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■議事録一覧■


平成24年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第7回)

議事録


1.日時

平成24年6月26日(火)15:00~17:20

2.場所

スタンダード会議室 虎ノ門HILLS 2階ホール

3.出席者

(委員長)
武内 和彦
(委員長代理長)
山岸  哲
(委員)
あん・まくどなるど 小泉 透 櫻井 泰憲
白幡洋三郎 辻本 哲郎 土屋  誠
中村 太士 宮本 旬子 吉田 謙太郎
吉田 正人 鷲谷いづみ  
(環境省)
自然環境局長
大臣官房審議官
自然環境局総務課長
国立公園課長
自然ふれあい推進室長
自然環境整備担当参事官
生物多様性センター長
自然環境計画課長
生物多様性地球戦略企画室長
生物多様性地球戦略企画室長補佐
生物多様性施策推進室長
野生生物課長
外来生物対策室長
鳥獣保護管理企画官

4.議題

1 次期生物多様性国家戦略(案)の検討

2 その他

5.配付資料

生物多様性国家戦略小委員会名簿・座席表

資料1
次期生物多様性国家戦略(案)
資料2
生物多様性国家戦略(案)の全体構成
資料3
生物多様性国家戦略の改定スケジュール(案)
参考資料
生物多様性国家戦略2010(冊子・パンフレット)
生物多様性条約COP10の成果と愛知目標(パンフレット)
第6回生物多様性国家戦略小委員会議事要旨(未定稿)

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会、第7回生物多様性国家戦略小委員会を開催いたします。
 委員名簿につきましては、お手元の資料の中にお配りさせていただいていますが、本日は21名の委員のうち13名の委員にご出席いただく予定となっております。
 次に、本日の資料について確認をさせていただきます。
議事次第の裏面にあります資料一覧をご覧ください。まず、小委員会の名簿、座席表に続きまして、資料1としまして一番下にあります白冊子、資料1、生物多様性国家戦略(案)。その後に、クリップ止めのものになりますけれども、資料2といたしまして生物多様性国家戦略改定(案)の全体構成ということでA3の折ったもの。さらに、資料3といたしまして国家戦略の改定スケジュール(案)ということと、あと、本日、ご欠席ですけれども、中静先生からご意見をいただいております、そちらを1枚と、あと委員の先生には、未定稿でございますが、第6回の小委員会の議事要旨をお配りさせていただいております。
不足等がございましたら、事務局までお申し付けください。
それでは、これよりの議事進行につきましては、武内委員長にお願いいたします。

