【開会及び資料確認】
○ 馬場課長補佐
- 定刻となりましたので、ただ今から、第3回温室効果ガス「見える化」推進戦略会議を開催いたします。本日のご審議は公開としておりますことをご報告いたします。森口先生は所用により途中退席されます。
- 配布資料の確認させていただきます。まず表紙のあとに座席表があり、資料1、2、3、4、5、6、まであります。その他、参考資料1があり参考資料2は前回の議事録になります。
- それでは、今後の進行は安井座長にお願いします。
○ 安井座長
- 本日の議題は、3つあります。議題の1は「日常生活からの見える化」、議題2は、「事業者の提供する商品・サービスの見える化」、議題3は「分科会の設置について」です。議題の1は資料1~3が該当しますので、環境省からご説明お願いします。
【議題1 日常生活からの温室効果ガス排出量の「見える化」について】
○ 馬場課長補佐
○ 安井座長
- かなり詳細なCO2排出についても情報を与えようということですが、ご意見は資料1、2、3ごとに伺えればと思います。ご発言は名札を立ててください。
○ 齋藤委員
- 環境家計簿について質問です。非常に利用者数が増大しているようですが、これによりどのような炭酸ガスの削減につながったのでしょうか。松下電器では従業員5万1000世帯でかなり詳細に実施されたようですが、実施後のエネルギー消費の動向がどう変わったか、どの程度把握しているでしょうか。
○ 事務局
- 定性的な話しか伺っておりませんが、各家庭で排出量を見える化することで、少しでも減らしていこうという意識が生まれることと、一部データを蓄積し分析ツールをつけているところでは、ランキングを表示すると削減インセンティブがあるため、一定の効果があると聞いております。
○ 齋藤委員
- それは単なる無駄を省くということでしょうか。あるいはライフスタイルを変えていこうというところまでつながっているのでしょうか。
○ 事務局
- 聞いている範囲では、無駄を省く事が大半のようです。一部ですが、ライフスタイルを変える方もいらっしゃると聞いています。
○ 須田委員
- 資料3のグラフについて、説明では家庭でのエネルギー消費を中心に計算を行うとありました。その意味ではグラフ上で突出している電力や都市ガス、ガソリンがエネルギー消費を指すのでしょうが、それ以外の電化製品や輸送機械等についても、使用段階はエネルギーになります。使用段階での負荷は全て電力や都市ガスで計算しているという意味でしょうか。
○ 馬場課長補佐
○ 須田委員
○ 一方井委員
- 資料2の最後にある環境家計簿の大きな分類について質問です。この方法で野菜や果物等、大枠の排出量を把握することはできますが、私が買い物する立場からは、地球の反対から輸送されたものか、露地物か知りたいと思います。この方法ですと、どの産地でも果物は一律に同じ排出量になるという思想でしょうか。
○ 馬場課長補佐
- まずはそういう思想になります。一商品について環境家計簿で手間がかからないように簡素化した形でと思っておりますが、おっしゃる通り資料2の表1は、上から見ていくと、国産輸入という記載があり、例えば大豆や生ゴム、綿花輸入とありますように、輸入されたものについても標準値が与えられるということは3EIDではできるということになります。こういう知見も見ながら、海外から輸入されるものについても、国内のものと比較しCO2排出量が多いものについては、環境家計簿では区分を変えることもあり得ると思います。
○ 森口委員
- 一方井先生からのご質問への私なりの解釈を申し上げます。同じ果物の中でも差別化していくことと、家電や果物を買う事それぞれの排出量の寄与度の違いを知ることとは、分けて考えたほうがいいのではないかと思います。資料2は後者を想定しており、果物の違いについてはあまり意図していないと割り切っていただいたほうがいいのではないかと思います。
- 差別化をしていくのであれば、一品一品積み上げ的に計算していければならないと思います。それは前回議論されていたようなカーボンフットプリントのように商品ごとに積み上げて計算していくのだと思います。農水省さんも今日はいらっしゃいますが、輸入品と国産品、露地物とハウス物は違うだろうという興味もあろうかと思いますので、資料2の範囲では大きなくくりで見ていこうということに主目的があると私は考えています。
○ 一方井委員
- 前回の検討会でレベル0というのを検討してほしいと申し上げました。今回の定量化はそれ自体意義がありますが、数字だけ見てライフスタイルを変えるのは大変難しいと思います。塩の排出量を見て「塩を控えよう」ということにはならないのだと思います。露地物かハウス物かという事のほうが関心が高いでしょうし、一方で細かく見ると生産者側にも影響があるかと思いますが、最終的にはどういうライフスタイルにしたいのかというメッセージ性を込めるのであれば、レベル0として定性的なマークと併用するのもいいかもしれないと思います。
