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中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会
 第23回施策総合企画小委員会 議事録


平成18年2月17日 午前10時00分 開会

○鎌形環境経済課長 おはようございます。定刻となりましたので、施策総合企画小委員会第23回の会合になりますけれども、開催させていただきます。
 それでは森嶌委員長、よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 おはようございます。大分久しぶりでございますが、ご承知のように昨年から予算絡みで環境税の話が政府でも検討されましたが、この後鎌形課長の方からご報告がございますようにいろいろな経緯がございますものの、前回の会議から実質的な進展はなかったと言えばなかったわけです。しかし、いろいろ状況変化もありますので、この小委員会で議論すべきことはある意味では前回に比べて増えているわけでございます。
 そこで最後にそんなに時間はおかけいたしませんけれども、今後の進め方について、皆様にご議論いただきたいと思っております。以前にある委員から、いつまでこの小委員をやっているんだというお話があったことを覚えておりますけれども、私としましては大体3月ごろに中間取りまとめということも考えたいということを申し上げました。しかし、この後事務局から報告がございますように、現時点で何らかの取りまとめをするということに意味があるようには思いませんので、これは後で皆さんにお諮りいたしますけれども、今後さらにこれまで十分に議論を詰めていなかった点、今まで議論したけれどもまた議論をしなければならない点があります。特に既存の税との関係、道路などの特定財源の問題と、今議論しているいわゆる環境税との関係をどう考えるものかというような点、さらには政府が今考えているといわれる税体系全体の抜本的見直し、これも時期的にすぐどうなるのかわかりませんけれども、その中でいわゆる環境税は、従来の租税の基本的な考え方に立つ税と相当違う考え方ですけれども、それをどのように理論的、実践的に税体系の中に位置づけるべきなのかということなどについて、少なくとも将来政府税調などが議論する場合に、この小委員会としては、これらについてこういうふうに考えているんだということを示しておく必要があるように思います。その意味で大きな課題ですが、我々としては、単に環境税を技術的に狭いところで検討するだけでなく、大きな視野のもとで大きな課題について、十分と言えないまでもきちっと議論をしておかなければならないと考えております。この点、後でお話いたしますが、きょうのところはこれまでの経緯、環境税について政府や与党で議論をされてきたところをご報告し、その後、我々として今後どういうことを議論するのかということについてもお諮りをしたいと思っております。
 そこで、今回はまず事務局から平成18年度の税制改正と、平成18年度の京都議定書目標達成計画関連予算案について報告をしていただきます。これらは既に公表されておりますので皆さんもうご承知かと思いますけれども、この際報告をしていただきたいと思います。
 それから、地球温暖化対策の1つの重要な目玉と申しますか、重要なツールであります京都メカニズムにつきましては、環境省と経済産業省で予算を確保いたしまして、クレジット調達のための法案を今国会に提出をしておりまして、クレジット調達をNEDOが中心になってやるということになっていますので、これについても報告をお願いすることになっております。
 きょうはそういうことで報告をしていただきました後、内容はともかくとして、今後の小委員会につきまして、具体的なスケジュールではありませんけれども、こういう方針で進めたいということにつきまして、皆さんのご意向を伺ったうえで今後事務局にその方針に基づいて具体的な会議日程の設定等を、お願いをしたいと思います。これについては15分かそこいらの時間をとりたいと思います。できれば全体の会議を12時には終わらせたいと思いますので、どうぞご協力のほどをお願いいたします。
 それでは議題1、2、3、いずれも報告事項でございますけれども、まず初めに事務局から報告して下さい。

