界もあって難しいと思います。ぜひ検針票等のデータは収集して頂きたいと思います。
- この話と先ほどの議題にありました情報提供ツールで家計簿に入力するという話はかなり近いものがありますので、まだそのツールは出来ていませんがそういったデータを取っておいて頂くというご協力はお願いするようにして頂きたいと思います。
○麹谷委員
- 目的のところに、省エネ性能カタログ値と実績値の比較を行うという事ですが、比較をしてどう使われようとしているのでしょうか。
○事務局
- これはツールで提供する情報の中で、実測した結果とカタログ値が実際にはこれだけ違いますよ、というような事で示すという事です。
- ただテレビの場合どうかというと、JISの中で計測基準がありまして稼働時間が何時間などとありますので、計測データから稼働時間を調べて単純にJISと比較するという事と、稼働時間をJISと同じくらいとして想定した場合の実績値はどうかという2段階の計算をして、それをツールの情報として提供するという事を考えております。
○麹谷委員
- 多分カタログ表示値と実績値が違うという事は分かると思うんですが、その見える化をする事の意味が今回のモデル事業にどういうプラスになるのかがちょっとよく分からないのですが。
○事務局
- カタログ値との比較は単純なモデル事業の見える化の効果という事ではなくて、単に情報提供ツールのデータとしての情報という事でありまして、基本情報としてデータが計測出来ますのでカタログ値との比較をオプションという形で提供していくという事でございます。
○森口座長
- ちょっと難しいのはそれが誰にとっての目的かという事、モデル事業に参加頂く消費者にとってどうなのかという事でご質問があったかと思うのですが、難しい領域だと思います。やはり消費者にもこういった数値を見てもらうという事は重要なのではないかと思います。カタログにはこう書いてあったけれども実際にはこうだったという事を消費者自身に気付いてもらわないとなかなか、根っこの部分が変わっていかないのかなと思いますので。いろんな意味で見える化をしていかなければならないのかと思います。
○麹谷委員
- これがどんどん規模が大きくなっていくとすれば、逆にメーカーの出している数値が正しいのかどうかという本質的なところへ行ってしまう気がしましたのでちょっと気になりました。
○森口座長
- これについてはもう少しご意見を頂戴したいと思いますが、私としてはそこに踏み込まないと、消費者の信頼は得られないのではないか、そこの見える化は避けられないと思うのですが、いかがでしょうか。
- これは非常に微妙なところではありますけれども、むしろ最近は消費者も勉強しておられますし、いろんな情報がある中で例えば、冷蔵庫に関しては旧JISで測ったもの、夜間に測ったものについてはかなりもうご存知で、また昨年の会議でもデータが出ております。
- やはり現在世の中に出ているものに関しては、検証を受けざるを得ないと思うんですね。そういったところも含めて、どこまで明示的に踏み込んでいくのかというところですが、測る以上は見えてくるという事でそれを淡々と受け止めるという事をやらざるをないだろうと。
- 比較のあとはどうするのかという事はなかなか言い難いのですが、計測した値がカタログ値と比例して下がっていればそれは結構な事ですので、今回はそういったデータは取りましょうという事業でもあると考えています。
○辰巳委員
- 地域協議会の部分が良く分からなくて、住まいや地域によって随分違うと思うんのですが、地域協議会のA、Bについてと、それから対象になられる方とその地域の分布はどうなっているのかという事についてなんですけれども。
○事務局
- まず見える化による行動としての効果を取るという事とすると、ある程度地域が似通っていないと、定量的な結果が出ないのでないかという事ですね。例えば最初は関東と関西でというように考えておりました。
- それからエアコンを測るという事になりますと、暖房を電気で行っている世帯でなければ困るので、そうなると暖房は灯油でというところが多いとなかなか難しいものがあります。
- 最終的に今依頼しているのは関東、東海の地域協議会でまだ最終的な決定にはなっておりません。
○森口座長
- 地域分布については私も事前にお話を聞いて、200世帯で代表性があるのかどうかとか、寒いところとか暑いところとか色々議論したのですが、寒いところになりますと電力以外の灯油などの使用が増えてきますので、やっぱり今回は電力中心に測るという事なので、暖房期に電力以外のものが支配的な地域については今回の測定スキームには合い難いだろうという事で、どちらかというと温暖で中心的な地域ですね。設置費用などコストの面の事情もありますし。
○多田委員
- これは事業が終了した後の結果の情報開示はいつ頃どういった形でされる予定なのでしょうか。
○事務局
- まずモニターに対しては結果をまとめて平均値という形でお返しする事を考えております。それ以外につきましては最終的には情報提供ツールの情報として、こういう事業をしてこういう行動をしたらこういう結果でしたという形で示していく事になろうかと思います。最終的な形としては、結果をツールに反映させるという事になります。
○辰巳委員