○ 稲葉委員
- 簡単に申し上げますが、入力する手間に比べて「お金を使うな」というメッセージしか出てこないのが心配です。お金を使わなければCO2の排出は少ない訳ですが、お金を使わないのは個人消費が低迷する気がしますし、どういうライフスタイルを提案していきたいかというメッセージがないと「お金を使わなければいい」という議論に落とし込むのは問題かと思います。
- それを踏まえ、やっていただきたい事は資料3のp.2(3)は非常に重要であり、特に1番は重要かと思います。具体的にこういうことをやっていきたいということを提案していただいたほうが、環境家計簿の詳細さを求めるより建設的でないかと思います。
○ 伊坪委員
- 資料1~3それぞれ詳細に情報をいただきましたが、それぞれ思うところがあります。資料1への質問ですが、4つほどメジャーな環境家計簿がありますが、算定対象は近いですが、得られる結果は家計簿ごとに違うのではないかと思います。特に排出原単位あたりに違いが出るのではないかと思います。共通のデータを入力した際の、結果の違いというのを出してもらえると踏み込んだ議論ができるのではないかと思います。
- 2番目については、3EIDを使って環境家計簿に使うというのは非常にいい方針だと思いますし、私の学生の卒業研究でも実施しています。金額ベースに環境負荷を計算する場合と、資料1の物量ベースの両方のアプローチがあるため、できれば入力項目は物流量と金額の両方を考慮できるようなフォーマットを想定してほしいと思います。それぞれの特徴については森口先生が議論されると思うので、ここでは省略します。
- 資料3については、稲葉先生の(3)のコメントがありましたが、同じく重要だと思います。実際に行う場合のポイントとしては、例えば[1]の後段にある省エネ機器の導入、リフォーム、3Rの導入などについて、マテリアルリサイクルするのか、ケミカルリサイクルするのか、そういうところについても見える化するのか、または省エネ機器を購入したことによる効果については個別の議論になると思います。今回の例示にあるものは、あくまで平均的なデータを使った時に、一時的な環境負荷はどれくらいか計算するものであって、個別の議論になると、一つ一つ取り上げてリファレンスと効果の両者を得て計算していかざるを得ない。そこにギャップがあるように思います。そういった議論を診断ツールにどのように導入していくのか、かなり詳細な厳しい議論が必要になるため、その点についてあらかじめ検討していく必要があるのではと思います。
○ 稲葉委員
- 生活のCO2の見える化ですが、ここでは日常の生活を示していますが、生活のCO2を減らすにはライフイベントの時に減らす方法のほうが、効果が大きいのではないかと思います。例えば、家の建て替え、単身赴任、結婚して一緒に暮らす等、ライフイベントでどういう生活を作っていくかのほうが大きいように思います。毎日の生活をどうするかとう観点と一生の生活としてどういう方向性を目指すのかという見方をしなければならないと思います。今は短期的な毎日の生活しか対象としていないため、そこが足りないところだと思いました。
○ 安井座長
- 皆様のご意見を踏まえ、全体的にこういう方向で、大雑把にどのくらいの結果になるのかご説明頂いたほうがいいというのが一つあります。
- そもそも我々は年間どれだけの物を購入しているのかという話ですが、今ですと家計から排出されている個人当たり排出量は2.2トン、国民全体だと10トンだと思いますが、全体がどの程度かというのが一つあります。
- また、自分自身のLCAを実施すると、海外出張してはいけないという結論になるようですが、どこにもアサインされていないため、知ったことかというのが一つの考え方です。しかし国内の航空機利用もそうですが、それをどこで把握されるのでしょうか。2点ご説明いただけたらと思います。
○ 馬場課長補佐
- 資料4になりますが、表1の一番上の合計として、「718.7」とありますが、これは7億1800万トンです。わが国のCO2排出量は全体で14億トン弱のため、おおむね半分は、3EIDによれば家計から出ていることになります。
- 安井先生がおっしゃる年間の排出量は12ヶ月であり、日本の世帯数で割れば、一世帯あたり月間も比例して計算できますが、今日は準備ができていません。きちんと計算してから資料として提出させて頂きたいと思います。
- 飛行機については、6番目に航空とあります。CO2排出量はかなり大きいかと思います。
○ 森口先生
- 先ほど申し上げようと思った点について補足させて頂きます。数字が若干錯綜する部分があるかと思いますが、今回3EIDで計算しているものは、輸入品に伴う排出量を国産と同じと仮定して計算しているので、資料4の合計値7億トンというのは輸入を含んでおり、日本の国内の排出量はこれより少ない6億トン台になります。よって、約半分は家計から出ているという計算になります。12億トンという国内排出量をベースで考えると、うち2割は家計で電力、ガス等の直接エネルギー購入による排出、3割は家計で非エネルギーを買うことによる排出になります。
