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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
第1回グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会議事録


平成20年9月3日(水)

午後2時00分 開会

○環境経済課長 まだ傍聴者の登録が終わり切っておりませんけれども、定刻を過ぎましたので、ただいまからグリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会第1回会合を開催いたしたいと思います。
 私は、総合環境政策局環境経済課長の石飛と申します。事務局を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 開催に当たりまして、斉藤環境大臣よりごあいさつを申し上げます。

○斉藤環境大臣 環境大臣の斉藤鉄夫でございます。どうかよろしくお願いいたします。グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 神野委員長を初め、先生方には大変お忙しい中ご参加いただきまして、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 私は、環境大臣になりましたときに、政治は科学に対して謙虚でなければならないと申し上げました。この地球、そしてこの地球上に住む人類を含む我々生命体を守るために、科学者が提言していることを謙虚に受けとめて、それを政策に反映していかなくてはならないと思っておりまして、そのために地球上でこれから全人類が共同して行うこと、そしてその中で日本がリーダーシップを発揮しながら日本自身として責任を果たしていくこと、このことを明確にしながら、国民の皆さんと意識を共有して進んでいくことが大事だろうと思っております。
 そのためには社会の大きな変革が必要であり、特に今回のこのCOといいましょうか、温室効果ガスの排出抑制につきましては、2050年までに日本として60~80%の削減ということを宣言いたしましたし、そのような社会を作っていくためには、基本的なところで、日本の国のあり方、また我々の暮らしのあり方ということを変えていかなくてはならないと思っております。そのためには、いろいろな手法、教育も必要でしょう。規制ということもこれから考えなくてはいけないかと思っておりますが、経済的な手法ということも非常に大きな柱でございます。この経済的手法、排出量取引と環境税ということが今言われているわけですが、排出量取引につきましては、この10月からできるだけ多くの、日本の企業の方には軒並み入っていただくような形で、排出量取引制度の試行を始める準備を今しております。それを世界標準にしていく、世界の排出量取引の中に組み込んでいく作業を、環境省が先頭に立って行っていきたいと思っております。
 そしてもう一つの経済的手法の柱が、環境税を含む税制のグリーン化でございます。この問題につきまして、先生方にじっくりご議論をいただき、そして環境省としての案をまとめるに際して、参考にさせていただきたいと思っております。この税に対しての環境税を含む税制のグリーン化ということにつきましては、政府や与党の考え方も大きく変わってまいりました。今年の6月にまとめましたいわゆる骨太2008、そしてそれと全く軌を一にしております、この7月に政府が定めましたいわゆる低炭素社会づくりアクションプランの中には、税制について、「本年秋に予定されている税制の抜本改革の検討の際に、道路特定財源の一般財源化の問題にとどまらず、環境税の取扱いを含め、低炭素化促進の観点から税制全般を横断的に見直し、税制のグリーン化を進める」と明記されたところでございます。基本的に税というのは担税力のあるところから取る、その税制を政策実現のための道具には使わないというのがこれまでの基本的な考え方でしたが、今回の今の文章はまさに税制を政策実現の一つの道具として考える。悪いことをしている人からは税金をたっぷり取り、そしていいことをしている人たちの例えば補助金にしていく。そういう形で目指すべき社会に向けてこの税制を使う。そういう考え方が入ったことは、私は一つの税制上の革命だったのではないかと思います。そのあり方をどんなものにしたらいいのか、国民の皆様に理解していただき、この日本社会に定着するものになるのかということについて、その世界の日本の第一人者の先生方でございますので、ご議論をいただければと思っております。
 私たちは、そのご議論の中身をしっかりと重く受けとめて、この秋に税調の議論が始まります、その中に環境省としての案をまとめるわけでございますけれども、その参考にさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。大変お忙しい先生方でございますけれども、どうかご議論をいただいて、私どもにいろいろな問題点、提案等を指し示していただければ、本当に我々は幸せに存じます。どうかよろしくお願いいたします。

○環境経済課長 本専門委員会は、昨今の経済情勢などを踏まえまして、環境税を含め、グリーン税制のあり方などについて検討するということを目的にしております。そこで、平成17年5月に設置されました「環境税の経済分析等に関する専門委員会」を、この専門委員会の上部組織であります総合政策・地球環境合同部会の鈴木部会長のご判断のもと、一部名称を変更するとともに、委員の交代も行われましたので、改めて全員の委員のご紹介をさせていただきたいと思います。お手元に座席表と、資料1といたしまして委員名簿がございますので、これに沿ってご紹介をさせていただきます。
 まず、委員長を務めていただきます東京大学大学院経済学研究科教授の神野直彦委員長でございます。続きまして、神戸大学・関西学院大学・兵庫県立大学のいずれも名誉教授でいらっしゃいます天野明弘委員でございます。それから、本日はご欠席でございますが、京都大学大学院経済学研究科教授の植田和弘委員にもご就任いただいております。それから、東京大学大学院法学政治学研究科教授の中里実委員でございます。続きまして、国立環境研究所社会環境システム研究領域総合評価研究室長の増井利彦委員でございます。京都大学大学院経済学研究科准教授諸富徹委員でございます。中央大学総合政策学部教授横山彰委員でございます。最後に、慶応義塾大学商学部教授の和気洋子委員は、今日はご欠席でございます。
 続きまして、本日このメインテーブルについております環境省側の職員をご紹介申し上げます。
 先ほどごあいさついただきました斉藤大臣でございます。続きまして、西尾環境事務次官でございます。小林総合環境政策局長でございます。それから、小林大臣官房審議官でございます。寺田地球環境局長でございます。森谷大臣官房審議官でございます。徳田地球温暖化対策課長でございます。最後に、私と同様、事務局を務めます山田課長補佐でございます。
 本委員会の委員長につきましては、先ほど申し上げましたとおり、前の専門委員会に引き続きまして、神野委員にお願いしております。
 それでは、今後の進行を神野委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○神野委員長 前委員会に引き続きまして、役目柄委員長を務めさせていただきます東京大学の神野でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、もともと至らない上に、環境問題についての専門家ではございませんので、委員の皆様方のご協力と、それから事務局の皆様方のご支援をいただいて、今日は初回で、斉藤大臣にもご臨席いただいておりますが、先ほどの大臣のお話の期待に沿えるような結果を出していきたいと考えております。
 私事と環境問題とを一緒にしてはどうかと思いますが、私は網膜剥離を患っていて、いつ失明するかわからないのですけれども、この経験から環境問題を考えると、まず私が剥離になるのは、近視がとまらないわけです。普通は一定の年齢に達すると近視がとまるのですが、とまらない。つまり、近視眼的な物事の見方ばかりしていると暗黒しか待っていないというのが一つの教訓であります。もう一つは、そういう激変も、シグナルはごく些細なものなんです。光視症という、光がちょこっとピカピカッと入ってくる。それを見落として手おくれになってしまったのですが、環境についても同じことで、地球が発信しているシグナルはごくわずかなものであるかもしれない。しかし、激変が起こるのではないかと思います。
 病でも、治るか治らないかの病の峠のことをクライシスと申しますけれども、危機です。私たちは、この委員会が再び立ち上がるということは、環境税の導入について期が熟した。それはとりもなおさず危機が深刻になっている。結論は2つしかなくて、肯定的な解決か、それとも破局かということだというぐらいの覚悟をして臨んでいきたいと考えておりますので、皆様方のご協力をお願いする次第でございます。
(カメラ退室)