○鎌形環境経済課長 それでは私の方からまず資料1から資料3に基づきまして、昨年末の税制改正の論議の結果、あるいはその過程での議論についてご報告いたします。
 まず資料1でございます。いわゆる環境税の関係の平成18年度税制改正の議論の結果でございます。昨年の10月25日に環境省として具体案を出して、公表させていただきました。これにつきましては、この委員会でも11月4日にご報告させていただいたところでございます。そこで、政府の税制調査会、それから与党の税制調査会、あるいは与党の税制協議会での議論がなされました。
 それでまず政府の税制調査会は、11月25日に税制改正の関する答申という形でまとめられております。その中で、地球温暖化問題への対応ということで、ここに7行ほどの記述でございますけれども、環境税につきまして全体の中での具体的な位置づけとか効果、あるいは経済・産業国際競争力に与える影響、諸外国の状況、それから既存のエネルギー関係諸税との関係といった、そういった検討課題、これについて今議論が行われているということで、その状況を踏まえつつ、総合的に検討していくということで、引き続き検討という形になってございます。
 資料では、答申自体には盛り込まれてございませんが、答申の附属資料的な意味で盛り込まれていない主な意見というのが、やはり税調でまとめたものがございますのでつけております。関連の部分の抜粋でございますけれども、まずイという意見でございますけれども、目標達成計画では、環境税なしでやるんだということが閣議決定されたんではないかということ。それで、既存の予算とかを使うこと、あるいは化石燃料の既存の税、この整理というのが先決だという意見でございます。
 次のページへまいりまして、環境省案についての意見でございますけれども、財源確保に重点が置かれているけれども、効果が不明で使途が明確になっていないというようなご意見、それからもう一つは、環境税案について昨年というか、この時点の昨年ですから一昨年でございますが、前回の案との比較で、電気の税率が一律であることや社会保障財源に充てるというのが今回変わっておりますので、こういうことについてのたたき台になり得るというようなご意見、あるいは地方での森林整備などについて配慮すべきという意見、それからできるだけ消費に近い段階で課税することを検討すべき、こういったご意見があったということでございますが、結論としては先ほどもご紹介したように、総合的に検討していくというような形になってございます。
 それから与党でございます。自由民主党、公明党の税制改正大綱という形で12月15日にまとまってございます。検討事項というグループがございますけれども、その中に記述がございます。1と書いてございますけれども、中ほどあたりから、環境税については平成20年から京都議定書の第一約束期間が始まることを踏まえるということでございます。そして、政策全体の中での位置づけや効果、経済、国際競争力への影響、既存の税制との関係等に考慮を払いながら納税者の理解と協力を得つつ、総合的に検討するというような結論でございます。これも引き続き検討していくという形になってございます。
 それから3ページ以下でございます。直接、環境税の議論ではございませんけれども、エネルギー関係の税制に絡む話ということで、特定財源の関係などについての結果を参考ということでつけてございます。まず政府税調の答申でございますけれども、特定財源ということに関してでございます。
 まず、道路特定財源を含むエネルギー関係諸税についての扱いということで、結論からいうと、一番下の行に、現行の税負担水準を維持することが適当であるという結論になっております。その理由がるる少し上に書いてあるわけでございますが、資源節約、消費抑制、社会的コストといった観点、それから諸外国との比較の観点、それから地球温暖化対策が求められている中で、税負担水準の引き下げには問題が多い、それから財政事情、こういったことを考慮して現行の税負担水準を維持することが適当、こういうような結論になってございます。この特定財源関係につきましても答申に盛り込まれておりませんが、さまざまな意見が紹介されているということでございます。
 それで、申しわけございません、特定財源の関係でちょっと1つ重要なことを言い漏らしました。一般財源としての活用、これが前提だということでございます。これが一番重要なことでございました。申しわけございません。
 それからその下半分は、答申に盛り込まれない意見ということでございますけれども、幾つかございます。例えばロでは、納税者の理解を得て環境税に組み替えると、こういうような意見もございました。それから一般財源化ではなくて税率を引き下げるべきというようなご意見、それから少し飛びまして、ホとヘの方では、地方についてはまだ考え方は別だと、こういうようなご意見もございました。
 それから4ページ目でございます。この道路特定財源に関しましては、税制調査会の議論ということではございませんけれども、政府与党の中でこの間の議論がございまして、12月には道路特定財源の見直しに関する基本方針という、これは政府・与党の決定ということになってございます。ここに3点にわたりましての基本方針が述べられてございます。1、2、3とございます。
 まず1点目でございますけれども、道路整備に対するニーズを踏まえて、必要性を見きわめつつ、真に必要な道路は整備するんだということ。その際、重点化、効率化、コスト縮減ということを行っていくということでございます。
 それから2点目でございますけれども、税率水準の話でございますが、厳しい財政状況ということと、それから環境面への影響にも配慮して、暫定税率による上乗せ分を含めて、現行の税率水準を維持するとこういうことでございます。
 それから3点目でございますが、特定財源制度について、これも一般財源化を図ることを前提とする。そして来年とございますが、今となって今年のことでございますが、歳出・歳入一体改革の議論の中で、納税者に対する十分な説明を行って理解を得つつ、歳出・歳入一体改革の議論の中で具体案を得る、こういう方針だということでございます。
 それから5ページ目にまいります。年末に行政改革の重要方針ということが閣議決定をされております。ここでも関連のエネルギーに関連する特別会計などの扱いについての方針がございます。まず、[1]と書いてあるところをごらんいただきますと、道路整備特別会計などの5つの特別会計は20年度まで統合してむだの排除を行っていくと、こういうようなことでございます。これも一般財源化というような流れの中でのことでございます。それから、[17]というところをごらんいただきたいんですが、電源開発促進対策特別会計と石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計、いわゆる石油特会でございます。この扱いでございますが、平成19年度までの立法化により統合していくということの方針でございます。
 それから、電源開発促進税につきましては、いわゆる特別会計に税収が直入されると、こういう構造を見直して一般会計に入れた上で、必要額を特別会計に繰り入れる、そういったことで効率的な活用を図っていくというような方針が決まってございます。
 以上が年末にかけて環境税、あるいはその関連するエネルギー関係諸税に絡む議論の年末の時点での結論ということでございます。
 それから資料2でございますけれども、その他環境税以外にも、環境関連の税制についてのいわゆる税制改正の結果を資料2ということでお配りしてございます。1ページ目の1の(1)は環境税の部分でございますけれども、その下、(2)番でございます。いわゆる自動車のグリーン税制について、延長措置を講ずることになっておるということでございます。対象につきましては、よりクリーンなものということで条件を厳しくした上でその延長をしていくということがその内容でございます。
 次のページにまいりまして、ちょっとこれページを打っていなくて大変恐縮でございます。例えば[5]で言いますと、低公害車とか低公害車の燃料供給設備に関する特別償却制度などの優遇措置、これも延長するということになってございます。それから温暖化の関連でいきますと、その次のページ、3ページ目になりますが(3)バイオマスの活用の関係の施設についての税制上の措置が追加されるということになってございます。
 その他、温暖化関係以外でございますけれども、廃棄物リサイクル関係、それからその裏にいきまして、今年アスベストの問題がございまして、アスベストの廃棄物の処理施設に係る税制上の措置、4ページ目の[2]、[3]というところにございます。それからアスベストによる健康被害の救済に関しての措置、今回救済制度ができたわけでございますけれども、これにつきましての給付、あるいは企業からの拠出金に関しての税制上の措置が盛り込まれてございます。その他、公害関係のものも延長ということがございます。あわせてご報告いたしておきます。
 それから資料3でございます。先ほど、税制改正の議論の結果ということでご報告申し上げたわけでございますけれども、その間、さまざまな議論がございました。そういうところで私どもとしていろいろなご意見をいただいたり、あるいは公表されたものを把握させていただきました。そこで資料3につきましては、環境税に関連して産業界などから表明された意見・要望で、私どもで把握しているというものの中から、主なものを少し項目別に整理して並べさせていただきました。これにつきまして、ご報告いたします。
 全体で幾つか項目、8項目にわたってまとめてございます。まず1項目目、総論的に地球温暖化対策にその政策手法として環境税を用いるということについてどうかということに対するご意見でございます。1ページ目の1番目のマル、日本経団連からのご意見でございますけれども、まず自主行動計画をしっかりやっていくというようなこと。それから産業界はそのほか省エネ製品やサービスの開発・普及を通じて、全体での温暖化防止に寄与しているんだというようなご意見の中で、こうしたような自主的な行動、この場をさらに広げていくこと、そこを積極的に支援するのが政府の役割であるということで、税や規制的な施策によって水を差すことがあってはならない、こういうご意見でございました。
 それから、次のマルにつきましては、全日本トラック協会からのご意見でございますけれども、ここも環境基本行動計画ということで、自主的な行動計画でやっているということ、それからエコドライブなどの取り組みもしっかりしている、低公害車の導入もしっかりしている、そういうことで営業用のトラックからの排出量は下がっているんだというご指摘でございます。
 次のページの方にまいりまして、結局、環境税は事業者に新たな追加コストの負担のみを強いるということで、これは自主的な取り組みを阻害するというようなご意見でございました。
 それからもう一つは、日本商工会議所の意見で、環境税は経済統制的な手法だということで、環境と経済の両立を阻害すると、こういうご意見をいただいてございます。
 それから、2番目、京都議定書目標達成計画との関係、京都議定書目標達成計画を達成するために環境税を導入すべきかどうか、こういうような観点からのご意見でございます。まずは日本経団連さんでございますが、目標達成計画では環境税を位置づけることなく、削減を行う道筋を示したものだと、こういうご認識を示されています。
 それから、2番目のマルは全国森林組合連合会など、森林関係の団体からのご意見でございますけれども、森林吸収源の3.9パーセントの目標ということでございますが、このままでは達成が極めて困難だと、こういう認識を示してございます。
 それで下の方まいりまして、地球温暖化対策を確実に推進するために環境税を早期に創設して新たな財源を確保する、こういうことを要望されているということでございます。
 それから、3番目、環境税の性格でございますが、環境負荷に応じた負担というような環境税の考え方についてどうかということでございます。2ページ目の一番下のマルでございますが、全日本自動車産業労働組合総連合会からのご意見でございますが、炭素含有量課税の考え方に反対するものではないが、ということで、十分な議論をすべきだということでございます。ちょっとこれ抜粋の都合で、「以下の項目を前提に」の以下がちょっと抜けていて、大変恐縮なんでございますけれども、例えば自動車関係諸税を抜本的改革するとか、あるいは環境税を導入するならその目的・使途をしっかりするとか、あるいは国民的な議論、コンセンサスを形成する、こういうことを前提に十分議論をすべきだと、こういうご意見でございます。
 それから3ページ目でございます。環境税の効果に関するご意見でございます。まず価格効果に関するご意見、日本経団連からでございますが、価格効果の発揮は大幅な価格引き上げが必要なんだけれども、それはそういうことになると、製品の価格引き上げとか転嫁というのは事実上、困難だということで、今も高いエネルギーコストのもとで効率化に取り組んでいるのだから、環境税によってコスト増大させても追加的な技術革新を促す、こういった効果は考えられないというご意見です。
 それから、トラック協会からのご意見でございますけれども、既に可能な限り削減しているということで、課税で価格上昇があっても、もう減らすことができない状況にあると、こういうご意見です。
 それから日本商工会議所からでございます。最近の原油価格高騰でかなり環境省の主張どおりであればインセンティブ効果が生じているはずだと、だからこれ以上の増税は必要ないと、こういうご意見です。
 それから、炭素税研究会のご意見でございますけれども、炭素税のCO削減効果は原油高よりははるかに強力だというようなご認識。ただ、環境省案でございます炭素トン当たり2,400円という税率では低いので、より高くすべきだと、こういうご意見でした。
 それからアナウンスメント効果に対するご意見です。日本経団連のご意見ですが、アナウンスメント効果というのを、新税の導入の目的とすることは論外と、こういうご意見でございました。税や規制ではなくて、教育も含めた国民運動、こういったものが重要だということでございます。それで自主的な行動、国民・企業が一体となって、自主的な行動の和を広げるということの重要性を指摘されております。
 それから次のページ、4ページ目でございます。環境税の税収、あるいは財源の関係のご意見でございますが、まずは日本経団連のご意見です。環境税で安易に補助金をばらまくのは、効果に疑問がある。行政の肥大化、非効率を助長するということでございます。既存の1兆円を超えるというふうに言っておられますが、1兆円超える予算の効率的な活用を考えるべきというご意見です。
 それから次の日本商工会議所、これも同趣旨でございますが、今の関係予算は今1.1兆円に達しているということで、既存の予算の重点配分や、効率的な執行により捻出していくべき、安易な増税に走るべきではない、こういうご意見でした。
 それから、もう一つは違った観点からでございますが、LPガス協会でございます。既に石油石炭税で段階的に税率を上げてございますが、これによって温暖化対策の財源は確保済みであると、こういうご認識でございます。
 それから、炭素税研究会のご意見でございますが、基本的にこちらのご意見は税収中立を基本とした制度設計にすべきと、こういうご意見でございます。ただ、税収を温暖化対策に仮に充てるとした場合には、第三者機関で精査するなど、きっちり効果があるもののみに充当する、そういうような仕組みを設けるべきというご意見です。
 それから税収・財源の問題では、森林吸収源に対するご意見が多々ございました。まずは下から2番目のマルでございますが、森林の整備・保全を推進するために新たな税制の創設を含めた必要な財源確保対策を図るということが、まず全国都道府県議会議長会のご意見がございます。
 それから、一方、次のマルでございますが、森林はそもそも保全による利益というのは広く国民一般に及ぶということで、一般財源で対応することが適当であると、こういうご意見でございます。これは日本商工会議所からのご意見です。
 5ページ目にまいります。その他、環境税の税収の使い道という直接のご議論ではございませんが、温暖化対策にはやはり支援強化が必要だというご意見・要望としては、日本商工会議所から温暖化問題に関しての税制、金融、技術開発面等における支援措置を講じていくべきだと、こういうご意見でございます。
 それから、都道府県議長会からは新エネルギーに係る技術開発や利活用の推進、それから普及といったものの支援も求められてございます。
 それから5ページ目、6番の経済への影響についてのご意見でございます。まずは日本経団連のご意見でございますけれども、環境税は国際競争力を低下させるということ、それから結果的に生産が近隣諸国へ移転して、いわゆる炭素リーケージで地球規模で全体で温室効果ガス排出量を増大させる懸念があるというご指摘でございます。
 それからその次の段落になりますけれども、研究開発や設備投資という観点からいうと、追加的なコスト負担ということで、将来の投資や研究開発の原資を奪うと、そういうことで温暖化問題の解決に逆行すると、こういうようなご意見でございました。
 それから次のマル、鉄鋼連盟でございますが、これも国際競争力を喪失させて、排出量を増加させると、こういうようなご意見です。
 それから、原油価格高騰との関係ということで、日本経団連でございますが、今の最大の懸念は原油価格の高騰だということで、環境税導入によりさらなるコスト増が加われば、国民生活や企業活動に深刻なダメージを与えかねない、こういうようなご意見です。
 それから次のご意見は、石油連盟のご意見です。最近の原油価格の高騰によるガソリン小売価格の上昇でも、需要は減少していないから価格効果は期待できないんだということ。そして、国際競争力の低下、産業の空洞化が懸念されると、こういうご意見です。
 それから6ページ目、7番、既存諸税との関係ということでございます。まず経済同友会からのご意見ですが、既存エネルギー税制を含めた税体系全体のあり方の中で議論はされるべきだと、こういうご意見です。
 それから次、LPガス協会のご意見ですが、まずは現行のエネルギー関係諸税の抜本的な見直しが行われるべきだというご意見でございます。それから化学工業協会ですけれども、これも既に石油石炭税として、エネルギーに対する高額な税を負担しているということで、さらに追加ということで重複感がぬぐえないということ。税制改革全体の中で十分議論して納得できるものとすべきであるということです。
 それから自動車産業労働組合総連合会からのご意見ですが、今の自動車関係諸税を放置したままでは納得が得られないということで、その軽減・簡素化を前提とした議論が必須だということです。
 それから6ページの下から2番目、石油連盟のご意見です。既に巨額な税が課税されている石油諸税に加えて、さらなる課税・増税に反対。
 それから炭素税研究会のご意見は、既存税との関係で、エネルギー課税を全体として大幅に強化すべきだということで、石油特別会計や道路財源の一部を組み替えるということだけでは、その炭素税、環境税の導入にはならないんだというようなご意見でございます。
 7ページ目でございます。既存諸税に対する意見・要望の中で、石油石炭税のその中の課税の公平性の確保という意見がございましたので、参考までに掲げてございます。石油税の見直しで石炭、LNGへの新規課税や段階的な増税がなされていますが、依然として税負担は他のエネルギーに比べて多いんだというような主張であります。
 それから、さらに自動車燃料に対する課税の公平性の確保というようなご意見もありまして、CNGやアルコール燃料などにはガソリン税が課されないのは不公平だということで、燃料間のバランスというものを求めるようなご意見がありますので、ご参考までに紹介しておきます。
 それから、道路特定財源に関するご意見・要望でございますけれども、まず日本経団連のご意見ということでございます。まず認識として受益者負担の原則のもとにユーザーが道路整備のための財源を負担すると、こういう認識のもとでありまして、結論から申しますと、暫定税率の廃止・引き下げなど、納税者の負担を軽減していくことが必要だということでございます。公共事業費の抑制が図られて、財源が必要な整備費を上回るというようであれば、暫定税率の廃止・引き下げなどを考えるべきと、こういう意見でございます。
 それから、次は日本自動車会議所などの自動車関連の団体からのご意見ということでございます。これも受益者負担の考え方に基づくものだということで、そういう認識のもとのご意見でございますけれども、道路整備は今後もさらに推進すべき分野が多いということであるということ、それから既に複雑で高負担が生じているということなどの理由から、道路特定財源は全額道路整備に充当すべきと、こういう原則のもと、余剰が生じるならば暫定税率を廃止すると、こういうようなことでございます。
 それから、同じ自動車関係の労働組合総連合会からのご意見でございますが、これも道路損傷負担金、受益者負担の観点からのものだということで、道路整備以外への転用は自動車ユーザーの信頼を裏切ると、こういうご意見です。
 それから8ページ目でございます。項目別ということではございませんが、地方公共団体の関係のご意見をまとめてございます。1つは、環境税についてその効果、問題点について十分な調査研究を行って、自治体の環境政策に果たす責任と役割を踏まえて、検討すべきとこういうようなのが、全国知事会から出ています。
 それから2番目は全国市長会からの意見でございますが、環境税の温暖化対策税制の導入に当たっては、自治体の役割というのは財政負担を十分勘案すること、そして地方税として導入することや、あるいは国税収入の一部を地方の財源とすると、こういうような措置を講ずるべきというご意見でございます。
 下の表は、各自治体からさまざまな要望が環境省の方に寄せられております。平成16年から17年にかけて出たものを私どもで整理させていただきました。そこでいわゆる県レベルでも、知事部局から要望が出ているケース、あるいは議会から出ているケースございます。それをそれぞれ整理いたしました。それで環境税の導入を求めるもの、あるいは導入の際には一部地方税として導入すべしということ、あるいは十分な調査・研究を行って検討すべしと、こういうような類型に分けてございます。環境税導入を求める意見というのは、知事部局からは都道府県レベルでは10、それから議会からは27と、市町村関係では市町村議会からは495などとなってございます。表に示したとおりの状況ということでございます。
 それからその他のご意見としてでございますけれども、これは自動車産業労働組合総連合会からのご意見でございますけれども、安易な環境税ありきの意見が散見されているが、それは本末転倒だということで、既存税の名称変更とか財源確保とかそういう狭い視点で言えば、本来の目的にそぐわないんだということで、結論からいうと、国民的な合意形成なくしての導入は大きな問題だと、こういうようなご意見を述べておられます。
 以上が資料1から3のご説明ですが、それからもう一つ、資料番号を振っていない資料の束があるかと思います。実は紙の節約の観点から、傍聴席にはお配りしていなくて大変恐縮でございますけれども、既に公表されている資料を参考までに置かせていただきました。1つは環境税の具体案でございます。それから2番目につけておりますのは、環境税の議論の過程の中で環境大臣から「4つの批判にお答えし、2つの提案をします。」ということで、さまざまな批判に対するお答えと提案を記した文章、それから「地球のために、180円」という表紙のものでございますが、環境税の基本的な考え方とそれから具体的な使途、どういうふうに使っていくかということについてのその解説をした文章でございます。これらすべてプレス発表いたしまして、一般の方々にも環境省のホームページでアクセスできるということになってございます。傍聴席にはお配りしておらなくて恐縮でございますが、ご紹介させていただきます。
 以上でございます。

