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中央環境審議会
21世紀環境立国戦略特別部会(第4回)議事録


日時:
平成19年3月29日

<議事次第>

  1. 開会
  2. 議事
    (1)
    21世紀環境立国戦略にの策定に向けた特別部会としての提言に関する論点整理について
    (2)
    その他
  3. 閉会

午後3時00分開会

○柴垣大臣官房政策評価広報課長 それでは、定刻でございますので、ただいまから中央環境審議会の「21世紀環境立国戦略特別部会」の第4回を開会させていただきます。
 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、委員総数26名のうち20名の委員のご出席をいただけるということでございまして、茅委員が若干遅れるというご連絡を受けてございます。
 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。資料1に論点整理(案)というものでございまして、資料2が前回ご議論いただきました各委員からいただいたご意見と幾つか追加がございましたので、それをすべてをお手元に配付させていただいております。それから、資料3が今後の日程(案)でございます。そして、参考資料で委員限りで前回の議事録を置かせていただきます。これはご確認をいただいた後でホームページに公表したいというふうに思っておりますので、何なりとお申しつけくださればということでございます。
 それでは、以降の議事の進行を部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、議事次第に従いまして進めさせていただきたいと思います。
 本日は今までご議論いただきました内容、それから提出いただきました意見書等々も含めまして論点整理をしていただきました。これをもとに今後の議論を進めていくための参考資料をこの時点で確認したいと考えております。そのため、事務局で作成いたしました論点整理案、これにつきましてまず事務局から説明を受け、それについてご議論をいただくと、こういうことにさせていただきたいと思います。
 それでは、小林官房長の方からでしょうか。

○小林大臣官房長 官房長の小林でございますけれども、論点整理案を説明させていただきます。
 まず、資料1、目次というふうに書いてございます。この論点整理案につきましては今までちょうだいいたしましたご議論、そして各省も含めましてご提出いただきました資料、そして意見書、そういったものも含めまして整理、編集をさせていただいたものでございます。先ほど部会長のお話にございましたように、今後提言に向けましてご議論を進めていただく、そのための1つの土台ということになろうかと思います。
 中身の意見につきましてはこれまでちょうだいしました意見と重複するところでございます。ちょっとページを一例として見ていただきます、何ページでも結構でございますが、主な意見の概要というようなことで意見が紹介をされております。そういう意味で言いますと、今回新しいところは全体としての構造、こういったようなところ、編集といったようなところが全く初めてとこういうことになるわけでございまして、こうした編集の仕方などを含めましてご議論を賜れればというふうに思ってございます。
 まず、2ページ目を見ていただきたいと思います。検討の背景ということでございます。ここには主な意見の概要等そういうことは書いてございませんが、今までこれは事実関係でございます、どのような発注を受けてこの中央環境審議会で議論が進んできたか、そしてこの先どうなるのかということが書かれているわけでございます。
 2ページの一番最後を見ますと、中央環境審議会は21世紀環境立国戦略特別部会を去る2月に設置し、これまで審議を重ねてきたところであり、今後の審議の参考とするためとりあえずの論点整理を行った。これを一つの土台として立国戦略の策定に向けた部会としての提言を5月中を目途にとりまとめることとする。ということで、今後の道ゆきも含めて書いてございます。
 それから、3ページからが内容になりますが、地球環境の現状と課題ということで、この戦略がまとめられた後、その差を示さなければいけない地球現状の問題といったようなことが書いてございます。基本的な認識として、一番最初に書いてございます3つの柱に現状直面している危機をまとめてございます。地球温暖化の危機、そして生態系システムの危機、資源の浪費による危機というふうに3つに整理をさせていただいております。果たしてこれがいいのかというようなことが当然ご議論になってくると思いますし、また、例えば地球温暖化の危機をあらわすときにどういうふうにこの危機の状況を認識するかというようなことについてもご議論があろうかと思いますが、こういうことにつきましてはこの主な意見の概要というところに入っているわけでございます。
 意見の概要につきましては既にちょうだいいたしたましたところ、ここに置かせていただいたということでございまして、中身の紹介は省略をさせていただきます。
 次に5ページでございますけれども、こういった危機に直面して今後どうしたらかいいかということが書かれてございます。持続可能な社会に向けた取組とこういうことになろうというふうに思うわけでございます。持続可能な社会についてはここの参考といいますかいろいろな側面があるということで、低炭素社会あるいは自然共生社会、循環型社会といったような言われ方をいたしております。これがそれぞれみな持続可能な社会だろうと思いますが、こういったことをいわば縦割りに対応するのではなくて、個別の政策を統合した戦略的な取組を展開していくということが期待されているのではないか、こういったご意見もあったわけでございまして、そういったことがこの主な意見の概要というところに書かれてございます。こういった持続可能な社会に向けた取組、意見が出ておりますけれども、こういった意見をここに置くことでいいのかということがまたご議論の対象になろうかと思います。
 そして6ページ以下だんだん中身に入ってまいります。3番の環境立国の基本理念というところ、この見開き、6ページ、7ページがいわば全体的な総論的なことが書かれておりまして、8ページ以下が今後一、二年で着手すべき重点的な環境政策の方向ということでいわば各論的な整理になってございます。いろいろご発言いただいたのを総論的なことと各論的なことに分けさせていただきましたけれども、その点お許しいただきたいと思いますが、また間違っているところあるいは増やしたいことあるいは減らしたいこといろいろあろうかと思います。ご指摘を賜ればというふうに思っております。
 まず、総論的なことでございます、6ページ、7ページでございますが。1つは基本的な考え方としての日本モデルということで、日本がいわばこれから地球社会、国際社会の中でどういう自己認識の下で役割を果たしていくかということについては多くの議論がなされております。1つ例えば申し上げますと、主な意見の概要、(1)のところの2番目のポツにありますように、我が国はいわば「ミニ地球」ということで持続可能な社会の生きたモデルを創造する上での絶好のフィールドではないだろうかということで、天然資源に乏しい、狭い国土に人口が集中している、そういう中で自然との共生を旨とする自然観や社会経済の発展をもたらしてきた世界に誇る技術あるいは公害克服の経験、知恵、こういった強みがあると。こういうものを生かしながら世界の発展と反映に貢献する品格ある環境立国を創造し、日本モデルとしてアジア、そして世界へ発信することが重要だというようなことが2.3.に書かれてございます。こういった自己認識をしたらどうだろうか。これは意見でございますが、ここに置かさせていただきました。
 そして、その具体的な柱として3つ、(2)、(3)、(4)ということを置かさせていただきました。これも大変貴重なご意見いただいておりますけれども、こういった見出しをつけさせていただいて3つの柱に整理をさせていただいたわけでございます。伝統的な自然観を現代に生かした美しい国づくりということで、自然との共生とか自然を活用しながら守っていくとかそういうようなことについてご意見をちょうだいした部分がここに入ってございます。
 そして(3)、車の両輪として進める環境保全と経済成長・地域活性化。環境保全と経済成長を車の両輪として進めていこうと、こういうことでございます。例えば一番最初に書いてございますように、環境問題への対応は我が国や世界が経済成長と社会発展を持続させていく上で不可欠のものだというようなこと。他方、我が国にはそれを進めていくための人材、そして技術があるじゃないかというようなことが書かれてございます。
 それから、3つ目の基本理念の柱といたしまして、世界・アジアとともに発展する日本ということで、自然との共生という価値観を生かす、そして技術や知恵を生かすというだけでなく、日本一国がいいというだけではありませんで、世界やアジアのために、そして一緒になって発展する日本というのも1つの理念であろうかということでここに置かさせていただいております。
 そういうことを踏まえまして、総論は以上でございますが、各論、ここもたくさん意見をいただいておりますが、全体を8つの柱に整理させていただいております。8つがいいのかとかいろいろご議論があろうかと思います。論点整理でございますから、今後提言に向けて作業をしていく上でのいい土台になればいいわけでございますが、そういった切り口としてこれがいいのかということで見ていただければと思います。
 まず見出しだけ見ますと、8ページの(1)気候変動問題の解決に向けた国際的取組というのが置かれてございます。それは割と長いのですが、12ページにまいりますと次の柱でございますが、生物多様性の保全に向けた国際的取組というのが置かれております。そして、14ページにまいりますと、(3)3Rを通じた適正な資源循環の確保ということが置かれております。そして、16ページが(4)環境・エネルギー技術と経済成長との関係というのがこちらに書かれております。
 そして、18ページがそういうものを踏まえまして(5)実効ある国際貢献ということが書かれてございます。そして、8つある柱の(6)、(7)、(8)が20ページからなんですが、こちらはどちらかというと国内で今申し上げましたようないわば温暖化とか3Rといった問題実証の切り口を離れまして、横割りになってございます。国内にそういうものを落とし込むとこういうことじゃないかということで、6番目の柱、つまり国内の1本目が自然の恵みを活かした活力溢れる地域づくり。そして23ページが7番目でございますけれども、環境を感じ、考え、行動する人づくりということで、先ほどが地域づくり、そして人づくり。そして、24ページが8番目、最後の柱になりますが、環境保全対策を推進する仕組みづくり。地域、人、仕組みといったものをつくっていこうという整理にさせていただいております。
 最初の柱に戻らさせていただきます、8ページでございます。温暖化の部分について大変ご議論いただいておりまして、たくさんの項目に分かれております。[1]世界全体での温室効果ガスの濃度の安定化ということ。そして、[2]国際約束として京都議定書があるわけでございます、この目標をまず達成しよう。それを踏まえて9ページでございますが、[3]京都議定書の第1約束期間以降の次期枠組みづくりというのがどうあるべきか。そして、それを踏まえた、[4]にその中で我が国はどう取り組んだらいいだろうか。そして欠かせない話でございますが、10ページに[5]アジア地域を中心とした途上国支援等、どういう役割を果たしていただくのか、そしてどうやって支援していくのかというふうに、論点を細かく分ければもっとあるのかもしれませんが、大括りにさせていただいたところでございます。
 [1]の世界全体の長期的な濃度の安定化に向けた目標については、いろいろご議論がございました。例えば一番最初にございますように、IPCCの科学的予測に基づいて気候安全保障という観点から積極的に国家的な意識の改変を行うべきだ。あるいはその炭素の出入りの数字等々いろいろなことが書いてございます。3番目の・には中長期目標を設定することが大事ではないかとか。そしてさらに細かい議論もあります。目標についても2度目標がいいとか何ppmがいいとかこういったようなご議論もあったわけでございます。
 この囲いの中には、ちょうだいいたしましたご議論、相互に矛盾するもの、必ずしも一致していないもの、それも論点整理ということでございますから掲げてございます。整理がされてないじゃないかというようなご意見あろうかと思います。また提言に向けて整理をしていかなければいけないと思います。こういった点もご議論を賜れればと思っております。
 それから[2]国際約束としての京都議定書目標の達成ということで、まずはこれをちゃんとやらなきゃいけないということでございます。これについてのご意見がここに書いてございます。
 また、[3]第1約束期間以降の枠組みづくりがどうあるべきかということについての方針的な事項、これもたくさんご意見をいただいてございます。京都議定書を発展させていく、あるいは米国や中国、インドなどによる最大限の削減努力を促す実効性のある枠組みの構築が課題ではないかと、いろいろなご議論があったわけでございます。これが[3]に括られております。
 そして、そうした中で日本としてどう行動していこうかということが9ページの下にある[4]でございます。低炭素社会を世界に先駆けて目指そうというようなこととか。さらに具体的なことについても数字のご議論もあったわけでございます。そういったようなことが、これもまた必ずしも1つに収れんしているわけではございませんが、ちょうだいした意見について順番等こちらの方で考えさせていただきまして整理をさせていただいております。
 そして、次の枠組みとなりますと開発途上国の役割ということも重要になってきますが、それをどうやって役割を果たしていただくための支援をしていくのかというようなことについてのご議論もこの10ページから11ページの[5]に書いてあるところでございます。
 それから、12ページでございます。(2)生物多様性ということで、ここでは3つのまた細かい見出しを立てさせていただいて議論を整理させていただきました。[1]は、日本型の自然共生システムというのがあるだろう。いわば日本モデルというところにもありましたが。この中身を見ていただきますと、みんなが参加していわば共有財産として自然を使いながら管理するというような仕組みのことがここに書かれております。これをもうちょっとブラッシュアップしていったらどうかというようなご意見がいろいろ出されていたわけでございます。
 また、それを今度は世界の目標にどう結びつけていくのかというようなことの議論もあったわけでございます。これが[2]でございます。
 そして、[3]に、日本の国土、そういったアイデアと世界ということを踏まえまして、では具体的に日本の中でどういうような国土設計をしていくかといったようなことがこの[3]にご意見として括らさせていただいたところでございます。
 14ページ、(3)3Rでございます。これも同じようなことでございまして、循環型社会の日本モデルということで、きちっとしたリサイクルをやっていく技術もあるし、システムもあるというようなことでこの日本モデルというものを認識いたしまして、これをアジアを中心に展開していこうと。
 そして、[2]で意見を整理させていただきましたのは、こういったところで日本もそこに安住するだけではなくてもっと技術あるいはシステムをもっと向上させていこうというようなことでございます。それから、数は少ないんですが、3Rを通じて地球温暖化にも貢献していく、対策としてもやっていかなきゃいけない。それにもっと広く国際的に3Rイニシアチブを進めていかなければいけないということで、4つの島に整理をさせていただきました。
 それから、(4)環境エネルギー技術と経済成長でございますが、こちらは3つの島に整理をさせていただきました。[1]は、環境技術、環境ビジネスの展開ということで、環境技術や環境ビジネスをもっと進めさせていく。これはもちろん異論がないことでございまして、どうやってそれを進めさせていくのかということについてここに総論的なことが書かれてございます。こういったご意見はそこに置かさせていただきました。そして、[2]に、エネルギー効率を一層改善していくということでその観点のご意見を置かせていただきました。そして、[3]は特出しになりますが、新エネルギー、これをどうするのかということについてもたくさんご意見がありましたので、これは1つの島をつくってみました。
 それから、18ページでございます。(5)実効ある国際貢献ということで、特に[1]アジアを中心として世界への環境・エネルギー技術をどうやって展開していくかといった具体的なご提案もいろいろあったわけでございます。アフリカ開発会議に関する言及とかODAに対する言及等々ございました。ここに書いてございます。それから、やはり温暖化すると水の問題が一番最初になるんじゃないかというご指摘があって、水に関係するご議論が多かったので、これも特別の島、箱をつくらせていただきました。[2]世界の水問題の解決に向けた国際的な取組というようなことがここにございます。
 それから、20ページ、(6)自然の恵みを活かした活力溢れる地域づくりでございます。この中身を見ていただきますと、全体としては4つの箱に整理をさせていただいたわけでございます。これも大きな論点、もっと細かく立てることができるのかもしれませんが、わかりやすく[1]は郷(さと)づくり、村とか山とか里地とか里山、そういったことにかかわるご議論をここに置かせていただきました。また、都市づくりについてのご議論もたくさんあったわけでございます。これが[2]の箱。それから、先ほど水の話も出てきましたが、水辺についてのご議論も多かったというふうに承知をしてございます。これが[3]。そして、森林(もり)づくりについてもたくさんご意見があったわけでございます。相当細かい点いろいろ出されておりましたが、それが21ページから22ページまで[4]で書かれてございます。
 国内での横串と言ったらいいでしょうか、それの2番目が(7)の人づくりでございます。環境教育、環境学習が大事だというご意見もたくさんございましたけれども、その中で全体としては2つの島に整理をさせていただきました。見出しがちょっと狭いかもしれませんけれども、とりあえず[1]環境教育・環境学習の機会の多様化ということで、あらゆるところで環境教育・環境学習をしていこうというご提案。そしてさらに取組につなげていこうというのが[2]でございます。取組がなされなきゃいけないと、こういうことそういったご意見につきまして[2]の箱に整理をさせていただきました。
 それから、最後でございますが、(8)仕組みづくりということでございます。これは3つに整理をさせていただきました。[1]は市場メカニズムを活用していくことの検討。普通のいろいろな商売、取引の中に環境をきちんと入れ込んでそういった市場メカニズム自体が環境を守っていくということにならないか。それから、[2]の箱といたしまして、税制、金融あるいは企業行動等々におきます環境配慮はそれにとどまらないかと思いますが、そういったものについての政策のアイデア等について。そして、[3]には、例えば予算についてとかというようなことがございます。各種対策を推進するためのいろいろなルールとかそういったことがさらにあるだろうということでそういったことについては[3]に整理をさせていただいたと。
 これが全体のストラクチャーでございます。ぜひ今後提言をまとめていくにあたってのご議論に役立つ整理になっていることを祈ってございますが、どうぞ忌憚のないご意見をちょうだいしたいと思います。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまいただきました説明を踏まえまして、論点整理(案)につきましてご議論いただきたいと思いますが。いろいろ内容的にもある種の階層構造になっておりますので、3つに分けてご議論をいただこうと考えております。
 まず最初の部分は、検討の背景は事実確認ということですのでよろしいと思いますので、2.地球環境の現状と課題、そして3.「環境立国」の基本理念、この2.と3.につきましてまずご議論をいただきたいと思います。続きまして、4.具体的な施策の部分は気候変動問題の(1)とそれ以外の部分、この2つに分けさせていただきたいと思います。
 まずそれでは、2.地球環境の現状と課題、そして3.「環境立国」の基本理念、この2つにつきまして、これをご覧いただきましてお気づきの点等ございましたらご発言いただきたいと思いますが。時間が大変限られておりますので、なるべくインタラクティブな議論をさせていただきたいと思いますので、お一人の発言は1分をめどにお願いできればと思います。ご発言いただきたい方は名札を立てていただけますでしょうか。
 また、全体の枠組みにつきましてもご発言があろうかと思いますが、それはこの部分でお願いできればと思います。
 それではこちらから、石井委員からお願いいたします。

