1.日時
平成17年11月29日(火)10:00~12:20
2.場所
ホテルフロラシオン青山 「はごろも」
3.出席者
- (合同部会長)
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熊谷 洋一
- (委員)
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安達 とう子
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石井 信夫 |
磯崎 博司 |
磯部 力 |
市田 則孝 |
岩熊 敏夫 |
岩槻 邦男 |
大澤 雅彦 |
嘉田 由紀子 |
加藤 順子 |
栢原 英郎 |
川名 英子 |
栗田 亘 |
小塚 茂 |
齋藤 勝 |
佐々木 洋平 |
佐藤 友美子 |
篠原 修 |
白幡 洋三郎 |
瀬田 信哉 |
立花 直美 |
田部井 淳子 |
土屋 誠 |
中川 浩明 |
中道 宏 |
服部 明世 |
浜本 奈鼓 |
速水 亨 |
原 重一 |
増井 光子 |
三浦 愼吾 |
森戸 哲 |
森本 幸裕 |
山岸 哲 |
鷲谷 いづみ |
渡辺 修 |
和里田 義雄 |
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(五十音順、敬称略) |
- (事務局)
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環境省大臣官房審議官(自然環境担当)
自然環境局野生生物課長他
外務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省
4.議事概要
- 事務局(環境省自然環境局自然環境計画課)より前回部会の議事要旨について報告。補足説明を環境省自然環境局野生生物課および国土交通省より実施。
- 事務局より環境基本計画見直しに関わる重点分野「生物多様性の保全のための取組」の検討状況を報告
- 第1回および第2回点検意見に対する取組の追加報告として、以下の取組を報告
- 「生物多様性の認識を深め、普及啓発する取組」
- 日本環境ジャーナリストの会理事:佐藤年緒氏
- 「NPO全国ネットワーク組織の取組」
- NPO法人全国水環境交流会代表理事:山道省三氏
- 「新・生物多様性国家戦略の第3回点検結果」を踏まえた今後の施策の方向について審議
委員からの主な質疑・意見は以下のとおり
○全体について
- 新・生物多様性国家戦略が策定され、それに対するモニタリングがきちんとされているという点では、生物多様性に関する国の施策は前向きに進んでいる。それにもかかわらず、生物多様性に関する3つの危機は必ずしも好転していない、むしろ進行を食い止められていないという状況は認識しておくべきである。
○点検結果の示し方について
- これまで3回の点検で3つの危機に対する取組を整理してきたが、各施策の進捗度合いやその改善策を具体的に示すことができれば、次の施策への展開がうまく図れるのではないかと思う。
- 生物多様性国家戦略の施策対応状況の把握として、予算額というものも必要。
- 保護増殖事業において、飼育施設での保護の成果がかなり上がってきている点は強調したい。
○資料5(環境基本計画見直し検討状況)について
- 資料5については、生物多様性の3つの危機の状況を深刻にしている事項に対して、認識するだけでなく、その解決への取組を記述し、実際にその取組を進めてほしい。もしそれが早急な解決が困難であれば目標として位置づけることになる。
- 資料5の取組の推進に向けた指標に関しては、困難ではあると思うが、あるべき姿としての目標を定めて、それに対する評価を行うことを期待したい。
○今後の施策の方向について
- 環境影響評価や公共事業の再評価プロセスは生物多様性の保全に貢献している面もある。これまでの実績の蓄積もあり、また、事業再評価では地方公共団体によってその対象生物種の取り扱いなどの基準は異なっていることもあり、それらの情報について収集・整理を進めることを期待。
- 流域における安全性と自然のプロセスに依存した攪乱依存型の生き物との折り合いについては、調査研究をはじめとした取組が必要。新たな自然再生事業を起こすだけでなく、既存の整備技術のグリーン化という観点も必要。
- 生物多様性上、海洋は重要。藻場などの浅海域だけでなく海鳥の保護など海全体での取組が必要であり、関係省庁の連携が必要。
- 科学的認識に基づいた生物多様性保全の戦略が必要であるが、生物多様性に関する科学的な認識の一番基礎になる基本的な環境調査データ整備、特にそのデジタル化が日本は非常に遅れていることを深刻に受け止めるべき。研究者の対応だけでなく、予算的な措置も含めた行政の対応も必要。
- 三位一体改革の流れの中で、地方における主体的な取組が今後ますます重要となる。その際、地方レベルでも県境、国境を越えたグローバルな視点が抜けていることが多いので、次期生物多様性国家戦略には、その点も含めて大事なポイントを記載しておくことが必要。
○施策取組の体制について
- 省庁連携やNPO・ボランティアの取組がいろいろな形で進みつつあるのは望ましいこと。それとともに、地方も含めた行政レベルの人材の強化や生物多様性に関する専門家をどのように絡ませるかなどその体制づくりが重要。例えば、専門家を絡ませる例として、環境省の生物多様性センターにおいては、現在は行政官のみで構成されているが、国立環境研究所などと連携して研究者も配置することで具体的な施策レベルでの貢献も可能となるのではないか。
- NPO活動を行っている若者がプロとして、体験活動を通じて自由に活躍できるシステムを作ることが望ましい。
○生物多様性の認識の深化・普及啓発・教育について
- 生物多様性を考える際に、科学的・客観的なデータで示すことは重要であるが、美的な要素など情緒的な面も排除せず、人間の環境に対する思いを大きなとらえ方で対応していくことを忘れないようにすべき。
- 生物多様性の認識を深める試みとして、今回報告された食べ物に注目した人間との関わりからの視点というのは興味深い。他に、鳥インフルエンザや西ナイルウィルスといった病原菌、ウイルス、寄生虫などと人間の関わりの視点も生物多様性の本質に迫ることにつながるのではないかと思う。
- 生物多様性への意識や価値に対する一般への理解を国レベルの戦略として進めるためには教育の力が必要であり、例えば、生態学を義務教育の中に取り込んでいくべき。ただし、教育においては、子供が本来持っている生き物の営みへの驚きなど内発的な興味をなくさないよう、大人の既存概念を押しつけないことが必要。
- 次期生物多様性国家戦略では、なぜ生物多様性の保全を今しなくてはならないのか、という根本的なところをミレニアム生態系評価なども参考にして記載してほしい。