【武内部会長】 それでは、今日が最後の小委員会というふうになります。どうぞよろしくお願いをいたします。
 本日は、前回に引き続きまして次期国家戦略(案)の全体について議論をさせていただきたいと思います。事務局のほうから一当たり説明をいただきまして、その後、また区切りを入れながら議論をさせていただければと思います。
 それでは、事務局、説明をお願いします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 それでは、生物多様性地球戦略企画室長の奥田でございます。
 それでは、本日の資料のご説明をさせていただきます。
 第5回の小委員会の後、各先生方、委員の方々には、ご確認をいただきましてありがとうございます。それぞれいただいたご意見をもとに事務局で修正作業等を行って、また政府部内、関係各省とも調整を行ったものを今日の資料として提出をさせていただいております。前回及び前々回の小委員会でご指摘のあった主な点を中心に、修正点を中心にご説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、資料1の国家戦略(案)のほうをめくっていただきまして、1ページ目、前文のほうです。こちらのほう、磯部雅彦委員のご意見を受けて、現行戦略も参考にしながら、最初の冒頭の部分に第1章第3節の理念に書かれた生物多様性の重要性の概要を追記してございます。そのほかは細かい部分の修正でございます。
 続きまして、5ページに飛びまして第1部です。第1章はここから始まります。それで7ページになりますけれども、生物多様性の重要性、第2節の命と暮らしを支える生物多様性というところで、8ページのところ、土屋委員からご意見のあった生物多様性と生態系サービスとの関係について、個別に土屋委員及び鷲谷委員にもご相談をさせていただいて、ここの8ページのほうに記載をさせていただくとともに、生態系サービスについては市場経済の中では見えにくいこと、またシナジーやトレードオフの関係があることなどについては、吉田謙太郎委員のご意見を踏まえて、ここの部分は修正させていただいております。また、生態系サービスを例にして生物多様性の重要性について説明している8ページの後段以降については、各委員のご意見を踏まえて記述の充実を図ったところでございます。
 続きまして、少し飛びまして第3節、15ページでございます。こちらは理念の部分でございますけれども、白幡委員をはじめとする各委員からのご意見を踏まえて全体の構成を、現行戦略にある生物多様性の重要性に関する四つの理念と前回、五つ目として提示した自然共生社会実現のための理念、これを分けて書くことにいたしました。前者をタイトルとして生物多様性を守る四つの意味として残しまして、後者は番号をつけずに、それを踏まえた自然共生社会実現のための基本的考え方として、「自然のしくみを基礎とする真に豊かな社会をつくる」と、16ページの一番上にございますけれども、そういう理念に集約をさせていただいております。また、武内委員長からご意見のあった経済の概念を広くとらえて自然資本を含めた形で新しい豊かさ、経済の持続性を考えるという趣旨につきましては、16ページの9行目、10行目辺りですか、ここを平易な言葉で追記をさせていただいております。
 続きまして、17ページからの第2章のほうに移りたいと思います。
 第2章の21ページから第2節が始まりますが、このうち23ページをご覧ください。吉田謙太郎委員のご意見を受けてTEEBの記述について、9行目からでございますけれども、経済価値評価を政策に結びつけていくなど主流化を進めていくことの重要性について追記をさせていただいております。
 それから、右側のページ、24ページの12行目辺りですか、これは白山委員のご意見を受けて、温暖化による海洋への影響について一次生産の減少を追記させていただいております。
 それから、1枚めくっていただいて25ページ、一番下、39行目辺りからですけれども、辻本委員のご意見を受けて、我が国の河川生態系の特徴について追記をさせていただいております。
 続きまして29ページから第3節が始まります。第3節では危機について整理をさせていただいておりますけれども、白幡委員のご意見を受けて、地球環境の変化による危機というものは第4の危機として整理をする一方で、ほかの三つの危機とは位置づけが違うということを具体的に説明させていただいております。これは、29ページの6行目以下の記述で説明をしていただいております。また、中静委員より第4の危機の説明は第4節にあった我が国の生物多様性の現状で記述していた部分、地球環境の変化による影響の内容のほうがわかりやすいといったご意見もありましたので、その内容を第4の危機に統合しておりまして、こちらのほうは32ページから始まる第4の危機でございますが、主に33ページのところですか、2行目からのところについては先ほどの第4の危機が性格が異なるということをハイライトしつつ、その下のほうにつきましては第4節のほうからの記述を移してきているということでございます。
 続きまして、第4節、35ページ以降でございますけれども、我が国の生物多様性の現状でございます。こちら、38ページをご覧ください。外来種の記述、下のほうからでございますけれども、こちらのほうにつきましては、鷲谷委員、白山委員のご意見を受けて、外来植物としてのシナダレススメガヤ、これは39ページの26行目から書いてございます、また海の外来種としてサキグロタマツメタ、こちらのほうは40ページの4行目、そういった例を追記をさせていただいております。
 続きまして、45ページに飛んでいただきたいと思います。45ページは東日本大震災による生物多様性の影響についてでございますけれども、真ん中より下です、こちらのほうは磯部雅彦委員のご意見を受けて、地震、津波により地形が大きく変化したことを最初に説明させていただいております。また、46ページの10行目からは、鷲谷委員のご意見を受けて、後背湿地で自然の回復が見られる具体的な例を記述させていただいております。
 続きまして、47ページからの第5節でございます。こちらのほう、47ページ、48ページ、制度の概要につきましては、磯部力委員のご意見を受けて、充実してきましたという記述終わるのではなくて、こちらは47ページの19行目以降に書いてありますけれども、法律の施行状況について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講じていく必要があるといった記述を追記しております。また、ここのタイトルの生物多様性に係る法律とあったものを生物多様性の保全に関する主な法律という形で変えてございます。
 51ページ目をご覧いただきたいと思います。11行目、海洋保護区の8.3%という数値について、吉田正人委員をはじめ複数の委員からご意見をいただいておりますけれども、ここにつきましては若干記述を追記させていただいて、適切な保全管理が求められるといったような記述を追記することで、ここの課題についてわかるように対応させていただいたものでございます。
 続きまして、第6節、54ページから始まりますけれども、55ページの41行目から、生態系サービスでつながる自然共生圏の認識というところでございますけれども、これは名称について、前々回の小委員会で武内委員長からご提案がありました自然共生圏という言葉を使うことといたしております。この用例につきましては、実態レベルの文章もしくは国土計画、都市計画系の研究者の文章等で用いられているなどの実績はありますけれども、実際に行政文書で用いられている用例自体は非常に限られているという状況にあろうかと思います。ここでは、自然共生圏という言葉を使うことにいたしました。
 続きまして、第3章に移ります。57ページ目からになります。57ページ、第1節、我が国の目標のところでございますけれども、下村委員からご指摘がありましたので、長期目標、短期目標、この順番を長期、短期の順に変更しております。また、長期目標の位置付けについては、第4章第2節の基本戦略の冒頭で「長期目標の実現を念頭に置き」といった記述を追加することで対応させていただいております。
 続きまして、第2節、国土のグランドデザインにつきましても、下村委員のご意見を受けて、基本的な姿勢である100年計画というものをまず示して、その後にグランドデザインの全体的な姿、地域ごとのグランドデザインという流れに変更させていただいております。
 それで、辻本委員、中静委員、桜井委員から、地域区分間のつなぎ方というものを示すべきではないか、また流域圏を単位とするのがよいといったご意見がありました。こうしたことを受けて、62ページの上の4行目以下のところ、ここのところにその考え方を記載させていただいております。この記載に当たっては、日本学術会議で自然共生型流域圏の構築といった文書を出しておりますので、その内容を参考にさせていただきました。
 また、吉田正人委員からは、国土空間的施策の生態系ネットワークは生物多様性地理区分について書けないだろうかとのご提案したが、国家戦略を地べたについたものにするために地域ごとに望ましいネットワークの姿を明示していくことはできないかといったご指摘がございました。生物多様性の地理区分の考え方の整理をはじめ、これは現状の把握からしっかり進める必要があるというふうに考えております。このため、今回の戦略では、ここの場所において、それぞれの地域ごとのネットワークの姿というものは示しておりませんけれども、第4章の基本戦略の生態系ネットワークの部分で現状の把握を記述させていただいたり、その実施に向けた方策を検討していくこと、そういったことを記載するとともに、行動計画の中においても同様の記載を行っておるところでございます。
 続きまして、第4章、72ページから始まります。第1節の基本的視点につきましては、土屋委員、大久保委員を初めとした委員のご指摘がございました。これを受けて、2と3、6と7をそれぞれ二つに分けて、七つの基本的視点ということで再整理をさせていただいております。その際に、大久保委員からのご意見にあった持続可能な利用といったことがわかるよう七つ目はタイトルも変更して記述も見直しておりますが、それ以外は記述の充実修正を行ったもので、前回から大きな変更はございません。
 続きまして、第2節は77ページから始まりますが、土屋委員、吉田委員のご意見を受けてタイトルを修正し、記述の充実を図っておりますけれども、全体の構成等は大きな変更はございません。
 以上で第1部について、ざっとで細かい部分のほうは省かせていただきまして、第1部の修正部分のご説明を終わらせていただきます。
 続きまして、105ページに飛びます。105ページからが第2部、愛知目標の達成に向けたロードマップということで、これは前回の小委員会で素案を提示させていただきました。その際いただいたご意見を踏まえて修正したところを中心に説明させていただきたいと思います。
 105ページの下のところ、戦略計画2011-2020の説明の部分ですけれども、35行目からの指摘のあったDPSIRの順番については、文字の配列順に記述を修正しております。
 また、106ページからの愛知目標の達成に向けた我が国の国別目標の設定。一応、ここの部分に、今日の資料の中で参考資料2の2枚目に愛知目標の達成に向けた我が国の国別目標等の案ということで全体を整理しておりますので、一覧表にしておりますので、こちらのほうもご覧いただきたいと思います。
愛知目標における五つの戦略目標AからEと対応して、我が国の戦略目標についてもAからEの五つに整理をさせていただいております。我が国の戦略目標ごとに国別目標及び国別目標の達成に向けた主要行動目標というものを設定させていただいております。また、国別目標、主要行動目標の設定に当たっては、これを見ればわかるとおり、愛知目標の個別目標との対応についても考慮に入れております。なお、国別目標の達成の鍵となる主要行動目標については、可能なものについては目標年がわかるように工夫に努めております。
また、本文のほうに書かれておりますけれども、それぞれ国別目標ごとに関連指標群という形で示しております主要行動目標に照らして指標として設定できるものがあるかどうか、また、具体的施策のうち指標を設定しているものについては国別目標の指標としても設定できるものがあるだろうか、また、国別目標の達成状況または効果を示す指標としてふさわしいもの、一般にわかりやすいものがあるかという三つの観点から再検討しております。また、前回、小委員会後、委員からご提案のあった指標についても、データ等の有無等の状況を考慮の上、追加について検討させていただいた結果がお手元の資料ということでございます。
それでは、具体的な目標について順番に説明をしていきたいというふうに思います。
まず、106ページ、21行目から、戦略目標Aの関連でございます。愛知目標の個別目標では1から4までに対応するものとして国別目標A-1を設定するとともに、五つの主要行動目標を設定しております。前回素案では、幾つかの主要行動目標で行動の例を示しておりました。主要行動目標すべてに記載してはどうかというご意見もいただきましたけれども、網羅しようとした場合に第3部の具体的施策とかなり重複してくるということになり、また分量も増えてしまって見にくくなることから、第2部における国別目標と第3部の具体的施策の対応関係を第3部の冒頭で示すということで、第2部からは行動の例というのは省くことにいたしております。
A-1-2、主立ったところだけご説明させていただきますけれども、107ページ、A-1-2です、一番上でございますけれども、前回小委員会の終了後、大久保委員より書面にて生物多様性そのものを経済価値評価すること自体、極めて困難であるというご意見をいただきました。それを踏まえて修文させていただいております。
その下のA-1-3でございますけれども、前回の委員会で複数の委員から愛知目標の個別目標3、省令措置に対応した目標が抜けているとのご指摘があり、その記載を追加したところでございます。
13行目、A-1-4でございますけれども、生物多様性に関する地方計画の一つとして生物多様性地域戦略というのがございます。現在、36自治体で策定しておりますが、その支援の一環として、次期国家戦略や最近の事例を踏まえて2014年までに地域戦略の手引きを改定するということを追加してございます。
 続きまして、戦略目標のB関連でございます。108ページにございます。国別目標B-1につきましては、愛知目標の個別目標5に対応するものとして設定させていただきまして、四つの主要行動目標を設定してございます。B-1-1は、前回小委員会で中村委員のほうから、2015年までに手法やベースラインを決めるというのは、目標設定そのものが、中間評価等を2014年に行う中で、目標設定が遅いのではないかというご意見がございました。そのため、記述を「2014年又は2015年初頭に予定された愛知目標の中間評価までに」という形で変更させていただいております。また、ベースラインについてもわかりにくいということで、記述を変更しております。
 また、26行目、B-1-3、前回小委員会では小泉委員より、B-1-3の環境省の目標とB-1-4の農林水産省の目標について、役割分担が明確となるよう書き分けるべきとのご意見がございました。それを受けて、今回、行動目標の記述を変更させていただいたところでございます。また、2015年までに鳥獣保護法の施行状況を見直すこと、2020年までに鳥獣保護管理の仕組みづくりの運用と推進について行うことということを主要行動目標に記載しております。
 関連目標としては、109ページにございますけれども、湿地・干潟の再生の割合、三大湾において底質改善が必要な区域を改善した割合、都市域における水と緑の公的空間確保量を追加してございます。
 愛知目標の個別目標6、7に対応するものとして11行目、国別目標B-2を設定し、四つの主要行動目標を設定しております。B-2-1については、前回に比べやや詳細に内容を書き込みました。また、24行目、B-2-3につきましては、前回、行動例として記載していましたけれども、行動目標としての記載に変更しております。また、前回の委員会で桜井委員より、公海についてはマグロなど広域回遊魚の具体的な取組が行われていると、公海と領域にまたがった海洋生物について書き込めるのではないかというご意見をいただきました。これを受けて、「マグロ類を含む高度回遊性魚類の持続的利用・管理のための国際協力」といったものを新たに追加させていただいたところでございます。
 愛知目標の個別目標8、10に対応するものとして、110ページ17行目、国別目標B-3を設定しております。ここでは、三つの主要行動目標を設定しております。なお、前回の小委員会において桜井委員のほうから、閉鎖性の高い水域、以下「閉鎖性水域」とする表現にすべきではないかというご意見をいただきましたので、それに沿って修正をしております。
 B-3-1、B-3-2については、具体的な目標年を記載しております。また、B-3-3、111ページ4行目です。こちらのほうは、より具体的な記載となるように修正しております。
 また、その下の関連指標群については、前回小委員会で磯部委員のほうから、青潮の発生件数は気象条件にも左右されることから、貧酸素水塊を指標にしてもよいのではないかというご意見を踏まえて、そのように貧酸素域の分布状況というものを追加させていただいております。
 続きまして、その下のB-4でございます。これは、愛知目標の個別目標9に対応するものとしてB-4を設定しております。三つの主要行動目標を設定させていただいております。前回小委員会では鷲谷委員より、記載内容についてボトムアップの視点や地域での自主的な取組が重要であるとのご意見をいただきました。「各主体の適切な役割の分担の下」という言葉を追加しております。
 また、吉田正人委員より、外来種の根絶によっての効果について、そこまで書き込むべきではないかというご意見を踏まえて、希少種の生息状況や本来の生態系の回復を促進させるという記述を追加しております。これらを受けて、B-4-2、B-4-3についても修正をしております。なお、B-4-4につきましては、国別目標と同じ文言であることから、国別目標に統合して記述をさせていただいたところでございます。
 続きまして、112ページ18行目、B-5でございます。これは、愛知目標、個別目標10に対応するものでございますけれども、前回小委員会で桜井委員からサンゴ礁以外にも磯焼けの問題等もあるので入れてほしいというご意見をいただきました。藻場、干潟を追加するとともに、関連指標にも、その旨、追加しております。
 続きまして、112ページ、一番下、戦略目標Cにつきましては、一文が非常に長いために分割して整理をさせていただきました。国別目標C-1、113ページ4行目、こちらのほうは、愛知目標の個別目標11に対応するものとして、設定して四つの主要行動目標をつくっております。C-1-1は、ベースライン、現状の整理は当該目標達成の前提となるということから、冒頭に移し、目標年を明記しております。また、2020年までに少なくともというのは国別目標の内容と重複しているので、国別目標に統合することといたしました。
 C-1-2につきましては、前回小委員会で吉田正人委員より、地域指定について周辺地域との連続性の考慮が重要とのご意見をいただいたので追加しております。また、自然環境生態系の使い分けが不明確だったので、これを削除して「生物多様性の保全に寄与する」というものを追加しております。保全に寄与する地域については、直接的な目的とするものと間接的に寄与するものと、両者が含まれるものとして整理をさせていただいております。
 29行目、C-1-4、海域の重要地域等の保全の必要性及び方法の検討について追加をさせていただきました。関連指標につきましては、前回、磯部委員より、レンジャーの数など人の数があるとストレートでいいのではないかというご意見を受けて追加させていただいております。
 続きまして、114ページ7行目、C-2でございます。愛知目標の個別目標12、13に対応するものとして設定し、五つの主要行動目標を設定しております。絶滅危惧種の減少要因としては、第一の危機だけではなくて第二の危機によるものも多いことから、「生物多様性の保全に配慮した持続可能な農林水産業の推進による生息・生育基盤の整備などの取組」、そういったものを追加させていただいております。
 また、34行目、C-2-4でございます。前回委員会で佐藤委員より、種の保全だけでなく保全の取組を通じた地域全体の活性化を目標としたほうがいいというご意見がありました。文末に、その旨の記述を追加させていただいております。
 また、115ページの関連指標群につきましては、前回小委員会において吉田正人委員から、レッドリストについてランクが下がった種の数、保護区の箇所数、面積を追加したほうがいいというご意見を受けて追加させていただきました。また、鷲谷委員より、コウノトリも加えたほうがいいということで追加して、ツシマヤマネコも指標として追加させていただいております。
 115ページ、戦略目標Dの関連でございます。愛知目標では14に対応するもので、一つ設定しております。五つの主要行動目標を設定いたしました。D-1-2につきましては、農業関係について追加させていただきました。また、D-1-4につきましては、三陸復興国立公園の指定の目標年次を明示させていただいております。また、鷲谷委員から「『みどりのきずな』再生プロジェクト」に対するご指摘もあったので、ここに生物多様性の保全にも配慮したという記述を追加させていただいております。
 続きまして、愛知目標の個別目標18に対応する目標として戦略目標Eの関連、国別目標E-2に、前回はD-1-4にあったものを移しております。
 また116ページに戻りまして、国別目標D-2につきましては、愛知目標の個別目標15に対応するものとして三つの主要行動目標を設定しております。また、D-3は16に対応するものとして設定しております。それぞれ具体的な内容について記載をさせていただいたところでございます。
 117ページ、戦略目標Eの関連につきましては、個別目標17に対応するものとして二つ掲げてございます。E-1-1とE-1-3につきまして、ほかと比べ記載レベルが細かいことから主要行動目標としては削除いたしました。点検については戦略本体の前文に記載してあることから、そこで記述はしっかりしてあるということでございます。
また、国別目標E-2につきまして、118ページの15行目、これは個別目標18から20に対応するものとして六つの主要行動目標を設定しております。E-2-1でございますけれども、個別目標18への対応というのは前回なかったものを追加させていただいております。そのほか、目標年ですとか記述を整理させていただいております。
それでは、120ページ、第3部のほうに最後、移りたいと思います。構成は目次のとおりでございます。前回までに基本的に示している内容のとおりでございます。内容は120ページから252ページまでにわたっております。章の下の節というまとまりを一つの単位として、それぞれごとに基本的な考え方というのを示して目指している方向性や重視する視点などをまとめたことは、前回もご説明したとおりであります。また、節の下に項を設けて具体的施策を列挙させていただいております。
先ほど説明したとおり、121から122ページに国別目標に対応するそれぞれの節に書いてある施策との対応表というのを加えております。また、具体的な施策は、後のほうに出てくるもので約700ございます。新たに記載される施策は64ということでございますけれども、例えば、広域圏レベルでの自然再生の目標を共有しようと、これは137ページにございます。あと、重要海域の、例えば今のは137ページの23行目でございます、広域的な視点に立った自然再生の方向性等について、関係省庁が連携して検討し、計画的な実施のための取組を進めるといったことを記述してございます。
 また、173ページをご覧ください。こちらのほうでは、一番下に重要海域の抽出、また海洋保護区の設定の推進ということを173から174ページについて記述をさせていただいているところでございます。
 195ページには、一番下のところ、経済価値の評価というものを、より具体的な施策を幾つか掲げております。自然保護地域などを対象とした生物多様性の経済価値評価を推進していくといったことを記述しているところでございます。
 また、208ページをご覧ください。208ページでは外来種対策のところ、35行目には外来種ブラックリストの作成等による注意喚起と施策を記述してございます。
 また、234ページのところでは、32行目からになりますけれども、生物多様性の総合評価を実施していくといったことを記述しております。これは指標を具体的に設定した上でということを明記してございます。
 また、250ページのところでは、三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興プロジェクト等、東日本大震災からの復興再生について記述を書かせていただいております。
 これら施策の中で現状を示しているというのは、具体的に172の施策によって示させていただいております。
 また、124ページにある保護林の面積のように数値目標のベースラインとなるものが基本となっていますけれども、現状はそれをベースとしていますけれども、東アジア、オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップのように、まず本文中での記載がなじまないで現状として説明だけを加えているというものもございます。
 目標を示している施策というのは76ございます。また、そのうち計画の策定のように数値が伴わない目標年を設置しているものなどが15、目標の数値と年度が示されているものが42ございます。基本的考え方、具体的施策のそれぞれの記述とも、若干、政府部内での今、最後の調整を行っている部分がございまして、一部、記述が残っています。具体的には125ページの11行目でございますけれども、こちらのほうは重要地域の保全について、制度の役割は整理をさせていただいているところですけれども、その評価について、どういう形で整理するかということについて、最終的な記述の調整を行っているところでございます。
 また、246ページをご覧ください。246ページの6行目及び16行目についても、これは生物多様性に影響を与える要因、自然共生型社会、循環型社会、低炭素社会の統合的な取組の中で、生物多様性に影響を与える要因についての記述と温室効果ガスの排出削減目標等の数値の記載について、具体的にどういった記載がいいかということについて、今、調整をしているところでございます。
 このほか、ラムサール条約湿地について132ページとか224ページで記述をしてございますけれども、具体的な目標について、今、最後、どういう目標を掲げるかということで調整を行っておりまして、現在の中からは記述が抜けておりますけれども、調整でき次第、記述を加えたいというふうに考えております。
 なお、最後の250ページ、第3章の東日本大震災からの復興再生の第2節、252ページにつきまして、具体的施策が二つということで、ちょっと寂しい記述になっておりますけれども、そのほかの部分、例えば第1章第6節の田園地域、里地里山の生物多様性の保全を、より重視した農業生産の推進ですとか生物多様性の主流化の推進、これは第2章第1節でございますけれども、経済価値の評価、事業者と消費者の取組の推進、もしくは第10節の自然共生社会、循環型社会、低炭素社会の統合的な取組の推進など、それぞれにもう既に書いてある施策の中で、恐らくここに、再掲になりますけれども、書き込めるものがあるかと思いますので、これについても引き続き、関係省庁と調整をしながら内容の充実を図っていきたいというように考えております。
 資料1についてのご説明は以上でございます。
 資料2につきましては、参考として全体構成を一覧できるもの、それと先ほどご説明しました国別目標の愛知目標との対比表をつけてございます。それと、資料3には今後の改定スケジュールがつけてございます。今日で小委員会が終了になりますけれども、今日いただいたご意見を踏まえて、また委員長ともご相談しながらパブリックコメント(案)というのを再度整理させていただいて、7月にパブリックコメントを実施できればというふうに事務局のほうでは考えております。また、全国説明会を8カ所、全国、札幌から石垣まで8カ所で開催する予定としていることをつけ加えさせていただきたいと思います。
 最後に1枚、資料番号はついてございませんけれども、中静委員から今日の午前中にご意見のメールが届きましたので、それを印刷してつけさせていただいております。また、前回の議事要旨を添付してございますのでご確認ください。
 長くなりましたけれども、事務局からの説明は以上でございます。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、早速、議論に入らせていただきたいと思います。まず、最初に前文と第1部について議論をいただきたいと思います。第1部については、既に一度、本文全体を各委員にご確認いただいていることから、本日は前回の小委員会での議論があった理念と地球環境の変化による危機の位置付けを中心に議論をしていただければと思います。最初に委員からのご質問、ご意見を受けまして、回答が必要なものについては後ほど事務局よりまとめて回答をしていただくことにしたいと思います。
 それでは、ご質問のある方は名札を立てていただきたいと思います。
吉田正人委員。