○梶原地球温暖化対策課長 引き続き資料4と資料5を用いまして、京都議定書目標達成計画関係予算と地球温暖化対策推進法を一部改正する法律案についてご説明申し上げたいと思います。
 まず、資料4でございます。平成18年度京都議定書目標達成計画関係予算案についてでございます。ご存じのとおり、昨年の4月に京都議定書目標達成計画を閣議決定しておりますので、現在の目標達成計画に基づきまして、それを実施するための予算を取りまとめたのは初めてでございます。過去は大綱の予算ということでございましたけれども、目標達成計画としては初めてでございます。今回関係省庁の予算はここに1枚目にありますようにA、B、C、Dの4分類をしてございます。
 まずAの方でございますが、京都議定書目標達成計画の中に実際に別表の方でいろいろな対策が書かれておりますけれども、そういった対策に直接の効果があるものというものの集団でございます。17年度予算は4,800億だったのが、18年度予算に関しては4,537億ということでございます。Bの方は、温室効果ガスの削減に中長期的に効果があるもの、具体的には例えば技術開発でございますとか、あるいは人材育成といったものがここに含まれております。3番目、C、その他結果として温室効果ガスの削減に資するもの、例えば廃棄物の処理施設のようなものでございますが、温暖化対策の観点から例えば事業規模等の変更というものはなされるわけではありませんけれども、事業をやることによって結果的には効果があるものということでございます。Dの基盤的な施策ということでございますが、これにつきましては、例えば全体の進行管理でありますとか、インベントリーをつくるといったような予算、さらには観測の予算といったものが入ってございます。
 1枚めくっていただきまして、特に重要なAの分類の6パーセント削減約束に直接効果があるものについて、幾つかの分析がございます。まず、2ページ目のものにつきましては、各省庁ごとの予算でございます。経済産業省の予算、2,601億ということで57パーセントのトップでございまして、次いであるものとして、農林水産省、それと環境省、国土交通省となっております。
 それで具体的には、ではどういうものかというのは3ページでございますけれども、一番大きいのはエネルギー供給部門の対策ということでございます。全体の37パーセントを占めております。次に大きいのが森林吸収源対策が35パーセントを占めております。そのほか、業務・家庭部門の対策、あるいは産業部門の対策、運輸部門の対策というふうに続いてございます。
 もう1枚開いていただきまして、中長期的に効果があるものということでございますが、中身的には例えば経済産業省の太陽光発電のフィールドテスト事業であるとか、こういったような技術開発系の予算が入っております。
 5ページでございますが、その他結果として温室効果ガスの削減に資するものということでございますが、農林水産省の治山関係、国土交通省の地下鉄、ITS関係、それと私どもの方の循環型社会形成推進交付金というものがございます。
 もう1枚開いていただきまして、基盤的整備、329億円の内訳でございます。先ほど申し上げましたように、観測関係あるいは全体の進行管理に関するものでございます。
 7ページでございますけれども、先ほど申し上げましたような全体の予算を省庁別に整理をしたものが7ページでございます。
 8ページ以降は、それぞれの予算の中での代表的なものを列挙させていただいております。
 資料5の方に移りたいと思います。資料5の方でございますけれども、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案についてということでございます。既に委員の方々にはよくご存じでございますけれども、ちょっと2枚めくっていただきまして5ページ目をごらんになっていただきたいんですが、京都議定書におきましては国際的に協調して削減をいたしまして、その削減量を国際約束の達成に、使うことができるという京都メカニズムというものが位置づけられております。具体的にはここに書いてありますクリーン開発メカニズム、これは途上国で事業を行いまして、それに対して先進国が資金や技術を投入しまして、途上国で行った削減をクレジットとして発生させまして、先進国の約束達成に使えるといったようなものでございます。これ以外にも同じようなプロジェクトを先進国同士でやるというのが共同実施でございまして、そのほかに直接的な排出量取引というものもございます。
 1ページ目に戻っていただきまして、これらの京都メカニズムにつきましては、限られた資金でより大きな排出削減が可能であるということと、特にクリーン開発メカニズムにつきましては、途上国の持続可能な開発に貢献をするという条件がついておりますので、そういう意味においては先進国にも途上国にも非常に大きなメリットがあるというものでございます。昨年4月の京都議定書目標達成計画におきましては、下の図にちょっとございますけれども、国内対策のを一個一個洗ってまいりまして、それでここに真ん中にちょっと、枠の中にありますけれども、国内排出量の削減ということで、マイナス6.5パーセント分を深堀をさせていただいて、また吸収源対策で3.9パーセント部分を確保すると、そういった国内対策をできる限りやった後もなお、確保できない1.6パーセントの部分につきましては、京都メカニズムを活用するんだという整理になっておりまして、また18年度からそういった本格的な活用ができるような体制を整備することということが目標達成計画に書いてございます。そのための法改正等を行うものでございます。
 次のページをちょっとめくっていただきたいんですけれども、具体的な法改正の概要でございます。2.の方から入りますけれども、地球温暖化対策推進法の改正ということでは、まず、いわゆるクレジットというもの、初期割当量を含めまして、いわゆるクレジットというものにつきまして定義規定を置いております。法律では算定割当量という形にしておりますけれども、例えば[1]は初期割当量でありまして、2番目は例えば植林とか再植林をするといったような森林面積の増加に伴う吸収量の増加、議定書では3条3項に該当するものでございます。3番目が共同実施に基づいてなされるもの。4番目はクリーン開発メカニズムの実施によって生ずるクレジット。[5]はいわゆる3条4項森林の管理活動に伴って出てくるようなクレジットでございます。こういったものの一連の定義を行う。
 3ページ目でございますが、国の責務への追加ということで、京都メカニズムの活用等の京都議定書の約束履行のための必要な措置を講ずるということを、国の責務規定に追加しております。
 3番でございますが、京都議定書目標達成計画の法定計画事項といたしまして、京都メカニズムの活用等に関する基本的な事項を位置づける。この位置づけを行うことによって、例えば京都メカニズムを使ってどういったようなクレジットを調達するか、あるいはどういったようなシステムで調達をするかといったものを定めていきたいと思っております。
 4番目は割当量の口座簿でございます。これは大変複雑なものでございますけれども、クレジットを管理するというのが京都議定書を遵守するために非常に重要なことでございまして、この口座簿の中で実際に排出される量とこのクレジットの量、割当量の量、枠の量を相殺をすることによって遵守を証明するというシステムでもございます。また、京都メカニズムを活用してクレジットの移転が行われるわけでございますが、そのクレジットの移転もすべてこの口座簿の上で行われることになります。そういうこともありまして、この口座簿をしっかり法定化をして、また口座簿の使い方、例えば民間の方々が京都メカニズムにご参加していただく場合に口座を持っていただきますとか、あるいは口座間でクレジットを移動をするときにどういう手続でやるんだといったようなことを規定しております。また実際の移動、取引の中でそれを安定的なものにするための措置等についても規定してございます。
 4ページをちょっと開いていただきたいと思います。実際に海外から例えばCDM事業を行いまして、海外で事業を行うということになりますと、それに関係いたします日本の例えば民間の企業Aに、クレジットが生ずるといった場合には、実際のところ民間事業者Aに、この口座簿の中で口座を持っていただきまして、ここではA口座と書いてありますが、この中に実際にクレジットが移転されるということになります。それで例えば民間事業者のAと民間事業者Bの方でクレジットの移転が生ずるとすれば、このA口座とB口座の間にクレジットが移転されることになります。最終的には先ほど1.6パーセント、5年間分で1億トンのクレジットを政府が調達すると申し上げましたけれども、最終的にはそういったクレジットは政府の口座に入るという必要がございまして、左側の一番下の国の口座に入れる。その上で一たん入ったものを排出量に見合う形で相殺をする形で遵守をするということになります。
 それで右の下の部分にございますけれども、国が調達するに当たりまして、独立行政法人のNEDOにこの作業を委託してやるということと、その委託してやる場合の費用につきましては、一部一般会計も使いますけれども、かなりの部分を石油特会、いわゆる石特のお金を使うということで、独立行政法人のNEDO法の改正と石特法の改正もあわせて提案している次第でございます。したがいまして、全体としては地球温暖化対策推進法で対応して、その手段としてNEDO法、石特法の改正もあわせて改正をするということでございます。
 また、今国会に提案する温暖化関連法といたしましては、これも昨年4月の京都議定書目標達成計画の中でございますけれども、特にフロン対策ということでございますが、特に業務用の冷凍空調機器につきましては、HCFCからHFCへの代替が進んでいるということの上に、廃棄時のフロンの回収率が低い状況にとどまっているということで、この回収率を高めるというのが施策の中に位置づけられております。そのため、現在政府部内におきましては、フロン回収破壊法の改正ということで、実際に建物等の廃棄時にきちんとフロンが回収されるように、例えば解体業者をしっかり位置づけて文書によって回収・廃棄がしっかりできるような体制をすることでありますとか、あるいはそういったような回収・破壊に対して知事がご意見を述べられるようにすることとか、そういったような改正を今検討している次第でございます。
 以上でございます。

