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平成19年度 中央環境審議会 自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第1回)
議事要旨


1.日時

平成19年5月29日(火)9:30~18:00

2.場所

丸の内ビルディング8階 コンファレンススクエアRoom 4

3.出席者

(合同部会長)
熊谷洋一
(委員)
石坂匡身、磯部雅彦、岡島成行、川名英子、桜井泰憲、佐藤友美子、鹿野久男、篠原修、高橋佳孝、速水亨、三浦愼悟、森戸哲、森本幸裕、山岸哲、和里田義雄(五十音順、敬称略)
(事務局)
環境省:
自然環境局長、自然環境局総務課長、自然環境計画課長、生物多様性地球戦略企画室長、国立公園課長、鳥獣保護業務室長、外来生物対策室長、自然環境整備担当参事官、生物多様性センター長ほか
(関係省庁)
農林水産省、外務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省

4.議事概要

(1)生物多様性国家戦略小委員会における検討の進め方について
環境省から[資料1]に基づき生物多様性国家戦略の見直しのスケジュールについて説明。
(2)生物多様性の現状及び施策の概要について
環境省から[資料2]及び[資料3]に基づき説明。
  • 国家戦略と地域の個々の事業をつなぐ広域版の生物多様性地域戦略が必要ではないか。
    地域戦略の策定を促すことも検討したい。
  • 日本において、温暖化によって生物群集や生物の生活史がどれくらい変化したかについて資料を示してほしい。
    見直し検討の過程で、情報を集めながら、議論に活用していけるようにしたい。
  • 一般の人が簡単に参加できるモニタリングを実施してはどうか。調査の持続可能性という面でも有効。
    生物多様性条約COP10招致に向けて、多様な主体の参画を促したいと思っており、参加型の調査も3次戦略の中で打ち出せないか検討したい。
  • 里地里山の管理は持続可能性が必要。公園管理団体の指定が増えていないことを含め、多様な担い手の参画が地域に定着していかない理由を検証して、てきちんと対応すべき。
    里地里山モデル事業の成果の全国への普及をはじめとして、3次戦略で検討を図りたい。
  • 生物多様性が浸透しないのは、「なぜ守らなければいけないか」が伝わらないからではないか。伝える側、研究者すら十分に整理できていないので、このテーマについて勉強し直す必要がある。
    食など、身近な生活に近いものとして説明できるよう、今後も考えていきたい。
  • 戦略本体に、行政、政治家、企業のリーダーなどが頻繁に言及しやすいメッセージが入っていれば、広報やPRはついてくる。メッセージ性のある戦略部分と、個別具体の計画部分を切り離すことを検討してはどうか。
    読みやすくなるよう、構成についても検討したい。
  • サンゴ礁の保全が地球温暖化対策に寄与するのか、また手入れ不足の森林の管理、極相の自然林の保全などが温暖化対策の観点からみた場合どのように評価されるか示してほしい。
  • 現在の戦略の3つの危機、5つの理念などの整理はわかりやすい。行政の計画が分厚くなるのは仕方がないが、パンフレットを工夫する、生物多様性をわかりやすい言葉で言い換えるなどの方法が考えられる。
  • 森林の生物多様性の将来予測は技術的には可能と考えられるので、実施してはどうか。
  • 兵庫県のコウノトリなど、地域に具体的な生物がいると、関心が集まる。国全体の視点で網をかける戦略だけでなく、地域でのボトムアップの盛り上がりをくみ上げる仕組みが必要。
(3)各省施策に関するヒアリング
農林水産省(大臣官房)から資料に基づき説明
主な内容:農林水産業・農山漁村における生物多様性保全について
  • 野生生物だけに着目するのではなく、人との関わり合いの視点が必要。
  • いきなり各論に入るのではなく、どのような国にしたいのかという全体像を示し、それを受けて農業は何をするのかという示し方としたほうがよい。
  • 地域の自然に対する誇りを持てるような教育は行われているのか。
    森林環境教育や田植え体験など、業の理解を通じて生物多様性を理解してもらう取組を実施している。
  • 海外での植林におけるNGOとの協力について具体的に教えてほしい。
    緑の募金を運用して、海外で活動しているNGOを支援している。また、外務省の担当になるが、政府間協力の小規模無償で、海外のNGOが利用できるファンドがある。
