- 日時 :平成17年10月17日18:00~21:00
- 場所 :虎ノ門パストラル新館5階「ローレル」の間
- 出席者 :
- (委員)
-
三上座長、礒野委員、上山委員、粂原委員、古倉委員、島委員、善養寺委員、 谷口委員、林委員、別所委員、松橋委員、藻谷委員、吉田委員
- (環境省)
-
小林地球環境局長、佐野総合環境政策局環境計画課長他
○全会一致で座長に三上委員を選出した。
○事務局から資料1「地球温暖化問題について」、藻谷委員から資料2「地方都市での諸機能郊外化の実態とその問題点」、事務局から資料3「運輸部門及び民生部門の温室効果ガス排出量の変化について」それぞれ説明した。
○主に、以下のような議論があった。
- 中心市街地空洞化の問題は、商業機能だけでなく行政機能や教育機能等の郊外移転によって、中心市街地に来たり住んだりする人が減少することによって発生する。大型商業施設の郊外出店を規制したところで、中心市街地に人は戻らない。郊外のショッピングセンターがかつての中心市街地の機能を代替するという主張もあるが、商業以外の機能を代替できないため、難しいのではないか。
- 中心市街地の地価は、様々な原因により高止まりしており、郊外から回帰したい人や事業者を受け入れられない状態になっている。現状を解消するには、中心市街地の地権者の意識改革等が必要。
- 今日は環境省が都市構造の問題を検討し始めた記念すべき日。国土交通省等の既存の交通調査は、県域に縛られているため、県域を越える交通問題に対応できていない。環境省として、ベースとなるデータを長期的に調査し、統計データとして残すべきである。
- 地域によって公共交通機関の利用率が異なる。自動車利用に対する人間の心理の問題についても調査が必要なのではないか。また、最近は痴呆防止に自動車に乗る老人も増えていると聞くが、自動車を利用する人の年齢分布も調査し、高齢化社会の観点から自動車の問題を見てみるのもよいのではないか。
- 地方と都会の自動車の燃費効率を比較した場合、一般的に信号停車が多く、渋滞等もある都会の燃費効率は悪いとされるが、地方も意外と悪い。短い移動にも自動車を利用するため、自動車が暖まりきらないうちに乗り降りするからではないか。
- それぞれの断面から出しているデータをどうつなげるかが問題。スプロール化の問題には、移動距離が長くなるという意味のマクロスプロールと、市街地の内外の境界線がなくなって市街地維持のコストが高くなるという意味のミクロスプロールがあり、分けて考える必要がある。
- 途上国においては、都市近郊部の渋滞は放置した方がいいという考え方がある。自動車が1台増える限界費用と渋滞対策のためのインフラ整備の限界費用は2桁違う。
- コンパクトシティというと、中心市街地の容積率を上げるという議論に結びつきがちだが、地方都市においてそれは当てはまらない。地方都市の中心部に高層の商業施設を建てても、3階以上は人が来ない。また、高層のマンションを建てても、周辺が空き地となってしまう傾向がある。
- 中心市街地と郊外は対立概念ではなく、まち全体として各機能をいかにバランスよく配置するかということがむしろ問題。「売れ筋の商品」のスムーズな入れ替えができるような工夫が必要。また、各セクターのハード面、ソフト面の両面におけるコラボレーションも重要。
- 地方でCO2の排出量が増えている問題の解決策は、市街地活性化だけではないはず。自動車やオフィスなど区分して、その対策がどうあるべきかを検討する必要がある。
- 拠点集中と再田園化による郊外の再編集という考え方は重要。駅前などの拠点への人口諸機能再集中が必要。
- 自動車問題と都市問題はすぐには結びつかない。都市問題は、都市が住民、事業者、商業者など様々な利害関係者が存在する生活空間であることから難しい。地球温暖化対策とまちづくりと言った場合、具体的に何を検討するのか絞らないと広すぎる。地権者は、自分が死ぬまでのことしか考えないが、それをどうCO2の発生抑制と結びつけるか考えないといけない。
- 郊外化によってCO2の排出量が増加していることはデータに裏付けられている。これをさらに補強するデータを掘り下げる必要がある。国民は、郊外化によってCO2の排出量が増えると言われても実感が湧かない。具体的にどういう直接的なデメリットがあるのか、きちんと示してあげる必要がある。CO2の排出量が増加すると、財政負担も重くなるというストーリーが分かりやすいのではないか。
- アメリカ政府が取りまとめた資料で、自動車を利用すると年間5,800ドル必要なところ、自転車の場合は180ドルで済むというデータがある。こういう風にメリットを示す切り口が重要。上からの物言いだけでは長続きしない。自転車利用の推進のためにどのような対策が必要かアンケートを取ったところ、自転車通勤手当の支給、自転車利用者に対するスーパー割引券の発行などが挙がった。
- モータリゼーション以外でも、工場排熱など熱利用の効率化も重要な観点。
- 地方自治体の職員などが実践的に利用するためのデータ集的な資料を作ったらどうか。
- 物流拠点は、昔は都心部に立地するのがよいとされたが、現在は外環部立地が主流。業種によって傾向が違うのではないか。また、郊外型大型小売店舗は、もはやそれ自体が都市中心部を形成しているのではないか。「郊外」という概念を整理する必要がある。
- 現状の環境省他各省の都市政策について整理すべき。
○次回の検討会は、12月16日10:00~13:00に開催する予定となった。