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■議事録一覧■

「地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会」
第7回会合 議事概要


〈日時〉

平成18年8月22日(月)13時00分~15時00分

〈場所〉

スクワール麹町3階 錦の間

〈出席者〉

委員:

三上座長、礒野委員、粂原委員、古倉委員、島委員、善養寺委員、谷口委員、松本代理委員(別所委員代理)、松橋委員、森本委員

環境省:

小林地球環境局長、鎌形総合環境政策局環境経済課長、清水地球環境局総務課長、 梶原地球環境局地球温暖化対策課長、大倉大臣官房総務課課長補佐、地球環境局地球温暖化対策課大橋

〈議事〉

1.物流事業者のまちづくり活性化のための取り組みについて

松本代理委員 : 資料1「物流事業者のまちづくり活性化のための取り組み」についてご説明。
谷口委員 : 配送車のサイズは CO 2 排出量にどのような影響を与えているのか?議論されていることがあれば教えてほしい。
松本代理委員: 車体の大きさというよりは、重量が議論になっている。車体が小さければ環境負荷の低減に繋がるが、日本国内には貨物用の軽自動車のディーゼル車はないため、 CO 2 をより多く排出するガソリン車を選択しなければいけない。重量に対してどの車種が環境的に考えてベストマッチかを常日頃議論し、現在は、1トンから3トンクラスまでの配送車が環境への負荷が少ないと言われている。
古倉委員: 天然ガス自動車の馬力や燃費、車体価格、燃料の供給体制はどうなっているのか?
松本代理委員: 燃料の供給に関して、ガソリンスタンドは全国に5万箇所程あるといわれているが、天然ガススタンドは全国に 311 箇所しかなく、圧倒的に数が少ない。弊社では自家用の天然ガススタンドを7箇所設けており、これらがなければ実際には供給が追いつかない状態である。燃料の価格面において、天然ガスは一部を除き、原油価格に依存しないため、昨今の原油高の影響は受けていない。また、都市ガスを使用している点で、軽油等に比べ価格は安定している。車体価格は、今年度でいえば、既存のディーゼル車よりも 112 万円程高くなっているが、国土交通省や経済産業省から 50% の助成金が出ており、残りの 50% は、全国のトラック協会や自治体等からの助成金を受けているため、自社の負担は車1台に対して実質8万~ 15 万円程である。 CNG 自動車のモデル地域であれば、助成金を全額負担していただいている地域もある。馬力については、現在、電子制御型の CNG 車を導入しており、既存のディーゼル車とほとんど変わらないところまできている。
松橋委員: [1]配送車買い替えの目安となる走行距離はどのくらいか?[2]スライド17にサービスセンターの設置は「周囲約5台分のテリトリーでトラックを使用せずに集配」とあるが、具体的な範囲の目安はあるか?
松本代理委員: [1]弊社ではガイドラインを作成しており、1台につき7年から9年の使用、または走行距離7万kmを買い換えの目安としている。根拠として、費用対効果や性能的な問題、また中古車として市場に出すことなどを考慮している。東京を中心とする大都市圏では、走行してもせいぜい2、3万kmのため、年数で買い替えることが圧倒的に多い。一方、地方では場所によっては7年を前に7万kmを走行することがあり、買い替えが早くなることもある。[2]サービスセンターの設置については、大都市圏では事務所が多数あることやお受けする荷物の量が多いことなどから、1台で一つの路地20~30mを担当しているイメージである。
森本委員: スライド14に、CO2総排出量3.11%の削減とあるが、配送車の走行距離で数値が変わってくるように思う。計算方法は、走行台kmなのか、走行トンkmなのか?
松本代理委員: この数値は、省エネ法の燃料法を採用しており、実燃料使用量から環境省が算出している排出係数をかけてCO2排出量を算定している。あくまでも佐川急便株式会社のみの数値であり、日々の物流を完結させている4万台のアウトソースの部分は含まれていない。しかし、実際にはこの部分まで含めた数値でなければ、荷物1個をお受けしてからお客様にお届けするまでの本当の排出量は算出できない。スライド14に記載している「355,232t」は、実際の3分の1である。現在の物流業界で、アウトソースの部分を含めて算出している企業は1社もないが、弊社では、来年度からアウトソースの部分を含めたCO2排出量を算出する予定で準備を行っており、現在はデータの精度を高めている段階である。
森本委員: 企業としては、消費者が増え、物流の総量が増えることは良いことだが、増えすぎるとそれだけCO2排出量も増えることになる。現状として、トータルのCO2排出量を減らしていく必要がある中で、その辺をどのように見極め、どう考えているのか?
松本代理委員:

