本文へジャンプ

■議事録一覧■

中央環境審議会
21世紀環境立国戦略特別部会(第8回)


平成19年5月10日
環境省大臣官房政策評価広報課
<議事次第>

  1. 開会
  2. 議事
    (1)
    有識者からのヒアリング
    (2)
    「21世紀環境立国戦略」について
    (3)
    その他
  3. 閉会

午後3時03分開会

○柴垣大臣官房政策評価広報課長 それでは定刻を過ぎておりますので、ただいまから中央環境審議会「21世紀環境立国戦略特別部会」の第8回を開会させていただきます。委員の先生方におかれましては、本日もお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は委員総数26名のうち、16名の委員のご出席との連絡をいただいております。遅れておられる方もおられますが、間もなく到着されるということだと思います。
それでは、まずお手元の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の下に配付資料の一覧がございまして、資料が1から3まで、それから参考資料が5種類ございます。まず参考資料の2で、この間4月30日まで1カ月間、21世紀環境立国戦略に関する、広く国民の皆様からのご意見の募集をさせていただきまして、130件のご意見をいただいております。あらかじめ委員の先生方にはお送りさせていただきましたけれども、お手元に参考資料2として分厚い束でございますが、配付させていただいておりますので、またこれらも踏まえまして、ご意見をいただければというふうに思います。
  それから、今回議事録の確認が2回分ございます。参考資料3-1が第6回、参考資料3-2が第7回ということでございまして、またこれはこの後委員の先生方から内容の確認をいただきまして確認がとれ次第、ホームページの方に公表していきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。5月17日までにそれぞれの議事録の中身について何かありましたら、事務局の方にお出しいただければというふうに思います。それから本日、杉山委員、それから欠席ではありますが、関澤委員から意見書をいただいておりまして、席上に配付しております。また枝廣委員からは資料をいただいておりまして、それも席上に置かせていただきました。よろしくお願いいたします。もし資料の不足などございましたら、事務局の方にお申しつけください。
  それでは、これ以降の会議の進行を鈴木部会長の方にお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。今日は大変温暖化の影響を受けておりますので、どうぞコートなどお取りになって、もうそろそろ内閣の方もクールビズなどスタートしていただくとよろしいのかなと思いますが、本日は前回に引き続きまして、審議とあわせましてヒアリングを実施させていただくということで、お二人の方においでいただいております。藤井良弘上智大学大学院地球環境学研究科教授、及び中貝宗治兵庫県豊岡市長にお越しいただいております。今回もそれぞれ時間が短くて恐縮ですが、10分程度でご説明いただきまして、あと10分程度質疑応答の時間を設けたいと思っております。
  それでは早速ですが、藤井良弘先生の方からご説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしく。

○藤井上智大学大学院教授 ただいまご紹介いただきました上智大学の藤井です。よろしくお願いいたします。座ってやらせていただきます。
  10分ということですので、非常に簡単にしかできないんですけれども、私、環境金融ということを大学でやっておりまして、金融の機能を環境に使おうと、1,500兆の国民金融資産がある中で、これを環境等にも活用できるんではないかということなんですけれども、まず最初にややセンセーショナルというか、ジャーナリスティックに3つ挙げたんですが、今何が起きているかということで、3つのポイントを挙げました。「環境M&A」なんていう言葉はないんですけれども、勝手に書いたわけですが、まさにM&Aの世界でも環境というのが実は大きな要素になってきていると。
  それから「ESG」というのは、昨年からUNEP・FIがレスポンシブル・プリンシプル・フォー・インベスメントですか、責任投資原則というのを発表しまして、年金基金等が投資に際してEは環境、Sは社会性、Gはガバナンスに配慮した投資をしますという宣言をしたわけです。こういう動きがグローバルに起きていると。それからもう一つは、国際標準という形で、環境債務というものが企業のミクロのバランスシートの表示の中で求められてきていると、こういう大きな3つに絞って、今日はお話ししたいと思います。
  最初に、この「環境M&A」というのは2月6日、ご存じの方もいらっしゃると思うんですけれども、アメリカのKKRという、レバレッジド・バイアウトの投資ファンドですけれども、買収先の企業の資産を担保にして、資金を調達して買収するというLBOですね。日本でも、最近テレビでもハゲタカファンドなんてやっていますが、これはハゲタカを上回るバーバリアンと言われる激しい、企業にとってみれば自分の資産が豊かであればあるほど、たくさんお金を借りて買われてしまうということで、そういうファンドが有名なKKR、Kohlberg Kravis Robertsという、まさにこのLBOの創始者、彼らがテキサスの電力会社TXU、アメリカほぼ最大級の電力会社、ここを450億ドル、5兆4,000億ですからすごい金額で、最大級のLBOを実施したと。この要素が実は環境なんですね。TXUは昨年来、昨年原油高の影響を緩和するために、石炭火力の発電所を11新たに建設するという発表をしたんですけども、これに対してアメリカの環境NGOに激しく批判をしてきたわけですが、KKRはこの11の石炭火力のうち8つを閉めて、あとは代替エネルギー等で使ったり、ガス化をしたり、そのような形で、要するに環境NGOの主張に沿った形で資産を、環境配慮を強めるということで買収を成功させたわけです。
  これに対してこのパートナー、KKRのパートナーも、これはKKRプラス他のプライベート・エクイティ・ファンド、あるいはゴールマンサックス等の、オールステートの主要な投資銀行も関与しているわけですけれども、このHenry Kravisが書いているわけですけれども、要するに資産のロングタイムのアセットの価値を高めていくということが目的であるということを言っているわけですね。その下のFred Kruppという人はNGOの方ですけれども、最大のバイアウトが環境を、climate changeを解決するために踏み出したという、歓迎の意をあらわしているわけです。
  この一方で金融機関でも、これは1つの例でしかありませんが、Bank of Americaの場合に、この春にアナウンスした例ですけれども、今後10年間に200億ドルを環境に投融資していくということを言っておる。実際にアメリカの主要大手の金融機関は、大体年間1,000億円規模の投融資をしていると。KKRも環境フレンドリーになったかというと、そういう意味では実はなくて、なぜ環境、要するに温暖化に逆行する石炭火力、しかしこれはコストが安いわけですから、収益には短期的にはプラスなんですが、これをなぜ廃棄したかというと、もうアメリカの大統領選挙をにらんで、共和党が勝つにしろ、共和党が大統領になるにしろ、民主党になるにしろ、温暖化規制はもう避けられないと。避けられないときに、先んじて石炭火力の発電所を持つということ自体がコストであると。長期的に見ればロングタームのコストであるという判断で、早目にエネルギー、発電の一種のポートフォリオを組みかえたということなんです。
  もう一つ、グローバル資金の「ESGシフト」というのは、日本でもSRIファンドとかというのがあるわけですけれども、今、大体日本の場合30数ファンドで、時価で3,500億円ぐらいですけれども、環境なり社会性にいい企業に投資しましょうということで、欧米でもあるわけですが、それだけではなくて、普通の投資そのものに環境社会ガバナンスの評価を入れなければいけないんではないかと。企業そのものの長期的な価値に、特に温暖化対策等を十分とっていない企業というのは、短期的に株価が高くても維持できないんじゃないかということで、特に年金基金、世界のお金の大きな流れを押さえてる年金基金、ESGを投資ファンドに組み込むという作業を昨年の4月以降、これは国連主導でやりまして、書いておりますように世界の161機関、日本は9機関、年金基金、日本の場合はキッコーマンさんだけで、今のところ日本の他の機関は、資産運用会社が中心なんですけれども、運用資産全体でいくと8兆ドル規模になると。まだこれが全部が、もちろんESG配慮になったわけではなくて、徐々になっていくということだと思うんですけども。例えばカナダの年金基金、ESG配慮の投資というのは、この2年で6倍か7倍になっています。こういったことを反映して動いているということです。
  3つ目が環境債務、Environmental Liabilityと呼んでおるわけですが、企業が今汚染をしているとか環境対策しなきゃいけない場合は、当然対策をとるわけですけれども、将来に、今は汚染は表面化していないけれども、例えばこのビルはどうでしょうか、アスベストがもしどこかにあるとすると、被覆しておればもちろん大丈夫なんですが、いずれ建てかえるというときに、アスベスト対策をやらなきゃいけない。そういうコストは、実は現在のこの資産価値に反映しないわけです。
これはアスベストだけじゃなくて土壌汚染とか、いろいろ将来取り除かなきゃいけない環境の負担、幅広く考えますと温暖化対策などもそうだと思うんです。将来の温暖化対策の備えがあるかどうか。これが現在の企業の価値、バランスシートに反映しているのかどうかということが問われてきていまして、これが今会計の世界で国際標準化が進んでおります。日本も事務的な作業だけで言えば、年内にも導入すると。導入するといっても実施するということではなくて、会計基準、日本の会計士協会さんの方ではそういう作業手順を進めておられまして、早ければ今月中にも論点整理を出されて、秋には基準案、年内に実施というか、年内に案が成立すると。猶予期間が多分設けられるでしょうから、実施は先になるんでしょうけれども、そのようにこれはグローバルな基準なので、日本だけ例外というのはなかなか難しいということです。
  ちょっと時間がないので駆け足で恐縮ですが、次はどういうものがそういう環境債務として、環境債務を幅広くとらえた場合の資産除去債務というものなんですが、この辺は後で読んでいただければと思うんですが、これも経緯ですので、その次お願いいたします。
  簡単に環境評価をするというのは難しいわけです。今ここは、どこにアスベストがあるかわかりませんし、ないのかもしれませんけれども、本当にあるのかどうかという十分な情報と、それが本当に推計できるのかどうか、そういうことで定量化をしていってバランスシートに載っけましょうと。できない場合は、こういう理由でできないということを書くということがグローバルスタンダードとなります。
  これが日本の企業会計委員会のスケジュールです。環境立国を日本が目指していくという中で、今、挙げましたこういう企業社会におけるM&Aの中に環境というものが取り込まれていく。まさに今月から三角合併が解禁され、KKRのKravisさんも先日日本に来ておりました。どこかねらっているのかもしれませんが。やはりここでは、環境立国を進めていく上においても、金融市場、これを強化していくということが同時に必要になってくると思うんです。金融庁さんも、国際金融市場としての東京の再強化ということを掲げておられます。そういう、さらに日本には先ほども言いましたが、1,500兆の個人金融資産があると。このお金が環境にいい方向に流れるかどうか。そして、それが結果的に経済的リターンも高める方向で展開されるかどうか。こういう視点からすると、例えば太陽光発電とか代替エネルギーの補助金制度、こういったものもそのお金を活性化させるシードマネーとして、ぜひもう一度見直していただければいいんじゃないかと思うんですが。
  それから最後ですが、環境債務を挙げました。環境資産というのも一方で当然あるわけです。債務があれば資産もある。ここで挙げたいのは、要するに早目にCapitalized Environmental Costsというのは、環境の負荷を削減するために早目に対応をとる、そういったコストというのは、早期対応コストというのは実は長い目で見れば企業にとってプラスの効果をあらわす。それからRight of Recoveryと書いていますが、これは保険ですね。将来のそういう負担を軽減するための保険というものをもっと活用できる。Emission Credits、これはもう本当に資産です。CDM等を企業が調達していくということで、これは将来売れたりするわけですから。それから、Intangible Environmental Assets、これはまさに環境にフレンドリーな企業であるというブランド力、こういったものがまさに日本の環境立国を支えている、日本の企業の要素になってくると思うんです。
  最後にもう一つつけ加えて言いますと、環境立国を進めていくには、私のこれは全く個人的な意見ですが、まさにグローバルな問題の中で日本が目指していくのはアジアという視点です。これは欠かせないと思います。温暖化の排出量でいっても、中国、インドが今後世界の1、2位を争うほどの存在感になってくる。これをどう日本がアジアの中で対応していくか。東アジアという領域に絞り込んでも、中国の環境問題にどう対応していくか、日本の技術経験を生かしていくか。それから、やっぱり環境というのは政治的な摩擦を越えていくわけですね。ですから、ここで環境でのつながりができていくということは、ここに書きましたが、市場をつないで、国をつなぎ、企業をつないで、人をつなぐと。そういう形でプラス効果を広げていくのではないかなと、そのように思います。
  あとは、またお読みいただければと思います。駆け足ですが、以上で報告を終わらせていただきます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。ただいまの藤井先生のお話に関しまして何かご質問、あるいはご意見ございましたらお願いしたいと思いますが。では須藤委員。

○須藤委員 どうも貴重なお話を伺わせていただきまして、ありがとうございました。グローバル資金のESGの中に日本が9機関あるというのは理解できたんですが、金融が環境に投資をするという傾向は日本にももう既にあらわれているんでしょうかというのが1点目です。
  それから2番目は、環境債務とか環境資産という考え方、大変すばらしいと思うんですが、こういう考え方ももう既に日本では芽生えているんでしょうか。この辺の2つについてお教えください。