【吉田(正)委員】 すみません。ちょっと今、第2部の一番最初のところに入ってしまいまして。

【武内部会長】 言っちゃっていいですよ。

【吉田(正)委員】 105ページなのですけれども、ここまでが第1部で、この間に申し上げたDPSIRモデルの順番にするというのは、それでいいのですけれども、インパクトのところにインパクト/ベネフィットというふうに入れないと、愛知目標の戦略目標と合わないのではないかというふうに申し上げたのですが、その点をちょっと考慮していただければと思います。

【武内部会長】 土屋委員、お願いします。

【土屋委員】 理念のところを中心にというお話でしたが、その前の前文のところで質問させてください。ここの気になるところ等につきましては、お届けいただいたPDFに書き込みをしてありますので、それは後でお渡しして、必要であれば訂正をお願いしたいと思います。
中身について気になる点というのは、2ページの、これPDFと今日の資料と行数が合っているかどうか確認できないのですが、今日の資料の2ページの13行目辺りに自立分散型の地域社会という言葉があります。この言葉は後のほうにも数回出てくるのですけれども、確かに地産地消等を重要視して自立分散型の地域社会の確立というのが議論されておりますけれども、この国家戦略の中で、一方では、内容は違いますけれども、ネットワークを大切にしよう、より広域的な見方も大切にしようと言っているところで、言葉上だけかもしれませんが、何となく矛盾を感じるような表現に聞こえますが、これで問題がないかということは検討したほうがよいのではないかと感じました。
それから、もう1点。今日の資料では白黒印刷なのではっきりしませんが、お届けいただいたPDFは黄色のマーカーがついているページがありました。行は白黒印刷で薄い灰色になっているのですが、これは何なのでしょうか。我々、どう見たらいいかわからなくて気になっておりました。具体的には、36ページと37ページです。36ページは、すべてマーカーがついておりました。それから、37ページも3分の2以上が黄色になっておりますけれども、これは何かということをお尋ねしたいと思います。
以上です。

【武内部会長】 その黄色のやつだけ、説明してください。

【生物多様性地球戦略企画室長】 36ページ、37ページ、色をばっとあれしていて恐縮なのですけれども、こちらのほうは、今、レッドリストの改定を、一番上に書いてありますけれども、最新の数値を含め、近々の改定、結果、このように修正をしていくということで、あくまで、これは現段階での、改定後にそれはまた直るよということを示したものでございます。申し訳ございません。そこのところが、ちょっとわかりにくくて。

【土屋委員】 もうすぐなのですか。

【武内部会長】 反映するわけでしょう、最終段階で。

【生物多様性地球戦略企画室長】 要するに、9月の末のこちらの閣議決定までに間に合えば、そこのところは反映したような形で修正したいというふうに考えております。

【武内部会長】 よろしいですか。それでは、今、いただいたことについて、事務局のほうで回答をお願いいたします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 まず、吉田委員の部分については、ちょっと原文を確認して必要な記述の修正をしたいと思います。
 続いて、土屋委員ご指摘の自立分散型の地域社会とネットワーク形成の話ですけれども、自立分散型というものを基本としながら、そこでは賄えない部分についてネットワークを組んでいくと。その記述そのものも本文の中で自然共生圏の記述等、56ページとかで記述をさせていただいておるかと思いますけれども、決して、全く相矛盾するものをそれぞれ書いているということではなくて、基本は自立分散型の地域社会というものを基本にしながら、そこで賄えないものをネットワークを組んでいくといったような考え方で整理をさせていただいているところでございます。

【武内部会長】 ほかにございませんか。
 白幡委員。

【白幡委員】 前文のところから第1部の前半、特に生物多様性ということをテーマにすると、我々、何が問題なのかというのが非常にわかりやすく構成されたと思います。それで、理念があって、そして理念に照らすと危機が幾つかある。非常に、それが分析的に書いてあると思うのです。
 その理念のところなのですが、この間、出てきた意見をうまくまとめていただいて、10年度よりも非常にわかりやすくなっているというふうに思います。ただ、これ、理念というのが生物多様性の国家戦略の理念というよりは将来の生物多様性を踏まえた、あるべき社会の目標に向けての理念というふうに書いてあるので、それに向けての書き方というのはニュアンスが若干違うことになるかもしれないし。ちょっと文体とか何かは考えていただきたいと思います。
 それから、前回、ちょっと長らく話し過ぎたと思うのですが、四つの危機なのですけれども、確かに、四つの危機と国家戦略については言っていいのではないかなと思いますが、今度は表現の仕方なのです。やはり生物多様性という考え方に基づくと、我々の今の社会の危機は四つあると。どういうふうな問題があるのかというのは、これ、ちょっと見出しで差をつけないと。具体例で、あるテーマについてはアライグマの被害を出せばわかるとかというふうな具体例と、それから根本的な理念的な文章とが大体同じ量というか、むしろ具体例のほうが詳しく書いてあるというのがあって、これは何か補助材料としての扱いにしたほうがいいのではないかなと思うのです。
 何か、危機のテーマで、それをまとめた場合には四つの危機に分けられるということなので、具体例の細かな記述というのと根本的な。第一の危機というのは明らかに開発など人間活動による危機というふうに、前回よりは非常にわかりやすい表現になっていると思います。これが、例えば、まとめるとどういうことかというのを書いた上で、具体例は、その後に出てくるというようなことにならないかなと。これ、時間との戦いだと思いますけれども、もし可能であれば、そういう表現の仕方に何とかならないかという検討をお願いしたいなと思いました。
 以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
 どうぞ、鷲谷委員。

