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中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第16回施策総合企画小委員会 議事録



平成16年12月1日 午前10時00分開会

○鎌形環境経済課長 おはようございます。まだお集まりでない委員の方もいらっしゃいますけれども、追ってお見えになると思いますので、これから会議を開催させていただきたいと思います。それでは、森嶌委員長、よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 おはようございます。
 それでは、第16回施策総合企画小委員会を開催させていただきます。
 今回の議題でございますけれども、3つ議題を予定しておりまして、1つは前回申し上げましたように、京都メカニズムにつきましてご審議いただきたいと思います。2つ目はご案内のとおり、最近、急に、と申しましょうか、環境税をめぐりまして、政府税調や与党等におきましていろいろと展開をしております。それにつきまして事務局の方からどういう状況かということを報告いただきたいというふうに思っております。
 それから、3番目は、だんだん年末も詰まってまいりましたし、私も含めまして委員の任期が参りますので、一応この委員会といたしましても、委員会そのものとしては継続することになるのだと思いますけれども、委員の交代等ございますので、この際、一度、論点の取りまとめなどをしたいというふうに思っております。中間取りまとめ以降……中間取りまとめと申しましても、前に申しましたとおり、あそこまで何をやったかということでございます。それ以降の論点をどういうふうに整理するかということにつきまして、それを確認した上で次回あたりに、これまで議論をしてきたことについて整理するとういうことをしたいと思いますので、3番目はそれをご議論いただきたいと思います。
 それで、最初でございますが、京都メカニズムであります。これも今まで申しましたように、どうも、京都メカニズムは言いはやされておりますけれども、必ずしも京都メカニズムについての位置づけが十分に理解されていない。ないしは理解をした上で殊さらに、わざわざ取り違えて議論をしているのではないか。それから、議論をする場合に環境税と京都メカニズムとの関係ということについても、十分位置づけをしないままに簡単に環境税は高いけれども京都メカニズムは安いなどという、私から言わせれば、本来比較すべきでないような議論も軽々になされているように思われます。そこで、きょうのところは、まず、京都メカニズムは何かということについて、温暖化対策課の清水課長からご説明をいただいて、少し頭の中を整理した上で、この後の議論を進めることにしたいと思います。まず清水さんの方からご説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○清水温暖化対策課長 温暖化対策課長の清水です。
 資料1ということで、京都メカニズムをにめぐる状況について資料を用意いたしましたので、この資料に基づいてご説明したいと思います。 地球環境部会の方々は、ある程度ご存じかと思いますけれども、少し基本的なことも含めて、もう一回資料で整理しております。
 まず、ページをめくっていただきまして、2というところを見ていただきますと、「京都メカニズムとは」ということで書いてあります。京都議定書の削減約束のための柔軟性措置ということでありまして、単に国内の対策のみならず、他国における排出削減量を自国の約束達成に用いることかできるという、そういう仕組みでありました。 ここに3つ書いてありますように、共同実施、CDM、国際排出量取引ということで、共同実施とクリーンメカニズムにつきましては、先進国、途上国の差はありますけれども、左側の先進国Aから資金技術がプロジェクト実施国に提供され、そのプロジェクト実施に伴い削減量が出てきたものを移転するということであります。
 それから、国際排出量取引につきましては、プロジェクトというよりは、枠そのものの移転ということになりますので、実際のプロジェクトとはリンクしていないということであります。この京都メカニズムの使用につきましては、国内対策に対する補足性ということが3ページに書いてありますが、京都議定書及びマラケシュ合意の中で、京都メカニズムの活用が国内対策に対して補足的でなければならないという、そういう原則になっております。