- 稲葉委員のご発言の関連ですと、家を建てるときは産業連関上、別部門に計上されるため別途計算できますが、毎年建てているわけではないため、それほど大きい訳ではありません。先程家計支出(日々でていくもの)が日本の全排出量の50%を占めると申し上げましたが、家を建てるCO2排出量は日本のCO2排出量の1割に満たないことになります。しかし、家を建てる時のお金の使いかたによりランニングエネルギーを大きく変えることができるため、お金の使い方についてのガイダンスは日々の生活で何を買うかよりも耐久消費財や家を買うときのほうが重要だというのもおっしゃる通りだと思います。3種に分けるのが良いかと思いますが、まずは家を買うような30年単位のもの、ボーナスなどの車や大型消費財を買うもの、月々買うもの、これらに合わせて購入に関わるCO2排出量を情報提供していくのだろうと思います。
- 須田委員のご指摘にもあったように、使用と購入段階についても見ていくのが消費者にとても重要な情報ではないかと思います。恐らく、支出全般について網羅的につける家計簿は今回示したようなことだと思いますが、これだけでは不十分で、消費者の削減につながるような別の情報提供があるのではという話があると思います。より効果的な手法があるのではというご指摘については、前回までに申し上げているとおりです。
- 今回の見える化でそういったことができるのかはわかりませんが、消費者の中長期的な削減につながることについての情報提供も考えていく必要があるかと思います。
○ 山本委員
- 今おっしゃった事に関連しますが、先ほどの話では電化製品を使用する際のエネルギーは都市ガス等に入るということでした。しかし、家庭で使うものは買わないといけないため、買った後に省エネになるような削減行動を促すために、例えばクーラーなら電力をどのくらい使うのかといった、どういうタイプの電化製品であれば削減効果があるのかについて関連性も示すこともできればいいと思います。
- 電力のウエイトが高いのであれば、省エネのものを使わなければならないということになると思うので、そういう情報提要も重要ではないかと思います。
○ 森口委員
- 一点言い忘れましたが、稲葉委員からのご発言のうち「お金を使うな」とおっしゃいましたが、お金を使うとCO2は多かれ少なかれ出ることは認めざるを得ない。その中でお金の使い方によってCO2排出量の多い少ないは、あるだろう思います。リバウンドを考慮したとしても、省エネで浮いたお金を別のところで使えばトータルでCO2排出量が削減できるということは、伝えていかなければならないと思います。それよりも、より効果的な手法があるのでは、という議論は、すでにこれまでの話で尽きていると思います。
- こういった情報提供ではなく、消費者の直接エネルギー消費に関する情報提供が足りないという、見える化以前の問題について別途議論があることを前提にして、ここでの議論は、お金を使えば多かれ少なかれCO2は出るものの、その出方は違うという情報の提供かと思います。それでは十分ではないという議論の仕分けは必要かと思います。
○ 稲葉委員
- 私が最初に申し上げた際は「環境家計簿をつけてもお金を使うなという結論しかでない」とストレートに申し上げましたが、その真意は森口先生がよく解釈してご説明いただいたと思います。ありがとうございます。
○ 安井座長
- 次の議題にからめて次に移り、元に戻るというのも一案です。例えば、資料3の(3)の皆さんが重要だとおっしゃった、1あたりが森口委員がおっしゃるエネルギーをダイレクトに使う物の情報が把握しにくいというものだと思います。
- このあたりが次にも関わります。実際、自分の家でエアコンや冷蔵庫をどのように使うとどれだけ電力を使うかということは測れない。そのため、このあたりができて初めてできるのかもしれない。
- その先の省エネ機器の導入や住宅のリフォームは、お金がかかりますから「お金を使うな」という方針ですとここには行かないことになり、結局はトレードオフのような話になり、こちらではお金がかかるがエネルギー費用ではお金が下がるというライフサイクルコストのような話をしなければならない。そういう事も踏まえて、議論しなければならない。
- それでは、次の議論2に入ります。
【議題2 事業者の提供する商品・サービスに関する「見える化」について】
○ 馬場課長補佐
- 資料4~5に基づき説明(省略)。
- どのものについてどのような見える化を行うかは、後ほど分科会のほうで御議論いただきたいと思っております。本日は、この方向で見える化が行われることが適当か、抜け目がないかという点についてご議論いただきたいと思います。
○ 安井座長
