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■議事録一覧■

中央環境審議会 第1回自然環境・野生生物合同部会
議事録


1.日時

平成24年8月29日(水)13:29~16:38

2.場所

全国町村会館 2階ホール

3.出席者(敬称略)

(合同部会長)武内 和彦
(合同部会長代理)山岸 哲
(委員)加藤 順子佐藤友美子鷲谷いずみ
(臨時委員)石井 信夫石井  実磯崎 博司
磯部  力磯部 雅彦市田 則孝
大久保尚武河田 伸夫神部としえ
小泉 武栄小泉  透小長谷有紀
佐々木洋平下村 彰男白幡洋三郎
白山 義久高村 典子田中  正
辻本 哲郎土屋  誠中静  透
橋本 光男浜本 奈鼓速水  亨
福田 珠子マリ・クリスティーヌ 三浦 慎悟
宮本 旬子涌井 史朗 
(特別委員)あん・まくどなるど
(環境省) 自然環境局長
大臣官房審議官
自然環境局総務課長
自然環境局総務課調査官
国立公園課長
自然環境計画課長
野生生物課長
生物多様性地球戦略企画室長
生物多様性地球戦略企画室長補佐
生物多様性地球戦略企画室長補佐
生物多様性施策推進室長
自然環境局総務課長
外来生物対策室長
自然ふれあい推進室長
生物多様性センター長
※敬称略 委員は五十音順

4.議題

(1)生物多様性国家戦略(案)の検討
(2)その他

5.配付資料

自然環境・野生生物合同部会委員名簿
座席表
資料1生物多様性国家戦略小委員会の設置について
資料2生物多様性国家戦略2010と生物多様性国家戦略の改定案の構成比較
資料3生物多様性国家戦略の改定案の全体構成
資料4生物多様性国家戦略の改定のポイント
資料5生物多様性国家戦略(案)
資料6生物多様性国家戦略の改定案に関する意見募集(パブリックコメント)
資料7生物多様性国家戦略の改定案に関する全国説明会の開催結果
<参考資料>○生物多様性国家戦略2010(冊子・パンフレット)※
○生物多様性条約COP10の成果と愛知目標(パンフレット)※
○第4次レッドリストの公表について
※委員のみ配布

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会を開催いたします。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告をいたします。所属委員50名のうち、過半数の、まだちょっとお見えになっていない先生方もいらっしゃいますが、既に29名の先生、予定では34名の委員にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により、準用する同条第1項の規定に基づきまして、定足数を満たしておりますので、本部会は成立をいたしております。
 また、8月10日付で自然環境局幹部の異動がありましたので、この場をお借りしてご紹介させていただきます。
 まず、自然環境局長の伊藤哲夫でございます。
 あと、審議官ですけれども、地熱会議で遅れていますが、大臣官房審議官には、九州地方環境事務所長より星野一昭が就任しております。
 続きまして、自然環境計画課長の亀澤玲治でございます。
 続きまして、野生生物課長の中島慶二でございます。
 また、4月1日付で、前回の合同部会以降、総務課調査官の岡本光之が新たに就任しております。
 それでは最初に、自然環境局長の伊藤よりごあいさつ申し上げます。

【伊藤自然環境局長】 8月10日付で自然環境局長を拝命いたしました伊藤でございます。本日は、ご多忙のところ、本合同部会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、自然環境行政の推進につきましては、日ごろより御指導を賜り、この場をお借りして厚くお礼を申し上げます。
 若干、自己紹介をまずさせていただきたいと思いますけれども、私は昭和54年に当時の環境庁に入庁いたしました。それ以降、自然環境行政につきましては、平成16年の7月から1年間、当時の自然環境局の総務課長という立場で、ちょうど外来生物法ができて、その施行の準備でありますとか、あるいは、温泉に入浴剤を入れた問題とか、そういった問題があった頃でございました。その後、2年前から、環境省の中で廃棄物リサイクル対策部長を務めさせていただきました。その廃リ部におきましては、皆様ご承知のとおり、東日本大震災の発災に伴うがれき処理の問題、それから、放射性物質に汚染された廃棄物の問題等々がございました。その中で、いわゆるがれきの処理につきましては、広域処理等でいろいろお騒がせをいたしたと言いましょうか、いろいろ各全国の地方公共団体にお願いもし、何とか、発災からの3年後までの処理ということにつきましては、見通しが立ちつつあるのではないかなと、こういうふうに考えておりますが、放射性物質によって汚染された廃棄物の問題、これはまだまだ先が見えないという状況でございます。また、廃リ部長時代におきましては、循環型社会づくりということで、小型家電の法律づくりとか、あるいは、武内先生に御指導いただきまして、循環型社会形成部会においての循環基本法の策定、今やっておりますけれども、そういったことにも携わって参りました。
 今回、自然環境局長を拝命いたしたわけでございますけれども、国立公園をはじめとしまして、日本の豊かな自然環境、これは国民の宝であり、また、世界の宝でもあるというふうに考えております。これを健全な形で将来世代に残していくということは、極めて重要な環境行政のみならず、国政の重要な課題の一つであるというふうに考えております。こういう行政に携わらせていただくことは非常に光栄だと考えておりますし、身の引き締まる思いもしているところでございます。先生方のこれからの御指導、御鞭撻を是非ともお願いしたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
 さて、本年1月に中央環境審議会に諮問させていただきました生物多様性国家戦略の変更につきましては、2月の自然環境・野生生物合同部会を皮切りに、3月から6月にかけて計7回に及ぶ小委員会を開催し、御論議をいただきました。特に、武内合同部会長をはじめ、小委員会委員の皆様におかれましては、御多忙のところを毎回多くの委員に御出席いただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。
 さて、間もなく8月も終わりとなり、10月にインドで開催される生物多様性条約第11回締約国会議まで約1カ月あまりと迫って参りました。今回の改定では、COP10において採択されました愛知目標の達成に向けた我が国のロードマップを示すとともに、昨年3月に発生した東日本大震災を踏まえた今後の自然共生社会のあり方を示すことを目的として御審議をお願いしておりますが、このCOP11の機会に新たな生物多様性国家戦略を世界に示し、COP10の議長国にふさわしい発言をして参りたいと、こういうふうに考えております。
 また、生物多様性を取り巻く状況や社会のニーズは、時代とともに大きく変化してきております。特に、東日本大震災の発生以降、環境省が果たすべき役割とその重要性はこれまで以上に高まってきていると考えます。こうした期待に応えることが私たち環境省の責任であり、また、現場とともに歩む自然環境局は、その最前線としてさまざまな施策に積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。
 生物多様性国家戦略の変更に係る合同部会につきましては、可能であれば今回及び次回でおまとめいただきたいと思っておりますが、生物多様性施策の将来を見通し、今後とも幅広い視点から合同の御審議をお願い申し上げまして、冒頭の私の挨拶とさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

【事務局】 ありがとうございました。
 それでは、次に、本日の資料につきまして確認をさせていただきます。議事次第の裏面にあります資料一覧を御覧ください。まず、ダブルクリップ止めのものを一番上に置かせていただいておりますけれども、まず委員名簿、座席表から始まりまして、資料1といたしまして、国家戦略の変更スケジュール。資料2としまして、現行の戦略と今回の改定案の構成の比較。資料3といたしまして、改定案の全体構成。資料4といたしまして、こちらはクリップ止めになっておりますが、改定のポイントということで、別紙も1、2、3と付けております。その後に、資料7と致しまして、全国説明会の開催案内と結果ということになります。一番最後に、参考資料と致ししまして、第4次レッドリストの公表についてという資料が付いております。その下に、白い冊子になりますけれども、資料5と致しまして、国家戦略の案。資料6と致しまして、パブリックコメントの結果。一番最後になりますけれども、こちらは部数の限りがございまして、メインテーブルの方のみになりますが、レッドリストの公表に係る資料ということでございます。
 資料の配付漏れ等がございましたら、事務局までお申しつけください。──よろしいでしょうか。
 それでは、これよりの議事進行につきましては武内合同部会長にお願いいたします。