○神野委員長 本日の会議でございますが、お手元の議事次第をお目通しいただければと思いますけれども、4つ大きく議題がございまして、専門委員会の運営について、確認を行いたいということがまず第1の議題でございます。2番目が、地球温暖化対策の最近の状況について、それから3番目が、環境税に関するこれまでの議論についてで、この2点について皆様方に議論をしていただいた上で、最後の4番目でございますが、当面の検討事項・論点について、議論をちょうだいしたいと思っております。
 本日の会合はおおむね16時で終了する予定でございますので、委員の皆様方のご協力をお願いする次第でございます。
 それでは、第1番目の議題でございます専門委員会の運営について、事務局からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○環境経済課長 資料2と資料3を使ってご説明したいと思いますが、あわせて本日参考資料として1から5まで用意してございます。まず、これまでの議論の流れをざっとおさらいする意味で、参考資料1をご覧いただきたいと思います。
 中央環境審議会のもとで、平成15年からさまざまな環境税に関する議論を行っていただいております。まず、参考資料1の上ですけれども、平成15年8月に、地球温暖化対策税制専門委員会からの報告がなされております。これを今日は参考資料4としてお配りしております。時間の関係でご説明はできませんが、これがまず出されました。それから、同じく15年12月に総合政策・地球環境合同部会のもとに施策総合企画小委員会が設置されまして、ここでも温暖化対策税ということで環境税についての議論がなされまして、翌平成16年12月、施策総合企画小委員会が論点についての取りまとめを行いました。これは本日参考資料3としてお配りしているものでございます。
 それから、1枚おめくりいただきまして、平成17年5月に、本日の専門委員会の前身であります環境税の経済分析等に関する専門委員会が調査・分析を開始しまして、9月にそれまでの審議を整理して成果を公表したわけでございます。それが本日の参考資料2でございます。このように、平成17年まで、中央環境審議会でも環境税を中心とした議論をやってきていただいたわけでございます。
 その後、18年及び19年は、それまでの議論を踏まえて、環境省として環境税の創設等の要望をしてきたわけでございます。平成20年になりましてからは、先ほど斉藤大臣からのごあいさつにもありましたとおり、大きな風向きの変化がございまして、道路特定財源の扱い、改定京都議定書目的達成計画の中での位置づけ、そして骨太の方針、低炭素社会づくり行動計画の中で、環境税が明確に位置づけられたということでございます。
 続きまして、資料2にお戻りいただきたいと思います。こうしたこれまでの環境税に関する審議会でのご議論を土台といたしまして、さらに昨今のさまざまな情勢の変化、特に経済情勢の変化を踏まえて、現段階での環境税の意義等について、さらに広くグリーン税制全般に視野を広げまして、専門的・技術的な見地から調査・分析を行っていただきたいということで、今回の専門委員会の設置に至ったわけでございます。
 調査事項でございますが、資料2の下の方に[1]から[6]まで掲げています。読み上げることはいたしませんけれども、いずれもこれまでの政府が決定したもの、また税制調査会等でご指摘いただいた点を並べております。こういった点について今後この専門委員会で調査分析をお願いしたいと思っておりますが、もう少し具体的にどういう点からご議論いただくかということについては、本日の議題4で詳しくご議論、ご指摘をいただければと思っているところでございます。
 今後のスケジュールでございます。まだ大まかな構想しか持っていないわけですが、本日を第1回としまして、短期間ではございますが、9月、10月にかけまして[1]~[6]についてのご審議をいただいて、その時点で一定の成果を出して、それを受けて環境省として具体的な環境税を含めたグリーン税制についての案をまとめて要望し、政府内、そして与党内のプロセスに反映していきたいと考えておりますが、さらに詰めるべき点が指摘された場合には、その後も必要に応じまして専門委員会を開催して、いろいろご指導を賜りたいと考えているところでございます。
 続きまして、資料3につきましてご説明を申し上げます。この専門委員会の運営方針につきましては、既に15年12月に合同部会長が決定された方針に則り運営していきたいと考えております。
 まず1点目、会議の公開につきましては、「公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらす恐れがある場合には非公開とし、それ以外の場合には公開とする」という決まりになっておりまして、この扱いは専門委員長が決めるものとするということでございます。これにつきましては、私どもも、この専門委員会が特にこういう支障があるという条件には該当しないと考え、前もって神野委員長ともご相談申し上げて、本日、現に公開の形式で開催させていただいているところでございます。
 また、委員の代理出席は認めないことになっております。
 それから、会議録等につきましては、会議録及び議事要旨を作成して公開することになっております。後日、環境省のホームページへの掲載、環境省閲覧窓口への備えつけを予定しております。その他、細部に関しての運営は委員長が定めるということでございますので、今後必要に応じてご判断を仰ぐことになっております。
 以上がこの専門委員会の運営についてのご説明でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 皆様方に特にお諮りしたいことは、今ご説明がありましたように、特段の非公開にしておく理由がございませんので、公開したいということでご了承いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、何か今の事務局のご説明について、ご質問があれば、ちょうだいしたいと思います。論点を6つばかり挙げていただきまして、ここでの議論をもとに環境省のほうで案を作るということになっておりますが、いずれ、今日の議題でこれから進めていくことになりますので、今のご説明については特段ご質問がなければ、次の議題に入らせていただいてよろしいですか。
 それでは、2番目と3番目の議題でございますけれども、地球温暖化対策の最近の状況、それから環境税に関するこれまでの議論についてという第2と第3の議題に移ってまいりたいと思います。
 これについて、事務局からご説明していただきます。まず、地球温暖化対策の最近の状況からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○地球温暖化対策課長 それでは、資料4をご用意いただきます。地球温暖化対策の最近の状況についてでございます。
 1ページおめくりいただきますと、我が国の温室効果ガスの排出量というものがございます。現状はどうなっているのか、どこまで減らさなければいけないのかということを示しております。基準年の排出量は、1990年でございますけれども、12億6,100万トンでございました。2005年度の排出量は13億5,800万トン、7.7%増えております。2006年度は若干減りましたけれども、なお13億4,000万トンで、6.2%増という状況でございます。
 京都議定書削減約束期間2008年~2012年の平均で11億8,600万トンまで減らさなければいけないわけでございますので、森林吸収源対策、京都メカニズムでそれぞれ3.8%、1.6%を見込んでもなお2006年度から6.8%減らす必要があるという状況にございます。
 それでは、どういう部門でどのように増減しているのかということをより詳しく見てまいりますと、2ページでございます。上から産業、運輸、業務、家庭、エネルギー転換とございますが、産業部門は、1990年度が4億8,200万トンでございまして、2006年度は4億6,000万トンと減少しております。運輸部門は、グラフをご覧いただきますとおわかりいただけますように、1990年から10年ほどは増加傾向でございましたが、その後は横ばいないしは低減傾向にございます。これらに対しまして、業務その他部門は39.5%増えております。また家庭部門は30%増えているという状況でございます。排出量全体に占める排出量の割合は、絶対値としては産業部門が一番大きい。しかしながら、その増減を見てまいりますと、業務部門、家庭部門の増加が著しい。こういう状況でございます。
 こういう中で、目標達成計画を今年の3月に改定いたしまして、約束期間の6%削減を確実なものにしようとしたわけでございます。3ページでございますけれども、その目標達成計画に掲げられた追加対策の例が左側にございます。自主行動計画の推進、住宅・建築物の省エネ性能の向上、トップランナー機器等の対策等々が掲げられております。また、横断的施策として、排出量の算定・報告・公表制度、国民運動の展開といったことが書いてあるわけでございます。これらによりまして先ほどの6%削減を確実に達成できるということでございます。
 この目標達成計画の中で、以下、速やかに検討すべき課題として、国内排出量取引制度、環境税、深夜化するライフスタイル・ワークスタイルの見直し、サマータイムの導入といったものも同時に書いてございまして、これらについても、国内排出量取引制度につきましては冒頭大臣からもご説明がございましたように検討しているところでございますし、また環境税について今回このような形でご検討いただいているということでございます。
 目標達成計画を作って、それで目標は達成し得るということになっているわけですが、確実に達成できるように、年に2回、進捗管理を厳格に行うということにしております。毎年6月ごろと年末に厳格に点検する。さらに、2009年度には第1約束期間全体の排出量見通しを示して総合的に評価し、必要があれば計画を改定するということでございます。
 4ページでございますけれども、目標達成をより確実にするために、温対法――地球温暖化対策の推進に関する法律を先の通常国会で改正していただきました。今回の法改正、右側に書いてございますけれども、新たに追加したものとして、排出抑制等指針の策定、それから地域の取組を強化するための計画策定、コンビニなど、一つ一つは排出量が小さい事業所であっても、チェーン全体として見ると排出量が大きいという場合もございますので、今までの事業所単位から、事業者、フランチャイズチェーン単位で排出量を報告していただくといったことを中心とした改正をいたしました。その際、衆議院、参議院それぞれで附帯決議が出ております。下のところにございますように、衆議院におきましては、「温室効果ガスの排出量に応じ税を賦課する制度その他の経済的措置により温室効果ガスの排出の抑制等を促進する制度等の在り方について総合的にかつ速やかに検討を進めること」とされております。また参議院におきましても、「環境税等の導入についても必要な検討を総合的かつ早急に行うこと」とされたところでございます。
 5ページは、中長期的な話になってまいります。福田ビジョンが6月9日に示されました。それを受けまして、7月29日に低炭素社会づくり行動計画というものが作られました。2050年までに現状から60~80%の削減をする。来年のしかるべき時期に国別総量目標(中期目標)を発表する。技術開発をどんどん進めていく。さらに開発された技術を普及していく。低炭素化へと動かす仕組みとして、10月を目途に排出量取引の試行的実施を開始する。それから、環境税の取り扱いを含め、税制全体を横断的に見直し、グリーン化を推進する。こういったことが掲げられているわけでございます。
 最後に、6ページでございますけれども、今後の外交日程を示しております。2009年のCOP15はデンマークのコペンハーゲンで開かれますけれども、そこでの次期枠組合意を目指すということで、一連の会議。一番上が気候変動枠組条約に関するものでございます。今年の12月にはCOP14が開催されます。その下にG8と主要経済国会合の動きを書いております。来年はG8サミットがイタリアでございます。また、それ以外に日中韓の3カ国環境大臣会合、東アジア首脳会議等々がございます。そういった中での議論をCOP15に集約させていくということになろうか思います。
 以上、簡単でございますが、最近の状況のご説明をいたしました。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは引き続いて、3番目の論点でありますが、環境税に関するこれまでの議論について、事務局のほうからご説明いただきたいと思います。