- 細かい事については、日常生活と事業者の商品・サービスに関する2つの分科会で検討する項目は、資料5のp.1にあるようなものを検討対象にしようというものです。これ以外で抜け落ちがないか皆さんに眺めて頂いてご意見下さい。全体の議論でも構いません。
○ 山本委員
- 確認ですが、表1のホテルの利用の場合は電力、パチンコならエアコンの電力だろうと想定がつきますが、スーパー・百貨店での買い物は、冷房で相当冷えていますが、それはこの中でどこに入るのでしょうか。魚介類を買うことで含まれているのでしょうか。
○ 森口委員
- 今回の計算では含まれていますが、分離することもできます。工場を出た後の流通にかかわる部分を別立てにする。これは売り方の工夫により変わってくることもありますので、同じものを買うのでも売るお店で差別化していくということも考えられます。マージンと呼ばれる部分は含めて計算していますが、内訳を示すこともできます。
○ 安井座長
- ここで原単位kg/万円とありますが、項目を選択するところまでの話です。実際どれまで使ったかは事業者のサービス側ですから、どのくらい冷房を使用しているのかというものを出してほしいという話になります。実は3EIDと直接関係がないというのが2番目の議論になります。
○ 森口委員
- 資料5(2)見える化の内容の検討で、4類型に区分されていますが、使用段階でエネルギーが使用されるものを考えると、乗用車や電機製品などは別立てとして考える必要があるのではないかと思います。ここでは衣服や商品とひとくくりになっていますが、一緒にしないほうがいいかと思います。排出量の量的な寄与度は分けて丁寧に議論する必要があるところだと思います。
○ 安井座長
○ 一方井委員
- 資料5の最後にレベル1~3でカレーの例がありますが、ここで言いたいのはレストランのカレーが出てくるときにCO2何kgか詳細に出す場合もあるということでしょうか。
○ 馬場課長補佐
- レベル2でまずやりますが、やりたければレベル3でもやってもよいということです。
○ 一方井委員
○ 麹谷委員
- 何のために見える化するのかという議論で、見せることの最初の目標は消費行動を変えることで、先程の稲葉先生のおっしゃるライフスタイルをどう変えるかということについて、消費する際に何がいいのかという選択肢をどこかで検討しなければならないと思います。それを議論するのは分科会なのかこの委員会なのか教えてほしいと思います。
○ 馬場課長補佐
- 日常生活CO2診断ツールを作るものについても、分科会を作ることを想定しています。そこでも消費者が削減に寄与することを議論していただきたいと思っています。
○ 稲葉委員
- 何について議論してほしいということについては、また後で話させてください。その前に消費者に見せるときにレベル1~3を一緒にやるのは基本的に反対です。この場合はこれと場合わけで説明するのは大変ではないでしょうか。
- もう一つは森口先生には申し訳ないですが、産業連関表のデータは扱いやすいものの、他人に説明するときが大変です。そもそも産業連関表はということから説明しなければならない。それよりも、プロセスを積み上げてということのほうが概念的には説明が楽だという気がします。その当たりの説明のしやすいさやレベル差を考えないで一本でやっていくというほうがいいのではないでしょうか。数え方は一つの方法だけれども、場合によっては落差があるというのは理解できますが、そもそも数え方が違うというのは反対したいと思います。
○ 安井座長
- 今の資料5についての話は、事業者側が見える化するインセンティブを与えるものですよね。そうなると、産業連関表だけでいいというのはインセンティブも飛んでしまう可能性があるからそこが難しい。適当なところでやろうかという話になります。
○ 木内地球環境対策室長(農水省)
- 食に関しては農水省として関心があるのですが、資料5については、事業者が見える化して自分たちのCO2を抑えていくのかと思いますが、事業者が見える化しながら自分たちのCO2を抑えていくために、メニューでカレーと肉じゃがを比べて自分たちが誘導するかということはなく、材料の調達をどういう風にするのか、旬のものを調達し使うということが分かると事業者は使いやすいかと思います。メニューでは事業者を誘導するのは難しいかと思います。
○ 伊坪委員
- 大きく2つコメントがあります。一つは、選び方についてですが、話の流れとしては全体でどれが大きいか抽出して、重要なところについて見える化について議論し、産業連関を活用するという点は分かりやすいと私自身は思っています。そのときの考え方でコメントすると、そもそも抽出の仕方は、CO2かGHGで見るのかというので結果が変わり得るということです。具体的には、資料4の2枚目の米や肉類が中央にありますが、米は4.5百万トンCO2という形ででています。米の排出にはメタンが入っていませんが、GHG全体でみると6~8割はメタンになるでしょう。多分CO2だけでここでは表示していますから、4~5倍すると、GHG全体でみると都市ガスや航空のところに米も入ってくるでしょう。牛(肉類)も今はCO2は下位ランクですが、メタンを含めると6~7トンになってくるため、赤い線の内側に入ってくるかと思います。農作物系や廃棄物関係については、今回は下水が入っているので多い部分に特別に入っていますが、重要な部分を抜き出すということであればGHGで考えて頂けるとより説明しやすいかと思います。これは委員会全体としてCO2かCO2換算かで考えるか検討していただきたいと思います。