○藤井上智大学大学院教授 ありがとうございます。日本への投資ということは、もちろん先ほども申しましたように、SRIファンドが30幾つありますし、それからこのUNEPのESG原則に署名した金融機関もあるわけですけれども、欧米に比べますと非常にまだ少ないというのが実態ですね。メガバンクも幾つか投融資をやっておられますけれども、まだまだ規模から比べると非常に小さいということが現実だと思います。ところが、欧米の金融機関は先ほどご紹介したような形で、そういう買収資金に対しては金融機関がファイナンスしているわけですし、かなりの金融再生はなったとは思うんですけれども、不良債権処理は進んだけれども、新たなマーケットに投資していくという意味で言えば、まだリスクはとれない環境下にあると思います。
  それから環境債務、環境資産等については、環境債務の考え方は特にそのベースとなるAROという考え方は、日本ではほとんどこれまでとられてきていません。日本の会計にはない考え方です。ですから、理屈的にはそうだねと納得される方も結構いらっしゃるんじゃないかと思うんですが、これを会計の中で実務で置きかえていくには、なかなか実務化も新しい分野なので。しかし、これはもうグローバルスタンダードなんですね。国際会計基準のルール化のドラフトにも乗っかっていますし、そういう流れに沿って今作業をしています。ですから、日本企業の中でも、アメリカで上場している企業は、既に大手のところは幾つか計上しています。ですから、避けるわけにはいかない。同時に、これは各国の法制度にも影響してきます。どういうものを開示するかというのは法的義務づけがあるもの、あるいは条例、あるいは契約というものに、要するに拘束力のあるものですね。何でもかんでも書けというわけではないわけですから。そうしますと、日本の法律の方にも影響してくる。そういう影響力は非常に大きいと思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。いかがでしょうか。じゃあ、ちょっと私の方でお伺いしたいんですが、日本の企業を経営しておられる方々の中でも非常に意識の高い企業の方もおられると同時に、非常にある意味では消極的といいますか、やはり短期的な経営に徹しておられるところがある。これは一体どういうことがきっかけで、これからそういう意味でのグローバル化にきちんと対応していくようになるのか。例えばM&Aや、あるいは三角合併なんかが進むことによって、企業の存立性が危うくなるようなことを待たなきゃいけないのか。あるいは将来的な環境コストですね。これがきちんと何らかの形で定量的に評価できて、それを自分たちとして認識していくようなステップがどこかであり得るのか。あるいは消費者といいますか、一般国民の側の意識を何らかの形で高めていくというような、いろんなトリガーになるようなものがあると思うんですが、日本の場合、一体これから何を一番考えていったらよろしいんでしょうか。

○藤井上智大学大学院教授 難しい質問ですけれども、M&Aの世界は、仮に日本の法制度等で規制が緩くても、投資家は例えばアメリカ人であったりしますから、もともと土壌汚染対策法が成立した背景の1つにも、そういうルール化が日本でなくても投資家の方が要求すると。アメリカの投資家は、ハゲタカと言われるところもちゃんと買う資産の中身をチェックするというのが彼らのリスクマネジメントなんですね。だから、そういう1つの流れの中に巻き込まれているのは事実です。
  それと、日本の企業の中でもグローバル企業は、先ほども申しましたようにアメリカ市場がそういう形になっていますし、それから今年のダボスの会議、1月の会議で出されたサスティナブル・カンパニーの100社の中には日本企業が13社ほど入っていますね。ですから、先行しているところはもう引けを取らないぐらい世界の一線となっている。しかし、それが国内全体に行き渡っているかというと、確かにそこまで行っていないということなんです。
ですから、やっぱりリーダーになっている企業が、もう少し全体を引っ張っていくという視点が要ると思うんです。アメリカの場合、今USCAPという団体ができていまして、アメリカの主要な企業とNGOがタイアップして、アメリカで温暖化対策の法律をつくれと、企業がキャンペーンしているわけです。それは何も自分たちの利益だけではなくて、その国の社会全体のために連邦が動きが悪いという場合に、納税者でもあり市場のプレイヤーでもある企業がNGOとタイアップして、国の規制をつくってくれという要求をしている。そういうリーダーシップが、日本の先進的な経営をやっている企業にもぜひ期待したいと思います。
  経団連が2004年に環境立国の提言をされているわけです。これは中身は3つのポイントがあるんですけれども、ご議論されたと思うんですが、基本的に自主的となっているんです。自主性は大事です、民間企業ですから。ただし、その枠組みがいつまでもできない中で、実際待つだけでグローバルな競争から遅れていくと思うんです。そういう意味のリーダーシップをぜひ日本のグローバル企業、先端の営業利益だけで2兆円上げる企業があるわけですから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

○鈴木部会長 いかがでしょう、よろしいでしょうか。じゃあ田中委員。

○田中委員 環境債務についてちょっとイメージしたんですけれども、廃PCBなんかが適切に処理できないということで、保管が長くされていますね。あるいは電力会社なんかが原子力で、放射性廃棄物なんかが最後まで処分されないで保管されていると。こういうのがいずれ、最後まで適切に処理するためには相当のお金が要ると、そういうものがここでは環境債務と、こういうふうに考えていいんでしょうか。それを開示することによって、会社にとってはどういうふうに有利になって、そのためにどういうふうに変わっていくのかという、その辺をちょっと教えていただければと思います。

○藤井上智大学大学院教授 アメリカでもこの議論が出た最初は原発の解体処理ですね。これをバランスシートでどうあらわすのかということだったわけです。今、言われました放射性廃棄物を含めてです。日本の場合はもうご存じのように、電力の場合は引当金で積んでやっておられるわけですけれども、従来こういう将来起き得るものについては、引当金で備えをとっていくというのが日本の会計だと思うんですが。引当金方式ですと、一応もちろん当然推計するわけですけれども、現時点での全体の現在価値に落とし換えた将来費用というものがつかめないわけですね。
  ですから、原発もそうですし、有害化学物質もそうですけれども、土壌汚染もそうですけれども、現在の推計値としてどれぐらいのものがあるのかと、まず全体像を出してそれをバランスシートに載っけます。そして、それを償却していくというプロセスが要るわけですね。ですから、企業にとってみればバランスシート上は資産も同額膨らみますから影響はないわけですけれども、PL上は償却していきますから営業収益には影響してくると。しかし、投資家からすればバランスシートで、この企業が自主的に見た将来の債務が見えるわけです。
ですから、それが正しいかどうかというのは、推計値の場合は当然揺れてくるわけですけれども、引当金だけではなくて全体が見えるということはプラスになると。それで、しかも企業はバランスシートに開示するということは、日本でもJ-SOX法の議論をしていますけれども、内部統制だけではなくて、内部統制は企業価値を開示するために適切なプロセスを経るというものですから、その開示する企業価値そのものが将来価値も当然入ってくるでしょうということなんですね。ですから、日本企業もそこは引当金方式でやるという、そういう主張をやってもいいんですけれども、すごくアップ・トゥ・デートにならないと思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。では続きまして兵庫県豊岡市長中貝宗治市長、よろしくお願いいたします。

○中貝豊岡市長 お手元の資料で、では説明をさせていただきます。
  2ページからごらんをいただきたいと思いますが、コウノトリの写真があります。コウノトリは羽を広げると2メートルもある白い大きな鳥です。かつては、日本中至るところに見られる鳥でした。しかし、明治期の鉄砲による乱獲、第二次世界大戦中の松林の伐採、そして戦後の環境破壊で絶滅をしました。最後にとどめを刺したのがこれです。農薬。1971年、野生で日本最後の1羽が豊岡で死んで、コウノトリは日本の空から消えました。その絶滅に先立ってコウノトリの保護活動が起きて、1965年人工飼育が始まりました。しかし、以来24年間、来る年も来る年も1羽のヒナもかえりませんでした。絶望もありました、批判もありました。コウノトリは増えていくという確信をだれも持たないまま、いわば暗闇の中を黙々と人工飼育が続けられていきます。
  転機は1985年に起きます。ロシア、ハバロフスクから6羽の幼い鳥が送られてきて、当時兵庫県から飼育を委託されていた豊岡市の職員が大切に育ててカップルができて、25年目の春、1989年待望のヒナが誕生いたします。そして、18年連続でヒナがかえって、今121羽のコウノトリが豊岡に暮らしています。そのうちの13羽が自由に空を飛んでいます。野生での絶滅から36年、人工飼育の開始から42年、豊岡で保護活動が明確な形をとって52年になります。長い時間と膨大なエネルギー、たくさんのお金が必要でした。これからも恐らくそうだろうと思います。
  では、なぜそれほどまでにして私たちのまちがコウノトリの野生化なのか。ねらいが3つあります。1つは、人間とコウノトリとの約束を守ろうということです。42年前、飛んでる鳥をつかまえて鳥かごに入れました。安全なえさを与えて増えたら、いつか空に返そうということを人間は誓いました。いわばコウノトリと約束をした。2つ目は、野生生物の保護に関して世界的な貢献をしようというものです。3つ目、今度は観点を変えてコウノトリも住める環境とはどういう環境なのかということに関わります。コウノトリは完全肉食の大型の鳥です。あんな鳥でももしまた野生で暮らすことができるようになったとすると、そこには膨大な量の、そしてたくさんの種類の生き物がいるはずです。そのような豊かな自然は、人間にとってこそすばらしいのではないのかと。
  もう一つあります。どんなに自然が豊かになってえさが豊富になっても、飛んできた鳥に石を投げたり鉄砲を撃つ文化のところには、コウノトリは暮らすことはできません。あんな鳥も近くにいてもいいよねという大らかな文化も不可欠です。そこで、コウノトリの野生化をシンボルにしながら、コウノトリも住めるような豊かな環境、自然環境と文化環境をつくろうというのが3つ目の、最大のねらいです。さまざまな取り組みが行われてきました。1999年に兵庫県は豊岡市内に165ヘクタール、50万坪の用地を求めて県立コウノトリの郷公園をつくりました。そこに県立大学の研究所を置いて、野生化の実践と研究が進められています。公園の一角に豊岡市のコウノトリ文化館があります。こんなふうにすぐ間近でコウノトリをごらんいただけます。ビオトープ水田、休耕田に水を張って草の管理をしてやりますと、生き物が湧いてきます。コウノトリのえさ場にもなります。こういったビオトープ水田が現在市内に17ヘクタールあります。
  冬に水を張って、6月に中干しといって水を抜くんですが、それを延期するような農法をやりますと、カエルを初めとしてたくさんの生き物を増やすことができます。こういった水田農法が豊岡市内で39ヘクタールあります。水田魚道です。水はけをよくするために、水田と水路とのこの段差ができてしまいました。生き物の循環が断ち切られました。そこで、土地改良事務所の人たちが水田魚道をつくってみました。役に立っているのか。これは中干しのときに、水田魚道を伝わって逃げてきたドジョウを一網打尽にした写真です。ドジョウ以外にも、さまざまな生き物がこの水田魚道を使っています。現在市内に93カ所、このような水田魚道が設置されています。
  そして2005年9月24日、歴史的瞬間が訪れます。最初の1羽が空を飛んだ瞬間に、「やった」という大きな声がしました。それは私の声でありました。台風23号を受けて円山川の河川改修も進んでいます。河川敷を浅く掘ってやると湿地になりまして、見事にコウノトリは舞い降りるようになっています。
これは土地改良の工事の順番を待っている間、休耕されていた田んぼです。そこにミズアオイが咲き乱れるようになって、一昨年毎日野生のコウノトリがやってくるようになりました。そこで豊岡市が約4ヘクタールの用地を取得して、土地改良事業として湿地として維持することにいたしました。これは堤外水田です。約15ヘクタールありますが、国土交通省が買収して湿地にするということを先ごろ発表をいたしました。これは1960年の写真です。朝、子供たちが田んぼ道を学校に行く。あたかも行っていらっしゃいと言わんばかりに2羽のコウノトリが見送っています。1960年の写真です。2006年、昨年の写真です。またあの光景が戻ってきました。
  そして、コウノトリの自然放鳥が始まった今、私たちが次に開こうとしている扉は環境経済戦略です。環境をよくする行動によって経済が活性化をする、そのことが誘因になって環境行動がさらに広がっていく関係を私たちは環境経済と名づけました。ねらいが3つあります。1つは、環境行動自体の持続可能性を確保するということです。2つ目は、私たちの経済的自立をこの分野では支えていこうというものです。3つ目は誇りです。豊岡だけのことではありません。日本がもし環境をよくすることによって経済が活性化をしている、そういう国になったとしたら、私たちは世界に対して自分の国を誇ることができるだろうと、そう思います。具体例です。豊岡に太陽電池の会社があります。ドイツで圧倒的に売れています。世界中の人々が地球温暖化対策に貢献しようとして、太陽電池を買えば買うほど、この企業はもうかります。税収も増えます。環境と経済は矛盾をしない。農業はもちろん大切です。コウノトリは最後に農薬によってとどめを刺されました。しかし、だからといって農薬はけしからんというだけでは単なる自己満足に過ぎません。
私たちは2つのことを考え、実施してきました。1つは無農薬、あるいは減農薬の技術体系を提示すること。もう一つは、生産と消費を適正に結びつける仕組みをつくること。まず技術体系ですが、コウノトリ育む農法という、これは水田ですけれども、技術体系が豊岡では確立をされています。この農法の作付面積の変化です。平成17年度、18年度、19年度、猛烈な勢いで増えています。生産と消費を結びつける方では認証制度をつくりました。一定の安全な農法に従っていることを県、あるいは市が認証した場合には、「ひょうご安心ブランド」あるいは「コウノトリの舞」というシールも張ってもいい、こういった制度をつくりました。この結果、約2割から10割、慣行農法のものよりも高く売られています。その作付面積の推移です。こちらは野菜も入っています。16年度、17年度、18年度。豊岡の全耕作面積の15%は既に環境創造型農業になっています。
コウノトリのお酒もできました。本当に嬉しそうな人が写っております。これは豊岡を空から見たところです。一昨年コウノトリの放鳥がなされたその場所で、環境創造型農業が広がりました。昨年も放鳥がなされました。その周辺でも環境創造型の農業は広がりました。今年2カ所で放鳥が予定されておりますが、その周辺でも既に環境創造型農業が広がっています。やがて、さらに広がっていくものと期待をしています。かつてコウノトリは農業によって絶滅に追いやられました。ところが、今そのコウノトリが農業を押し返しています。しかも農業を変えながら、農業を再生させながら変えていっているのが今の豊岡の状況です。コウノトリツーリズムも盛んになってきました。JTBがコウノトリを見て、城崎温泉に泊まって、コウノトリのお米を食べて、メーンディッシュが但馬牛というツアーを出しました。大変好評を博しています。コウノトリ文化館への入館者数の推移です。平成17年度24万人、平成18年度48万8,000人、手ぶらで帰してなるものか、今、虎視眈々とねらっているところです。
さまざまな取り組みによって田んぼの中に生き物が帰ってきました。カエルやナマズやドジョウやフナも帰ってきました。コハクチョウもやってくるようになりました。コウノトリも帰ってきました。しかし、田んぼの風景に戻ってきたものの中で、私たちが最も誇りに思うのはこれです。子供たちです。
最後にこの写真をごらんください。カンボジアの写真でもベトナムの写真でもありません。1960年、豊岡市内で撮られた写真です。農家の女性、95歳で今もご健在です。7頭の但馬牛、12羽のコウノトリ、この距離で暮らしていました。12年前に私たちはこの写真を使って大きなポスターをつくりました。35年前、みんなで暮らしていたという言葉を添えました。このポスターをつくったときにあのおばあちゃん、あそこのおばあちゃんらしいでということになって、市の職員と新聞記者がインタビューに行きました。ところが、この女性は後ろ姿、しかも35年も前の写真、自分かどうかわからない。しかし、この左の牛はうちの牛だ。仲よく暮らしていた時代がありました。そして、この女性はコウノトリのことはほとんど覚えておられなくて、ひたすら牛の話をされて、最後にこう言われたんだそうです。あのころは心が本当に豊かでした。私たちが何を失ってきたのか。何を取り戻そうとしているのか、この1枚の写真がシンボリックに示しているように思います。
どうもありがとうございました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。ただいまのご紹介、ご説明につきましてご質問、ご意見があろうかと思いますが。それではこちらから、上路委員から。