- 先ほど本藤先生がおっしゃった事と関係するのですが、ここでの省エネ行動の実施世帯は、対象器具に関しての省エネ行動だけですよね。通常省エネ意識を持つと、これに関わらない他のところでも必ず省エネ行動が起きるんですね。そうすると必ず1ヶ月なり1年を通しての家庭の電力消費量への変化や反映は必ずあると思いますが、そこのところはどうなんでしょうか。
○事務局
- 省エネ意識と省エネ行動について毎期実施して頂く際にお聞きします。回答として、[1]実験前にやっていた行動、[2]実験中やって頂いた行動、[3]それ以降も続けている行動、[4]これからもやっていこうと考えている行動と、4段階にわけて訊くという事で、ある程度省エネ行動に結びついたのだろうかという事について考えていきたいと思っています。
○事務局
- 今のお話で月別の電力消費量を確認するという事ですけれども、それはそれで差が出たとしましても通常そういった意識がなくても前年度5%、10%のずれというのは当たり前なんですね。例えば冷暖房期以外の中間期の月別の電力消費量などは私の家でも前年比2割くらい違ったりするんですね。そうしたずれは毎年起こっているわけです。
- その要因が果たして省エネ行動なのかそれとも他の要因なのかは全体だけで見ていくと分からなくなってしまうので、そうした意味でそれぞれの要素について特定、省エネ効果を見ようというのが主旨でございます。全体も取りますけれどもそれに対する評価というのは難しいかなと考えております。
○森口座長
- おそらくより全体的な、見える化を進めて対策を促して省エネにつなげるためにはかなりたくさんのサンプルについて時間をかけてやらなければいけないのだろうなとは思います。
- それには先ほどの議題にもありましたが、情報提供ツールを作って頂いて、これになるべく多くの方に参加頂いてそういった方々の実データを何年か続けて取っていけばそうした中から見えてくるかも知れない。むしろそちらの方で分担頂く話で、なかなか個別の計測の話になりますとコストや世帯数などの制約もありますので、この二つの事業を有機的に役割分担して頂いてつなげていけばいいと思います。
- その他先ほどの資料、また全体を通じて何かございましたらどうぞ。
○本藤委員
- 只今のモデル事業の方で2点ほどあるのですが、ひとつは単純な話でスライド6を拝見しておりまして、[1]世帯が75世帯、[2]世帯が125世帯ですが、これは何か設置世帯の制約でこのような数の割合になってしまっていると考えてよろしいでしょうか。
○事務局
- ご指摘の通り計測上の制約の理由からこのようになっております。2ページをご覧頂きたいのですが、三洋ホームズの既設設備で見える化出来ているのですが、こちらは省エネナビではなく別の見える化でありますので、見える化という事の効果を把握するには機器が違いますので、ここはその50世帯を除外する事としました。そうすると残りの150世帯を半分に分割しまして、既設世帯につきましては省エネ行動を実施して頂く方に振り分けました関係で125世帯になっているという事でございます。
○本藤委員
- もうひとつは、[2]世帯の省エネ行動実施とは具体的にどういった事をお願いするのか、例えばスライド8に書いてあるような事を紙に書いて貼っておいたりするのか、それとも何か具体的にこういった行動を取った後は必ず電力消費量を確認するとか、何の目的でこれをやるのかという点について教えていて頂ければと思います。
○事務局
- 目的は二つあり、省エネ行動の実験をした場合にどのくらいの効果があるのかという事を把握する事が第1の目的になります。
- もうひとつは省エネナビ設置のみ世帯と比較する事によって、省エネナビ設置しただけの世帯と、体験型の情報を与えた世帯と捉えて、その二つを比較する事によってリアルタイムの見える化の効果を把握しようと考えております。
○本藤委員
- もう少し詳細に説明しますと、例えばこの事業を行ううえで、見える化しても皆さんは方法をきちんとわかっていない、だから方法を示すときっとやってくれるであろうという仮説に基づいてやっているのか、あるいは方法は知っていると、知っていてそれを教えてあげてそれをフィードバック、つまりどのくらい減ったのかという事を定量的に知らせる事で行動変化を与えようとしているのか。
- 端的にいえば知らない人に情報を与えたから行動が変化するだろうと思ってやるのか、フィードバックを与えるから人は変化するのか、そこのところの設計はかなり違ってくるのではないかと思うのですが。
- 今までの多くの専門研究でもフィードバックは非常によく効くけれども情報を与えただけでは効かないといった事があるわけですので、そこのところの設計はきちんとやらなければならないのではないかという事で質問させて頂きました。
○事務局
- フィードバックという事で言いますと、個別の計測データが省エネナビで見える化されますので、その効果をモニター世帯に見て頂き確認して頂いた方が良いのではないかという意味でよいでしょうか。
○本藤委員
- もう少し正確にいうと、これは勝手にやって下さいと自主性にまかせるのか、それとも「見て下さい」とそこまでマニュアル化して見させるかという事でかなり大きな違いが出てくると思うので、そこをどうするかという事ですね。
○森口座長