- もう一点は、項目の抽出について、それぞれの算定作業も考慮した上で重要項目をピックアップせざるを得ないと思います。特にこれだけありますと、それぞれ算定作業をやっていくということになって、特にレベル3については契約農家が原単位を出すことはありえないため、作業部会で原単位を求めるという作業が発生するので時間がかかると思います。それを考慮したうえで項目のピックアップは考えざるを得ないかと思います。ストラテジーの中に排出量の算定についても作業量のかかることも含めた上で、項目についての指針も出さざるを得ないかと考えています。
○ 須田委員
- 議題1に戻るかもしれませんが、各先生方の話を伺っていて思うのですが、斉藤先生から冒頭にご質問もありましたが、基本的な目的としてライフスタイルの変革を求めることがあります。私から言うとそれは難しい話だと思います。ライフスタイルを求めるために、その前の議論をしたほうがいいかと思います。それは気づかせることだと思います。自分のライフスタイルでできるだけCO2排出が少なくなるようにしようということを気付かせる方向性でまとめてみるのがいいかと思いました。森口先生、稲葉先生のやり取りからもそのようにしないと、資料5の[2]でカレーライスよりもハヤシライスのほうがという比較は話にならないと思います。農水省の方のご意見の通りだと私も思います。分科会を分ける時も、[2]はどのレベルで扱うのか、そういう意味でp.3図の1のランキングの位置付け、特に[2]についてはそういう印象を持ちます。
- 今日で、これまでもやっとしていたことがはっきりした印象があるのですが、環境省のほうでも委員会の目標をきちんとして頂けるとうれしいです。もう一つ、検討会の[3]について、経産省のカーボンフットプリントについて、森口先生がご指摘のように、店頭で売って消費に回るものと、使用で負荷がかかるものと、カーボンフットプリントでも議論があるため、最後に議論を分けたほうがいいというもっともなご指摘だと思います。経産省の議論とこちらの[3]の分科会の連携もうまくやっていただかないと企業も消費者も困ってしまうのではないかとも思います。
○ 山本委員
- 何のためにやるかという目的論の話もありますが、ライフスタイルを変えるということも含めて、エネルギーの使用に関して、あまりエネルギーを使わないような生活をしよう、使ってもCO2が出ない選択をしましょうという方向である気がします。そう考えると、メタンを考えるのかという点について、エネルギー起源のCO2排出が9割を占めるという日本の状況を考えると、主眼はエネルギー削減、つまりCO2削減のための見える化ではないかと思います。
- 次はお願いですが、実際の計算をするにあたってもモニタリングが重要であり、ここにコストがかかり大変になります。データも領収書などであれば比較的精度の高いものも簡単に得られますし、家庭の電気の使用量を測るのもエアコンなど分けて測るのが難しいのであれば、モニタリングをどういう手法でやれば比較的精度がよく簡単に測れる点も重要だろうと考えています。
○ 稲葉委員
- 先ほど、何をやるかについて後ほどと申し上げましたが、表1は家計の中でお金の出る順番について書いてあるということに違和感があります。それを根拠にこれとこれを実施するというのは違和感があります。無理やり理屈を付けるために表示を使っていることに無理があるように思います。どのようなものをやれば、消費者がCO2に気がついてくれるかという観点からやるべきではないでしょうか。
- 別の話では、[2]の外食・惣菜について、メニューにつけてもしょうがないといった話についてですが、私は割合これは好きです。気づきという点については、毎日食べているもの等の嗜好性の強いものについては、商品選択を促すというよりも気づきのところで使うツールだろうと思います。農水の方からのご指摘で、生産者に影響がないとありましたが、メニューの中で食材やクッキングの影響等、食育の側面でメニューを活用したほうがいいと思います。じゃがいもやにんじんなど素材の排出量よりも、生活の中でメニューが活用できると思いますし、それは前半の「どのように家庭の中で気付かせるか」であって、産業連関表の中で何を買ってくるかという事ではない部分ではないでしょうか。
○ 森口委員