○石井委員 今、鈴木先生が言った2.とか3.に関係する話ではないんですが、大事な話なのでちょっと伺っておきたいと。
 先日、安倍首相が官房長官と若林環境大臣、甘利経済産業大臣、それから麻生外務大臣と閣僚会合を新設してポスト議定書について検討せよという指示を出されました。これと我々が今やっている部会との関係、一体どういうふうになっているのか、そこのところをきちっと説明していただきたいということです。

○鈴木部会長 これは後ほど事務局の方からお答えいただきたいと思います。それでは、上路委員。

○上路委員 まず私は9ページの方に書いてある将来の枠組み、ここのところいいんですね。いわゆる気候変動問題のところの4.のところ。

○鈴木部会長 4.以降は次の段階でご発言いただこうと思っておりますので。2.と3.のところに絞っていただけますでしょうか。

○上路委員 すみません、ではもう少し前のことで言わせていただきます。全体として一人一人の暮らしを見直すとかそういうことが書いてあるんですが、具体性、もう少し数値目標とかあるいはこういうことを国でやりなさいというような目標を明確にする、どこかに明記していく必要があるのではないかというふうに思いました。

○鈴木部会長 はい。大久保委員。

○大久保委員 5ページですけれども、5ページの一番最初の・のところに大変大事なことが書いてあると思います。健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域まで保全されるとともに、それらを通じて私たち一人一人が幸せを実感できる生活を享受でき云々とありますが、ここのところは私は余りに当たり前のことでちょっと申し上げるのを失念してしまったんですが。そのような権利がきちんと保障されるようにということで、健康と環境に関する権利の保障ということが世界的に実現されるべきであるというのをつけ加えていただければと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 はい。太田委員。

○太田委員 太田でございます。現状認識におきまして人類社会の発展が地球環境の容量の限界を超えたという現象上の認識は行き渡ってきましたが、それが現代文明の特性から発した本質的であるという自覚がまだないというふうに思います。科学技術の発達による地下資源、地球進化によって地下に埋められた産物を再び地上に取り戻して大量に使用した結果だというようなことについての議論ができていないと思います。
 それからもう1点。基本的考え方、理念において日本型持続可能な社会の構築を目指すという合意はできているように思いますけれども、その具体的な統合モデルということについて私はやはりSCJ(日本学術会議)のレポートにありますような人類は地球環境系の共進化みたいな大きな枠組みをぜひ考え、さらに具体的には従来の循環型社会、3R循環型社会と申しましょうか、それを拡大した統合的な循環型社会を考える必要があるのではないか。もう1分になったでしょうか。
 もう1点だけ。この次私出てきませんのでそれで1分だけいただきまして。(笑)
  それで、そういう統合したものというのが低炭素社会あるいは現在の3R循環型社会あるいは自然共生社会を統合したものであって、炭素循環を含む物質循環に係る技術開発、これが前2者ですね、それから水循環や生物・生態系をめぐる各種の循環に人類の活動も含めて循環を健全なものとすること、これが生物多様性保全を核とした自然共生社会あるいはアジアモンスーンの思想を含む社会という、この両者によって可能になると、こういうふうに思われます。それを両者を結びつけるものとして環境と経済の両立があるのではないか。それを日本では人口減少下で実践していかなければならない。従来の経済成長と環境の両立ではないということは言うまでもない。こういう枠組みを考えること、それが1つの理念、筋、それから全体の構想につながっていくのではないか。
 大変ピエロみたいな発言になるかもしれませんけれども、ぜひそういう形で私が意見提出した参考文献等をぜひご覧いただければと。大変僣越でございますが、そう思っております。

○鈴木部会長 それでは、茅委員。

○茅委員 5ページに(2)持続可能な社会に向けた取組とあって、例の持続可能な社会の議論が書いてあるんですが。一番大事なことは、単に低炭素社会、自然共生社会、循環社会というふうに並べるのではなくて、どういう条件が持続可能性には必要か。そして、それをかなえるためにはこういう社会がいるんだという形で、単に何となく言葉を並べるのではなくて、きちんとした条件提示をしてそれを示した方がいいと思います。
 例えばハーマン・デイリーの3条件というものはこういうものにたまたま対応いたしますので、こういったことを明確に書いて、そしてその上に人類の発展の意欲というものを同時に常に維持するということを並列して書くと、経済や社会の発展というイメージにもつながると思います。
 以上です。

○鈴木部会長 それでは、杉山委員。

○杉山委員 では、2点ほど申し上げます。まず1点は、3ページの[1]の1つ目の・でIPCCのレポートが引用されておりますけれども、これは研究者の書く報告書だということからすれば、これは例えばぐらいにした方がよろしいのではないか、ロンボルクのような主張もありますので、そちらもちゃんと目を通したということが残った方がよろしいのではないかと思います。
 それからもう1点は、里地里山、いろいろなところに出てきますけれども、後ろの方では都会しか知らない子どもということがありますので、ここはもう少し説明しておく必要はいかがなものかなというふうに思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 須藤委員。