【鷲谷委員】 既に記されていることではなくて、会議の中ではそういうご意見が出たことがあるのですけれども、まだあまり扱われていないこととして、世界の生物多様性に責任を持つ日本の姿勢みたいなものがあるといいのではないかと思うのですが。会議で出たのは、生物資源利用大国としての日本というのをどう考えるかということ、どなたがご意見を言われたのか、よく覚えていないのですが、そういう話題があったと思うのですけれども、日本人の日常的な暮らしの中で消費しているものが生産現場で絶滅危惧種のリスクを高めているなど、さまざまな問題があると思うのですが。
 今月出された「ネイチャー」に、それをサプライチェーン分析によって、どこの国がどのぐらいインパクトを与えているかを明らかにした論文が出ていて、それはIUCNのレッドリストに掲載されている動物に対するリスクなのですけれども、1万5,000種類のコモディティーのサプライチェーン。まず、そのコモディティーが生産において絶滅危惧種のリスクを高めているかどうかを判断して、それはIUCNのレッドリストで判断して、高めているという事実があるコモディティーが、どこで消費されているかということを明らかにしたものなのですけれども、もう皆さんもよくわかっているとおり、消費は先進国で消費されているわけですが、国別に見るとアメリカ合衆国がトップで1,000種の絶滅危惧種を脅かしていて、第2位が日本なのです。たしか700種ぐらいだと思いました。次がドイツというふうに続いていくという非常に明瞭な分析結果が発表されていて、グラフなども出されていて、輸出国として絶滅危惧種が多いところはどこかという観点の分析もあるのですけれども、そういうふうに日本も……。
よその国の生物資源を大量に消費している国という認識はありましたけれども、そのことがグローバルに見た場合の絶滅リスクというのを高めている程度について定量的な評価が出たというのは、もしかしたら初めてではないかと思うのですけれども、こういうことも多少意識して、1行でも2行でも、そういう自覚について記したほうが。これは日本国内で大切な戦略なのですけれども、世界に向けて発信するものでもあると思いますので、そういう部分があるといいなと思いました。
以上です。

【武内部会長】 ありがとうございました。
 第1部までです。はい、どうぞ、土屋委員。

【土屋委員】 文言については後ほどと申し上げましたが、ちょっと気になる点が二つあるので聞いていただきたいと思います。
 目標を掲げているところで短期目標なのですが、これは今日の資料でも57ページでいいでしょうか、短期目標は国別の目標の達成を目指して行動を実施すると書いてあります。これを反対にして、緊急に行動を実施して目標の達成を目指すというほうが目標らしい表現になるのではというふうに感ずるのですが、そうではないでしょうか。実施するのが目標だというふうにとられると、達成できなくてもいいやというふうに悪く解釈されがちですので、ちょっと気になりました。
 それから、目次のほうが見やすいかと思いますが、第4章の表現です。第4章は、生物多様性の保全及び持続可能な利用の基本方針になっています。でも、その後の第1節、第2節には基本方針という言葉は出てこなくて、第2節の多分、基本戦略が基本方針に対応するのではないかと思うのですが、言葉が違うということが気になりましたので、ご検討ください。
 以上です。

【武内部会長】 それでは、今までのところの回答をお願いします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 土屋委員の最後の二つにつきまして、先にご回答申し上げたいのですけれども、短期目標の部分については愛知目標そのもので、やはり効果的かつ緊急な行動を実施することというのが愛知目標のほうで書かれているものですから、これを踏襲するような形で。やはりアクションを起こすということを一義的な目標にする、これは確実に逆にやらなくてはいけないということが。達成というところは、実際、プロセスと結果との部分で、もちろんどうなるか、それをよく考えながらアクションを起こしていかなくてはいけないのでしょうけれども、やはりアクションを起こすということが重要だというのが。愛知目標の中でも、多分、そういうことで、2010年目標そのものが達成できなかったという、具体的なアクションそのものがよくわからなかったという部分でしょうから、そういう意味で、今回もそれを踏襲した形で書かせていただいたものでございます。
 それから、先ほどの基本方針の部分につきましては、これまでの国家戦略を踏襲するような形で、基本方針の中で基本的視点、基本戦略という整理をずっとさせていただいてきたところでございます。もちろん、ちょっと言葉そのものを考えるということはあろうかと思いますけれども、これまでも、この形での全体の国としての方針というのを定めてきたところですので、今回もできれば。そこが何か今、大きく変わらないと事情として違うかというところは、あまり見当たらないものですから、これまでのもの、ベースの中で、今、その中身を具体的にどう付け加えるか。それで、さらにそれをどう膨らませるかという視点で修正をさせていただいたものとご理解いただければというふうに思っております。
 それから、鷲谷委員の世界の生物多様性に責任を持つという部分でございますけれども、若干、現在の中でも、例えば10ページのところの中で9行目以下、ここのところで海外に対して依存して、またインパクトがあるということを記述させていただいておったり、また、56ページのところの17行目でございますけれども、自然共生圏の考え方というものについて、それぞれ海外との関係というのも考えていかなければいけないということを記述させていただいているところでございます。
 最新の情報そのもののデータというのは非常に興味深いものなので、できる限り、そういったものも考慮に入れられればとは思いますけれども、なかなか、それをまた分析した形で定量的な話として書き込むというのは、我々としてもまだ勉強が足りない部分がございまして、その辺、何か具体的なご提案があればと思いますけれども、今の中の記述の中で先ほどのご趣旨はある程度カバーできているのではないかなというふうに考えております。
 それから、白幡委員のほうからのご指摘のところでございます。四つの危機の部分、具体例と理念的なものを書き分けるほうがいいのではないかということでございますけれども、実際、確かに一つの段落の中にまとめてしまっているので見にくいかもしれませんけれども、内容を見ますと、若干そういう理念的な部分と具体例の部分というのは記述が分かれて書かれておりますので、少し見せ方といいますか、行の区切り方みたいなもので整理をする中で、今、ご指摘いただいたところがもう少しわかりやすく構成としてできればいいと思います。そこは、ちょっと検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。

【武内部会長】 吉田謙太郎委員。

【吉田(謙)委員】 細かな点なのですけれども、2点あります。まず、8ページの36行から38行のところなのですけれども、マングローブ林を伐採し、エビの養殖場などのために開発することは供給サービスの向上につながりますが、調整サービスの低下につながる場合がありますというところが、どうもエビ養殖場にするといいことがありますよというところが何となく強調されているような文言になっているので、多少、例を替えるか、ちょっと修正していただけると思います。
 これは地域によっても違うと思うのですけれども、私がマレーシアのマングローブ林の開発を調査していた時には、短期的にはエビ養殖場などによって供給サービスは高まるのですけれども、その流域において稚魚の成育などが妨げられることもあると。結局、何年間かすると病気がはびこって魚の養殖場に変わってしまう。魚の養殖場もあまり持続的ではないというようなことを言っている人たちもいて、かなり論争になる部分かなと思いますので、ここを少し見直されたほうがいいのかなというふうに思います。
 それと、もう1点なのですけれども、75ページです。75ページの11行目から15行目ぐらいまでです。森林環境税のところ、これをPESと結びつけて書かれているのは非常にありがたいところなのですけれども、森林環境税自体は、あまり生物多様性を中心として考えていない、生態系保全ということを中心にしていなくて、水源池の保全、水の浄化サービスですとか水を供給するサービスですとか、そういった点に焦点を絞っている。また、施策としても、従来型の森林整備の延長線上にあるような施策が多くて、さらに生態系保全ですとか生物多様性保全のほうに、今後、転換していく必要があるのかなというふうに個人的に考えているところです。ですので、ここを、もう少し生物多様性のために森林環境税があるとかというところを若干トーンダウンさせて、今後の課題としたほうがよいのではないかなというふうに考えております。
 それと、非常に細かい点なのですけれども、そこにPESが書いてありますけれども、75ページと23ページを比較すると、同じことが書いてあるのですけれども、書き方が英語の略語、abbreviationのところが前に来たり後ろに来たり違いがあるので、ここを統一されたほうがいいということです。
 以上です。

【武内部会長】 どうもありがとうございました。
 何かございますか。よろしいですか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 最初のエビの部分については、何かいい事例というのは。後でまた結構ですから、ご指導いただけたらありがたいなというふうに思いますけれども。ほかの先生方でも。

【武内部会長】 書き方を変えるので何とかなる可能性もありますよ。一時は生産性が高くていいように見えるけれども、その後に劣化するようなことがありというふうな、そういう言い方にすれば。

【鷲谷委員】 供給サービスを限定すればいいのですよね、メリットがある。エビの生産という供給サービスのほうは、ある。短期的には向上するけれども、ほかの供給サービスを損なっていく可能性もあるし、長期的に、それに……。

【武内部会長】 供給サービスそのものが低下することもあり得るという。

【鷲谷委員】 そうですね。だから、供給サービスが向上すると言ってしまうと、ちょっと。

【吉田(謙)委員】 人工的な面での供給サービスは向上するけれども、天然のものに対して影響を与えることもあるし、供給サービスの中でもトレードオフがあるということ。

【生物多様性地球戦略企画室長】 トレードオフと、長期的な視点で見たときに問題点があるという、そういう2点から。

【武内部会長】 2点ですね。ですから、そこは両方書いたほうがいいと思います。

【吉田(謙)委員】 実際に調整サービスの低下につながる場合がありますというか、つながるというふうに言い切ってもいいのかなと。こちらの上のほうでは、つながりますがと書いて。

【生物多様性地球戦略企画室長】 そこは、ちょっと弱気になってしまって。わかりました。ありがとうございます。

【武内部会長】 はい、どうぞ。

【桜井委員】 68ページのところから69ページのところで、海洋保護区についてですけれども、多分、生物多様性の見直しをやったときに、海洋保護区の定義を一応書いてあるのですけれども、それが今回、どこにも書いていないので、この辺に、どこか、海洋保護区とはということで、日本のあるべき海洋保護区の姿について、何か書いておいたほうがいいと思うのですけれども。既にそれは定義付けはしていると。漠然としたものですが、定義付けはありますので。そうしますと、今度は具体的な次のところの行動計画のところでは、より具体的に書き込めるということで、ここにも書いたほうがいいと思いますのでお願いします。

【武内部会長】 ありがとうございました。ほかに。
(なし)

【【武内部会長】 それでは、第2部、愛知目標のロードマップについて議論をしていただきたいと思います。第2部についても、前回の小委員会の後、各委員からコメントや意見をいただきまして、今回の資料は、それらを踏まえたものとなっているということでございます。それを前提として、引き続き、さらにご意見、ご質問のある方はお願いしたいと思います。
 吉田委員。