○環境経済課課長補佐 続いて、資料5、環境税をめぐる最近の状況についてということで、資料は37ページと少し大部なものですから、少し早口で説明させていただきますので、ご容赦いただければと思います。
 1枚おめくりいただきまして、環境税をめぐるこれまでの動きということで、2ページ目でございますが、上のほうに環境税の一般的な定義でありますが、二酸化炭素の排出量又は化石燃料の消費量に応じて課税するものということでありまして、まずこれまで中環審等で環境税に関して論じられてきた効果としましては、1つ目は、化石燃料の使用抑制、低排出設備の導入・利用・技術開発を促すといった価格インセンティブ効果というもの、2つ目としましては、税収を温暖化対策の財源として活用する財源効果、3点目としては、広く国民各層の意識改革を促すというアナウンスメント効果が論じられてきたものでございます。
 続きまして、先の行動計画でも位置づけられておりますが、この意義であります。国全体を低炭素化へ動かす仕組みである。二酸化炭素に価格をつけ、市場メカニズムを活用して、あらゆる部門の排出削減を進めるという位置づけがなされているところでございます。
 広い意味でのグリーン税制の考え方が下の枠でございまして、我が国では、石油石炭税や揮発油税などが環境税的な効果を持っておりまして、自動車税でも重課、軽課がなされておりますし、さらにエネルギー設備などの税の軽減なども広く行われている。全体としてみますと、COを出す人が負担をし、COを出さない努力をする人の負担が軽くなる税制、すなわちグリーン税制が徐々に育ちつつある。ただし、その加速化が課題であるという問題意識に立ちまして、3ページ目以降でございますが、これまで環境省としましては、4年間にわたって環境税の創設を要望してきておりまして、ここにありますのは、平成19年11月に出しました平成20年度税制改正要望の環境税の具体案でございます。
 中身としましては、課税の仕組みとしましてはハイブリッド課税という形をとっておりまして、家庭・オフィスといった小口における灯油・ガソリン・LPGについては上流で課税、工場などの大口における石炭・重油・軽油・天然ガス・ジェット燃料については申告納税、さらに家庭・オフィス・工場等共通で、電気・都市ガスに関しては発電・ガス事業者が用いる化石燃料に対して課税といった形です。
 次に税率・税収額につきましては、税率炭素トン当たり2,400円、二酸化炭素トン当たり約665円ということで、ガソリンで1リットル当たりに換算しますと1.52円、石炭については1トン1,580円。税収額としましては約3,600億円ということで、家計の負担としましては、世帯当たり年間約2,000円、月額で約170円ということで、諸外国と比べて低い水準としてございます。
 軽減措置としましては、国際競争力の確保や排出削減努力の奨励促進等のため、大口排出事業者において、削減努力をした場合は、イギリスの例に倣いまして8割軽減で、いわゆる原料炭などにつきましては免税、灯油については5割の軽減などの軽減措置をしております。
 使途につきましては、一般財源ではありますが、税収については、温暖化対策のための住宅とか自動車とかの減税等に重点的に充てられないかということでございまして、さらに税収の一部を地方公共団体へ譲与するという案をこれまで出してきたところでございます。
 4ページでございますが、これまで4年間ほぼ同様の案を出してきておりまして、税率につきましては炭素トン当たり2,400円、税収についても3,000~4,000億円のもので要望してきたところでございます。
 5ページは、これらの要望につきましての昨年度までの評価ということでありまして、一番上が政府税調の答申、真ん中が党における税制改正大綱、一番下が京都議定書目標達成計画の閣議決定文書でございまして、4年間ほぼ同様の評価がなされてきているところでございます。一番上の政府税調答申の3行目を紹介させていただきますが、「環境税については、国・地方の温暖化対策全体の中での具体的な位置付け、その効果、国民経済や国際競争力に与える影響、既存エネルギー関係諸税との関係等を十分に踏まえ、総合的に検討していくべき課題である」ということです。真ん中の大綱においてもほぼ同じ位置づけがなされておりまして、一番下の目達計画においてもあわせて、「諸外国における取組の現状などを踏まえて、総合的な検討を進めていくべき課題」とされているところでございます。
 以上が昨年度までの位置づけということで、6ページ以降は、新しい大きな動きとしまして、道路特定財源をめぐるこれまでの動きということでありまして、昨年12月の政府・与党合意、道路特定財源の見直しにつきまして、道路特定財源制度の維持を前提とした上で、アンダーラインでありますが、「環境面への影響にも配慮し、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持する」ということです。これが、今年1月からの通常国会における道路特定財源の一般財源化、暫定税率廃止をめぐる与野党議論の結果としまして、今年3月、総理が記者会見におきまして、道路特定財源制度については廃止し、21年度から一般財源とし、一般財源化に伴って、暫定税率を含めたガソリンなどへの税率の在り方についても今後検討、ガソリンなどに課税することでCOの排出を抑制して、地球温暖化対策に取り組んでいる国際的な動向等を踏まえて検討という会見がなされております。それでも4月には一たんは暫定税率は失効いたしまして、これを受けまして4月11日に政府・与党決定の中で、総理会見の内容を踏まえまして、道路特定財源制度は一般財源化し、暫定税率も含めた税率は、環境問題への国際的な取組み等を踏まえて、今年の税制抜本改革時に検討と。これを受けまして4月30日に衆議院で再可決し、5月1日から暫定税率が復活したわけでございます。5月13日に閣議決定で同じ文言で、環境問題への国際的な取組み等を踏まえて検討と盛り込まれたところでございます。
 7ページが、そういった流れの中で、国会答弁等でどのような議論があったかということであります。1月の国会における総理の答弁で、アンダーラインのところでありますけれども、「欧州の主要国がガソリンの税金を段階的に引き上げている状況において、地球温暖化対策に逆行しかねない暫定税率の廃止を行うことは、国際的な理解を得がたいのではないかと考えております。現行税率維持は、地球温暖化問題への対応の観点からも必要である」ということを答弁されております。
 2月の官房長官答弁でございますが、一般的に大体の商品には価格弾力性というのがあるのがごく当たり前であり、そういう相関関係があるからこそ北欧やヨーロッパの国々が、環境税、名称は変わっても、ガソリンに関する、あるいはCOに関する値段を上げて消費を抑制しようということで、それを上げているということでございます。その後、一般財源化表明後にも3月に総理の記者会見で、「世界では、ガソリンに対する税金を引き上げる傾向に今あります。ガソリン価格の引き上げが、COを排出するガソリンの消費を抑えることに役立つと考えているからであります」ということで、最後の部分ですが、「今、私たちは京都議定書の6%削減を達成しようとしております。少なくとも環境問題を重視すべきこの時期に、ガソリンの税率を引き下げることは適当ではないと考えております」といった会見がなされたところでございます。
 おめくりいただきまして8ページでございますが、今年に入ってからのもう一つの大きな流れとしましては、先に紹介のありました6月の総理演説、7月の洞爺湖サミットに向けて総理が演説しました「「低炭素社会・日本」をめざして」の中で、2つ目の○ですけれども、2050年の世界全体での半減目標、我が国においては6割から8割を削減する長期目標を掲げる。この3つ目の○ですけれども、具体的な政策の4つの柱としまして、1つは技術開発、2つ目の柱としまして、国全体を低炭素化へ動かしていくための仕組みとしまして、1つは、この秋、排出量取引の試行実施、もう1つは、この秋、環境税を含め、低炭素化促進の観点から税制全般を横断的に見直すという明確な位置づけがなされたところでございます。
 9ページですけれども、申し上げました道路特定財源の一般財源化の流れと低炭素社会への流れ、これがいわば合流する形で「骨太方針2008」が6月に閣議決定されたところでございます。2.道路特定財源の一般財源化、これは先の文言で盛り込まれておりまして、4.でございますが、税体系の抜本的な改革に向けて(税制改革の重点事項)、(4)の文言ですけれども、先ほど申し上げました「道路特定財源の一般財源化の問題にとどまらず、環境税の取扱いを含め、低炭素化促進の観点から税制全般を横断的に見直す」と盛り込まれまして、骨太方針策定以来初めて明示的に「環境税」という文言が盛り込まれたということでございます。
 これを受けまして、先の総理演説を具体化する行動計画が7月に閣議決定されまして、税制のグリーン化という柱で同様の文言が盛り込まれたところでございます。
 10ページ以降ですけれども、続いて、本委員会の6つの論点の1つでもありますし、先の道路財源に係る国会答弁の中でも言及されています諸外国における環境関連税制の現状等ということであります。
 11ページ、日本と諸外国のガソリン価格・税負担額の比較ですけれども、例えばイギリスでは、ガソリン価格は256円、このうち税負担額、いわゆるガソリン税とVATを合わせて158円。それに比して日本では、2008年6月の価格ですが、172円で、そのうちガソリン税、消費税を合わせて62円という数字になってございます。
 1枚おめくりいただきまして12ページですけれども、欧州諸国のガソリン税の税率の推移ということで、欧州諸国、イギリス・ドイツ・フランスを紹介しておりますが、地球温暖化対策などを理由として、ガソリン税率を段階的に引き上げてきておりまして、我が国は、現在でも低い53.8円という税率を維持しているという内容でございます。
 13ページは軽油価格・税負担額の比較でありまして、例えばイギリスで軽油の価格が235円、税負担額は115円、日本は、2008年6月の数字ですけれども、軽油価格が152円で、税が39円という数字でございます。
 1枚おめくりいただきまして、軽油に係る税の税率の推移です。これも同じような傾向でして、欧州諸国は段階的に引き上げている一方で、我が国は現在でも低い税率を維持しているということでございます。
 次の15ページは、自動車燃料以外も含めた諸外国における温暖化対策を目的とする税制の例ということで、イギリスにつきまして、2つ目の○が今申し上げましたガソリン・軽油などの炭化水素油税です。そのほか、1つ目の○の気候変動税を2001年に、石炭や天然ガス・電力等を対象とした新税を入れてございます。
 続いてドイツにつきましては、1999年に環境税制改革と銘打ちまして、まずは鉱油税の税率、ガソリン・軽油の税率を引き上げています。その後2006年に、これをエネルギー税と改称改正いたしまして、石炭課税の追加ということをしております。あわせて1999年に電気税を新設しております。
 最後にデンマークです。環境省がこれまで要望してきたものがこの北欧型の新税としての炭素比例の炭素税を目指してきたわけですけれども、デンマークは92年に炭素税を入れておりまして、ガソリン・軽油・天然ガス・石炭・電力等に対して広く対象とする税を導入してございます。
 続きまして16ページですけれども、イギリスの石炭課税やドイツの電気税を紹介いたしましたが、我が国での既存の環境関連税制というものを参考でつけてございまして、揮発油税から始まって、税収2.7兆円のものを初めとしまして、軽油引取税約1兆円、石油石炭税や電源開発促進税等々もありまして、以上がいわゆるエネルギー税制になりますが、このほか、自動車重量税を含め、自動車関係の税が環境関連税制として位置づけられております。