○須藤委員 2点申し上げます。1点は、5ページのところの今の持続可能な社会のところですが。何となくIPCCのB1シナリオをイメージしているようで、それさえいけばいいんじゃないかという印象がとれるので。やはりこれでも安定化しないんだと、やはり基本とある程度の安定化をさせるところ、例えば100年、200年かけてもそうだということを定義した方がよろしいのではないか。これが1点目。
 2点目は、6ページの今の里地里山なんですが、私が申し上げたのは、里地里山というのは里川、里海と一体で構成されるということを申し上げているので、ぜひそのイメージを出していただきたい。特に森は海の恋人と言われるぐらいなので、その辺のところはぜひ入れていただきたいと思います。

○鈴木部会長 関澤委員。

○関澤委員 1点です。7ページの(3)のところでございますが、この2つ目の・の中に「環境と経済の両立」という言葉が入っているんですが、これについては私は賛成なんですけれども。ただ、ここで言っているような意味で、ここで言っているのは環境にその制約を与えればその技術開発が進んで、その結果として環境と経済が両立すると、こういうふうに読めるわけでございますが、これには私はちょっと違うのではないかと思います。環境と経済というのは行動の結果ではなくて、これは出発点、原点だろうとこのように思います。
 特に我が国のようにエネルギーセキュリティの確保あるいは産業の国際競争力の維持を重視していかなければならない国にとって、環境と経済とエネルギーセキュリティの3つがきちっとバランス持って進んでいくというのが基本理念としてふさわしいのではないか思います。

○鈴木部会長 それでは、廣野委員。

○廣野委員 ありがとうございます。2点あります。まず第1に、2.地球環境の現状と課題というところで、この立て方、これ結構ですが。危機という言葉を使っている、これも大賛成なんですけれども。ただ、危機という言葉を使ってある割には余りにも危機意識が少ないなという感じですね。もうちょっと危機意識を高める。
 例えばの例ですけれども、地球温暖化の危機というところに主な意見の概要と書いてありますけれども、そこにちょっと書いてあるので、こういう気候システムの急激な転換といった自然環境への影響を起こすのみならず、大規模な水不足、農業への打撃と、今日の何かいろいろな新聞にもありましたけれども、アジア地域に対するIPCC第4次評価報告書のあれなんかにはかなり食料の減産ということがはっきり書いてあって、やはりそういうことなんかもきちんと書いておいた方が危機意識というのは高まるんじゃないかと。
 それから、第2点でございますけれども、これは2.(2)持続可能な社会に向けた取組というところで、先ほどどなたかからもお話ありしましたけれども、この低炭素社会、自然共生社会、循環型社会というこの3つのとらえ方は側面として結構ですが、ただこれが相互に非常に実は有機的に関連しているということ。有機的な関連性ということをやはりしっかり出していく必要があるのではないか、これが私第2点。
 それから、すみません、もう1点、ごめんなさい。第3点、3.「環境立国」の基本理念というところですけれども、ページが6ページですが、そこで基本的な考え方の日本モデルという、その実は日本モデルを出したいということなんですね。では一体日本モデルは何だろうかということをいろいろ考えて、これは前回にも私申し上げましたけれども、やはり基本的にはここにあります環境から拓く経済成長や地域活性化の原動力と。いろいろな地域を方々回っておりまして、そうい中でやはり私から見る限り、地域の活性化はものすごく重要であって、その地域の活性化は従来型の単なる地域開発ではなくて、単なるいわゆる地域の経済開発だけではなくて、やはり環境から拓いていくということがものすごく重要で、そういうような意識が日本の各地において既に起こっているということ。こういうことをしっかりとここで述べることが日本モデルということになるんじゃないかと思います。
 ありがとうございました。

○鈴木部会長 村上委員。

○村上委員 2点述べさせていただきたいと思います。1つ目は5ページの<持続可能な社会のさまざまな側面>のところなんですけれども、私最初から何度か話をさせていただきました、世界の視点からすると貧困と環境破壊の悪循環を断つという視点はとても重要ではないかと思っていて、今このペーパーは全体的に先端的な技術とか取組というのがたくさん書かれているように思うんですが、グラミンバンクのような貧しい状況を克服するためのグラスルーツの視点というのがとても抜けているのではないかと思いますので、どこかに追加させていただければと思います。
 2点目は7ページ(3)なんですけれども、環境保全と経済成長・地域活性化の両立ということが書かれてあるんですけれども、今のままの経済ルールの上でこの両立というのはなかなか難しいからこの10年COも削減してこれなかったのではないかと思います。この立国の中にも幾つか書かれてあるんですが、グローバル及びナショナルなレベルで経済システムのルールを変える必要性というのを基本的なスタンスとして基本理念として書き込んでいただければというふうに思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 森本委員。

○森本委員 3つほど。1つは、危機意識についてなんですけれども、今首相補佐官の小池さんがおっしゃっていますように、環境問題と安全保障の問題が実は密接にリンクしているという考え方もございます。そういう危機意識に少し欠けるような感じがいたしますので、もう少し強調すればどうかと。
 それからもう1つは、資源の浪費による危機というのが幾つかありますけれども、大量生産、大量消費、大量廃棄という活動様式のみならず、その消費等を行っている場所ですね、都市とかそういう場所を生物的な活性の高いところを改変してきた。土地改変、自然環境の改変ですけれども、そういった土地利用のあり方が再考を要しているという、この辺の認識が必要なのではないかというのが1つございます。
 もう1つは、7ページに(3)車の両輪として進める環境保全と経済成長・地域活性化というのがございます。読んでますとやはり技術でお金がもうかりまっせというそういう形なんですけれども。実は例えば実例を出しますと、豊岡市というのがございます。円山川、非常に氾濫が起こったこの前の水害地ですけれども、コウノトリの再生を通して村の活性化というのをやってます。コウノトリそのものの危機ではなくて、コウノトリがよみがえりつつあるということだけではなくて、実はその低湿地の風土を活かしたもともとの柳行李の産地だったんですね。それを活かして今カバン産地、日本で最も大きなカバン産地は豊岡市なんですね。そういった地域の取組のあり方を通して、コウノトリと共生するということで、例えばコウノトリ米のようなもの、わずかな取組ですけれども次の世代のあり方を示しているすごくいい例ではないかと思います。
 そういう意味で生物多様性というのが何か被害者のような書き方が少し見えるんですけれども、実はベースを考えると非常に人間生存、地球環境のつくっていく、逆につくってきた主人公でもあるという認識は実はもう少し強調されてもいいのかなと思いました。
 例えば地球の炭酸ガスが非常に少ないというのはシアンのバクテリア以来の何十億年かの成果でございまして、こういった認識をもう一度基本のところから認識するというのがこの戦略のパワーをつけるんじゃないかと思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 はい、ありがとうございました。
 1分というのがいかに密度が濃いかというのが大変よくわかりました。これからも1分でやらせていただこうかと。(笑)
  やはりいろいろ大事なところをご指摘いただいたと思いますが、危機意識にやはりちょっと欠ける。これはこれから実際に具体的な文章を最終的にまとめていく段階ではかなりその辺のところははっきり出していく必要があろうかと思います。そして、例えば環境と経済というような問題も含めて、持続可能性とは何かというこの理念をやはりもう少し整理する、これが必要だろうと思います。
 その段階で、環境、経済、そして自然共生というようなものも含めて日本モデルというものをもう少し詰めておかなきゃいけないのかな。そういう意味でいろいろとまたここにありますところに先生方のご意見を加味させていただくということになっていこうかと思います。
 いろいろとありましたが、例えば貧困と環境の問題、これはやはり我が国においてグラミンバンクというわけにもいかない。そうではなくて世界貢献のところで、国際貢献のところでやはりこれは国連の最大のある意味ではテーマでもありますので、貧困というか南北問題というものをどういうふうに我々として認識するかということをきちんとわかるようにしておく必要があろうかと思います。
 いろいろといただきましたご意見はこの次の段階に向けてこれをアップデートするところで取り入れさせていただくことが可能ではないかと思っております。
 1つ事務局から大臣会合との関連、これは大臣の方から。