 3ページの2番目の「●」に書いてありますように、このことは共通だが差異のある責任原則ということが、京都議定書あるいは条件の非常に大きな原則でありますので、先進国が率先して解決に取り組むべきということ、そういう趣旨からすると、やはり国内対策を主に考え、京都メカニズムのような海外における対策、ついては補足性を考えていこうという、そういうものでありました。
 それから、長くなりますので、次のページに飛ばしながらいきますけれども、参考1は、世界の二酸化炭素の排出量ということを書いておりますけれども、過去においては先進国が多かった。今後は途上国であるわけですが、それから、各国の1人当たり排出量と人口が5ページに書いてありますが、1人当たり排出量で見ると、先進国の方がかなり高い。ただ、途上国も人口が多いので、この5ページの面積が排出量総量になりますが、中国などは総量においてもかなり大きいということが、おのずから言えますけれども、1人当たり排出量と国別排出量は異なるということで、そこを見ていく必要があるということであります。
 それから、6ページに参りまして、それでは現在の我が国の対策の中、大綱の中で、京都メカニズムはどう位置づけられているのかということでありますが、この上に書いてあるのが、今の大綱の区分ごとの目標であります。これは[1]から[5]まで書かれておりますが、この中には京都メカニズムが入っていない、京都メカニズムは明記されていないということであります。この右側の目標の欄に書いてある数字を全部足しますと、▲ 4.4%ということになります。したがいまして、6%との差というものが 1.6%部分、この差の 1.6%部分について京都メカニズムの活用が想定されているということであります。
 ただ、下の方に書いてありますように、こういった[1]から[5]の目標のうち、第1約束期間において目標達成が十分に見込まれる場合については、こうした見込みに甘んずることなく、引き続き着実に対策を推進するということが書いてありますので、[1]から[5]の対策が進めば、結果として京都メカニズムが減るということもあり得るという、そういう構造にはなっているわよけです。今の大綱の位置づけはそういうことであります。 7ページに参りまして、我が国として京都メカニズムのうち、何を活用するかということでありますが、一番上の「●」に書いてありますように、我が国といたしましては、京都メカニズムのうち、具体的な排出削減努力に裏打ちされ、かつホスト国の持続可能な発展にも資するCDM/JIを中心として活用するという、そういう方針でありまして、国際排出量取引、特にホットエアについては、慎重なスタンスであります。
 ただ、こういう国際排出量取引についても、グリーン・インベストメント・スキームというような、具体的なプロジェクトに裏打ちされて、その見返りというような形で排出量取引を行うことについては、活用を検討していく必要があるのではないかなと、そういう位置づけにしております。
 それから、8ページに参りまして、CDMプロジェクトの実施の流れということであります。これはいろいろな手続きを経ながらいくということで、まず[1]でプロジェクトのドキュメントの設計書を作成し、CDM理事会でベースライン設定方法を承認したり、それから投資国、ホスト国、それぞれの承認を行い、それから、実際に審査を行う指定運営機関というのが、これはプロジェクトを全部管理していくわけでありますけれども、そこが移行審査を行ったりして、具体的にCDMの理事会で正式登録されて、その後にCDMプロジェクトが実施される。具体的にモニタリングを行い、検証、認証などを行って、その上でCDM理事会がクレジットを発行するという、そういう形になります。かなり流れが複雑な手続きになっているということであります。
 9ページでありますけれども、現在、では、具体的にプロジェクトがどれだけ正式登録されているかということなんですが、これまで実は1件のみです。11月18日にブラジルのプロジェクトが世界で初めてCDM理事会に正式登録ということでありますので、上の図でいきますと、[5]までいったプロジェクトか、やっと1国という状況であります。
