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環境ビジネスウィメンと環境大臣との懇談(第3回)
議事要旨


日時

平成20年5月16日(金) 9:30~12:00

会場

環境省 省議室

出席者
(メンバー)
大庭、大和田、河口、岸、木村、近藤、竹本、辰巳、玉置、中庭、吉本(敬称略、五十音順)
(司会)
崎田 中間法人環境ビジネスウィメン代表理事
(環境省)
鴨下環境大臣、田村事務次官、西尾総合環境政策局長、小林大臣官房長、 鷺坂大臣官房審議官、中島環境経済課課長補佐
(オブザーバー・メンバー)
鈴木、善養寺、薗田、五十嵐、森
<開会>
(中島補佐)
本日はお集まりいただきありがとうございます。ただ今から環境ビジネスウィメンと環境副大臣との懇談を開催します。まず、環境省からの出席者を紹介します(紹介)。鴨下環境大臣は公務のため、後半から出席いただく予定でおります。それでは以降の進行を中間法人環境ビジネスウィメンの代表理事 崎田様にお願いしたいと思います。
(崎田代表理事)
環境ビジネスに携わる皆様、ますます忙しい時期ではありますが、社会に貢献するためにも、さらにご活躍頂きたいと思います。環境省のみなさまに、本日の懇談会という、情報共有、環境政策への提言の場を設けて頂き、お礼を申し上げます。それでは、環境ビジネスウィメンの5名の方から活動報告をしていただきます。
<活動報告>
(竹本メンバー:(株)カタログハウス エコひいき事業部 取締役事業部長)
 本日の新聞にありましたが、東京の消費者が一番温暖化について危機感をもっているのに便利な生活は手放せない、というわがままな実態がわかっています。これからは温暖化について考えながら販売していかないといけない、という思いから、カタログハウスの「通販生活」では1月より「温暖化時代の買い物を考える」をテーマとしています。取扱商品の環境政策として、カタログハウスの商品憲法を制定し、予防原則に基づく心配対策(明確な「売らないルール」)、長寿命政策(修理サービスの提供)、リユース(中古ショップ)、リサイクル(商品の回収・再生)、ゴミ・CO2削減、温暖化対策(グリーン電力証書購入)、地産地消・自給自足(メイド・イン・ジャパン品の拡大)を実践しています。また、再生可能エネルギーへの誘導・啓発を目的に、風力発電への出資呼び掛けを行い、読者の強い反応が得られるなど、精神面を充実させるモノやサービスを提供していく時代になってきたと思います。そしてマーケティングとしては、シンプルに面白く、売り子がわくわく説明したくなるような情報を伝えていくことが大切です。持続可能な企業として、流通業の本業でできることを実践し、「商品」のグリーン化を進めていかなくてはいけないと考えています。
(辰巳メンバー:(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 常任理事 環境委員長)
 今日お話したいのは、消費者がモノを買うときに、商品の一生を知り、環境に配慮した商品や企業を選ぶ為の活動についてです。私たちのくらしをみた場合、人間だけが自然環境以外に、「もの・サービス・お金」がないと生活できないのですが、これらを繋げているのがコミュニケーションで、これら合わせて持続可能な社会が成り立つと考えています。日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)では環境だけでなく、これら全体についてみており、「もの・サービス・お金」やコミュニケーションの部分で発生するトラブルについて相談を受けたり、事前にトラブルを起こさないように、人材教育をしたりしています。
 目を世界に転じると、環境問題や自然災害、戦争など様々なトラブルが起こっており、持続可能な社会への転換が必要となっています。
 私たち消費者がものを選んでいるのですから、持続可能性につながる企業・商品を選ぶことによって地球環境を変えることができます。このような持続可能性につながる企業・商品を選ぶためには、消費者が環境ラベルや環境報告書・CSR報告書などで情報を得ることが重要です。そして、消費者には見えにくい、自分の手に届くまでと使用後を含む、ものの一生を知ることが大切です。NACSでは消費者が望む環境情報9原則を主張しており、内容・表現・企業の姿勢について企業に情報開示を求めています。一方、消費者には「安物買いの銭失い」、つまり安い商品の購入が地球破壊に結びつくこと、また、最近ではものを買わずに借りたりシェアするなどの「サービサイジング」の取組や、新しい環境ラベルからの情報入手などを提言しています。このように、コミュニケーションを通じてサスティナブルな「もの選び」をしていくことが大事だと考えております。