○若林環境大臣 お忙しい皆様方にこうしてたびたびお集まりいただきましていろいろなご意見を賜ってまいりました。今日は座長のご指導の下に論点整理ということで幅広くまたご意見を賜り、それらの意見をしっかり受け止めながらまとめの方向づけをまたしていかなければいけない、こんな意味合いとして受け止めました。
 私も今日実は参議院の本会議がございますけれども、国対の方の了解を得て、どうしても私が行かなければならなければ駆けつけるけれども、できれば今日の会合は大事な会合なのでぜひ国会の採決の方はご遠慮、出なくてもいいように了解してもらいたいと言って今ここにやって参りました。
 さて、石井委員からのご質問でございますが、この4大臣の会合、協議の場というのを設けたのは、実は私ご承知のようにドイツで開かれましたG8プラス5の環境大臣会合に出席をしたわけでございます。そのときの模様を総理はじめ閣僚の懇談会、地球温暖化問題についての対策本部というのがございますが、そこで報告をしたわけでございます。
 その後、総理の方から直接かかわり合いのある官房長官が中心になって外交問題としてとらえて外務大臣、それから経済発展という角度でとらえて経済産業大臣、それから地球環境の角度から持続可能な社会の形成、そしてさらにローカーボンソサエティというような視点で環境大臣と。そこでいわば論点整理のような形で問題点を整理して、これから来年のG8サミットのホスト国になるわけで、しかもそのホスト国のときに次期枠組みについての方向づけができないと、2012年の第1約束期間が終わった後すき間を開けずに2013年から次の対策に入るには来年の我が国が議長国となるG8サミットがある主導性を持って方向づけをしておかないと間に合わなくなるのでないかとこういう問題意識がございます。そういうことから、今年のドイツでのサミットでいろいろ問題提起がされますので、その問題提起されるこのサミットで我が国が次に受けていく、そして我が国が主要な役割を果たさなければならなくなるときに、我が国自身が地球環境問題についてどういうような基本的な視点に立って政策を進めていくかということを明確にしておかないと責任ある発信ができないのではないかと、こんな問題意識でこのように皆さま方にご足労を煩わせてお知恵を拝借しているところでございます。
 そういう角度で石井委員が言われたこの立国戦略とのかかわりはどうかということであれば、立国戦略というのは幅広い環境問題全体を取り上げながら環境政策の方向づけというのをしていただいた中でこの国際的なかかわり合いの部分を私どもの方、G8サミットに発信をしながら、来年の我が国がホスト国になるG8サミット。また、実はサミットだけで決着するわけではございませんで、G20という会合が並行してございまして、来年の日本のG8サミットの際にそのG20という、途上国も入りましたG20の検討の結果が報告されるというタイミングになっておりまして、その報告を受けてどのような方向づけをしていくかを議長として仕切っていかなきゃいけませんので、そういう視点で国際的な視点を我々として明確に持っておかなきゃいかんと、こういうことでありました。
 そこで、私ドイツのところで会議に出た、いろいろな意見が出ておりましたが、私の印象をお話をさせていただいて、それがいわば総理あるいは関係閣僚の非常に関心の深いこと、関心を呼びまして、それで4大臣でもう少し問題点を詰めたらどうだと、こういうことになったというふうにご理解いただきたいと思います。
 今度の環境大臣会合はG8だけではなくてG8+5ということで中国、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、インド、その5カ国の環境大臣も出てまいりました。やはり鮮明に出ましたのは、途上国といえども今発展途上、大変著しく発展している国々なんですが、これらの国から我々とても経済を成長、発展をさせて、そして豊かな社会をつくり、国民が豊かな生活をしていくと、幸せになるというそういう権利を我々が持っているということを先進国の皆さん方が十分認識してもらいたいと。このような地球環境が悪化してきた元はといえば、先進国が既に達成した豊かな社会、その豊かな社会の形成過程で出てきた種々の問題が地球温暖化に通じ、温暖化の被害というのを実は途上国が受けていると、受けやすいと。そういう関係に立っているということをよく考えてもらって、やはり先進国は先進国としてのさらなる責任を負って、そして途上国の豊かな社会を目指し、幸せを求めているというその途上国に対してもっと技術的にも資金的にも支援をしていってもらいたいんだということが強く出ました。
 当初、ドイツが議長国ですからEUの意識としては次期枠組みとしてキャップアンドトレードといいますかね、そういう排出量制限というようなものをどんなスケジュールでやっていったらいいかというようなことをディスカッションペーパーで書いてあったんですけれども、議論はそこまでいきませんで、もっと基本的なところのやりとりになっておりました。
 温暖化と合わせて、生物多様性も議題になっておりまして、今度のドイツのサミットでは温暖化の問題と生物多様性の問題、これは非常に密接不可分であるので、いわば裏表の関係といいますかね、そういう関係にあるので、生物多様性の問題も議論の対象にしたわけでございます。
 生物多様性の議論の中でも同じようなことが起きまして、例えばブラジルの代表はアマゾンの森林を破壊して、そしていろいろな生物多様性あるいは温暖化に害を与えているというのでブラジルは先進国から批難を受けているけれども、これを保持していくということは大変な負担がかかっているんだということを強調しておりましてね。そういう社会的なご意見も入れてブラジルはかなり伐採量を制限して抑制をしたと。そうしたら、もちろん経済的に言えば木材の貿易収入が入ってこない、あるいはそこで働いていた労働者が失業すると、そういう経済に大変な負担をかけているんだと。だから、生物多様性を保持するという意味でアマゾンの熱帯雨林を保護するということであれば、一体これを保護するために先進国を中心にどういうような手を差し伸べてくれるのかと。そういうことも合わせて議論をしてもらわないと、途上国に多い熱帯雨林その他の自然の保護ですね、自然保護に係るいろいろな経費負担というのもちゃんと議論してもらわなきゃ困るじゃないかといったような議論がございましてね。まとめをするというようなことにならなかったんですね。
 そんな状況を報告しました結果として、少し経済成長、我が国のことだけではなくて、経済成長と環境保全、そして行き着く先はどういう先を想定したらいいのかといったようなことを詰めてもらいたいということになったわけです。
 具体的に言いますと、私の方の主張は、今の京都議定書の義務を負っている国からアメリカが離脱しているわけですね。どうしてもアメリカには入ってもらわないと地球規模の気候変動枠組みの効果というのは出てこないわけですから、アメリカにはどうしても入ってもらわなきゃいけない。と同時に、この数年中にアメリカを抜いて世界一になるであろう中国も入ってもらって炭酸ガスの排出を抑制をしてもらわないと全体がうまく効果があがってこないと、こういうことになるわけですね。
 そういう意味では非常に生々しい話ですけれども、今度温家宝首相が11、12、13と来られます。やはり首脳会議の中で環境問題というのは1つの大きな関心事項になるだろうと予測しています。事実、事務的にはそういう詰めもしております。その後、今度は総理は訪米してブッシュ大統領と首脳会談をするわけですが、そのときにもやはりアメリカも参加してもらうような枠組みを考えなきゃいかんということを念頭に置きながらブッシュとの対談をしなきゃいけないという当面の対応というのがあるわけですね。
 いずれもそれらの国々を代表する先進国と途上国とを結合させて枠組みの中に入ってもらうという条件づくりをして先に進めるのが、実は我が国の大きな責任になるわけで。今EUは大変元気のいい提案を決めて提案をしていますけれども、ああいう提案をそのまま表に出すとアメリカも中国ものってこないという恐れもありますから、我が国の姿勢というのは大変デリケートだろうと思います。責任も重いんです。しかし、だからといって方向性を出さないわけにはいかないと。方向性を出しながら今言った先進国と途上国の間をつないでいくという役割をどう果たしていくかというのが我々の今日本に課せられた大きな課題だと、こう思っております。
 しかし、そういうことの基礎になるのはこの地球環境問題をどう認識し、我が国自身としてよく日本モデルというお話がございました。ローカーボンソサエティというようなものを念頭に置いて、どんな姿を描くかということを中心に詰めていただければいいなと。
 さらに私はドイツの会合のときに、日本は3Rの話を出しまして、この温暖化の問題と気候変動の問題と生物多様性の問題と、やはり循環型社会をつくっていくという3Rの柱というものを立てて、できればそれもG8サミットでの課題に加えて3本柱でやってもらいたいということを注文つけて帰ってきました。
 そういうことでございます。少し長くなりましたが。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 大変難しい課題ではありますが、ここでいろいろとご議論いただきますことを大臣を通じてぜひまた生かしていただくというようなことで。本会議よりもこちらの方を選んでお出でいただきましてありがとうございました。大変明快なご説明をいただいたと思います。
 今の2.と3.の部分に関しましては、特に何か追加のご発言はよろしいでしょうか。
 時間の関係もございますので、4.の今後1、2年で着手すべき重点的な環境政策の方向、この部分を2つに分けてご議論いただきたいと思います。
 まず、やはり非常に大きなテーマでありますが、(1)気候変動問題の解決に向けた国際的取組、この部分。論点整理のペーパーでは8ページから11ページにわたる4ページの部分ですが、これにつきましてご発言いただける方は名札をまたお願いいたします。
 それでは、今度は森地委員の方からお願いいたしましょうか。

○森地委員 1点は、国際貢献とかあるいは世界・アジアというこういう位置づけのときに、一般的に国際と言ったときとアジアと言ったときは空間概念とか具体性とかが随分変わってきますので、少し分離した方がいいのではないか。アジアというその空間の中で何をするかというときは極めて具体的にどこで何をするかというイメージになりますけれども、国際的と言った途端に国際会議に出るものを国際だというようなたぐいの非常に抽象的になりますので、分けた方がいいのではないかというのが1点ございます。
 2点目は、今大臣もおっしゃいましたけれども、アジアの中の発展途上国と言われているところはもう10年前とは全く違います。北京に行ってあるいは青島に行って、あの空気の中で中国人が何を考えているかというようなことを考えますと昔とは全く違いますので、どうも技術支援とかODAとかもちろんそういう会議の場ではお金が欲しいとこういう話が出るんですが、少し違う枠組みを考えた方がいいのではないか。アジアの中でだけ、世界の会議ではなくてアジアの中だけでいろいろな議論をしてどういう環境基準にしようかという議論をするとすれば南北問題の様相が全く違うような格好になってきているかと思います。
 特に水平分業だとか循環型社会だとかこの動きはアメリカと南米とかヨーロッパと東ヨーロッパとアフリカとかと違ってこのアジアは極めて特異な場所ですから、そこにもっとクリアなメッセージとか政策を出せるチャンスがあるのに、どうも国際とかアジアとか発展途上国とか技術支援とか、10年前と同じ枠組みで書かれているそんな気がします。

○廣野委員 ありがとうございます。私3点ありますけれども。まず第1はこの気候変動問題なんですが、これ当然なんですけれども、やはり認識が僕から見るとちょっと足りないなということでちょっとつけ加えさせてもらいます。
 どういうことかというと、地球温暖化問題というのは地球全体の問題であるということ、これははっきりしている。そして、地球全体で責任を負う。だから、いわゆる先進国だとか途上国という問題ではなくて地球全体で責任を負うという、こういう視点をはっきりと入れた上で、その上でしかしながら今の議論でもありますように、当然先進国と途上国の間では異なった責任があるんだということ、これは当然のことであります。これが第1点。
 なお、その中で、やはり先進国自身がそういうことでかなり大きな責任を持っているわけでございますから、当然地球温暖化に関係するいわゆる温暖化ガスの削減モデルについてはしっかりとモデルを提供する必要があるなと思います。やはりいろいろな意味で国内でもそういうことに対して抵抗があるかもしれませんけれども、対途上国との関係で見ると、先進国自身がそういうモデルを提供する、特に日本の場合には日本モデルを提供することによって、今大臣からお話がありましたとおり、そういう面でやはり我々しっかり出すことによって途上国自身もあるいは他の先進国もそれを参考にするかもしれない。特に来年G8が日本で行われますので、そういう意味で日本自身のモデルをしっかりと出す、これが私が考えているところのいわゆる日本の役割ではないかと思っております。
 それから同時に、中国、インド、ブラジル、メキシコ、こういう国々が途上国の中でも特に温室効果ガスを大量に排出しております。やはりそういう国が何らかの格好で我々の言っているような国際的な1つの枠組みに入ってくれることが最も重要なんですが、そういう場合に単に入れ入れと言ったってなかなか入れない。そこで、ではどうやったら彼らが入りやすくなるかというそういう仕組みをつくってやるのが我が国が特に、先ほど大臣からお話がありましたとおり、単なるEUのようなああいう格好でポンポンとやるんじゃなくて、やはり我が国は昔から先進国と途上国の架け橋であるというそういう言い方をしてきましたけれども、そういう面でやはり日本がもっともっと途上国のニーズにしっかり論点を得たような格好でそれを取り入れて、それがまた先進国からも受け入れられるというような形でもってそういうものを積極的に出す必要があるかなと。
 これ実は昨年、それから今年と2回にわたって、これは特に対東南アジア、インド、それからアフリカ、それから中国とこの4つの地域に関係する日本の環境教育のあり方ということをたまたま私その仕事をずっとやってまいりまして、そういう中でもいろいろなモデルを提供いたしましたので、またぜひそれをご参考にしていただければと思います。
 それから、そういう大きな排出をしている国でない国、特にアフリカなんかそうですけれども、こういうところはまた違ったやり方がありまして、そういうものに対して一体日本がどういうような協力ができるかということ、これはちょうど来年TICADというアフリカ開発保護の協力のための会議が東京で、東京かどうか知りません、少なくとも日本で行われますので、そういうときにもそれが利用できますので。ぜひそういうので具体的なあり方をぜひ提供していただきたい。
 それから、最後に、やはり気候の安定化ということ、これ最も重要です。そういう中で温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスをとるということが書いてあるんですが、バランスをとるという視点は当たり前のことなんですけれども、もうちょっと弱いかなと。今現に起きていることの状況を見ると当然バランスがとれていないわけですけれども、やはりそこで私は一方でエネルギー原単位の効率を高めると、これは当然のことでございますけれども、それと並んで排出量の総量規制と総量削減というようなことがこれからの中では非常に大きな課題で、それがしっかりと我々自身が言えないと、対途上国に対してこうせえ、ああせえということがなかなか言えないよということで、やはりそこをきちんと日本の姿勢を出す、それが日本のモデルであると、そんなふうに考えております。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 平野委員。