○森嶌委員長 鎌形課長と梶原課長の話の内容は、少し違いますけれども、一括してご質問、ご意見等ございましたらどうぞ。

○浅野委員 梶原課長の資料4の説明なんですが、Aのグループに入れられている、直接に効果があるという対策のうち、ページで言うと9ページの電源立地地域対策交付金というのはこれは原子力の立地に関してのみという理解でいいでしょうか。

○梶原地球温暖化対策課長 大部分がそうでございますが、一部分別のものも入っております。

○森嶌委員長 どうぞ、佐和委員。

○佐和委員 2点、質問というか意見を申し上げたいんですが、1つは資料3ですね。3の2ページの2.のところで経団連の意見として、京都議定書目標達成計画では環境税を具体的施策として位置づけることなく6パーセントの排出削減を行うための道筋が描かれているというふうに書いておられますけれども、実はこの資料としておかれているのは、この目標達成計画には要するにこういうことをやれば何トン削減できるというようなことは書いてありますけれども、そのための費用はいかほどなのか、あるいはその費用を誰が負担するのか、そして企業やあるいは家計に、そういった行動を促すためにはどうすればいいかというのは全く触れられていないわけですね。ですから、道筋が描かれているからもう環境税について議論する必要はないという、この経団連の意見は明らかにおかしい。
 それから、もう一度これは梶原さんの方への質問なんです。この資料5の4ページに図解されているわけでございますが、このときに要するに民間企業、事業者がNEDOに移転するというときの価格をどうやって設定するんですかと、そういう質問です。

○森嶌委員長 それでは、一通り委員のご質問とご意見を伺ってから一括して事務局からお答えすることにします。現時点では武田、西岡、大塚委員と、それから今、天野委員ということで、武田、西岡、大塚、天野という順序で承ります。
 小林委員。天野委員とどちらが先かわかりませんが、では天野委員、小林委員という順序で。ではどうぞ。

○武田委員 今もちょっと話がございましたが、環境税に関する各方面からの意見のご説明が先ほどあった中で、経済同友会について簡単なご紹介があったわけでございますが、1月に同友会で環境配慮型の税体系を考えるという意見を発表いたしました。若干、付言させていただきたいと思います。

○森嶌委員長 念のために申しますと、今、事務局ともあれしておりますが、いずれ経済同友会については、お呼びをして正式にここでヒアリングが出来ればと考えていますので、今日のところは経済同友会の意見の内容については詳細は省いて頂いて、付言するということにとどめていただきたいと思います。
 どうぞ。

○武田委員 わかりました。簡単に申し上げます。
 ここに書いている3行では余りにも短いんで、若干。
 同友会の中にもいろいろな意見、もちろんあるわけでございますけれども、今般出ている環境省の環境税の案については、既存エネルギー税制をそのままにした上で増税になるということで反対だということを言っておるわけでございますけれども、しかし税効果そのものを否定するものではない。これは言えると思うんですね。それで、ではどういう考え方を出すのか、いろいろ議論した上のことでございますけれども、中長期的な基本的考え方を発表しなければいけないということになりまして、ですからこれは環境税というよりもエネルギー税のあり方、こういうふうに理解していただいた方がよろしいかと思います。
 基本的考え方は既に発表されているとおりです。化石燃料の炭素含有量に応じた課税という方向を目指すべきではないか、こういう考え方なんですね。その際に既存エネルギー税制を道路特定財源、先ほどお話ございましたが、いろいろな環境変化によって今置かれた状況は当初と変わってきておりますので、そういう既存エネルギー税制も含めて基本的考え方、炭素含有量に応じたエネルギー税制のあり方ということを考えるべきではないか、こういうことを申し上げているわけです。
 これは環境省だけではなかなかそういう立案難しいと思います。政府全体としてそういう案を出して、国民の理解を得るということでないと、今のように、とりあえずとりあえずということではなかなか国民の理解得られないんではないかと思いますので、そういう考え方を発表したということです。
 以上でございます。

○森嶌委員長 私は先ほど申し上げたのも、政府全体の問題ですが、少なくともこの小委員会も議論をする過程で、政府が税体系の見直しを考えるとすれば、この委員会としてはこういう観点から環境税というものを位置づけていくという提案をしても構わないと思います。もちろん、この委員会に権限あるわけではありませんから税制内における位置づけを決定することはできませんけれども、議論はしておくべきだと思います。もしもそれを文書にしておられるとすれば、今後議論をする際にぜひお出しいただければと思いますし、経済同友会に来ていただいて、ここで意見陳述をしていただくかどうか、まだ決定しておりませんが、経済同友会に来ていただかない場合には武田委員から詳細を承りたいと思います。しかし、きょうはそういう場でありませんので、どうもありがとうございました。
 それでは西岡委員どうぞ。

○西岡委員 資料の4についてですけれども、これまで温暖化にどれだけのお金がかかるんだろうかとか、かけたんだという話があったときに、非常にざくっとした数字しか出ておらなかったとのですが、今回はAからDまでのランキングをつけて、内容がはっきりしているということは非常にいいことだと思います。この金額全体が外に向けて日本の国ではこれでお金を使っているぞという具合に使うのか、あるいはこれだけ使っていても効果は少ないねということに使われるのか、いろいろなことがあると思いますので、この精査は非常に重要だと思っております。その点から言いますと、私も研究開発の方を従事しておりますので、資料の6ページのところを見てみますと、例えばこの環境省の地球環境研究総合推進に33億と、非常にほかの予算と比べると少ない。またこの中身が本当に地球温暖化に対応しているのはそのうちの数分の1だと思われます。
 それから南極地域の観測事業費、これも私もある評価委員会に加わって内容もやや知っているわけですけれども、これが直接温暖化と関連して観測されるというものもそう多いわけではないということを考えますと、全体に水ぶくれの感じもあるかなと思います。
 私はこの金額の推定が先ほど申しましたようにどっちの方に使われるかわかりませんけれども、ある程度さらに正確にしていただくとありがたいなと思っております。
 以上です。

○森嶌委員長 今のはコメントということでよろしいですね。
 それでは大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 3点、ごく簡単にちょっとずつお話ししたいと思いますが、今西岡委員からお話があったところのこの予算の点ですけれども、この別紙の3のところですけれども、こういう形で今までよりもはっきりした形で分類されているところは大変結構だと思って評価したいと思います。ただ、もう少しさらに進めていただくとすれば、それぞれの施策によってどれだけ減るのかというようなことが、これどのぐらい出るかわかりませんけれども、もし出していただけるとこれだけお金もかけてこれぐらいしか減らないのかとか、あるいはこのぐらいのお金でもこれだけ減るのかとか、そういうことが目に見える形になりますので、よりありがたいことではないかと思っております。
 それから第2点ですが、佐和委員も意見をおっしゃいましたのでちょっと意見を申し上げますが、資料3の2ページの一番上のあたりのところでちょっと気になるんですけれども、産業界の方から自主的取組を炭素税とか環境税というのは自主的取組を害するという言い方をされているんですけれども、これはちょっとどうなのかなという感じがして、一般的に考えれば環境税を導入してもそれ以外に自主的取組をやっていただくことは全然結構ですし、大変ありがたいことだと思いますので、別に害するんではなくて、それ以外にやっていただければ全然構わないので、何か自主的取り組みというものが最初にどんとあって、それが何か税を入れると害するんだという議論というのはちょっと温暖化対策というものを考える上でどうなのかなという感じがしますので、意見として少し申し上げさせていただいておきます。
 それから資料の5の4ページでちょっと恐縮なんですけれども、お伺いして申しわけないんですけれども、この資料の5の4ページの図のA口座からB口座のところは移転というような印がないんですけれども、左の方の割当量口座簿のところのA口座からB口座のところは、ここは移転というのはなくていいんですかね。これはすみません、ちょっと細かいことで申しわけないんですが、お伺いです。

○森嶌委員長 それでは、質問は後で一括してということで、それでは天野委員お願いします。

○天野委員 資料の5ですが、ご説明でもクレジットという言葉と、それから算定割当量という言葉をお使いになられたんですが、5ページの国際排出量取引の図には排出割当量として、これもクレジットと書いてあるんですね。アラウアンスとクレジットというのと区別されているのか、あるいは算定割当量と排出割当量というのは違うものとして区別されているのか、そうなれば取引されているものがどこかの段階でクレジットからアラウアンスの方へ変わってしまうというようなことをどう区別されるのか、その辺りの用語の定義についてご説明いただきたい。これが1つ。
 それからもう一つは資料の1ですが、これの2ページのあたりで、税調の中でどんな議論があったかということが紹介されているんですけれども、私は基本的に税収を上げるために国民の費用、コストを最小限にして税収を上げるという基本が、これはもう大前提としてあるわけですが、それにとって環境税というのがどういう意義を持っているのか。環境税というのはむしろコストではなくてプラスが生まれるような税収の上げ方というのが、これは財政なんかやっている人たちの常識なんですね。そういう認識なしに、何か財源を調達するのはどうか、あるいは増税か、税収中立化かという議論だけをしているのは私はちょっと理解できないんですね。英国がその点はきちっと説明をして環境税の―ここで言っている環境税というのは、炭素税ですが、それ以外のものも含めて環境税一般が税制の中でどういう意義を持っているかということをきちっと説明した上で、この議論をしているというのを比べると、私は大変税調の議論というのは非常にレベルの低い議論をしているという認識がありまして、むしろ環境省はこういう税調の中の議論、あるいは政府の税制に対する考え方というのを、先ほど委員長が最初に指摘されましたように、そういうことをきちっと説明してこの環境税の議論をすべきだということを主張すべきではないかと私は思うんですが、その辺のお考えを伺いたい。これが2つ目。