(中庭メンバー:(社)産業環境管理協会製品環境情報事業センター LCA開発推進室主査)
 今日は環境ラベルの普及についてお話させて頂きます。現在日本だけでも百以上の環境ラベルがあり、最近注目されているカーボンラベルなど、多様化していることから、たくさんありすぎてわからない、比較ができないとの声があります。そのため、統一が必要と唱える有識者も多いのですが、評価の物差しが一つではないことから、企業間での合意が難しいのが実態です。エコラベルの目的とは、環境にやさしい商品が優先的に選ばれて購入の目安となることですが、実際には消費者の認知度が低く、目的を達成できていません。原因としては、環境問題への関心の低さ、ラベルの表示形態の問題、発信媒体の問題、続々と発生する環境問題に消費者が追いついていけないなどの理由があります。こういったことから、内閣府の事業として、エコラベルコンシェルジュ養成事業を通じて、エコラベルについて身近に語れる人を育成し、ゲームなどの教材開発を行いました。今後認知向上に向けて、企業側からの情報提供サービスの向上や、エコラベルウォッチャー、新しい仕組みでのエコプロダクツの開発が必要だと考えております。
(近藤メンバー:足立区長)
 「足立区が地球を救う」という大胆なフレーズに、足立区から環境を発信していくという強い思いを込めさせていただきました。足立区は23区で一番公園の面積が多い区でありながら、区民からは「緑が少ない」と、自然環境が豊かな実情が実感されていない状況にあります。足立区のポテンシャルを最大限に生かして整備を進め、区民に実感してもらうことが私の使命と思っております。
 行政が何をしていかなくてはいけないのか、というと、区民全体に環境意識を均等に広げていく、つまり「1人の100歩より100人の1歩、65万人の一歩へ」繋げていくことだと考えております。4月には「第二次環境基本計画」を策定し、樹木の被覆率など具体的な目標を掲げています。この計画実施に向けて、6月21日の「環境サミットin足立」を開催し、足立区は95%が海抜が0m以下ということで、ツバルと同様水没の危機があることから、サミットにはツバルから環境大臣をお招きし、講演会を開いたり、ブルーベリーの苗木配布(区民による養成を経てブルーベリーの森をつくる)を行います。他にも温暖化防止区民会議(窓口の広い区民参加)、桁川浄化活動(自然再生モデル)、太陽光発電助成、また、公共施設のエコ化(学校の太陽光発電など)を進めていきます。
 これから足立区は3年間かけて「環境・子供・治安」を柱として、区の再生を図っていきたいと考えています。
(岸メンバー:(株)コロン 代表取締役)
 美容と健康をドメインに、「ビエナ事業」として消費感度の高い団塊ジュニア女性の会員化、「美の知力」の普及と、企業へのコンサルテーションを提供しています。ホリスティックビューティー、つまり全体は部分の寄せ集めではないという価値観を基に、美容についてもココロとカラダとスガタの3点から人間全体を包括的にとらえていくことをコンセプトとしています。80年代の見た目を重視する時代から、90年代の自分の身体を大切にする時代を経て健康産業が盛り上がり、2000年に入って心の充実が美しさに結びついていることに消費者が気付き始めたのではないかと思います。現在はココロのストレスケアも含めて美容ケアだと考えています。
 すぐさま環境にとってよい、と直接結びつけるのが難しいのですが、自分の美を見直すことで、環境問題が自分の問題として結びついていく手助けができればと思っています。
 また、マーケティングとして、現在のようにモノがありすぎる中で差別化を図るために、共感を呼んで消費に結びつけることが最前線であると考えています。消費者の五感を刺激し、刺さるストーリーを提供する「五感マーケティング」をコンセプトに調査とコンサルテーションを行っています。自己環境を整える一部として環境を考えていく美意識を広めていきたいと思います。
<意見交換>
(崎田代表理事)
国民運動を定着させるために具体的な形でをお仕事にされていると感じました。このメンバーでタグを組むと、もっと社会を快適にできるということを明るく波及できる、発信源と巡り会えたと感じます。
(鈴木オブザーバー・第一期メンバー)