○上路委員 すごくすばらしい取り組みをされたということで、いい環境になったのかなというふうにうれしく思います。それで、今お話ありましたけども、放鳥というんですか、コウノトリを放鳥するというお話だったんですけども、面積的にどれくらいの放鳥が可能でしょうか。
  それともう一つ、農業と非常によくマッチングしているということなんですけども、収量的に農業生産量という面での影響、そういうのがありましたら教えてください。

○鈴木部会長 じゃあ、5人札を立てておられますので、一通りご質問を受けてからさせていただきます。では茅委員。

○茅委員 2つ簡単な質問です。1つは、今コウノトリが戻ってきたといいますか、自然に帰るのが見られるようになったというお話ですが、こういう状況にすると多分ほかのいろんな、今までいなかったような生き物が戻ってきているんじゃないかと思うんですが、ほかにどういう目立ったそういった動きがあるでしょうかというのが1つの質問です。
  もう一つは、今のはいい面なんですが、やはりこういうふうに自然にできるだけ戻した農業をやろうとすると、当然のことながらいろいろなマイナスも出てくるんで、市民の間に苦情が出たのではないかと思うんですが、そういった意味でのネガティブな側面というのはないでしょうかというのが2番目の質問です。以上です。

○鈴木部会長 じゃあ小池委員。

○小池委員 私も今の茅委員と似たような質問になるんですけれども、先ほどコウノトリを育むの方の作付面積は大体15%ぐらいまで伸びてきている。豊岡市の場合、まだそうすると85%はそうではないということになるんですけども、やはりこれをどこまで広げられるかというのについて、どの程度見通しをお持ちなのか。それは、コウノトリだけでできるのかどうかということが、どういうふうにそれについてお考えか、教えていただければと思います。

○鈴木部会長 須藤委員。

○須藤委員 ありがとうございます。2つ質問させていただきます。1つは、1960年ごろのコウノトリが自然にいた状態と同じように戻ってきたということは大変すばらしい活動だったと思いますが、こういうふうになった時点で、もう既によその都市に比べてかなり低炭素社会というか、脱温暖化社会が自然に形成されているんではないかと思うんですが、市長としてその辺の計画等で計算されているものがありましたら、お教えいただきたいのが1点目。
  それから2点目は、スライドの33ページですか、急激に平成17年、18年で文化館の入場館数があって、これを経済効果に高めたいとおっしゃっておられたんですが、急激に伸びた理由が、もしおわかりになりましたら教えていただきたい。以上でございます。

○鈴木部会長 では萩原委員。

○萩原委員 私も放鳥して1週間後に伺わせていただいて、大変感動したことを思い出しました。特にここでは農薬の不使用、いわゆるコウノトリのために農業の仕方を変えていくということが非常に大きかったと思うんですけれども、その際にどのように農家の方たちに理解をしていただき、そして協力体制をつくっていったのか、その主な担い手としてはどういう方たちが関わっていたのかについて、教えていただければと思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。

○中貝豊岡市長 まず、1羽当たりどのくらいの面積が要るかとかいったことは、研究者は大変関心を持たれるんですが、やってみるかというところが、どちらかというと多いように思います。ちょっと覚えておりませんが、コウノトリの郷公園の研究者は、現時点での豊岡盆地の生物量でこのくらいまでは生息可能だという数字をたしか出しておりました。ちょっと数字を覚えていないんですが。しかし、実際に現場でコウノトリを見守っている人たちから見ると、やっぱり机上の理論ではないかというふうに感じています。
ですから、やりながら実際にコウノトリがたくさんえさを取っているのか、取れていないのか。今のところ放鳥されたコウノトリは、かなりの部分親元に帰っています。13羽のうち、たった1羽だけが一度も公園に帰ることなく、野生で自分でえさを取っていますが、それ以外は外でも取りますけれども、公園に帰っているということですから、まだまだ中間段階、それも早い段階であろうと。ですから、私たちの努力によって自然が豊かになる。そうすると、もう少し生きられる。そこを見ながらむしろ適用的に進めていくということなのかなというふうに考えています。
  それから、農業の収量ですけれども、もちろんばらつきはありますけれども、そんなに大きくは減っていません、完全無農薬の場合。というのは、実は田んぼに植えてから無農薬は多いんですが、種もみのときに消毒に農薬を使う場合があります。豊岡の完全無農薬のものは温湯消毒をします。これで大体2倍の値段で取引をされていますので、多少は収量が減ったとしても十分ペイをする。むしろ誇らしいということがあります。
  それから、他の生き物でどんなものが増えてきたのかというお話がございました。カエルは物すごく増えてきました。冬に水を張りますと、アカガエルが卵を産むことができます。普通は水を入れないんで、卵を産むことはできません。それから、中干しの延期をするといいましたが、アマガエル、トノサマガエルはまだカエルになる前のオタマジャクシですので、中干しで大量に死んでしまいますが、後ろへずらすと、一たんカエルになると水を抜いてもどこへでも逃げていくことができますから、カエルは増えてきました。これはもう既に実際そういうデータがとられています。トンボも物すごく増えてきました。それに加えて、そういったものを食べる鳥が、その水田の上をかなり舞うようになってきています。豊岡の試みでどういう生き物が増えてきているというのは、それはそれで冊子にまとめられています。今日は持っておりませんけれども、もしご利用でしたらまたお届けをいたします。
  それから市民の苦情、あるいはマイナス面はどうかというご質問もいただきました。コウノトリは害鳥だと言われていました。田植えをした後に、えさを取るため田んぼに入ると稲を踏み荒らしてしまう。昔の子供たちの仕事はコウノトリを追い払うことでした。これは実は長い、今でも相当強い信念として人々の中にありまして、人間とコウノトリとどっちが大切だと。うちの市長は、ちっとは人間のことを考えろという声はしばしば聞きます。
しかしながら、他方で農業者の意識は確実に変わってきました。そして、豊岡の知名度も上がってきた。今まで豊岡ってどこと言われたら、鳥取砂丘と天の橋立の間ぐらいと言ったのが、かなり上がってきたということで、市民の誇りにもつながってきたということですので、むしろマイナス面が克服されつつあるというふうに思います。これは将来、本当にたくさんのコウノトリが増えたときに、害が出てくる可能性もありますから、将来の予断は許しませんけれども、現時点はかなり強くあったマイナス面が、むしろ減りつつあるというふうに私は思っています。
  それから、まだ85%は環境創造型農業ではない。これがどうなるか、あるいは見通しを持っているかというご質問もいただきました。先ほどのグラフで注目をいただきたいのは、その伸びの急激さです。農業者の意識が確実に変わってきています。したがって、私はまだまだ相当な勢いで伸びていくのではないかと思います。ただ、100%近くまで行くというのは、これはやっぱり難しいのではないかと思います。というのは、かなり簡単な無農薬あるいは減農薬の農法はできてきましたけれども、それでも手間暇はかかります。農薬は確かに重い労働を省きましたので、相当抵抗感というのはこれから強くなるんじゃないかと思います。具体的な数字としての目標を今持っているわけではありませんが、コウノトリ育む農法については、あと3年程度で2倍まで持っていきたいというふうに考えています。
  それから、コウノトリだけで乗り越えられるかとありましたが、最近オオサンショウウオ米というのを売り出す人が出てきました。台風23号でオオサンショウウオが下流に流されて、400匹捕獲をされました。世界最大の両生類ですから、今なおそういった生き物が暮らすことができる上流域の豊かな自然があるというのが私たちの誇りです。そのオオサンショウウオも住むようなところでつくられた米が、神戸でオオサンショウウオ米として売られています。コウノトリ米とあわせたら、特別天然記念物米になるなと喜んでいるところです。
  それから、温暖化に対するご質問もいただきました。私たちコウノトリはあくまで環境問題のシンボルだというふうにとらえておりますので、温暖化対策への取り組みも進めてきました。十分ではありませんけれども。市はまず公的な施設をつくる場合には、必ず太陽電池を乗せるというルールをつくっています。極力、豊岡市内産を乗せるということにいたしておりますけれども。
それから、ドイツでは50/50という運動があります。子供たちが学校で電気代とかを減らすと、減った分の半分は子供たちにあげようと、半分は市に返しておくれ、そのことを豊岡でもやっています。昨年はたしか280万円ぐらい小中学校で電気代が浮いて、140万円が子供たちの手元に行きました。子供たちのうちから小中学校を通じて、小まめに電気を消すとお金になるよという、そのくせをつけようと。例えばそういうこともやっています。
  それから、入館者数が伸びた理由ですが、やっぱりコウノトリの放鳥です。平成16年度に水害で少し減りました。ところが、17年度に急激に伸びましたのは、9月24日の放鳥以後です。それがそのままさらに伸びてきて、今日に至っているということです。そこでコウノトリ本舗というお店を市がつくりました。完全民営の会社がその経営をしていまして、農家とかあるいはコウノトリグッズをつくる人たちがそこに持ってきて、販売手数料を払って物を売っている。こういった試みも今、始めているところです。
  それから農業者の理解をどのように得てきたのか、だれがやったのかというご質問もいただきました。ここは豊岡にとっても実は最大の課題でした。実は、農家の側にも今の農業のままでいいのかという疑問を持っている人たちがいました。コウノトリの郷公園をつくろうということになって、その用地の内々決まったとき、公表される前に、実は県の普及所と相談をしまして、そのあたりで有機農業をやりたいという人はないだろうかと言って募ったところ、何人か手を挙げられて、まずアイガモ農法が始まりました。この人たちが無農薬のお米をつくって、しかも環境にもいい、値段もいいということで元気が出てきたと。やがて、それをまねをするというか、仲間に入る人たちが増えてきたと。同時に、コウノトリ関係者との話し合いもかなり行われました。つまりコウノトリも住めるような農業というのは、人間にとってもいいのだという議論をしてきました。最終的に農業者は議論の言い方を変えて、私たちにとっていい農業をしたら、結果としてコウノトリにもよくなるんだな、コウノトリにも分け前を与えてやればいいではないか、こういったことになりました。
  説得活動をしたのは、もちろん市の職員もありますけれども、特に農業者の尊敬を得ていた県の普及員、彼ら、彼女たちの力が大きかったと思います。無農薬で草が生えないはずなのが生えてきた、どうしてくれるんだといったときに、普及員が休みの日に子供を連れて黙々と人の田んぼの草を取ったと。そういう姿を見て、農業者が県の職員があそこまでやってくれているということで、その気になって一挙に広がっていったということがございます。熱意を持った人たちが何人かでもいたということが大変大きかったのじゃないかなと、そんなふうに思います。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。そのほか。じゃあ太田委員、簡潔に。

○太田委員 大変いいお話を聞かせていただきました。ぜひ、これからも頑張っていっていただきたいと思います。この立国にも参考になると思います。
  私の方は、ちょっとだけへそ曲がりなコメントをさせていただきたいと思います。今日配付していただきました「豊岡の挑戦」という冊子の11ページに、これは江戸時代の絵でしょうか、絵が載っております。11ページです。

○鈴木部会長 後ろ側から11ページですね。

○太田委員 この「豊岡の挑戦」という。後ろから11ページ目に「豊岡の景観」ということで絵が載っております。江戸時代の絵だろうと思います。この里山の絵をちょっと見ていただきたいと思います。これ遠くの方は、絵描きがぼかして森のあるのを書いているわけではございません。森のあるところだけ森を書いている絵だと私は思っております。最後のページ、ですから1ページですね、後ろから見て1ページ、ここに大きな絵がございます。これにも森が書いてある部分と書いていない部分がございます。
実は昔の里山というのは、ほとんど今で言えば、はげ山という言葉に近い山であったということです。心は豊かだったかもしれませんけど、里山というのは大変厳しい時代であった。江戸時代も、明治時代もそうです。時代であったということでございます。里山に関係する生態系もありますけれども、山はこういう状態であったということです。化石燃料を使い、材料を使っていますので、今豊かな山になっていまして、木はたくさんございます。そういうことを見ますと、1つは里山というのを持続可能なという、持続可能というか、非常に豊かな山ならば入り会いの制度なんかなくてもみんな自由に取ればいいわけで、入り会いの制度で頑張ったということは、あるいは水の慣行水利権があるということは、苦しいからみんな我々はつくったわけです。
  そういうことを考えますと、里山の一面もぜひ考えていただきたい。それを文明というのは地下資源を使いながら、そういうものからは脱却していったんだということもお考えいただきたいと思います。また最後、このような絵を見ますと、これでも大丈夫ならば、もう少し木材とか森林を使って持続可能な部分のところで、化石燃料の代わりにもっと木材を使うというようなこともあり得るんではないかというふうに思っております。大変へそ曲がりなコメントでございますが、以上でございます。