○森嶌委員長 すみません、誰に伺いますか。

○天野委員 環境省の方。

○森嶌委員長 環境省って誰に伺いますか。質問された人は立ち往生してしまうと思いますけれども、

○天野委員 そういう議論がないわけですから。既存税制をどうするかというふうなあたりに議論を集中しないで、もっと……

○森嶌委員長 いや、私は前からそういうことを言っているんですけれども。

○天野委員 資料の3でいろいろな意見・要望を集められております。先ほど来、いろいろご意見ありますように、いろいろな根拠を挙げておられるわけですけれども、根拠が妥当な根拠であるかという点に関して疑問の多い意見・要望がかなりあるわけです。そのあたりの検討をどういうふうにするつもりでこの意見・要望を出しておられるのかというのが1つと、それからもう一つは、こういう意見を集められるんであれば、環境税を導入してほしいという意見がたくさんあると思うんです。それをなぜお集めにならないのか。してほしいという意見の根拠がどうかと、これも検討する必要があるんですけれども、何かこれだけでは非常に一方的な片側の意見だけを集めているという印象があって、審議会でこういう何といいますか、片側だけに意見を集めるというのは余り適切な方法ではないんではないかと思いますので、その辺のお考えを伺いたい。
 以上です。

○森嶌委員長 後の点について別に私がお答えする必要もないのかもしれないですけれども、意見・要望が来たということで、わざわざ集めたわけではないと思いますが。来てしまったということで、それをまとめただけの話ですので、どうぞ出してくださいと言って広く募集してNGOや賛成の人から広く集めたわけではなくて、環境税案を出した後にこういう要望等が来たので、それをまとめたらこうなったというだけの話ですので、ただ、なぜそれをこうやってまとめたかということについては、事務局に説明してもらいます。結果としてはそうだということだけは私の方からとりあえずお答えしておきます。

○天野委員 それでは、何か表明されたというのは誤解を招く表現ですね。

○森嶌委員長 わかりました。小林委員どうぞ。

○小林委員 まず、質問の方なんですが、資料4で毎年こういうふうにどういう予算がついたかというのが説明があるんですが、以前からよくあります目標達成計画を実際に達成するために、それまでにどれだけのお金が必要、予算が必要なのか、それに対してどういう確保の仕方をするのかという、逆に言うと財源的な目途というのが余り出されていないんではないかという気がします。そういう中でよく問題になるのが、いわゆる運輸部門とか業務・家庭部門、この辺が伸びつつあって、これについての対策が進んでいないと言われながら、これに対する予算が余りついていない。ここについてやはりもう一度目標達成計画の各項目別に実際に2012年までにどういうふうな施策に、どういう財源をつけていくのかという何か目途を、作るかどうかは別にして何か作っておいた方がいいんではないかという感じか1つします。そういうことを少し、ここの議論ではないと思うんですが、1つお願いをしたい。
 それからもう一つ、資料5のいわゆる京都メカニズムの部分なんですが、この資料の中で私が気になりますのが、4ページのいわゆるNEDOを含めて、政府が買い取ろうとしているクレジットの種類について、ほとんど説明がこの資料ではないんですが、ここについて例えば森林吸収源等に関するクレジットも政府は買い取る予定があるのかどうか。先日ちょっとほかのシンポで議論しているときにそれができるということで、大変喜んでおられる方がおられたんですが、その辺はいかがなのかということを少しはっきり明示していく必要があるのではないかという感じがいたします。それが質問でございます。
 それから、環境税に関する今後の検討の方向性についても発言してよろしゅうございますでしょうか。

○森嶌委員長 今後の審議の方針についてですか。

○小林委員 そうです。

○森嶌委員長 それはこの後で。

○小林委員 それではそのときに。

○森嶌委員長 それでは今の時点でのご意見を。
 どうぞ中里委員。

○中里委員 天野先生は財政、公共経済学の大家ですから、それは先生のお考え、私非常に尊敬しているわけですけれども、税制調査会のレベルが低いというのはちょっと言い過ぎではないかと。そのお気持ちがないとこういうことはできないというのはとてもよくわかりますし、ただ、最初に戻ってしまうとよくないんですが、インセンティブ効果だけを目的とした金銭負荷というのは税金ではないわけですから、それは税制調査会の範囲内のことになってしまう。それは天野先生に申し上げたら、それは租税理論を変えるべきであるということなんですけれども、租税理論を変える権限を私は持っておりませんので、税制調査会もそれを持っておりませんし、それは学説の全般の流れの中で決まる話でしょうし、明治以来からの伝統もあるわけですからそう簡単ではないと。ですから税調とこちらで対立するのはまことにまずいんで、お互いに非難の応酬になってしまうとばかげたことですから、どうしても国のためにいいのかということに関して、それぞれの分野の制約がございますのでそれをちょっとぎりぎりになるんですけれども、その中で頑張っていくしかないんではないかということで、これはさもないと税調からこちらに出ていますので、申しようございません。

○森嶌委員長 おっしゃるとおりでありまして、この小委員会にはここの制約がありますし、政府には税調、財務省ですか、従来の租税という枠からアプローチします。ところがよその国の場合に、税の考え方は現在、かなり広がっているようですね。つまり、税はインカムから取ってくるだけではなくて、バッズも含めて徴収するという考え方ですけれども、日本の税調は基本的に収益から税を徴収するという考え方のようです。税全体については与党自民党の税調だとか、政府税調などで決めているので、炭素などの排出からとる環境税の考え方が従来の租税とは違っているのですから、税の体系を変える場合には我々としてはこういう観点から考えているということをきちっと出しておくべきだと思うのです。環境税も最終的には政府税調で審議されるわけですから、中里委員がおっしゃるように、従来と違った税を持ち込む場合には、従来の税の考え方とどこで調整するのか、またどういう形のものにするのかということを、我々として提示する必要があります。
 それでは、幾つもの大問題を含めて、鎌形さんの方からできれば順番に従って答えてください。。

○鎌形環境経済課長 幾つかご指摘いただきました。まず佐和先生から意見の内容で、京都議定書の目標達成計画では、環境税を前提にしないで達成できるというふうになっているという意見はおかしいというようなご意見でございました。基本的におっしゃるとおりだと思います。先生おっしゃられましたように、京都議定書目標達成計画は、例えば建築物の省エネとかクリーンエネルギー自動車とか、そういうものを具体的に何台とか何パーセント進めれば、何万トン削減できる。これを積み上げていったものです。
 では実際、それらが進むために例えば毎年、毎年どういう予算をつけていくのか、あるいはどういう仕組みでやるのか、あるいはどういう例えば財源の裏づけをするのか、その辺まで書ききったものではないということなので、そこはしっかりとまだ検討課題として残っているという認識は私どもも持っておるということでございます。
 それから、天野先生からのご指摘でございますけれども、先ほども政府税調でのご意見に絡めてのお話でございましたけれども、私どもとしてもその環境税を考える上で、環境税の位置づけというのはどういうふうにあるものなのかということについて、例えば諸外国の事例なども調査して、諸外国はどういうお考えでやっているのかということ。1つは例えばインセンティブ効果をねらっているというような考えもあるし、あるいは税制全体の中で環境に関する税というものをどういうふうに位置づけていくかとか、そういったようなものも調べ、ご紹介しながら議論を進めているつもりでございます。まだその辺が何といいますか、十分ではないというところがあろうかと思いますので、それもしっかりやっていきたいというふうには思っております。
 それから、そもそもこの資料3のような意見、どうしてここに出したのかというようなお話でございます。寄せられた意見を主なもの―主なものと認識したのは私どもでございますけれども、それを項目別に淡々と整理させていただいたということで、結果として反対のご意見が目立ったのかもしれませんが、もちろんこの中にも導入をすべしという立場からのご意見も幾つか含まれております。それで、いずれにしてもさまざまなところからさまざまな観点の意見が出されたということで、そういったご意見の状況をできるだけ忠実にお伝えするという意味で、ほぼ抜書きしたような形で書かせていただいたということでございます。ただ、まとめるに当たりまして、そういったさまざまな論点を紹介する上で、産業界等から表明されたものを中心に集めさせていただいたということでございます。
 以上でございます。

○森嶌委員長 ある予算をつけた効果を測定することは難しいとは思うんですけれども、大塚委員が言われたことです。西岡委員が言われたようにぎりぎりと予算項目をブレイクダウンして測定しろとは言わないまでも、産業界のご意見には、1.1兆円にも上る大規模な温暖化対策費を使いながら、効果が上がっていないのに環境税を入れても意味がないという議論があるわけですけれども、それではといって仮にブレイクダウンをしたとしても、直接の効果があるもの、中長期的に効果のあるもの、直接にはあまり関係のないものもあります。何千億円も使っているところもあるけれども、電源開発関係、本当に削減効果があるのか分からない。では政府が金を出しているけれども、あてにならないから、もう政府は金を出すのやめたらどうだという論理を極端に当てはめて、効果がはっきりしないからそもそも1.1兆円などという巨額の支出をやめてしまったらどうだというわけにはいかないと思います。
 もう少しまともに申しますと、配分された予算に対応するCO2の、削減効果というものはなかなかわかりにくいと思うけれども、ある程度の効果の測定がなされているのかどうか、あるいは効果測定をする可能性があるのかどうか、ということですね。そうでなければ、せっかく削減計画を立てて2012年になっても結局は机上の空論になってしまうという危険性があるという問題提起があったということで、少しお考え……。

○浅野委員 委員長よろしいですか。
 多分これを全部1つのパターンで整理をすることは無理なんだろうと思いますけれども、やはり目標達成計画をフォローアップしていくというときに、今の委員長からのご指摘があったような観点を入れていかないといけないかもしれない。ちょっと誤解をするといけないのですが、削減に効果があるということを、全部新規に削減量をふやすことに効果があるというふうに読んでしまうと、必ずしも適当ではないものがあるのですね。今までこれでやっとここまでキープできていたものが、これがあるためにキープできているという部分があって、もしそれがなくなると、キープできなくなってふえてしまうというようなものもあるかもしれない。その辺の整理がちょっと悪いわけです。だから何かいかにもこれで新規に削減量をふやしていっているために、1兆円お金を突っ込んでいるんですというような、そういう宣伝をされると非常に困るんではないかと思いますね。
 それから、1つの政策が全部温暖化対策だけを目標に進められているわけではない。例えば原子力利用というのは、エネルギーセキュリティーというもっと大きな政策が背景にあるわけでしょうから、そういったようなことがちゃんと施策として議論される要因の中に入っているわけですね。それを例えば、何か誰か経済学者にお願いして、金銭に換算すれば何兆円ですみたいなことを計算してもらっているわけでしょう。温暖化プラスアルファの要素がそこに入っているということは全然これは消えててしまっているわけで。この辺のところをちょっと注意して見ておかないといけないと思います。どういうような効果を上げるのかということは、何も画一的には計算できないかもしれないけれども、目標達成計画のこの部分とこう結びつきますという整理は、今後やっていく必要があることは事実だろうと思われます。しかし、こういう作業は地球環境部会の仕事であろうと思いますので、地球環境部会でも検討するときにはそのことを意識しながら検討していきたい、そんなふうに考えます。