国内における宅配便の領域に関して、輸送量は減っているが、移動距離は長くなっている。この要因として、ネットショッピング等が盛んになったことで、これまで大量に運んでいたものが小口配送に切り変わってきている、つまり、消費形態や購買姿勢の変化が考えられる。

礒野委員: [1]アイドリングストップを実行しないドライバーへの対応はどうなっているのか?[2]夏もアイドリングストップを実施しているのか?
松本代理委員: [1]ドライバーに対するインセンティブについて、安全運転に関するインセンティブは設けている。燃料消費量に関しては、例えば、一所懸命仕事をこなすドライバーであれば、お荷物をたくさん頂戴するため、結果的に積載量が多くなり、燃費は悪くなる。従って、ドライバー一人一人に対するインセンティブを設けることは難しいため、店舗全体に対するインセンティブを設けている。ドライバーが実際にアイドリングストップを実行しているか否かについては、管理職が街中に出て確認を行ったり、デジタルタコグラフを使って確認をしている。[2]季節に関係なく、アイドリングストップは実行している。一部例外として、冷凍冷蔵庫を搭載している配送車に関しては、エンジンを切ってしまうと荷物が解凍してしまうため、基本的には、アイドリングストップは実行していない。しかし、対策として、電気事業者と協力をし、弊社の配送車が停車する位置にコンセントを用意していただき、エンジンは切るが電力によって冷凍冷蔵庫の温度を一定に保つ取組を行っている。
礒野委員: 燃料に天ぷら油を利用することを検討したことはあるか?
松本代理委員:

バイオディーゼルはぜひ導入したいと考えているが、現状ではさまざまな課題がある。例えば、燃料としての規格が固まっていないため、メーカー保証が受けられないことや、軽油取引税の問題や、エンジンの構造変更について国土交通省の承認を受ける際にさまざまな交渉をしなければいけないなどが挙げられる。試験的には行っているが、本格的な導入は至っていないのが現状である。

2.宇都宮において実施したアンケート調査の詳細について

大倉補佐: 資料2「宇都宮において実施したアンケート調査の詳細について」の説明。
松橋委員: 通勤の際、中心市街地就業者は、希望すれば無料で駐車場を利用できるのか?例えば、名古屋市のように通勤手当てを減額するといったことはあるのか?
森本委員: 宇都宮市役所の場合、基本的に市の職員は市役所の駐車場には入れない。近隣の駐車場を自腹で利用することになる。
谷口委員: アンケート結果から、郊外型大規模集客施設と中心市街地の訪問頻度が異なっていることがわかるが、訪問頻度を考慮した CO 2 排出量を算出するためのデータは揃っているか?
大倉補佐: 今後データを精査し、できるところまで算出したいと考えている。
三上委員: 資料2-5、論点のまとめ[1]「郊外型大規模集客施設・郊外型公共施設(既設も含む)に係るCO2排出量削減の考え方」について意見はあるか?
谷口委員: アンケート結果からも中心市街地には人気がないことがわかる。そこに人を集めるのは難しい。一方で役所への通勤は公共交通利用が少なくないことも明らかにされており、彼らを街の資源として認識する必要があろう。
森本委員: 宇都宮の場合、基本機能は中心市街地にあり、郊外に工業団地がある。この10年間に、平日の交通はそんなに変化していないが、休日の交通は、郊外型の大型ショッピングセンター等ができたことによって、大きく変わってきた。公共交通の観点からみれば、平日は通勤客の利用はあるが、休日は、利用客が少なくなることで、採算がとれなくなり、サービス水準が悪くなるという悪循環に陥っている。中心市街地の活性化を考えた場合、業務機能や商業機能など、さまざまな目的があるのならば、それに合わせた公共交通整備が可能になってくる。しかし、40万人規模の都市では、単一目的だけの公共交通を設けることはなかなか難しい。
島委員: アンケート調査では、郊外型の大規模集客施設や公共施設が照準になっているが、公共交通機関の主な利用者には学生である。しかし最近では、学生の送り迎えのためのラッシュが存在している。採算性の問題もあるかもしれないが、公共交通を利用する一人一人の行動パターンを見直し、どうしたら公共交通を利用してもらえるかを考える視点も必要である。
善養寺委員: CO 2 削減に向けたまちづくりを考えた場合、公共交通の問題だけでなく、都市計画がどこまで関与できるかが課題である。例えば、中心市街地にある商店街のマーケティングを誰が行うのか、学校や住宅地、工業団地、公共施設などの位置を移動することはできるのか、そしてそれを行う権限は誰にあるのか。また、各セクションの企業体の利益を考えた上で、成り立つような仕組み作りも必要であり、これら全体のプロデュースを誰が行うのか、といったことが挙げられる。それらの仕組みがないのに、今更何百億円もかけて作った工業団地を場所が悪いから移動するようなことはできない。そこから考えなければ、いつまでも同じ事が繰り返される。セクションが分かれすぎていて同じテーブルについて議論できないのではないか?ここが解決の糸口だと思う。
島委員: 既存の郊外型大規模集客施設に行くための手段を自動車だけでなく、公共交通機関にシフトするための仕組みを作ることが必要である。
善養寺委員:

