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■議事録一覧■

ペットボトルを始めとした容器包装の
リユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会(第5回)


-議事要旨-

■ 日時:
平成20年7月4日(金)10:00~12:00
■ 場所:
三番町共用会議所 大会議室
■ 出席者:
(委員)安井座長、浅利委員、西川委員、林委員、松永委員、馬奈木委員、森口委員、若森委員、
(環境省)由田廃棄物・リサイクル対策部長、西村リサイクル推進室長 ほか

<中間とりまとめについて>

○ 西村室長から資料1中間取りまとめ案について説明。

<中間取りまとめ案の内容に関するコメント・意見>

(ペットボトルのリターナブルの安全性について)
  • オランダTNOの安全性レポートに関して、当委員会の委員から安全であるとの意見が出たが、国の機関である、食品安全委員会の委員に正式な意見を求めて欲しい。
  • 今回行う実証実験における安全性検査結果の詳細については、国立医薬品食品衛生研究所の専門家に相談するとともに、食品安全委員会に相談・報告することが必要ではないか。
  • 食品衛生については、もう少し厳密な試験が必要であると考えるが、「当面、実証実験を行って、その結果を踏まえて設定を変更した実験を行う」という方針が明記されているので問題ないと考える。

(LCA分析について・LCA分析結果の公共政策への活用について)
  • 中間取りまとめ6ページの「ただし、LCAの測定手法はまだ世界的に統一的なものがなく」と書かれているが、正確には、統一できる部分はISO規格で統一されているが、客観的に比較できない部分が存在するということである。
  • 中間とりまとめ4ページの、寺園・日引論文については、国際学会報告で全文についてレビューを受けたものではないので、あくまで参考例として提示することが望ましい。
  • 中間とりまとめ6ページに「環境負荷を検討するためのLCA手法について検討を進めた上で」と書いてある部分は「環境負荷を検討するためのLCA手法について更に精査した上でLCAを実施する必要がある」と文言を整理することが適切である。
  • LCAデータについては、数字が一人歩きしてしまう危険性がある。今後技術は改善する余地がある中で、LCAは今の条件下についてのみ、結果を出すことができる。現状ではペットボトルのリターナブルは日本には存在しないため、条件を仮定した上で、その条件下での効果を示すことしかできない。
  • LCAはどのようなシナリオを書くかというところはほぼ自由であるため、比較対象を何にするかが非常に重要である。
  • 新たな革新的な3Rの容器のLCAデータが出てきた場合に、それが政策上実現され、政策に反映されていくには相当時間がかかる。しかも、業界としてもその判断をするのに相当時間がかかるのではないか。例えば、今のワンウェイをこういうふうにし、場合によってはリターナブルを何年後に導入し、それから先は革新的な3Rが5年後10年後に入ってくるといったタイムスコープを持たない限り、トータルな環境負荷の低減の積分値が削減されるということにはならないのではないか。
  • 確かに理論的には優れたシステムであっても、それが30年後に入るという話では、状況も変化するので、なかなか難しい。その辺を含めて、例えば現存に近いようなシステムの組み合わせ、それから革新的なものを入れていくというような、時系列を考えたLCAをやった場合には、インパクトがあるのではないか。
  • 2001年当時500mlでのペットボトルの重量は32グラムで、16グラムを切るとペットのワンウェイにリターナブルが負けるというのがその当時の非公式見解であった。LCAは、CO2で評価するか、廃棄物の排出量で評価するかで若干変わってくるが、容器の重さという要素は非常に重要である。
  • 環境負荷の低減は重要であるが、その先にどういう国をつくりたいかというビジョンが必要である。それが最初に反映されるのは政府調達ではないかと思う。
  • 袋のように薄いペットボトルとリターナブルペットボトルのどちらが、環境負荷が低いかといった場合、LCAとしては薄いペットボトルのようが良い結果になる。LCAで比較することの限界があり、長い目で見れば環境に良いライフスタイルにつながっているかとは別の話である。つまり、LCAをもって、どちらが良いかということだけでは、将来的な方向性を定めることはできない。どのような循環型社会を目指したいかという哲学が必要となる。
  • ものを形づくっているフィード・ストック・エネルギーはエネルギー代替が可能であるが、製造プロセス等で使用しているエネルギーは代替が難しいという場合には、ワンウェイの薄いものよりは、リターナブルのほうがより有利になるケースが出てくる。この点についてはLCA手法面の進化の余地があるのではないかと思う。石油が安い時代にはこういう議論は成り立たないが、石油が高くなってくると、そのあたりはもう少し議論を深める余地があるのではないかと思う。

