■議事録一覧■
中央環境審議会自然環境・野生生物合同部会(第3回)議事要旨
<日時>
平成14年3月25日 15時30分~16時30分
<場所>
東条インペリアルパレス 2階「千鳥」
<議題>
(1)生物多様性国家戦略答申案のとりまとめ
(2)その他
<議事>
会議は公開で行われた。
新・生物多様性国家戦略案について事務局から第2回合同部会での指摘等を踏まえた修正点の説明がなされ、案のとおり答申することを決定した。(答申文は辻井部会長から大木環境大臣に手交された。)これまでの議論を振り返り、委員から次のようなコメントがあった。
各省の施策を単に環境省が束ねたという印象の強かった現行の戦略とくらべ、新戦略は日本政府全体の戦略として出来上がったものと評価できる。それだけに戦略に盛り込んだことを今後実行していくことが極めて重要な課題であり、五年後の見直しまでに具体的な成果が得られるよう、各省と連携して取り組みを進めていただきたい。
[1]要約版をつくり、普及啓発を進めてほしい。要約版や1年ごとの点検について、ホームページで公表するだけでなく、一般の人が意見を書き込むことができるシステムを作ってほしい。[2]エコシステムアプローチの考え方をいかに「持続可能な利用」や「自然再生事業」のなかで浸透させていくかが課題だと思う。[3]生態系保全の観点から総合的な法制度を設けることも視野に入れて、生物多様性保全政策を進めてほしい。
現行の戦略と比較すると、[1]羅列的でなく、非常にダイナミックな構成となっている。[2]パブリックコメントやヒアリング等の機会を幅広く設け、社会と対話する参加プロセスを取り入れたことは評価できる。[3]戦略の中に、文化の視点を意識的に取り入れたことも、評価できる。一般の人の感覚に近づいている。地域に浸透させるためには「食」や「遊び」といった身近なものによって普及啓発するような工夫が必要。
アメリカのように条約に加盟していない国もある中、新たな視点を積極的に盛り込んだ国家戦略の改定を行ったことは国際的にも非常に影響力があると思われる。国際的にPRするため、英語版を作って普及させ、国際社会の中でリーダーシップを発揮してほしい。
点検、見直しにあたっては、政府だけでなく、自治体やNGOの協力も得て対応することを検討してほしい。
要約版に加えて、絵本のようなものも必要ではないか。また、今回のパブリックコメントの結果、E-mail、携帯電話等での意見が数多く寄せられたことも今後の普及啓発を考える上で参考となる。
新国家戦略は、日本の自然の特色でもある里山の保全を施策の3つの柱の1つとして掲げており、この点は評価できる。分かりやすい資料を作成して普及させることに加えて、1年後の点検では各省の成果を環境省でとりまとめて示してほしい。
「生物多様性」という言葉、概念が地域、現場レベルでは、まだ十分に浸透しておらず、専門家、関係者だけが理解しているような状況である。これを一般の人にいかに浸透させるかがポイントである。その手段としては[1]工程表のようなものを作って着実に事業を進めることや、[2]「生物多様性」というものに関して、その意義、問題点を抽出して学校教育などの中で普及させることが必要。[3]また、例えばブラックバスのように争点となった時、それを良い機会と捉え、正面から議論していった方が良い。争点化させることにより生物多様性の理解が広がっていく。
ボン条約について戦略の中に位置づけたことは評価できる。加盟についての検討を進めてほしい。また、戦略の普及版については写真等を多用して、アピールするものとしてほしい。
動物園、水族館等の意義や役割が戦略の中で評価されており、動物園、水族館としてもこれに応えるよう、今後一層努力していきたい。
新戦略は“トータルプラン”であると同時に“実践的行動計画”と位置づけられており、その意味でもすぐに取りかかるべき施策がある。その一つが移入種問題への対応と考える。水際での規制や国内での利用を制限するための仕組みを早急に作っていく必要がある。
この戦略作成に関わった審議会委員にも、今後新戦略の普及啓発に協力していく責務があると思う。