 17ページにOECD統計上の数字。OECD統計上の環境関連税制という概念がございまして、今申し上げたその表にありますものが、日本における環境関連税制のすべてであります。左が日本の環境関連税制でございまして、エネルギー物品で約484億ドルですから約5兆円で、自動車関係の税についても290億ドルで約3兆円と。右側が環境関連税制の税収ということで、対GDPの比率でございます。日本は1.7%と、例えばイギリス・ドイツ・フランスなどは2%台で、OECD平均が一番下の1.8%ですけれども、先の国会の議論においても、OECD平均よりも日本が低い中で、暫定税率の水準を下げることは国際的な理解が得られないのではないかといった議論がなされてございます。
 続きまして18ページですけれども、環境税でありますので、納税者の理解が不可欠ということかと思います。国民各界各層の理解はどういう内容かということでありますけれども、19ページでございます。
 これは、今年の6月に奥田前経団連会長を座長としまして官邸のほうで地球温暖化問題に関する懇談会が開かれ、ここで提言がなされております。低炭素社会日本の実現を目指して、社会のイノベーション。重要となるのが「炭素への価格付け」である。環境税など、新たな政策手法もこうした視点に立ってとらえる必要があるということが言われておりまして、今年の5月この懇談会の下に、排出量取引制度と環境税を専門的に検討する政策手法分科会、本専門委員会の中里先生や上田先生もメンバーでいらっしゃった分科会でございますが、ここでの中間報告、議論の論点整理としまして、環境税につきましては、新税ではなく、インセンティブ減税や、既存税制の活用、道路特定財源の一般財源化を踏まえた対応を検討すべきという意見があったと。委員の意見の整理で、積極的な意見としましては、[1]で、炭素に価格をつけ、インセンティブを与え、公正な費用負担を求めるような体系を作るべき。あわせて既存税制の活用が必要ということで、既存税制の活用や、道路特定財源の一般財源化も踏まえながら、消費抑制を図るべき。揮発油税、軽油引取税、石油石炭税、電源開発促進税を含めた既存環境関連税制の税率引き上げ、税の名称等における地球温暖化防止の観点をうたうことも検討する必要といった意見が出されたところでございます。
 続きまして20ページは、この懇談会の中で委員から、CO換算をシミュレートした既存エネルギー税制の税率を出したものでございます。左側が日本の現行税率でございまして、ガソリンにつきましては1リットル当たり53.8円、これを二酸化炭素トン当たりにしますと約2万3,000円。軽油引取税につきましては、二酸化炭素トン当たりにしますと約1万2,000円。石油石炭税につきましては、例えば2つ目の石炭を見てみますと、1トン当たり700円ですが、これを二酸化炭素トン当たりにしますと約290円ということになってございます。右側が参考で、諸外国の税率をCO換算にしたもので、例えばイギリスの炭化水素油税の中のガソリン税につきましては二酸化炭素トン当たり約4万6,000円、軽油につきましても二酸化炭素トン当たり約3万9,000円ということです。下のほうに参考で、例えばイギリスの気候変動税の石炭は二酸化炭素トン当たり約1,200円、ドイツのエネルギー税における石炭については二酸化炭素トン当たり約570円ということで、全体としまして諸外国に比べてすべての燃料について低い水準となっていることと、我が国の燃料間の税率にも大きな差があるというのがわかるかと思います。
 21ページは、経団連御手洗会長の記者会見の発言要旨でございます。まず2段目の去年の発言要旨でございますが、アンダーラインのところですが、「経団連は、環境税等の導入には反対である」と。今年の発言に戻りますけれども、「環境税については、独立した目的税として課せられるものであるならば、反対である。ただし、税を環境対策に充てるということは必要である」という、いわば条件つきの反対という内容に変わっているところでございます。最後に、下の経済同友会の桜井代表幹事の記者会見発言要旨ですけれども、「環境税については歓迎したい。道路財源を一般財源化し、そこから環境税に割り振るという一般財源の使途としての話ではなく、炭酸ガス発生を抑制するために環境税を導入しようということである」と。一番下ですけれども、「温暖化防止には、ガソリンだけでなく石炭やガスなどもかかわっているため、ガソリン以外も含めた広い意味での炭素税、環境税にしなくてはならない」という発言がなされております。
 22ページ、23ページと調査結果。まずは22ページ、内閣府による世論調査結果。19年8月に実施しております。環境税の導入をどう考えますかということで、一番下、平成17年7月調査、2年前の調査におきましては「賛成」が24.8%、「反対」が32.4%。これが2年後の19年8月の調査では「賛成」が40.1%、「反対」が32%ということで、「賛成」が「反対」を上回り、逆転した結果となっております。
 23ページは、環境省が実施しました企業に対する調査、平成18年度における取組みに関する調査の中で環境税についても、「環境税の導入を図るという考え方について、どのように思われますか」と質問しておりまして、これも過去3年間の傾向です。一番下から16年度、17年度、18年度とありますが、「賛成」につきましては37.6%から38.9%に微増している、「反対」につきましては44.9%から39.7%に徐々に下がってきているという結果が出てございます。
 24ページは、本専門委員会での論点の一つでもあります、課税の効果あるいは経済影響について、関連するこれまでの試算ということであります。
 25ページは、まず炭素税による価格インセンティブ効果の試算ということで、本委員会の前身の環境税の経済分析等に関する専門委員会において17年8月報告でいただいております。ケース設定としましては、まず炭素税・補助金なしの市場選択ケースと、炭素税ケースとしまして、炭素トン当たり3,600円の税率で、課税開始は2006年のケースです。補助金ケースで、市場選択ケース比9.5%減にするという想定の低率の炭素税導入で、補助金を還流させるケースというケース設定をしました。試算結果としましては、市場選択ケースですと、2010年でエネルギー起源CO排出量は、90年比で10%増、炭素税の3,600円ケースですと、市場選択ケース比で1%減、マイナス1%の排出量となるという試算でございます。
 炭素税ケース[2]の3万円/トンとありますが、これは大変恐縮ですが、今回はちょっと修正、差しかえが間に合いませんで、17年8月ではこの試算はしておりませんで、さらに数年前に試算した際は3万円である程度の削減効果を出しておりましたが、後日ここの部分は差しかえさせていただきます。大変恐縮でございます。
 一番下の補助金ケースでございますが、市場選択ケース比9.5%減をするための税率については、炭素トン当たり3,553円で、補助金約1兆円程度を還流すれば、9.5%減になるという試算を出していただいております。
 続きまして26ページですけれども、炭素税による経済影響の試算ということです。まずシナリオ設定としましては、炭素税・補助金なしの現状維持シナリオ、続きまして、炭素税シナリオといたしましては、現状維持シナリオからマイナス9.5%にするための税率で、税収は所得税減税に用いるというシナリオで、補助金シナリオにつきましては、同じく現状維持シナリオをマイナス9.5%にするための補助金を活用した低率の炭素税を導入するケースというシナリオ設定のもと、2の試算結果ですけれども、現状維持シナリオでは、経済成長率は2010年には年でプラス2.2%、炭素税シナリオにつきましては、現状維持シナリオからマイナス9.5%にするためには炭素トン当たり約7万2,000円の税率ということで、ただし所得税減税のシナリオでありますので、2008年から2012年におけるGDPロスは、現状維持シナリオのGDPに対して平均0.19%減、年率換算で0.04%減にとどまるというものでございます。補助金シナリオにつきましては、同じ効果を見込みまして補助金を活用ということですので、税率は炭素トン当たり約6,100円で、GDPロスにつきましては、補助金の還流がありますので、平均で0.13%減、年率換算0.03%減にとどまるという試算をいただいております。
 27ページは、このほか、別の関連する試算としまして、仮に道路特定財源の暫定税率が廃止された場合のCO排出量の増加の試算を昨年10月、国立環境研究所にしていただいております。仮定としまして、2008年から揮発油税、地方道路税、軽油引取税の暫定税率が本則税率に変更されることとしまして、ガソリンにつきましては25.1円引き下げる、軽油につきましては17.1円引き下げるという前提で、結果としまして、第1約束期間平均で年間約800万COトンの増加になるということで、これは1990年基準年比の温室効果ガス総排出量12億6,100万COトンの約0.6%分の増という試算をいただいております。
 続きまして28ページ以降ですけれども、これら試算の前提となる経済状況が現在どうなっているかということであります。現下の経済状況についてということで、29ページ、まず原油価格の年次推移でございます。1976年で1バレル12.2ドル。これが年々上昇しまして、2006年には1バレル72.2ドルになっております。
 30ページですけれども、2007年1月から月単位でとっておりますが、1月が1バレル54.51ドルが、2008年7月3日最高値で1バレル145.31ドルを記録しまして、一たんは8月18日に112.92ドルまで下がっておりますが、また現在上がっている、いわば乱高下しているという状態でございます。
 31ページは、これに伴いまして、原油、石炭、LNGの輸入価格がどうなっているかということです。並行して引き上がっておりまして、2007年、2008年と急騰しております。例えば原油で見ましても、2008年6月で1キロリットル当たり約8万円、LNGで約6万5,900円、原料炭で1トン2万3,459円、一般炭で1トン当たり1万3,753円という価格になっております。
 32ページは、別の単位で1,000キロカロリーの熱を得るための輸入価格ということであります。同様にもちろん最近上がっているわけですが、原油については8.8円、LNGで5.1円、一般炭で2.2円となっております。
 33ページは、価格とあわせまして消費はどうなっているかということで、一つの例としまして、一般電気事業者の燃料消費実績でございます。石炭で最近2006年と2007年で5,000万トン超でありまして、天然ガスで4,000万トン超、重油と原油で1,000万キロリットル超となってございます。
 34ページは、続いてガソリン価格とガソリン販売量の推移でございます。98年の1リットル当たり97円からの価格の上昇で2007年146円となっておりますが、消費量につきましては、2004年度の6,148万キロリットルをピークに2005年度から減少傾向にございます。
 35ページ、軽油につきましては、96年度をピークに消費量は減少、価格も上昇傾向にございます。
 36ページですけれども、ガソリンについて、特に4月の暫定税率失効によるガソリン価格が約25円下がった、この前後のガソリンの月間販売量でございます。まず、季節変動がありますが、全体的に年々消費量が減って、左上の図からわかるかと思いますが、4月に暫定税率が一時的に失効しまして、価格が153円から131円と下がっておりまして、販売量は対前年同月比プラス17%増になっております。3月の買い控えや4月の駆け込み需要といったバイアスが存在するものと考えられますが、価格が需要に影響を与えているということかと思います。長期的には、右下にありますとおり、価格の上昇に伴いまして販売量が減少しております。
 最後の37ページは、現下の経済状況ということで、平成20年度経済動向試算で、7月に内閣府が試算しております。実質GDPで、20年度、本年1月の経済見通し政府決定は、実質GDPがプラス2.0%、名目GDPが2.1%でしたが、これが最近の原油価格の高騰、アメリカ経済の減速等を受けまして、評価としましては、我が国経済は回復が足踏み状態にあって、一部に弱い動きがあるとされているわけですが、これを受けまして、この7月の内閣府の試算におきましては下方修正される形で実質GDPについてはプラス1.3%で、名目GDPについてはプラス0.3%ということでございます。
 以上、資料5、環境税をめぐる最近の状況についてでございました。