○平野委員 ただいま大臣並びに廣野先生からお話ございましたのと共通する部分が多いのですが、私もやはり2008年のG8サミット、これを日本が主導していくという観点からこの会議はやっているわけでございますが。そういう意味では2点ほど大事な点があるんだろうなと思います。
 1つは、今もお話がございましたように、日本型のモデルというのは何なのかという主張をはっきりすべきだというふうに思います。例えば先進的な技術を使った問題の克服ということをこれまで日本はやってきた、それを正面に出す。それを例えば今も話題になっておりましたアジアの諸国に対して移転していくんだというメカニズムを今回ポスト京都議定書の骨格にすえるんだというような明確な主張がやはり1つ必要だろうということを思います。
 それともう1つはやはり論点の絞り込み、これが大変大切だと思っておりまして。今回も8点いろいろと論点をこれから整理していただいているわけでございますけれども、やはり一部捨てるものがどうしても必要なんだろうなというふうに思っております。
 あとはこの温暖化ということで具体的に9ページのあたりで意見を申し上げますと。これも今お二人からお話があったとおりで、アメリカ、中国、インド、これをどうやってこの枠組みにのせていくのかと、これが最も優先的な課題だろうというふうに思います。そういう意味では確かに目標の立て方、これは総量規制なのかどうかというような点はございますけれども、彼らも参加しやすい目標の仕方、場合によってはそれを経済発展の段階によって変えるといった考え方もあるのかもしれませんけれども、その辺の柔軟性も確保しながらやっていくべきだと。そういう意味ではこれまで例えば日本の産業界で極めて有効に機能してきたエネルギー原単位での数値目標というものを引き続き認めていくといった柔軟なアプローチが必要なのではないかと。いたずらにEU型の高い目標を掲げてそれにシャインすればよいというものだけがよいわけではないだろうと。
 特にEUの主張には東欧というある意味で日本にとってのアジアを内側に抱えているという特殊な事情、これを反映した主張、ある意味でしたたかな外向的な主張であるという面を我々は見抜いた上で会議を主導すべきだというふうに考えております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 短くお願いできますか。

○中村委員 2点お話ししたいと思います。10ページの上の方に2050年の目標値、50%削減という話と、4つのポイントのところに民生部門で50%削減2つありますが、この2月に出した低炭素社会のところでは70%削減という高い目標が可能であるということを言っておりますので、基本的にはその全体で70%削減、その中の民生部門が50%削減というふうにきちっとするべきではないかと思います。
 2点目は、先ほどの大臣のお話にもかかわりますが、途上国支援との関係で言えば、何らかの技術移転をするというこちらからの与えるという形ではなくて、彼らにも現実を見つめてもらって研究を一緒にしていきたいと、一緒にしていきましょうという呼びかけ型あるいは参加型という形での方が効果があるだろうというふうに思います。
 以上です。

○鈴木部会長 関澤委員。

○関澤委員 2点ございます。1点はこの中の10ページの上の2つ目の・のところにありますが、欧州並みに日本も2020年時点で20%削減すべきだ、あるはい2050年時点で50%、70%という意見が聞かれますが、そもそも日本と欧州のエネルギー効率の格差というのがあると思います。欧州がエネルギー原単位を20%削減しても今日本のエネルギー原単位の方が優位にあるという試算もありますので、日本も欧州並みに削減すべきという議論を行う前に、現時点の日本と欧州のエネルギー効率についてデータに基づいて客観的な分析をすることが大事ではないかと思います。
 2点目は、もう先ほど来出てますので簡単にしますが。先進工業国は過去に対してそれは責任あるというのと同様に、私は中国、インド等の新興工業国、これは地球環境の将来に向けて先進国と共通の責任があると、このように思います。10年前に例えば鉄鋼業でいきますと、京都議定書ができた時点では日本の鉄鋼生産は中国と同じでございました。それからたった10年を経た今どうなっているかと言うと、中国の鉄鋼生産というのは日本の約4倍、世界の4割近くを占める生産量でございまして、世界ナンバーワンの鉄鋼大国になりました。こういったところが削減義務を負っていないということはやはり何とかしないといけません。それは先ほど来出ておりますように、技術、エネルギー効率向上に有効な技術の共有化をするとか、あるいはベンチマーキングを実施する。あるいは削減ポテンシャルの明確化をしていくとか、こういうことによって日本は積極的に中国を初めとするこういった新興工業国に協力をしていくべきだと、このように思います。
 以上です。

○鈴木部会長 須藤委員。

○須藤委員 10ページの途上国支援のところで2点申し上げます。1点目は、技術移転の問題ですが、これはなかなか具体的に進んでいないのでもう少し具体的な表現をしていただいて、例えばODAとかCDMとかちょっとは書いてありますけれども、具体的なことを述べて進むようにお願いをしたい。
 2点目はご存じのとおり、途上国は水質汚濁も大気汚染もすごいですよね。そういうことの対策と合わせて、この充実強化と連携して省エネルギーの対策を導入する。例えばよく言われる高ベネフィットというんですかね、こういう対策が必要なので、頭から温暖化対策ではなくてSOX対策やNOX対策だったり水質汚濁対策と合わせてこれをやるということがよろしいのではないでしょうか。

○鈴木部会長 杉山委員。

○杉山委員 2点です。8ページの4.の冒頭で短期の議論と長期の議論が2つありますよ。ここではその中から短期ですよということを明確にしたものがわかりやすくなるのではないかなと思うのが1点です。
 それからもう1点は、10ページの[4]のところの4つ目の・の理想社会像というこの言葉ですけれども、その前の地域産物地域利用50%、これが理想像であるということになりますと経済学者の反発が予想されます。比較優位の原則を否定するということにもなりかねませんので、この表現はもう一度ご検討いただければと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 小池委員。

○小池委員 2点あります。1つは、9ページ目の[4]の将来の枠組みですけれども。私はやはり、先ほど大臣がおっしゃったことですけれども、先進国の責務というものをやはりはっきり明示的に書くべきだと思います。それで、その上で途上国を巻き込むとしないとやはりこの問題はいつまでも解決しない。
 それから、その次のページですけれども、途上国の支援というのはやはり今アジアの途上国を見ますと非常に同じ国内でもばらつきがあります。例えば中国でも上海の方と奥地の方とは全然別世界です。ですから、やはりこれをきめ細かくしないと1つの国だけという考えでやっていると多分うまくいかないだろうというコメントです。

○鈴木部会長 茅委員。

○茅委員 最初の8ページのところで温室効果ガスの濃度の安定化という括りになっていますが、この安定化という問題はここでは科学的な影響と数字だけの議論になってますが、本来安定化というのは戦略だと思うんですね。つまり、具体的にどう行動するかということで単に科学的な問題であれば温暖化を抑えれば抑えるほどいいので、温室効果ガスをゼロにするというのが一番望ましいわけです。その意味でやはり戦略と組み合わせてどういうストラテジーを取るべきかということが安定化の議論になければ意味がないので、ここではむしろそういった立場からどういう条件を満たすような安定化を行うべきだと書くべきだと思います。
 私としては前回も申し上げましたように3つの条件があって、1番が温暖化に対して余りシリアスでない影響を与えること、これは危険でないということと同じですが。2番目に、発展途上国の参加の可能性が何らかの意味で担保されること。多分ノーリグレット戦略と思いますが。それから、先進国が何らかの意味で実行可能であること。この3つをつけて、その上で数字を議論するのが筋だと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 大久保委員。

○大久保委員 政策手法について申し上げたいと思います。温暖化対策としては、まず適切な規制をした上でという中身は具体的には、例えば日本で言いますと民生業務部門のように従来有効な規制が十分なされていない分野を強化するとともに、当然のことながら経済的手法と自主的取組を実効的に組み合わせていくことが重要かと思いますけれども。その前提としては、誰がどのくらい何を出しているのかということがあらゆる人の目に明確にならなければフリーライダーが発生する。経済的手法そのものが有効に動かないということになるかと思います。
 そこで具体的に何を言いたいかと言いますと、排出情報の適切な把握の仕組みとその公表の仕組みの確立ということです。これは多くの国では最近では公共企業、ガス、電気、鉄道といったものが国と同様の情報公開が義務づけられておりますし、また行政が持っている排出情報は営業の秘密を理由として非公開にはできないという原則が確立しつつあります。そのような、だれが何をどのくらい出しているのかを正確に把握し、目に見える形にすることによって一生懸命努力している人が努力していると認められ、そしてまた陰でフリーライダーが発生しないことになるのではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 上路委員。

○上路委員 今の大久保委員の関係にしたことが1つ、そしてもう1つほかのこと。今、大久保委員の方からいろいろな民生部門での明確にしてというようなことを言われましたけれども、1つの考え方として環境情報というものをきちんと共有化しておくことが必要なんじゃなかろうかというふうに思います。どういう状況にあって、それでその問題を解決するためにどういう行動をするかというその基本となるような環境情報をみんなで国内あるいはそれをもとにして国外にどう対応するかという環境情報というものを共有化するということの必要性があると思います。
 それともう1つ、10ページの方ですけれども、いわゆる国民が一体どうすべきかというところを見ますと、どちらかというと産業側にいろいろな形で技術をつくっていただく、技術の普及をしていただくというようなところが強いように思います。それも必要なんでしょうけれども、民生部門としてやはりライフスタイルを変えるというようなことも重要なことだと思いますので、それはきちんとしていただければありがたいと思います。
 環境対応型の自動車の普及というここもとても大切なことなんですけれども、我々が自動車の利用をもう少し差し控えるとか明確な目標というんですか、あるいは24時間スーパーが開いているとか我々の日常生活が余りにも便利になりすぎてしまったと、そういうことを見直すことも必要なのではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 石井委員。