 現在、[2]から[5]までのプロジェクトがかかっておりますけれども、この中には日本の介入するものもあります。いろいろ中には手続きで、順次プロジェクトが進行しているという、そういう状況であります。
 それから、10ページに参りますと、我が国の政府の中でどういう体制で、この京都メカニズムを進めているかということでありますが、京都メカニズムの活用連絡会というのを、関係省庁で課長レベルで設定しております。私もメンバーであります。ここが事業の承認を行っておりまして、11ページ、12ページにプロジェクト一覧がありますが、これまで12のプロジェクトを、この京都メカニズム活用連絡会というところで承認しているという状況であります。
 13ページに参ります。こういうプロジェクトを承認して、このまま動いていくわけですが、実際、CDMなどのプロジェクトがどういう形になったときに、我が国の京都議定書の目標達成、遵守に利用できるかということをあらわした図です。少し複雑な図になっておりますが、13ページの図の中で一番下の左側の下に「事業者」と書いてあり。国内でプロジェクトを行おうとする事業者が、資金を提供しまして、右側の方にありますが、CDMの事業を行います。実際、先ほど説明したような複雑な手続きを経て、CDM理事会でCDMのクレジットが発行されるというのが右側の真ん中あたりに書いてありますが、ここからまた矢印が左の方に来まして、「法人用保有口座」というところに分配されるわけです。
 ところが、この法人保有口座というのは、我が国の国別登録簿という、銀行口座のようなものでありますが、この口座の中にクレジットが入っても、それだけでは、我が国の6%削減約束の遵守にはカウントできないということであります。その法人用保有口座のところに「……」ということで矢印が書いてありますが、政府の保有口座に移転されて、それから右の方に「償却口座」というふうにありますが、ここに移されて初めて6%の遵守にカウントできる、そういうことであります。現在、法人保有口座から政府保有口座―どのような形で移すという、そこの仕組みについて未定でありますので、これは大きな検討課題ということであります。 次の14ページへ行きまして、それでは、今後、政府として償却口座に入れるために政府の口座に入れなければならないわけでありますけれども、そういった政府の口座に入れることの見通しがついているクレジットが、今までの間にどれぐらいあるかということであります。これは端的にいいまして、先ほど、12件のクレジットの発生量は 772万トンになり、今後、さまざまな手続きを経て、承認でクレジット発行というところまで持ってこなければならないわけですが、このうち日本政府にクレジットを移転することが決まっている量は、現在のところゼロということであります。
 [2]のところに書いてありますのは、現在、どういう形でクレジットを取得するということを考えているかといいますと、1つは整備補助事業ということで、政府がプロジェクトに対して整備費を補助する。その補助額にあわせてクレジットを取得するというような形で考えております。これが現在のところ、環境省分につきまして、2012年までに最大15.4万トンぐらい見込める可能性があるということであります。これでは余りにも少ないわけですから、15ページにありますように、17年度の概算要求において予算額を大幅に拡充して、それぞれ要求しております。
 56億円というのが、環境省、経済産業省合わせた額に17年度予算になっていますが、この額で、仮に 750円相当でいきましても 750万トンということであります。政府全体として、先ほど申し上げた目標は 1.6%ということで、これは年間 2,000万トンでありますし、5年間の総計だと1億トン、クレジットを確保しなければならないわけでありますが、この56億円程度でもまだまだ足りないということでありますので、ともかく財源は必要であるということであります。
 それから、16ページに京都メカニズムクレジット価格が安いということが書いてありますが、これまで言われていますので、その価格がどんな例かということを示しております。ここに幾つか 400円とか、 580円とか、 733円という例がありますけれども、これはかなりリスクというものがありまして、例えば買い手側がプロジェクトの登録リスクを負う場合、予約のようなものでありますけれども、全部クレジットが本当に発生するかどうかというリスクかあるわけです。それから、売り手側が登録をする場合でも、そうなるとリスクは少しは減りますけれども、それでもリスクというものがあるわけでありますので、具体的にプロジェクトに対してお金を、今、幾らということになっても、それが本当にとこまでプロジェクトとして認められるかというリスクもありますし、実際、プロジェクトを実施してきて、どれだけの量が認められたかというようなリスクもありますので、この額というのは、大幅に割り引いて考えないといけないのかなというふうに思っております。