買い物の形態が変わってきているように思う。例えば、郊外の大型ショッピングセンターで、週末に1週間分をまとめ買いするライフスタイルの場合、帰りにたくさんの荷物を持って公共交通機関を利用することにためらいが出てくるのではないか。例えば、買った荷物をその日のうちに配送してくれるような仕組みと送迎バス的な仕組みをセットにすれば、車での移動が減らせるのではないか。

島委員: 消費者のライフスタイルはバラバラである。どこに行くにしても、いかに車での移動を減らしていくかということを積み上げて考え、公共交通機関を利用することを便利で楽しいものにしていく地域づくりが必要である。採算性が合う、合わないだけでなく、多少の負担は覚悟をして、地域で知恵を出し合って考える必要がある。
三上委員: 資料2-5、論点のまとめ[2]「オフィス施設に係るCO2排出量削減の考え方」や[3]「社会的費用の反映の仕組のあり方」について意見はあるか?
松橋委員: どういった買い物の仕方をすれば、どういう環境負荷が生じるのか、ということを消費者に示せば、交通手段を選ぶ際の目安になると思う。交通手段を選択する場合、所要時間と費用が関係してくる。例えば、駐車場代を支払うことに対して大きな抵抗を感じる消費者もいると思うので、経済的手法を取り入れて考えることも重要である。
古倉委員: 名古屋市の場合、通勤手当に関して、自動車を利用する人には従来の2分の1を、自転車を利用する人には従来の2倍支給している。つまり、自動車と自転車では通勤手当が4倍違うことになる。結果、自動車の利用が大幅に減り、自転車利用が大きく増えた。このように、政策的に利益誘導をすることで、自動車の分担率が変わる可能性がある。例えば、買い物時に自動車以外の交通手段で来る人には、サービスする駐車料金に相当する買い物券などの優遇措置を設ければ、自動車以外の手段に誘導することができるのではないか。
善養寺委員: 公共交通以外に、通勤バスや通学バスのような専用バスを設けることは考えられないか?
礒野委員: それは企業や学校が負担するのか?各地にさまざまな前例があり、弊社も試みたが、赤字をどのように補填するかが大きな課題であり、失敗例もたくさんある。コミュニティバスで成功しているのは、東京のムーバスや神奈川だけだと思う。
善養寺委員: コミュニティバスではなく、朝夕の時間帯だけ企業が通勤のためのサービスとして実施している例はあるのか?
礒野委員: 先進的な企業では、 CO 2 削減のため、自家用車通勤を禁止しているところがあり、貸し切りバスのような形で導入している企業の例が広島や岡山にある。しかし、すべての企業で実施されているわけではないため、今後、企業のトップを説得していくためにも、行政側からも CO 2 排出量に関するデータ等を提示してどんどん企業に進めてほしい。
森本委員: 土地利用のあり方が整理されていないことに問題がある。単一の目的や用途だけで公共交通を使おうとすると無理が生じる。それは、規制緩和によってどこの土地でも利用できるようにしてしまったことに原因があり、現在の公共交通に問題が出てきている。まちづくりや都市計画といった大きな枠組みでの努力が不可欠である。
三上座長: 宇都宮市でのアンケート調査では非常に詳細な結果が出たが、これだけですべてを結論づけることはできない。今後、今回の報告と議論を踏まえて更に検討していくことが重要である。

3.青森市におけるコンパクトシティの取組について

小林局長: 参考資料「青森市におけるコンパクトシティの取組について」の説明。

4.その他

次回の開催は、平成18年9月28日(木)10時~とする。

以上