平成１８年度中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会（第２回）議事要旨

平成１９年２月２６日（月）１０：００～１２：２０

ホテルフロラシオン青山

（合同部会長）

熊谷洋一

（委員）

（事務局）

環境省大臣官房審議官（自然環境担当）
環境省自然環境局自然環境計画課長、野生生物課長他
文部科学省、農林水産省、国土交通省

（その他報告者）

鹿島建設株式会社　環境本部地球環境室長

◆事務局から「新・生物多様性国家戦略の実施状況の点検結果（第４回）」について報告。
◆点検期間における主な施策対応報告: ・環境省自然環境局から「鳥獣の保護管理に係わる制度改正等について」を説明; ・農林水産省から「主に第２の危機に対応する農林水産省の施策について」を説明
◆企業による生物多様性保全の取組として、以下の企業がそれぞれの取組を報告。: ・全日本空輸株式会社：全日空の生物多様性保全への取組について説明; ・鹿島建設株式会社：鹿島の生物多様性保全への取組について説明
◆環境省から「生物多様性国家戦略見直しに向けた検討状況」を報告。

◆委員からの主な質疑・意見は以下のとおり

戦略策定後のその実施状況の点検というのは極めて大切である。当点検は少しずつ進歩してきている。さらに、施策成果を例えば指標をもって具体的に説明しうるような点検をしていくことが重要である。

第４次ＩＰＣＣ第１ワーキンググループの報告にもあるように地球温暖化による自然環境の変化は予想以上に早く進んでいる。国家戦略の見直しでは、地球温暖化と生物多様性の問題を合わせて考えるべき。
温暖化すれば当然生物多様性も変化する。温暖化防止のための吸収源対策として森林をどうするかという点はともかく、生物多様性の側から温暖化をどう受け止めるかは国家戦略見直しの際に十分に考えることが必要。

３つの危機への対応の結果として、生物多様性の損失、たとえば種レベルの損失がどれだけ緩和されたのかという評価が重要であり、そのためには、各省が行っている様々な調査情報を統合し、国民に分かりやすく説明できるようにする必要がある。また、種レベルだけでなく生態系レベルも含め、その変化を施策の効果として評価することも必要である。

森林管理を担うＮＰＯやボランティアにも資金が流れることが必要。一方で、ＮＰＯやボランティアだけで管理できるわけではないので、まず管理専門の部門がきちんと管理し、その上でＮＰＯ等とも協力していくという仕組みにしていくことが必要。

森林管理を担うＮＰＯやボランティアにも資金が流れることが必要。一方で、ＮＰＯやボランティアだけで管理できるわけではないので、まず管理専門の部門がきちんと管理し、その上でＮＰＯ等とも協力していくという仕組みにしていくことが必要。
生態系ネットワークにおけるコリドーは、重要な保護地域を接続するところに意味がある。点検で示された緑の回廊設定がその点で意味のある形になっているか否か具体的に評価すべきであり、その観点からの説明をいただきたい。

里地里山の荒廃を防ぐべく様々な取組が進められているところであるが、これから先もある程度の荒廃化は避けられない。これを生物多様性の観点からどうとらえ、どう対応していくかという検討が必要である。
環境省で実施している里地里山保全・再生モデル事業について、その概要やこれまでの成果について説明いただきたい。
耕作放棄地の各種対策は、その土地所有権との関係はどうなっているのか。
耕作放棄の期間が長くなることで、地目上農地ではなくなっていく土地も含めて、潜在的な耕作放棄地がどの程度あるのかを示していただきたい。
耕作放棄地となっている農地を自然に戻しているような自然再生の事例も把握しておくことが望ましい。
「農業環境規範」は、具体的な数値などはほとんど示されておらず、漠然としていて、農業における環境対策として、何を基準にどこまで向上させるかということがイメージできない。特に生物多様性の点から見ると、ある程度の水準までは規範でできるかもしれないが、それ以上のプラスの部分をどうやって確保していくかが新たな課題となる。今後農水省として、さらにそうした発展的な道筋をお考えであれば説明いただきたい。

地球温暖化等を背景として日本の原生自然が変化してきており、原生自然についての基本的なモニタリングをしっかりやることが重要である。その点で、モニタリングサイト１０００について、現状で、どれくらいのサイズのサイトをどれだけ設定しているのか、またそのことの国土の自然環境のモニタリングとしての有効性について説明いただきたい。

平成１８年度中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会 議事要旨