【吉田(正)委員】 すみません。先ほどは一つ、先走って言ってしまいました。105ページを言ってしまいましたが、107ページから。まず、戦略目標A関連のところで、A-1-3で国家戦略などの国や地方自治体の戦略の計画の促進の中に、奨励措置の実施というのがちょっとおまけのように入っているんですが、今までもちょっと申し上げたように、私としては、これは日本政府の提案もあって、単に生物多様性に悪影響を与える補助金見直しだけじゃなくて、奨励措置というようなところも加わったので、ぜひとも独立した項目にしていただきたいなと思いますし、それから、一言も負の補助金の見直しということが入っていないんですが、これはぜひとも入れてほしいなと思います。特に、国内における補助金の生物多様性に悪影響を与える補助金の見直しということは当然なんですけれども、国際的に、本当にそれが持続可能な開発に結びつくものであれば構わないんですけれども、むしろ、地元からの要請とは違う形で、補助金が折り合うような形できているんじゃないかと、そういうような批判もございます。国際的な団体などからは、いろいろIWCだとかSidesだとか、そういったところで、日本の支援を得るために不必要なハードな補助金が出ているということで、水産関係だけでも数年間の間でもう1,000億円以上になっているというそういう指摘もありますので、先ほど申し上げたように、この部分については、悪影響を与える補助金の見直しと、それから生物多様性に配慮した奨励措置というものと両記で、独立した項目にするべきじゃないかと思います。それが一つです。
それから、2番目は、108ページ、B関連のところで、B-1-3とB-1-4で、環境省と農林水産省で分けた、わかりやすくしたという説明なんですが、分けたために、ちょっと大事なところが抜けてしまっているんじゃないかなという、1999年の国会の議論以来、NGOも交えて、専門家も交えて環境省のほうで議論してきて、野生生物保護管理というのは、個体数管理だけじゃなくて、個体数管理と生息地管理と被害防除の、この三つの柱から成り立っているということが議論されて、今はほとんどの学会でも皆さんそういうふうに理解されていると思います。
 それにもかかわらず、環境省のB-1-3の部分は、個体数管理の保護ばかりで、それの担い手というところにすごく重点があるんですが、環境省の管轄しているさまざまな保護地域の中の生息地管理というのは当然あるわけですから、環境省もB-1-3のところも個体数管理だけじゃなくて、個体数の確保と生息地管理等の鳥獣保護管理施策とか、そういうような形にするべきだと思いますし、B-1-4のほうも、農林水産省のほうに被害防除と生息地管理という書き方になっているのかもしれませんけど、これだと、森林被害と森林の保護の部分しかないですね。林野庁の部分しかないですけど、やっぱり農業被害の部分も重要ですから、やっぱり農業被害・森林被害と両方入れないといけないんじゃないかなと。ちょっと、二つに分けたために抜けてしまった部分があるんじゃないかなというところです。
次に、3番目に、110ページと117ページにまたがるんですが、同じような感じで、110ページの上から5行目、「藻場・干潟の保全・創造面積」というのと、それから117ページの上から4行目に、「湿地・干潟の再生の割合」と二つ出てくるんですね。そこへ、どういうふうに考えたらいいかなんですが、多分、B-2のほうのものというのは、農林水産業が持続可能な形で実施される中での創造ということなんでしょうから、失われたところに新たに創造するというようなところを意味していて、117ページのほうは自然再生の保護に努め、その上で書かれているので、自然再生、失われた自然に対する再生の割合という意味だと思うんですが、ちょっとこの辺りがどういうふうに書くのかわかりにくいと。
少なくとも、私は117ページのほうは、例えば何年、ちょうど戦後から8万ヘクタールあった干潟が4割減少してしまったということを言われているわけですけれども、そのベースラインというのをきちっと書いて、そこから調査してきたのかというようなことで書かないと、割合といっても、一体どういう干潟の割合なのかということがわからないと思います。
それから、ちょっとこのBのところを申し上げたいことはなくって、すみません。
次、113ページの個別目標、C関連のところなんですけれども、この地域に関して、C-1-1のところで、保全管理の状況を把握するための手法とそのベースライン及び現状を整理する。これについてはいいんですけれども、これに関して、関連指標群の中では、保護地域の拡大などに関する指標というのは、量的な指標はたくさん指標群として挙げられているんですが、この管理状況、保全管理の状況というものを示すような質的な関連指標というのはないんですね。じゃあ、全く世の中にないかというと、IUCNのほうでマネジメント・エフェクティブネスということで、保護地域の管理効果評価を行うシステムがあって、実際にこれ、韓国なんかでは行っているわけですけれども、日本の国立公園は一つもまだ行っていないということですから、こういったIUCNの管理効果評価などを行った国立公園の数、保護地域の数というような、そういった指標を入れるべきではないかなと思います。
以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
今のところで、ちょっとそれぞれかなり細かいということも含めていろいろあったので、特に事業の。

【生物多様性地球戦略企画室長】 このA-1-3のところで、奨励措置、またと書いてありますけれども、別に整理だけの話であって、何か追加的なものとして、これを軽んじてこういう書き方をしているというわけではないのはご理解をいただきたいというふうに思います。ちょっと全体の整理の中でこういう形での書きぶりになったということでございますけれども。
あと、ご指摘のあった負の奨励措置のところでございますけれども、それに関しては、実際、具体的に何が生物多様性に対しての負の奨励措置かというところの特定そのものというのは、今、政府部内でもまだできていない部分でもございますし、それを、多分実際に目標としてそれを掲げるという段階には至っていないということで、この中からはあえて、とりあえず国の目標としては、まず正の奨励措置のほうを実施するという方向で目標を掲げるということで整理をさせていただいたところでございます。
それから、鳥獣保護関連のB-1-3、B-1-4のところでございますけれども、ちょっと書きぶりが明確でないというご指摘がありますけれども、決して、ここのところを、例えば環境省の部分に関しても、「個体数管理をはじめとする」ということで、個体数管理だけをやればいいという認識のもとに書いているわけではなくて、あくまでも、今非常にクリティカルな問題になっている部分を、ややハイライトして書かせていただいているというご理解をいただけたらというように思います。
あと、ここ自体の主要行動目標そのものも、完全にここで100%がすべての後ろにある事業のものを網羅するような形での書きぶりができているかというと、必ずしもそうではない。その中で、ある程度例示的な形で示しながらその方向性を示していくというような、限界というのもあるものですから、その中でどういう書きぶりがいいかというのは、また政府の中で考えさせていただきたいとは思いますけれども、一応、決して、先ほどご指摘のあった三つの、個体数管理、生息地管理、被害防除というところを、それぞれ単に個体数管理だけやればいいというつもりで書いたわけではないということは、ご理解をいただきたいと思います。
それから、藻場・干潟の保全のところ、二つちょっと書きぶりが変わってきておりますけれども、どちらに関しても、創造、再生、両方とも含まれてございます。これ、実はちょっと、それぞれベースとなるデータベースが違った形での基本にあるデータで、そこへ用いている用語を使ったということで、ややわかりにくくなっておりますけれども、基本的な考え方としては、それは具体的には藻場・干潟の保全創造面積というのは、水産庁の指標として漁港漁場整備長期計画、その記述というものを用いさせていただいているところでございます。
 もう一つのほうは、国交省のほうの社会資本整備重点整備計画の記述のほうを用いているということでの、それに沿った形での書きぶりをさせていただいたということで、ご理解いただけたらというふうに思います。再生の中には、保全というものも当然その中に含まれているというご理解をいただけたらというふうに思っております。
また、そのベースラインの部分の議論につきましては、こちらの中にもそれぞれ書いてありますけれども、それをある程度目標として検討しましょうというところから始まっているものですから、現段階の中で、それそのものを、ベースラインはこの段階でなかなか関連指標群の中で示すということが難しいものがあるということは、ご理解をいただけたらありがたいというふうに思っています。
それは、保全管理の指標の部分、先ほどのIUCNのご指摘のものも、我々として学んでいかなければいけないというふうに思いますけれども、現段階では、そういったものの政府としての指標そのものがまだでき上がっていないので、行動目標の中にもありますけれども、2014年もしくは2015年の中間評価までの間に、把握するための指標というのを整理していこうということで、その中で、今ご指摘のあったような指標みたいなものが出せるようになれればいいなというふうに考えております。
以上でございます。

【武内委員長】 それでは、宮本委員。

【宮本委員】 すみません。ひょっとしたら前回ご説明になったのかもしれないんですけれども、118ページのところに、何カ所か関係府省というのが、括弧書きで最後に出てくる項目がございますが、これは環境省が当然関わって行かれる項目だと思うんですけれども、それ以外の府省について、決まっていないというふうに理解させていただいてよろしいのかどうか、お伺いたいと思います。
以上です。

【武内委員長】 どうぞ。

【生物多様性地球戦略企画室長】 今のところにつきましては、国家戦略の部分については、生物多様性の関係省庁連絡会議というのがございます。そこのメンバーということで、決まっているそのメンバーは確定されているところでございます。

【武内委員長】 中村委員。

【中村委員】 今のご質問とも絡むんですけれども、この括弧書きで書いてある省庁というのは非常に重要なんです。つまり、書いていないということは、それをしないというふうに理解してよろしいんですか。
そうなると、例えばA-1、A-2とか、その多様性の評価だとか、サービスの評価みたいなものを可視化するというのはすばらしいなと思って、あれ、国交省はここにはいないのかとか。あと、それがずっと続いていて、ベースラインの議論のところに国交省がそこでは参画していただくとなって、例えば森・川・里・海なんかのところにも、川が入っているのに、なぜ、例えば116ページのB-1-4のところなんかに、この再生プロジェクトに国交省が入っていないんですね。もうちょっとバランスがあるんじゃないかなという感じがするんですけど、その辺がちょっと知りたいのと。
あとは、吉田委員もおっしゃられたことなんですけれど、この指標群というのは、これも相当大事なのか、それとも今後また考えていかれるという話なのか、例えば前回も言いましたけれど、森林計画対象面積そのものがダイレクトに生物多様性の保全に関わっているかというと、そうじゃないものがたくさん入っているわけですよね。だから、その生物多様性の部分をひっぱり出して評価するというのならわかるんですけど、この面積をそのまま持っていかれてしまうと、そうなのかという疑問が沸くので、それが例えば、僕はよく知らないし、漁業者等による資源管理計画数なんかもダイレクトにそういう形で持っていっていいのかとか、その辺の吟味をどこまでしようとされているのか。
 前も言ったのは、この指標がうまくいろんな生態系を評価する指標になっているのかというのが、マトリックスの図は121ページと122ページにあって、生態系がカバーできているなと見えるんですけれど、それを評価する指標のほうがうまくついていっているのかというのも、ちょっと見えないんで、その辺を教えていただければと思います。

【武内委員長】 どうぞ。

【生物多様性地球戦略企画室長】 まず、最初の省庁の部分につきましては、確かにご指摘のとおり、かなりこれも短い間での関係省庁の間での整理の中で作業を進めたものですから、確かにおっしゃるとおり抜けている部分、本来の整理としてもう少し考えるべき部分というのはあろうかと思いますので、これは順次整理をしていきたいなというふうに考えております。
それから、ご指摘の指標の部分につきましても、これは完璧な、これがすべて何か網羅するとか、これによって全てが測るというつもりはございません。ただ、一つの、今あるものとか、今出せるものの中でどんなものがあるかということで、それをテーブルに載せたということでございまして、実際に、これを途中でも中間評価をしたり、ベースラインを決めたり、手法を検討する中で、それをさらに再評価していくと。先ほどの後ろの政策のところでも紹介しました生物多様性の総合評価を進めていく中で、またそれを具体的な政策を図る指標はどうあるべきかということも検討していくような政策も考えておりますので、その中でこれは多分整理されていくものということで、今の段階で完璧なもので、これだけで何かをものを言おうというものではないと、一つの目安として今出せるものを並べているということでございます。