【武内合同部会長】 皆さん方、残暑厳しき折り、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。ただいまから中央環境審議会の自然環境・野生生物合同部会を開催いたしたいと思います。
 本日の議題は、次期生物多様性国庫戦略案についての検討でございます。この改定については本年1月に環境大臣より中央環境審議会の諮問があり、その後、2月に合同部会を開催させていただきました。その後、その際に認めていただいた生物多様性国家戦略小委員会を3月から6月にかけて合計7回開催し、次期生物多様性国家戦略案を取りまとめた次第でございます。とりわけ、この議論に関わられた小委員会の委員の皆様方には、限られた時間の中で大変活発なご議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
 その後、7月6日から1カ月間実施したパブリックコメント、これについては、資料の中にも入っておりますように、大変多くの方から御意見をいただきました。そうした御意見を踏まえ、事務局で修正したものが今日用意されている「生物多様性国家戦略2012-2020(案)」というふうになっているものでございます。本日の合同部会、それから9月13日に予定されている合同部会、この2回の合同部会で皆さん方の御意見をいただきまして、最終的に成案としてまとめていきたいということでございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、早速でございますけれども、事務局のほうからこの案について説明をしていただきたいと思います。その後、15時前後に15分程度の休憩を挟みながら議論を行っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局、説明をお願いいたします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 環境省の生物多様性地球戦略企画室長の奥田でございます。それでは、座って説明をさせていただきます。
 皆さん御承知のとおり、生物多様性国家戦略は、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する政府の基本的な計画として、生物多様性条約第6条及び生物多様性基本法第11条に基づき策定されるものです。
 我が国では、1995年に最初の戦略を策定後、2002年、2007年、そして2010年に見直しを行っており、今回は4回目の見直しとなります。今回の見直しの大きな目的の一つは、生物多様性条約第10回締約国会議COP10において採択された愛知目標の達成に向けた我が国のロードマップを示すことです。また、昨年3月に発生した東日本大震災を踏まえた今後の自然共生社会のあり方を示すことも今回の国家戦略の見直しの目的となっております。
 それでは、資料に沿って説明をさせていただきます。
 まず、資料1をご覧ください。今回の変更につきましては、本年1月に中央環境審議会諮問、2月9日に開催したこの合同部会によって検討を開始していただきました。具体的な改定案の検討につきましては、小委員会を設置して、3月から6月まで延べ7回にわたり御検討いただいております。その後、小委員会で取りまとめていただいた改定案について、7月6日から8月5日までパブリックコメントを実施いたしました。また、あわせて全国8カ所で説明会を実施しております。結果につきましては後ほど御説明させていただきます。
 本日は、小委員会による検討とパブリックコメントを受けて取りまとめた生物多様性国家戦略の改定案を御審議いただきます。その結果も踏まえた修正を行った上で、9月13日に予定されている次の合同部会で答申としてまとめていただければありがたいと考えております。
 その後、9月末に閣議決定を行い、10月にインドのハイデラバードで開催されるCOP11の機会に、我が国の新しい生物多様性国家戦略について世界に発信していきたいと考えております。
 続きまして、資料2をご覧いただければと思います。こちらのほう、現行の生物多様性国家戦略2010、お手元に冊子もあると思いますけれども、これと今回の改定案の構成の違いについて説明するものでございます。今回は違いの部分だけ説明させていただきます。
 現行では、第1部の戦略と、裏の方を見ていただくと、左側の方です、現行第2部というのがあります。この行動計画、2部構成であるのに対して、もう一回表に戻ってきますと、右側の今回の改定案では、右下のところにございますけれども、第2部愛知目標の達成に向けたロードマップという部を新たに設けて、3部構成としております。これは、先ほど申し上げたように、COP10において採択された新たな世界目標である愛知目標の達成に向けて、各締約国が各国の生物多様性の状況やニーズ、優先度に応じて国別目標を設定し、各国の国家戦略の中に組み込んでいくということが求められていることによるものです。
 新たな戦略では、第1部の第1章第3節として、生物多様性に支えられる自然共生社会の実現に向けた理念というものを追加するとともに、第2章第6節として、生物多様性の保全と持続可能な利用に向けた課題を整理しております。また、第4章では、生物多様性の保全及び持続可能な利用の基本方針として七つの基本的視点及び五つの基本戦略を整理して、第3節として、各主体の役割と連携・協働を整理しております。さらに、東日本大震災を踏まえて、第1部第2章の現状と課題の中で、大震災による生物多様性の影響や復興に向けた取組の現状を述べる項目を幾つか追加させていただいております。第3部には、裏の方になりますけれども、第3章、一番下になりますが、東日本大震災からの復興・再生といった項目を追加しているということでございます。
 以上、変更部分だけ、構成を簡単に説明させていただきました。
 続いて、資料3、4、5を使って今回の案について説明させていただきます。
 資料3は改定案の全体構成でございます。
 資料4は改定のポイントを簡単にまとめてございます。
 資料5は、冊子でございますけれども、改定案の本文となります。この本文の前の案のパブリックコメント版は7月の初めに先生方にお送りをさせていただいているところでございますけれども、その後、パブリックコメントの意見を踏まえて修正した箇所がわかるように、今回のバージョンは追記した箇所を下線、削除した箇所を取り消し線で示してございます。
 この後は、主に資料4と5を中心に、改定案の内容について説明させていただきます。資料3については、必要に応じご参照いただければと思います。
 改定の目的は、繰り返しになりますけれども、大きく2点ございます。一つ目は、COP10において採択された愛知目標の達成に向けた我が国のロードマップを示すということです。2年前に開催されたCOP10では、2011年以降の世界目標として、愛知目標を含む戦略計画2011、2020が採択されております。この戦略計画では、長期目標として、我が国からの提案を受けて、2050年までに自然と共生する世界を実現することが掲げられております。また、2020年までの短期目標として、生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施することが掲げられ、その短期目標を達成するため20の個別目標となる愛知目標が採択されています。
 この愛知目標の目標17では、各国が効果的で参加型の国家戦略を策定・実施するということが求められており、これが今回の改定の目的の一つとなっております。
 二つ目は、昨年3月に発生した東日本大震災を踏まえた今後の自然共生社会のあり方を示すことでございます。昨年3月に発生した東日本大震災では地震と津波で甚大な被害をもたらし、現在もその復興に向けた取組が進められています。自然環境も大きな影響を受け、豊かな恵みとともに、時として大きな脅威となる自然の二面性を私たちは深く認識することになりました。また、福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質の拡散により、人間はもちろん野生動植物への影響が懸念されております。さらに、ガソリン・電気の供給が停止し、交通網や流通網が麻痺し食料や水といった物資が入手困難になるなど、エネルギーや物資の生産・流通が一極集中した現代の社会経済システムの脆弱性が顕在化いたしました。このような経験を踏まえて、本来恵みと脅威という二面性を持つ自然のメカニズム、適性を改めて理解し、自然災害による被害を回避・軽減した安全で安心な国土を自然環境の面からも考えていくこと。また、食料や水といったいわゆる自然の恵みを将来にわたって安定的に得ていくためには、地域の自立性を確保していくとともに、それぞれの地域が支え合っていく環境をつくっていくこと、そういったことが必要と考えております。こういった点から、人間と自然の豊かな関係の再構築を目指す今後の自然共生社会のあり方を提示していくことが今回の改定における二つ目の目的となっております。
 それでは、続いて、具体的な改定案の内容について御説明をさせていただきます。
 資料5の冊子では、1ページから4ページが前文となっております。前文では、国家戦略の背景、歩み、構成、実施状況の点検と見直しといったものを記載しております。このうち実施状況の点検と見直しについては、冊子の4ページ15行目以降に記載していますけれども、19行目にありますように、次期国家戦略の計画期間については、今年、平成24年から愛知目標の目標年である2020年、平成32年までとしたいと考えております。また、総合的な点検と見直しは、まずは、2014年、または2015年に開かれるCOP12で予定されている愛知目標の達成状況に関する中間評価、この機会に実施して、次に、2020年度の計画期間終了時までに実施するということを考えております。
 続きまして、5ページから、第1部、戦略の部分に入ります。第1部の戦略は4章構成となっております。理念、現状と課題、目標、そして基本方針の順番に記述をしております。
 第1章では、生物多様性の重要性と自然共生社会の実現に向けた理念として、3節の構成としております。第1節では、生物多様性とは何かを記述しております。7ページをめくっていただいて始まる第2節、タイトルはいのちと暮らしを支える生物多様性、この部分では、食料や水、気候の安定など、生態系から得ることのできる恵みである生態系サービス、これに着目しまして、生態系サービスと人間生活との関わりから生物多様性の重要性について記載をしております。
 また、14ページを御覧になっていただきたいと思うのですけれども、ここの第3節の部分では、生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性を四つに整理をし、それらを踏まえて生物多様性によって支えられる自然共生社会を実現するための理念として、14ページの下の方にございます、自然のしくみを基礎とする真に豊かな社会をつくることを掲げております。恵みをもたらす一方で脅威となり得る自然に対して感謝と畏敬の心を持って接すること。そして、自然の理に沿った活動を選択すること。自然を次世代に受け継ぐ資産としてとらえて持続可能な経済を考えること。こういったことによって、自然のしくみを基礎とする真に豊かな社会をつくっていかなければいけないことをここでは記述をしております。
 続きまして、1枚めくっていただいて、16ページとなりますけれども、ここから第2章に入ります。ここでは、生物多様性の現状と課題として6節の構成で、COP10の成果概要ですとか、世界と日本の生物多様性の現状や危機、また、保全と持続可能な利用の状況、そして、それらの課題などを整理してございます。
 このうち、特に少し説明させていただきたいのは、26ページを御覧になっていただきたいと思いますけれども、ここでは、第2節で、14行目から世界の生物多様性に影響を与える日本という項目を立てて、私たち日本人が国内で消費する資源の多くを海外からの輸入に頼っており、海外の生物多様性にも影響を与えていることを記述しております。私たちの暮らしが世界の生物多様性ともつながっていて、決して無関係ではないことを認識する必要性があるという議論を受け、今回新たに追加しております。
 また、冊子の28ページからになりますけれども、第3節では、我が国の生物多様性の危機を四つに整理しています。これまでは、三つの危機とは別に、地球温暖化の危機というのを整理しておりましたけれども、今回の改定では地球温暖化や海洋酸性化といった地球環境の変化による危機、これをまとめて新たに第4の危機として位置づけております。32ページから第4の危機についての説明を書いておりますけれども、ここでは、直接的な原因者を特定するのが困難なこと、また、影響がグローバルな広がりを持つということ、人間活動による影響だけではない複合的な原因と言えることなど、ほかの三つの危機とは異なる特徴があるということ、そうした特徴についても第4の危機については明確化をして記述しております。
 34ページからは、第4節として、昨日公表した第4次レッドリストの概要なども含めて、最新の知見やデータをもとに我が国の生物多様性の現状を記述しております。第4次レッドリストについてはお手元に参考資料としてお配りしておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
 また、飛びますけれども、45ページを開いていただきますと、東日本大震災による生物多様性への影響についても記載をしております。東日本大震災では、地震による地盤沈下に加えて、津波によって地形が大きく変化したことに伴い、この地方の自然環境というのは大きな影響を受けて、その事例について記載をしております。一方で、荒廃地で生態系が回復する様子が見られている事例についても記載をしております。また、福島の原発事故に伴って放射性物質が大気中及び海洋中に大量に拡散し、野生動植物への影響が懸念されていることについても記載をしてございます。
 続きまして、54ページから第6節に入ります。この第6節では、現在も生物多様性の損失が続いている現状に加えて、人口減少の進展やエネルギー・物質の生産・流通が一極集中した社会経済システムの脆弱性等の社会状況を踏まえて、生物多様性に関する課題を五つに整理しております。
 55ページにございますけれども、ここで、五つのうち三つ目に自然共生圏という新しい考え方を示しております。これは、自立分散型の地域社会を目指していくことを基本としながらも、もしそれが困難な場合には、より広域的な視点で生態系サービスの需給関係でつながる地域を一体的にとらえ、その地域間の連携や交流を深めていくことが重要であると、こういう考え方です。自然共生圏のイメージにつきましては、資料4のクリップ止めのものの別紙1というところにカラー刷りのポンチ絵がございます。この中で示してございます。自然共生圏はここに書いてあるように、地球規模レベル、国土レベル、地域レベル、流域レベルといったさまざまな空間レベルで考えて、それぞれの空間レベルに応じ、お互いに支え合う仕組みつくっていくことも必要なものであると、そういうふうに考えられます。
 そのほか、54ページから掲げている課題としましては、1番では生物多様性の重要性を分かりやすく伝え、生物多様性の配慮した社会システムを、ライフスタイルへの転換を図る生物多様性の主流化の問題。それから、2番では、自然再生や里山保全・外来種防除などの活動を担う人材の不足、また、地帯間の連携・協働、横断的な取組の強化、継続のため仕組み等の、そういったものの必要性など、担い手と連携の確保の問題を書いております。
 また、56ページ、4番のところでは、今後の人口減少に伴う非居住地化の拡大を踏まえて、自然の遷移に任せた再生を図る地域ですとか、重点的に保全すべき里地・里山をメイクアップするといったことなど、国土の将来あるべき姿を描いたり、国際的視野を持って体系ネットワークを形成する等の必要性など、国土の保全管理の問題を書いております。
 そして、5番目には、生物多様性の現状把握が不十分であるということ、科学的認識に基づく評価が不足しており、基礎的な調査を長期間継続していくことや、速報性を高めた総合的な評価を実施することにより政策等に反映させていくことが必要といった科学的知見の充実の問題ということを記述しております。
 続きまして、57ページになりますけれども、第3章では、目標として2節の構成で、わが国の目標と生物多様性から見た国土のグランドデザインを記述しております。
 このうち、第1節では、COP10で採択された戦略計画2011、2020の目標年を踏まえて、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する我が国の目標として、長期目標及び短期目標を提示しております。
 2050年に向けた長期目標では、生物多様性の維持回復と持続可能な利用を通じて、日本の生物多様性の状態を現状以上に豊かなものにするとともに、生態系サービスを将来にわたって享受できる自然共生社会を実現することを掲げております。2020年に向けた短期目標では、生物多様性の損失を止めるために、愛知目標の達成に向けた日本における国別目標の達成を目指し、効果的かつ緊急な行動を実施することを掲げております。
 また、57ページ下の第2節では、生態系や場所により時間のスケールの違いはあるものの、過去に損なわれた生態系を回復していくためには、さらに長期的な視野で考えていくことも重要であることから、これ以降に、100年先を見据えて目指すべき目標像として、自然共生社会における国土のグランドデザインを示しております。
 なお、60ページ、61ページ辺りでは、一方では、現行戦略と同じように、奥山自然地域、都市地域、海洋域など、七つの地域区分ごとに整理を行っております。ただし、小委員会で、各地域区分をどのようにつなげていくのかというデザインも必要であるといった意見がございまして、一つの考え方として、流域を機軸として関連する地域を含む流域圏を一つのまとまりとしてつながりを考えていくこと、これを61ページの6行目辺りから新たに記載をしております。これは自然共生圏の考え方にも通ずるものと言えると思います。
 続きまして、71ページを御覧ください。第4章では、基本方針として3節の構成で、基本的視点、基本戦略、そして、各主体の役割等について整理・記述を行っております。
 第1節では、生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とした施策を展開する上で不可欠な共通の基本的視点として、七つの視点を挙げております。
 1点目は、科学的認識と予防的かつ順応的な態度です。ここでは、科学的データに基づく正しい理解と認識を持つこと。こうして、アプローチの考え方を踏まえ、常に謙虚に、そして、慎重に行動することを基本として、科学的証拠が完全でなくとも対策を先送りしないという予防的な態度、また、自然資源の管理と利用をモニタリングによって柔軟に見直していくという順応的態度、そういったものが必要であるということを記述しております。
 72ページの2番は地域に即した取組です。地域に即した視点や地域の経験に基づく知恵や技術を生かした人づくり、更には地域間の人と情報のネットワークを構築して活動を活性化し、拡大していく視点などの重要性について記述をしております。
 3番目は広域的な認識です。各地域の活動が相互に補完し支え合うことにより、他地域へ波及する活動が期待できること。また、地球、全国、地域といった空間の階層性とつながりを意識した広域的な視点を持って取組を進めるといった重要性について記述をしております。
 73ページ、4番は連携と協働です。国、自治体、事業者、民間団体や地域住民など多様な主体の緊密な連携と協働の仕組みづくりが必要であること、科学的な知見・情報を必要とする活動への専門家の参画や、また、一般の人々と専門家をつなぐコーディネーターの関与と情報公開の重要性などについて記述しております。
 5番は社会経済的な仕組みへの組み込みです。ここでは、農産物の地域ブランド化、認証制度など、社会経済的な仕組みの奨励、また、取組が拡大し継続できる仕組みづくりの促進、貨幣価値換算ができない生物多様性の恵みの価値の認識と社会経済的な仕組みへの組み込みなどについての重要性、必要性について記述をしております。
 74ページになります。6番目は統合的な考え方です。持続可能な社会を目指すために、自然共生社会、低炭素社会、循環型社会の構築に向けた取組を統合的に展開し、さまざまな側面を統合的な視点に立って調整・推進していくことの重要性について記述をしております。
 最後の7番目、持続可能な利用による長期的なメリットでございます。長期的な視点に立てば、生態系を持続的に保全してさまざまな恵みを利用した方が、むしろそれを改変して利用するよりも経済的である場合も多いこと。また、伝統的な知識に基づく利用の促進というものは、そうした知識の保全や維持にもつながるものであること。更には、生態系の回復能力を損なうことがないよう将来にわたり健全な生態系と共生していく視点を持つことなど、そういったものの重要性について記述をしております。
 続きまして、76ページからになります。第2節では、本戦略の計画試算である概ね2020年度まで間に重点的に取り組むべき国の施策の大きな方向性として、五つの基本戦略を掲げております。現行の四つの基本政略に、五つ目として、科学的基盤を強化し、政策に結びつけるという項目を新たに追加いたしました。76ページ、最初は、生物多様性を社会に浸透させるという戦略です。生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性が地方自治体・事業者・国民などにとって常識となって、それぞれの意思決定や行動に反映される、いわゆる生物多様性の社会における主流化が実現されるよう、教育・学習・体験の充実ですとか、地域戦略の策定と地域に即した取組の促進、また、多様性に配慮した事業者の取組の推進、生物多様性が有する経済価値の評価の推進といった取組を推進して実施していくということを記述しております。
 81ページ目になります。81ページからは、2番、地域における人と自然の関係を見直し、再構築するという戦略です。消費中心の都市と、食料等の供給を担う地方というこれまでの関係を見直し、これらの地域が相互に補い共生していく自然共生圏の考えにより、それぞれの地域の自立と地域間の互恵関係を維持、発展し、将来にわたり生物多様性の恵みの需給が可能となるよう、里地・里山・里海の取組の推進、鳥獣と共存した地域づくりの推進、生物多様性の保全に貢献する農林水産業の推進、野生生物を保全する取組の推進といった取組を実施することを記述しております。
 87ページからは、3番目、森・里・川・海のつながりを確保するということでございます。人と自然が共生した社会を実現していくためには、国土全体にわたって自然環境の質が向上するため、要生態系ネットワークの形成と保全再生の推進、沿岸海洋域の保全再生、地球温暖化と緩和策と適用の推進、こうした取組を記述しております。
 4番目は93ページになります。地球規模の視野を持って行動するでございます。日々の暮らしが地球規模の生物多様性を支えることを認識し、地球規模の生物多様性の保全の観点から、国内の自然資源管理や流通管理の適正化も含め、国際的な連携も進めるため、愛知目標の達成に向けた国際的取組への貢献、里山イニシアチブの国際的推進、国内に存在する世界的重要な地域の保全・管理の推進、そういった取組を実施することを記述しております。
 最後は97ページになります。科学的基盤を強化し政策に結びつける、でございます。生物多様性の保全と持続可能な利用に関する科学的知見を充実させ、その結果を政策や政策の効果的な実施につなげるため、基礎調査やモニタリングサイト1000等を通じた基礎的データの整備、総合評価の実施、IPBESの国内体制の整備等といった取組を実施することを記述しております。
 最後に、100ページ目からになりますけれども、第1部の最後、第3節では、各主体の役割として、国のほか自治体、事業者、民間団体、学術団体、市民といったさまざまな主体の自主的取組と主体間の連携・協働の重要性について記載し、それぞれの主体の役割として期待される点について熱く記載をしております。
 以上で第1部の説明を終わります。
 続きまして、第2部の説明に移ります。資料4をご覧ください。冊子の方では104ページ以降になります。また愛知目標の20の個別目標につきましては、資料4の別紙2につけております。資料4の別紙の3を縦長のところをご覧になっていただきたいと思います。こちらの方に第2部の目標を整理してございます。
 愛知目標と同様に、五つの戦略目標ごとに我が国の国別目標、合計13目標を設定しております。国別目標の達成に必要となる主要行動目標、これは48ございますけれども、これを設定するとともに、可能なものについて目標年次や国別目標の達成状況を把握するための指標が合計80設定しております。国別目標の達成のカギとなる主要行動目標については、可能なものについては目標年がわかるよう工夫に努め、指標についても主要行動目標に照らして指標として設定できるものがあるかどうか、具体的施策のうち指標を設定しているものについては、国別目標の指標としても設定できるものがあるかどうか。国別目標の達成状況、または、効果を示す指標としてふさわしいもの、一般に分かりやすいものがあるかどうかという点やデータの有無等の状況も考慮の上、検討をしております。
 また、主要行動目標については、2014年または2015年初頭に予定されるCOP12における愛知目標の中間評価の結果も踏まえ必要に応じて見直し、指標についても指標の継続性にも配慮しながら見直しや充実を図ることとしております。
 次に、13の国別目標と主要行動目標のうち、主なものについてご説明いたします。
 まず、戦略目標Aでございます。国別目標のA-1として、これは愛知目標の個別目標1、2、3、4に対応するものとして設定をしておりまして、五つの主要行動目標を設定しております。例えば、A-1-3では、生物多様性に関する地方計画の一つとしての地方戦略について書いてあります。現在38自治体で策定しておりますが、それが、その支援の一環として改定した国家戦略や最近の事例等を踏まえて、2013年までに地域戦略の策定の摘記を改定することをA-1-3として設定しています。
 また、A-1-4では、これは、愛知目標は、個別目標3で生物多様性に有害な補助金を含む奨励措置の廃止・改革等や、生物多様性の保全及び持続可能な利用のための正の奨励措置の策定、適用が掲げているものを受けた目標です。これに対応する指標目標として、例えば、有害な奨励措置については、ここに書いてある奨励措置による生物多様性への影響の考慮で受けるということ、また、正の奨励措置については、生物多様性に配慮した奨励措置の実施という形で、目標を掲げております。
 戦略目標Bに移ります。愛知目標の国別目標5では、自然生息地の損失が少なくとも半減、可能な場合には零に近づき、劣化・分断が顕著に減少するというものが掲げられていますけれども、それに対応して、国別目標B-1、2020年までに自然生息地の損失速度及びその劣化・分断を顕著に減少させる、を設定し、四つの主要行動目標を設定しております。この中では、例えば、B-1-1では、COP12における愛知目標の中間評価までに効果的な取組を開始できるよう、自然生息地の損失の速度や生息地の劣化や分断の状況を把握するための手法を検討し、基準値となるベースラインの確立、現状の整理を行うという目標を掲げております。状況を客観的に把握できるよう、関連する自然環境データをもとに多様性の状況を位置づかせることも検討したいと考えております。
 国別目標B-2では、愛知目標の個別目標6、水産資源が持続的に漁獲される。7、農業・養殖業・林業が持続的に管理される。こういったものに対応するものとして、2020年までに生物多様性の保全を確保した農林水産業が持続的に実施されるという目標を設定しており、四つの主要行動目標を設定しております。
 続きまして、国別目標B-3でございます。これは、愛知目標の個別目標8、過剰栄養などによる汚染が有害でない水準まで抑えられる。これに対応するものとして、2020年までに窒素やリン等による汚染の状況を改善しつつ、水生生物等の保全、生産性向上、持続的な利用の上で望ましい水質と生息環境を維持するというものを設定いたしました。そして、三つの主要行動目標を設定しております。
 B-4では、愛知目標の個別目標9、侵略的外来種が制御され根絶されるというものに対応して、2020年までに外来生物法の施行状況の検討結果を踏まえ侵略的外来種を特定し、その定着経路に関する情報を整備するとともに、これらの侵略的外来種について防除の優先度を整理し、それに基づく防除を各主体の適切な役割分担のもと計画的に推進するということを設定しています。この下には三つの主要行動目標を設定しております。
 例えば、B-4-1では、侵略的外来種とその定着経路の特定という目標に対応するため、侵略的外来種リストの作成をすること。これは、昨年度から外来種ブラックリスト、仮称でございますけれども、この検討を進めているところでございます。このリストでは、現在法規制のないものも含めて生態系等に影響を与える種をリストアップし、掲載種について利用状況や分布定着経路の情報を付加するとともに、広く国民にも呼びかけて、外来種対策の基礎的資料として活用する予定でございます。侵略的外来種リストの作成とリストの種の定着経路に係る情報整備も行っていく予定です。
 また、B-4-2では、防除の優先度の考え方の整理、計画的な防除等の推進、各主体における外来種対策に関する行動を促すための外来種被害防止行動計画(仮称)を策定するものを掲げております。これについても、昨年度からの検討で、2020年までの我が国の外来種全般に関する中期的な総合戦略として位置づけたいと考えております。
 続きまして、国別目標B-5に移ります。これは、愛知目標の個別目標、サンゴ礁など気候変動や海洋酸性化に影響を受ける脆弱な生態系への人為影響を最小化するに対応するものとして、2015年までに、サンゴ礁・藻場・干潟・島嶼・高山・高山地域等の気候変動に脆弱な生態系の健全維持のため、その生態系は悪化させる人為的圧力等の最小化に向けた取組を推進するというものを設定しております。主要行動目標をそれに沿って書いております。
 続きまして、戦略目標Cの下では、国別目標C-1、これは、愛知目標の目標11、陸域17%、海域10%が保護地域によって保全される。これに対応するものとして、C-1では、2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また、沿岸域及び海域の10%を適切に保全管理するという目標を設定いたしました。この下では、四つの主要行動目標を設定いたします。C-1-1では、COP12における愛知目標の中間評価までに保全と管理の状況を把握するための手法、ベースライン及び現状を整理いたします。また、例えば、ベースラインの対象となる地域を整理し、GISを用いて重複を除いた面積を明らかにし、ベースラインを設定することを想定しております。そのほか、2、3、4では、C-1の下の行動目標では、周辺地域の連続性も考慮した生物多様性の保全に寄与する地域指定、保全管理、生態系ネットワークの形成、重要海域の抽出等を主要行動目標として設定しております。
 続きまして、国別目標C-2でございます。個別目標12の絶滅危惧種の絶滅減少の防止。また13、作物・家畜の遺伝子の多様性の維持、損失の最小化に対応するものとして、設定をさせていただいております。この下には五つの主要行動目標を設定しております。
 続きまして、戦略目標Dの関連では、国別目標D-1、これは個別目標の14、自然の恵みが提供され回復・保全されるといった愛知目標に対応するものとして、2020年までに生態系の保全と回復を通じ、生物多様性及び生態系サービスから得られる恩恵を国内外で評価する。特に、里・里山における自然資源の持続可能な利用に関する重要性が認識され、各種取組が行われるというものを設定するとともに、六つの主要行動目標を設定いたしました。主要行動目標としては、森林整備・保全の推進、農村環境の保全・利用、里山イニシアティブの国内外における推進、東日本大震災からの復興、里海づくり、ユネスコエコパークを活用した新たな施策展開の検討を記載しております。
 国別目標D-2は、愛知目標の個別目標15に対応するものでございます。ここでは、2020年までに劣化した生態系の15%以上の回復を含む生態系の保全と回復を通じ、生態系の回復能力及び二酸化炭素の貯蔵に関する生物多様性の貢献が強化され、それが気候変動の緩和と適用に貢献するという目標を設定いたしました。この下では三つの主要行動目標を設定しております。
 国別目標D-3は、愛知目標の16、2015年までに名古屋議定書が国内法制度に従って施行・運用されるに対応して、可能な限り早期に名古屋議定書を締結、遅くとも2015年までに国内措置を実施することを目指すといったことを設定しております。二つの主要行動目標をこの下に置いております。主要行動目標としては、早期締結、議定書に対応する国内措置の実施、そして、目標16の世界的達成に向けた国際協力を掲げております。
 最後に、戦略目標Eの関連ではE-1、これは、愛知目標の17に対応するものとして、国家戦略に基づく施策の総合的計画な推進を図る。また、この17の達成に向けた世界的な取組が進展するよう支援・協力を行うということを設定いたしました。この下には、我が国の生物多様性国家戦略の見直しを行うことですとか、世界全体での達成に向けた国際協力について行動しようと、行動目標を設定しています。
 最後、E-2では、愛知目標の18、19、20に対応するものでございます。この下では、六つの主要行動目標を設定し、伝統的生活文化の知恵や資源利用技術の再評価、また、提唱、活用の推進、データ整備、科学的支援の充実、生物多様性総合評価の実施、IPBESへの参加・貢献等々、また、資源動員状況の把握等を掲げております。
 以上で第2部の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、第3部に移ります。冊子では、白表紙の方では117ページ以降になります。
 ここでは、今後5年間の政府の行動計画として、第2部で示したロードマップの実現をはじめ、生物多様性の保全と持続可能な利用を実現するため、約700の具体的施策を記載しました。今回新しく記載している施策は約80ございます。生物多様性が有する価値の普及啓発ですとか、里山イニシアティブに関連した活動の支援の促進、また、三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興プロジェクトなどがこれに含まれます。
 施策の達成状況を分かりやすいものとするため、可能なものについては数値目標、これは、必要に応じて目標年次等を記載して、約50、この中には含まれております。これを設定するとともに、数値目標を掲げないものについても、施策の進捗状況が分かるように、現状値、これは、この中で約130の現状値を記載しております。構成は、先ほど御覧になっていただいた資料2の裏の方に目次がございます。国土空間的施策、横断的・基盤的施策、東日本大震災からの復興再生の3章から構成しております。冊子では250ページからになりますけれども、新たに第3章というものを設けて、東日本大震災からの復興再生に関する生物多様性関連施策と今後の自然共生社会づくりに向けた施策についても記載をしております。
 また、第2部に示した我が国の国別目標と、第3部との関係を白表紙のこの冊子の中で118ページと119ページに、第2部と第3部の関係を表に示してございます。時間の都合上、個別の施策についての説明は省かせていただきます。
 最後に、お手元の資料5の表紙にございます国家戦略の表題でございますけども、これを御覧になっていただければわかるとおり、事務局としては、ほかの国の状況も踏まえて次期国家戦略の計画期間を明記するということで、「生物多様性国家戦略2012-2020」としたいと思っております。また、副題をつけさせていただこうと思っておりまして、「豊かな自然共生社会の実現へのロードマップ」、そういった副題をつけさせていただけたらと思います。これらにつきましても、後ほどの御議論の中でご意見があればいただければと思います。
 以上で国家戦略そのものに対する説明を終わらせていただきますが、最後に、資料6を御覧ください。この改定案は、7月にまとめたパブリックコメント案に対する意見を整理したものでございます。これは、1カ月間、7月から8月にかけて意見募集をして、この冊子の最初のページにございます意見提出数は169件、個人が128、団体41で、延べ意見数は1,272件ございました。いただいた意見の対応案については、次のページからそれぞれ細かく記載しておりますが、時間が限られていることから、説明については省略させていただきます。ただ、この一覧表の中で、一番右の欄に丸が付いているものについては、御意見を踏まえた修正を原案に対して加えさせていただいております。314件ございますので、いただいた御意見1,200余りのもののうち、約4分の1は意見を踏まえて本文を改定させていただいております。
 そして、最後に資料7の方をご覧ください。資料7に、生物多様性国家戦略改定案に関する説明会を全国8カ所で開催した結果をまとめております。これは7月7日から19日にかけて開催して、約600名に参加していただいております。全国説明会に対して、事前に提出のあった意見及び説明会当日に発言のあった意見の概要が資料7の方にまとめおります。こちらの方も時間の関係で説明を省略させていただきますが、各会場とも非常に多くの皆さんに熱心に御意見をいただいたということを、この場を借りて御報告させていただきたいと思います。
 長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。