- 検討会設置の頃からの全般的な感想・疑問ですが、計算方法や数字を出す側の議論が中心かと思います。稲葉委員は異論があるかもしれませんが、積み上げでも産業連関表は理論的には同じかと思います。誰が計算するか、積み上げであれば事業者がチェックしながら計算する、その代わりコストがかかる。産業連関表は丸めてあるがあらかじめ数字がある。その程度の違いしかないのかと見るべきでその違いをここで議論するのはあまり生産的ではないと思います。
- ここで欠けている議論は、消費者が何を見たいのかで、当事者不在の議論だという印象を常に受けておりました。消費者の顔が見える形で議論する機会もありましたが、実際にどういう情報があれば参考になるのか議論が必要ではないかと感じています。その意味で、議題1と2は分かれていますが、消費者が気づいた結果が何に反映されるのか。自分が先に申し上げた事と反するかもしれませんが、お金の使い方を工夫して、よりCO2がでる使い方からシフトし、光熱費の節約をして別のところにお金を使うというのは意義があります。しかしこれは限度があり、買いたいという必需品はある。であれば必需品製造に伴うCO2排出を減らしてほしいと事業者に消費者が言うような、省エネ製品を作ってほしいと働きかけるツールとしてこういった情報があるのではないでしょうか。消費者が事業者に働きかけられるような接点をもう少し求めていくべきではないかと思っております。そういう意味で、産業連関表に基づいて排出量の大小を見た上で、事業者による削減ポテンシャルがありそうなものを見ていく必要があるのではないかと思っております。
○ 一方井委員
- 第1回目でも申し上ましたように、2050年に向けてライフスタイルを変えていくという場合、見える化だけでそれを実現していくというのはそもそも無理があると思います。現在、炭素税や排出量取引が現実化していくという報道もありますが、このような政策が世の中に導入されるならば、生産者がどうしたら儲かるかを考えるかと思います。そうすると、なるべく生産するときに温室効果ガスが少ないやりかたを選択することになり、消費者も炭素税でガソリンが上がれば使わなくなる。排出量取引で電力にキャップがかかれば電力を削減しようという大枠の構造ができてくるかと思います。したがって、最終的にはこのような複合的な政策が必要だと思いますが、当面は見える化を先行して進め、将来必要な政策が構築されれば見える化も見直すということだろうと思います。
- 二つ目は、消費者はどういう情報をほしいのか考えてみると、どういう事をやるとCO2が出るかについては見える化で分かるが、「どうしたら得か」がいつも分からない。電球型蛍光灯でも数字を示してこれだけ得だとか、ヒートポンプや、自動車の買い替えがハイブリット車なら何年でペイするのか、そういう情報が消費者はほしいのではないでしょうか。見える化の議論からはみ出すかもしれませんが、費用について補足情報があると消費者としてはうれしいかと思います。
○ 安井座長
- いまのライフサイクルコスティングみたいな話もその通りだと思いますが、難しいですね。そういったことをいつも考えています。車は簡単ですが、例えば、自分の冷蔵庫がどういう消費電力か知っていることが最初になります。一方で、冷蔵庫だと段々劣化するため、10年でどれほど劣化するか知らなければならない。テレビもそうですが、その点は非常に難しいかと思います。
○ 君塚環境調和産業推進室長(経産省)
- 省庁連携で見える化をやっておりますが、消費者の混乱がないように連携して進めていきたいと思っています。前回も説明がありましたが、カーボンフットプリントはすべての事業者が最初からできないため、段階を追ってということで(2)があるのかと思います。[3][4]は、カーボンフットプリントのサービスを含んでおります。この部分が消費者・事業者で整理が難しいため明確にすべきかと思っております。この部分でのライフサイクルの見える化については、ある商品ではなくA社、B社の違いで、詳細な計算をして表示するとあります。また、ラベル表示し、事業者を集めて分科会を開催するとなると、カーボンフットプリントの取り組みと区分けが難しいところであり明確にしていきたいということです。
- また、最初からカーボンフットプリントには取り組めないといいましたが、[3][4]のレベル3で計算し第三者認証するならば、そういうことができる企業なら、本当の意味でLCAが取組めるレベルの企業かと思います。カーボンフットプリントの前段階という話がありましたが、[3][4]はカーボンフットプリントに近い話になっているかと思います。前回の話では、差別化よりも産業連関表を用いたおおよその表示かと思っていましたが、このように各企業間の差別化を詳細に行うとなると事業者や消費者に説明や整理を明確にしてほしいと思います。
○ 藤本交通環境・エネルギー対策企画官(国交省)
- この検討会の目的が明確でないかと思います。国土交通省の例えば交通分野では省エネについて努力してきておりました。サービスについては、例えば宅配便について詳細に中味を検討し、それぞれ競争させて削減に向かっていくという事を考えているのかと思います。国土交通省の検討会でもすでに検討しましたが、宅配便は個別の区間はフレキシブルで詳細に地域別、家庭まで詳細に出すのはかなり難しいということでした。それを業者ごとの競争・比較として消費者が使えるものに作り上げるのはかなり難しいかと思います。