○中貝豊岡市長 コメントにコメントを返してもよろしいでしょうか。

○鈴木部会長 どうぞ。

○中貝豊岡市長 木材をもっと使ってもいいというのは私も同感です。ところが、ここはなかなか経済的に成り立たないので、人工林はひょろひょろっとした荒れ山になっている。里山はむしろジャングルになって、野生動物が里まで来る隠れみのになっているということがございますので、もっと使わなければいけない。石油の値段が乱高下というか、下がったり上がったりしますけれども、比較的高いところでありますから、今、木材資源はペイするのではないかというふうに考えていまして、豊岡も今バイオマスをやろうと。木材でペレットをつくって、ペレットストーブで小学校の暖をとろうということを考えていまして、今年度から少し実験的にスタートをさせることにしています。そのことによって森林の管理なり整備が進めば、エネルギー問題への対応と、それから森林の保全ということ、両方成り立つんではないか。ここは、相当の決意を持ってやりたいというふうに考えています。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。大変すばらしいお話、ありがとうございました。環境省も佐渡でトキをいろいろ考えているようでもありますので、いろんな面で参考になるお話だったと思います。
  それでは、お2人の先生方に大変貴重な、そしてまた私たちのいろいろ心に訴えるお話もお伺いして、今日はありがとうございました。
  それでは、次の議題に入らせていただきたいと思います。前回まで21世紀環境立国戦略に向けました提言、これにつきましての総論、あるいは各論に分けてご討議いただいてまいりました。本日は総論、各論をまとめまして、ご討議いただきたいと思います。事務局の方で前回までの主な意見、それから提案の概要につきまして、資料としてまとめていただいておりますので、この資料を材料として今後進めていくことになると思います。本特別部会といたしましては5月の末を目途といたしておりますが、21世紀環境立国戦略に向けた提言を取りまとめると、こういうことにいたしたいと思っております。この提言につきましては、ここにまとめられております主な意見、提案の概要、この構成を生かさせていただきまして、基本的な考え方、それから具体的な取り組みのうちの骨太な部分を抽出してまとめて、本体といたしましてこれまでいただきましたさまざまなご意見や提案につきましては、別冊という形で整理していきたいと、このように考えております。
  それでは、これまでの議論の集大成としてさらに議論を深めていただく、こういうことを目的といたしまして、まず事務局から本日準備していただいておりますが、資料3及び参考資料1、これにつきまして説明をお願いいたします。小林官房長、お願いいたします。

○小林大臣官房長 ありがとうございます。これまでの主な意見の概要、資料3でございますが、それに附属します参考資料1でございます。3回目のリバイスになりますけれども、今までご議論いただきまして、ありがとうございました。
今日、この意見の概要という形では、今の部会長のご発言にありましたように最後の議論になりますが、この意見の概要、いろいろ頂戴した意見が消えてなくなるわけではございませんで、先ほど部会長の方から別冊というようなお話がございましたけれども、後々残っていくというふうに思います。ただ、この中からまたさらに骨太に重要なところについては提言の方に移っていくと、こういうことになろうかと思います。そういったたたき台、下敷きにもなりますし、また実際の資料そのものにもなると、こういうことでございます。そういったことについて、今日ご議論いただくのは最後の機会になりますが、ぜひご意見を頂戴したいというふうに考えてございます。
  ポイント、構成とか、そして個々の意見と、こういうことになるわけでございますが、構成については前回と同じような構成になってございます。今回追加させていただきました意見、これは前回出た意見でございます。あるいは、前々回に出た意見でございますが、アンダーラインで記述をしてございますので、ごらんいただきたいと思います。
  まず、資料3でございますけれども、地球環境の現状。構成は変わってございませんが、アンダラーラインございますように、現在直面しております環境問題の深刻さといったことが、もう少し強調されるように書かれてございます。それから、3ページが持続可能な社会に向けた取り組みということでございまして、ここでも具体的にいろいろな持続可能な社会の条件といったようなことにつきましても、考え方の整理をしていただけました。それを加えております。例えば(1)のところでは一番最後の・に、みんなが参加して、協働してやっていくということが1つ重要な着眼ではないかというようなことが書かれてございます。
それから、持続可能な社会のあり方についても、例えば4ページでございますが、それぞれの社会の、これは低炭素とかあるいは循環型と、こういうことでございますが、そういった取り組みは必ずしも自明に一致するというものではないと。1つの側面だけを生かすというのではなくて、相互関係をきちっと見て、十分全体としてよくなるような議論が必要じゃないかというようなご意見もあったわけでございます。
  また、5ページから「環境立国」の基本理念ということでございます。日本モデルの重要な要素として国民各界各層の参加というのがあるじゃないかと、こういうことでございまして、これ5ページの(1)の四角の中の最後の方に加えさせていただいてございます。また、5ページの一番最後でございますけれども、この自然共生との考え方、今日もご議論あったところでございますけれども、言いぶりを手直しをさせていただいてございます。それから6ページの方、アジア、そして世界とともに発展する日本ということでございまして、リオの第一原則についてきちっと紹介したらいいじゃないかというようなご意見がございました。書かさせていただいております。
そして、8ページからがいわば具体的な提言といいますか、提案ということになってくるわけでございます。ご案内のとおり、(1)、(2)、(3)ということで一番大きな課題を取り上げておりまして、(4)以下がいわば横断的なアプローチと、こういうことになっているわけでございます。そういった構成は変わってございません。(1)が気候変動ということでありまして、まずは[1]世界全体での温室効果ガスの濃度の安定化ということでございます。ほかの部分と少しここは違っておりまして、主な提案等の概要というのは一括りになってございます。提案自体が基本的な考え方と染み込んじゃって、なかなか切り分けられないということもあろうと思いますので、ここではそういったような整理になってございます。これにつきましても目標年次を明示すべしと、あるいは長期的なモニタリングが必要だというようなご意見があったところでございまして、8ページ、9ページに書き加えさせていただいております。
また、京都議定書目標を達成するということは、まず大前提として大事じゃないかということで、[2]に書かれてございますけれども、ここにつきましても細かい意見、いろいろ具体的な提案をいただいております。10ページの下の方に、そういった前回出ました意見についても加えさせていただいているというところでございます。それから原子力の話などが、ほかのところにもちょっと出てきますが、11ページにも出てまいります。
それから、約束期間以降の枠組みづくり、これもご提案自体がいろいろな考え方そのものというところもございますので、なかなかほかの場所と違って基本的な考え方と個々の提案というふうに切り分けてうまくいっておりませんが、ここにありますように上の方、考え方に近いところでは、例えば途上国にも受け入れられやすい省エネ技術トップランナー方式の可能性というのがあるのではないかというようなこと。それから、もう少し12ページの真ん中以下になりますと、長期的な技術開発の問題というようなこと、それからエネルギー効率の改善ということは受け入れられやすいのではないかというようなことが書かれてございます。また、13ページの方に行きますと、原子力の話等についても書き加えられております。
14ページが将来の枠組みづくりに向けた我が国の取り組み。ここでも、例えば滋賀のご発表があったわけでございますけれども、滋賀県知事から頂戴いたしました資料等に基づきまして、自治体の取り決めの例といったものも挙げていったらどうだろうか。15ページには、もう少し先の話になりますが、高速増殖炉、核融合等の紹介もしてございます。
それから、16ページでございますが、アジアを中心とした途上国支援というところでございます。これも右の17ページの方でいろんな議論のございました。新しく出ましたことについても書かさせていただきました。
それから(2)、今日ご議論ありました自然共生というようなところにつきましても書かれてございます。里山はいろいろ今から見るといいということになるけど、昔はそうじゃなくてやっぱりプラスチックの方がモダンだったんじゃないかとか、そういった反省もあるじゃないかというようなこととか、あるいは里山の考え方、いろいろご議論あったところで18ページ、19ページ等についても新しく書き加えさせていただいております。
それから、生物多様性に基づく次期世界目標の設定に向けた対応、これも構成は同じでございますが、具体的な取り組みに関するご意見を頂戴してございます。国と地方との連携のモデルを提示していくことは大事じゃないかというようなこととか、あるいは技術革新、統合的なアプローチ、そういったものの指標が大事ではないだろうかというようなことについてもご提案があったところでございます。20ページの方に書かれてございます。
また、百年先を見通した我が国の健全で豊かな自然環境の保全ということで、これも具体的なことでございますけれども、里地里山の、今日もご議論ありましたが、活性化に向けた具体的な施策の省庁連携が必要じゃないかというようなこととか、あるいは右側の方になります、23ページでございますが、里山のバイオマス利用というようなことの話が書かれてございます。
そして、24ページからは3Rということでございます。基本的な考え方についても、新しく書き加えさせていただきました。天然資源の枯渇を回避しというようなことで、リサイクルの意義についてもここに書かさせていただいております。また具体的な提案、25ページの方でございますけれども、例えば先進各国から途上国へ流入した廃棄製品等々に起因するところの環境破壊を防ぐシステムといったものが、これから必要じゃないかというようなことが書かれてございます。
また、26ページでございます。これは技術の向上ということで、基本的な考え方についても言われておりまして、可能な限り市場経済を活用していくということも大事じゃないかというようなことがここに書かれてございます。また、具体的な提案の方でも3Rの推進に向けたステイクホルダーの連携の仕組み、そしてそれがわかりやすいものであってほしいというようなご意見が書かれてございます。それから、3Rを通じました地球温暖化対策への貢献ということでございますけれども、これもその趣旨・意義についての説明が前から不足していたのかなと思いますが、新しくつけ加えさせていただいております。
それから30ページからは、やや横断的な話題ということでございます。環境とエネルギー技術と経済成長。構成は変わってございませんが、具体的な提案ということについても頂戴したものを加えてございます。全体がエネルギー効率の一層の改善が32ページ、バイオマス等が33ページでございます。そして、実効ある国際貢献というまた大きな切り口、別のテーマになりますが、それが34ページから始まってございます。ここにつきましても、具体的なご意見等で幾つか新しいものが出ております。[1]がアジアに対する技術の展開、そして[2]が特出しでございますが、世界の水問題解決ということでございます。構成は変わってございません。
37ページからが地域づくりということでございます。基本的な考え方としては地域主導ということをもっと大事じゃないか、地域発で行くべきだというようなお話。それから具体的な取り組みといたしまして、エコツーリズムの話等々についてもご指摘をいただいております。39ページは地域づくりの中でも特に都市ということでございまして、公共交通の話等々についてご議論がたくさんありました。それが39ページの方に書かれてございます。41ページには水辺ということで特出してございますが、ここでも河川の氾濫原等々の再生といったようなご指摘がありました。41ページに書かれてございます。また森づくりということも重要な切り口だということで、構成は変わってございません。
43ページが人づくりということでございます。環境教育の中身として住環境教育、省エネ教育も大事だ。そして、43ページの下の方でございます。具体的な取り組みとしては地元学といったような発想があったわけでございます。44ページについては民間企業によります環境教育プログラム、フィールドの認証事業といったようなものをやったらどうだろうかというようなご指摘があったわけでございます。そして、人づくりの関係では国民による取り組みの展開というのが45ページでございます。例えば、行政と民間団体による協働事業を進めるための新しい契約方式を検討したらどうだろうかというようなこととか、46ページ、環境保全型製品の購入に対してメリットを与える仕組みの整備が必要ではないかというようなことが書かれてございます。
47ページ、最後の話題でございますが、環境保全対策を推進するいわば社会的な仕組みづくりということでございます。構成は変わってございませんが、市場メカニズムの活用、そしてそのほかの各種対策を推進するためのより公的な取り組みという整理になってございます。市場メカニズムの方では、いろいろな意見ありましたけれども、48ページの方に少し新しく追加をさせていただいております。製品の環境設計、環境対策ということでサプライチェーンの上流でのいわば環境デザインですね、こういったことが大事じゃないかというようなご指摘もあったところでございます。また、もう少し大きな国、公的な取り組みということになりますと、49ページの下から4つ目の・にございますように、環境情報の整備といったようなことが大事ではないだろうか、あるいは戦略的環境アセスが大事ではないかというようなことが書かれてございます。
以上、いただきました意見、追加させていただいておりますが、ぜひまた今日もご議論いただきまして、よりよい資料となりますようにお願いをいたしたいと存じます。以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、今ご説明いただきましたこの資料3につきまして、まず総論部分として1.地球環境の現状、それから2.持続可能な社会に向けた取り組み、3.「環境立国」の基本理念、この7ページまでの部分、それから8ページ以降、4.今後1年で着手すべき重点的な環境政策、これを2つに分けてご議論いただきたいと思います。
  まず、前半の7ページまでの総論的な部分につきましてのご意見がありましたら。質問ですか。

○茅委員 最初に部会長の方から、これまでの主な意見の概要のこのフレームが、この後の環境立国戦略の提言のフレームに大体対応するというようなお話がございましたが、そう解釈してよろしいんでしょうか。それによって、発言の内容が変わってまいりますので。

○鈴木部会長 現在の段階では、一応この項立てといいましょうか、この形で提言をまとめてはどうか。それに関しましてもいろいろお考えがありましたら、お聞かせいただければと思います。

○茅委員 了解いたしました。

○鈴木部会長 はい。それでは、総論の部分につきましてはよろしいでしょうか。お二方ですか。では、今回は向こうの方から、須藤委員の方からまいりましょうか。

○須藤委員 本来、総論に入るかどうかちょっと疑問なんですが、もしかしたら部会長に叱られるかもしれませんけど。この問題は、今回のドイツのサミットに向けてということで、急いで5月末までにまとめるということで理解をしているんですが、本当は来年の日本サミットに向けてきちっと議論はして、またその点検もなされるべきなんだろうと思うんですが、今回のこのまとめをフォローアップすることが、どこかで書き込まれている必要があるんではないでしょうか、ということを申し上げておきたいと思いますので、まず。だから、後ろの議論になるのか前の議論になるのかわかりませんが、とりあえず総論議論なんで、そこだけ申し上げたいと思います。

○鈴木部会長 そうですね。それは総論になるかどちらかですが、あるいは前言か何かに必ずそれを。それは必要なことですね。

○須藤委員 必ずフォローアップしないといけないと、こういうふうに。と思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。では杉山委員。