【武内合同部会長】 どうもありがとうございました。
 質疑応答に入る前に、星野審議官が来られましたので、ちょっと短く御挨拶をどうぞ。

【星野大臣官房審議官】 恐縮でございます。以前は野生生物課長、そして、自然環境計画課長をさせていただいておりました星野と申します。8月10日まで1年4カ月、九州地方環境事務所長をしておりました。10日付で大臣官房審議官、自然環境局担当となりましたので、よろしくお願いいたします。

【武内合同部会長】 それでは、これから皆さんからの御意見、御質問を承りたいと思います。次期国家戦略は、先ほど御説明ございましたように3部構成になっておりますので、御意見については、それぞれの部ごとにいただいて、議論を進めさせていただきたいと思います。
 それで、一応皆さんに質問をいただいて、あるいは、御意見をいただいてから、最後に、事務局の方でまとめて御回答いただくということにさせていただきたいと思います。
 大変たくさんの人数で、私の事務処理能力を超えておりますので、とりあえず少し時間をいただいて、札を立てていただきまして、事務局の方でそれをチェックしていただいて、私はそのチェックに基づいて皆さんを指名させていただくと。その間に、また質問がある方は、第二ラウンドでということでやらせていただきたいと思います。だんだん目が悪くなってきて、左右ちょっと、もう名前もよく判別できないものですから、そのようにお願いしたいと思いますので、どうぞ札をお立ていただきたいと思います。それから、時間も限られておりますので、御意見、御質問は手短に簡潔にお願いしたいと思います。
 私があまりそういうことを申したので、何か少し札が立てにくくなったという雰囲気があるのでしょうか。どうぞ札をお立てください。今は前文と第1についてでございます。
 それでは、田中委員、お願いします。

