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■議事録一覧■

持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン検討会(第5回)
議事要旨


1.日時

平成19年1月23日(水)10:00~12:30

2.場所

経済産業省別館 会議室

3.出席者
(委員)
廣野座長、安井座長代理、鮎川委員、鵜野委員、神保委員、竹内委員、棚田委員、谷委員、玉委員、堤委員、俣野委員、宮城委員
(参考人)
佐藤真久氏(武蔵工業大学)
(環境省)
石野大臣官房審議官、後藤総務課長、出江総合環境政策局環境教育推進室長他
検討会は公開で行われた。
安井委員から資料1「途上国発展のための環境人材育成」、鮎川委員から資料2「持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン検討会」、佐藤参考人から資料3「アジア太平洋地域の高等教育段階における環境教育の実施傾向と環境人材育成にむけた提案―高等教育の開放化と環境教育」、国連大学高等教育研究所(名執オブザーバー)から「アジア太平洋地域における大学院レベルの持続可能な開発に関する教育と研究を推進するためのネットワーク作り」に基づいて発表があった。また、事務局から資料5「これまでの調査結果について」、資料6「アジアにおける環境人材についての論点」、資料7「持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン」を説明した。
主に、以下のような議論があった。
  • 途上国の環境人材育成にあたっては、各国内の大学やアジア工科大学、国連大学などがさらに取り組みを強化することが重要である。また、NPOとの連携や途上国側の政策転換・意識改革なども効果的な人材育成を進める上で有用である。
  • 人材育成の実効性を高めるためには育成する人材対象を絞り込むことが有効であると思われる。一方で情報通信機器の利用や制度作りなどを通じて、人材育成の経費を抑えつつも育成した人材の数を拡大することが可能となる。
  • 環境保全・持続可能な開発の促進に向け、国際的にNGOが有意義な政策監視・提言や事業活動を展開してきている。日本の場合は、社会的・文化的背景からNGOの社会的認知度、人材、社会的連携などの面での制約があるため、十分な活躍を果たすことができていない。
  • アジアにおいては、アジアの社会・文化的背景に根ざしたNGOの育成・活動を推進することが重要である。また環境NGOと大学生の育成を同時に進めていくには、環境NGOにおいて学生がインターン活動を実施するための支援を制度化することが有用である。
  • 国際的な局面で、アジアのNGOのコミュニケーション・交渉・折衝能力が欧米の団体と比べて制約があることから、国際舞台でアジアの視点を発信し、国際的合意や連携に反映させていけるような組織的能力・人材育成を視野に入れていくべきである。
  • アジアにおいて、環境教育は段階を経て発展してきており、自然科学・社会科学分野、学部・大学院レベル、専門家や教員養成など多面的に拡充されてきた。今後は大学教育を開放し、生涯学習や社会人教育、さらには地域社会との連携などを通じ、教育機会の拡大を進めていくべきである。
  • 大学・NPOが連携して環境教育分野での教材を開発することは効果的である。また日本やアジアでの教材開発の先進事例を発展させさらなる展開を試みるべきである。
  • 大学の縦割り・硬直化、大学の限られた連携を変革していくことが、効果的な環境教育を行っていく上で重要である。アジアの途上国を含め海外においては、いくつかの大学が地域社会を舞台にした教育、国際的大学連携、情報通信の活用など先進的な取組みを進めており、それらをさらに発展させていくことが重要である。
  • 欧米ではトップダウンによって環境センターの設置などが行われ、うまく機能しているが、その背景にはトップダウンで行われた決定を遂行できる人材がすでに育っているということがある。日本やアジアでは、そもそも指導する側の人材が限られているという現状に留意すべき。
  • 環境人材を考える上で、ひとつの考え方として、社会変革型、環境専門家、環境配慮型の人材を視野に入れた環境人材育成のための施策を検討することが有用ではないか。またアジアの途上国においては、貧困問題などといった幅広い視点で持続可能性を捉えられる資質を備えた人材を育成することが重要ではないか。
  • 所在国が異なる複数大学での履修を義務化するためには、日本の大学の仕組みとの整合性や調整を図ることが必要で、また資金的負担の面での課題を解決することが求められる。また複数大学が同時に学位を出すようなダブル学位などの案についても、制約が存在する。一つの対応のあり方としては、大学間で何らかのサービスを交換しあうような仕組みを導入することなどが考えられるが、その具体化についてはさらなる議論が必要である。
  • 大学教員が現場で実践研究を数年行い、また大学に戻るといったような大学教員の人事をより柔軟に運用していくには、大学が単体で人事を完結するのではなくて、大学で何らかの連合を構成し、その中で教員人材の移動・管理を進めていくことが必要ではないか。
  • 環境教育の実践の度合いを評価し、それらを大学の認証・評価などにつなげていくことは、大学のプログラム・制度改革を促す要因になるのではないか。また大学の評価にあたっては、NPOや地域社会との連携を評価項目の要素に含めてはどうか。
  • 環境教育においては現場での体験は特に重要で、フィールドワークや現場での実践学習の重要性が再認識されるべきである。フィールドワークの効果的な実施に向け、手法や体制作りを検討することが必要である。
  • アクションリサーチといった教育手法、大学教員へのインセンティブといった配慮措置、高等教育就学率といったアジア諸国の属性についての考察などを、人材育成ビジョンの中で盛り込んでいくべき。
  • それぞれの部門、業種が求める環境人材の育成を阻害している要因、もしくはそうした阻害要因を克服するための施策・取組み案を提示することは有用ではないか。
  • 分野横断型で活躍できる人材や素養を図表として提示することが有用と考えられる。
第6回検討会は2月28日午前10時より、また第7回は3月12日午後に開催することとし、詳細は追って案内されることなった。また、関連調査事業で行われる人材育成プログラムのコンテンツ・コンソーシアムに関するワークショップの開催予定についても案内がなされた。

(照会先)
環境省総合環境政策局環境教育推進室 03-5521-8231