○杉山委員 3点ほど。1つは持続可能な社会なんですけれども、この戦略会議では一体何をもって持続可能な社会としているのかというのが、ここではよく伝わってこないものですから、そこはご検討いただけないか。それから次、日本モデルですけれども、これもじゃあ具体的に日本モデルというのは一体何なんだと、こう問われた場合に、どこを読めばいいのかということがよくわからないというように思います。さらに期間的な問題で、1~2年で解決すべきというところの中に長期も必要だというように書いてありますし、また後ろの方で行くと百年先ということも書いてあります。この長期というのは、一体どれくらいをイメージしているのかということを明示する必要があるんではないかなと思います。
それから、全体を離れて恐縮ですが、全体49ページとなりますと、恐らく委員の先生方でも読むのが大変だろうと思いますので、せめてこの10分の1ぐらいで総理が伝えられ得るような、そういう方向をお考えいただくべきではないかなというように思います。

○鈴木部会長 では一通りご意見を。太田委員。

○太田委員 それでは私、総論の方にできるだけ時間を割いて、コメントちょっとさせていただきたいと思います。
  先ほどもちょっと話がありましたけれども、文章が今回は出てくるのかなと思いましたけれども、こういう形で出てきたんで、ちょっと面食らいました。それで、ここに出てきている文章等について少し全体の感想を述べさせていただきたいと思います。まず、これまでのヒアリング等をお聞きしまして、一番最初の部分ですが、(1)の地球温暖化の危機に関しては、IPCCの第4次の報告等から、対策の目標となる数値や対策を行うべき期限が具体的に示されつつあるんだと。あるいは、2番目の生態系システムの危機に関しても、どの程度の危機なのかが具体的に示されてきていると。3番目の資源の浪費による危機に関しても、目標となるような方法とか数値が、例えばエコロジカル・フットプリントのような概念で示されるとかという形でかなり示されてきているので、危機だけではなくて、もう一歩進んだその認識というのが出てきたんではないかというふうに今回勉強させていただきました。
  そうなりますと、この次の3ページになりますけれども、3ページの2の(1)の持続可能な条件というところですけれども、持続可能な社会の条件については2番目の・になりましょうか、条件のみでなくて数値も設定されつつあると、あるいはどういうものなのかというのも設定されつつあるというような認識も必要なんではないかなというふうに思います。そう思いますと、例えば温暖化防止の部分に対しては、人口増を配慮すると排出量は1人当たり0.3炭素トンだとか、それを2℃という上限、これいろいろありますが、上限の範囲内で達成するとか、かなり具体的に目標を達成するための条件というか、そういうものが出てきている。その目標を達成するためには、バックキャスティングの方法しかないというようなこともかなり今回勉強させていただきました。そういう中で、日本もいわばその中間目標として例えば2050年に何%というようなことを打ち出す必要があるんではないかということを、この部分については私の意見でございます。
  そういうことになりますと、これ前のいただいた資料ですので、どこに入るかわかりませんが、関連して3つのツールを使ってというところがありましたけれども、そのあたりのところはちょっとインセンティブを与えるなどしてというようなことを挿入したらいいかなというふうに思いました。これはもらった資料の上ででございます。
  それから2番目に、大きな3でございます。基本的な考え方としての日本モデルというところの3・のところでございますけれども、この自然との共生を図りながらというところですけれども、コモンズですか、今日すなわち協働する社会システムを持ち、自然との共生を図りながら暮らしてきた伝統と、それから世界に誇る環境エネルギー技術、さらには激甚な公害を克服してきた経験等と知恵と協働する社会システムというようなことを随分議論されましたので、挿入してはどうかということでございます。関連しまして、下の方の(2)の方にあります2・とか3・のところでも、自然を利用しつつとありますけれども、そのところに協働して自然を利用しつつとというような形を入れたら、今までの議論が生きるんではないかなと思います。
それから3番目でございますけれども、次の6ページでございますが、(2)あるいは(3)にわたるところでございますけれども、目標とする持続可能な社会は、統合的に構築するということが盛んに言われております。そうしなきゃいけないということが主張されていますが、統合的に構築する必要があり、その統合的に構築するモデルとしての日本モデルの示し方が、先ほどもちょっと話が須藤委員の方ですか、出ましたけれども、ちょっと弱いんではないかと思います。
私は、その日本モデルというのは、100億も人口は増加することを考えると、単に伝統への回帰とか自然への回帰をするモデルではなくて、当然、私自身は持続可能な方向への人間と生物を含む地球環境系との共進化をさせていく社会を築くと、こう思っているんですが、それは先進技術だけでなく、もちろん先進技術も日本のモデルですが、つまり技術のみに頼っていくのではなく、日本人の自然と共生する社会スタイル、生活スタイルとか循環を用いる思想とか、あるいは協働に基礎を置く社会システムと、これは官民協働というシステムも、日本の優秀なシステムだと思いますが、そういうのを用いて、言い方を変えれば自然と共生する中で人々が協働してやってきた日本の伝統的方法を活用して、統合的に達成するモデルであると。
つまり、日本的なライフスタイルや日本的社会システムに支えられた技術という方が、技術だけをやっていくと、ソフトの技術だと思いますが、というのではなくて、持続可能な社会をつくるのには効果があると主張することが日本モデルなんではないかと。その辺のことが、この(2)あるいは(3)の次に、もしそういうことでなければ(2)の伝統的な自然観を活かしたでなくて、伝統的な自然観と社会システムを活かしたというような形で書き加えていったらどうなのかと、ちょっと長くなりましたが、そういうふうにしていかないと、日本モデルというのがどうもまだ出てきていないというふうに感じられました。
最後ですが、簡単に言いますけれども、それを統合して具体的に行う方法ということも随分議論されたんですが、この8ページ以降はばらばらに書いてありますので、やっぱりこの7ページまでのところで統合して行うことが重要だということを入れないといけない。そして、それは具体的には地域から統合した環境モデルみたいなものをつくって協働して実施していき、それを積み上げて国の統合モデルができてくるというようなことも議論されたと思いますので、そのあたりを含めてわかるような日本モデルというのを出していく必要があるんじゃないかというふうに、ちょっと長くなりましたけど、読ませていただいて感じました。以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。では大久保委員。

○大久保委員 私も個別の論点の話ではなくて、まとめ方の話なんですけれども、この参加協働型、あるいはその参加協働の上に立った統合モデルというのが日本型モデルであるというお話が今も何人かの委員の方々から出て、私もそのとおりだと思うんですけれども、他方、杉山委員からは、その具体的なイメージがそうはいっても見えないというお話がありました。それで、見せ方の問題になるのかもしれないんですけれども、私は日本型モデルの特徴というのは、この似たようなことを言っている国は確かにいっぱいあるんですけれども、実際にそれが実践をされていて、コミュニティの再生につながっているというレベルで言いますと、日本はそういう取り組みが幾つか本当にあるという意味では、これはある意味国際的に十分発信していけるものではないかと思います。
  例えば今日の豊岡の取り組みも、私、冬にコウノトリの郷、それから城崎、それからカニというのが私の冬のルートなんですけれども、そこで感じることは毎年行くとやはりコウノトリの郷の近くの商店の人たちが、今日は見ましたか、そろそろこっちの方に飛んでくる時間ですよとか、いろいろ話しかけてくださったりするという意味で、農業の方々、それからコウノトリの郷の人だけではなくて、まさに地域ぐるみでコウノトリというのをキーワードにして、市長が先ほどおっしゃられたことが実際にあるということが、やはりこれを伝えていけばいいのではないかと思います。
  そこで、例えばドイツで今度G8が行われるわけですけれども、ドイツのフライブルクは環境首都だといって、たくさんの人が訪れるわけですけれども、フライブルクは私自身も訪れていい都市だと思いますけれども、それに負けないような取り組みというのは、日本にいっぱいあるわけですので、この環境立国戦略というものの中に、どこまで書き込めるかということは別といたしましても、やはり具体例であるということを示さないと、特に日本は英語での情報発信が従来弱いですので、日本に来た外国の方はそんなものが日本にあるのかということで、見てびっくりするという事例が大変多いですので、これをどこかに事例としてキーワードで載せて、それを資料集で紹介するという形でもいいかもしれませんが、何らかの形で具体例を示せるような形でまとめられるといいのではないかというふうに感じました。以上です。

○鈴木部会長 大変大きな問題をいろいろとご指摘いただいたと思います。持続可能性、この定義をブルントラントの定義なんかを書いたってしようがないので、一体どういうものが日本における持続可能な社会なのかという、そしてまた日本モデルというようなものをどういうふうに具体的に示すのかと。それをまた具体的にどうつくるのかという太田委員からの話もありましたが、その辺も、この文章がそのまま生きてくるといいますか、これはあくまでもマテリアルであって、これから文章化するときに可能な限り明確にしていくという大変な、ある意味では宿題かと思います。
  それから、あと時間スケールとして、今度のハイリゲンダムのG8に向けて発信すべきことと、それからまた次の日本でのG8のときにというのは、須藤委員がおっしゃいましたように、やはりその段階でブラッシュアップというか、フォローアップしていくことがぜひ必要だろうと思いますし、その間になすべきことと、また長期的にというのは一体どういうタイムスケールなのかというご指摘もありましたが、これもやはり明確に。ただ、やはり今求められていることは2030年に一体日本はどうするのか、2050年にはどうするのか、そういうことはこれはもう外から見たときに寝ぼけた話をしていてもしようがないということは必ずあると思いますので、そこでどういう定量的な目標が示されるのか。これは、ここをある意味では越えたところがあるかもしれませんし、新聞によりますと、ちょっと2050年に世界全体で50%削減というような提案というようなお話も、これはどこまで固まっているかはわかりませんが、そういうお話もありました。
また一方において、100億人で3ギガトンということになれば、当然1人0.3トンというのが究極の目標ということになりますし、それを日本はどこまで出していくのかと。例えば2050年0.5トンぐらいのことは、やっぱり言わなくてはいけないということもあるかもしれませんし、その辺のところがまだこの段階ではなかなか書き込めるかどうかというのは、大臣がいらっしゃいますが、4大臣会合の流れとか、その辺にも依存していくことになるのかなと思います。ただ、いずれにしましても、やはり立国戦略として総論の部分できちんと、余り細かい説明というよりは、その骨太の方針を書き込んでおかなくてはいけないんだろうと、そんなふうに理解しておりますので。また、この後25日、28日、2回文章が出てくる段階でもんでいただければと思います。
  では、総論部分はこれでよろしいでしょうか。武内委員は総論の方ですか。

○武内委員 今、皆さんがいろいろと言われているんで、少し総論っぽいことも言いたくなってしまったのですけれども、最初にフォローアップということの議論がございましたけれども、私は大賛成です。それは、私これも前に申し上げたと思いますけれども、今、環境にかかわる議論が全部を中央環境審議会でやると言いながら、実際には全部部会に降ろしちゃって、そしてその相互の間の関連性というのは、ほとんど議論されてこなかったというのがこれまでだと思うんですね。そういう状況の中で、この特別部会ができたおかげで、その相互の関係性が議論できるようになったということはこれは非常に大きいので、やはりそういうファンクションというのをきちっと維持していくということは非常に大事だと思います。
  それから、今の全体の書きぶりとか流れということについてですけれども、私は全体としてこれやっぱりストーリー性がまだ乏しいという、途中からやっぱり縦割りに役割分担をして書いているという感じがするんですね。ですから、仮にそれが皆さんが納得されるというようなことであるとするならば、低炭素社会と循環型社会とそれから自然共生社会、この間の全体的な関係性の中で持続可能な社会というのを具体的に目指していくというふうな形で、全体をまとめるというふうなことにしたらどうかと。
その場合に、循環型社会、私はこれかなり優等生だと思うんですね、世界的に見ても。低炭素社会が非常に劣等生。そして、自然共生社会は一見優等生に見えるけれども、これさっき太田先生が言われたように、林をだれも使わないで海外から8割も輸入しておいて森が豊かだという、こういうところあたりをうまく低炭素社会の議論とつなげて議論することによって、今の段階ではいろいろな制約があるけれども、しかし2030年とか2050年にはかなり違う社会が展望できるんだということを、やはりその合わせ技の中で示していくということが、どうしても必要なんじゃないかなというふうに私は思います。
  それから、これからは後半の議論で言いたかったことなんですけれども、国際的な貢献が多分一括りでは議論できなくて、1つには東アジアといったときには、多分成長して先進国になるであろう国々が、そのまま放置すると資源エネルギーを膨大に消費してしまうので、そこをどうやって食いとめるようなことができるのか。そして、そのことに対して私たちがどういう貢献ができるのかという話、これが国際的な貢献の1つなんですが、もう一つここでは余り言われていないんですけれども、私このこと余り書かないと、これから日本はバカにされると思うんですが、やっぱり世界を見たときに、依然として飢餓と貧困にあえいでいる人たちがたくさんいて、そういう人たちに対する思いやりというのが、これはまさに国連の最大のイシューになっているわけですよね。
  私は環境のサステナビリティーと、それからいわゆるミレニアム・デベロップメント・ゴールで言っている人間の安全保障というのは、これはまさに一体的に考えられるべきものだというふうに思っておりまして、そのようなことについての記述がないということは、これは後でこれを英語にしたときに、私はこれは日本は非常にそういうところに対する意識が低いんだなというふうに思われてしまいかねないので、ぜひその点はちょっとアジアとは違うという形で書かざるを得ないと思いますけれども、加筆していただけると大変ありがたいというのが私の意見です。それは今の話は個別的なことに対する意見です。