【武内委員長】 先ほどの吉田正人委員のご意見も、今の中村委員のご意見もそうだと思うんですけれども、これは今回、愛知目標というものに対して指標を設けて、数値目標としてこれを達成するというふうなことの試みを初めてやったわけですよね。これ自身はやはり現時点でいろんな問題があるのを承知で、とりあえず愛知目標としての体系を国内で初めてやったという理解だと思うんですよ。したがって、その上で、この中間評価も含めて順次いいものに変えていくと。面積的なものから質を管理した面積的なものにしていくとか、それから先ほどの事業についても、何が問題かということを明確化することによって、その事業についてもきちっと定量的に評価できるように。今はまだその段階にないというのが、先ほどの答えだったと思うんですね。
私は、もしそういうふうな理解でいいとするならば、この愛知目標でいきなり、ずっとこれ以下、愛知目標に従った数値目標を書きますみたいな書き方になっていますけれども、やはり、今の時点ではそういうことをとりあえずしたものであって、したがって、今後さらにこれを改善していく余地のあるものであるということを、この第2部の中に書き込めませんか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 実は今、106ページの16行目からのところにも、ちょっとさらっと書いてあるだけなんですけれども、「主要行動目標及びその達成状況を把握するための指標については、中間評価の結果も踏まえ、必要に応じて見直すこととします」ということで、その上にどういうふうに設定したのかというのを書いたんですけれども。

【武内委員長】 見直すというのは、何か現時点でかなりきちっとしたものがあって、それを見直すというとらえ方を普通はするものなんです。それが普通でいう見直しなんですね。つまり、もっと精度を上げていくとか、違う指標を入れるとか、あるいはその指標を見直すとか、そういうことまでやることについての文章にはなっていないと思うんですよ。ですから、そういうことを少し具体的なイメージも持ちながら書いていくということで、今、皆さんがおっしゃったことで、多分このままあなたの言われるように、もうどうぞと、今回もうだめですみたいな話をしちゃうと、ちょっと私はまずいように思うんですよ。座長としてはですね。何となく役人答弁みたいで、役人が言っているから役人答弁なのかもしれませんが。
 ですから、その辺をちょっと、皆さんのご趣旨で、多分だから、それ以上にその指標をつくらないのはおかしいとか、こんなものを指標にしているのはおかしいという話にはならないと思うので、そこは少しそういうふうに配慮していただくというのが、多分、委員の側の雰囲気を反映するとそういう感じになるんじゃないかなと、私は思いますけれども。

【自然環境局長】 ありがとうございます。座長のご指摘の方向で作業をしたいというふうに思います。また、この数字を客観的に測れる指標を試みとして出していくというのは、チャレンジとしては、私たちとしては大事なところかなと。ただ、まだまだ不十分な点、改善すべき点があるし、追加していくべき点があるんだと、そういう位置付けのもとに、でも試みとして出しているんですということが伝わるようにしていきたいと思いますし、まだこの最終的な決定まで時間がありますから、そういう位置付けではありますけれども、ここに出す指標について、少しでもより良いものに変えていけるものは変えていくという努力も、また一方でしていきたいなと。その両面で対応したいと思います。

【武内委員長】 鷲谷委員。

【鷲谷委員】 A-1-3とA-1-4についてなんですけれども、A-1-3が多様なものが盛り込まれて、範囲が広くてあいまいな目標になっていて、それと関連があると思われるA-1-4というのは、非常に狭い実務的で技術的な目標になっていて、これ二つが並んでいると違和感が大きいんですね。それから、関連指標群で消されたものなどを見てみますと、生物多様性地域戦略の策定を進めるという目標があるべきではないかと思うのですが、それが適宜の改定になってしまっていて、それを策定した自治体数という関連指標群もなくなっています。
それで、生物多様性の戦略と生物多様性への配慮事項が盛り込まれた戦略や計画というのは、意味が大分違うと思うんですね。恐らく、盛り込まれた戦略や計画の中に、地域戦略も含めて考えようということなのではないか。こう変わった理由が憶測するんですけれども、意味が大分違うと思います。それで、地域戦略の策定を促すという目標がどうして立てられないのかという理由を説明していただければと思いますし、まだこの辺りを整理して直す余地があるのかどうかもお聞きしたいと思います。

【武内委員長】 はい、どうぞ。今の質問について。

【生物多様性地球戦略企画室長】 これはちょっと言葉の、逆に別に地域戦略じゃだめとか、地域戦略に力を緩めるということではなくて、A-1-3のところで、言葉がまさに、「配慮事項が盛り込まれた国と地方自治体における戦略・計画等の策定の促進する」という目標の書きぶりになっているので、そういった意味で、それをとらえた広い意味での目標というものも下の指標として考えるべきじゃないかという整理論だったんですね。
ですから、当然、地域戦略そのものの策定とか、そういったものを、そのものというのは、その中できちっと仕分けて提示を、指標としていくことはできると思いますので。

【鷲谷委員】 生物多様性戦略を目標にするほうがずっとわかりやすいと思うんですね。それに加えて、配慮のあるようなものが、3と4をひっくり返して、3のほうで策定を促すというふうにして、4で配慮事項のあるような計画、奨励措置まで入っていますので、非常に広い生物多様性戦略そのものじゃないさまざまな配慮事項や奨励事項を次に挙げるという形にして、1-4のような非常に限定された技術論的なものが目標にふさわしくないので、そういう形にしてはどうかと思うんですけれど。

【生物多様性地球戦略企画室長】 わかりました。ちょっとその順番も含めて整理させていただきたいと思います。

【武内委員長】 吉田正人委員は2回目ですか。

【吉田(正)委員】 はい、2回目です。先ほどの106ページの真ん中辺りで、この行動目標については必要に応じて見直すという言い訳が書いてあるのはわかるんですけれども、大事な点は、愛知目標のところをちゃんと読み解かなきゃいけないと。比較的長くなっている文章のところは、やっぱりCOP10の前のSBSTTAやWGRIでかなり議論があって、そしてその結果としてこうなっているわけです。
 例えば目標3のところは、生物多様性に有害な奨励措置補助金というものが段階的に廃止され、改革されというのと、それから生物多様性の保全及び持続可能な目標のための正の奨励措置が策定されて起用されると、二つ議論があって、二つ入れることになったわけですね。だから、今、具体的にそれが何がマイナスの措置なのかというのが確定できないのであれば、やはり、それについては検討を進めて、それで生物多様性に配慮した奨励措置については実施すると書くとか、要するに、何が課題として残っているのかというのが見えるように書かないと、ずっとそれが抜けてしまう恐れがあると思います。それだったら、関連指標の中に今は盛り込めないというのはわかるんですけれども、何が課題として残っているのかというのを入れるべきだと思うんですね。
同様に、目標11の保護地域のところも長くなっていますけれども、これは保護地域の面積要件だけじゃなくて、「効果的公平に管理され」という部分とか、それから、よく連結され、それから周辺の景観との連結、ネットワークとか、そういった幾つかの項目がこの中に盛り込まれているわけで、その中で、効果的な管理をされた重要な保護地域というのは非常に重要なので、それが今、具体的に指標にできないんであれば、そこについてはどういうふうに検討するんだということをちゃんと書いておかないと、見直したときにも関連指標のほうに加わってこないと思うんですね。
私は、ただIUCNの管理効果評価でやれば、IUCNのほうが、今、日本の保護地域を分類しているのも適切だとは全然思いません。だから、それをちゃんとやることで、それが適切に分類されてくるわけで、何も恐れる必要はないんで、それをむしろどんどん積極的にやっていって、日本の主張を言っていけばいいことだと思うんですね。やっぱり、それをぜひ入れてほしいなと思います。

【武内委員長】 どうぞ、局長。

【自然環境局長】 ありがとうございます。鷲谷委員、それから吉田正人委員員からいただいているA-1-3の部分ですとかA-1-4、それから保護地域の関係の部分。どこまでご指摘いただいた点について反映できるか、各省とも相談して、現時点でできるだけの表現を考えてみたいというふうに思います。

【武内委員長】 それでは、小泉委員、お願いします。

【小泉委員】 個別の点ではなくて、全体の構成とか関連性についてコメントさせていただきます。
私、以前、モントリオールプロセスの基準指標という作業に関わったことがありまして、モントリオールプロセスの場合は、基準という基本的な取り扱い方、これは基本的な考え方で哲学みたいなのがあって、それがきちんと現実に達成されたかどうかというのは検証するのが指標になっているわけです。こういう関係になっているわけですね。
 それに比べますと、ここで示されている主要行動目標ないしは国別目標というものの内容を、関連指標というのが支えられるかどうか。場合によっては、ちょっと支えられないのではないか。それで、これは見直すというふうに書いてありますけれども、やはり、目標と指標というのは、基準と指標というような関係になっていて、現実の達成度をできるだけ定量的にはかる、明示するという役目を果たすべきではないか。そういう関係にあるべきではないかと思います。
もう一つ思いましたのは、指標群は、今回のこのグループの中でオリジナリティを出そうとしているのかなという感じがしまして、非常に挑戦的な指標が多いような気もするんですが、もう少し保守的な、ないしは長期に統計というか、とられたものというのが、各省庁の白書とかそういったものに例示されている場合もありますので、もしそのオリジナリティとか引用というところで調整がつけられるのであれば、そういった白書等に使われている生物多様性関連の統計資料というものも、積極的にこの指標の中に取り込んでいいのではないかというふうに思います。
以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
何かございますか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 ちょっとその整理に関しては、さらに検討させていただきたいと思います。

【武内委員長】 それでは、大分時間も過ぎておりますので、恐縮ですが、次に移らせていただきたいと思います。
次は、第3部、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する行動計画について議論をしていただきたいと思います。
第3部については、今回が初めての議論となります。政府が今後、概ね5年間で実施していこうとする施策をまとめたものでございます。これらの施策を着実に実施することが大変重要な点だというふうに考えられますけれども、これらの点に関してご意見、ご質問のある方は札を立てていただければと思います。
土屋委員、どうぞ。

【土屋委員】 先ほどの第2部の議論とも関連しますし、それからこの委員会の始めのほうで質問したこととも関連するんですが、今までの国家戦略として、この2010を含めて4冊の出版物を出して、今度5回目になるわけですね。その中で、この国家戦略をつくり、いろいろな行動をしてきて、どこがうまくいって、どこがうまくいかなかったかというのは、どう整理されているのかという質問をした記憶があります。それは、恐らく、それぞれの行動計画についてされていて、こういう国家戦略に掲載するようなものではないとは思いますけれども、それでも、何度も出版する限りは、どのようにこの戦略がうまく進められてきたか、あるいはまずかったことはどこかということを反省しつつ、新しいものに進むほうが、読み手としてはわかりやすいという気がするんですけれども、その辺りを第3部の前書とか、あるいはどこか適切なところに書き込むと読みやすくなるのではないかという印象を覚えております。
それから、その評価・反省という点については、奥田さんの説明の中で、最後のほうで、今後の評価については、今、何か検討しておられるというような話題を、お話をいただいたと思いますが、これは戦略の全体のことだったんでしょうか。それとも別のことだったのか、ちょっと聞き逃しましたので教えていただきたいのですが、言いたいことは、この戦略の、この評価についても気にしておくべきであろうという気がします。今現在はいろいろな評価の時代で、すべての省庁がいろんなことを書いているわけですけれども、この戦略についてもわかりやすく評価、反省して、次に進めるような部分が必要ではないかと思いました。
それから、具体的な点としては、この行動計画施策の中に、再掲という表現だったでしょうか、別のページにも書いてあるよという表現がかなりありますが、ちょっとわかりづらい。それで1章とか2章という言葉がありますが、これはこの第3部の1章ですよね。1章というのは各部にありますから。ですから、これについてはなぜ再掲しなければいけないかというのをお聞きしたいところですが、わかりやすくするためにはページ数を書いておいたほうが、すぐ引用できるだろうと思います。
それから、最後にもう1点、最後の東北の復興に関した記述の中で、「森・里・川・海のつながりを深めて地域の暮らしを支えるような活動をしていきたい」と書いてありますが、実際に被害を受けた場所というのは海岸ですね。そこの皆さんが、果たして自分たちが住んでいるところが里という認識でおられるかどうかというのは、ちょっと疑問だと思うんです。海に近いところという意味合いがここで出ているかどうかが読み取れなかったので、ご検討いただければと思います。
以上です。