  • 水産部門とNGOもしくは都市との交流についての見解を聞きたい。
    アマモ場の造成、魚つき林の植林、ゴミ拾いなどに市民団体が参画するなど、国民運動のなかで親しみやすい水産の場を作っていく取組を実施している。
  • 生物多様性を掲げた新規事業はあるか。
    農地・水・環境保全向上対策が該当。平成20年度の施策の中でも検討している。
  • 生物多様性の観点も含んだ事業でも、事業の意図が現場に伝わっていないことが多いのではないか。
  • 環境保全型農業の推進について、全体として流れを変えていくほどの施策といえるのか、今後どうしていくのかという記述が必要。
    エコファーマーの認定が10万件を超えるなど、生産現場における環境への意識はかなり高まってきている。今後も生物多様性の観点をしっかりふまえて現場に普及・推進していく必要があると考えている。
  • 生物多様性を圃場整備事業全体のなかにどう入れていくのか。3次戦略に記述してほしい。
    環境に配慮した事業実施の調査計画設計の手引きの作成や、技術指針などの整理を行っている。整備後の維持管理においても、農地・水・環境保全向上対策の中で生物多様性の保全に資する取組を実施。
  • 人工林の蓄積は増大しており、資源として有効活用すればよい。一方で、天然林のうち原生的な森林については基本的には保全してほしい。
    国有林内の貴重な自然の保全については、保護林や保安林の制度を活用して取り組んでいる。
  • 生産活動の中で里地里山の生物多様性の維持を行うということが書き込めないか。
    里地里山は農林業の基盤のひとつであり、生産と生物多様性保全をうまく組み合わせてやっていきたい。
  • 林業、水産業など、人が関わることによって生態系を維持しているという観点が必要。
  • 食料生産の世界的な動きが変わってきているなか、日本として今後どうしていくのか、理念、具体事例の両面から記載してほしい。
  • まだまだ不足しているとはいえ、5年前に比べると、生物多様性関連の施策は増えた。
  • 生物多様性は生産の副産物というとらえ方でなく、農林業の活動によるサービスとして位置づけてほしい。
  • 農水省は、環境省と違って、地域の生物多様性の取組モデルがつくりやすい。特に耕作放棄による後退が大きな問題である。地域において縦割りを排除したモデルをどんどん作っていってほしい。
    耕作放棄地の解消のために、担い手の確保、集落全体での農地保全など、様々な局にまたがる取組を進めている。
  • 鳥獣害について、単に柵を設置すればいいというのではなく、集落をどうしたらいいのかという視点が必要。
    防除、生息環境管理、個体数調整を含めて、農業者だけでなく集落全員の合意形成をもとに取り組んでいきたい。
  • 戦略の実施状況の成果を農水省としても具体的にモニタリングしなくてはならない。
  • 里山の荒廃、耕作放棄地の増大は業としての視点だけではカバーできない部分もあり、環境省と関わりながら進める必要がある。このことを戦略に盛り込むべき。
  • 豊岡のコウノトリなど、地域振興の効果についても経済評価することを戦略に盛り込んでほしい。
  • 農林水産業は、生物多様性を商品の付加価値と捉えれば、消費者に近い。最終消費者まで意識して戦略をまとめることにより、普及啓発につながる。
農林水産省(農村振興局)から資料に基づき説明
主な内容:海岸について
  • 砂浜について、河川・沖合との連携などもふまえた長期的な持続性や再生を考えてほしい。養浜に利用できる砂の量を把握するなど、土砂を貴重な資源ととらえるべき。
    長期的な土砂の動向を考えながら進めていきたい。
  • 環境が単独の目的でも事業が実施できるように努力してほしい。
    公共事業の予算が非常に厳しいなかで生命や財産を守らなければならないため、堤防の改修や補強などが優先されるのはやむを得ないが、事業実施においてはきちんと環境に配慮していくことが重要と考えている。
  • 海面上昇がもし起こった場合の対策を、今から考えておく必要がある。海面上昇の決定論的な予測が出てからでは遅い。
    IPCCの予測でも幅があるため、設計に直接反映させるのは難しいが、関係省庁で議論しているところ。
  • 離岸堤は防災上必要なのも分かるが、景観法もできたので、醜いものを作らないという観点も必要。
  • 養浜の砂に混じって植物や貝が移入されている事例があり、配慮が必要。
    できる限り近いところの砂を使用することが原則。十分配慮しながらやっていきたい。