○鈴木部会長 地球全体として、例えば2050年に50%削減というようなことが一種総論部分に書き込まれるとすれば、やはりその段階で本当はヒューマン・セキュリティーの問題をきちんと書き込んでおくぐらいのことがないと、後ろの方の各論のところにちょっとつけ足してまたODAで何かしますよというようなレベルじゃ、余り感動を与えられないでしょうね。その辺はどうするか。難しい課題ですが。
  それから、私はこの3つの社会というのがあるんですが、低炭素、自然共生、循環型、何となくこれやっぱり3つ並べて足してみると持続可能な社会になるというのではなくて、持続可能な社会という、あるもやもやしたものがあって、それを1つの側面に投影すると低炭素であり、1つの側面に違う方向から投影すると循環型であって、こちらから投影すれば自然共生であるという、何かそういうようなものととらえたらどうかと思っているんですね。そうすると、その中身はいろんな形があり得るんだけれど、今ここで3つ考えている条件は、ともかく必要条件であって、あるいはこの3つを満たせばサスティナブルになるのかどうかというのもちょっと、実は十分条件ではないんでしょうね。だから、なかなか難しいところだと思うんですが、今はともかくサスティナブルであるための問題点を拾い出してみると、ともかく大きな問題としてこの3つが見えるので、たまたまこの3つの社会がいわば表にあらわれてきている座標軸として考えると、こういうようなことになっているのかなという気がいたします。
  すみません、それじゃあ、ちょっとお三方から挙がりましたので、茅委員の方から行きましょうか。

○茅委員 中身じゃなくて、フレームに対しての提案です。これだけいろんなご意見がありますと、全体としてそれをすべて取り入れたようなものはなかなかつくりにくいし、事務局も苦労されると思います。また、先ほど杉山委員のご意見のように、余り長いものでだれも読んでくれないということもあると思うんです。そこで提案は、ちょうどIPCCがやったように、少しきちんとした多少長目のもののほかに、SPM、つまりポリシーメーカー用のサマリーをつくるという考え方で、例えば数ページ程度の概要をつくって、それを全体の最初につけると。それが恐らく一番アウトプットとしては大きな意味になると思うんですが、そういう二段構えでこの環境立国戦略というものをつくったらいかがかというのが提案です。

○鈴木部会長 私としては本体がもう4~5ページで、あとは全部アネックスと、こう思っていたんですが、本体を大きいものにしてSPMをつくる、どちらがいいでしょうね。本体が大きくなると、もうただただいろんな方からのご意見がホッチキスでとめられたみたいなものになりかねないという気もするんですけれども。

○茅委員 7ページぐらいまでのものですよ、基本的に多分。

○鈴木部会長 そうでしょうね。

○茅委員 それにもう少し後ろの方に、どうしても入れるものは入れていくという形で10ページになると思います。そんなものですよ。

○鈴木部会長 10ページあったら、安倍総理に読んでもらえないかもしれませんね。そうでもないかな。どなたかが読んで、また要約をつくるなんていうことになるかもしれない。じゃあ枝廣委員。

○枝廣委員 枠組みということで、今お話しになっていたように、本体が5ページ、7ページという短いものになると、後ろを読んでいただいてわかっていただくというよりも、それを読んだだけで伝わるものになるという観点で見ると、今のここの部分は弱いなというふうに思います。多分こういうものは現状をどう認識しているかという部分と、それに対して目標を加えて決意をどういうふうに出すかという部分、その決意を形にするためにどのように行っていくかという、多分そういう3つの部分があると思うんですが、今のところその認識の部分がとても多くて、他から借りている部分が余りにも多いんではないかなと思います。それに対して、日本がどういう決意をそれに対して行うのかというのをもっともっと出していかないと、読んだけれども何も残らないというものになってしまう気がします。
  もう一つ、2番目の持続可能な社会に向けた取り組みというところなんですが、ここの内容が持続可能な社会の条件、そして諸側面と2つあります。これも持続可能な社会をどう考えるかという認識の部分で、それに対する取り組みといって差し障りのないようなものはほとんど入っていません。統合的にやるべきだとか、予防的な方策が必要だという、それぐらいが取り組みに関する言及で、ここのところを持続可能な社会をどう認識しているかはもちろん大事ですが、それに対してどうやって取り組むのかというその決意なりやり方なりを、もう少し骨太に出さないといけないのではないかと思います。
  例えば、これは繰り返し委員の中からもいろいろご意見が出ていた部分ですが、例えば持続可能な社会をつくっていくときに、技術のイノベーションも必要だし、技術ができたとしてもそれを実際に実用化して広げていく、みんなで行っていくための社会のイノベーションも必要であると。ですから、技術イノベーションと社会イノベーションを同時に進めていくというような切り口も1つ大事だと思います。私の方から、今日補足資料で環境エネルギー政策研究所の飯田さんの資料を少し出させていただいているんですが、あと気候ネットワークさんの。この資料は後で見ていただければ、技術イノベーションが進んでいる日本で社会イノベーションがついてこないと、どうなってしまうかと。
逆に、技術イノベーションがそれほど進んでいなかったドイツが、社会イノベーションを進めたおかげで日本を追い越したという、これはソーラー発電の件ですが、この2つのバランスのとれた進め方が必要であるということ。それから、もう一つその取り組みに関するアプローチとしては、こういう呼び方が適切かわかりませんが、ポートフォリオ・アプローチというような形で、例えば自主的な取り組みも大切だし、規制もある意味大切だし、税制や排出量取引のような、そういったものも必要だし、技術開発やそれを普及するための仕組みも必要だしと。ですから、これをやっているからオーケーではなくて、今、時間との戦いですので、さまざまなことをそれぞれポートフォリオのように組み合わせてやっていくことが必要だと思っています。ですから、ポートフォリオ・アプローチがこの戦略に盛り込まれるかどうかは別として、そういったどうやって取り組んでいくんだという、その方向性や腹の決め方に関するところをこの2番目のところにもう少し入れないと、持続可能な社会をこう考えているのねというところだけで終わってしまうような気がいたしました。

○鈴木部会長 大変大事なところだと思います。7ページの中に、どういう形でその辺を盛り込んでいくかですね。では上路委員。

○上路委員 各論に移ってもよろしいんでしょうか。

○鈴木部会長 ちょっとお待ちください。総論に関しては、こんなところでよろしいでしょうか。小池委員。

○小池委員 今までの議論をお伺いしていると、7ページまでの総論のところに後ろから大事なものをみんな入れて、それで大体7~8ページにしてしまおうというような感じに聞こえるんですけれども。ただ、実際には、8ページ以降の各論のところで非常に大事なことたくさん書いてあるわけですね。総論のところというのは、どちらかというとこれイントロダクション的なところが非常に強くて、あと概念的なものですね。ですから、読んでいて皆さん、ああ、こんなものかなと思うけれども、ほとんどインパクトがない。
ですから、私はぜひ今度、次の会議が25日ということですけれども、25日の前に最大10ページぐらいできちんとした文章を事務局の方で事前に委員に配付していただいて、それに基づいて議論をしないと、なかなかこれを一つ一つこれはどう、あれはどうと言ってみても、時間がないのに成果は余り上がらないのではないのかなという印象があるのですが、いかがなんでしょうか。

○鈴木部会長 そうですね、ちょっと誤解があったかもしれませんが、7ページあるいは10ページと言っていますのは、この総論の部分だけで戦略にしようというわけではなくて、この後ろの各論の部分の基本的な考えのような部分ですね、これをやはり全部くっつけて戦略とする。それが10ページもの。この後ろの方の各論の具体的な取り組みに関する云々というような部分は別冊にしようかと、そんなような全体の形としてですね。そんな感じなのか、あるいはこの全体の形で戦略として上の部分だけすぽっと抜いてSPMにするのか、その辺はちょっと考えなくてはいけないかもしれません。
  では、今のご意見も大変貴重なご意見で、次回の前の段階で骨格的なたたき台(案)というようなものを準備していただくと、そういうふうにさせていただきたいと思います。
  では、各論の部分で……。

○中村委員 1つだけちょっと。

○鈴木部会長 はい。

○中村委員 1つだけちょっとお話ししたかったのは、前回嘉田委員の方からあった話ですが、この戦略の書き方の話ですけれども、今までここに書いてある書き方はほとんど客観的に、第三者的に書いていますが、最終的にはどうでしょう。私たちはこのようにしますという、何か自分たちで第一人称、あるいは私は、また私たちはという第一人称か第二人称で少なくとも書いて、こういうふうに始めますとか、何か自分たちの気持ちをしっかり伝えるという言い方をうまく書き込めるようになったらいいのではないかというふうに思うんですが。それもできるだけ2050年までにこういうことを目標として、今こういうことを始めますという言い方ができるといいなというふうに思います。

○鈴木部会長 多分それがないと、国外からは全くインパクトのないものになりますね。それが可能かどうかという、また別の問題もありますけれど。
  では、時間もちょっと限られておりますので、後半の方の各論的な部分でご意見をいただければと思います。この各論の中の大事な部分を本体に組み込んでいくという、そういうことになります。では、たくさん大変挙がっておりますので、向こう側、花井委員の方から。

○花井委員 ずっと通してでよろしいでしょうか。

○鈴木部会長 大事な部分だけにしていただければ。

○花井委員 すみません、大事じゃないかもわかりません。幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。
  まず10ページでございます。国際約束として京都議定書目標の達成というところの、具体的な取り組みに関する意見、提案等のところに、下の方でございますが、サマータイム制度の検討とあります。これにつきましては私どもずっと検討してまいりまして、労働時間が延びるという懸念がありますので、ここは慎重な検討というふうにしていただけないかということが1点でございます。
  それから15ページのところです。15ページの一番最後に民生部門としてライフスタイルを変えることも重要というふうにあります。ここのところは我が国の取り組みという表題がついておりますので、「もったいない」とか、子供の頃、「物とか食べ物を大切にしましょう」と言われて育っていますが、大量消費・廃棄を見直して「もったいない」とか、「物や食べ物を大切にする」と、そういうことを生活の中で実践していくというようなことを、どこかに書けないだろうかということです。
  それから国民の過度な利便性とか、快適性を求める生活のあり方を見直す必要があるのではないかということも入らないかと思います。そのことは交通の渋滞を招くとか、24時間のコンビニとか、そういう生み出している背景でもありますので、その生活のあり方を見直していくといったことが、ここに書き込めないかというようなことを思います。
  次の16ページから17ページにかけまして、アジア地域を中心とした途上国への支援ということですが、後ろの方に化学物質の問題も書いてありますが、今中国を初めとしまして、途上国で化学物質の扱い方が大変ずさんで、健康障害が出ているということがよく報道されております。そういうことを背景としまして、化学物質の適正な管理や利用、そういうことに対する技術の支援を日本として行うべきではないかということを、書いた方がいいのではと思います。
  それから18ページです。上の方の3つ目の・のところに、西洋的な文化や社会の問題とあります。社会の問題とは西洋的な社会の問題なのか、もう少しわかりやすくした方が伝わるのではないかと思います。
  それから森のところですが、百年先を見通した我が国の健全で豊かな自然環境、22ページのところ全体にかかるかと思うのですが、これはだれが担うのか。担い手の育成とか確保など、そういうことが非常に重要じゃないかと思います。ボランティアだけで森を再生できるとは当然思えませんし、知恵とか専門的な技能を持った人たちを、もう少しつくっていかなければいけないということで、人づくりということをここに含めておいてはどうかと思います。
  少し飛びますが、39ページの交通のところで39ページの下の方です。自動車に過度に頼らず、高齢社会にもやさしいありますが、ここはぜひとも障害者を入れていただきたいと思います。
そして、最後になります。原子力の問題です。11ページ以降、数カ所に、安全の確保を前提としてと原子力の推進と入っております。最近起こりました原子力発電所の事故、情報隠し等々、国民の原子力に対する信頼は低下しているのではと私どもは考えております。このような書き方だと、国民の心情というか、意識と少し離れているのではないか。個別に書く必要はないと思いますが、コンプライアンス体制の確立であるとか、安全対策の強化、情報開示の徹底、それから国民の信頼回復に向けた取り組み、そういうことを前提とするということを明確に書いていただきたいと思います。
それから、高レベル放射性廃棄物の問題についても、今後どうしていくのかという大変大きな課題が残っています。どういう触れ方がいいのかわかりませんが、そのことも住民、国民の合意を前提としてとか、あるいは対話によって進めていくんだということも書いていただけたらと思います。

○鈴木部会長 いろいろ文章に関わるものは、これからまた案が出てきた段階で、多分この各論といいますか、アネックスの部分に相当するところだと思いますが、ごらんいただければと思います。ちょっと飛びましたが、じゃあ森地委員。

○森地委員 私の関係しております交通とかアジアとか、こういうところについて申し上げたいと思います。1つの観点は、ここに淡々と書いてある中で、日本のポジショニングを外国から見たときに非常に特徴的なのはどこかということがほとんどこの中にないので、もしアネックスであろうが本文であろうが、そういうことを幾つか選んで入れるのはどうかというのが1つでございます。その具体的内容として何点か申し上げたいと思います。
  1つは、ヨーロッパで交通と経済成長の関係で、計画をつくってそのときの目標として経済成長に対してエネルギー消費とかCO2のレベルを下げるという、こういう目標を立てたんですが、失敗をいたしました。杉山先生とそういう勉強会をしております。ところが、日本は実はこの数年間についてはそれが成功しております。ヨーロッパから見るとなぜ日本は成功したのかと、こういう議論になります。これについては詳しいことは申し上げません。
  それから物流の効率化については、目覚ましく企業ベースでは進みました。しかしながら、圧倒的に遅れたのは、物流施設の立地の変更だとか、あるいは物流の機関分担についての財政実働と、こういうことは全くしてきませんでした。
片や非常に高い通行料。これはヨーロッパで議論しているピークロード・プライシングとか、ロードプライシングのオーダーと全くかけ離れて高くて、これは外国から見ると物すごくうらやましい。今日、実はドイツからの調査団が私のところに来て、午前中どうやったらそういうことができるかと議論をしておりました。あるいは、今週の初めにはオランダのマスコミの人たちが、東京がどうしてこういうふうに効率的になったのか、これよりまだ改善可能なのかと、こういうことをわざわざ聞きに来ております。大都市モデルについては今申し上げたように、これほど情報化した道路を持っている国はありませんし、それから自動車の効率はもちろんですし、片や中核都市の公共交通については、都心の乗り入れ規制だとかトランジットモールだとか、こういうことについては20~30年遅れてしまいました。こういうメリハリをこの作文の中にどういうふうに入れていくかというのが、交通関係の例でございます。
  それからアジアに関しては、アジアのメガシティについて鉄道がいずれ必要だとか、今必要だとかというようなことがあるんですが、この20年間、世銀もヨーロッパもアメリカも、ODAベースでは極めてネガティブでありました。唯一車両メーカーが一生懸命運動している、こういう状況です。それに対して、日本だけがそういうところにJBIC、その他JICA、こういうところで支援をしてやってきました。これはアジアのメガシティから見ると、非常に特異なことであります。世銀も途中から方針変更して、最近少しまたバックしてきてそういうことをやろうやという話になってきています。こういう貢献はもう外国から見ると日本は、一時期は何をやっているのかということですし、国内でも何でそんなインフラ投資するんだと言っていたんですが、外国から見ると今は非常に評価をされています。
  それから最後に、このアジアとの関係で南北問題を前提にした議論がずっと展開されているように私には見えます。前にも申し上げましたが、東南アジアを含んだ東アジアに関しては、個別に話しているときに世界の会議で言っている南北問題と全く違うような状況がもう既に生じていますから、日本がもし提案するとすると、ODAで何とかしますとかじゃなくて、もう少し突っ込んだ仕組みを提案した方がいいんではないか。例えば、各国で経済成長に対してエネルギー消費をどういう格好でコントロールしていきましょうという目標であったり、あるいは国別に自主的に設定する目標であったり、こういうことを立てていただいて、それに対して何かインターナショナルにODAで支援するような仕組みをつくりましょうとか、例えばですが。何か技術があるから助けますとか、ODAでやりますとかというのは、ほとんどインパクトがない。そこに何かやっぱりスキームをきちっと出すし、それからアジアはアフリカとか南米よりは環境に対して非常に敏感になりつつあるということをちゃんとアピールして、そういうときに今までの南北問題と違って、こういう格好でできないだろうかというような提案ができればいいかなと。ちょっと長くなって恐縮です。以上でございます。