○森嶌委員長 どうぞ鈴木委員。

○鈴木委員 いろいろと今日は資料をお出しいただいて、大変わかりやすい資料も中にはございまして、ありがたいんですが、やはり環境税というときに今かなりの県において、その水源関連の森林環境税のようなものも導入されていますし、環境税というものをやはり全体としてどう位置づけるかというのは、委員長おっしゃったとおりで、やはりこれからの我が国における税体系というようなものを、基本的に道路特定財源みたいなものを単に振りかえるとかいう議論ではなくて、それも含めて考えていただかなければいけないと思うんですが、これは要するに京都議定書の目標達成計画のその後にくる、やはり6パーセント削減ではなくて、あるは20パーセント、場合によっては50パーセント削減というようなことを求められたときに、一体我が国はどういうその仕組みをつくっていくのかって、非常に重要な問題なんですね。そっちを見据えて、そしてその6パーセント削減に対して、要するにバックキャストをして、その着地点をちゃんと考えた上で、6パーセント削減にどういう税として対応していくか。これがないと、その場その場の小手先で何か考えていって、とりあえずこれを通そうというようなことをすると、また後でいろいろ問題を残すんではないか。これは先ほど武田委員がおっしゃった中長期的な税のあり方というようなことと通じると思うんですが、その一体どの部分をこの小委員会で議論するのか、その辺のミッションをむしろはっきりしていただけると。

○森嶌委員長 この後、少し。きょうで全部やるつもりはありませんけれども、ちょっとその点ご相談したいと思いますけれども、

○鈴木委員 はい、よろしくお願いいたします。

○梶原地球温暖化対策課長 まず初めに、資料4の京都議定書目標達成計画関連の予算についての貴重なご意見、大変ありがとうございます。もっときちんと中身について、わかるような整理をしたらいかがかというふうなことで、今後どのようなことができるかということを考ええていきたいと思っております。
 環境税の具体案ということで、先ほど環境経済課長の方からご説明ありましたけれども、その中にこういう「地球のために、180円」といったこういう資料があろうかと思いますが、例えばこの中には、幾つかの施策に限ってですけれども、全体の将来に対するトレンドと必要な経費について、書いてある部分もございます。例えば10ページでございますが、これはクリーンエネルギー自動車の普及の現状と目標ということで、最終的には2010年で233万台のクリーンエネルギー自動車を普及するということでございまして、それの現在までのトレンドと予算の推移について、書いてございます。すべてがこういったような既存の予算だけで普及をしていくということでは必ずしもございませんけれども、こういったようなことも踏まえて、しっかりと整理をすべきであるといったようなご意見だと思って、今承っておりました。ありがとうございます。
 それとあと、資料の5の地球温暖化対策推進法の改正について、何人かの委員の方々からご質問をいただいております。ありがとうございます。
 まず、佐和先生の方からは、実際、買ってくる調達をするというんだけれども、どういう形で価格設定を行うのかというご質問でございました。今、相対で結局やられるのが主ではないか、例えば取引所とか、そういったようなマーケット整備という観点で何かやるのかというご指摘ではないかと思います。現在のところは今回の制度改正で、そこまでは実は考えておりませんで、ただ、NEDOに調達をしていただくとしても、ではどういう調達の仕方をすべきかといったような点については、今のところは公募をするという形でやることになるんではないかと思っております。
 現在、価格に関してはいろいろな予測もあったり、あるいは実態の調査もございますが、民間の調査では大体5ドルから6ドルが2005年の実績として言われておりますし、2010年の予測については、これ非常に大幅な、いろいろな予測があって、開きが非常に大きいんですけれども、世銀の場合は11ドルといったような予測もしております。ですから、将来的にはどうなのかということありますけれども、今のところはそういったような価格調査をしながら公募をやって、効率的な調達をしていければと思っております。
 それと、大塚先生の方から資料5の4ページ目のA口座とB口座の間に、一番左側の移転というのはないのはおかしいではないかということでございますが、そのとおりでございまして、真ん中の実態上の民間事業者Aと民間事業者Bの間に取引ということと対応する形で、左側のA口座とB口座の間に移転というのが両方の矢印であるべきものだと思います。失礼いたしました。
 天野先生から、アロウワンスとクレジットという言葉について、きちんと使い分けるべきであるとのお話でございました。アロウワンスという考え方、クレジットという考え方、両方とも随分難しい考え方でございますけれども、アロウワンスが与えられている枠ということで、クレジットが新たにプロジェクトから生み出されるものというような意味で例えばとらえるといたしますと、例えばCDMという形で新たにつくられます枠というものをクレジットというふうに概念するのがいいのかなと思っております。ただ、クレジットとして生み出されますCDMからの出てくるものにつきましても、従来の初期割当量と同様に両方も実際遵守に使われるときは同じように使われるということでございます。資料作成に当たりまして、クレジットとかアロウワンスといったような言葉はちょっと厳密性が持っていない書き方したことについておわび申し上げたいと思います。
 それとあと、小林先生の方から政府の買い取る、調達するクレジットについて、どういったものを調達するのかはっきりさせるべきであるといったようなお話がございました。特に事例として、いわゆる森林クレジットをどうするのかといったような事例も含めてご議論がございました。どういったようなプロジェクトから生ずる割当量を調達することになるかということにつきましては、京都議定書目標達成計画の中に、法定計画事項として京都メカニズムのことを書きますので、その中で考え方を明らかにしていくということを考えてございます。その中では例えば実際の削減裏打ちがあるCDM事業に基づくもの、あるいはJI事業に基づくものを中心にして、クレジットの調達を行うというふうに考えてございます。また、森林CDMから出てきますものにつきましては、京都議定書の中のマラケシュ合意をベースとしたその合意の中では、将来補てんすべきもの、例えば何十年かは森林クレジットは使えますけれども、将来的には森林が切られていく、あるいは枯れていくといったようなことがあって、将来的には補てんをしなければならないというような位置づけになっておりますので、そういう意味では、純粋な削減プロジェクトから出てくるようなクレジットに比べて、劣後をするといいますか、そういったような位置づけだと思っております。
 今回、制度的には、それを調達できないということではありませんけれども、予算としては財政上の関係からはそういったような、将来補てんしなければいけないというものについては、今回の予算では調達するものとしては認められなかったということです。
 以上でございます。

○佐和委員 大塚さんに対するお答えですけれども、これこの図を見ますと、まずこのそれぞれ事業者Aと事業者Bの間に取引があるわけですね。そしてその結果を口座に登録していって、A口座及びB口座からNEDOの口座に移転するという方がわかりやすくて、ここにまた取引があるというのは。

○森嶌委員長 そう、そう。それはおかしい。

○佐和委員 それから、1つ中里さんに、税の専門家である中里先生に伺いたいんですが、要するにさっき価格インセンティブ効果のようなものはこれは税とは言えないんだと。これは要するに税源をやせ細らせるようなものは税と言わないというご趣旨なわけですね。そうすると、いわゆるイギリスのように、クライメットチェンジレビーですか、課徴金というような形で本来はあるべきものであって、ただし、ではイギリスの場合、課徴金をそれを―環境省ってあるんですかね、イギリスに―その環境省が徴収するのかといったらそうではなくて、税務署が代行しているということですね。それをそういうふうに考えていった方がいいんではないかというご意見ですか。

○中里委員 課徴金が本来の姿だと思うんです。課徴金をどこが取るかは、これは国家行政組織法の問題で、例えばアメリカだったら社会保険料も国税庁が取っているわけですね。だから課徴金を国税庁が取るようにすれば、それはできると思うんです。でも今は環境課徴金は国税庁が取るというシステムになっていないですから、もし課徴金で導入するならば環境省に取っていただくということになるんですね。要するにそれだけの話で、それだけなんですが、これなかなか大変な話なんです。

○佐和委員 それから、経団連が言っているのは効果がないというんだったら、そうしたら税ですね。

○森嶌委員長 いいですか。これはデフィニッションの問題で、法律で例えば所轄官庁がどこになるかとか、これまでの税の定義あるいは課徴金の定義から言うとどこに入るかということですから、今ここで議論すべきことではないと考えています。

○田村総合環境政策局長 ただいまの議論にも関連して、ちょっと一言だけ申し上げたいと思います。先ほど来、環境税の位置づけという議論もございましたので、一言申し上げると、やっぱり環境税というものを税としてどう位置づけるかという問題と、地球温暖化対策の中でどう位置づけるかという位置づけの問題が2つあるんだと思います。この後のテーマとも関係しますが、税としての位置づけの議論は確かに今中里先生がおっしゃったような議論も伝統的にずっとあるわけです。税というものが所得や消費や資産やそういうものの担税力に着目してかけるという、そして適切な歳出に対して充てる財源であるということでございますけれども、しかし税というのは、基本的には社会経済とともに動いていくものでございますから、課税対象というものは幅広く考えていくということは当然あり得るんで、先ほど森嶌委員長からもお話になったように、グッズ減税、バッズ課税のような議論もあると思います。いろいろな中で適切な歳出を構成するためにどういう税源を着目していくかという大きな議論の中で議論しておるわけですから、必ずしももうこれは課徴金だというふうに決めつけることもないんではないか、そこにさまざまな議論があるんではないかというふうに思います。
 ただこれはいろいろな議論があるところでございますから、やっぱりこれからの大きな税体系の中でも、やはり1つの大きな間接税の中の1つの項目としてエネルギー課税というのは現にあるわけで、いろいろこれから議論をしていく中で、これを既存税制のあり方の中でもやっぱり環境税という観点からの税をどう考えるか、それは確かに1つの意味では温暖化対策に資する政策税制ということであって、必ずしも国の根幹の基幹税制というものとは少し議論が違うかもしれませんけれども、しかしやっぱりこれはもうだから課徴金だというふうに決めつけることもない。そこはいろいろな両方の議論があるんだと思います。
 まずそういう税の位置づけを、これからまさに先ほど委員長がおっしゃったようにこれから議論していかなければならないし、もう1つは温暖化対策という側面で、税以外にもいろいろなまさに自主行動計画から始まって、いろいろな手法があるわけですから、その中でどのぐらい税という手法が効果があるかということをもっとより深く、先ほど諸外国の例もございましたけれども、そういうことも深めながらその中での位置づけを考える。その2つの位置づけをこれから進めていかなければならないんではないかと、そんな気がしましたんで、ちょっと申し上げておきます。