【武内委員長】 それでは、どうぞ。

【生物多様性地球戦略企画室長】 戦略そのもの自体の評価というか、自体は実は点検という作業を毎年行っていまして、実は2010自体は1回、今年のこれは部会のほうでも申し上げたと思いますけれども、行った中で、細かくそれぞれ施策がどれだけ進んだかとか、それに対する全体の評価というのは出しているので、この中で書き込めということであれば、ちょっとどの程度書き込むかですけども、逆にそういうプロセスもあるので、そちらのほうに基本的な部分は譲っているということでお考えいただきたいと思いますけれども、全体の、これまでの戦略自体がどういう役割を果たしてきたかというところについては、前文の中で、2ページ、3ページの辺りにも若干のエッセンスは書き込ませていただいているところであります。
それから、実際、基本戦略の第1部の中での記述の中で、現状と課題みたいなものを明らかにしているというのは、これまでの戦略がある中で、それでもなお問題となっている課題としてはどういうものがあるかということを、戦略部分で記述しているところでございまして、恐らく、そういったものの中で、実際にはこれまでの戦略を受けてどれだけ施策が進んだか、もしくは今、課題が何が残っているかというのは、第1部の中で、特に基本戦略みたいなところには、前回、下村委員のご指摘もあったので、そういったものをできる限り書き込むような修正を加えさせていただいているところでございます。
あと、ページ数については、再掲の部分で書き込める部分については、また検討させていただきたいと思います。
あと、戦略の評価としては、生物多様性の総合評価そのものについても、多分恐らく施策の評価というところで、実際に234ページにも書かれていますけれども、そういった中で評価をしていくことも可能かというふうに考えています。
あと、里。海岸部分について、地元がこれを認識しているかということでございますでしょうか。ちょっと最後の質問の趣旨が十分、私は把握できていないので。

【土屋委員】 この最後の部分は、表現としては、「森・里・川・海のつながりを強める」と書いてあるわけですね。ここは、東日本大震災からの復興の部分ですので、実際に被害を受けた地域の復興に関して、この言葉でうまくカバーできているかという質問です。特に「里」という言葉が、恐らく、被害を受けた地域のことを指しているのではないかと想像するんですが、「里」という言葉で果たして適切かという質問でした。

【生物多様性地球戦略企画室長】 これは、その下の三陸国立公園のグリーン復興プロジェクトそのもの自体が、地域全体として、当然津波とか激甚な被害を受けた地域を支える、地域全体としての復興というコンセプトのもとに考えを進めているところでございますので、もちろん、ご指摘の部分というのは、里であり海でありというところかもしれませんけれども、まさにそのつながりをもって全体として捉えて、その中で被害を受けた地域を支えていくという考えを、この中で書いているというような趣旨かと思いますけれども。

【土屋委員】 趣旨はよく理解しておりますし、表現がもう一工夫あってもいいかということです。今、特にお答えいただかなくても大丈夫です。

【武内委員長】 里山と里海を使っていましたよね、つながりをどうしたとか。それと、その森・川・里・海みたいな話と、何かそこをうまく整理することによって、今、おっしゃったような話は何かできるんじゃないかなという気がするんですね。また、ゾーンとしてある二つを、山のほうと、それから沿岸のほうのって、こういう塊と、それが連なっているという話が二つ本当はあるのを、今一緒に書いちゃっているというところ辺りを少しきちっと整理するとわかるようになるのかもしれませんね。ちょっと、そんな感じを私もします。
 今のつながりって、割とネットワークの話をやっているから、そこに住んでいる人が、その面的な中で生活をしているというイメージがあまり湧かないので、その二つは、本来二つあるもので、それをうまく有機的に、その二つの議論をつなげていくというところが大事であるというふうに思いますけれども。
鷲谷委員、どうぞ。

【鷲谷委員】 第1部での記述で重要なキーワードとして取り上げられていることと、こちらのほうの記述で、各省の固有の言い回しとかテクニカルタームがありますけれども、その関連性がわかるようにしておいたほうがいいのではないかと思います。例えば、森林というところだったら、多面的機能という言葉がたくさん使われています。これは生態系サービスと非常に関わりが深いというか、ある意味では同じことでもあるので、多面的機能という言葉が出てきたら、括弧をつけて「森林が提供し得る生態系サービスのうち、例えば多様性」、多面的機能というのは何かの法律で提示されているかわかりませんけれども、アピールされているんだったら、「何々法にこういうこれこれの機能を指す」とか、そういうのを入れておくと、森林の生態系サービスのことをここでは多面的機能として記述しているんだということがわかると思うんですね。そうでないと、別のものというふうにとらえられてしまう可能性もありますので、ちょっとそういう少し工夫すれば関連性がわかって、それぞれのところでその言葉が使われてもいいと思いますので、そういう工夫をお願いできればと思います。

【武内委員長】 そうですね。今のは非常に大事な点だと思います。それぞれの省庁、各省との話をされるときに、そういう何かこう、ここの最初のほうの部分で出てきた言葉との整合性をとるようなことも、議論されたらいいんじゃないかと思います。
はい、どうぞ。

【吉田(謙)委員】 すみません。今のところに関連しているんですけれども、ちょっとあまりに瑣末なので後でお話ししようかと思っていたぐらいなんですけれども、多面的機能、今、鷲谷委員がおっしゃったように、僕も生態系サービスというのを使ったほうがいいというふうに考えているんですけれども、多分、農林水産省の中でまだコンセンサスがとれていないのかなと思うんですが、農業の分野で多面的機能という言葉を使っていて、森林では広域的機能ということをまだまだ使っていて、この文章の中、例えば141ページの20行目に「多面的機能」と使っているんですが、142ページの10行目は「広域的機能」になっていたり、いろいろと、まだまだ言葉の統一が図られていないのか、あるいは違うのであれば違うという意味が明確になっていないので、そこを整理していただければというふうに考えております。

【生物多様性地球戦略企画室長】 関係省庁ともご相談して、したいと思います。

【武内委員長】 何か、ちょっと楽屋の話みたいな感じに。
 吉田正人委員。

【吉田(正)委員】 非常に多面的でたくさんにわたるので、環境省が非常に関係するところで質問したいんですけれども。
まず、199ページからの「絶滅のおそれのある種と生息・生育環境の保全」のところなんですけれども、30行目からのことで、「生態学的知見に基づき個体の繁殖の促進及び生息地などの整備の事業を推進することが必要な種を対象に、保護増殖事業計画を策定し、これらの事業をします」というのは、私のこの読み方だと、単に捕獲ですとか、あるいは売買とかそういったものが原因になっているものだけじゃなくて、里山の維持などができなくなっているために、少なくなっている種についても、保護増殖事業計画を策定するという意味のようにも読めるんですけど、何か、非常にちょっとよくわからない書き方がしてあって、もしそういう趣旨ならば、もうちょっとそれがわかるような、生息地の整備を行うことによって、生息状況の改善が図られることが可能な種を対象にしてそういうことをやるんだというような、そういう書き方をしたほうがいいんじゃないかなというふうに思います。
それから、200ページの22行目からの、「ジュゴンについては、引き続き、生息環境・生態等の調査や漁業者との共生に向けた取組を進めます」というので、今までどおりという書き方なんですが、これは、普天間飛行場移設事業のアセスメントでもわかったように、ジュゴンについては、本当に一番我が国の生物の中で絶滅の崖っ縁にいるということがわかってきましたので、これについては、早急に種の保存保護を政令指定種に指定する。これはもう農林水産大臣も10年前にオーケーということで、国会で答弁しているわけですから、これを早く進めるべきだと思います。
それから、207ページからの外来種等の生態系を攪乱する要因への対応のところで、208ページの35行からの、外来種ブラックリストの作成で、まだ指定種にならない部分についても注意喚起をするということで、これは非常にいいことだと思うんですが、ブラックリストという言葉だけでちょっと誤解を生じるといけないので、私は、ブラックリストとグレーリストというか、まだ、はっきりブラックと言えなくても、これは危ない可能性があるよというところまで含めて指摘しないと、小笠原で問題になっているグリーンアノールなんかも見つかったころは、そんなに大きな問題になると思わないけれども、10年以上たってから初めて大問題になるという場合もあるわけですね。ですから、そういったタイムラグのある生物もいますので、そういったグレーのものもちゃんと含んでいただきたいというふうに思います。
それから、227ページ、国際条約関係のところで、ボン条約ですが、26行目から、「ボン条約に関しては、継続的な情報の収集に努め、必要な場合には、本条約又は関連する協定・覚書への対応も検討します」と、対応も検討しますというのは、今までに比べると前向きに書いていただいてはいるんですが、これについては、例えば「加盟も検討します」とか「参加も検討します」とか、もう少し前向きに書けないものでしょうか。
あとは、言葉の問題ですが、229ページ、人間と生物圏(MAB)計画のところは、もっと前のほうのページだと、正確に、生物圏保存地域、Biosphere Reservesが正式名称で、ユネスコエコパークは愛称みたいなものですので、前のほうではたしか生物圏保存地域、コ・ユネスコエコパークと書いてあったと思うんですが、そういうふうにこれは言葉の問題ですが、そういうふうにしていただいたほうがいいんじゃないかと思います。
以上です。

【武内委員長】 ありがとうございました。
 何か、ございますか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 個別の分野については、担当課のほうからまた説明をしてもらおうと、すべて、野生生物課のほうになりますか。では、よろしいですか。

【野生生物課長】 ありがとうございます。
199ページの国内希少種の保護増殖計画のことですけれども、趣旨としては、吉田委員がおっしゃったようなことで、希少種指定だけで、マニアによる過剰な捕獲とか採集圧、そういうものを防げる場合もありますので、そういうのは、希少種指定を積極的に進めたいと思いますが、それ以外の生息環境の整備が必要な種については、生息環境の整備を進めるとともに、動物園とか水族館での域外保全、そこからの野生復帰ということもあわせて考えたいというふうな趣旨ですので、その辺がもう少しわかるような表現は考えてみたいと思います。
それから、200ページのジュゴンに関しましては、確かに非常に危機的な状況には違いありませんので、これまでの取組は進めたいと思いますけれども、もう少し前向きなことができないかというのも、少し考えてみたいと思います。
それから、208ページの外来種のブラックリストに関しましては、ブラックリストという言葉だけでなくて、その意味するところ、どういうものを含むのかというのをもう少し説明を加えるような形にしたいと思っております。
それから、ボン条約に関しましては、政府部内でも意見が違うようなところがあって、やっぱり「加盟」というところまで書くのは実際上は難しいのかなと思っておりまして、「必要な場合には」という形で、今後の状況を見ながら考えていきたいというふうに思っている、そういう状況でございます。
ありがとうございました。