【田中委員】 どうもありがとうございます。全体的なことに関係するのかと思うのですけれども、私は、この国家戦略というものと、それから、生物多様基本法との関係、これは、前回の生物多様性戦略2010をつくるときにもちょっと御意見を述べさせていただきましたが、この生物多様性国家戦略というのは、環境基本法の中の第2章の第11条で定義されているものです。これは、いわゆる基本法に基づいた基本計画に相当するものであるという位置づけになっております。この基本計画をつくるということは、かなり実現可能性がどうであるかということを十分踏まえた上でつくられていくものではないかなという気がしますが、この国家戦略2010の時もそうでしたけれども、非常に膨大な内容が含まれていまして、本当にこれが実施可能なのかというところに少し疑問があるということです。
 それは、一つは、この冊子のネーミング、これにも関係してくるのではないかと。今回、この国家戦略、2012-2020という期間を入れてあるわけですけれども、これは、今後見直しをする上で非常に障害になってくるのではないか。今後8年間、この戦略を見直さないでいくことができるのかどうかということが。私は、この2010をつくったのは、基本法に基づく第一次生物多様性の基本計画という位置づけだと思うのです。そうしますと、今回のこれは、第二次生物多様性基本計画という位置づけをもっと前面に出していただきたい。そうしないと、専門の人も、それから、行政を担当している人も、その辺の位置づけが非常に分かりにくいものになる。先ほど、2ページにある27行目にスターがついています。私も、パブリンクコメント用の案をいただくときに、このスターは一体何を意味するのかということが疑問にありました。先ほどの御説明で、副題をつけたいと。副題をつくられるのは結構だと思いますが、それより重要なのは、これの表紙に第二次生物多様性基本計画というのをきちっと明記していただきたいというのが私の意見です。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 それでは、マリ・クリスティーヌ委員、お願いします。

【クリスティーヌ委員】 3部構成というものに対する見え方というのがちょっと見づらいような感じがいたします。例えば、愛知目標の中で、いろんなゴールや目標っていろいろあるわけなんですけれども、例えば、まず最初のB-4という、冊子で109ページなんですが、ここでは、日本の戦略としてその外来種のリストをつくるといったときに、このリストというのがどういう形で出てくるのかということが非常に気になりますのは、例えば、魚釣りの好きな方は、アメリカのブラックバスはある意味では外来種で非常に環境に良くないと言われているので、それもリストに取り上げていく時に、じゃあ、一般の釣り人の方々はこれを見たときに、これのリストをつくって、そして、なくす方向にいくように日本が動くのかとか。
 もう一つは、目標の14ですか。113ページのD-1の中で、本来ならば、D-1-4の部分に対しては、やはり女性のニーズというのが本来のターゲットに出てきているのですけれども、日本の方は女性というのが全くここに出てこないで、地元に住まわれているローカルな農業を営んでいらっしゃる女性たちや過疎に近いような地域の女性たち、又は、弱者の方々に対して、何もここをうたっていないわけなんです。
 それと、この愛知目標の中で一番重要とされている中で、一番恐らく動きが必要とされているE目標のところの17、18、19、20が、もっと重みのあるものが、こんなに短く簡潔にされてしまっていて良いのかしらという解釈なんです。ですから、英語の部分に関する、それも、ちゃんとした国際的に受けているほかの国々の解釈と日本の解釈が、こういうところでずれてしまうのではないかというふうな認識があるので、そこのところをもう少し具体性があってもいいのではないかなというふうな気がいたします。
 それともう一つは、目標の中で、ごめんなさい、探すのが大変なんですけれども、サンゴや海のこともあると思うのですが、事業主というのでしょうか、この生物多様性に関してきちっとやってくれている団体というのは、私はもっと表彰されるべきだと思うのです。サンゴや海のことをたくさん書いてあるのですけれど、バラスト水問題というものの中で、例えばそのバラスト水についてきちっと処理している船会社とか、そういう運送会社に関しては表彰して差し上げて、それで、こういうことを実施していた上において表彰することになりますと、一般の国民に分かりづらいということもここに書いてあったと思うのですね、どこかの場所で。もっと一般の方々に分かりやすくするためには、何でこういう企業やこういう団体が表彰されるかということをうたって差し上げると、一般の私たちみたいな良く分からない者についても、バラスト水というのはこういうふうにして他の地域の微生物を持ってきて、自分の地域のいろんな種に対して害を与えるものをこういうふうにちゃんと解決したのだと。例えば、日本がそういうものに対する世界的な賞を出すとか、そういうことにおいての何か見える形での、生物多様性は何なのかと言葉で、みんなに、私たちに言っていただいて、理解はできますけれども、誰も座ってじっくり聞く機会がないわけですから、こういう生物多様性賞とか、何かそういうことも含めて、何かどこかで出せることができればいいなと。
 それでこの3章を、もしできるならば、各ターゲットの下のところに書いていただいた方がもっと分かりやすいので、もちろん、災害については別の章でいいと思うのですけれども、もっと整理していただけると分かりやすいかなという感じがいたしました。

【武内合同部会長】 どうもありがとうございました。
 最初の田中委員からの御指摘の点で、他の皆さんにも御意見を伺いたいと思いますが、これまでの経緯を簡単に振り返りますと、1995年に、法定計画ではない生物多様性国家戦略を策定したということです。そして、その後2002年3月に、その国家戦略を大きく見直して新生物多様性国家戦略を策定したと。さらに、2007年11月にそれを更に見直して、新たに第三次生物多様性国家戦略というのを閣議決定したと。この中には、地球温暖化による危機というのを位置づけたというふうなことだったというふうなお話ですね。それで、2008年にはCOP10が開催されるということで、先ほど来御説明のあった生物多様性基本法が制定されたということも受けて、初めての法定計画として生物多様性国家戦略2010が閣議決定されたと。そして、愛知目標等のCOP10の成果を踏まえて今回の改定ということで、事務局の原案としては生物多様性国家戦略2012から2020という愛知目標の短期目標に合致する期間での期間を明示するということで、これは他の国もそういうふうなことを類似の試みをしているのでということに対して、それはまずいのではないかというような御意見だったと思いますけれども、この点について、表題も含めていかがでしょうか。他の委員の方は。

【辻本委員】 ちょっと振られて、私のこのものに対する話ということではなくて、今の話なんですけれども、法定計画としての国家戦略だという御指摘があって、手続がどうなっているのかということも、もし違うのであれば、いわゆる今までそれ以前の国家戦略と法定計画としての国家戦略という中で、手続が違うのかということについてもお教えいただきたいということ。
 それから、基本法に基づく基本計画であるなら、やはり、それは明示したほうが、私はいいというふうに思います。国家戦略を次々につくってきたという歴史の中で、それが基本計画になったということもしっかり明記して、今回のものはいわゆる法定計画なんだということをやはり明記すること。それから、手続がどう違うのかも、これは質問なんですけれども。それから、今後どのように計画期間と基本計画というものに対し対応していくのかということについても、少し議論しておく必要が。私もあまりその辺の詳しいことを知らなくて、国家戦略の2020という形で、小委員会で議論していたのですけれども、その辺をやはりもう一度明確にしておかなければいけないことだという気がいたします。

【武内合同部会長】 それでは、事務局の方から。

【生物多様性地球戦略企画室長】 お手元の国家戦略前文の2ページの下の方を御覧になっていただきたいと思うのですけれども、この中で、国家戦略のこれまでの経緯。まず、2ページの38行目から、もともとはこの最初の策定は、条約の第6条というところ、条約本文はお手元の2010の冊子の327ページからでございます。この6条に書いてあるのですけれども、各国が生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家的な戦略もしくは計画を作成するということが義務づけられているわけでございます。それで、それを受けて、我が国は戦略を改定しているということで、実は、この冊子も一つには条約に基づくものであるという位置づけが一つ。
 それから、その後、39行目に書いてあるように、2008年に基本法が施行されてからは、その基本法に基づく政府の基本的な計画として策定されることになりましたということは明確に書いてあって、3ページ目の下の方に歴史的な定義、それぞれどういう形でやってきたかということを書かせていただいております。
 それと、あと、お手元のこの冊子に、基本法の321ページについても条文がございまして、基本法の第11条では、「政府は基本的な計画を定めなければならない」と書いて、(以下、「生物多様性国家戦略」という)ということで、名称そのものは法律で生物多様性国家戦略と言うということが明記されているというところが、仕組み上はそういうことになっております。
 それと、先ほどの御質問にありました閣議決定がいつからという話に関しましては、ここにも書いてありますが、お手元の「命を支え合う」という冊子の22ページにこれまでの経緯が書いてございまして、これで申し上げますと、実は、最初の国家戦略の決定そのものは、政府部内で、95年は閣議決定をしておりません。それから、2002年の3月には閣議メンバーとほぼ同じメンバーによる地球環境問題に関する閣僚会議というものがございまして、そこで決定をしたというのが2002年の新生物多様性国家戦略でございます。そして、初めて閣議決定を行ったのが2007年の11月ということで、このときから閣議決定をするというプロセスはもう始まっていて、実際には、多分基本法をつくった時に、そこまでの手続、プロセス、そういったものがあるので、これを逆に基本法に位置づけようということで、基本法で新たなものをつくり出したというものではないという認識をしておりまして、おっしゃるとおり、法律に基づくものとしては第二次になるのですけれども、こういった流れの中で中身も改定、改定で、特に、第三次生物多様性国家戦略と国家戦略2010というのは非常にマイナーチェンジのものになっているものですから、2008年をスタートという形にするのは、法律的には確かにそのとおりかもしれないのですが、これまでの経緯を踏まえると、ちょっと一般の方々にも少し分かりにくくなってしまうのではないかなという懸念があって、今回あえて、他の国の計画も、特に愛知目標を踏まえて改定をしなさいということが各国に条約上求められているというところもあり、愛知目標ができた後の我が国の計画の名称も調べたのですけれども、多くのところがターゲットイヤーである2020年を書くか、策定した時期から2020までの計画という、こういう名称を使っていることから、今回この名称を御提案させていただいたということでございます。

【武内合同部会長】 他の質問に対する回答もあわせてお話しいただければと思います。

【生物多様性地球戦略企画室長】 それと、見直しそのものについてのプロセスについての御質問があったかと思いますけれども、見直しそのものも、まず政府の中での点検という作業を行うことによって、その進捗状況を踏まえてまた案をつくって、基本的に、これは前文の中の4ページの26行目から書いてありますが、点検と見直しのプロセスというのは、広く国民の意見を聞いて中央環境審議会にも報告いたしますということで、その審議会からも御意見をいただくということを、ここで明記をさせていただいているところでございます。
 あと、当然、ここに書いてあるとおり2014年、または2015年の初頭に開催される愛知目標の中間評価の機会に、その前後に国別報告を出すということになっております。そういった機会をとらえて総合的な点検を実施して、見直しをするということを考えております。
 あと、マリ・クリスティーヌ委員のほうからご指摘のあった表彰制度についてでございますけれども、この中には実際にちょっと必ずしも明記はしていないのですが、表彰制度については担当のほうから説明します。

【生物多様性施策推進室長】 193ページになりますけれども、生物多様性の主流化の推進の中で、事業者と消費者の取組の推進ということを掲げております。この具体的施策の中の二つ目の丸ですが、環境に配慮した商品・サービスに関する環境認証制度、それから事業活動、生物多様性関係をはかる指標、生物多様性の保全に寄与するすぐれた取組に対する表彰制度など、こういったものを情報発信するですとか、行政も関わっていくといったことで、事業者のすぐれた取組を促していくということもここで記載させていただいております。

【生物多様性地球戦略企画室長】 あと1点でございます。それと、先ほど、世界目標との関係性が若干世界目標そのものを受けていないのではないかという御指摘だったかと思うのですけれども、なるべくそこは分かりやすく対応関係は示しながら、実は愛知目標を決したときの決議の中で、愛知目標というのはある程度各国に対する柔軟な枠組みとして位置づけていこうということで、各国が生物多様性の状況や取組の優先度等に応じて、国ごとに状況に応じて目標を設定し、それを国家戦略の中に組み込んでいくのだという位置づけをされていることから、なかなか我が国としてどこまで書き込めるかというのは、かなり議論をこの小委員会でもしていただいたのですけども、その中で最大限書き込めるところを書き込んで、まだ十分検討が進んでいない部分については、今回、必ずしもすべてのものが愛知目標どおりに書かれたということではないということを、御説明させていただきたいと思います。

【外来生物対策室長】 それから、外来種のブラックリストの関係でございますけれども、若干詳しく掲げておりますのは206ページになるのですが、そこの上から8行目でございます。現在、法規制の対象となっていない外来種も含めて侵略性が高いというものについてリスト化をして、普及啓発とか防除に役立てていこうというものでございまして、御質問にありましたブラックバスとかブルーギルなども含めて、既に法律の対象になっております。ですから、今後このブラックリストに掲載しようというものについては、直ちに規制がかかるというものではございません。具体的にどういうものをリストアップしていくかというのは、これから検討していきたいと考えております。

【武内合同部会長】 どうぞ、マリ・クリスティーヌ委員。

【クリスティーヌ委員】 一番申し上げたいことは、COP10の時もお手伝いさせていただいたのですけれども、愛知目標と書いてあるわけですので、やはり、日本の国内の中で、そして、日本が議長国であるところでできたこの目標ですので、私は、一つずつもっと丁寧に示すということは日本の責任だと思うのです。日本が議長国で出されたものに関して、他の国々も大変興味を持たれていると思うので、特に、最後の18、19、20の中ででも、予算をどうやってとってくるのかとか、どのようなところが責任を持つのか、または、そういうことが非常に重要な課題であると思うので、他のところであまりどうでもいいようなところが非常に長く書かれていて、それで、一番重要なところが1行や2行で終わっているというところを見ますと、ちょっと不満だなというふうな感じがいたします。

