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中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会
生物多様性国家戦略小委員会(第3回)議事要旨


<日時>平成13年11月20日(火) 10時~15時

<場所>経済産業省別館共用会議室944号室

<議題>(1)NGOヒアリング
(2)その他

<議事>会議は公開で行われた。

各NGOが資料に基づき説明し、委員から質問・意見等が出された。主なやりとりは以下のとおり。

[1] (財)日本自然保護協会
(委員)地域性である日本の国立公園全てに生物多様性保全の目的を付加するのはいかがなものか。
 →生物多様性保全には、国土において大面積をカバーする国立公園の機能強化が有効と考えるが、全ての国立公園で生物多様性保全の機能を優先すべきとは限らない。それぞれの地区の特性に応じた取扱が必要。
(委員)開発により種の保存に問題が生じるおそれのある場合、アメリカでは訴訟が日常的だが、日本では一般的ではない。費用面の問題もあろうが論点が明確化されるなどメリットもあるのではないか。
 →日本では野生生物が共有の財産との法的位置付けがないなど、現在の法制度の下では訴訟により開発者の違法性を問うことは難しい。訴訟に限らず幅広い手段により対応していきたい。 


[2] (財)WWFジャパン
(委員)バイオテクノロジーについての考え方は。
 →次回資料を提出する。
(委員)森林の認証制度についての考えは。
 →国内に森林の認証機関をつくることにより、この制度を広めていきたいと考えている。


[3] (財)日本野鳥の会
(委員)ボン条約未加盟の理由は何か。
 →クジラが保護対象であることが理由と言われているが、商業利用の対象とはならない一部の絶滅のおそれのあるクジラが対象であり、そのことが理由とはならないのではないか。
(委員)自然保護教育等の活動における自治体との連携の実態はどうか。
 →自治体から受託しサンクチュアリの運営、教育活動を行っている例がある。


[4] (財)日本生態系協会
(委員)事例紹介のあった埼玉県環境基本計画の点検システムについては、開発事業の個票を作るのはよいが、客観的な自己評価の基準がないと実効性が期待できないのではないか。事業の事前、事後の比較評価が必要。
 →NGOも参加して評価について議論する必要がある。
(委員)生物多様性保全に関する計画(重要地域等)の地図化の意義は大きい。市民の理解が得られるよう、熱心な市町村等から具体化されるとよい。
(委員)法的根拠のない参考図では実効性に問題があるので、日本の計画制度に適した効果的な地図づくりを工夫すべき。
(委員)重要地域を地図化した場合、それ以外の地域の開発が進むおそれがある。
(委員)生物、生態系においては、図化のためのデータが不足していたり、図化できないものに本質が存在していることがあり、地図化と矛盾する面もある。


[5] 総括的意見交換
(委員)国家戦略では、施策の効果評価や各省の施策を束ねることが重要な課題。
(委員)NGO参加の具体的提案が聞きたい。
 →法制度づくりへの積極的な関与、市民参加による調査活動等で役割を果たしていきたい。

(事務局)生物多様性の観点から保全の対象や範囲(中間領域等)が広がる中で、地域の利便性、経済性や生活の快適性と生物多様性とのバランスをどのように保つかが課題となるが、NGOの認識如何。
 →現行戦略では、開発があくまでも目的でありその際保全にも配慮するという性格が強いが、現在はバブル期のような開発圧力もなく、生物多様性保全を社会的に最優先の目標として掲げるべきである。
(委員)従来とは違う領域に踏み出していくことの必要性について、戦略にしっかりと位置付けていくことが必要。

(傍聴者)海洋生態系についての議論が少ないのは問題。水産資源保護法には各種計画制度が欠如している。生物多様性の最重要課題は絶滅を阻止することであり、海棲哺乳類についても種の保存法の指定対象とすべき。
 →(水産庁)水産資源保護法には、保護水面、採捕規制等の制度がある他、野生水産動植物の保護に関する基本方針に基づき、調査等を踏まえ、要保護野生水産動植物種の特定などを行う仕組みもある。

(傍聴者)野生生物における化学物質の蓄積問題、移入種問題等への対応が重要な課題。