  • 農業海岸における耕作放棄地など利用されなくなった場合は、安全上の支障がなければ堤防を撤去するという観点も必要。
    農業で使用されなくなっても、国土保全上侵食対策が必要な場合は実施すべきと考えている。アカウミガメの保全のため、NPOや学者と協力して護岸を撤去した事例もあり、貴重な生物のいるところについては、対応を考えていきたい。
  • 残された自然海岸は貴重であり、手をつけないことによる保全も重要。
    海岸整備は、海岸保全区域で実施。海岸3万5,000キロメートルのうち、都道府県知事から施設の設置要望がある海岸は1万4,000キロメートルある。
  • 海岸法の達成目標はどのように記述されているのか。
    海岸環境の整備と防護及び公衆の適正な利用を図るとされており、この3つを一体的に行っていきたい。
外務省から資料に基づき説明
主な内容:生物多様性条約に係る国際的貢献等
  • 生物多様性保全の国際協力において、環境省や専門家がどのように関わっているか。
    技術協力はJICAが中心に実施しており、環境省や有識者とも協力して実施。
  • 中国と日本との間での環境協力はどのようなものがあるか。
    これまで中国に供与してきたODAも多くが環境関係である。また、先日温家宝総理の来日の際に環境保護協力の一層の強化に関する共同声明を出しており、引き続き協力することを合意。日中環境保護合同委員会などの場も活用。
  • ODAを実施する際、現地の環境データを蓄積することができないか。
    プロジェクトを決定する段階のアセスメント等でデータは取られているが、研究に活用できる形でまとめるということはしていないと思う。ご指摘の趣旨については担当者に伝えたい。
文部科学省から資料に基づき説明
主な内容:文部科学省における生物多様性に関する取組
  • 生物や自然に関する内容が、実際の教科書、教員の研修のなかで、どれくらい入っているのか具体的に示してほしい。
    学習指導要領は最低基準との位置づけであるため、記載された内容は必ず学校で行われている。総合的な学習の時間での環境教育の実施状況は、平成16年度で公立の小学校の約75%、中学校の約53%で実施。研修については、環境省と共同で、教員と地域の環境教育NPOの指導者の合同の宿泊研修を全国7箇所で実施。また文科省が開催している環境教育の研修会は、全国2箇所で実施。
  • 自然を実感するプログラムは重要。実践活動が教育の中や学校教育の延長線上で行われているか。また、学校や博物館の自主性に任せるだけでなく、プログラムを実現するための仕組みが必要では。
    各教科で学んだ知識を活かして、総合的な学習の時間や実験などを通じ、環境教育に関する体験活動も多く実施されている。また、農村での体験活動や、長期宿泊体験などを支援する、豊かな体験活動推進事業を実施。体験活動の重要性を鑑み、昨年度予算4億7,000万円から、本年度は約7億円に増額。
  • 身近な自然は地域ごとに異なるものであるが、それが実際の学校教育の中でどのように取り込まれているのか示してほしい。
    学校がそれぞれの実情に応じて、多様な環境教育を総合的な学習の時間を活用して推進している。
  • 生涯学習の観点が重要。博物館等の施設だけでなく、インタープリテーションできる人材が必要。
    各社会教育施設において、環境教育推進法を受けて整備した環境教育の人材バンクなどを活用。
  • 生物に対する理解だけでなく、人間の営みと自然界の関係が理解できる教育が必要。
    高等学校では、生物の分類と系統を始め、生物界の多様性と歴史的変遷などについて理解させることとなっており、しっかりと教育がなされている。
  • 環境学習というと、水俣や知床を題材にすることが多いが、地元の環境を学ぶことが重要である。学校での環境学習は地域活動の担い手の養成になるという視点を記載してほしい。
  • 学校だけでなく、博物館の役割、学校との連携は非常に重要。
  • 天然保護区域や重要文化的景観における生物多様性の現状把握、モニタリングはされているか。
    天然保護区域については、国立公園と重複していることが多く、文化庁としてのデータ取得は実施していない。それ以外についてはできるだけ多くの情報を得るようにしている。文化的景観については、選定の際に景観調査を実施。
  • 今の子供たちは生き物に触ることができないとか自然の中に怖くて入れないといったことがあるが、命の大切さが分かっていないからではないかと考えている。なぜ子供がこのようになってしまったか疑問に感じる。