- 航空、鉄道についても同じことが言えるかと思います。それを含めて、どこまで詳細にすべきか、何を目的にするのか、例えば交通分野でどれだけCO2を排出しているのか知ってもらうのならいいが、それ以上に排出削減についてこの検討会の目的がそうなっているのか明確にして頂きたいと思います。
- 既に目標達成計画で関係分野は努力しておりますので、更に削減に向かうのかについて明確にしていただきたいと思います。
○ 安井座長
○ 交通環境・エネルギー対策企画官(国交省)
○ 安井座長
- 目的はかなり明確だと思っています。要するにこの委員会は、見える化を手段にして消費者の意識を変える。消費者の意識が変わることで、事業者の意識が同様な方向に向かう。更に消費者側にフィードバックされるというループを作りたいということです。
○ 交通環境・エネルギー対策企画官(国交省)
- 詳細に出すということが、困難であることも考慮いただきたい。また事業者の視点も考えてほしい。事業者も参加も考慮していただきたいという点です。
○ 安井座長
- 検討の過程では考慮することになると思いますが、現状こちらとして消費者側の視点からいってこういう方向に向かいたいといったときに、例えば一部のホテル事業者は冷房が効いたほうがサービスだと思っているところあります。そういうところが一つの大きなところで事業者側の意識が変われば大きな問題ではないということです。
- 一方、消費者側もやはりエネルギーをいっぱい使ったほうが快適な生活なのは間違いないが、それを求めるのが時代に合わないのも事実です。消費者と事業者との共同によって目指すとしか言いようがないので、どこかで独走しているように思われたら心外です。
○ 稲葉委員
- 話題を変えますが、資料5のp.2-3にカーボン・オフセットという言葉がでてきていますが、簡単に書いてあるのが気になっています。具体性がないので、WGを作った時に何を議論したらいいかどういうイメージでしょうかというのが質問の一つ。あと一つ、資料5の図の「※」にもカーボン・オフセットとの関係がありますが、環境家計簿との関係が明確にならないのですがご説明お願いします。
○ 馬場課長補佐
- カーボン・オフセットは、基本的に何でもオフセットしていいというものではなく、まずは見える化し、自己削減し、足りない部分についてオフセットする流れになっています。見える化を行うには、レベル3と書いてありますが、それ相当に自らの排出量を把握した上で削減しオフセットするという流れを考えています。
- 図1については、作り方がまずかったと思っております。環境家計簿を使用してオフセットすることは考えておりません。一番下の、カーボンフットプリントで、見える化した後で、自己削減とカーボン・オフセットとの組み合わせがあるというのでここに分類しましたが、環境家計簿については図を修正したいと思います。
○ 齋藤委員
- 論議を元に戻すようですが、炭酸ガス以外の温室効果ガスについては、見える化という意味では炭酸ガス以外のものも入れるべきだと考えます。
- 農業生産現場は事業者側の提供するサービスだと思いますが、事業者側が炭酸ガス以外のGHGも合わせて表示すべきでしょう。しかし、実際のデータは環境省のガイドラインにある大雑把な原単位を使うしかない。今の状態で一律にカーボンフットプリント式の表示をすると誤解を招くため、難しいかと思います。原則としては示すべきだが現段階では難しいだろうというのが私のコメントです。
- 農業生産では、炭酸ガス以外のGHG削減に取り組む努力をしていますが、それにつながる見える化であればいいですが、現状では難しいだろうと思っています。
○ 安井座長
- テクニカルには難しいのは現状です。米をやめてコンビニにしようという訳にもいかないかと思います。
○ 伊坪委員
- 米や農作物についてはこれ以上言わないようにしたいが、カーボン・オフセットについては気になっていました。私のカーボン・オフセットについての認識としては、植林や自然エネルギーの使用等のカーボン・オフセットへのアプローチがありますが、購入したら、あたかも相殺されるという議論とは違うと思っています。植林をするにしても、間伐についても電力を使用するし、自然エネルギーについてもバイオマス発電であれば、下水汚泥利用やメタン発酵などエネルギーを消費します。そういった考慮をしっかり考えるというメッセージを出すことを含めて削減効果をネットで出すことをガイドラインに含めるのかと想像していましたが、そうなるとテーマとしては重たいものになるのでその方針が聞きたいところです。
- また、これまでの議論の中には、前回の資料でイベントに関わる部分がなくなっていますが、今回は対象にならないのでしょうか。