【武内合同部会長】 今の点はいかがですか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 ちょっと言葉が足りない部分がないかどうかについては、もう一回考えさせていただきたいと思いますけれども、見直しも含めてこの後プロセスがあると思いますので、そういう段階も含めて今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

【武内合同部会長】 それでは、佐藤委員、お願いいたします。

【佐藤委員】 プロセスにもずっと参加させていただいているのですが、今日はちょっとこれを拝見していて、例えば、73ページの社会経済的な仕組みへの組み込みというようなところの記述を読ませていただくと、非常に消極的な表現が多いなという感じが実はしているのです。ある意味では、もうこの生物多様性というのはすごく大きな命題であって、ピンチをチャンスに変える、ある意味ではターニングポイントだと思うのです。以前よりは随分これが浸透してきて、企業の中でも生物多様性というような言葉が出てくるようになりました。でも、ここの読み方をすると、少なくとも経済的負担が大きくないとか、全体的に割と消極的だなという、こういうことをやってもいいのではないですかというぐらいの提案に終わっているような気がちょっとするのです。もっと、実は積極的に、新たな技術開発とかそういうことが可能な分野でもあると思うのです。特に、海洋なんかはそうかもしれません。海辺なんかはいろんなことを、今までも置いていかれていましたけれども、護岸の整備なんかもそうかもしれませんが、いろんな企業なんかの開発を促すような、そういう、さっき表彰制度のようなことをちょっとおっしゃっていましたけれども、記述の中でもそういう前向きな記述ができないものかなという、できたらやってください、こういうことをやったら少しはいいことがありますよという感じなんですが、やっぱりここではもう少し宣言を出していって、新たなところに入って行くのだと、そのための技術開発をもっとみんなでやっていこうじゃないかという、そういう宣言であってもいいような気がするのです。
 ところが、非常に遠慮がちな、環境省としての言えることを言っているという感じなんですけど、ここは受け手がどう思うかはちょっと別としてでも、ある程度宣言をして、頑張るんだという書きぶりにできないものかと。全体のトーンが、この78ページの5のところはトーンが低いというか、消極的だなという気がするのですけれども。ちょっと感じたことだけですけれども。

【武内合同部会長】 それでは、御回答をいただく前に、磯部雅彦委員、御意見をお願いいたします。

【磯部委員】 私は小委員会の委員だったので、全体のトーンについては特に意見はありませんけれども、読んでいて個別的なところでちょっと気になったところを二、三、指摘したいと思います。
 まず、44ページで、12行目に人工海岸と自然海岸の定義ですけれども、汀線に人工構造物がない自然海岸の延長と書いてあって、やはり、読んでいると、汀線というのは線で、岸沖方向に考えれば1点しかありませんから、そこにどんぴしゃ海岸構造物があるのかないのかということでは実は環境省でも定義されていなくて、干潮の汀線と満潮の汀線の間にあるかないかで定義されていると思います。したがって、例えば、正確に言うと、汀線というところは潮間帯ですから潮間帯と書いてしまって、括弧の中に説明で(潮の干満に伴う汀線の移動範囲)とかというような説明をつけて、読んだ時に、ちゃんと読んでくれた人がおかしいと思わない表現にしたほうが良いのではないかというふうに思います。すぐ下にも汀線がありますから、それはもう繰り返さないで、潮間帯というか、「それ」というかにしたらいいのだろうというふうに思います。
 もう1カ所は67ページになります。それで、これは私の中ではやや将来に向けての課題かと思いますけれども、67ページの20行目に塩性湿地という言葉を加えていただいたところがありまして、これは非常に新しい表現の一つだと思います。今までは沿岸域というと藻場、干潟、サンゴ礁と言っていたのが塩性湿地が入ってきたということで、これは非常に適切だと思いますし、入れるべきであろうというふうに思いますので、せっかく入れたのでいろいろなところで統一を図ったらどうかというところで、まず、25行目にも干潟、藻場、サンゴ礁という並びがあるのですけれども、ここがやはり新しく入れたから塩生湿地が抜けていまして、それだったら、この辺りは統一するという意味で入れた方が良いというふうに思います。
 それで、同じページなので、ちょっと違うところですけれども、23行に砂浜、断崖、干潟というのがありまして、これは海がけのことだと思いますが、断崖というと陸でも断崖絶壁ならば断崖なので、これは海のことなので海がけという、コースタルクリフという海のがけ、そういう言葉に置きかえたほうが分かりやすいと思います。岩石海岸のがけのことを意味しているのだと思います。
 それから、30行目で、「沿岸域は津波や高潮といった自然災害を受けやすい地域でもあります」というくだりがあって、実は、その前の干潟とかサンゴ礁とかという地形変化ということを考えると、いわゆる海岸侵食という言葉が、それよりももっと大きな意味合いを持ってきますから、ここは、沿岸域は津波・高潮、更に、侵食作用といった自然災害を受けやすい地域でもありますということで、侵食作用という言葉を一つ入れて。後の方でも、これは総合土砂管理とかいろいろなところにつながってくる概念ですから、ここでもはっきり入れておくべきであろうというふうに思います。
 次のページの68ページの1行目で、現存する自然海岸や藻場、干潟等の浅海域という、ここのくだりが、実は、論理的には私、何かおかしいなという気がしまして。自然海岸や浅海域というのが、どうも並行に並べるようなものではないので、少し表現を変えて「現存する干潟、塩性湿地、藻場、サンゴ礁等の自然海岸を含む浅海域の保全を優先するものとし」ということで、干潟、塩性湿地、藻場、サンゴ礁といった非常に重要なキーワードが出てきて、全体を含む浅海域の保全がまず最優先なんだということを明確に訴えに行ってから、再生・創出もそれでやっていくというようなことで読めるようにしたらどうかというふうに思います。
 以上です。

【武内合同部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、今の磯部委員の御指摘は、大体、そのように受け止めさせていただいて修正すればいいと思いますけれども、その前の佐藤委員の御意見に関して何かございますか。

【生物多様性地球戦略企画室長】 ありがとうございます。確かに、書き方のトーンとして弱いのではないかというのは、御指摘の部分はあろうかと思いますけれども、具体的に今すぐにぱっと……。個別のところでは、ある程度の積極性を持ったものも幾つか書き込んであろうかと思います。役割のところなのでちょっと違うのですけれども、例えば、101ページのところでは生物多様性分野でのイノベーションといったものでの新たなビジネスチャンスだというようなことを書かせていただいたりしておりますので、そういった中で幾つか材料をもう少し洗い出して、そこを含めて何か先ほどの部分のところに反映できるようなことがあれば検討させていただきたいと思います。

【武内合同部会長】 大久保委員、何か今のことに関連して、もし御意見がございましたらお願いしたいと思いますけれども。特に関わりの深い分野だと思いますので、この辺の取組についての書きぶり等です。

【大久保委員】 ちょっとほかのことを考えていたものですから、急なあれであれなんですけれども、いずれにしましても、本当に活動の主体というのは広がってきていると思うのです。その中で、それなりに目標をきちんと持ちながら活動させるような、エンカレッジするような表現には是非してもらいたいと私は思います。
 それから、私も、やや経済界の感じとして保護と利用という問題。保全と利用という部分の一種引っ張り合う感じが、やはりエコロジーとエコノミーの両立を図っていくというところで我々は生きているわけで、そこのところに果敢に取り組みながら持続可能な自然環境の利用というのを、是非、我々としてはやっていきたいということ、その辺りの日本人としての覚悟みたいなものは、何かうまいことうたっていただければ私はありがたいなという感じがしております。

【武内合同部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、一応ここで議論を中断させていただきたいと思います。これから約15分間の休憩として、3時20分から再開をさせていただきたいと思います。それでは、3時20分まで休憩ということにいたします。
休憩 3時07分

再開 3時21分

【武内合同部会長】 それでは、議論を再開させていただきたいと思います。
 今度は、第2部、愛知目標のロードマップについてご議論いただければと思います。第2部は今回の改定の中で大変重要な部分でございますので、御意見、御質問をいただきたいと思います。
 それでは、鷲谷委員、お願いします。

【鷲谷委員】 愛知目標のB-4-2、109ページです。ここの括弧の中に進める省庁名が記されていますが、国土交通省が入っていないことにかなり違和感を感じるので、どうしてか、後で説明していただければと思います。
 なぜかと言いますと、河川局のテリトリーである河川域というのは、侵略的外来種の影響を最も強く受けている場でもあり、また、これまでといいますか、もう外来生物法ができる前からですけれども、河川・水辺の国勢調査や各河川事務所、昔は名前が違っていましたが、アンケート等を通じて現状把握がかなりできていて、対策マニュアルなども改訂も含めて何冊もつくっていますし、COP10の時には一部、英語の抄録版みたいなものも展示していたことがあります。また、そういう対策マニュアルを活用した住民や市民の自主的な外来種対策の活動もとても活発な場というのが河川域なのではないかと思うのです。そういうことを考えますと、やはり、ここには国交省があった方が自然なのではないかと思うのです。抜けていたので。それから、法律などを考えても、河川法は環境というのも位置づけていますので、こういうことに河川局が関わるということは、本来のお仕事としても何ら問題ないことのように思いますので、是非ここに国交省という文字が入るといいのではないかと思います。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 それでは、中静委員、お願いします。

【中静委員】 今回、このような形で愛知目標と日本の国家戦略との関係が明確になったというのは、非常に良いことだというふうに思っています。さらに、指標群まで示していただいたのは非常に良かったというふうに私は思っています。
 その上で幾つか、四つほどちょっと指摘したいことがあるのですが、一つは、個別目標でいいますとA-1というところで、非常にたくさんの行動目標があって、それから、指標群も幾つかやっていただいているのですけれども、例えば、企業の方たちの指標群として一番最後に生物多様性保全取組に対する方針の設定と取組の実施状況というようなことがあるのですが、もっと踏み込んで、1部の方では、例えば、サプライチェーンですとか製品の問題とかも書いていただいているので、むしろ、そういうものを踏み込んで書いていただいた方が、企業で一生懸命頑張っていらっしゃる方が、より企業の取組を推進していただくことになるのではないかなというふうに思っています。
 それから、二つ目は、これは個別目標B-2なんですけれども、どこにそういう行動目標をつけていただいた方が良いのかわからないのですが、農林水産業の持続的な実施というのは、実は国内問題だけではなくて、1部の方には国際的な視野を持ってそういうものに取り組むというふうにせっかく書いていただいているので、例えば、国際的な農林水産業に対しても持続的な取組を推進するような取組を進めていけるようなものを、どこかに書いていただきたいなというふうに思っています。
 それから、3点目は、行動目標で言うとD-2なんですけれども、これの行動目標は良いのですが、例えば、関連指標群あるいはD-2-3の辺りの森林施業のことなんですけれども、これは劣化した生態系の再生に関わる部分ですので、こういう問題もあるのですが、せっかく林野庁さんでやっていらっしゃる広葉樹林化ですとか混交林化というようなものも、こういうものの積極的なやり方として私はとらえていっていただくようなことをしても良いのではないかなというふうに思います。
 それから、4点目は、行動目標で言うとE-1なんですが、E-1-2に地球環境ファシリティーですとか生物多様性日本基金ということを言っていただいているので、本当に良いことだと思うのですけれども、指標群の中にも、やはり日本基金がどれぐらい貢献をしているのかとか、それからGEFへどういうふうに貢献しているのかというのを、実施状況というよりは、むしろ向こう側の評価といいますか、外部評価的なところでの、どのぐらい効果があったのかというようなことがわかるような指標があるといいなというふうに思いました。
 以上です。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 土屋委員、お願いします。

【土屋委員】 ロードマップのところの表現は、それぞれの戦略目標がABCD等であって、その後、国別目標がA-1というように表現されています。さらに、詳しい目標が主要行動目標という形でアルファベットと数字二つの組み合わせで書かれています。私の質問は、どちらかといえば第3部の方に関連するのですが、ロードマップを具体的に施策として表現されているのは第3部なわけですけれども、その関係が118ページと119ページの表にまとめられています。質問は、主要行動目標のA-1-1というようなそれぞれの目標が後の方の施策の方にすべて反映されているかということは確認されたでしょうかということです。
 なぜそんな懸念、心配が出てきたかといいますと、118ページ、119ページの表の下に、「節の施策の中に該当する又は該当する可能性のあるもの」と、かなりあいまいな表現で書かれているので、目標として示しておきながら施策としてはないというようなことがもしあるとすれば、それは何らかの説明が必要かもしれませんし、整合性がとれたほうがいいと思いますので、御確認をお願いします。
 以上です。