    子供たちの自然体験活動が減少している状況をふまえ、体験活動推進事業の充実等を実施。教育基本法にも生命や自然の尊重についての記述がなされた。
  • 今回説明があったものは、生物多様性国家戦略ができた1995年以降に新しく始めた取組というより、95年以前から実施している施策が中心ではないか。
    95年以前から行われている施策でも、例えば文化財を例にとれば、自治体における保護対策などでは戦略に配慮して進められている。
  • データ統合・解析システムについては、環境情報の蓄積は重要であり、ぜひ続けてほしい。また、収集データのネットワーク化がされるとなおよい。
厚生労働省から説明
主な内容:バイオテクノロジー
  • 委員からの意見なし
経済産業省から説明
主な内容:生物多様性の保全とその持続可能な利用
  • バイオ燃料に、野生のバイオマスを利用することによる生物多様性に与える影響も考慮が必要。
    国内で新たに資源を求めることは経済的に現実的ではないため、国内の生物多様性への影響は大きな問題にならないと考えられる。
  • バイオマス利用のシステムを作ることによって、里地里山等の管理がなされ、生物多様性が保全されるという発想もある。
    まずは経済性が重要であり、当面は既存の資源の利用が中心になる。地域の資源の有効利用はその先のステップと考えている。
  • 微生物の保全の具体的イメージがわかないが、具体的な事例を紹介してほしい。
    まず、日本に存在する微生物、特に極限的な環境に生息する産業利用に資する微生物を分離して整理することが中心。また、産業利用する際に、生態系に影響を及ぼさない配慮も重要。
  • 薬や作物となる植物の遺伝資源の保全や利用については、どのような取組があるか。
    植物については、農水省が担当。
  • 微生物そのものの保全だけでなく、環境を含めた保全という視点があるのでは。
    有用な微生物の保全という観点では、極限的な環境を保全するのがいいのか、環境が変化したほうがいいのかわよくわかっていない。
  • 経済活動が生物多様性に影響を及ぼしていることから、国民のライフスタイルを変えていく必要がある。
    今回の発表担当はバイオマス等の利用を促進する部署であるため、経済活動そのものについてはまた別の視点で考えていく必要がある。
  • 微生物の利用に関しては国益の視点を踏まえて国際的な取組を進めているのか。
    特に途上国などでは、自国の資源をどう国益に結びつけていくかは非常に重要なテーマである。いっぽうで、新薬の開発など、国益を超えた人類全体の益につながる取組の視点も重要。
国土交通省(国土計画局)から説明
主な内容:国土計画における生物多様性に関する取組
  • 国土形成計画の中間とりまとめの内容は、生物多様性の面からとても有意義な計画となっているが、実現へ向けた担保性はどうなっているか。
    策定過程で関係省庁の合意形成がなされていくほか、新たに創設された広域地方計画検討過程での議論を通じて、現場で誰が何をするのかも含め、さらに合意形成がなされていくと考えている。
  • 計画の目標年次や節目はいつを想定しているのか。
    計画期間については、今後100年を見据えた今後10年程度を想定して議論を進めている。レビューについては、政策評価の仕組みで、5年おきに実施。
  • エコロジカルネットワークについて、生物のことだけでなく、その管理の担い手となる人の配置についてはどう考えているのか。
    ご指摘の視点は、国土形成計画の中心に近い部分として据えていくべきものと考えている。
国土交通省(都市・地域整備局)から説明
主な内容:公園・緑地における取組
  • 都市域における水と緑の公的空間量の指標として、生物多様性の確保に資する良好な樹林地等の自然環境を保全・創出する公園・緑地の初期値ゼロと表現されているのは、誤解を与えるのではないか。
    社会資本整備重点計画で今後5年間にどれだけ事業を実施するかという観点で示されたもの。既存の緑地の量については、緑の基本計画がつくられていない公共団体もあるため把握できていない。
  • 緑地の維持管理に関する支援策はあるか。多様な主体の参画や、受益者負担による管理の状況はどうなっているか。
    維持管理は設置者が負担し、国庫補助制度はないが、様々な主体の参画による管理について、国としてどのように支援できるか検討していかなければと考えている。国営公園などでは、受益者負担を実施。