 それから、17ページですけれども、将来の需給バランスということを考えていく必要がある。これはイギリスのマイケルクラブという専門家の推計でありますけれども、将来、これはちょっと多目かなとも思っておりますけれども、供給量、需給量とも多目に見ておりますが、供給量で約1億トン、需要量で5億トンというようなことが、この図から見られます。少なくとも、将来、クレジットの必要量に対して供給量が少ないということを考えますと、今の価格というものがかなり高騰していく可能性が十分あるということであります。
 それから、18ページに参りますと、CERという、今言いましたのがCDMクレジットですが、このほかに、JIとか共同実施とか、あるいは排出枠の余剰の部分があるんじゃないかという議論がありますけれども、ここもかなり厳しいと言わざるを得ないというふうに思っております。
 18ページで3つぐらい理由を言っているんですが、まず、ロシアの今の態度を見ますと、ホットエアを売るという態度は全然方針にはなっていないようであります。ロシアからのホットエアの売却というのが、かなり見込まれない厳しい状況にある。それから、ロシア・ウクライナにおけるJIの方のプロジェクトの潜在的実施可能性、これはかなり大きいわけでありますが、そのJIを実施するに当たりまして、インベントリーの整備というのが大変大きな壁になりますので、このインベントリーの整備がうまくいくかどうかという制約条件が考えられる。 それから、中東欧諸国におけるJIクレジットというのは、EUの域内取引の制度内に取り込まれていくと、かなりここでも1つバリアというものが考えられるということがありますので、こういった3つの条件を見ますと、我が国が取得可能なクレジット量がかなり少なくなっていく可能性もあるということは考えなければならないというふうに考えます。
 19ページですが、今後、1億トンというのは大量の京都メカニズムのクレジットを考えていくということが必要である。それから、さらに、今申し上げましたように需給バランスがかなり逼迫して、需要量に対して供給量が少ない可能性があるというようなことを考えると、価格がかなり高騰する可能性は考えておかなければならない。現時点におきまして、先ほどの5ドルとか10ドルとか、そういったレベルで京都メカニズムに偏れば、事実上、際限なく安価にクレジットが取得できるというような考え方をとるのは、大変危険ではないだろうかということを思っております。
 それから、20ページにおきまして、京都メカニズムの活用ということでありますが、我が国のこういった今の状況を見ますと、我が国としましては、京都メカニズムの補足性、それから現実に取得し得るクレジットの限界量、価格が高騰していく可能性があるというようなことも見据えつつ、国内対策を基本として対策は講ずるべきであろう。
 ただ、その一方、 1.6%程度は、これは確実に取得していかないと、これはやはり全体としての目標の達成が苦しくなってくるということがありますので、現在、クレジットを政府が確実に取得するための方法論について、地球環境部会などで審議していただいているというところであります。
 いずれにしましても、財源というものがなければ、これは京都メカニズムの活用ができないということでありますので、これらを考えていく必要があるということであります。
 最後、21ページから22ページに京都メカニズムと税のそれぞれの比較表みたいなものを置いております。これは施策総合企画小委員会で資料として既に配られている部分の中の抜粋であります。京都メカニズムの方だけ見てまいりますと、まずは公平性の面では、クレジットをだれが、どのように負担するかというような面での課題であります。
 効率性という意味では、途上国に効率のよい削減機会があるため、低コストということが言えるかなと。