○森嶌委員長 かくのごとく、我々は環境税の話が出てくると、議論をせずにすぐにやめてしまえという話になるんですけれども、環境税という構想が出てきて、そして予算を出すということになると、その場その場というと語弊がありますけれども、環境省の方では環境税の案をお出しになる割合にスケジュールに従って、まず専門委員会を開いていただいて、その報告書に基づいて我々の方としては何が論点かということで議論をするという形でやってまいりました。
 しかし、例えば環境省が所管する環境基本計画なんかですと、中環審で議論して決めてしまえば環境省の段階でおしまいになり、後は閣議決定をしてもらうということで済むわけですけれども、環境税の性質上、そこから例えば政府税調なり、 財務省との関係などいろいろなところが関与しなければ最終決定できず、また、予算の問題とか、いろいろな問題が出てまいりますから、そうは簡単にいかないということで、今までやってまいりましたように環境省は環境省という役所としての予算編成上の動きをしていただく、小委員は小委員として環境税の理論的な問題、制度的な問題、あるいは社会との関係などでスケジュールに縛られながら、かつできるだけ各方面のご理解を得るように議論を進めてきたわけですけれども、先ほど鎌形さんからご紹介がありましたように、現時点ではやはりかなり基本的な問題を―いつまでやっていてもいいということではありませんけれども、どこまでやるかはともかくとして、例えば、既存の税と環境税の関係、エネルギーの問題と温暖化の問題も含めて、環境政策の中で環境税というツールがどのような効果的な位置づけを持ちうるのかという問題などの基本的な問題を頭の中に入れながら、今後議論を進めていかなければならないのではないかと思います。
 それと同時に私は繰り返し申しますけれども、たとえ1円であれ、環境税は税金として国民が金を払わなければならないわけですから、国民の皆さんに理解をしてもらわなければなりません。これはヒアリングに行って一番感ずることですが、賛成する人も反対する人も、環境税について頭の中では考えておられるようですけれども、実はよくわかっておられないのではないかと思われます。少なくとも環境税がどんなものだということがわからない状況で、いいにしろ悪いにしろ、環境税をやりますよと言って突っ走るというわけにはいかない。その意味で我々に課せられている課題は非常に大きいと思います。ともかく中長期的に、税の中で環境税どういう位置を占めなければならないのか。それから温暖化施策の中で、環境税というのはどういう意味を持つのか。そして、我々としては制度として環境税の仕組みをこのような枠組みの下で考える国民に環境税というものを理解をしていただけるようにどのように外部に発信をするのか。いつまでも審議をしているわけにはいきませんけれども、冒頭に申しましたように、以前に3月に中間報告を出しましょうかといったのは、3月ぐらいにはある程度の項目程度の整理はしたと思っておりましたけれども、これはしばらくお休みをいただく前の話でありました。しかし、その後いろいろな展開がありますので、だらだらとはやるつもりありませんけれども、基本的な問題も含めて少しスケジュールを変えて、今までやった論点も含めて、上に申し上げたより大きな論点についても議論をしておきたいと考えています。少し事務局と詰めてやってみたいと考えています。大体今年1年ぐらい、どこまで行くかわかりませんけれども、やり出したらそれこそ、ヨーロッパでもそうでしたけれども、5年ぐらいはすぐかかってしまうのでしょうけれども、これから1年程度を想定してスケジュールを立てたいと思います。ほかにどうぞご意見を。小林委員のご意見もありましたけれども。
 大塚委員は倒し忘れただけですか。名札が立っていますけれども。

○大塚委員 佐和委員のもう一つの点についてなんですけれども、今の話と直結しないので、どこか後でいいです。

○森嶌委員長 そうですか。倒し忘れたのかなと思って大塚先生を無視してしまいましたが、ごめんなさい。
 では小林委員、どうぞ。それから江森委員、どうぞ。その後中里委員。

○小林委員 今の報告、お話を聞いておりまして、大体私と同じような感じだというふうに感じたんですが、まず一点目は、作業として政府税調等々からいろいろな課題が出されているわけなんですが、この課題についてこの小委員会としては、どういう検討の仕方をしてきたのか、どうまとめられたのか。まとめた割にはなぜほかの税調等々で課題として残されてしまったのかということを、もう一度整理をして改めて議論すべきではないかなというのが1点ございます。
 今、森嶌先生の方から言われましたように、やっぱり環境税について国民の理解がやはり不足している。先日のいろいろなところでのヒアリングの中でも、発言している方々自身が環境税とは何かということが理解されないまま発言されている方が大変多かったという感じがしました。そういう意味から私自身、この国民の理解というのをもう一度トライすべきではないか。ただ、経済的措置というのを盛り込んでいこうとしているわけですから、国民の合意形成が完全に求められていることは絶対ないと思います。そういう意味からいって、しかし理解を深める必要性はあるんではないか。そのための作業を進めるべきだろうというふうに思います。これが1点です。
 それからもう一点は、先ほどから議論になっていますように、環境税というのはやっぱり税金ではなくて、課徴金ではないかと議論がありますように、既存の税制の考え方とは少し違うと思うんですよね。そういう違うものを現在の税制の中に入れてやるのか、それともその税制そのものを新たな提案としてやっていくかというのが大きな課題だろうと思うんです。そういう意味からこの環境税のみを考えるんではなくて、以前もこの話を申し上げたときに、小委員会の範囲を超えるというご意見の方もおられたんですが、やはり既存の環境、エネルギー関連税制全般を含めた形で環境税そのものをどう考えていくかというのは、やはり議論をし提案をしていく必要があるんではないか、その辺の議論の深め方がぜひ必要ではないかないうふうに思います。
 以上です。

○森嶌委員長 それでは江森委員。

○江森委員 先ほど、経済同友会の武田委員の方から発言がございましたけれども、実は先週の2月6日に、連合は環境小委員会をやりまして、同友会の方に来ていただいてヒアリングを行って意見交換をさせてもらいました。率直に言って、連合の内部で議論してきた考え方とかなり近いなという印象を持ちました。
 実は2004年の5月にこの場に来まして、連合として温暖化対策税についてどう考えるのかということをペーパーでお示しをして、ヒアリングをお受けしました。その中では、連合で議論してきた基本的な考え方として、6パーセント削減ということを本当にやろうと思ったら、あらゆる対策をやらなくてはいけないと。その中に経済的な手法である税という問題も検討の対象にすべきではないかと、意見を述べました。その上に立って、7つの検討課題があるのではないかというのを提起をさせていただきました。あれから2年近くたって、今日この資料3を拝見させていただくと、余り議論が変わっていないんではないかという印象を、率直に受けております。実は連合の中でもこの2年間、サマータイムを含めて、いろいろな議論をやってきて、大体煮詰まってしまっています。いろいろな産業の意見がありますから、大体似たような議論の繰り返しにどうしてもなってしまうわけです。そういうことがあって、同友会の方に来ていただいたり、昨年の5月はドイツとイギリスに行って、環境税制と排出量取引という2つのテーマで調査団を出して、報告等をまとめてきたというような経過もあります。
 その中で私どもがドイツ、イギリスに行って特に感じたことは、日本と違って労働組合のナショナルセンターが支持している政党が、ドイツでいえばDGBが社会民主党で政権の与党に入っていますし、イギリスで言えばブレア首相の労働党をTUCという労働組合のナショナルセンターが支持しています。ですから日本とは違うと思うんですが、政労使がそれぞれ置かれている違いはあるにせよ、共通した中長期的な目標を持って、ベクトルを合わせて努力をしている姿は、やはり日本としても学ばなければいけないんではないかなという印象を持ちました。とりわけ、ブレア首相の温暖化対策に向けた政治のリーダーシップというのは非常に大きいということをドイツ、イギリスに行って感じたわけです。
 この間、2年間、環境省として環境税案を出されました。これをめぐっていろいろ議論したんですけれども、やはり連合の中でも財源がほしいだけではないかだとか、あるいは既存税制との調整が不十分だとか、あれぐらいの税率で本当に効果があるのかというような議論も実はあったわけです。連合としては、基本的にはやはり政府が責任を持って国民の議論にたえるような素材をぜひ提起すべきだというふうに思っています。現時点でなかなか難しいということであれば、同じメンバーだけで議論していると、煮詰まってしまってなかなか前へ進みにくい面もありますから、ぜひ同友会の方から来ていただいてお話を聞いて、そういったことも1つの外の風を入れ込む議論のきっかけにしたらいかがかと思います。
 以上です。

○森嶌委員長 それでは中里、天野、鮎川、関澤という順番で今考えていますが、どうぞ。それでは中里委員どうぞ。

○中里委員 先ほどの大塚委員のご意見があったんで、それについてのある種のこちらの反論というのをしていいんでしょうか。

○森嶌委員長 どうぞ。

○中里委員 大塚先生は、あるいは大塚先生以外の方もそうかもしれませんが、温暖化対策として自主的な取組をしてもらいつつ、環境税も導入すればなお効果があるのではないかということで、自主的な取組に水を差すというような経団連の意見というのは、温暖化対策の観点としてはおかしいんではないかというようなことをおっしゃったんではないかと思うんですが、これについてなんですけれども、産業界は自主的な取組でその費用とか、効果とか、あるいは研究開発等をみずから定めて行動しており、それは新税としての環境税や規制的な施策の導入をさせないために自主的な取組をしているわけであります。もし、環境税導入が前提であるならば、今の自主的な取組は形を変えているかもしれないと思いますということを申し上げたいです。だからそういう意味で、何トンにする、環境税の導入とあるいは規制的な施策を導入させないために、今回の資料3のページ1とかページ5に経団連の意見が出ているというふうに私は思っております。
 以上です。

○森嶌委員長 今はそうかもしれないけれども、経団連の自主的取り組みは、環境税の考え方が出る随分前から始まっていますので、歴史的には中里先生のおっしゃった動機づけではないと思いますが、今の機能としてはそうかもしれませんね。
 それでは天野委員どうぞ。