○石井委員 最も申し上げたいことは、廣野先生や平野さんがもう既におっしゃっていることで、やはり米、中、印、どうやって枠組みにのせていくか、また彼らが入れるような仕組みをつくる、どういう仕組みをつくったらいいのか、そこが一番大事だと思います。そのためにはやはり具体的に何ができるのか、どういう案があるのかというのを今後話し合っていかなきゃいけないだろうと。
 それに当たって、先ほど茅先生も3つの条件、ストラテジックな条件というのを提示されていますが、一応外向的な判断はかなり重要だと思うので、各関連省庁、外務省、経産省、環境省それぞれから米、中、印を巻き込むような枠組みとして、枠組みを提示するにはどういうようなものが考えられるかというのを1つ出していただくというのも案かと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 大変難しい課題がいろいろ出てまいりましたが、やはり日本型モデルというようなものとして、これは前半の2.と3.のところにもかかわるわけですが、温暖化に関して一体何をきちんと確立するのか。多分これは少人数といいますか私が一人で書き下ろしてよろしければ何かつくれると思うんですが、なかなかこの辺で合意をとるというのは極めて大変なような気がいたします。
 しかしながら、そこでやはり忘れてはいけない視点というものを幾つかご提示いただいたわけで、特に世界に対するある意味では日本の責任、貢献をどうしていくのか。それとやはり違う枠組みでアジアに対してはどういうメッセージをきちんと発信するのか。そこはやはりアジア諸国は大変これに私は注目されているところもあると思いますので、日本の立ち位置をきっちりと示すということが必要だろうと思います。ポスト京都に関しての米、中、印、メキシコ等々はこれはもう当然のことなんですが、それを一体どういう仕掛けでやるのか。そのときに例えば今のAPPのようなセクターベースのいろいろな考え方であったり、あるいは全く違うCOのいろいろな算定の方法もあり得るかもしれませんけれども、そこに多分この立国戦略で踏み込むことは時間的にもできないだろうと思う。そこはですからそういう形できちんとどこかで検討していくとして、この戦略としてはやはり日本の気構えというんでしょうか積極的な意思を表明するというようなところになるのかなと、そんな感じがしないでもありません。
 この辺はまた実は2.3.のところにもかかわりますし、この後の4.の後ろの部分にもまた国際的な貢献であるとかいろいろなところにかかわってきますので、またご議論をいただくことになろうかと思います。
 目標として例えば50%、70%というような数字を一体どういうふうに設定し得るのか、そういう形で設定するのが果たして適切かどうかというようなことも含めてもう少しご議論をいただかなきゃいけないかなと。現段階では論点整理ということでありますので、その辺を一応お出しいただき、また後で出てまいりますが、委員会外からのいろいろなご意見も受けるということを考えておりますので、その辺を含めてご議論をいただければと思っております。
 では、時間もございますので、次の4.の(2)以降、これを全部ひとまとめということで大変恐縮なんですが、12ページ以降、特に(1)と(2)と(3)というのはこの気候変動問題、それから自然生物多様性の保全、そして3Rを通じた資源循環の確保、この3つはその前半の部分を受けてここに具体的な施策ということで述べられておりますが。その後の(4)から後ろの部分はどちらかというとすべてにある意味ではかかわってくる、横串に相当するようなテーマ。これもまたそれぞれが独立ではなくてそれぞれがかかわっているという非常にいろいろな意味での複雑な構造となっておりますが。
 (2)以降のところ、12ページ以降につきましてまた先生方からご意見をいただければと思います。名札を立てていただけますでしょうか。
 では、今度はこちらから。大久保委員から。

○大久保委員 2点ございます。1点は、生物多様性ですけれども、この点に関しましてはそもそも政策策定の前提となる環境情報そのものが非常に極めて貧弱な状況にあると言えるのではないかと思います。そこで、日本で言えば地方公共団体にはそのような財政的な可能性も少なくなっておりますので、きちんとした情報を収集できるような仕組みを確立する必要があるのではないかということが1点。
 第2点目は、産学共同の推進ですけれども、これ現在23ページのところに[2]国民による取組の展開というところに入っておりますけれども、当然国民が取り組むと同時に国としての取組、仕組みの確立というものも必要であると思いますので。25ページの[3]のところに産学共同の仕組みの確立。それは具体的に何かといいますと、国際的なグローバルスタンダードといたしましては環境情報アクセス権、行政決定参加権、地方アクセス権の保証という3つがその構成要素になっておりますので、そのような仕組みの確立というものを国はすべきであるというものを入れていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 太田委員。

○太田委員 12ページ、13ページあたりのところで意見を言いたいと思います。まず、里地里山という話がよく出てまいりますけれども、やはりこれは省庁のいろいろな言い方があるんでしょうけれども、森林という言葉が余りにも少ない。やはり世界へ出していったときにいろいろ壁を考えると森林という言葉が出てきていないというのがちょっと奇異な感じがいたします。樹林とかいろいろな言い方があろうと思いますけれども、やはり一般論としては森林ですので、その森林をどうするかということをもう少し触れていただきたいなと思います。
 まずそれは世界の問題全体として植物現存量、これは一番森林が大きいんですが、それを増やすという地球の上で増やすということも非常に基本的な問題というか蒸発散を通じて気候の問題にも対応しますし、COとは別に対応しますので、そういう森林の量そのものをものすごく増やすということも非常に重要なことですし。またその森林は健全な森林生態系を維持、造成する、維持するあるいは造成する、元へ戻す、これも生物多様性の保全の非常に大きな柱でございますので、やはりそのあたりのところを。
 さらに17,8ページでしょうか、国内においては美しい森林、森づくりですかというのが出ておりますが、世界に向けての部分についても水の問題だけではなくてやはり森林の問題に対して日本がどういうふうに貢献していくかということもやはり、短い文章でもそういう項目がいるのではないかなとこういうふうに思っております。
 以上でございます。

○鈴木部会長 それでは、小池委員。

○小池委員 12ページです。日本型自然共生システムというタイトルですけれども、私は生物多様性の場合は日本型というのはちょっと感じがおかしいかなと。この中にも書かれていますけれども、基本的にはアジアモンスーンで共通したいろいろな自然共生系があって、日本もその一部ですね。これを英語に訳したときに一体日本型と言ってみんなわかってくれるかどうかというのははなはだ疑問で、この辺の書き方はやはり少し工夫された方がいいんじゃないかというふうに思います。

○鈴木部会長 杉山委員。

○杉山委員 1点だけです。24ページの[2]の2.の環境税の導入ですけれども、非常に大きな政策論議になろうかと思います。結果として負担増になりますので、その負担増を納得してもらい得るような説明の仕方。例えば導入効果としてこれこれこういうことが期待されますよというようなシミュレーション分析を環境省がやっておられるとしたならば、それをデータとして裏づけるような形でされたらいかがかなというように思います。
 以上です。

○鈴木部会長 須藤委員。

○須藤委員 3点申し上げます。1点目は、生物多様性の中に光の問題を入れていただきたいと思います。というのは、日本は明るすぎますよね、どこへ行っても明るくて。先ほど環境大臣が表彰されたホタルの研究をした中学生がいるんですが、10ワット超えるとコミュニケーションできにくくなるというような発表があって、その地域は特にコミュニケーションの必要な時間だけ照明をやめるというようなことも実はございます。
 そういうことで、ちょっと余りにも明るすぎる、ライトアップ、それから24時間営業、この辺のところをCOの規制ということで言ってしまうと角が立つので、何か自主的な枠組みをつくっていただきたい。あるいはまた人間も同じですが、サマータイムの制度なんかもこの辺に入れていただきたいというふうに思います。
 それから2点目は、3Rのところですね、これごみは中心なんですが、私は3Rというのは水もかなり3Rが大事だし、途上国に行ったら私は3Rというのは水の方が重きがあるかもしれないので、ここが読み取れるようにしていただきたい。
 それから3番目は、地域づくりの中で以前に団塊の世代のことを申し上げたんですが、団塊の世代を地域づくりにやはり同じように活用いただきたいと。
 以上、3点でございます。

○鈴木部会長 関澤委員。

○関澤委員 2点申し上げます。14ページの3Rのところでございますが、この[2]の中に3Rの技術とシステムの高度化の中に触れてありますが、もうちょっとまとめて書いてもらいたいのは、やはり資源の少ない日本においてゼロエミッションとか社会で発生する利用可能な廃棄物を極限まで有効に活用していくと、こういうことをエンカレッジするような枠組みをぜひ構築していくべきだろうと思いますので、そういった方向の言い方を何か入れるべきだと思っております。
 それから、この中の最初の・のところで、資源生産性のさらなる向上を云々と書いてありますが、種々の客観的な評価基準というのがまだないのではないかと思います。こういうことをするためには定量的な判断基準が必要になってくると思います。
 それから、24ページのところでございますが、市場メカニズムのところで、これも先ほどちょっと出ましたが、環境税とか排出量取引の話が出たんですが、これはもう今までさんざん議論されて論点も相当明確になっている。すなわち環境税については消費抑制効果が明らかでないし、それから排出量取引については日本のエネルギー効率を反映していない国別のキャップの下では、そのキャップというものが各産業企業に対してそれをかけても不公平になるだろうと、こういう観点から、私はこういった議論はもうしないでいいのではないかと思います。すなわち、環境税や排出量取引制度は導入すべきではないと思います。
 今後はそういったことよりも、むしろ環境・省エネ技術、移転していくとか、あるいは日本がイニシアチブをとってそういった対策を開発していく、こういったことを主張していく方がいいだろうと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 田中委員。

○田中委員 3Rイニシアチブに関連して3点だけ述べさせていただきたいと思います。1つは14ページ(3)のタイトルですけれども、3Rによる「資源循環と適正な廃棄物マネジメント」にしてはどうかと思います、内容的に。それが1点。
 それから2点目は、最近廃棄物に関連した技術開発としてPCB廃棄物、それからアスベスト廃棄物、これらが随分進歩して、これらの技術の移転やあるいは各国に適した技術開発、共同開発、こんなことが重要ではないかと思います。それが2点目。
 それから、3点目は3Rのリデュース、リユース、リサイクルはあらゆる分野の人たちでやらなくちゃならない。生産者、生活者、廃棄物マネジメント。特に生活者が生活様式を変革してみんなで取り組むというそういう趣旨のことを中に入れていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 中村委員。

○中村委員 16ページ、17ページに関連して申し上げます。それぞれの民生部門のエネルギー効率の一層の改善というところでは、それぞれの部分の効率をよくするということを今までずっとやってきましたが、もう少しこれが総合的にあるエリアであるとか技術にしても幾つかを絡み合わせて複合的な技術、総合的な技術というものでこれがさらに大きく飛躍するということも入れていただきたいと思います。
 それから、17ページの上の方に、それも関連ですが、太陽光、風力、バイオマスというような新エネルギーと書かれていますが、これもエネルギーの問題を考えるときに新しく開発されるエネルギーということだけではなく、パッシブエネルギーとか、そのものの置かれている環境をどう生かすのかということを考えていくと、本当に化石燃料は使わなくても済む社会が生まれるということもありますので、その辺を加えていただけないかというお願いです。

○鈴木部会長 平野委員。

○平野委員 私も24ページで2点でございます。既に何人かの方がお触れになっておられますが、まずキャップアンドトレードの問題でございます。関澤委員がおっしゃるとおりの問題がキャップアンドトレードにはございます。しかしながら、やはり環境保全を考えていく上で市場メカニズムをどう活用するかというのは極めて重要な論点というふうに考えておりまして、やはりこのメカニズムを新たに構築していくためのスタディとその試みを続けるべきだろうというふうに思っております。
 そういった観点からは、最近欧米での論調としては、クリエイティング・ロングターム・グリーンハウスガス・リダクション・バリューという長い言葉、長期的な温室効果ガス削減への取組とか商品に価値をつける仕組み、そういう枠組みをつくったらどうかということで。炭素に価値、価格をつけるだけではないような手法を何とか編み出せないかということが議論されているようでございます。
 今日の日刊工業新聞で報道されておりますけれども、4月中に欧州に官民の調査団を排出権取引でお出しになるということで、こういった機会にぜひそういった新しい枠組みへの取組というのを私どもも進めてまいれればというふうに考えております。
 それから、税の問題、これは繰り返すことはいたしませんが、やはり環境税の効果というのは価格効果も今のようにエネルギー価格が高くなってまいりますと本当に有効なのか、それから税収の活用政策についても納得のできる有効な施策がとれるのか。それから、炭素リーケージの問題、これは直接的な問題だと思いますけれども、が助長されるのではないかといったさまざまな論点、このあたりの課題を解決していく必要があるだろうというふうに考えております。
 以上です。