- ご質問の形で頂いていますが、こうした方がいいですよという助言という形でお示し頂いたという事でよろしいと思いますね。フィードバックした方がいいですよというように私は理解したのですが。
○本藤委員
- 個人的にはそちらの方がいいかなと思っております。ただもし125世帯あるのであれば、可能であれば分けもよいかなと。
- ただモニターになる方は良く知っていらっしゃると思いますので、教える事だけではなくて教え方といいますか情報の伝え方に着目して、見て下さいね、どのくらい変わったか確認して下さいね、というところまで情報として提供するのがよろしいのかなと思います。
○森口座長
- 全く別の事業ではあるのですが、やはりこうした実証実験的な事をやる時に、委員の先生のご意見を頂いて詳細なアドバイスを頂きながら実験を行っている例もあります。
- 今日限られた時間の中でご意見を尽くせないところもおありと思いますので、各委員に事業を実施する前にアイディアをお伺いして、次につながるようなデータを取って頂きたいと思っておりますので、例えばこの125世帯を半分に分けて、データのフィードバックまでやる世帯とやらない世帯とに分けて解析していく事が出来るのかどうか、そのあたり個別に委員のご意見を聞いて頂きたいと思います。
- 先ほども申し上げましたが、すでに夏の冷房期に差しかかっておりましてぜひ冷房期のデータもとって頂きたいと思いますので、少し走りながら考えなければならない部分が出るかもしれません。多少軌道修正を行いながらモデル事業についてはなるべく早く着手させて頂きたいと思っています。
- ですから、改めてこういう事でよろしいかとお諮りしてスタートするという事になりますと貴重な夏のデータが取れなくなりますので、モデル事業の実施については、例えばここだけはしっかり聞いて下さいといったご意見を頂くという事を含めて、そこのところは座長に一任頂くという事でお願い出来ますでしょうか。
- それから先ほど本藤先生から頂いたご意見については、実施する前のデザインに関わりますので是非そこは確認した上で取り掛かって頂きたいと思います。
○辰巳委員
- 実施する省エネ行動の案というものがスライド8にありますけれども、具体的な中身がちょっと分かり難いですね。
- 例えばエアコンについては設定温度の変更というだけですが、これは具体的な指示、イメージがあるのでしょうか。例えばエアコンは必要でないときは切るとか、部屋を離れるときにはどうするのかとか、具体的なものがおありなのでしょうか。
- テレビにしましても適正な音量設定といっても分かり難いという事もありますので具体的にどう指示されるのかお伺いしたいのですが。
○事務局
- 実際にはもう少し細かく説明をつけるつもりでおります。ただ行動自体については、エアコンは部屋を出る時は消すというような違う行動をしてもらうという事ではなくて、各機器につきひとつの行動を実施して頂きます。他の事をやってもらってもかまわないが原則的な行動は変えてもらうというという事です。
○森口座長
- スライドはあくまで委員会用のプレゼン資料なのでこう書かれていますけれども実際消費者にはどういった形で示されるのかという事ですね。
○事務局
- もう少し具体的に説明を加えながら行動して頂く事を考えております。
○辰巳委員
- エアコンや冷蔵庫については設定温度の事しか触れないという事でしょうか。
○事務局
- はいそうです。ただそれ以外の事をやって頂いても構わないという事ですけれども。
○辰巳委員
- 適正音量の設定とか画面の明るさ設定とかはどういう事になるでしょうか。明るくしすぎたり音が大きくなるという事は分かるのですが、適正とかそういう点についてはどうなのでしょうか。
○事務局
- そこのところも説明を加えながらやっていこうと考えております。
○事務局
- その点につきましては、画面の明るさとか音量については利用時の快適性とも関わってきますので細かな無理強いは出来ない事がございます。その上で、個々の人の感覚として大きすぎるなと思ったら小さくして頂くといった、最大の省エネ効果を見るのではなく、出来る範囲で、平均的な家庭でどれだけ効果が出るのかという形で考えております。
○森口座長
- そろそろ時間がきておりますが細かく見ていくとまだまだあるだろうとは思います。
- 出来れば200世帯の中に各委員の方々も参加して頂いて、行動を変えて頂くのが一番いいとは思いますが、でてきた委員会資料でもう少し細かいところまで聞きたいというような意欲的なご意見を頂いているようでございますので、ぜひ委員会以外の場でも具体的な実施の内容が出来次第照会させて頂きたいと思います。
- 先ほどもお願いしましたが、早く実施しなければいけないと考えておりまして、昨年1年間の助走期間がありましたが、体制変更があった事もありまして本年度も準備に少しかかっております。そうした中であっという間に季節も移っていってしまいますので、走りながら考えていく事になるとは思いますけれど、色々と委員の方から意見出し頂ければと考えております。
- 次回の分科会につきましては、夏のデータが取れた頃、あるいは実際の設置等が終わった頃という事になるかと思いますが、開催のめどが立ちましたらお知らせしたいと考えております。
- それでは本日はこれで閉会とさせて頂きたいと思います。