【武内委員長】 それでは、桜井委員、お願いします。

【桜井委員】 先ほど、前段の部分で海洋保護区の話をしましたけれども、実は、あの定義はできていますけれども、非常にあいまいで抽象的なものなんですね。それで、74ページから書かれている海洋保護区のところでちょっと気になっているのは、今のままだと、これ5年間でこの海洋保護区をどのようにやっていくかということになると、具体的に前に進まないような書き方なんですね。
一つ気になっているのは、海洋保護区そのものが、じゃあ、漁業とそれから生物多様性なのかというと、そうではなくて、実際には、人間活動すべてにリフレーションとか、それからこれから起きるであろう水上での風力発電とか潮汐発電とか、いろんな海域利用があるんですね。そうすると、果たして環境省と農水省だけの問題なのかというところが、ちょっと気になっていまして、この海洋保護区については、もし議論されるとすれば、各省庁のその考え方はいいですけれども、一番冒頭の環境省、関係省庁の部分のところを、ここでもう少し人間活動としての海域利用、これは要するに漁業とかレクリエーションとか、そういう人工構造物等も含めて、それに対して海洋保護区はどのように活用していくのか。
それからもう一つは、海洋保護区というものが、実際には現場では全く周知されていないという現実が、この5年間で必ずしもできると思えないんですね。そうすると、海洋保護区の海域漁業に対する定義の仕方とかが決まってきますと、それを今度は実際にそこに住んでいる人たちに対しての啓発というか、海洋保護区とはこういうものですよという、そういうもう一つの方法があるんですね。これも必要になってくると思うんです。
ですから、ここの書き込みは、このままで見ると、いつまでもたっても海洋保護区は海洋保護区、文字を変えた海洋保護区。現実的なものではないということなので、より日本の現実的な海洋保護区を考える上では、ここはもう少し各関係省庁が入って議論していただきたいと思います。希望です。
以上です。

【武内委員長】 ありがとうございます。
何かございますか。

【自然環境計画課長】 ご指摘、どうもありがとうございます。関係省庁とも十分相談して、できる限りいい表現にしていきたいというふうに思っております。

【武内委員長】 ほかに。よろしいですか。どうぞ、中村委員。

【中村委員】 ちょっと読み切れないので、気付いた点もほかにもあるのかもしれませんけれども、とりあえず森林のところを今読んでいたんですけれど、基本的な考え方のところに、その攪乱の重要性みたいなやつがきちんと書かれていて、ある意味、そういうものが多様性を維持する上での重要なファクターであるということで書かれているんですけれど、その後が具体的な施策になったときに、ほとんど攪乱に対してどう対応していくかということは書かれていなくて、大体はゾーニング的なやつだとか、人工林でどうやって広葉樹を入れるかとか、そういった内容が書かれているということです。
よく、北海道とかでも問題になるというか、例えば風倒災害があった時にそれを、この後のほうにも出てくるんですけれども、例えば風倒被害というふうに読むのか、もしくはある場所においては前生樹も含めて、そういう風倒地を残すという方法でいくのかは、まだ研究もそんなにやられてはいないんですけれども、ひとまず、それを今のやり方を全部とり除いてしまって地ごしらえをして、また新たに植林するということを森林の再生という形でうたっているんですけれど、そういうやり方では多分うまくいかないと思うんですね。だから、そういう意味では、海外のニューフォレストリーなんかを見ていても、基本的には攪乱の模倣を技術としてどう取り入れるかということをやっているので、そういった考え方が、これは林野庁のほうなのかもしれませんけれど、書けるなら書き込んだほうがいいなという感じがしました。
以上です。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。
 どうでしょう。

【生物多様性地球戦略企画室長】 そこの部分は、ちょっと林野庁と相談して、また検討したいと思います。

【武内委員長】 はい、どうぞ。

【山岸委員】 全体にも関わるんですが、今日の論議を聞いていて、質問に対して室長がいろいろな気持ちをくんでくれとか、真意はこうだとかいうような説明があって、この委員の方々は真意がわかって、気持ちもくんだんですけれど、これが世に出た時には、見る人はそういうことがないわけですから、先ほどの真意と気持ちだけで説明し切ったと思わないで、もう一度、どういうところが大変かというのを、ぜひ事務局でご検討いただいて、直していただきたいと思います。

【武内委員長】 ありがとうございました。よろしいですか、大体。
少し早いですが、一応これでということにしたいと思いますが、これ以降についてのコメントを、特にかなり第3部については読み切れなかったみたいな話もあるんですが、そこは少し余裕ありますか、それとももう余裕はないですか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 この後、実は7月6日を目処に、パブリックコメントをかけるということになります。今日だいぶいただいた宿題だけでも、またその検討をしなければいけないので、できれば今日のこの場で、この場の、実際には事前に送った先生方で、今日、中静先生も1件ありましたけれども、その中でコメントをいただいている先生もございますのでそれも含めて、ここは、今の段階でのいただいたものを材料とさせていただきたいと思いますけれども。

【武内委員長】 こういうことでよろしいですか。そういうことで、もしまだおっしゃりたい方は、今だそうです。よろしいですか。
どうぞ。じゃあ、小泉委員。その後、白幡委員。

【小泉委員】 今だけということですと、森林総研の記述はちょっと書き直して送りますので。これはちょっと勘弁してくれよという記述になっていますんで、よろしくお願いします。

【武内委員長】 それは受け付けます。
 白幡委員、どうぞ。

【白幡委員】 東日本大震災関連のことの記述なんですが、どういうふうにやるかというので、これ、3部の最後にこういうふうに、復興とか再生というのを立てちゃうと、生物多様性とは無関係に、どれぐらいそういうことに関われるのかというのを書かざるを得なくなるんじゃないかという気がするんですが、生物多様性に関わる部分だけで、どうここに載せるかというふうに考えていただいたほうがいいんじゃないかなというふうに思うんですけれど。
 これ、立てているけれど、やっぱりないですよね。何か書けるといっても各省庁の取組を並べるだけで、何というか、生物多様性国家戦略にどうしても必要なというよりは、むしろ施策についていろんなことを言われかねないというか、無理なことも言わざるを得ないようになるというのは困るので、むしろ何か自然共生社会という、その前の総合的取組の中で現在直面しているものとして取り扱うというふうな、何か限定的な範囲を考えておくほうが、現実的ではないかなと思いました。

【武内委員長】 今の点はいかがなんですか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 実は、これもここまでの目次だけは結構出したのも、何かしらご議論いただいた中で、先生方のいろいろなご意見を踏まえてこう整理をさせていただいたところですけれども、ちょっと今のご示唆を踏まえて、また委員長ともご相談させていただきたいというふうに思っています。

【武内委員長】 よろしゅうございますか。
それでは、今回、最終回ということで、この小委員会として、生物多様性国家戦略の案ということで決定をする必要がございます。当然のことながら、本日のご意見を踏まえ、また必要な修正を行って、最終的にはこれをパブリックコメントにかけ、それから二度の部会で審議し、最終的にそれで計画案が確定すると、国家戦略案が確定するということになりますが、今日の小委員会としての委員会の開催は最後でございますので、この後は、恐縮ですけれども、私のほうに引き取らせていただくということで、ご了解いただけますでしょうか。
(はい)

【【武内委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、生物多様性国家戦略の案につきましては、私が最終確認を行うということで、この小委員会の案とさせていただきたいと思います。
なお、最終案につきましては、事務局より、これは最終案というのもパブリックヒアリングの前の最終案という意味ですね。については、事務局より各位に事前送付をさせていただきたいと思います。
小委員会は、本年3月以降、ほぼ月2回ペースでの開催となりましたが、各回とも大変たくさんの委員にご出席いただきまして、誠にありがとうございました。会場が何度も変わりまして、大変ご迷惑をおかけいたしました。
今後、7月からパブリックコメントが実施され、8月以降、合同部会での議論に引き継いでいくことになりますが、さらにブラッシュアップをして、より良い国家戦略が誕生するように努めていきたいと思います。
どうもご協力ありがとうございました。
それでは、局長から、ごあいさつがありましたらお願いしたいと思います。

【自然環境局長】 今、座長から、これまでの流れを振り返っていただきまして、本当に今年の2月の初めに、合同部会で諮問させていただいて、そこからスタートして、小委員会は3月からでありましたけれども、半年間にわたって丸1日やった回もありました。その間、皆様からいろんな貴重なご意見をいただいてまいりました。本当にありがとうございました。
今回の戦略の改定、5回目の戦略づくりということになりますけれども、COP10での愛知目標を受けて、それをどう組み込んでいくかということ。東日本大震災を受けて自然が時に厳しい災害をもたらすということを、改めて認識した上で、私たちがどう自然と接していけばいいのか、そういった考え方を含めた改定ができればということで検討を進めていただきました。自然に着目するだけではなくて、人と自然の関係についてしっかり見ていく必要があるんだというご議論もいただいて、そんなことも受けた内容の検討を進めてきていただいたものというふうに思います。
第2部、第3部の議論、後半のほうでしていただきましたけれども、十分な時間のない中で、その回、その回でご意見をいただきました。今後、パブリックコメントという段階に移っていきますけれども、特に、第3部は今日初めてということですし、第2部は前回から今回にかけてご議論いただいて、今日もたくさんのご議論をいただきました。パブリックコメントという並行して委員の皆さん方がお気づきになった点、こんなふうにすればもっと強くなるんじゃないか、もう少し良くなるんじゃないかというお気付きの意見がございましたら、ぜひ、パブリックコメントと並行してご意見をいただいていきたいなと思います。それも生かした形でパブリックコメント後の合同部会の議論につないでいきたいというふうに思っています。
また、室長はこの場限りと申していましたけれども、パブリックコメントスタートまでにはもうちょっと、もう数日時間がありますので。

【武内委員長】 パブリックコメントで、私たちが。

【自然環境局長】 それも是非いただきたいんですけれども、パブリックコメントに出す案に少しでも反映させるというか、日にちもまだ少しありますので、これはちょっと間違えだとか、ここはやっぱり改めてパブリックコメントを出したほうがいいという意見等、後日お気づきになった場合には、今週中ぐらいであれば事務局のほうに送っていただき、それはそこで一遍パブリックコメントの案をつくりますけれども、パブコメの案をまた皆さんに送りますので、それを改めて見ていただいて、パブコメという形で出していただいてももちろん大歓迎ですし、事務局に直接お寄せいただいても結構でございますので、また逆に私たちから委員の方々にパブコメの期間の間にまたご相談をさせていただくということもお許しをいただいて、合同部会までの間、さらに良くしていくということで、引き続きお付き合いをいただけたらというふうに思います。
8月から9月にかけて2回、合同部会を開いて、そこでかけての案を最終的に固めていくというスケジュールであります。そこでまとめたものについて、10月、インドのハイデラバードで行われますCOP11の場で、日本は愛知目標あるいは東日本大震災を受けて、こういう国家戦略の改定をしたということを、世界にも伝えていきたいというふうに思っていますので、案決定までの間、引き続き皆さんのご協力をいただければと思います。
2月から半年にわたって、たくさんの回数、貴重な意見をたくさんいただきましたことに、改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
事務局から少し事務的な連絡を引き続きお伝えしたいと思います。

【事務局】 本日もありがとうございました。
なお、本日お配りした資料につきましては、郵送ご希望の委員の方は封筒にお名前をお書きいただければ、後日、事務局から郵送をさせていただきます。
ありがとうございました。

【武内委員長】 どうもありがとうございました。