○ 馬場課長補佐
- カーボン・オフセットを行うための源(クレジット)について、削減効果をネットで出すべきかについては、別途、環境省のVER検討会での議論で進められているのでその場で検討したいと思います。イベントが落ちた理由は、排出量の大きい順に上から数えた結果です。イベントは、資料4の119番の演劇スポーツ観戦にありますが、学園祭は更に細かいため載っていないかと思います。気付きの意味では重要かと思いますので、その後の分科会で議論してほしいと思っています。
○ 安井委員
- 家を建てるというイベントという意味ではないのですね。
○ 伊坪委員
- イベントに関する環境負荷が大きいか小さいかについては、イベントを行う上で投入されるユーティリティ関係と、間接的に利用される物品関係を含めた情報になります。実際は移動も含みます。特に移動は、航空関係が入ると、8割がたイベントでは移動が大きな部分になるため、今回の結果を元にイベントが小さいというのは結論が早いかなと思います。
- また、非常に多くの人数が同じの場に集まり、環境情報を共有することが、イベントの魅力があると思います。教育効果、意識啓発にはCO2排出量を共有するという重要なメリットがあると思っています。
○ 森口委員
- 伊坪委員のおっしゃるイベントと稲葉委員のおっしゃるライフイベントは別のものかと思いますが、今回の資料の作り方は、連関表の費目に基づくものであるため見方の限界があると思います。
- どこで買い物するかという話も、郊外型のショッピングセンターに車でかけていくことの排出が買い物そのものよりも大きいというケースもあるため、時間の使い方という攻め方もあるでしょう。こういう見方もあるということで今日はお示しいただいたと思います。お金と時間の使い方という切り口で考えられるだろうと思います。
○ 安井座長
- 本日は確実に結論がでたということではありませんが、本日は分科会の設置についてご説明頂きたいと思います。議題1の日常生活、議題2の事業者の分科会について資料を説明頂きたいと思います。
【議題3 分科会の設置について】
○ 馬場課長補佐
- 資料6に基づき説明(省略)。
- 年末に排出抑制指針を出すため、見える化についても検討したいため早めに分科会を設置しました。
- 福田ビジョンにある通り、年度内でガイドラインを策定できればとも考えています。
○ 安井座長
- 何か質問がありますでしょうか。ここでは、分科会の設置だけ認めて頂き、委員構成は今日はやらない事になっています。
○ 稲葉委員
- 分科会設置について反対はしませんが、商品・サービスについてはカーボン・オフセットの要素が強いため、オフセット事業者を加えてほしいと思います。
- カーボン・オフセットと見える化の関係ですが、基本的にクレジットは事業者が買ってくるものですよね。見える化は商品の見える化のため、事業者が買ってきたクレジットを商品にどのようにアロケーションしていくのかが心配なことです。それを検討項目に入れてほしいと思います。
○ 伊坪委員
- 算定を一律に行うことを二つの分科会でどこまでやっていくのでしょうか。実施レベルでできるのかということが心配です。普通LCAを実施する際にはひとつの製品を1年かけてやっていくということになりますが、これだけの多品目を自分たちで算定する場合、特にレベル3とところどころ記載があるが、2ヶ月はそれだけであっという間に時間が経ってしまいます。この2ヶ月で実施できるのか心配です。それよりも、サーベイや研究動向や他の省庁がどこまで情報が分かっているかしっかり調べておき、網羅性を持ち、引用等を用いた上で、その上で抜け落ちたものをより重点的に調査するという事をご検討頂ければ分科会がやりやすいかと思います。
○ 安井座長
- 資料6によると、[2]のほうがレベル3とからむが「算定表示方法を検討」とあるので、やるとは書いておりません。
○ 木内地球環境対策室長室長(農水省)
- 分科会の設置について稲葉先生がおっしゃるように、消費者の気づきの観点とありました。見える化については、経産省さんの話もありましたように、各省との連携でかぶりのないようお願いしたいと思います。
○ 安井座長
- 今日はメンバーを決めるつもりはないですが、森口さんが最初の上のほうは主要メンバーになるかと思います。下のほうはLCAメンバーが主流だろうとお考え頂ければ覚悟もできるかと思います。
○ 稲葉委員
- 手続き論として、分科会をやるならば、こういう人にやってもらうという話がこの親検討会であって、10月下旬に次の分科会が動きながら、本会で中間取りまとめとなるのであれば、分科会は座長一任という形をとっては。
○ 安井座長
- 手続論としては、おっしゃるとおりです。最後に申し上げようと思っておりましたが、それぞれの分科会は座長に一任いただきたいということでよろしいでしょうか。
○ 一同
○ 馬場課長補佐
- 次回は追って日程調整させて頂きたいと思います。以上です。
以上