(ドイツ視察の結果について・視察に関するコメント)
  • コカ・コーラ・ヘルテン工場では、1種類のボトルを複数の飲料の充填に利用していたが、コカ・コーラ本社が示している“パッケージング・ポリシ-”では、1つのボトルで多目的な利用はしてはいけないと書かれている。
  • リターナブルペットボトルのシェアについては、2002年と現状を比較すると横ばいであるが、強制デポジットをして一時的にシェアが増加した2003年と比較すると徐々に減少しているので、2003年を基準にした比較を行うべきではないか。
  • ドイツでは国民の議論や消費者の意識は置いておいて、とりあえず強制デポジット制度を導入し、みんなわからないまま、何となくやっているという印象を受けた。結果として、強制デポジットを発動してお金になるので、散乱ごみは少なくなったけれども、意識がついていかず、リターナブル容器の割合が減少しているという印象を受けた。日本で考えた場合には、日本のほうが国民の方にきっちり話をして、消費者を巻き込んでやっていくということが要になってくるのではないかと思う。
  • 日本とドイツでは社会風土が違うと感じた。ドイツではコンビニや自動販売機が無いという点で、日本とは正反対である。ワンウェイ容器は日本の社会では普及しやすい環境にあり、ドイツでは現状そこまでではないが、今後そうなっていくのだと思う。以上を前提にすると、使い捨てに頼ることに対して消費者活動でペットボトルという身近な素材を通して考えていくという意味で、リターナブルペットボトルの推進は意味があるのではないかと感じた。
  • ドイツの工場を見学した際には、食品工場としてのレベルは必ずしも高くないと感じた、日本の品質管理
  • 工場管理で行えばさらにレベルの高いリユースが可能ではないかと感じた。
  • 日本式の方法を日本の社会状況や食品業界のレベルと照らし合わせて、実証実験の中でつくり込むことができれば、可能性があるのではないかと思う。
  • ドイツの場合、ミネラルウォーターなども地域での循環がうまく回っているという印象を受けた。日本でも地域での循環をどう表現していくか、LCAの中にどのように組み込むかを検討できればよいと思う。

(ドイツ強制デポジット制度の導入背景・効果について)
  • ワンウェイに対する強制デポジットはかけたけれども、デポジットの金額が高いだけで、全額返ってくる。また、どこでも容器を返却できる。この場合、リターナブルを促進する効果があまりないように感じるが、ドイツ政府の認識としてはこれで良かったのか教えて欲しい。
  • 強制デポジット実施の背景として、「単一目的でリターナブル容器を促進しようとする政治的意図」というのは、何年の意図か、1991年の意図かなという気もするので、導入の意図と本当にそうだったのかというのはもう一度確認する必要があるのではないか。
  • デポジットがいいかどうかは別として、何らかの店頭回収をしていくような仕組みというのは、社会全体としてのコスト負担は下げられる可能性もあるし、コスト負担の公平性も担保できる可能性があるのではないか。あるいは、リターナブルではないとしても、より質が高くてコストを下げるリサイクルのシステムを構築できる可能性があるのではないかなと思っている。
  • ワンウェイかリターナブルかということだけではなくて、質の高いリユース
  • リサイクルということの設計は十分できると思う。それはドイツの制度の中にも、表には見えていないけれども、実態としてはそれがある程度動いている部分があるのではないかと思うので、ワンウェイ対リターナブル、そこの中でデポジットが有効なのかどうかというところにあまり短絡的にならないほうが良いと考える。

(今後に向けて)
  • 本研究会では、ペットボトルのリターナブルについて、LCA側面での検討、食品衛生
  • 品質確保の問題、経済性や消費者の受容の問題、システムのあり方、の4点について議論がなされたことがポイントであると考える。ただ、具体的な部分についてはまだ煮詰まっておらず、論点整理の段階であると思う。本とりまとめは、NGOや一般国民の関心が高いものであるため、論点整理を越えて、次に何をやっていくのかという部分がみえてくると良いと思う。
  • 研究会での議論を踏まえて実証実験でどのようなことが明らかにされると良いという部分が明確に示されると良い。
  • 環境負荷を低減していくためには、ワンウェイの中でもいろいろな方策があり、より質のいいリサイクルという方策もある。その中で、リターナブルというのは一つの環境負荷を低減する方向としては、ある程度の有用性が認められているが、まだまだ論点があるので、今後我が国で日本式のリターナブルを導入していく上で実証実験と論点整理をしていく必要がある、との表現が必要ではないか。
  • 中間とりまとめについては、わかりやすい概要版を用意すると良い。
  • 論点について、実証実験やその後の議論でどのように進めていくかについて、ある程度わかる内容であることが必要である。
  • 中間とりまとめ(案)は会議の議論が結構的確に反映されていると理解しているので、多少の修正は必要だが、大枠はこれでよいと考える。

(ペットボトルリユース実証実験について)
  • 別紙2についてはわかりにくい面があるので、フローとして示すのが良いのではないか。

(軽量容器について)
  • 近年は、充填ラインの後ろで容器の製造を行い、無菌状態で常温充填を行う技術が開発されている。無菌状態で常温充填を行うことで、容器に耐熱性を要さなくなり、容器の軽量が可能となる。

<その他>

○ 実証実験については、早急に準備を進め、この秋に行う予定である。

(以上)