 ストーリーと共感がないと、ムーブメントに至らない、ということを私も日々感じています。伝えていく人をどう増やしていくのか、売り子がわくわく語れることとは何なのか、私も環境の面で色々と悩んでいます。
(河口メンバー:株式会社大和総研 経営戦略研究所 主任研究員)
 キーワードはコミュニケーション能力だと感じました。環境の危機的な状況についての認識が広まっていない現在、どう伝えていくのかが一番効果的なのかをみなさん考えられているのだと思いました。選ぶ選択肢がたくさんある、恵まれた日本の状況がいつまで続くのか、ということを思いました。
(小林官房長)
 本日のみなさんのお話を伺って、みなさんの力をうまく組み合わせて環境を改善していくのだと思いました。
(法改正等、政策について説明)
 今回の法改正は民官の合わせ技を盛り込んだものです。本日のみなさんのお話の中にもたくさんの政策のヒントがあったと思います。ぜひみなさんも色々と活動していって頂きたいと思います。
<メッセージ案とりまとめ>
(中島補佐)(資料案について説明)
(崎田代表理事)
それではメッセージ案について、コメントをお願いいたします。
(近藤メンバー:足立区長)
全体に軽いイメージで危機感が薄い。特に「おしゃれで楽しみながら」という状況ではないと考えます。言葉を変更するか、順番を変えたほうがよいと思います。
(大和田メンバー:ロハスビジネスアライアンス 共同代表)
 私も近藤区長のご意見に賛成します。ロハスという言葉をサスティナブルな生活スタイル等、骨太に変更し、グリーンウィークに関連する言葉も追記してはいかがでしょうか。
(中島補佐)
メッセージについては、環境省として記者発表を行います。G8環境大臣会合や洞爺湖G8サミットの関連イベントで発信していければいいのではないかと考えております。またG8環境大臣会合には間に合いませんが、英訳作業をしたうえで、可能であれば、パンフレットにもし、配布していきたいと考えています。
(薗田オブザーバー・第一期)
 G8環境大臣会議に合わせて、子供環境サミットを開催します。その際、一緒にまとめて発信できればよいな、と考えております。
(鈴木オブザーバー・第一期)
 国際会議の日程延期に伴い、まだ時間の余裕がありますので、WEB等のメディアに載せていきたいと思います。
(善養寺オブザーバー・第一期)
 足立区の取り組みの紹介にあたって、太陽光発電の設置支援に特に取り組んでいるので、それについても言及してはどうか。
(大庭メンバー:株式会社環境エネルギー総合研究所 代表取締役所長)
 エコがおしゃれという視点ではなく、環境ビジネスウィメンとして、生活レベルでの、シビアで現実的な視点を織り込んでいった方が、リアルになるのではないでしょうか。
(竹本メンバー:(株)カタログハウス エコひいき事業部 取締役事業部長)
 岸さんご提案の「ブサイクになるほど仕事はしない」というような、わかりやすい強い言葉を入れると、楽しいメッセージになると思います。
(辰巳メンバー:社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 常任理値 環境委員長)
 「五感」ということを、私も子育ての上でも、とても重要だと常々思っていますので、「五感」という言葉をキーワードとして入れて頂きたい。
(崎田代表理事)
 他に意見がありましたら、別途連絡頂くこととし、G8環境大臣会合に間に合うよう、取りまとめることとさせて頂きます。
<環境大臣挨拶>
 環境省だけではできない、心に突き刺さる、踏み込んだメッセージを環境の分野から発信頂ける、ということで、ぜひ連携させて頂きたいと思います。
 G8環境大臣会合で成果を出し、洞爺湖サミットにつなげ、これを中間地点として来年のコペンハーゲンでのCOP15で京都議定書の後の新たなフレームワークに繋げなくてはいけない、という重要な時期に、日本として役割を果たし、貢献していかなくてはいけないと思っております。ぜひとも成功させていきたいのですが、全体の合意を得るのはとても困難です。最終的には一人一人のライフスタイルや考え方を変えて行かなくては低炭素社会は実現しないのですが、その上で、政府からでなく、みなさんから伝えていって頂いたほうが、共感、納得を得られると思います。ぜひ、みなさんから発言して行って頂いて国民との架け橋となって頂き、我々もサポートをさせて頂きたいと思います。みなさまと政府で車の両輪になって、最終的に地球の温暖化防止という究極の目的を果たしていきたいと思います。