○神野委員長 どもありがとうございました。
 最後に総合的にご議論いただく時間を設定してございますので、そのことを念頭に置いた上で、とりあえず今ご説明いただいた、いわばこの委員会がスタートするに当たって共有しておいたほうが望ましいような情報を説明していただいているわけですけれども、ご質問があればちょうだいしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 増井先生、何か補足を含めてございますか。別にいいですか。
 あとよろしいでしょうか。横山先生、よろしいですか。よろしいでしょうかね。
 それでは、4番目の議題でございますけれども、当面のこの委員会の検討事項、アジェンダといいますか、論点について、本日初回でございますので、これから進めていくこの委員会のアジェンダについて、事務局のほうから案を提出していただいて、それをもとに議論を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○環境経済課長 それでは、資料6をご覧いただきたいと思います。
 先ほど、今までの専門委員会等での議論、それから温暖化対策、環境税をめぐるさまざまな動き、これらはある程度の把握はしているわけですが、今後の具体的な税制の提案をするに当たりまして、こうした重要な点について、昨今の情勢変化を踏まえてさらに専門的に分析していく必要があると考えているところでございます。そこで、最初に申し上げました6つの論点ごとに少し整理したものを用意したのがこの資料6でございます。あくまでも今後の審議のたたき台でございますので、今日はこの中身についていろいろとご指摘をいただければ、それに沿って今後の審議のための準備を進めていきたいと思っております。
 最初の頭書きのところは、今申し上げたことに尽きますので、早速それぞれの項目ごとにご説明をしていきます。
 まず1番の地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付けということでございます。これも先ほどの説明にもありましたけれども、まず短期的には、京都議定書の約束を達成するという意味で、この環境税、グリーン税制をどのように位置づけるのか、位置づけるべきなのか、こういう点がまず短期的な課題として挙げられます。我が国の排出量の速報値・確定値を毎年出すわけでございますし、目標達成計画は年に2回厳密な進捗管理を行うわけでありますので、その結果を受けて、環境税も速やかに検討すべき課題として挙げられているわけですので、今後の排出量の推移、それから対策の進捗状況を見ながら検討していくことは不可欠になります。
 次に中期目標、これは来年のしかるべき時期に発表するものでありますし、長期目標については、既に2050年までに現状から60~80%削減という目標が今位置づけられているわけでありますので、この達成方策としての環境税、グリーン税制の位置づけが議論の対象になります。
 また、それぞれの目標達成のため、部門別にどういう対策の役割があり得るのかということで、産業、運輸、家庭・オフィス、それぞれ排出量の推移や対策の組み方には特徴があるわけで、規制をかける、また自主的な取り組みが先行している、10月を目途に試行が開始される排出量取引、そして普及啓発、国民運動の展開、さらには経済的な助成・補助、こういうものと今後の環境税・グリーン税がどういう関係になっていくべきなのか。特に公平性・効率性・確実性という点から見てどうなのかということを再度確認する必要があると思っております。
 それから2番目は、これは最も大きな情勢変化の一つでありますけれども、原油価格の高騰によりまして経済の状況がかなり変わってきている。その中で環境税の課税効果は依然としてあるのか、どの程度あるのか、こういう分析はやはり不可欠だろうと思っております。その前提として、原油価格の高騰等に伴うエネルギー価格は、最近の推移は先ほどのグラフでお示ししたところでありますが、近い将来はどうなるのか。また、今年4月に行われた暫定税率の短期的な失効のときの状況もどのように見ていくのかという短期的な視点もございますし、長期的には、新興国の成長に伴ってエネルギー需要が増大して、価格は上がるのではないかという一般的な予測のもとで、どのようにこの税の効果を見ていくのかという前提の見通しが必要になってくると思います。
 それから、原油価格の高騰等の経済の前提条件が変化している中での環境税の今日的な意義・役割ということでございます。価格インセンティブの効果、財源効果、アナウンスメント効果、これは今までも何度となく議論されてきて、その効果を確認してきたところでございますが、今申し上げましたような原油価格の高騰等を受けて、今日的にこの意義・役割がどのようになっているのかを見きわめることは大変重要だと思っております。
 続きまして、3番目の項目でありますが、今度は、国民経済や産業の国際競争力に与える影響はどうなのかということです。これも、各界からこれを懸念する、またこれをもって環境税が問題であるというご指摘がずっとあったわけでございますけれども、先ほどのような経済の状況が変わったということも踏まえまして、現在での国民経済や産業への影響はどうなのかということを一度見きわめる必要があると思っております。あわせて、国際産業競争力への影響、炭素リーケージの可能性。これも従来から指摘があった点でございますので、現時点での状況下での分析をする必要があると思っております。また、こういう影響がなるべく少なくなるような税制上の軽減方策も検討しておかなければなりません。これには、ヨーロッパ諸国が既に導入している軽減措置を十分調べながら、我が国の税制の体系の中でどう位置づけられていくかも考えていく必要があると思っております。
 次に4番目の既存エネルギー関係諸税との関係です。一つ目の道路特定財源の温暖化対策としての役割・効果、これが2つ目の非常に大きな情勢変化になるわけでございます。既に、道路特定財源を一般財源化するということが決まっておりますし、その中で暫定税率の位置づけ・扱いは焦点になっておりますが、環境省としては、全体として少なくとも現状の水準を引き下げないことが必要ではないかということを今回の税制改正の要望で打ち出しているところでありますが、これとの関係ということを分析する必要があると思っております。
 また、それ以外の既存のエネルギー関係諸税の温暖化対策としての役割・効果が一定程度あるということですけれども、それとの関係をどう見ていくのかということも大変重要な課題だと思っています。
 5番目、諸外国における取組の現状でございます。これも先ほど一部をご紹介したところですが、炭素税という形での導入、また既存エネルギー税制の活用ということで、ガソリン課税によるCO排出抑制への取組み、ガソリン課税を強化していく傾向がありますが、そういった環境問題への国際的な取組みの現状を、もう少し最新の情報を集めて整理しておく必要があると思っています。そして、諸外国における炭素税やエネルギー税制の活用も含めた税制がどのような効果を現しているかもできるだけ調べてご紹介し、今後の審議の参考にしていただければと思っております。
 最後に、関連する個別のグリーン税制との連携ということでございます。これは、21年度に向けての税制改正要望の中でも、自動車諸税の軽減措置、特に低公害車・低炭素車に対する軽減措置、さらにはその中でCOの排出量を課税の基準に組み込むことができないかということも要望の中に入れております。それから、住宅に係るさまざまな軽減措置がありますけれども、さらにこれを強化していくとか、さまざまなことを要望していますが、当然これとの関係、位置づけということもこれから審議していただく必要があると思っております。
 繰り返しになりますが、今申し上げたことは、過去の専門委員会の議論にも登場してきたものがありますが、現時点での分析ということになります。私どもとしては、COの排出削減の観点から申し上げますと、炭素税という形態が理念的にも最も効果的と考えられる一方で、現下のさまざまな情勢変化に基づいた分析をしていただきまして、グリーン税制全体での環境税の位置づけ、またそのあり方について、専門的・技術的な観点からご議論をいただきたいと思っているところでございます。
 以上、これまでのさまざまなご指摘や審議の踏まえた論点を整理したものでございますが、あくまでもたたき台でございますので、これ以外の論点、さらにもう少しこういう観点から議論が必要だということがあれば、ぜひご指摘いただきまして、これからの審議に向けた準備に反映させていきたいと思っておりますので、ご指摘よろしくお願いいたします。以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、この委員会がこれから進めていく上での検討事項・論点を整理していただいたのですが、ご質問、ご意見をいただければ。ご欠席の委員からのコメントは、ここでやってもらったほうがいいんでしょうか。