○天野委員 環境税一般の税における考え方について、ちょっと私の説明の仕方が悪かったのかもしれませんが、インセンティブ効果を専ら考えて主張しているというわけではありませんで、普通の税はどんなに工夫をして税を考えても、必ず国民全体にコストをかけてしまう部分があるわけですね。ですから、例えば100円の税をかけたら、100円丸々税収になるんではなくて、そのうちの8割ぐらいしか収入は入ってこない。残りの2割というのは、例えば国民のコストとして負担されてしまうということがあるわけですね。これが既存の税の特徴なんですが、それに対して環境税というのは、もちろん環境税も若干のそういう要素はありますけれども、むしろ既に経済システムを持っているマイナス面というのを是正する効果があるわけですね。ですから通常の税に比べれば、そういう意味で国民全体にかかるコストというのは小さい税という特徴があるわけです。
 先ほど私はイギリスの例を挙げましたけれども、イギリスは環境省もありますけれども、環境省が言っているんではなくて大蔵省がそういう主張をして、環境税というのを正当化しているという面があるわけです。ですからそういう議論がやはり私は日本でもきちっと財務省含めて、政府のいろいろな省庁の中で議論されて、こういう制度、仕組みを考えるべきだということを申し上げておりますので、決して環境税の価格インセンティブがあるからほかの税とは違うんだということだけを言っているわけではないということはご理解いただきたいと思います。私は税の専門家ではありませんですけれども、税の専門家が本来取り上げるべき問題であって、環境経済学者が主張するような話ではないというふうに考えております。
 それからもう一つは、環境省の提案している環境税というのは、環境税という言葉に惑わされて、何か1つの提案として受け取られている面が強いんですね。しかし、これはよく中をごらんいただいたらわかるんですけれども、政策パッケージになっているんですね。その政策パッケージであるという評価というのを余りきちっとされません。理解されるように説明しませんし、むしろ財源がほしいような趣旨で提案をされると、ますますわかりにくくなる。その辺はきちっと将来にこの形を続けるか、あるいは新しい形の提案をするにしてもそういった政策全体の特徴ということをきちっと説明しないと税率が低いから効果がないという誤解を与えてしまうという点があるわけで、この点は私はぜひ環境省の方でこういう提案をするときに心がけていただきたいというふうに思うわけです。
 それからもう一つは、先ほどのいろいろな反論の中にもあるんですけれども、環境税というのはできるだけその消費に近い段階でかけると効果が高いから、そういうふうにしなさいというふうな意見があります。これはそれとして私は意味はあると思うんですけれども、税の持っている効果というのは、1つは税を支払うということを意識する。それによって自分の行為を変えるという要素は確かにあります。ですから税を払う人に意識させるようなところでかけなさいというのはいいんですけれども、他方でどこでかけても価格が変わって、そうすると価格が変わることによって別に意識するしないにかかわらず経済活動が変わると、こちらの方は価格メカニズムの働きですから、私はどうもこういう議論しているときに、価格メカニズムに対する不信感というのが非常に強いように思うんですね。ですからそのあたりをきちっとしていただきたい。これが今後の環境税等の議論をするときに、大変重要な話であるというふうに思います。
 それから、最後にちょっと細かい点で、また蒸し返すようで申しわけないんですが、先ほどの算定割当量という定義、これはどうも法律上の定義みたいなんですが、クレジットというのは発生するときの発生の仕方が違うという意味で区別しているんですね。ですからベースラインを決めて、そこからどれだけ減ったかという算定をしますので、恐らく算定やられているとおっしゃっていると思うんですが、一たん、それを取引してしまいますと、あとは1トン幾らという普通の単位に変わってしまいますので、その入り口の部分だけで使っている用語を取引全体に適用するというのは、僕は非常におかしいと思いますので、これは法律の用語、私は法律をちゃんと条文読んだわけではありませんけれども、算定割当量で最後までいってしまうような法律のつくり方というのはどうもおかしいなというふうに思ったわけです。
 以上です。

○森嶌委員長 それでは鮎川委員、どうぞ。

○鮎川委員 ありがとうございます。今、森嶌先生の方から、環境税の今後の方針として論理的にきちんとどのようにどのレベルまで理解していただけるかということが重要だとおっしゃったんですけれども、環境税というと環境省案の環境税の理解が1つあって、もう一つはやっぱり普通の一般的に環境税とは何かということの理解とがあると思うんですけれども、この2つは全く別のことだと思っていて、これをどっちの方を念頭に置いていらっしゃるのかというのがちょっと疑問なんですけれども、環境省案を見ると、環境税収の使途というところを見ますと、やはり目達計画の予算に入っていない部分で、なおかつ私なんかは温暖化対策として必要だと思われる、例えばエコビルとかエコ住宅の普及だとか、あとグリーン自動車の普及だとか新エネルギーの普及とかバイオマスの普及とか、そういうようなことに目達計画に比べて圧倒的に多くの予算が割かれているわけなんですけれども、これを見ると、やはり環境省案は目達計画を補う意味での税収目的だということがすごく明確であって、増税になってしまうと。ある意味で目達計画が不十分だということを示していると思うんですけれども、私たちは同友会の意見などにも似ているんですけれども、やはり税収中立であるべきだと思っていますし、一般財源に使われて、環境税の意味としてはインセンティブ効果とアナウンスメント効果ではないかというふうに思っています。やはり日本を脱温暖化社会に変えていくためには、経済的手法が必要なのであって、だからやはり何らかの形でのこういった環境税とか、キャップ・アンド・トレード型の排出量取引みたいな、そういった経済的手法はどうしても必要ではないかなという観点を持っておりますので、そういう意見です。

○森嶌委員長 これは諮問の出方によると思うんですけれども、一般的には、中環審の場合には、基本的な考え方について議論していただいて、中環審としてはこういう方向の施策をとるべきだと考える答申を出しています。何かについての基準を設定してくれというような諮問の場合には、基準を何ppmとすべきだなどという答申をだしています。鮎川委員に対するお答えということになりますと、私どもは環境省案を議論しているわけではなくて、環境省が案をお出しになる、もとになる考え方として、我々としては環境税についてどういう具体的な考え方を提案するのかを議論しているのです。しかし、これまで繰り返し申しておりますように、環境省がこれまで出された案は毎年の政府の予算編成との関係で出されたもので、我々の議論が詰まらないうちに、どうしても環境省としては案を出さなければならないという普通の法案とは違ったルートを通っています。そこで、毎年我々の議論しているうち環境省の予算提出との関係で環境税案が出るという形でやっておりますけれども、一般的にいうと我々は基本的なアイデアを出して、それに基づいて細かいところとは我々の考えに基づいて役所がお決めになっています。お答えとしては我々は環境省案を考えるのではなくて、環境省の案のもととなる環境税のあり方はどうあるべきかという基本を議論していただくということであります。
 それでは関澤委員、どうぞ。

○関澤委員 先ほど来、出ていることをちょっと違う角度から言わせていただきたいと思います。環境税を国民がわかっていないという話がいろいろ出ておりますが、私はその環境税がわかっていないという以前に、やっぱりどうずればCO2削減ができるのかということが、国民の前に本当に明示されているのかなと、こういうことが私は気になっています。例えば家庭でCO2どんどんどんどん増えているけれども、実際は一方で省エネ機器というのは物すごく進歩してきているわけですね。にもかかわらず、それでは何で増えているんだと。こういうことをぜひ税以前の問題として、そういうベースがないと国民運動として展開できないんではないかと思うわけです。だからそういう点をぜひデータ等をどんどん出して、国民にPRしていただき、理解活動を進める。そういう国民運動に全力を尽くしていただきたい、このように思っております。

○森嶌委員長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 中里委員とは規制改革会議以来のおつき合いで意見が一致するところも多いので、ちょっと違ってしまってちょっと残念ですけれども、一言だけ申しますと、先ほど森嶌先生がおっしゃったように、恐らく自主行動計画を経団連が最初にお入れになったときは、その税の導入をやめるためとか、入れさせないためにということまでは、少なくとも余りおっしゃっていなかったと思うので、そういう経緯ではなかったんではないかということと、あと、もし本当にそういうことをお考えでしたら、ドイツで前にやっていたように、炭素税を入れないということをあのときは考えていたんですけれども、環境省と経済産業省の大臣も署名をする形で協定を結ぶとか、政府との間で、ということをやっておられれば、先ほどおっしゃったような税が自主行動計画を阻害するというようなお話が出てくると思いますけれども、そこまでちょっとおやりになっていないので、少し議論の前提が必ずしも確固としたものではないんではないかという感じがします。ちなみにドイツはだから温暖化対策税とか炭素税という形の名前の税は入れていないということなんですけれども、そういうことがございます。
 それからもう一点ですけれども、これは梶原課長から本当はおっしゃっていただく話なんで、ちょっとしゃしゃり出てしまって申しわけないんですけれども、佐和委員が先ほどおっしゃった資料の5の4ページのところですけれども、これはしかし民間事業者同士の取引もあるという前提ですので、これはどういう場合かというと、例えばクレジットを買ってきてもそれが今はすぐAは政府に売るんではなくて、NEDOに売るんではなくて、その民間事業者Bに売るというケースもあるという前提でつくっておりますので、AからNEDOに直接行く形しかないんだということではない、AB間の取引もあるということでございますので、先ほど梶原課長がおっしゃっていただいたようなことでよろしいのではないかと思っております。
 以上です。

○森嶌委員長 その辺のところは取引業者に任せればいいのではないでしょうかね。大体、国内市場もないうちからそんなことをやっても、もうける人はどうやったってもうけます。今国外市場で取引をしている派いずれ日本に売るつもりで買ってくるわけですから。CDMの場合、ちょっと違いますけれども、エミッショントレーディングなんかは国外から買ってくるわけですから、放っておいたってちゃんと工夫してやりますから。

○大塚委員 そのために手続を今回つくったということなので、要するに説明の問題に過ぎないです。

○森嶌委員長 ええ、説明の問題に過ぎませんから、大塚委員が頭をしぼらなくとも、ほかにやらなければならないことはたくさんありますから、余り心配しなくても大丈夫です。
 それではほかに何かございましょうか。なければ、私がさきほど申し上げたような方針で、事務局とも議論しまして、先ほどから経済同友会の名前が出て好評なようですので、経済同友会においでいただいてヒアリングするようなこと考えています。日程的な問題もありますけれども、できるだけそう間延びをしないうちにお招きしたいと思います。また、基本的な問題を含めてさらに議論をしてまいりたいと思います。もちろんここでの議論が例えば政府税調を拘束するとかそういうことでは全くなく、またこの委員会の権限を超えるか超えないかとかの問題ではなく、我々として税体系の中における環境税の位置付け、それから温暖化対策という施策の中における環境税の位置づけ等の基本的な問題についてどう考えるかを議論できればと思います。さらに、国民には温暖化対策のことがちゃんと理解されていないのではないかというお話が関澤委員からありましたけれども、環境税について国民に理解をしていただくにはどうすべきなのかについて我々として真剣に考えなければなりません。この3つの点を押さえながら今後どのように議論を進めていくのか、できるだけ今年の暮頃までには何らかのとりまとめをしたいと考えています。
 それから、税調など他の機関に我々のやっていることが知られていないというのは、環境省の方で伝えていないのかどうかわかりませんけれども、伝わっていない可能性は多分にあります。経団連などにもここでの議論がどれだけ伝わっているのか、我々の方でもう少し正式にお伝えする必要があるのではないかと思います。それと同時に、意見書という形ではなくて、経団連や経済同友会や商工会議所のご意見をきっちりと聞いて、意見交換をする必要があります。それと同時に、国民に対しても広く意見公安の場を設ける必要があるのではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 少し時間をオーバーいたしましたけれども、何かありますか。
 それでは、今日はこれで会議を終了いたします。

午後0時09分 閉会