 それから、効果・確実性のとろでありますが、必要なクレジットが確保できれば確実な効果があるわけでありますけれども、今まで申し上げたように、本当に必要な量を確実に購入できるかどうかというところにおいて不確実性が存在するのではないだろうか。
 それから、長期的効果として考えたときに、世界規模での産業構造の展開には効果があるけれども、国内産業を環境低負荷型に転換させるという意味での効果は少ない。
 それから、経済への影響ということを考えたときは、国外への資金流出ということで、ここの部分は、確実にマイナスになるということであります。
 最後、また繰り返しになりますが、京都メカニズムはあくまで補足的であり、かつ財源が必要ということを書いております。
 以上です。

○森嶌委員長
 今の全体的なお話、地球環境部会に属しておられる方は、もっと全体的なところから、もう少し詳細な説明をお受けになると思いますが、私は法律という立場から環境税との関係で、もう少しざっくばらんなところから申し上げます。6ページをちょっと開いていただきたい。ご覧のように、京都メカニズムというのは国際的取引でありまして、 1.6というのは、この目標の外側に出ているというのはご承知のとおりであります。、つまり、今、削減とか何とかいっているときに、 1.6というのは最初から外側に出ているということです。そこで、国が国際的にお金を払って、そして取得してくるという、つまり「国が」ということは、実は国民が払ってくるわけです。それはJIか、ETか、CDMかどうかは別として、国が国民のお金を払うということであります。そして、それは国際的な取引だということであります。
 よく、ヨーロッパで、いろいろなことを言っているのは、これは国内的な京都メカニズムに類した取引をしているわけであります。それは国内でちゃんとキャップ・アンド・トレードなり、あるいは政府と「私はこれだけ削減します。」と約束をして、「もしも約束が達成できない場合には税金を払います。税金を払えなかったら、国内でエミッション・トレーディング、排出権を買ってきて埋め合わせをします。」という、国内にちゃんと義務づけができているからであります。これは日本と話が違うわけで、京都メカニズムの話をすると、これは国際的な取引ですから、日本は全然それとは違う話をしているわけです。
 先ほどのお話もお聞きになったように、CDMなんかで企業がいろいろやっているというのは、これは別に削減目標ではなくて、要するに投資の対象として企業が出ているだけの話でありまして、これは全然関係がないということを、まず見ていただきたい。
 さらに、これとの関係で言いますと、今、議論をしているのは、環境税が有効かどうかというのを、ここでも議論いただいているわけです。、企業の話ばかりしていますけれども、むしろ、我々が考えなければいけないのは、運輸部門とか、民生、民生というとみんな家庭のことばっかり話しますけれども、こういうビルの業務などをどうやって減らすことができるのか。これは、キャップ・アンド・トレードというわけには、なかなかいかないわけであります。そこで、きのうの日経に佐和先生が出ていましたけれども、規制でやらないで、経済的な手法でやるとすれば、そういうキャップ・アンド・トレードみたいな、要するに規制でなくてやるとすれば、そういう運輸とか、自動車とか、ビルみたいなところだと環境税が効くのかどうかということを、ここで議論していただきたいわけです。とかく環境税となると、企業をどうしてくれる、という話だけに持っていってしまって、ご議論になるけれども、もっと広い立場で、ここでは議論していただきたい。
 そして、京都メカニズムの方が安いじゃないかというのも、京都メカニズムで払うのは、これは国民が払うのでありまして、どっちにしても企業が払うわけではないという、今の日本の状態です。国内取引の話をしているわけではないんですから、安くても高くても、それは皆さんには関係がない。環境税が高かろうと安かろうと、それはCO2を出している人が負担する。そして負担した場合には、私が申しているように、1円であろうと負担をする人がいるわけだから、そうだとすれば、それは効果的なものでなければならない。そうでなければ、1円であろうと負担させる以上は勝手に取ってはいけない。そこで我々としては効果的なものなのかどうかということをここでちゃんと議論していただきたいということを申し上げているわけです。そのときに、払うのは嫌だとかではなくて、本当に削減に効果的かどうか。しかも、ここでは、今までのことからいうと、民生、運輸にとってどうかということを主として議論していただきたい。とかく皆さんは、企業をいじめるのかという、そっちの方へ議論を持っていこうとしている。そしていきつくところ、京都メカニズムの方が安いとおっしゃるんです。それは、全然違う話であるということを私は申し上げたい。