【武内合同部会長】 それでは、ただいまのお三方の御意見、御質問に関して、事務局の方でお答えをお願いいたします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 まず、鷲谷委員から御説明のあったB-4の2のところですけれども、これはスペシフィックに外来種被害防止行動計画を策定するというような形で、外来法をベースにした考え方を示しているということで、それを所管している2省に限定して、ここでは特に責任省庁を明確にするというところで書いているので、これ以外がやらないということではないと御理解いただきたいのですが。そういう意味で、個別の施策のところでは207ページの4行目からのところで、先ほど御指摘のあった河川における外来種対策の部分は国土交通省が進めていくということは、ここで明記させていただいていて、実際、B-4-2の主要行動目標を進めるところについても当然、協力をしていっていただけるものと考えておりますので、これは整理論ということで今は入っていないということで御理解いただけたらと思います。
 それから、中静委員の御指摘、まずA-1の行動目標のところで、企業の方々の活動に対して、サプライチェーンとかも含めてそれを支援するようなことがこの中で書き込めないかということでございますけれども、ここのところはA-1-5で包括的な中で含まれているというふうに考えておりますが、実際、これそのもの自体は国が中心にやる目標として進めているものですから、ここにどういう用語で今、言った趣旨をもう少し明確に含められるかどうかについては検討させていただきたいと思います。この中で、例えば、関連指標みたいなところで具体的に何かそういうものを示すことによって、その辺を明確にするということができないかどうかも含めた包括的な検討をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから続いて、Bのところで劣化した生態系の取組のところで広葉樹林化等も含めたお話。御指摘のあったものについて含められるかどうかについては、農林水産省等とも相談をさせていただきたいというふうに思っております。
 それからE-1のところで、多分、指標のところで、もう少し日本基金ですとかGEFの貢献度合いを示すものが含まれないかという御指摘だったと思うのですけれども、これについて、例えば、日本基金を活用しながら、今、世界各国の国家戦略の改定みたいなものの能力向上の支援のワークショップを開いたりと、そういったことを行っておりますので、そういった具体的なデータとして何か見えるものができないかということは検討させていただきたいというふうに思います。
 それから、最後に、土屋委員のご指摘のあったA-1の全体の2部と3部の関係の対応表のところでございます。要は、こちらの方は、それぞれ国別目標だけで対応関係を示しているところでございますけれども、行動目標との関係がきちんと対応しているかどうかということを検討したかという御指摘でございました。こちらの方は、700の施策がそれぞれ行動目標にどう対応し得るかどうかというのは、すべて一応検討しております。ただ、実際には、直接的に関係するものとか間接的にとか非常に複雑な相互関係があるということで、こういう形で表に全部を示すということは難しいということと、それが本当にそれにダイレクトにいくかどうかというところの検証も十分、現段階で整理が難しかったものですから、ここでは可能性のあるものという、ややあいまいな表現にさせていただきました。ですから、直接的なものとか間接的なものという、そういったところを問わなければ、まさに該当するというお答えになろうかと思います。
 以上でございます。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 それでは、引き続いてマリ・クリスティーヌ委員、お願いします。

【クリスティーヌ委員】 すみません、今の経済、事業者と、あと、生物多様性についてのことなんですけれども、もしかしたら私の解釈が間違っているのかもしれないのですが、私は、環境省というのは、ある意味では、私たち国民が最後に私たちの国土をちゃんと保全し、そしてきちんと守ってくれる駆け込み寺的なところだと思うのです。例えば、大きな開発があったりとか企業が入ってきて、今回、生物多様性会議の中でもABSというのがはっきりと明示されたわけですから、やはり、そうやって発展途上国の中で弱いものが搾取されないためのABSでもあって、均等的に彼らの利益が分配されて、そして彼らも私たちと同じような生活を将来的にできるような状況づくりの中では、非常に大事な今回の手当てができたと思うのです。
 その中で、今のいろんな議論の中で、経済というものをここの中に引っ張り込んでしまったときに、やはり、ある意味では、私たちが何かがあったときに環境省にお願いをして、私たちの環境を破壊されたくありませんと。それが大手企業であったりいろいろなビジネスであったりする中で、例えば、幾つかのターゲットの中でも、農業が異常に農薬を使って、そして自然体系を壊してしまった時に、結局、事業主が農業をやっている企業家であるわけですから、それをどこで止めるかということになるわけですので。目標の中にはビジネスに対する項目はないのです、20項目の中に。むしろ一緒になって環境や生態系をきちんと保全していきましょうという保全していく上のプロセス、ここを企業として考えていくステークホルダーの1人としか見ていないので、潤うためのステークホルダーというふうな認識ではないと思うのです。
 例えば、今、速水さんが戻ってこられましたけれども、林業を営んでいる方々があまりにも森を伐採しないことによって自然が破壊されてしまうことがいけないので、ちゃんと保全していきましょうとか、あと農業をやっている方々の農薬の使われ方も含めてそうなんですが、ターゲットというものをきちんと、私は、日本が忠実にやることにおいて、企業を妨げることではないと思うのです。ただし、これは別なディメンションでやっていかないと、今回のハイデラバードのCOP11に日本が参加する時に、日本はこういう素晴らしいものをつくってこられたのだと、だから私たちも日本に学んで、私たちもこういうことに参加していきましょうという一つの見本をつくっていただきたいなと思いますので、そういう点では、ターゲットとか目標というものを拡大解釈するのではなく、むしろ、もうちょっと忠実にいろいろな形で。
 日本の昔からある里山の生活というのがどれだけ持続可能であったか、循環型で。例えば、漁業をし過ぎないで持続可能なということをうたわれている中で、では、企業としてみれば魚をたくさん取ってたくさん潤いたいわけですから、こうやって持続可能な漁業の仕方をしましょうということをターゲットとして言われている中で、そうではないポイントが出てきたりすると非常にやりづらいのではないかなと思いますので、そこのところを少しバランスよく、バランスよくというか、一つ統一していただきたいなと思うので、どちらなんですかと。COP10でビジネスするのですかと、それともCOP10というのはちゃんと日本の生態系を守ってくれる、そして生物多様性をちゃんと守れるような仕組みづくりをして、仕組みづくりをちゃんとすることによって地域が潤うような仕組みになり得る可能性があると思いますので、そこのところの統一性をつくっていただけたら良いのではないかなという感じがいたします。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 石井信夫委員、お願いいたします。

【石井(信)委員】 ありがとうございます。第2部に関連指標というのが出てきます。実際の関連指標群を見ると、全般的なものと、それから、かなり個別具体的なものとが出てきます。それで、例えば、外来種に関して言うとマングースの数が指標の一つになっていて、防除が進んだおかげで効果が出ているかということはヤンバルクイナで測定するというような個別的な事例も出てきます。この関連指標群をざっと見ると、いずれも必ずしも網羅的にリストアップされているというわけではないと思います。第2部の一番最初のところ、104ページのところに関連指標を示しますと、ただ簡単に書いてあるのですけれども、ここに示した指標は全般的なもの、必ず挙がってくるような指標と、それから事例として主要なものとして挙げてあるものというようなことがわかるような説明を加えていただきたいということと、ここに挙がっている指標も、そういう視点で全般的なものと個別事例的なものが分かるような示し方ができればしていただきたいなと思いました。
 最初に言い忘れましたけれども、このような指標で施策の効果というのを評価するというのは、とても良い試みだと思いますので、その点についてはとても評価できると思います。その上で今のようなことを考えましたので、御検討いただければと思います。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 高村委員。

【高村委員】 すみません。ありがとうございます。愛知目標の達成というのは、全体として、やはり生物多様性の損失が具体的に止まらないと、どうしようもないわけです。20もありますから非常にわかりづらいという面もあるし、あとは目標の中には緊急性が非常にあるものと比較的長期で考えていけるものというふうなものがあるので、損失を止めるためには緊急性のあるものというのを優先的に力を入れて、この中でもやっていかないといけないのではないかと。ちょっと私は今、初めて読ませていただいたので、あまり的を得ていないかもしれないのですが、分かりにくいというか、並列的に書いてあるので、少し、その辺のめり張りの点が1点と。
あと私の研究所でもそうですし、S-9の戦略枠でも、今、研究者の方も頑張って指標づくりとか評価とか、そういうふうなことを一生懸命やっています。それで、これは2012から20ということで、その間に、きっと大きな極めて科学的知見を提供して、環境省の方に頑張っていただいて、それなりの施策にどんどん取り入れていただきたいようなことというのが出てくると思うのです、この期間に。今、2年ほどやっていますけれども、結構、みんな頑張ってやっているので、それぞれ成果、科学的な良い指標ですとか、ここを戦略的に保全すると良いとか、目標に合わせたような科学的データを一生懸命つくっているので、そういうふうなことを何か盛り込めるとか関連する指標の中に途中で入れ込めるとか。これはきっと古くなってしまうのではないかなというような気がしたのですけれども、その辺のところを教えていただければと思います。

【武内合同部会長】 それでは、今、いただいた3名の御意見、御質問に関して、お答え願います。

【生物多様性地球戦略企画室長】 まず、最初のマリ・クリスティーヌ委員のお話でございますけれども、御懸念する部分の問題というのが一部の地域でいろいろあるというのは承知をしているところですが、我々の理解としては、当然、生物多様性条約の議論の中でも、例えば、COP10においても決議の21というところでビジネスと生物多様性の関係、また、その連携を図っていくことの重要性という決議がなされているといったことから。あと、この中でも、資源動員というものをどういう形で。資源動員というのは、生物多様性の保全と持続可能な利用に回ってくるもののところに、どういった形でそういうような経済社会システムの中のうまくそこに回していくかというような議論というものがされていったり。むしろ、逆にビジネスであるということだけをもって、それを敵視するということではなくて、まさに生物多様性の保全と持続可能な利用に貢献できるビジネスこそ得をするというようなことで、そういった方向に持っていくことこそが本来、愛知目標の自然共生型社会をつくるというところではないかなということを考えておりまして、そこのところは幾ばくも、この中では基本的にずれていなくて、そういった方向性の中で全体の第1部も第2部もすべて基本的には書かせていただいているという御理解をいただければ、ありがたいなというふうに思っております。
 それから、石井委員の御指摘のあった、まさに指標の中身の性格がさまざまなものがあって、それを少し分けて明確にできないかということとか、全般的なものと個別事情のものということの整理というのができないかという点でございます。確かに、実は105ページのところで指標そのものが必ずしも完全でないというような趣旨のことを19行目以降の段落の中では書き込ませていただいているのですけれども、今、言ったような御指摘の部分についても記述に含めるべきかどうかについては、ちょっと検討させていただきたいと思います。ただ、個別のものをすべて、多分、ちょうど中間的なものもあると思いますので、それを現段階で指標群を色分けするというところは若干難しいのかなというふうに考えておりますけれども、何かしらの形で御指摘の部分について、読む人間が分かりやすくするというところについて手当てできないかについては、検討させていただきたいというように思います。
 それから、高村委員の御指摘のあった、新しいものがどんどんできていくところについて、それを改定できるのかという御指摘ですけれども、それは今、申し上げた105ページのところに明確に書いてありますが、23行目から24行目以降のところ、まさに的確に反映し、社会経済の状況に即した適切なものとなるよう見直しや充実を図っていくということを、ここで書かせていただいておりますので、総合的な点検なり見直しの時には、新しい知見のさまざまなものが出てくれば、そういったものを入れながら。それから、先ほどの石井委員の御指摘のような整理の悪いところについても、さらに分かりやすい、また不足している部分の指標がないかどうかも、総合的に検討していきたいというふうに考えております。

【武内合同部会長】 よろしいでしょうか。
 今の最後の点ですけれども、社会経済的な状況の変化に応じて見直すというのもあるけれども、科学的な知見の蓄積に伴って見直すというのは明確に書いてあるのですね。

【生物多様性地球戦略企画室長】 個別、国別目標の第2部のところについては、そこはちょっと今、明確には書いていないかもしれないので、それを加えるべきかどうか検討を……。

【武内合同部会長】 今の御指摘は、そういう趣旨だと思いますので。私も、特に、世界的にはIPBES、国内的にもいろいろな取組の中で、指標に関わる科学的知見が蓄積されれば、目標とか、あるいは具体のアクションプランを変えていくということは、当然、柔軟に対応すべきだと思いますけれども、その点は明確にしておいていただけるとありがたいと思います。
 それでは、第3部、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する行動計画について、御検討をお願いしたいと思います。御意見、御質問のある方は、名札を立てていただきたいと思います。それでは、三浦委員。

【三浦委員】 第3部というわけではなくて、全体を通して御検討いただきたい要望を2点ばかりしたいと思いますけれども。第1点は55ページにあります生態系サービスの自然共生圏の認識ということで、生態系サービス機能を浸透させるという観点からいうと非常に大切な概念だろうというふうに私は思います。いただきました別紙1を見ますと、二つの地域で生態系サービスが提供され、あるいは都市からは資金、人材などを提供すると。基本的には、これは生産と消費の非常に抽象的な概念をうたっているわけで、そういうことからすれば、この概念をやはり個別具体化していくというステップを踏み出していくということが非常に重要なのではないかなというふうに思います。これに関連する事柄というのは、例えば、里山イニシアティブであってみたり、それから生態系ネットワークであったりといったようなものが、そういうものに入っていくだろうと思います。
 それから、もう一つ重要だと思うのは、ユネスコの生物圏保存地域というのがページ数にすると結構入っていて、象徴的には131ページの生物圏保存地域ということになって入っていますけれども、生物圏保存地域というのは、これはMABですから、人間と生態系の利用と保全という意味で、現在、文部科学省を中心にしてやっていますが、屋久島だとか大台ケ原、白山、志賀高原とか。これ、実は学術的に原生的な地域を保存するという意味なんですけれども、実際には、世界の趨勢でユネスコのエコパークというのが、これは非常に人間の利用も含めて、それから、その地域地域の生態系の保全も含めてという、かなり、この概念に近いものを推進している枠組みですから、ぜひ。ここに書いてありますが。少し狭過ぎるという、今のやり方でいっていますと。これは、エコパークというのを地域ごとにも、それから全国的にも拡大していくという取組が具体的に求められていくのではないかなという観点から、ぜひ、文部科学省とも相談しながら大きく踏み出していただきたいというのが一つです。
 それから、もう1点ですが、昨日の新聞にもカワウソが絶滅したということで環境省が宣言したということがありました。それで、これは生物多様性の条約の中の確か9条に生息域外保全というのが入っていて、先ほどの議論をしていますと、これが法定計画になったかどうかというのが6条にあって、9条には、条項が少ないほど重要かということは関係なく、かなり前の方に生息域外保全をやるということは国の義務になっているということです。このことが、先ほどの話と同じなんですが、生物多様性基本法の中に計画をつくるというのは入れてあるのですが、生息域外保全、つまり修復して再現するということは基本法の中に入っていないのです。そういう点で言いますと、私は現在のトキやコウノトリも含めて、それからイリオモテヤマネコ等の取組も含めて、今のところ種の保存法でやっていますけれども、もうちょっと大きな枠組みに拡大していったらいかがかなというふうに思っています。具体的にはカワウソが、生物相の大きな要素を無くしたわけですから、それに今後、どう取り組んでいくのか。少なくとも、調査ぐらいは始めていっていただきたいなと。種の保存法で絶滅が起こった時にも、そういう取組にシフトしていくのだということ、移行できるような法的な整理というのをやっていただきたいなというふうに思います。