○環境経済課長 上田委員と和気委員には事前にこの紙をお送りして、もしご意見があれば事前にお送りいただきたいと申し上げたのですけれども、今のところご提出がございませんでしたので、今日の結果は後日ご報告させていただきたいと思います。

○神野委員長 わかりました。
 いかがでございましょうか。ご遠慮なくどうぞ。天野委員、ではお願いできますか。

○天野委員 かなり論点が広いので、一度に全部はなかなか言いにくいんですが、とりあえず2つばかり申し上げたいと思います。
 1つは、この委員会というのは、炭素税といいますか、環境税を中心に扱うということですが、経済的手法というお話が先ほどございましたので、経済的手法というのは、炭素税あるいは環境税と、それから今別のところで審議されておられる排出量取引という、2つの大きなものがあるわけです。この2つは、よく学者などはお互いにどちらがいいかといった議論をしていますけれども、私は、それぞれに特徴があって、環境税は環境税なりの使い方があるし、排出量取引はそれなりの使い方があって、どちらも自分のできないことを相手がやっているという特徴があると思うんです。ですから、私は、2つの委員会を別々にやって、別々に議論してやれるようなものではなくて、炭素税の使い方を考えるときには、排出量取引がどうなっているかということを頭に置いて考えなければいけないし、逆に排出量取引のほうでも、環境税がもしかかるとすれば、排出量取引はこういう点はこうしなければいけないというので、両方がそういう形で策定する必要があるかと思うんです。いきなり最初からそれをやるのは大変でしょうから、ある程度検討が進んだ段階でそれぞれ意見を交換して、両者が一番得意な分野、特徴のあるところを強めるような形でそれぞれ政策を策定するのが妥当ではないかと、私は考えております。最近は、両方の制度が割合あちこちで国際的にも議論されるようになってきましたので、そういった得手不得手といいますか、炭素税も排出量取引もそれぞれをベストに使うにはどのようにすればいいかという議論がかなり見られるようになってきましたので、私はやはり、これだけの大きな、日本で今までやっていなかった制度を2つ一緒に導入しようというわけですから、その辺はきちんと最新の情報をつかんで、検討していただけたらと思います。これが一つです。
 それからもう一つは、これは以前私も専門委員会に入ったりして議論を聞いたりしていまして、非常によく出てくるのが、既存の税制があって、それもやはり例えばいわば炭素税に相当するような要素を含んでいる部分があるから、新しい炭素税を入れるときには、それと調整をして入れなければいけないという議論が非常に多いんです。私はこれには大変疑問があります。例えば、道路税の場合は一般財源化しましたので、ちょっと別に置いておきますけれども、仮に揮発油税というのを取り上げますと、これは確かにエネルギーに税金がかかっていますので、揮発油の中に含まれている炭素にもかかっているわけですが、一体揮発油税というのは何の目的でかかっているのか。二酸化炭素を減らすために揮発油税をかけたのであれば当然そうでしょうけれども、揮発油税というのは、もともと当初の目的があって課税されているわけです。ですから、炭素税があろうがなかろうが、かかっているわけです。炭素税というのは、そういう状態で排出されている二酸化炭素の量を見て、これでは多過ぎると。だから、それを減らすために炭素税を導入しましょうというわけですから、揮発油税があろうがなかろうが、そういうことを考えなければいけないんです。逆に言いますと、揮発油税その他の現在他の目的で導入された税というのは、すべて与件なんです。その与件があってなおかつ炭素が多過ぎる。そのために、多過ぎる分を減らすには幾らの炭素税をかけるかというのが炭素税の役割ですから、揮発油税がかかっているものを前提にして、追加の炭素税を考えるわけです。その際に、もともとの揮発油税等がかけている炭素税を調整するのであれば、そうすると、我々がかけようとしている炭素税も何か揮発油税の目的に引きずられるような、つまり二酸化炭素を減らすという目的ではなくて、揮発油税の持っている目的に引きずられる税になってしまうわけです。これは税としてはおかしいと思うんです。環境税というのは、これは他の税とは全く違いまして、価格効果を通して環境の影響を減らすことだけが目的なんです。ですから、税収を上げるというのは目的ではないわけですが、揮発油税その他の税は、税収が目的なんです。ですから、目的が全然違う税という認識が余りなくて、どちらも税という名前がついていますので、こちらの税でやっていることをこちらの税でやるのはおかしいという議論が出ますけれども、環境税は税収を上げるためにかけるわけではありませんので、ですから、現在の二酸化炭素の排出量だけを考えて本来はかけているわけです。もちろん税収が入ってきますので、それをどうするかというのは環境税の税率を決めるときには余り影響のない話だと私は思います。ですから、既存の税の中に含まれている二酸化炭素分を一々計算して、その対象に対してはこちらの炭素税の税率を少し低目にかけるというのは、ちょっとおかしいと私は思うんです。ですから、そのあたりをきちんと理論的に議論する必要はあるだろうと。だから、税収は確かに税ですから、関係がないことはありませんけれども、環境税の目的あるいは炭素税の目的というのは、二酸化炭素を現在の与えられた状態からどう変えるかという観点で決める。私はこれを考えないとおかしいと思いますので、原理的に言えば、既存税との調整は一切考える必要はないと私は思っています。
 以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 中身についてはともかく、今の天野先生の論点のうち、最初のポリシーミックスについては、一応1番のところで取り上げるということでいいわけですね。既存のエネルギー関係諸税との関連というか、これをどう考えるかという内容は別として、4番のところで一応内容的には挙がっているという理解でいいですね。事務局のほうもそのように考えているということですね、はい。

○天野委員 最初の1番の問題ですが、具体的な位置付けというのがありまして、ここには京都議定書の目的を達成するということ、それから中期にどうするかということ、長期にどうするかということ、こういうのが入っているわけです。炭素税の影響が、京都議定書の中期・長期と持っている特徴と、排出量取引が持っている3つの特徴は違うんです。そうすると、ここの話は、今のような話を無視してやるわけにはいかない。

○神野委員長 つまり、今のポリシーミックスのような話は、地球温暖化対策全体の中の位置づけということを含めて、一応論点として取り上げることになっているという理解でいいですねと。

○環境経済課長 はい、結論としては全くそのとおりだと考えておりますが、ここでの書き方が、今、天野委員からのご指摘のとおり、1つ目と2つ目の○は、短期・中期・長期という目標の設定に対しての位置づけと、3番目の○は、私は先ほど部門別の対策との関係ということで少し狭めた申し上げ方をしたのですけれども、この中では、他の対策との関係というところでは、言葉では申し上げましたけれども、排出量取引も当然今俎上に上がって試行の準備が進められていますので、それとのポリシーミックスのあり方も大変重要な論点だと認識しております。

○神野委員長 もしも誤解があるようであれば、あえてもう一つ○でもつけてもらって、今、天野先生がご指摘になった2つの、いわゆる経済的手段と言われているものとそれ以外のものまで含めて、しかも特に経済的手法の2つが同時に動き始めますので、その辺の関連をどう考えるのかというテーマは扱わないというのではなくて、扱うと。これは諸富君なども非常に重視しているところなので、扱いますのでということです。
 それから、今ポリシーミックスと既存税制との関係について、中身を深くやるのは、今後いずれにしても議論していきますので、スタートするに当たって何かコメントはありますか、諸富委員から。

○諸富委員 せっかくいただいた機会ですので。大体重要なことはここにざっと盛り込まれてはいると思うんですが、これから考えるに当たっての税のデザイン、基本的なデザインについて、ある程度まとまった議論をする必要があるのではないかと考えます。天野先生がおっしゃったことは、私は全く賛成ではありますが、天野先生のおっしゃったことは、新税として炭素税を既存税制に追加的に導入することを考えるべきだという意味だと思うんです。つまり、新税としてこれから新たに炭素税といいますか、明確な哲学に基づいて化石燃料の炭素含有量、あるいはそれを燃焼したときのCO排出量というものに着目した課税というものを考えるべきだというご意見だったと思うんです。
 ただ、今回新たに環境税の議論が再び大きな焦点になってきたのは、事務局から説明していただきましたように、一つは、道路特定財源の一般財源化というものが行われることが決まって、道路と直接的に使途が、つまり化石燃料の税収の使途が必ずしも道路と結びつかなくなってきたという事情があります。とりわけ暫定税率がなぜあったかというと、それは税収の使途を道路整備に限定しており、その受益者負担の観点から正当化されていたわけです。したがって、それを一般財源化してしまうと、そこの連関があいまいになってくるので、改めて暫定税率分を含めて税率のあり方をどうするかという課題が投げかけられているわけで、それをどのように議論していくのかということもここでのテーマの一つではないかなと思います。そういう意味では、新税として既存税制に追加的に環境税を導入することの妥当性という議論のほかに、そもそも既存税制でかかっている化石燃料課税のあり方をどうするのか。環境の観点から見た場合に、税率水準はこれでいいのかどうかとか、それからそもそも課税ベースも炭素含有量その他に切りかえる必要はないのかということが議論の焦点になってくると思います。現行の税率水準を維持すること自体ももちろん環境にとってはいいと言えるのですが、リッター当たり幾らという形で化石燃料ごとの物量単位で課税をしておりますから、単純な従量税になっています。それを例えばCOの排出に応じたものにすれば、石炭は負担が現状では軽過ぎないかとか、天然ガスはもう少し引き下げていいのではないかとか、そういう議論も可能になってくると思うのです。そうすると、燃料種別間での負担均衡は今のままでいいのかどうかという議論にもいきますし、そもそも下流では課税がなされていない燃料種別もありますから、こういったものに新たにかけるということはどうなのかとか、そういった議論が焦点に上ってこざるを得ないのではないかと考えております。
 それから、増税をする方向で考えていくのか、現状の議論からいって税収中立的に考えていくのか。どこかを上げたらどこかの負担を下げるといった議論でやっていくのか。既存の化石燃料の課税ベースを炭素含有量に切りかえるという議論は、ある種、既存税制の枠内で税収中立的で、新たな増税はしないけれども、実質的に既存税制が持っている炭素排出抑制効果を強化するといった意味合いを持つと思いますが、そういったアプローチを目指していくのか。いずれにせよ、ざっと申し上げましたが、そのデザインをどうするのか、哲学をどうするのかという点が重要だと思います。実は、ここの2点目、3点目は課税の効果、影響ですけれども、効果としてどういうものを見込むかという点に関しても、税のデザイン等がはっきりしていないと、計算のしようもないかなという気がいたしました。
 以上でございます。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 どうぞ、天野委員。

○天野委員 環境税というのを新しく導入する際は、環境税というのはもともと税収を上げることが目的ではありませんので、普通は新しく導入された環境税の税収をどうするかという議論は必ずされるわけです。普通は、今先生がおっしゃったように、税収を戻して税収中立にしてやる。ですから、そもそも税収を中立にするときには、新しく導入された環境税の税収をほかの目的に使っても中立化できるわけです。既存の税を一切触る必要はないわけです。ですから、私は税収中立という話と今の話がどこで結びつくのかよくわからないんです。ですから、揮発油税というのが、例えば炭素税をかけて、炭素税の税収を全部戻して、それはほかの形に戻せるわけですね。いろいろな形があります。そのときになぜ揮発油税をいじらなければいけないのかという理由がよくわからないんです。税収中立は揮発油税と関係なしにできるわけです。