○鈴木部会長 交通、それからアジアの交通の問題も含めて、ちょっとメモか何かでお出しいただいた方が。それから南北問題、日本のやはり経済支援なんかの問題は、やっぱり2国間の要請ベースの話はもう変わってきているわけですよね。それがなかなかと、じゃあ国際機関つくるかといったって形ばかりできてしまうみたいなものがあったり、なかなか難しい問題ですが、それはここだけで環境立国戦略で語れるものをちょっと越えているようなところもあるような気もしますし。ただ、環境に関しては非常にいいんですよね。環境をベースにして、あるいはアジアにマルチの何かうまい仕組みをつくっていくとか。

○森地委員 鉄道関係の円借その他はもう飛び抜けていますし、信じがたい金額ですし、恐らく今もうすぐ始まろうとしているプロジェクトを足してみても、インターナショナルに見るともう飛び抜けたものですから、何もこれからやりますというんじゃなくて、もう既にやっていますと、そういうことはちゃんと正直にアピールすればいいことだと。

○鈴木部会長 なるほど、それをここに示しておくということですね。ただ、やっぱり今後の意思みたいなものをどういう形であらわすかという、それがあると思いますので。ありがとうございました。では萩原委員。

○萩原委員 別冊の方に入ってしまうかと思いますけれども、37ページ以降の(6)と(7)に関係してくることなんですが、また先ほどの……。

○鈴木部会長 30何ページですか。

○萩原委員 37ページ以降の、(6)自然の恵みを活かした活力溢れる地域づくり、あるいは(7)環境を感じ、考え、行動する人づくりというところに関係することであるということと、もう一つは中村委員がやはり全体として私たちは何をするというふうな積極的なものを含めていくということになると、例えば私たちが取り組んでいく具体的なモデル事業を推進していくというふうなことが入ってくる必要があるのではないかというふうに思います。
  例えば、今よく言われているコミュニティガーデンというような取り組みになりますと、例えば地域のさまざまな主体がそこにかかわる、あるいは環境教育、あるいはそれが環境コミュニティビジネス推進にもつながっていく、そういうモデル事業の推進を積極的に行っていくというふうなことも加えていく必要があるのかなというふうに思っております。ぜひ、それをお願いしたいと思います。以上です。

○鈴木部会長 中村委員。

○中村委員 まだ全部詳しく読み切っていないんですが、この中には今までの出てきている意見が並列的にあるようなわけですね。それらの中には、どちらをとるのかということの議論がまだ十分されていないのが、かなりあるんじゃないかと思うんです。これをどういうふうにされるのかなというのが、ちょっと全体見てどうしたらいいのかなと思っていたんですが。
例えば14ページだけでも、CO2の削減に関する目標をどういうふうに、いつごろという目標年次であるとか、それからそのパーセントであるとか、それをどこで、2つの意見がここには出ているわけですが、比が出ていないところがありますが、2050年で50%削減といった高い目標。それから一番下の方は、2050年の将来に国全体で70%削減。それがどちらを、じゃあここで取るのかという話とか、ほかにも幾つか同じように矛盾するというか、2つ違う立場からの意見があるのが幾つかあると思います。
  そういうことを例えば、ここでは完全に達成できるということしか言うべきでないという意見もあったと思いますし、あるいはそうでなくてもっとバックキャスティングで、前の2050年の世界を見た上に、それに自分は今何をすべきかという言い方をすべきだという意見をどっちを取るのかとか、そういう具体的に考え方を整理してみる必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○鈴木部会長 その辺は、次の段階に進むところで多分事務局の方である程度精査をしていただくという、そういうことになろうかと思いますので。

○中村委員 ただ、委員同士の中では議論はしないといけないんじゃないかというふうに思うんです。

○鈴木部会長 それは次の段階で案についてご議論いただくところで、よほどといいますか、全く対立する部分も無きにしもあらずだろうとは思うんです。どちらかにせざるを得ないんじゃないかと思いますね。では田中委員。

○田中委員 ありがとうございます。2点だけ意見を言わさせていただきたいと思いますが、1点目は24ページ、例えばですけども、日本モデルをアジアを中心とした展開というこういう中で、日本モデルをアジアを中心に積極的に展開すると、こういうことですが、この環境の問題は世界で国際的に取り組まなければならないということで、日本は経験を積極的にシェアリングはするけども、海外でのいい事例は同時にまた学ぶ、参考にしていくと、こういうのが大事ではないかな。教えてやる、あるいは押しつけるような印象を持たせないように配慮が必要ではないかなという気がします。それは5ページ目の環境立国の基本理念の、ここの日本モデルにおける書きっぷりにも波及すると思いますけども。
  それから2点目は34ページのところですが、国際貢献、実効ある国際貢献で、既に国際貢献協力という点では、JICAやJBIC、その他各省庁に関連した機関、それから自治体で展開をやっている、これらのノウハウや蓄積されたものを有効に活用して、日本としても重複を避ける、あるいは戦略が必要ではないかなと、こんな気がしますので、その辺が34ページのところに触れておかれるといいかなという気がします。以上2点です。

○鈴木部会長 じゃあ須藤委員。

○須藤委員 じゃあ簡単に3点申し上げます。1点目は、温暖化はどんなことをしてもこれから進行するんで、緩和・適用策が必要なんだという部分のその問題がほとんど触れられていないんですよね。ですから、緩和・適用策に触れていただきたいのと、それに伴うモニタリングですね、私、前回琵琶湖の話をしたと思うんですが、最近例えば池田湖なんかもほとんど水が動かなくなっちゃっているんですね、上が温まっちゃって。そういうこともあるので、生態系のモニタリング、気温、水温、そういうもののモニタリングをずっと継続して、それとどういういろんな、もう時間がないからあれですが、緩和・適用策をきちっと述べてほしいということが1点目。
  それから2点目は、持続可能社会をつくっていくための地方公共団体がこれ担い手なんですよね。先ほどの豊岡市のような立派なところもあるんですが、すごく差がありますんで、地方公共団体、特に市町村県が大事だということをどこかに書き込んでおいてほしい。これが2点目。
  それから3点目は、先ほど反対だとか慎重だというのがあったんだけど、サマータイムの実施というのは、割と効果があるというふうに前から伺っていますので、これは日本だけではなくて、東アジアで一緒に、欧米はやっていますよね、全部ほとんど。ですから、サマータイムの実施をやるというようなことを、それは良い、悪いがありますから、これは後で議論してください。ということで、以上3点を申し上げます。

○鈴木部会長 例えば、地方公共団体が大事であると書き込むのはいいんですが、じゃあそのために国はどういう施策をとって何をというのが、そのアネックスのところに入ってこなきゃいけないということですね。

○須藤委員 はい、もちろんそれは入らないと。ただ、お題目じゃまずいんで、もちろんそれも援助かもしれませんし、人材かもしれません、さまざまなことがあると思います。法的な整備もあるかもしれません。

○鈴木部会長 サマータイムは、ここへ書き込むと実現するでしょうかね。

○須藤委員 先ほど反対だとおっしゃったんだけど、何となく私は前に100万トン減らしたような気がするんですよ、CO2として。というのは結構な量ですよね。それと比較的、叱られるかもしれないけれども、割と今日なんかも明るく早くなりますよね。これは仕事した方がいいんじゃないかと、私は年のせいかもしれませんけども、それはそう思いますんで、部会長どう思われるか知りませんが、割と実施ができるんじゃないでしょうか。

○鈴木部会長 ありがとうございました。小澤委員どうぞ。

○小澤委員 私は環境教育絡み、43ページから44ページぐらいのところで申し上げます。
個々のご意見は尊重していただくとして、基本的に幾つか申し上げたいんですが、まず環境教育・環境学習のこの機会の多様化だけですけれども、ここの表題としてあるのは。やはり質のアップというところを、1つ入れていただきたいということ。それから、乳幼児からの生涯学習としてやっていただきたい。といいますのは、日本のこどもエコクラブは非常に注目をしてもっといいんじゃないかと思います。といいますのは、私も中国で日本の子供エコクラブ紹介しましたときに、一番反応があったのがこどもエコクラブなんですね。ですから、学校教育だけではなく、地域の中で地域にいる大人と一緒にやっていくというところに非常に意義があると思いますので、そういった視点を入れていただきたいと思います。もちろん生涯学習としては学校教育、それから社会教育、それから企業における社員教育も入れていくということが、1つ必要だと思います。
  それから、もっと誇るべきところとして、日本では世界で初めての環境教育推進法を設定しているわけですから、そこをきちんとうたっていただき、そして5つの省庁で連携して2004年の9月に基本方針をまとめたんですね。それは、1つのある意味でのガイドラインだと思いますので、そういったものをもっと膨らませてやっていく。ただし、国際的にはいろんなところでは1977年のトビリシの環境教育の原則がベースにあります。これは文科省の指導資料においてもベオグラード、トビリシの国際会議を踏まえてやってきているわけですので、そこのところをきちんと入れていただきたいと思います。細かいことは申し上げません。細かいことにつきましては、法律のもとになりました1999年の答申ですね。中央環境審議会に設けられました小委員会で基本的なベースをつくって、それが法律に投影され、そして5つの省庁から委員が出されて基本方針が設定されましたので、そういったところはきちんと押さえていただきたいということです。
  そして今、世界ではこのトビリシの30周年記念ということで幾つかありますし、私も来月には韓国に行ってそこの議論をいたしますけれども、やはりそういったところはきちんと押さえていただきたい。それから文科省サイドで言えば、日本の学習指導要領は世界にないんですよね、これは。いろんな批判はありますけれども、ミニマム・スタンダードとして最低限押さえている、国としては。そして、いろんな教科でやることは、もう学習指導要領、そして教科書を見ていただければ皆さん多分おわかりになると思いますけれども、やっていますので、そういったところはきちんと押さえた文言をしていただきたいと。
  ちなみに学会としては、今ガイドラインを策定しております。これは昨年2月に行いました環境教育学会の国際会議を踏まえまして、そしてまた今年の大会でつくっていくという形で今進めておりますので、そういったものがちょっと反映が間に合わないのは、この答申のまとまるときと、また公にして普及活動をしていきたいと思っております。以上です。

○鈴木部会長 小池委員。

○小池委員 私のコメントは、先ほどの中村委員とあと須藤委員が言われたことと多少ダブっておりますので、それは省いてお話をします。
それで、私もこの中でかなり並列的に書かれているものがたくさんあって、本来ならばそこを重点的にここで議論すべきだと思うんですけれども、やはりそれをえいやとしてしまうのはかなり危険なので、次に25日にやるときは、ある程度皆さんの意見が合っているところというのは、多分もうそれは言葉の修正だけなんですけれども、基本的なことですね、先ほど幾つか出ましたけれども、削減目標をどういうところに置くのかとか、あと多分サマータイムの話はどうかわかりませんけれども、原子力の扱いですとか。それから、あともう一つ私がちょっと気になっているのは、最近のIPCCの第二部会で出ました、2℃と5℃のあれですね。その話をここでも両方の意見が並列されて書かれていますけれども、やはりかなりIPCCのいわゆるポリシーメーカー用のサマリーというのはわかりやすくというか、非常に脅威を全面的に出すような形で書かれていて、実際の本文はやはりまだ不確実性が非常に多いということが書かれています。
ですから、そういう不確実性というのを削減するというか減らす目的でも、先ほど須藤委員の言われたモニタリングですね。それから今、2003年に小泉前首相のお声がかりで地球観測サミットというのが行われて、そこで国際的な枠組みとしてGEOSという、いわゆる地球観測のプロジェクトが動いておりますので、そういう枠組みをうまく使ってきちんとしたそういう体制をつくっていくということが、やはり不確実性を減らさないと、なかなか皆さんの賛同が得られない。そこがやはり一番大きな問題だと思いますので、そういうところを非常に強調した方がいいのではないかというふうに思います。以上です。

○鈴木部会長 これはIPCCの報告書をつくっているんじゃないんですよね。ここはやっぱり我が国がいろいろな背景のもとに何をというところですから、その辺のところも若干。それから、あとアネックスという形にもしなったとしたときに、アネックスはあるいは両論併記の、これまで出された意見を束ねるような意味でのアネックスという手もあり得るかなという。というのは、それをここで詰めますと、多分詰まらないでしょうね。つまらないものになるでしょうし、詰まらないんじゃないかという気もするんです。