【武内合同部会長】 それでは、石井実委員、お願いします。

【石井(実)委員】 ありがとうございます。150ページの辺りなんですけれども、生物多様性保全に配慮した農業生産という辺りで、ちょっと2点ほどコメントさせていただきたいと思います。
 150ページの部分は農薬の使用等について一般的な話が書いてあるのですけれども、最近、困ったことに、ネオニコチノイド系の農薬が世界的に重要になっていて、水田に稲を植えるときに、まず苗を育てる苗箱の中に投入して稲の植物体の中に吸収させて、それで、そこにつくウンカ等を防除するということなんですが、それが意外なことに根から微妙に水田の中に漏れていって、日本の固有種であるアキアカネ、赤とんぼの歌になっているアキアカネですけれども、これの激減を引き起こしているのです。それ以外にもかなり影響の範囲が広いと思われるのですが、ネオニコチノイド系の農薬の使用について少し配慮するというコメントというのですか、そういう内容を記載していただけたらありがたいなというふうに思っています。
 それから、これに関わって、ここは農薬の部分だけなんですけれども、150ページの記載、152ページを見ると、今、病害虫管理の中で重要なIPMという概念を書いていただいています。151ページの19行目ぐらいですかね。総合的有害生物管理ということで、これは、考え方としては、いろいろな手段を使って収益を最大にするような有害生物の管理ということなのですけれども、日本の研究者の中には、特に水田等の農地において、生物多様性に配慮したIBMとでもいうのでしょうか、総合的生物多様性管理というようなものに踏み込むべきだという主張をする人が増えてきました。そういうことを考えますと、是非とも検討していただきたいのですけれども、IPMという文字のところ辺りに、さらに踏み込んで、「生物多様性に配慮した有害生物の管理」ということについても記載していただけないかということで御配慮をお願いしたいと思います。
 以上です。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 下村委員、お願いします。

【下村委員】 ちょっと今さら構成絡みの話で恐縮なんですが、質問は、最後尾の3章の東日本大震災に絡んだ話です。二つばかりありまして、一つは3章の第2節です。新たな自然共生社会づくりの取組というものなんですけれども、これは被災地を対象にしたものなのかどうかということです。その前の2章の第10節が、そもそも統合的取組ということで、自然共生社会だとかなんとか、そういう話が書いてあって、ここの3章の2節の位置づけが少し。もし被災地を限定するのであれば、そういうふうにタイトルにつけていただいたほうがいいかもしれませんし、10節との整理がどうなっているのかなというのが1点です。
 それから、2点目は、これは第1部との関係でもあるのですが、ここで第3章の第1節、第2節とも基本的考え方というのが書いてあって、取組の方針が書いてあると思うのですけれども、かなり幅広に書いてあるのです。それに比べて、第1部の東日本大震災絡みのところ、いろいろばらけて書いてあるのだと思うのですが、タイトルで出てきているのは45ページの現状の話と、それから52ページの取組に関しての話がタイトルとして東日本大震災が出ているのですが、ここの書き方はかなり限定されていて、影響なんかも割と生態系の話に特化して書いてあるのです。それから取組も割とあっさりと書いてあるのですが、第3部の第3章はかなりがっつり書いてあるのです。恐らく、これは東日本大震災後に出される国家戦略ということで、東日本絡みのところもかなりピックアップされるのだと思うのですけれども、整合性というか、第1部の方にも、もう少し書き込んだほうが良いのではないかなと。例えば、地産地消の問題とか、それから、いわゆる共生型社会の話が第1部の東日本大震災のタイトルのところにあまり触れていない、比較的、触れ方が少ないものですから、そこの整合性をとったほうが良いのではないかなというのが。他にも書いてあるのであれば、それで良いとは思うのですが、質問というか意見に近いものかもしれません。
 以上、2点です。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 白山委員、お願いします。

【白山委員】 全部で四つ、御質問させていただきたいと思っておりますが、まず最初に省庁の並び、責任の省庁の並んでいる順番というのには何か意味があるのかということを。例えば、主たる省庁がはっきりしていて従たる省庁がはっきりしているときは、主たる省庁をゴチックにするとか、何か、そういうことがあるといいのではないかという感じがちょっといたしました。そこを少し御検討いただければというのが、まず一つでございます。
 それから、まず174ページなんですが、一番下の方に農水省様の方で希少な野生水生生物の科学的知見云々というパラグラフがあるのですけれども、これと全く同じ文章が177ページの31行目にもあります。それで、コンテクストが大分違って、漁業に関わることと海洋沿岸の総合的な保全というコンテクストなので、ちょっとこれはいかがなものかという気がいたしまして、工夫をしていただけるとありがたいと思いますが、いかがでしょうかということです。
 それから、238ページでございますけれども、この辺り、いろいろな何々に関する調査研究というふうにずらっと書いてあるのですが、なぜか森林に関することだけは技術開発だけ書いてありまして、調査研究はしないということなのかと思ってちょっと心配になりましたので、これにつきまして御検討いただければと。あるいは、何か理由があれば、それでも結構かと思います。逆に、ずっと拝見していて、技術開発という観点があまり記載がないような印象を持ちました。どちらかというと、今後は、そういう技術開発というのもサイエンスとしては十分に進めるべきもののような気もいたしますが、いかがでしょうかということで、御検討いただければと思います。
 最後に、212ページ辺りにエコツーリズムのことが書いてあるのですけれども、ここにはエコツーリズムを特出しで書いてございますが、全体としては、ここにぽつんと出てきているだけのような感じの印象を持ちます。最近、実は、オーシャン・ヘルス・インデックスというのがあるサイエンスの論文に出まして、その中でエコツーリズムがかなり重要なファクターに入っていて、日本は100点満点で1点なんです。この点数が悪いために、世界のランキングも大分低いということになっている。海域に関してですけれども。この国家戦略の小委員会で検討しているころには、そういうことは情報としてなかったのですけれども、実は意外に大事なんだということは、国際的な目からはそういうことがあるようですので、少し見直ししていただけるとありがたいなということでお願いしたいと思います。
 以上です。

【武内合同部会長】 次に、小菅委員、お願いします。

【小菅委員】 先ほどの三浦委員の域外保全に関する意見にプラスして私の意見を述べさせてください。198ページのところに生息域外保全の話が出てくるのですけれども、本当に、もう少し私は域外保全に力を入れるべきだというふうに考えております。今回、カワウソが絶滅したということを環境省の方で宣言されましたけれども、30年前から目撃情報が無いということで絶滅を迎えたということを環境省が認知したということだろうと思うのですが、そうすると、30年間の時間のラグで、本当に絶滅させてしまったという実感が無いまま、ただただ絶滅を迎えてしまったというふうにとられてしまうと思うのです。私は、域外保全の部分に関しては、その生物種がどのような状況になったときにスタートさせるべきなのかということを明確にすべきだと思います。
 それは種によっていろいろ違うでしょうけれども、モデルケースみたいなものをつくって、例えば、生息域がこのぐらいに減少してしまったらどうするかとか、それから個体数がこのぐらいになってしまったらどうするか、そういうようなモデルケースをつくって、そこで、では、域外保全をスタートさせるのはこの時点であるということを今まで絶滅させてしまった種についてしっかりと検証して、その結果をもって、まさに絶滅危惧種に対して対応していくという必要があるのではないかというふうに考えます。
 以上です。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 それでは次に、中静委員、お願いします。

【中静委員】 1点だけなんですけれども、第2部とも関連するのですが、E-2-1の主要行動目標に「伝統的生活文化の知恵や資源利用の技術を再評価し」というような主要行動目標が掲げてある、このこと自身は非常に良いことだと思うのですが、第3部で、具体的な施策というのがアクションプランとしてどういうところに表れているのかというのが明示的でないなというふうに思っていまして。例えば、ここに文科省と書いてあるので、あれですけれども、文科省だとすると教育の面でも生かせるでしょうし、名勝とか天然記念物とか文化財の面でも生かせるのだろうというふうに思いますし、あとは農水省なんかでも145ページには世界文化遺産の風景林の管理でそういうものを生かすとか、いろいろ細々と書いてあるのですが、せっかく主要行動目標というふうに挙げていただいているので、もう少し明示的に分かるような形で整理していただいた方が良いのかなというふうに思いました。
 以上です。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 次に、市田委員、お願いいたします。

【市田委員】 2点申し上げたいと思います。最初は、先ほど石井委員がおっしゃったことに関連するのですけれども、とにかく、この20年ぐらい前に比べて、野外に出ていっても鳥とか虫がもう極めて少ないのです。生物の多様性云々よりも、もう鳥がいないということに近い状態があるわけです。生息地そのものは、そんなに見た目では変わっていないわけです。それで、私たちは、このごろ、どうも農薬問題というのは解決したのではなくて、実は、相当問題があるのではないかというふうに考えるようになっています。特に、石井委員のおっしゃったネオニコチノイド系の農薬の特徴は水に溶けるのです。今までのが油に溶けていたのが、今度は水に溶ける。
 そう考えてくると、例えば、水辺で生息しているオオヨシキリの数が全国的に減っております。かなり急激に減っている。それは、ヨシキリだから葦原に生息するので葦原が無くなったのだろうと。確かに葦原も無くなっているのですけれども、そういう理由ではないかという話もあります。しかしながら、例えば、千葉県の谷津干潟、あれは保護区になっていますから、葦原は減っていません。なおかつ、そこで10年間、レンジャーがカウントしていると、10年前は30羽ぐらい飛んできて繁殖していたものが、去年は10数羽飛んできたのですけれども、一昨年から繁殖はゼロなんです。今年は、とうとうオスが1羽来ただけで、全く、去年も今年も繁殖していないと。そういう状況があって、やはり、農薬の問題というのは、もう一度、よく点検する必要があるのではないかと思います。当然、ご検討いただいていることとは思いますし、第3の危機という中にそれとなく書いていただいてはあるのですけれども、すごく紳士的にお書きになっているので、もう少しはっきりいろいろお書きになっていただけたらありがたなと、こういうふうに一つ思いました。
 それから、もう一つ。2番目は、186ページに書いてありますけれども、自然との触れ合いが重要であるということを御指摘になっていて、それはもうとても大切で、やはり実際に触れ合うから大切にしようという心が湧いてくるわけです。だから自然観察活動が重要だということになるのでしょうけれども、やはりスズメを見て感激しろといっても、なかなか、それは、できないわけではないですが、あまり感激は少ないと。どうしても、やはりタンチョウヅルを見たりシマフクロウを見れば物凄く感激するということがあるのです。ですけれども、それを行おうとすると、187ページの一番上の方に書いてあるように、過剰利用による破壊だとか攪乱があるという御心配があって、いつもそこで話が止まってしまうわけです。
 触れ合いを図ろう図ろうということがいっぱい書いてあるのですけれども、実際に今度は地域でこういうことを何かやろうとすると、一番難しいのは実は環境省さんなんです。どう見ても今の状態は、見るな、触るな、来るなという、こういう雰囲気が最初にあって、特に、シマフクロウだとかいろいろなものについては見せない、触らせない、こういうのが僕なんかの感じだと地域から見ているとすごく感じます。だから、地域の自治体なんかが何かをやろうとすると、みんな、そこがネックになって動かなくなってしまって、せっかく一緒にやろうとしているところで、どうもうまくないお話が実はたくさんあるのです。ですから、そこら辺で。
 例えば、エトピリカを見せたいと。それを、お客さんを乗せて船で追いかけたら、それは問題だと思います。しかしあれ、船でじっとしていると、エトピリカは結構その場まで来るのです。絶対的な距離だけ問題にされれば、それはけしからんということになるかもしれませんけれども、でも向こうから寄ってきたわけですから別に問題は無いわけで、そういうことも含めて。もちろん、自然との触れ合いということを進めれば、とんでもないことをする例が出ることもあると思いますけれども、それでも、それを乗り越えて。
 例えば、ヨーロッパでやっているように、カラフトフクロウが絶滅危惧種で守ろうとしてきちんとやっていますけれども、でも一つの巣はオープンするのです。見せるのですよ。そのかわりレンジャーがいてきちんとやっているから、余計なことはできませんけれども。何か、そういったところに持っていかないと、自然との触れ合いだ触れ合いだと言っている半面で、やってみようとすると物凄い壁があって、やりにくいとかできないという部分があるので、文章の中に出すか出さないかということもあるでしょうけれども、その辺も実施に当たってはぜひ御検討いただければと思います。
 以上です。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 山岸委員。

【山岸委員】 198ページです。14行目の括弧のアスタリスクの後に7月末、分科会のロードマップ素案も踏まえて実現、検討と書いてあるのですが、これができ上がった時には消えてしまうのですか、この括弧は。こういう格好で出るのですか。
 もう一つは、この分科会も終わって、多分、あそこで、僕の記憶でいえば、もう60羽が非常に散ってしまったので、小佐渡東部には限らないということが出たと思うのですが、このままこういうふうに小佐渡東部と限るのか。それから、あの時には、ロードマップの中では60羽を確保するためには、繁殖成功率がもう少し上がるまでは放鳥していかなくてはいけないというようなことまでロードマップに出ていたと思うのですが、この括弧の書き方と一緒にして、ちょっと説明していただきたいと思います。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 浜本委員。

【浜本委員】 1点です。今までほとんど出てきていなかった視点なのですが、事業者と消費者の取組であるとか、具体的な末端の日本国民が生活をしていく上で、何をどう消費していくかということを考えた上での「消費者」という言葉を、この中で使っているのが実は2カ所しかなくて、193ページのところにあるもの、28行からのところと最後の254ページの上から2行目から5行目、この4行、全く同じ文章が2回出てくるだけなんです。日本の国がつくる国家戦略ですので、確かに、自然環境局の方が音頭をとりますから、生態系の保全であるとか野生生物の保護というものが前面に出るというのは、この書き方で少しも異存はないのですが、日本の国の国民が日本の国の中で先ほどから出ている自然共生圏という考え方をもって生活をしていく上で、日々生活する上で何をどのように消費していくのかという本当の末端の消費者の国民に向けたメッセージとして、それは、例えば農林水産省だとか経済産業省に任せ切りにするのではなくて、もう少し戦略の中でも、たった4行ではなく、もっとそこを膨らませて、スマートコンシューマーというものがどういうものを言うのかというところまで含めて、少し膨らませて書いたほうが分かりやすいものになるのではないかなというふうに思います。