○神野委員長 一つ、ここに入ってはいますが、今の諸富君が提起してくれたデザインとか、それから哲学とかという問題を含めて議論すると、ともすれば抜け落ちるのが、環境政策全体の中で環境税をどう位置づけるかというのは、ここから出てくるわけですし、ここの委員会の主たる任務なんですが、私ども税制の専門家からいうと、税体系全体の中でどう位置づけるかという問題があるわけで、それは多分この4、6に関係し、かつ3、5なども全部関連してくる問題になるわけです。強いて言えば、関連する個別グリーン税制の中に税体系全体をも含めて強いて読むと考えておけば、天野先生のご意見も一つですし、環境税についてはいろいろな考え方がありますし、その税収全体の中立といったときに、そこだけ税収中立にするのか、どの程度やるのかということも含まれるので、読み方としては6番のところかな。ここに少し、「関連する個別のグリーン税制だけ」ではなく、もうちょっと広目に議論してもいいという余地を残しておけば、ここで議論できるということになるのかな。そういう理解でいいですか、諸富君の理解は。そうですね。哲学とかデザイン、デザインというのは税制全体のデザインということですが、それを含めて議論する余地を6で残しておくということですか。専門家というか、横山委員、いかがですか。

○横山委員 現下の国の政治状況からして、なかなか難しいなという気がしておりますけれども、私は政府税調のときの議論でも申し上げているのですが、抜本的税制改革をどういうスタンスで考えるのか。といったときに、一定の税収を上げる、その一定の税収の大きさについては議論しないで、税制の姿としてどういう構成なりストラクチャー・構造を持つ税制が望ましいかということを考える。私がそういう意見を申し上げた後に、政府税調で別の委員から、ピースミールでいくのか理念型でいくのかといった議論があったときに、漸進的なやり方、ピースミールで少しずつ直していくといったときには、これだけの増税が必要だから、あるいは財源が必要だから、どうしたらいいのかという議論で改正していくといった手順でいくのかどうか、あるいは理念型でいくのかといったところがあるのではないかというご意見も出ました。
 同じように、私も今、諸富さんが整理してくださったように、今後のことを考えたときに、税制のグリーン化というものをどのように考えるのかといったときに、増税でいくのか、税収中立でいくのかというところはやはり議論をしておいたほうがいいのではないかと思います。私の個人的な意見では、増税云々ではなくて、税制の構造として議論する必要があると思います。税収中立だとしても、天野先生がおっしゃったような形で、新しいピュアな炭素税を入れて、それを戻す法人税減税なり所得税減税でも、これはレベニュー・ニュートラルなわけです。それから、既存の化石燃料諸税なり既存の環境関連税制の税収を一定にして、それをピュアな炭素税にかえる。その既存のエネルギー諸税に関する導入の課税目的等についても、これは考えていかなくてはいけなくなるわけですけれども、そのような考え方でいくのかどうかということも議論しておく必要があるのではないかと思います。今の大きなグローバル化や、あるいはさまざまな格差是正といったときに、そのような中でこのグリーン税制をどのように位置づけるのかという検討も必要になってくるのではないか。だから、公明党の要望の中で総合的な経済対策として定額減税というものが言われたとき、ではその財源はどうするのかといった話の中でも、この税制のグリーン化なり環境税というのも一つの候補としてあるのではないかというご議論も当然出てくるかもしれません。いずれにしても、どういう理念型でこれからの21世紀の我が国の税制の姿を作っていくのかといったときに、やはり税制のグリーン化ということが、これは新しい環境税を入れることも含めてですけれども、非常に重要な方向性を示すという意味で、私はこのような理念を明確にしておいて議論をしていくべきではないかと思っています。
 以上です。

○神野委員長 いずれ、これは要素分析的に6つに分けていますので、どこかで総合するときに出てくる論点になるかなと思いますが、当面、4、6などの議論を踏まえて、ただ単に部分だけやって、ばらばらというわけにいかないので、それを総合するときに組み合わせるかなというときに考えていくということだと思いますね。ただ、今の増税は税収全体も重要だけれども、ここでは主として環境関連にかかわるようなものをどうするかということにここの委員会ではなるかなと思いますけれども。
 あと、どちらが先に。増井委員のほうからいきましょうか。

○増井委員 この資料6の案に書かれていることで網羅されているとは思うんですけれども、僕のほうからは2点ばかり、コメントといいますか、これまでの過去5年ほどの議論を踏まえて、ぜひこの委員会の中で議論していただきたいことを述べさせていただきます。
 1つ目は、この資料6の論点の1のところにもかかわるんですけれども、今回議論しようとしているのが中長期的な話なのか、あるいは京都議定書のような極めて短期的な、もう第1約束期間は始まっていますので、短期的な話なのかという、そこのところで全く税のデザインが変わってくるかと思います。エネルギー、COを下げるという場合には、当然化石燃料の消費量を下げないといけない。ただ、我々は化石燃料を目的にいろいろな活動をしているわけではありませんで、例えばガソリンの消費などでも、自動車を使って、その結果としてガソリンを消費し、COを出しているということで、京都議定書を達成するということを考えますと、極めて高い税率というものが本当にすぐに必要になってくる。ただ一方、長期的な目標、先ほど2050年という話がありましたけれども、2050年といったことを考えましたときに、いきなりそういう高い税率を課していいのかどうかといった議論もあるかと思います。ですから、時間の話、中期目標・長期目標との関係と一応位置づけられてはいますけれども、今回の専門委員会ではどういう位置づけで議論されるのかというところを整理しておいたほうがいいのかなと思っております。
 2点目なんですけれども、1番目の話とか、あるいは先ほどの横山先生の理念型といった話ともかかわってくるんですけれども、日本の環境税というものをどうしていきたいのか、あるいは日本の社会というものをどうしていきたいのか、その日本の考え方といいますか、そのようなものを議論していってもいいんじゃないかなと。当然この中で、例えば5のところで、諸外国における取組の現状ということで、もちろん海外でこのようなことをやっているということを勉強するといいますか、見るのは重要ではあるんですけれども、海外は海外でそれぞれいろいろな特殊事情を抱えておりまして、そういう特殊事情のもとに今の制度を提案なり実施しているという背景があります。ですから、日本として長期的にこのような国づくりあるいは社会づくりをしていきたいという中で、こういう税、特に環境税というものを位置づけていきたいという考え方があってもいいのかなと思っております。
 あと、それに関連するところではあるんですけれども、これまでにそういう税の試算、COの削減効果あるいは経済影響といったものを試算させていただき、公表させていただきました。今回もそういった役割が期待されているんだろうとは思うんですけれども、そういう計算結果を例えば産業界なりの方々に公表し議論したときに必ず言われるのが、理念的にはよくわかるんだけれども、実際それをどう実施していくのかという、そこのところをいつもつつかれるといいましょうか、批判されてきております。ですから、この環境税に関連する検討会も、断続的にではありますけれども、5年かけて行われているわけですので、もうそろそろ腹をくくってといいますか、本当に実施するという、それに向けて、本当に今すぐにでも実施しなければいけないこと、あるいは長期的に見て今から検討すべきことという、そのあたりを、今までももちろん真剣に取り組んできたとは思うんですけれども、本当に実現できるように議論していきたいなと考えております。
 以上です。

○神野委員長 特に前者の中期・長期は、何かコメントはありますか。漠然とした想定でよければ、それで進めますが。いいですか。

○環境経済課課長補佐 環境税の中・長期目標と、短期6%との関係に対するコメントをさせていただければと思います。
 まず、長期目標につきましては、6割~8割削減と、それに向けて環境税についても実効的な仕組みという位置づけがなされていると認識しておりますけれども、中期目標については、来年に向けてこの目標をどう設定していくかという議論に絡んでくるかと思います。そこはどういう目標を掲げるかという中で、環境税についても議論していかなければいけない。6%の関係につきましては、これもまさに目達計画上、この進捗管理をしつつ、必要があれば環境税も経済的手法として位置づけていくということかと理解しております。そこで、では達成が危うくなったときに高率の税をかける必要があるかということも議論としてあると思いますが、もう一つは、まさに先ほどの化石燃料関係の税において、暫定税率の税率を引き下げることによってCOが増えてしまう、目達計画の6%減に逆行するようにCOが増えてしまうという議論もありますので、高率の税をかけるかどうかというのもあるでしょうし、あるいは税率を引き下げないということも6%の関係で環境税として議論していかなければならないと理解しております。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 2番目の日本固有の問題その他については、この5を除く、諸外国における取組の現状という、諸外国に学ぶという以外のところで、もちろん日本固有のことをやっていく。ただ、その参考基準にするんだけれども、その参考基準で重要なのは、単に比較の対象にするということだけではなくて、政策実験をやってくれているので、この諸外国における効果を政策実験とみなして、社会科学では実験ができないので、学ぼうと、2つぐらいの意味があるかなという理解でいいですね。はい。
 では中里委員、税の専門家のほうから、ちょっと……。では、論点が抜けているところがあるかどうか、つけ足しておくところがあるかどうかで、いいですか、ひとつ。

○中里委員 グリーン税制という言葉が使われているので、その内容について、どんなことを読み込むかというのはなかなか難しい問題だと思うんですが、まず常識的に考えられるのは、既存の税制をどのように活用していくかということが、いろいろな意味で、これはもうどうしても避けて通れない問題ですから、それを考えていく。それとの関連でそこでできること、できないことがあるでしょうから、必要というのであれば新税ということもあり得る。そういう順番なんじゃないかと思います。理念をぶつけますと正面衝突になってしまいまして、税の人間から見ると、税収を得ることを目的としないものは税ではありませんので、国税庁が取るわけにはいかないので、そういうのは環境省のほうで環境課徴金ということで取っていただければいいという議論になってしまいますから、それではちょっとなかなか、天野先生がおっしゃることはとてももっともだなとズキズキわかるので、そこを調整するためには、理念と理念の対立はなるべく余り強烈なところでは避けて、既存税制から入って、それで不十分なところは新税を考えて、全体としてグリーン化ということなんじゃないかと思っています。それだけです。