○小池委員 そうしますと、10ページか5ページかわかりませんけれども、そのサマリーにはそういうことは入ってこないということに多分なってしまうと思うんですね。あるいは、非常にそれをぼやかして書いてしまう。ただ、そうすると、それを読んだときにインパクトがないということになると思いますので、それはやはりここでそういう方向で行くということが議論できていければ、私はそれはやはりやった方がいいような気がいたしますけれど。

○鈴木部会長 そうですね、おっしゃるところは非常によくわかるんですが、どうしましょうか。ちょっとお伺いしておくということで、次へ進ませていただきます。茅委員。

○茅委員 今、小池委員が言われた3つの話題について全部触れることになってしまうんですが、多分私の意見に反対の方もみんなおられると思うんですけれども。まず、最初が14ページのポスト京都のターゲットの話なんですが、これについてずっと意見が書いてありますが、やはり一番大事なのはコスト・ベネフィットの考え方をこの中に埋め込むことだと思うんですね。コストの概念が全くないならば、温暖化とにかくできるだけ抑える方がいいんで、2度はおろか、それこそ何にも温度が上がらないようにするのが一番望ましいわけです。しかし、現実的にはそれができない。要するにお金がかかる、あるいは努力が物すごく大変だというんで、ある線を引くわけですので、そういった意味でどの線にバランスをとるかというコストベネフィットという考え方が基本的にこの問題を決める場合の決め手であるということを、ここにぜひ書いてほしいというのが1点でございます。
  そしてこれに関連して、これ1つ事務局、具体的には環境省の方々に対しての質問なんですが、実は昨日から今日にかけての各新聞に、政府がアメリカのブッシュ政権とも合意をして、EUの2℃提案とほぼ同じような提案をサミットのときにするんだという記事が出ていたわけですが、私には到底信じられないわけです。現実のお話として、世界全体の二酸化炭素の排出量を2050年までに50%減らすというのは、日本が8割減らさなければいけないということなので、今言ったコスト・ベネフィットの観点から見ても、ほとんど不可能に近い。また、実はIPCCの今度のAR4WG3の結果を見ても、これはほとんど不可能な域に入っているわけです。これがどの程度正しい報道なのか、あるいは全くうそなのか、もし事務局側でわかったら教えていただきたいというのが関連した質問です。
  2番目は、33ページに環境技術のことがいろいろ書いてあるんですが、新エネルギーが書いてあります。この中か、あるいはその次に、脱炭素技術ということをぜひ書いてほしい。これはもちろん、省エネルギー技術も新エネルギー技術もそれに入るんですが、それ以外に先ほどの批判の出た原子力、それからCCS、つまり二酸化炭素の回収貯留技術も非常に重要な役割を果たすわけなので、こういったものをいかにきちんと確立するかということが、今後の大きな課題だと思います。それをぜひ書いていただきたいと思います。
  最後サマータイムですが、私は実はサマータイムの国民会議の代表だったものですから、一応何か言わないわけにいかないので申し上げますけれども、これは一般的に言うと生活の合理化運動だと思っています。例のクールビズも同じで、自然の恵みというものをいかに自分たちの生活の中でうまく使うか。つまり、日の光をうまく使うかという運動としてサマータイム運動があるんで、それによってどの程度の省エネルギーになるのか、これはいろんな計算がありますし、90万キロリッターという先ほどのお話もありますが、そのことも大事ですけれども、むしろこういった我々の生活、ライフスタイルをいかに合理化して、それによってCO2を含めた環境に対して負担を与えるガスを減らしていくかというのが、こういった運動の基本の問題だということだけを強調したいと思います。以上です。

○鈴木部会長 では大久保委員。

○大久保委員 パブリックコメント結果との関係なんですけれども、これ事前に送付していただきましてずっと読んできたんですけれども、そこで確かにそうかなと思いましたのは、この中でなぜ化学物質対策について全然触れていないんだというコメントが何通かありまして、それでもちろんこれはもう前々から議論しているように、メリハリをつけた国際社会に向けた戦略なのだから全部を盛り込むことはできないし、それはこの役割でもないということは確かなんですけれども、じゃあその国際戦略として見たときに化学物質対策が重要でないかということになりますと、当然条約にしてもそれからEU環境法レベルにしても、大変興味関心の高いところでございます。
  それで、それがじゃあ入っていないのかというと、ところどころに3Rのところとか、それから先ほどご指摘がありましたようにアジアでの支援とか、入れるべき項目は幾つかあるわけなんですけれども、どうもそれがはっきりと出てきていないのかなというふうに思いまして、どういうふうに入れる、こういうふうに柱が固まってきている段階で入れ込むかというのが、ちょっと私も具体案が浮かばなくてあれなんですけれども、ひょっとして柱が立てられれば入れた方がいいかもしれませんし、あるいは少なくとも化学物質対策がきちんと盛り込まれているということを、各項目ごとにもう少し書き込むような形で示さないと、国際社会にとって押さえるべき項目が押さえられていないというふうになると困りますので、どこかでやはりそういうふうに読めるというコメントを何通かいただいておりますので、わかるように書き込んだ方がよろしいかというふうに感じます。以上です。

○鈴木部会長 そうですね、検討していただくことに。枝廣委員。

○枝廣委員 ありがとうございます。この環境立国戦略、1つの日本のビジョンに当たるものになっていくと思うんですが、海外にどういうふうに発信するか、世界からどう見られるかという議論も随分してきました。ただ一方で、やはり国内の人たちに対する戦略でもあります。私はビジョンを考えるときに、いつも海辺で見る朝日、日の出や夕日が沈むところでビジョンだなとよく思います。どういうことかというと、海に日が沈むときに海辺に立っていると、真っすぐ自分に光の筋ができるんですね。5メートル隣にいる人のところにも真っすぐ光の筋が行きます。ですから、その出されたビジョンなり戦略が、ああ自分のことだと、自分はこういうふうにそれから何を得ていけばいいんだということがわかる、それがビジョンの出し方だろうと思っています。
そういうふうな形で、各界でいろいろ活動しているそれは科学者であれ、自治体の方であれ、企業の方であれ、NGOの方であれ、あ、これは自分がやっている分野だから、ここのところをこういうふうに戦略としては出ている。だったら自分はこうやって考えていこうと、こうやって行動していこうと、そのそれぞれの行動につながる形で出していかないと、せっかくのものが人々の行動を動かすことにならないのではないかと思っています。そういう点で、これはもしかしたら事務局はもうお考えかもしれないので老婆心からですが、このそれぞれのいろいろなカテゴリーやテーマの整理の仕方を、あるフォーマットでつくっていかないと、ちょっとこのままだとわかりにくいかなと思っています。
多分4つ大きな要素があって、1つはそのテーマに関する、もしくはトピックスに関する基本的な現状及び認識。それから2つ目に、それに関してこれまで日本がやってきたこと、今既にできていること。3番目にこれまでやってこなかったこと、もしくはまだ足りないこと、ここをやっぱりしっかり認識を示すのは大事だと思っています。4番目に、それを踏まえてこれからどうするのか。それは3つの次元が必要だと思っていますが、1つは方向性や方針という大きなもの、それから具体的な行動、それを両方出していくということ。もう一つは、日本として自国の二酸化炭素なり生態系を考えてどうするかということと、海外に対して日本がどう働きかけていくか、この国内、国外という次元。それからもう一つは、短期、中期、長期という時間の軸です。
これから考えるというオプションは、もちろん答えの中に入っていていいと思うんですが、そのような形で整理をしていただくと、これに関してはこう認識してこれがやってできていって、これが足りなくて、これからこうするんだということが私にとってもよくわかるようになると思いますし、それぞれの活動をされている方にも役に立つ戦略になるんではないかというふうに思います。

○鈴木部会長 はい、ありがとうございました。上路委員。

○上路委員 随分前から比べますと、農林水産業というものが環境に、あるいは食料の問題ということの解決のために必要であるということが見えてきたというふうに思います。ただし、農林水産業という言葉がみんなばらばらに里地里山だったり、あるいは生物多様性だったり、あるいは一番最初の食料の問題、貧困問題なんて、そういうところにぽんぽんと出ているだけであって、農林水産業が食料の確保あるいは環境保全と、両方に非常に大きな役割を担っているというのが明確に見えてこないというのがあるので、それをどこかで整理していただきたいというのが1つです。
  それともう一つ、18ページのところに日本型自然共生システム、いわゆる自然環境ということですから、農業自体がそこに入るかどうかというのがちょっと疑問にもなります。里地里山と同様に水田の環境に対する潤いというんですか、そこのところ、水田という言葉が明確に出てきていないんですね。やはり水田というのが東南アジアでの食料生産の大きな役割を担っていますし、欧米とは違った東南アジアの特徴であるということで、水田は入れていただきたいというのが1つです。
  それと33ページのところ。バイオマスのところですけれども、バイオマスに対しての報道が出てきました。そうしますと、環境の負荷を小さくするためにいわゆるバイオマスエネルギーを使うんだけれども、環境に対しても影響があるということで、どっちをとるのかということにもなってきますし、技術開発という意味で非常に重要だと思います。ここの中で、具体的な取り組みに関する意見・提案と、いろいろ並んでいますけれども、難しい問題がいっぱいあり、バイオマスエネルギーを実際に使う場合には、やはりいろんなレベルでの、あるいは省庁を越えた連携が必要であるということを、きちんと強調していただきたいというお願いでございます。以上です。

○鈴木部会長 大変多くのご意見をいただきまして、事務局の方ですべて記録をとっていただいているはずですので、次の段階に至るまでどういう形になるか、楽しみにしていただくということでよろしいでしょうか。先ほど茅先生から質問がありました点について、ちょっと事務局の方でコメントをお願いできればと思いますが。

○谷津審議官 茅先生からのお尋ねで、昨日以来の報道についてのことでございます。我が国として、今後の国際的な場でいろいろ地球温暖化問題を議論していくときのスタンスについてのお尋ねでございました。長期的な目標につきましては、これまで昨年の9月でございますけれども、条約事務局に対する日本政府としての意見書の中で、温暖化防止条約の第2条に究極目標が定められているわけでございますけれども、その究極目標を達成するためには、地球全体の吸収量と排出量をバランスさせる必要があると。そうしませんと、いつまでたっても温暖化がとまらないということになるわけでございます。
  そういたしますと、いつの時点かは別にいたしまして、現在の排出量のレベルから半分以下にまで削減をしないと、地球の吸収する能力とバランスをしない。こういう意味で、排出吸収のプライマリーバランスの確保という考え方に基づきまして、なるべく早い段階でこういった状況を達成するために世界全体の排出量を現在の半分以下にまで削減する必要がある、こういう意見を出したところでございます。このことは直ちに、じゃあ日本が80%削減しなければいけないかということになると、それはまたもう一段別の議論が必要ではないかというふうに考えております。
  それと、昨日以来の報道に関しましてでございますけれども、ことしのハイリゲンダムサミット、また来年の洞爺湖サミット、日本が議長を務めるわけでございますけれども、こういったことし、来年のG8サミットでは温暖化問題は非常に重要なテーマになるということでございますので、総理のご指示のもとで、4大臣でさまざまな検討を行っている状況でございます。しかしながら、報道にございましたような何らかのものを決定したという事実はございませんので、一言ご報告させていただきます。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。

○太田委員 そこまで進んできているので、この危機感という書き方はやや危機があるということになっているので、もう少し進めて何%とかそこまでは詰めてもらう話ですけど、書き方ももう少し進めた方がいいんじゃないかというのが私の意見です。

○鈴木部会長 はい。あと官房長なんかよろしいですか、何か。

○小林大臣官房長 すみません。質問については今、谷津審議官の方からお答えしたとおりでございますけれども、あと意見が分かれているところをどうするのかと、こういうことでございまして、私ども事務局から見ておりますと、分かれている場所、非常に限られておりますので、そこの整理をできるのかどうか、またよく部会長と相談してやってみたいと思います。それからもう一つは、ボリュームもいろいろなご意見があって、体裁についてもややまだご意見分かれていると思いますので、そのことも含めて幾つかトライアルをしてみてつくってみたいと思いますが、今承っていた限りでそんなに意見がむしろ分かれていないところがかなり広いと。そこを根拠に、何か少し良いものにできないかというふうに考えております。それがこちらの方の感想でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。じゃあ政務官の方から。

○北川環境大臣政務官 今日も貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。大臣の方が途中で退席をいたしましたけれども、最後まで残らせていただきました。今日はいつになく和やかな雰囲気で進みました。これも豊岡の市長、コウノトリは幸せを運ぶ鳥ということで、そのおかげかなという思いをいたしながら、皆さん方からいただいた貴重なご意見をこれから反映をして、まとめていきたいと思っておりますが、鈴木部会長のご努力もありまして、皆さん方の意見も取りまとめていただいております。
いずれにいたしましても、これから環境立国戦略ということでありますので、日本の国のこれからのあるべき姿が、この環境立国戦略の中で皆さん方からいただいた意見でイメージができるように、そしてやはりこれからの日本の国づくりの基本になると我々は思っております。ですから、なるべくシンプルにわかりやすいようにと思っておりますし、明治時代の五箇条のご誓文、そして聖徳太子の十七条憲法とか、こういう本当にシンプルにまとめられているものができればいいなと思っておりますし、そういう思いで今後ともまた皆さん方の貴重なご意見をいただきながら、事務局として取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。

○鈴木部会長 ありがとうございました。今日いただきました大変貴重なご意見等をまた加えて、次の段階では(案)というものをお出しできるのではないかと思っております。
  それでは、事務局の方から次の日程等をお願いいたします。

○柴垣大臣官房政策評価広報課長 参考資料4をごらんいただきたいと思いますが、もう何回か話に出ておりますけれども、次回25日金曜日の午前中に第9回をさせていただきまして、そこに提言の原案を示させていただきたいと思っております。それで、その翌週の火曜日、余り間に日がございませんが、午前中に最終的な議論をしていただきまして、提言を取りまとめていただければというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、これで本日の特別部会を終了させていただきます。どうも遅くまでありがとうございました。

午後5時36分閉会