○鈴木部会長 廣野委員。

○廣野委員 僕も2点です。ともに16ページなんですけれども。(4)環境エネルギー技術と経済成長というところです。実は明日からワシントンDCでもってアメリカとEUの首脳が集まりまして大きな会議をやるんですけれども、その会議の中心は欧州とアメリカとの間で40部門におけるところの新しい技術の国際標準化をやろうということなわけです。その国際標準化の中でトップにあげられているのは化石エネルギーの問題、それから再生利用可能なエネルギー、こういうものを含めて40の部門におけるところのいわゆる技術の国際標準化をやろうということがEUとアメリカのトップレベル、大統領が向こうのEUの方のトップと合意しました。
 それに従って、40の分野におきましてそれぞれかなり各国でもってネゴシエーターを任命しまして、このネゴシエーターは学者的な感覚を持った方でなおかつ政府に力のある方、産業界をリードできる方というそういう3つの条件がありまして。この3つの条件をパスした方々がそれぞれネゴシエーターになって、40人のネゴシエーターがアメリカで任命され、また40人のネゴシエーターがEUで任命されます。そういう方々がこれから国際標準化をやっていくわけですので、我々のこのところに実は[1]環境技術、環境ビジネスの展開というところに国際標準化への貢献を意識した環境協力の展開と書いてあるんですが、これは余りにも私から見ると過去のことであって、やはりもっとこれに対して積極的に日本として、アメリカとEUはそういうことをやろうとしているわけですから、これは明日から始まりますので、ワシントンDCで。だから、そういうことで日本としてでは一体何をやるのかということをもっときちんとやることが重要かということで。
 ぜひ、ここでも若干先ほど私一番最初に申しましたように、危機意識が足りないなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。
 それから2番目ですけれども、先週バンコクで実は再生エネルギーの会議があったわけですけれども、そこで日本の今この[3]のところでバイオマスと書いてあるんですけれども、実はこの点についてかなり途上国の方から心配であるということを言ってました。それはどういうことかというと、日本自身がバイオマスについて一生懸命やること、これは結構であると。ところが、もしアメリカとかいうところがやるような格好ではなくて日本がバイオマスに必要なものの資源を外国から輸入するということにもしなるとする。例えばトウモロコシその他ですね。そんなものになるとすると、当然特にアジアの国ではもうこれ以上作付面積を広げるために森林を壊さなきゃいけないと。森林を壊すということはこれはまたほかの大きな影響があるわけであって。そういう意味でバイオマスの問題につきまして日本が国内だけでやるのは結構だけれども、それを海外に依存しながらやることになってくると相当途上国の環境破壊にも結びつくということを彼らは言っておりました。
 これはUNEPも同じことを言っておりまして、この点がかなり彼ら危機感を持っておりますので、ぜひ日本としては途上国に対してそういう格好で環境破壊をするような格好ではやらないようにしていただきたい。
 以上です。

○鈴木部会長 村上委員。

○村上委員 はい、ありがとうございます。大きくは2点、特に環境教育についてはさらに2点お話をさせていただきたいと思います。まず1つは、23ページの環境教育の記述のところなんですけれども、環境教育・環境学習というふうに書かれているんですが、私からはここに持続可能な開発のための教育、エデュケーション・フォー・サステイナブル・ディベロップメントというタームをぜひ入れていただきたいと思います。それは単に私の団体がそれを進めているからというつまらない理由ではなく、2つの理由があります。
 1つは国際的な動向の中で環境教育というのは持続可能な開発のための教育に発展していくものであるというふうにとらえられていて、大きな世界の流れとしてESDというふうに表記していくことは重要であると思います。また、日本から提案したことでもあるということ。そして、G8にこのペーパーを提出していくという意味で途上国の人々、海外の人々により深く理解していただくためにも日本がESDに取り組んでいるということを記述するということは大切だと思います。
 2点目は、国内でもESDに対する関心というのは徐々に広まってきていて、環境教育という書き方をすると、今まで環境に関心のあった人からなかなかそれを広げていくことができない。ただESDになると人権や福祉や多文化共生やさまざまなテーマに取り組んでいる教育分野の方々が環境にも関心を持ってくる、そういう可能性を秘めています。ですので、ここではぜひESDというタームを入れ込んでいただければと思います。
 それから、ここに環境教育を進める上でのさまざまな提案が書かれているんですけれども、個別の活動を進めていく施策というのは既にあるというふうに思います。森林教育ですとか水辺の環境学習ですとか田んぼの学習ですとか、さまざまな省庁もその取組に積極的にかかわっているわけですけれども。それがなかなか教育現場とうまくつながっていないということが課題であり、そのつなぎ役が重要であるということは小澤先生が座長を務められた中環審の1999年の答申にも書かれてありまして。そこのつなぎ役であるコーディネーター、地域と教育を結ぶコーディネーターというのをこれから設置していくということを提案の1つとして加えさせていただければと思います。
 2点目は温暖化についてです。17ページにRPSのことなども書かれてありますが、例えばもっと自然エネルギーを展開していくために固定価格の買取制度なども取り入れて、自然エネルギーの積極的な投資を促すようなことも重要ではないかと思います。それを含めて経済的な施策というのはとても重要だと私は思っております。
 先ほどから何名かの委員から否定的な意見があった環境税の導入ですとか、キャップアンドトレード方式の問題ですとかございましたけれども、環境NGOとしてはこれはとても重要な施策だと考えておりまして、ぜひ今後のヒアリングの中で専門的に自然エネルギーや気候変動に取り組んでいる環境NGOの意見を聞く機会をこの中環審の場で設けていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 では、森地委員。

○森地委員 今日の資料までは主な意見というか提案の概要で羅列してあるので、先ほど鈴木先生がおっしゃったようにこのままやっていくとよくわからないような形になってしまうので、ぜひ鈴木先生にリーダーシップをとっていただきたいと思います。
 国際社会で重点的に議論する話と、国内で政策展開するのは少しやはり違っていて、国内はどんなことも網羅した格好でやる必要がありますから、余りメリハリというよりも全部に気配りしたような政策が必要だと思います。ただし、そうやりますと、特にお役所が書かれると一層推進とか検討するとかわけのわからない話になるので、提案ですが、ぜひ今までやってきた努力を続行する話と、今までやってきた政策とか制度を拡充する話と、パラダイム変換して新たに始める話をきっちり書き分けていただくことが大変重要かと思います。そうしないとたくさん書いてあるけれども、結局何も変わらないということが繰り返されるというのが今までいろいろなところで経験したことでございます。
 それから最後、ちょっと個別でございますが水の話が出たので、もう一つ発展途上国で欧米と違うところは巨大都市の出現でございます。それから、巨大都市の急成長です。これは日本はそういう経験をしてまいりました。このところはもしかすると日本が貢献する1つのキーワードになるかもしれないという気がいたします。
 以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 森本委員。

○森本委員 ありがとうございます。まず、環境問題についてジャネット・ダイヤモンドという人がこの前『文明崩壊』というのを書いてえらいベストセラーになったんですけれども。あれで文明崩壊を避けるためのロードマップを幾つか書いてまして、まず認識がうまくできるかどうか、ゆでガエル状態、ゆっくり環境変化していくからわからないのでカエルが熱湯の中で死んじゃうという例えがあるんですけれども。そういうことをまず避けるためには、今のモニタリングシステムが圧倒的に貧弱なんじゃないかと思います。僕ら大変興味持って、動物の現状をいろいろ調べようと思っても自分で足を運ばなければわからないですね。国土の生態系のモニタリングシステム、特に生物関係はですね、植物は比較的動かないからわかりやすいんだけれども、動物なんか全然データがないんですね。こんなことでは危機なのかどうなのかということすらわからないという、認識の時点でまず問題があろうかと思います。それを何とかやる。これは日本のノウハウ等を生かして国際貢献できるところでもあろうかなと思います。
 それから、その評価ですね。生態系サービスという言葉がございますけれども、かなり前になりますけれども、以前にネーチャーだったかサイエンスだったか、地球全部のお金、生態系サービスを評価したロバート・コスタンザンの有名な論文がございます。科学的にはいろいろ批判がございますけれども。あれは初めてお金に換算したというのがあるんですね。実はこれは非常に難しいわけで、コウノトリ一匹がなんぼだという話ではなくて、もっとそういった生物多様性の価値というのはいろいろなところにもぐり込んじゃっててわかりにくいわけですね。田んぼの保水機能みたいなのだったら割合ダムと比較してお金にしやすいんですけれども。そういった本当に研究的にも生態系サービスというのが今ちゃんと評価できるかというと、まだできない。これは日本の先端技術を生かして当然そういう技術開発をすべきではないか。要するに研究面でも評価のところでまだやるべきことはいっぱいあるんじゃないか、これが第2点目ですね。
 それからもう1つは、ではどうするんだというゴールをいろいろ考えて、シナリオを考えてバックキャスティングして、みんなで合意を図っていくというそこがあろうかなと思いますけれども。そういったことをするためにはいろいろ例えばリーディングプロジェクトを各地でやるとか、あるいはそういった監視システム、評価システムで出てきた情報をみんなで共有するシステムをつくる、環境教育をちゃんとやる、いろいろあろうかなと思います。こういった流れに沿ってやる必要がある。
 ということで、いろいろな政策は必ず統合的にやる必要がある。総論のところではちゃんと書かれているんですけれども、具体的な施策となるとどうしてもやはりわかりやすい何か1つだけに特化した試みとなってしまう。環境教育すら、例えば文部科学省がやるのかあるいは環境省がやるのか、国土交通省が川でやるのかという話になっちゃう。これはやはりおかしなわけで。どうしてもあらゆる意味で統合的に進めていく必要があるのではないかなと思います。
 それから、ゴールをいろいろ検討してシナリオを考えていくというとき、土地利用の最適化、これはやはり1つのいろいろなところで大事だと思います。生物の話は書かれているんですけれども、生息地、これのとらえ方をうまく書いているところはどうもないんですね。全体としては里地里山とか水辺とかキーワードはあるんですね。この辺の意味をちゃんとやっていくというのがこれからの課題だと思っております。
 ぜひともいろいろなところで日本全国の自然再生なり何なりということのリーディングプロジェクトがあればいいということ。
 それからもう1つ、環境教育に関して申しますと、いろいろな現場をまず体験する、知るというのが大変大事です。子どもたちは本当に知らないんですね。大人も実は知らない。京大に入ってくる学生も砂漠の緑化は大変いいことだと思っている。砂漠の緑化が砂漠の環境、自然破壊になってますます悪くなっちゃうというアラル海の例を話すとやっとわかってくれるという状況なんですね。
 すなわち何を言いたいかと言いますと、環境教育というのは文部科学省だけでもなくて環境省だけでもなくて、例えばベトナム、私ども今ベトナムと交流しているんですけれども、ベトナムに例えば子どもたちを派遣するとか。非常に具体的な話になっちゃうと矮小になっちゃうんですけれども。立場を変えてみる、交流をする。山の子どもらが海へ行く、日本の子どもらが途上国へ行く。こういったところから視点を変えるというところから環境の認識、これからの選択というのが始まるんじゃないかなと思います。宇宙飛行士が地球を出て地球の丸いのを見てすごく感じるという話どこでもあるわけで、視点を変えるということが環境教育の1つのキーワードになるんじゃないかなと思っていますので、その辺がどこかで書き入れられればと思っています。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 それぞれの先生方からお考えのことをいろいろお聞きいただいたわけですが。まず、環境立国戦略ということで、今いろいろいただきましたご意見はこのまた論点整理を踏まえて整理をさせていただくわけですが、最終的にはやはりかなりすっきりしたものであり、なおかつ対世界に向けてあるいは対アジアに向けて一体日本は何をしようとしているのか、これをやはり明確に示すということがなくてはいろいろなものを我々に関連するものを全部書き込んだところで何にもならないんですね。それは基本計画もありますし、しっかりしたコンテンツはいろいろなところにあります。そういうことでもし可能であればやはり立国戦略はきちんとそういう形で、先ほど平野委員からもありましたが、取捨選択を明確にさせていただきながら、国内の戦略については一種のアネックスみたいなものをきちんと準備するという裏付けをそういうもので与えておくということが必要なのかなというような気がしております。
 今この後半の部分でもご意見をいただきまして、これから検討しなくてはいけないことはやはり日本型のモデルとして里山というようなものをどういう形で国際的な認知を得るようなものを考えていくのかそういうようなことであったり。あるいは市場メカニズムをやはり一度きちんと詰めておかなくてはいけない。これをどういうふうに活用してそれをどう埋め込んでいくのか。それから、広い意味でいろいろなところにかかわりましたが、ライフスタイルのようなものですね。国内では24時間営業のコンビニというのは本当にそれだけのニーズがあっておやりになっているのかどうか、そういう議論をしだすとまたきりがないかもしれませんが。そういうところまで含めていろいろな生活者の視点であるとか、また議論をさせていただければと思っております。
 いずれにしましても立国戦略ですからオールジャパンのものでなくてはいけないので、そのために今日も各省からご参加いただいておりますので、こういうことをきっかけにしてまたそれぞれの分野で議論が深まっていけばと思っております。
 今日は論点整理というようなことでこういう形の資料をもとにご意見をいただいたわけですが、幸い委員の先生方にご協力いただきまして少し時間が余っておりまして、せっかくの機会でありますので、お出でいただいております土屋環境副大臣、それから北川政務官、お二人の方に少し思いの丈をお聞きなっていろいろお考えのことをご発言いただければと思います。