○神野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ほかに追加でご議論を、事務局のほうから何かコメントはありますか。一応私の意見としては、今までご議論いただいた感じからいうと、論点・検討事項はこれでいいのではないかと思われます。環境税をどうやって打ち出していくのか。デザインとか哲学とかを含めて、税のこれまでの考え方からいうと、やや環境税という名前そのものがもともと異質なので、というのは、例えば税の名前というのは、課税客体といいますか、課税をする対象でつけなければならないというのがルールなんです。お酒の税金というのは課税標準である酒税、所得に税をかけるのであれば所得税と、課税客体で名前をつけるというのがルールなんですが、環境税というのは何も環境にかけてしまうという税金ではないので、新たな税理念が必要だということは間違いないのと、それから、我々は未来に対する予知能力は余りないのですが、明らかに10年後、20年後の世界の税制を見通せば、何らかの形で環境関連税制というのは、税体系全体の中で存在感のあるものになっているということは間違いないだろうということを見通して動くしかないかなと思います。
 論点の整理については、今ご指摘があった幾つか抜けているかのごとくに思われてしまうようなものを少し追加していただいて、かつ、案そのものをここで定式化して決めて進めるというほどのこともないので、次以降この会議を設定していく上で、ここの論点を取り上げてもらうのですが、今の議論を踏まえた上で資料その他についてもご準備いただければという程度のまとめでよろしいですかね。今ご議論いただいた委員の皆様方、何かあれば。はい、どうぞ。

○天野委員 今の話は、日本の税制という点から考えれば理解できますけれども、諸外国でも全部そうなんでしょうか。ほかの国でも、環境税というのは今おっしゃったような形で考えられているんでしょうか。

○神野委員長 環境税というのは、どういう意味ですか。今私が。

○天野委員 二酸化炭素税です。

○神野委員長 どういう意味ですか。私は何も。

○天野委員 つまり、環境税というのは他の税と違うとおっしゃったんですね。

○神野委員長 違うと言ったのではなくて、環境税という名前が、例えば炭素税とか二酸化炭素税、これはいいんです。課税する課税標準に名前をかけていますから。

○天野委員 我々は二酸化炭素税を議論しているんじゃないんですか。

○神野委員長 そのように言っているんだけれども、諸外国でも、この名前については緑の課徴金とか、環境とかという名前を使いながら環境関連税をやっていますと。だから、そういう意味で。

○天野委員 ですから、言葉の問題はわかりましたけれども、そういう意味での、要するに二酸化炭素に課税する税を新しく考えてはいけなくて、既存の税をどのように変えるかということしか議論しないんですか、ここは。

○神野委員長 そのように私はまとめておりませんよ。中里先生もそういう言い方をおっしゃったのではなく、まず既存の税制の中でグリーン化などの問題を考えつつ、新税などもそれを踏まえて考えていったらどうかというご提案がありましたが、それが環境税だとかといったことをおっしゃったわけではないと思います。それから、中里先生がおっしゃったような税の定義、つまり税というのは、強制性と、それから無償性、つまり強制的に何の対価もなく、もう一つは収入性がないと税とは言わないというのが定義で、これについてはある程度国際的にも共通しているんです。だから、ある場合には課徴金という言葉を、例えばスウェーデンは最近変えていますが、タックスはつかなくなったなのかな。いずれにしても、世界的にも税という言葉を使わないで、課徴金という言葉を使うかといったことも議論になるのですが、一応税と入れていて、厳格に、一時スウェーデンがやったことがありますが、世界的にも税を使っているんじゃないかな。課徴金という言葉ではなく、タックスを使っていますね。大体使っていますよね。だから、それは一応現在では、厳格な税の定義を、環境税などの新しいものが出てきたために、変えつつあると理解していただければいいかと思います。それについて今議事の中で申し上げたことはありません。ここではそういうことを含めて全体をやっていこうというご提案だったので、既存の税以外の新税というのはあり得ないということを言ったのではなくて、むしろ事務局のほうから、新税として名前があったものを作るほうが本来の問題なんだということを言われていますから、新しく作るということなのですけれどもというのは、そういうねらい、環境税ということを含んで、環境税の目的を達成できるような意味で、少し広目にグリーン税制と打ち出していると理解しているんですが、それでいいですか。いいですよね。新税創設はもちろん含みますが、既存のものの位置づけも含むと。その位置づけというのは、関連性ということを考えながら新税創設を考えていくということも含んでいるという理解だと思います。

○天野委員 ちょっと確認をしておきたいんですけれども、ヨーロッパ、北米を含めて、普通に言われている環境税というのはたくさん入っているわけですね。

○神野委員長 はい。

○天野委員 温暖化を対象にしたものもあるわけですね。日本にはそれがない。

○神野委員長 はい。

○天野委員 ないのをこれから議論して、新しくそういうものを入れようというつもりで私は出てきたんですけれども、何か制度的にそういう言葉を使わないで、今の税制の範囲の中でしか議論ができないと理解したものですから、それは間違いですね。

○神野委員長 そんなことはないですよ。そういう発言はない。事務局のほうから。

○環境経済課課長補佐 これまで、中環審の税制専門委員会とか、そのほかの小委員会などでも、環境税のあり方としまして、新税としての炭素税、あるいは既存税制の活用といった案をいただいておりまして、それを踏まえまして、これまで環境省としまして4年間、新税としての炭素税というものを要望してきておりますし、それがもちろん広く化石燃料全般に対して、炭素に価格がついて課税する、それが最も効果的であるということは、それは環境省として考えているものでありますので、もちろんその辺の議論を深めていただきたいと思いますし、あわせて道路特定財源の既存税制における環境の観点というものも出てきていますから、それとの整理も必要ということで、そちらの議論も深めていっていただきたいということでありますので、もちろん新税としての炭素税の議論を深めていただきたいということであります。
 先ほど委員長からありました諸外国の税ということで、それもこれまでも専門委員会で整理していただいております。北欧では基本的に炭素税ということでありまして、スウェーデンなどはCarbon Dioxide Tax、フィンランドではAdditional Dutyということで、課税標準をCOにしているということで、それで我々は炭素税と呼んでいるんだと思います。そういう基本的に炭素含有量に応じた新税としての炭素税というやり方もありますし、先ほど説明させていただいたように、ドイツのような環境税制改革という名目で既存税制の税率を引き上げるといった環境関連税制のやり方もございますし、それは諸外国によってやり方も異なってくるかと思いますので、そこは我が国に合った環境税のあり方を調査・分析していただきたいと考えてございます。
 以上でございます。

○神野委員長 これは、混乱するといけませんので、全く私の個人的な見解ですが、少なくとも環境税あるいは環境関連税という限りは、汚染物質を課税標準にしていないと、名前を幾ら言おうと、環境税とはなかなか言いがたいかなと思います。

○天野委員 汚染物質というのはどういう意味ですか。

○神野委員長 だから、例えば課税標準としてCO。広い意味で言うと、もうちょっとまた広目に作ることもできるんです。例えば、環境政策に使う財源も大きく環境税と言っている場合があるわけです。つまり、環境目的に充当する財源のために課税をする、収入を目的にするという、これも環境税と。ここで言っている環境税は、CO税ですし、ここで言っているグリーン税制というのは、グリーンといっても、つまりほかの課税でCOに課税し、COを少なくしたものを優遇するような税制ということで言っていますので、CO関係に限られていますけれども、環境税と広く言った場合には、それ以外の人間の環境にかかわるものに課税をするわけで、汚染物質を課税標準とするものを環境税と定義する場合と、それから、さらに含めて、環境目的に使用する場合でも、実現しなかったけれども、アメリカだと、法人の利益に課税し、これを産廃処理に充当するといったものも言う場合もございますので、広く定義していると。ただ、そういう混乱がないために、一応今日は、共有する条件として、定義はこうですということを言ったと。名前もグリーン税制と、これまでの環境税に関する経済分析委員会からグリーン税制と変えたと。そういう理解でよろしいですね。よろしいでしょうか。
 それでは、申しわけありません。私の不手際で議論が混乱してしまっているかもしれませんけれども、予定の時間がそろそろ近づいておりますので、一応今日の論点はこれで終わったということで、事務局のほうで今日の議論を踏まえて次回以降の準備をしていただく。基本的には論点を整理していただいたものを踏まえた準備でいいのですが、今日ちょっと議論になった点を少し考慮していただいて、排出量取引などのポリシーミックスの問題や、それから、ちょっとほかの税金との関係については、そのものは税調でやるわけですけれども、税調でも議論する前段階のように意識だけはしておく。どのように環境税を全体の中で位置づけるか。既存税制との関連の位置づけの程度や量と質の問題かと思いますが、その辺も少し意識するご準備をいただければと思います。
 事務局のほうにお戻しして、連絡事項その他をお願いできればと思いますが、いかがですか。

○環境経済課長 ありがとうございました。
 今、神野委員長におまとめいただいたとおり、今日の検討事項・論点につきましては、ご指摘を踏まえて、少し肉づけをしたものを再度ご提示できるようにしたいと思っております。次回でございますけれども、大変ハードスケジュールで恐縮ですが、今日いただいたご指摘も含めて論点の整理をして、資料を準備していきたいと思っております。まだ日程はこれから調整させていただきますが、できれば今月半ばにも第2回を開きたいと思っております。次回のテーマは、一応今日のこの資料6に基づいて申し上げますと、2番目の原油価格の高騰等の経済状況下での課税の効果について、5番目の諸外国における取組の現状、この2つの検討事項につきまして、資料を用意して、さまざまな角度からご審議いただくようにしていきたいと思っております。それ以外のところも、順次またこちらの準備ができ次第、日程を調整して進めさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

○神野委員長 それでは、私の不手際で少し議論が混乱したかもしれませんが、本日の議事をこれで終了したいと思います。委員の皆様方にはご協力いただきまして、ありがとうございました。また、大臣にはわざわざご臨席いただきまして、感謝する次第でございます。どうもありがとうございました。

午後4時00分 閉会