  • 緑地の維持管理の面で、従来の現状凍結型の制度では現状にあわない事例もある
    現行の制度ができた昭和40年代は都市の開発圧力に対してどう守っていくかが重要であったが、現在は維持管理が問題となっている。補助金の適用も難しいことから、課題として検討しているところ。
  • 公園緑地以外の都市全体での生物多様性の状況はどうなっているのか。
    緑の基本計画策定にあたっては、都市全体の緑や自然環境の状況について調査されているので、計画を策定した自治体では把握されている。
  • 指定管理者制度をどのように評価しているか。
    制度が始まって3年くらいであり、評価はこれからと考えている。よりよいサービスを提供できるシステムとして動くよう、改善していく必要もあると考えている。
国土交通省(河川局)から資料に基づき説明
主な内容:河川・砂防における生物多様性に関する取組
  • 発電ダムの減水区間の清流回復について、どのくらい発電量が減ったらどのくらいの自然が再生するか等の検討がなされているのか。
    効果把握の調査までは至っていないが、流域の規模に応じて減水するなどのガイドラインを作って、合意事項の下で水利権を更新している。
  • 温暖化対策として水力発電を推進する動きと、生物多様性の保全という観点をどのように整理すればよいかは重要な問題。
  • 地球温暖化による降水量の変化による、治山・治水の意味での保水力の観点や、河川から流れていった水が下流域や海岸の生態系に与える影響について、今回の生物多様性国家戦略の検討において、どのような議論がされているか。
    温暖化による治水・利水・環境への影響については、議論、研究をはじめたところ。
  • 流砂系の総合土砂管理は生物の生息場の創出になるので、ぜひ推進してほしい。
  • ダムのフラッシュ放流をしたときに、粒径ごとの土砂がどのいくらい出るかという知見はあるか。
    人為的に土砂を置いて下流に還元するという事例はあり、その場合はまさに置いた砂に支配される。また、ダムの標準装備として土砂を流すシステムを持っているものについては、データが蓄積されているダムもある。
  • 漁業者や農業者などの利害関係者の合意をどのように得ているのか。
    平成9年の河川法改正で環境が目的の入ったことから、計画をきめるにあたって地域住民や学識者の意見を聞くシステムはビルトインしたことになっている。中期的な河川の計画策定や個別の自然再生事業等に際して、協議会や公聴会を実施している。
国土交通省(港湾局、国土技術政策総合研究所)から資料に基づき説明
主な内容:港湾における環境への取組
  • 干潟等の再生においては、漁業者等との合意形成のプロセスも含めて紹介してほしい
    三河湾に例でも、はじめは強い反対があった。試験的な施工の結果生物が増加したことから、理解が得られるようになった。
  • 干潟等の再生後の維持については、どうなっているか。
    できるだけ維持しやすい条件の整った場所を選んで整備するのがひとつの手段である。
  • 土砂は貴重な資源である。港湾で定期的に発生する浚渫土砂の粒径・土質について把握しておけば、将来実施可能な事業の検討ができると思う。
    浚渫事業に際しては、ボーリングなどでて底質を把握している。
  • 三河湾、尾道の例は、干潟を再生したのか、新しく造成したのか。干潟の新たな造成によって、環境はどのように変化したか。
    両方とも造成である。もともと三河湾は底質が悪いため、限られた地域の改善では、湾全体としての効果はなかなか現れない。
  • 海辺の再生の日本全体での計画などはあるか。
    閉鎖性水域としては、都市再生本部の決定で東京湾、伊勢湾、大阪湾において再生行動計画を策定して進めている。社会資本整備重点計画では、干潟の再生を指標として評価することになっている。
  • 自然再生プロジェクトを進める上で、効果のモニタリング体制の強化が必要。
国土交通省(総合政策局海洋室)から資料に基づき説明
主な内容:船舶のバラスト水問題に対する取組
  • バラスト水問題は沿岸生態系を考える上で非常に重要である。
  • バラスト水の交換を港でなく沖で入れ替えるというのは、具体的にどういうことか。
    バラスト水を積んだ船が目的地に近づいたら、陸地より200海里離れた海域でバラスト水を交換してから入港するということ。
  • バラスト水管理条約は、いつごろ発効する見込みか。
    現在のところ見通しは立っていない。バラスト水の生物等の処理装置の開発が、想定よりも遅れていることが原因。

(以上)