○土屋環境副大臣 時間をいただきましてありがとうございます。前回と前々回ちょっとお休みさせていただいたので申しわけありませんけれども、論点については一応見させていただいております。それで、本当に様々な意見をいただきまして、自分でも考えもしないところでああこういう点もあったなということをつくづく感じさせてもらいながら聞いておりましたが。やはり最終的には見てわかりやすいものができればいいなと思っておりますし。また、先ほど鈴木部会長からおまとめのときにお話がありましたように、来年のG8に向けて、またTICADもありますし、世界にどう発信するかというものすごい重い問題だと思っております。そういう意味でやはり総理もこの戦略を考えて、21世紀に向けての立国戦略をつくってもらいたいと言ったんだろうと思いますし。
 それともう1つは、私自身が今活動している中で、国内向けにはクールビズとかウォームビズとかやっていますけれども、なかなか思ったようには浸透していかない。それからチームマイナス6%ということで総理をチーム長として全国民を巻き込もうと一生懸命メンバーになってもらおうと頑張っているわけですけれども、今107万人ぐらいしか入っていないんですね。こういうことでもやはり国内向けにもしっかりとしたメッセージを送る。ある意味ですごく危機感を持たせるようなメッセージが送れるものができればありがたいと思っております。
 本当にお忙しいところ、そして短い期間につくらなければならないという制約の中で、ありがとうございます。

○北川環境大臣政務官 環境政務官をいたしております北川知克でございます。鈴木部会長の下、各委員の先生方には本当に貴重なる多岐にわたるご意見を賜りまして、すべてがなるほどだなという意見ばかりであると思っております。
 私は、政治の立場からの話になるかもしれませんけれども、この地球温暖化問題だけではなく、環境問題について日本の国の取組ということが世界各国から注目をされておると思います。特に来年は日本でサミットが行われます。そして、この京都議定書第一約束期間の最初の年に当たりまして、その出発点に日本がどういう政策を示すのか、具体的には二酸化炭素の排出量をどれだけ削減できているのか、このことが問われると思います。
 片方においては戦後60年たって日本の国が大きく変化をしてきております。特に一昨年からの人口減少、これからこの少子化対策をいろいろやる、政府も行っておりますけれども、昨今の我々人間の意識といいますか、一人の方が気楽でいいとかこういう中で家族のあり方等も問われておりまして、それを思えば人口を増えていくという方向ではなく、今後減少し始めるのは間違いのない事実だと思いますので、それに当たって日本の国が今までの大量生産、大量消費、こういう肥大化した社会からやはり成熟した成長というのは非常に重要であります。成長した中からどう成熟をさせていくかということが問われる非常に重要な分岐点がここ一、二年の間だと思っております。
 そういう意味においては各政策、特に政府においてそれぞれの省庁が一貫した政策が必要であると思います。それと、政府の強いリーダーシップを発揮することによって、国民の皆さん方もさまざまな方向性について協力をしていただけるのではないかなと思っております。
 例えばいろいろな具体的な施策ということがありましたけれども、私は公共放送を含めテレビの24時間の放送というのも必要ないんじゃないかなということも言っておりますし、まちづくり1つをとってもこれからコンパクトシティ、高齢者の方にやさしいまちづくり。では、郊外型のまちづくりというのをこれからどうしていくんだと、こういうすべて具体的な施策をこれから国も行いながら、それと民間の企業の方々のご協力、国民の皆さん方の理解と協力をしていくことが大事であると思っておりますので、今回各委員の先生方からいただいた環境立国戦略というものは国民の皆さんに間違いのないメッセージで発信をしていただければありがたいなと思っております。
 政治の中でも若手の議員の方々も環境問題の取組を熱心にしていただくように我々も努力をしていきたいと思っております。
 以上であります。ありがとうございます。

○鈴木部会長 副大臣、政務官、ありがとうございました。
 先生方から何か特にご発言ございますでしょうか。廣野委員。

○廣野委員 先ほど僕ちょっと間違えまして、17ページまでの議論かなと思って、18ページの方の議論は全然しなかったんですが、18ページの議論をちょっと1つお願いします。
 実効ある国際貢献ということなんですが、そこに下の方にODAの拡充による環境重視型のODAの推進やODA以外の経済協力の推進と書いてあるんですが、これはもちろん当然のことなんですけれども。皆さん方もご存じのように、もう既に外務省の白書の中で出ているように、もう既に2006年では日本は世界でODA供与では第3位に落ちているわけですね。数年前まで第1位だったのが今はもう第3位になっております。それから、2012年には今の状況でいきますと第5位ということで、アメリカ、ドイツ、英国、フランス、その後日本という形になると予想されております。
 そういう中でODAの拡充による云々という言い方は余りにも何か平易な言い方で、やはりここはもうちょっと肉をつけた格好で言わないと一体何のことかなと。4月3日、来月の3日ですが、OECDでもって21世紀のODAのあり方という大きな会議をいろいろな各国の大臣が出ましてやります。僕その議長やるんですけれども。そういう中でやはり日本に対する注目を皆さん方持っておりまして、一体日本からどういう発言が出るかということで日本の外務省の方からもだれか出るんですけれども。こういう中でやはり僕はここに書いてあるODAの拡充による云々というのはもうちょっと肉のある格好できちんと出してもらうことが重要だなと。こういう書き方だとだれも信用しません。ですからやはりちゃんと肉のある書き方で出していただくということがものすごく重要です。
 そのときに、実はアジアの途上国として中国、それからインド、それからブラジル、メキシコ、南アフリカ、先ほど環境大臣がおっしゃったその国が全部出てくるんですよね。やはり彼らもODAの供与国になりつつあるんです。だから、ODAをもらうだけじゃなくてODAの供与国になりつつあって、そういうODAの供与国が一体今後どうやっていくのかと、新しいODAの供与国が。今までのOECDの枠内に入るのか入らないのか、こういう問題もあるし。
 こういう中で環境重視型のODAということについても実は今度議論されることになっていましてね。そういう意味でぜひもうちょっと肉のあるやり方でやっていかないと、これだけでは非常に不十分ですので、ぜひ鈴木先生の方から今後の中で肉がちゃんとつくような格好でよろしくお願いします。

○鈴木部会長 今日は外務省からもお見えですので、その辺は十分に受け止めていただいて。またどういう文章にするかというのは検討させていただければと思っております。
 よろしいでしょうか。
 それでは、その2名だけ、なるべく短時間でお願いできますか。小池委員、それから太田委員。

○小池委員 これの次のまとめ方ですけれども、先ほど世界に向けて発信するのと、それからあと国内向けという2つの視点があって、それをどう扱うかというのが今幾つかちょっと違うニュアンスで説明されたんですけれども。具体的にはこれ両方ともやはりわかりやすい国内向け、国外向け、両方ともわかりやすいものが必要だと思いますので。各省庁から出てきたものを国内向けというのではやはりちょっとまずいのかなと。

○鈴木部会長 多分そういうことにはならないと思います。各省庁から出てきたものをホチキスでとめたって戦略にも何もならないので、その辺はご議論いただきながら。
 ただ、それを全部1つにして戦略としますと、多分外に向けては大変インパクトに欠けるものになるんじゃないか。だから、その辺である意味では重層化する必要があるのかなというようなことを今感じてはおりますが、それもまたいろいろご議論いただければと思います。

○小池委員 はい、わかりました。

○太田委員 それでは、短く一言。やはり日本型モデルかモンスーン型モデルかわかりませんが、その有効性の論理が必要ですし、全体を通す筋が必要だと思います。その筋を明らかにしていけばブッシュさんを説得するのも、あるいは中国を説得するのも、あるいは日本のこういう問題に無頓着な人を説得するのも同じだと思います。それはIPCCの報告あるいはゴアさんのやり方いろいろあると思いますが、もう少し基本的な日本からの発信みたいな論理もあるんじゃないかというふうに私は考えまして、ちょっと最初に発言させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。全くそのとおりなんですが、それがそこのところでなかなか意見がまとまらないという面もあろうかと思いますので、それは追々詰めさせていただければと思います。
 それでは、大変熱心にご議論いただきましてありがとうございました。まだおっしゃり足りない部分はメモにして事務局の方にお出しいただくということで、この論点整理の段階で盛り込ませていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、事務局の方から連絡事項等がございましたらお願いしたいんですが。

○柴垣大臣官房政策評価広報課長 それでは、資料3に基づきまして次回以降といいますか4月以降の日程について簡単にご説明をさせていただきます。
 4月以降、4月、5月とあと5回ほど予定しておりまして、4月に3回、5月に2回。4月の3回はそれぞれヒアリングを交えまして総論、それから温暖化、それから生物多様性、3Rその他ということでさらに詰めていっていただければということでございます。次回は地方自治体のヒアリングとともに、この間4月6日にIPCCの第2作業委員会の報告なども出ますので、そういったIPCCの担当の専門家からのヒアリングということを今考えております。
 予定は以上でございます。

○鈴木部会長 今ございましたように、21世紀環境立国戦略につきましては5月中にとりまとめる、そういうような方向で4月におきましては有識者からのヒアリングを行わせていただこう、そういうことでございます。
 あと、環境省のホームページでこの私たちのこの段階での論点整理で一般の方々からもご意見を寄せていただけるような形をとりたい、そういうことになっておりますので、今後ともぜひよろしくお願い申し上げます。
 では、ありがとうございました。
 先生方、ありがとうございました。

午後5時05分閉会