【武内合同部会長】 ありがとうございます。
 それでは次に、磯崎委員、お願いいたします。

【磯崎委員】 自然再生と、それから森林、それと里山について書いてあるところに関連してなんですが、生物多様性保全活動の推進法が、これらのところに関連していると思うのですけれども、それについての説明が、今、さっと見たところですが、見当たらないので、環境省所管の活動法律として、それを活用していくことというような文言が入っても良いのではないかと思います。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 辻本委員、お願いします。

【辻本委員】 もう最後に近いので。国土交通省河川局というか、今は水資源国土保全局に関わることで少しお願いします。例えば、167ページに水力発電に関する減水区間の解消ということが書いてあるのですけど、これは、これまでやってこられたのは、多分、ガイドライン放流で経産省との協定。ということは、多分、こういった事業は、国土交通省だけでなくて経産省と連携してやっていかなければいけない事業だろうというふうに思います。所掌の省がどんなところかというのは、もう少し連携するところを書いてもらったほうが良いのかなという気がしました。
 そういう観点からしますと、水質の問題も、実は、健康項目に関わるような話があまり書かれていない。これは多分、厚労省との関係が、やはり協力体制が必要かなというふうなことを思ったのですけれども、そういうことになりますと、最近、水質の問題でリスク物質みたいな形、あるいは環境ホルモンとか、いわゆる健康項目と、それから生態系というところの微妙な関係に関わるところがあまり書かれていないなというのが少し気になりました。いわゆる健康という視点との生物多様性との関わりが、どんなふうになっているのかなというのが、例えば、河川における水質項目で最近、下水処理の中でどういうふうにリスク物質を扱っていくかというのが気にかかっているところで、その部分をどんなふうにするのかということを少し考えていただきたいということ。
 それから、河川のところでは、もう一つ、168ページにいわゆる河川の調査研究が書かれているのですけれども、これは全部合わせて、先ほどから議論の出ております科学的基盤の進展とか、そういうところにまとめて書いていただいた方がいいのかなという気がいたしました。
 それから、もう一つなんですけれども、最後の方に総合的というふうな項目があります。そこで、自然共生型、循環型社会、それから、もう一つ、何でしたかね、そういう三つの社会像を連携した取組という中で、自然共生に関わる取組みたいなことがあまり書かれていない中で、例えば、三大湾とかでやられている東京湾再生推進会議とか、いわゆる湾を対象として自然共生型流域圏を考えて面源負荷を減らしていくような取組というものが推進会議等で進められている。これは多分、国土交通省も関わられているし環境省も関わられている、そういう取組であると思いますので、自然共生型の代表例として、そういうふうなものも書き込まれていくと良いのかなという気がいたします。
 以上です。

【武内合同部会長】 ありがとうございました。
 速水委員、お願いします。

【速水委員】 ありがとうございます。中座しておりまして、失礼いたしました。森林のところ全体的になんですが、これは国の施策を説明しているところでいいのですけれども、他と比べると民間の活動に関してのさまざまな評価とか目標として出してある部分というのが非常に少ないのです。施策をやって、最終的にそれを受け止めるのは、民間側の森林管理がどういうふうに変わっていくかとか。例えば、森林教育の問題なんかでも、114ページ辺りの森林教育のところにも書いてございますけれども、国だとか国有林、あるいは国が関係しているところがやるような現状を書いてあるのですが、実は、それ以外に民間が森林教育を一生懸命やっているところがたくさんあるのです。そういうものをきっちりと拾い上げていくというところがないと、広がりが出てこない。つまり、農林水産省の枠の中で森林問題を生物多様性と関連してやっていく、実は、そうではなくて、そこを引き受ける民間のさまざまな森林管理であったりとか、あるいは森林教育を発展させようとしている民間団体とか、そういうものの活動というのが最終的に広がっていかないと意味がないと。その辺の評価をどうやって見ていくのかという視点が欠けているのではないかなというか、欠けていると言うと言い過ぎなんですけれども、少し足りないのではないかなというふうに思います。
 また、例えば、最近、企業が木材や紙の調達方針をつくるようになって参りました。これは非常に大きな私は動きだと思うのです。それをやはり環境省辺りがきっちり評価して、調達方針ですから、その後ろにあるのは適切な森林管理であったり生物多様性を加味した森林からの木材であったり、そういうところから出てくる木材を原料とする紙であったりというふうなことを民間がきっちりと方針を立てていく、その辺の評価をきっちりするということ自体が認識が広がっていくのだろうと思うのです。企業が生物多様性としっかりと相対応しようと思うときに、なかなか手段がないわけです。そういう意味では、少しでも挑戦しかかっているところをきっちりと、ここで見つけていくということは非常に大事だと思います。
 例えば、J-VERのところなんかでも、J-VERは環境省がやられたので、それはそれで出していけばいいと思うのですけれども、フォレストック制度なんていうのも、実は私もちょっと関係しているのですが、そういうところもかなりの勢いで動いていますし、その辺をしっかりと書いていく必要があるだろうと。
 あるいは、143ページのところで、人材育成のところでフォレスター、目標でフォレスター認定が今はゼロが2,000から3,000人というふうに32年の目標値が書いてあるのですけれども、実は、この中に民間人をどれだけフォレスターとして認定したのかみたいな目標が本当は出てこないといけないのです。これが国有林と県の関係者だけがフォレスターになっているみたいなことだと、民間の力が全然出てこないし、そこに多様性を勉強させても、結果的には常に行政が動いているだけで、受け止める側の民間で、それを消化して広げていく人たちがいない。そういうふうな視点が全体的に、この森林の部分は足りないのではないかという感じがいたします。
 以上です。

【武内合同部会長】 どうもありがとうございました。もう時間があまりないのですが、手短に事務局のほうで、今、いただいたご意見、ご質問に対してのご回答をお願いいたします。

【生物多様性地球戦略企画室長】 ちょっと、すべて完璧にお答えができませんが、いろいろ御指摘のあったところについては、施策を所掌している関係省庁とも相談の上、具体的に書き込めるかどうかについては検討をさせていただきたいと思っております。
 それで、この中で御質問で下村委員の方から構造的なお話があったので、そこはお答えしたいと思うのですけれども、253ページ、第3部の第3章第2節のところで、これは被災地の取組だけに限定しているかという御質問がありましたが、ここのところは東日本大震災をきっかけにして自然共生型の社会づくりというものを、もう少し重要性をハイライトするというところで、ここは、それに限定したものではございません。全体的な取組について考えさせていただいております。
 それで、また、あわせて御指摘で、第1部の方で45ページ、50ページ以外のところで記述の濃淡というのが非常にあるのではないかということの御指摘がありましたので、ちょっと250ページ、253ページ辺りの記述も、もう一度、見ながら、逆に第1部の方にフィードバックできるような部分がないかどうかは検討させていただきたいというふうに思っております。
 それから、白山委員の方から、調査研究と技術開発の整理の問題というのも御指摘をいただきました。そこのところは、もう一度、先ほど河川のところの御指摘もあったので、あわせて全体の見直しをしようというふうに考えております。
 それから、中静委員の方から、伝統、自然文化のことについての具体的な施策というものが書けていないのではないかという御指摘がありましたけれども、これは、わずかですが、154ページの18行目辺りのところ、この辺りに若干書き込ませていただいておりますが、そのほかに掘り起こしがないかどうかについては、再度、見直してみたいと思っております。
 浜本委員の御指摘の事業者と消費者の取組の部分について、これは総論の部分、多分、3部の方での手当てだけではなくて、今、言った考え方みたいなものを総論的に第1部の方でどう厚く書けるかということかというふうに思いますので、そこについても検討を加えさせていただきたいというふうに思っています。
 それから、あと速水委員の方からの民間支援のことについて、これは担当省庁とも相談させていただきたいと思いますけれども、国の計画であるので、国の方針として民間をどこまでとらえられるかという視点から、できるかできないかを議論させていただきたいと思います。
 最後に、ネオニコチノイド系の農薬のお話、市田委員と石井実委員の方からございました。これについては、実は中でもいろいろ議論いたしまして、ただ、具体的に今、国家戦略として明確に書き込むだけの十分な因果関係の情報とその問題点というのが、まだ我々としても、いろいろな意味で調査なり研究なりを進めたり、それが本当に問題かどうかというところで。多分、さまざまな形での現れている現象というのは、いろいろな要因が複雑に絡み合っているところがあるので、それについては引き続き情報収集をしながら検討させていただきたいということで。関係省庁とも議論したり担当部局とも議論した結果、今回は、まだ、ここに書き込むのは今の段階では時期尚早であろうという判断には達しているところですので、引き続き、またいろいろ具体的なデータなり情報提供をいただきながら、今後の課題とさせていただければありがたいというふうに思っております。
 では、そのほかのところで。

【野生生物課長】 生息域外保全に関連して、三浦委員、小菅委員、山岸委員から御指摘と御質問がございましたので、お答えしたいと思います。
 生息域外保全につきましては、御指摘のとおり重要性が増しているというふうに考えておりますし、これ以上、生物を絶滅に追い込まないために、なるべく早い段階で判断をするというようなことが必要になってくるだろうと。この辺は、そのとおりだと思っております。198ページに生息域外保全について書かせていただいておりますとおり、一応、環境省の方で絶滅のおそれのある野生動物の生息域外保全に関する基本方針というものをつくっておりまして、そこの中で、例えば、緊急性であるとか、あるいは技術の進展等を踏まえて個別に検討するというようなことになってはおりますけれども、ここのところは、確かに、まだ議論の不足しているところかなというふうに考えておりますので、今後の課題というふうに受け止めさせていただきたいと思います。
 なお、三浦委員から御指摘のありました法的な問題でありますけれども、現在、既に種の保存法の保護増殖事業計画の中に生息域外保全に取り組むというふうに書けば、それはもう取り組めるということになっておりますので、法的な整備が何かネックになっているということではございませんので、実質的にどんどん取り組んでいきたいというふうに考えております。
 それから、山岸委員から御指摘がありました分科会でのロードマップの検討の結果が踏まえられていないということでございまして、これは全くそのとおりでございますので、分科会の結論を踏まえて、ここの部分は直したいと思います。失礼いたしました。

【武内合同部会長】 どうもありがとうございました。

【生物多様性施策推進課長】 少し、浜本委員からの御質問に対して補足をさせていただきます。まず、事業者と消費者との関係でございますけれども、構成的にいいますと183ページの生物多様性の主流化の推進のところに、国ですとか地方自治体、事業者、NGO、国民など、さまざまな主体が連携して生物多様性の主流化に取り組んでいくということをうたわせていただいておりまして、この中でも普及啓発のお話ですとか、あるいは事業活動や消費活動を促進するためにさまざまな普及啓発活動等を行うといったことも記述させていただいた上で、特に事業者と消費者の取組の推進の重要性にかんがみて193ページのほうに記述等をさせていただいているという構成になっております。

【武内合同部会長】 はい。よろしいですよ、どうぞ、亀澤さん。

【自然環境計画課長】 三浦先生からエコパークの御指摘がありましたけれども、131ページから132ページにかけてエコパークのことが書いてあるわけですが、132ページの上から二つ目の丸にもあるように、今年の7月に新しく宮崎県の綾地域がエコパークとして登録されておりますので、最近の動きを踏まえて、今後。特に、エコパークの場合は、上の説明にもありますように自然と人間社会の共生を目的としているということで、コアエリア、バッファエリアだけではなくて、さらに、その外側にトランジッションエリア、移行エリアということで、農林業との連携とか観光への活用を図るような、そういう地域もありますので、そういうことを踏まえて新たな形でのエコパーク、そういうところが他にもないかということを文科省とか農水省とも連携をして検討していきたいというふうに思っております。
 それから、もう1点、補足ですけれども、域外保全の関係で先ほど野生課長からお答えをしましたが、先ほどお話をしたように、基本方針に加えて域外保全からの野生復帰の基本的な考え方というものをつくっておりまして、その二つを踏まえたパンフレットもつくっておりますので、今後、そういうものに従って利用を進めていきたいと思いますし、実際、モデル事業なんかも始めておりますので、そういうものを広げていきたいというふうに思っております。
 以上です。

【武内合同部会長】 よろしいですか、以上で。

【生物多様性地球戦略企画室長】 1点だけ。磯崎委員からあった連携促進法の記述については77ページと185ページに書いてございますが、後で個別に御説明させていただきたいと思います。

【武内合同部会長】 特に、時間の関係で第3部については十分な御説明ができなかったかと思いますが、いずれにしても、御意見を踏まえまして修正をさせていただくということにさせていただきたいと思います。その中身についてでございますが、事務局と私とで相談させていただいて、9月13日に予定されている合同部会に答申案という形でお諮りをさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【武内合同部会長】 どうもありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 次回、いよいよ最終ということで、答申ということでお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また、今日、追加で、もし御意見、御質問等がございましたら、事務局の方にお申し出いただければ、それを反映した結果にさせていただきたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、本日の自然環境・野生生物合同部会を閉会させていただきたいと思います。
 事務局より連絡事項等がございましたら、よろしくお願いいたします。

【事務局】 本日は、ありがとうございました。次回の合同部会は、ただいま武内部会長からもお話がございましたが、最後の部会ということで、9月13日(木)の13時30分から、ホテルフロラシオン青山で開催いたします。御多忙のところ大変恐縮ですが、御出席を賜りますようお願い申し上げます。

【武内合同部会長】 どうもすみません。毎回毎回、場所が変わりまして。そのたびに、また新たな発見を、ぜひ、していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもお疲れさまでございました。これにて散会ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

【事務局】 あと、お配りしました資料につきまして、郵送ご希望の委員の方、ちょっと量が多いものですから、封筒にお名前をお書きいただければ、後日、郵送させていただきます。