- <日時>
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平成18年2月15日 10:00~13:00
- <場所>
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ルポール麹町2階「サファイア」の間
- <出席者>
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- (委員)
- 林座長代理、上山委員、古倉委員、島委員、善養寺委員、谷口委員、別所委員、松橋委員、村尾委員、藻谷委員、吉田委員
- (環境省)
- 小林地球環境局長、桜井大臣官房審議官、佐野総合環境政策局環境計画課長、鎌形総合環境政策局環境経済課長他
○事務局から資料1-1「まちづくり関係の最近の動きについて」、資料1-2「都市の拡散の実態について」をそれぞれ説明し、谷口委員から資料2「コンパクトなまちづくりを「はかる」について」を説明し、松橋委員から資料3「市区町村別自動車起源CO2排出量推計とまちづくりについて」を説明した。
○主に、以下のような議論があった。
- 今回のまちづくり三法の見直しは、[1]住民のまちづくりへの参画が希薄である、[2]郊外における大型小売店舗開発が中心市街地の衰退を招いたという考え方をしている、[3]消費者主権の思想が入っていない、という点で間違っていると考える。
- 郊外における大型小売店舗の開発は、中心市街地の衰退とは直接の因果関係がないと考えるが、過剰に開発をすると、大型小売店舗の閉店→荒廃とつながる。
- 住宅の質の確保は、街区単位で残すことができるものかどうかという評価が大事であり、床面積の大小だけでは住宅の質は測れない。
- 住宅の質について、最低基準だけ満たせばよいという考え方はおかしい。住生活基本法の理念の実現は、国土交通省だけの問題ではない。
- 地域の用途によってエネルギー利用の多寡が決まるのではなく、まちに存在する人々の目的など心理的要因に着目する必要がある。
- 人々が持つ価値観についてもデータ化できる部分は多く、交通の関係で言えば、11の行動群に分類することができる。また、人々は少なからず社会に貢献したいという価値観を持っており、バス路線の情報など正確な情報を知れば、車利用をやめて公共交通機関を利用するようになる場合も多い。
- 街区の住み心地などの環境品質を指標化し、これを高めるインセンティブを付与できる仕組みが作れないか。
- 不動産の鑑定方法は、ずいぶん昔に設けられた不動産鑑定士制度に基づく鑑定方法に固定化されている。街区の格付会社的なものがあってもよい。
- イギリスのカーフリー団地は、車利用を抑制するため、駐車場よりもバス停の方を住宅の近くに設けないとダメというルールにしているはず。
- 車利用を減らさなければいけない一方、物流は車利用が主力。大都市圏では小店舗を数多く配置する展開をしており、小店舗を中心とする人力輸送に変わっているものの、郊外は、相変わらず大店舗展開をしている。今後、少子高齢化の進行に伴い、小店舗展開に変わっていくのかもしれない。
- ドイツでは、1967年に鉱油税を用いた都市再生(レイバー・プラン)を実施した。我が国のように、車対公共交通機関という構図ではなく、車が都心部に集中しすぎることによる慢性渋滞が都心部の商業に悪影響を与えている問題を解消するという発想。ミュンヘンなどでは、都心部から2km圏をトランジット・モール化し、地表を人に取り戻す運動が展開された。その過程で、路面電車も地下鉄化された。こういうドイツの先行事例を勉強することは大事だと考える。
- 郊外型の大型店舗を非難しても始まらない。街区単位で物事を考えることと、街区を取り戻すための装置が大切。
- 現実的に考えると、住民と市町村レベルの地方行政機関が必要性を強く共有しないと中心市街地は活性化できない。行政が街区単位で交通デザイン、高齢者への配慮等を含めたグランドデザインを提示すべき。また、民間企業は、消費者のニーズにあった店舗配置を考える専門家を有しており、そういう人材を積極的に提供すべきである。高齢化社会が訪れるが、高齢者が歩いて生鮮食料品を買い物できる新しい業態を作らないといけない。中心市街地活性化の問題で、一番大きな壁が地権者の理解を得ること。これは全国共通の問題である。
- 政策的に中心市街地の固定資産税、住民税を減免し、都市内部に人々を誘導しないといけない。商店が中心市街地にあるだけでなく、住民も中心市街地に住まないと活性化されない。全体的に中心市街地への回帰を促すインセンティブを与える仕組みを考えないといけない。
- 「まち」が必要という住民の共通認識がまず必要。中心市街地に住まなくなっているのは、そこで暮らしのニーズを満たせなくなっているから。暮らしのニーズと言う場合、病院、図書館など公共施設の配置はかなり重要。勤め先も郊外に移転している。「まち」の付加価値を作っていかなければならない。行政だけが一生懸命支援策を講じても仕方ない。
- 中心市街地の減税策などは不要だと思う。人口密度が減らないまちは、土地単価が高く、特段のインセンティブを働かせなくても人は集まる。人が集まるのは、そのまちに魅力があるから。財源があるのであれば、むしろ、住民にそのようなまちづくりに関する知識を与えるための投資をすべき。自治体職員にも教育が必要。
- 地球温暖化対策とまちづくりの関係で言えば、問題は移動エネルギーの使用量の増大に収斂されるように思う。
- かつてたくさん造成された郊外型団地では、どんどん住民が減るという歯抜けの問題と住民全体が高齢化しているという問題が起きている。高齢化が進むと車が使えなくなり、生活に支障をきたすようになる
- 現在の我が国のまちは、トリアージを要する状態にある。まちのどの部分を放棄しどの部分をどう残すのかといったことを真剣に議論しなければならない。
○次回の検討会は、3月23日10時から開催することとなった。