 そこで、今日は京都メカニズムの話をしていただいたわけですが、ざっとお話をしていただいたのでおわかりのように、実は全然話が違うんです。全体として国がどれだけのことをするのか。先ほどの話のように、全体として1億トンCO2取得のために総額 1,000億円予算が必要と先ほど言われましたが、これは国民が負担をする。そのための財源をどうするのか。それは環境税で取るのか、何で取るのかは別として、税金で取ってこなければならないということを前提とした上で、それでは、環境税ということにするのか、それともどうするのか。環境税を取った場合に、効果的なのかどうなのかということを、ここでご議論いただきたいということを、私は繰り返して申し上げたつもりですが、、どうも話がしょっちゅう、あっちへずれたり、こっちにずれたり。私はともかく、余り感情的にならずに、論点を絞りましょうということを申し上げてきたわけです。私は次回までにもう一度、論点をきっちり絞って、思いはいろいろおありでしょうけれども、もう一度国民のために、きちんと議論を絞って、これはこうであるということをやって、次のこれから先の議論につなげていただきたい。
 最後のことは、ちょっと余計ですけれども、この次でこの委員会はおしまいになりますので、ぜひともそれはお願いしたいと思うのです。どうも、意図的か意図的でないかは別として、議論がそうなりやすい。法律家の目から見ますと、言葉を、例えば“京都メカニズム”というのを、どういう目的でここで議論しようとするのかということを、きちっと頭の中に入れないで、京都メカニズムは安いと言ってしまうと、全然別の議論をしているにもかかわらず、環境税との比較、だから、環境税ではだめだという論拠にお使いになる。これは本当は議論ではないんですね。ですから、きょうの後半、それからもう一回、ぜひとも冷静にご議論いただきたいと思います。清水さんの説明、あるいは私のプロボカティブな発言に対して何かご意見あるいはご質問がございましたら、どうぞおっしゃっていただきたい。
 まず、札の上がった順番で、桝本さん、永里さん、武田さん、佐和さん、鮎川さん、どうぞ。

○桝本委員 森嶌先生から、委員長というよりも先生として大変諭された思いがいたしながら聞いております。
 ただ、私は、その悪質な方に恐らく属するわけですが、私は申し上げたいことは、きょうのご説明の中に、まだお伺いしたいことがたくさんあります。例えば、ODAというようなものがこの京都メカニズムが議論されたときに、なぜ外されたのか。あるいはどういう扱いになったのか。私は、民間の者たちは、こうした全体の枠組みを決めることはほとんど自分たちではできません。国で外務省、経産省、環境省の皆様にお願いすることが一番あるわけで、そのお願い事は、いわば京都メカニズムをフルに活用して、その趣旨をまっとうすることの条件を取っていただきたい。そういう枠組みに変えていただきたい。今のご説明にありましたとおり、今の京都メカニズム、特にCDMのこの仕組みは、国際的な、いわば官僚の皆さんが、何か非常に複雑な仕組みをつくった。一番重要なことは地球規模で実際の効果を上げる削減をするということが第一だと思います。それから、第二の大きい制約は、限りあるお金。限りある人的資源を最も効率的に世界規模、地球規模で使って二酸化炭素の削減に実効あらしめる、その2つのことから考えますと、果たして“補足性”という言葉を、6%のうちの 1.6、これをどういうふうに解釈するか、1つでも大きな議論があってしかるべきだというふうに思います。
 二酸化炭素の今日の問題は、国会議員の伊吹文明さんが「将来の人たちにつけ残してはいけない」と言っています。それはそのとおりです。しかし、このグラフにありますとおり、先進国が豊かになったつけ残しが今の問題だと私は思うだけに、あらゆるお金をこの問題に、より効率的な形で使うような仕組みはあってしかるべきなのを、それを自分の国の中でやるということを標榜しながら、実態的に、より地球規模での実効あらしめることを制約的にする、私はそういうふうに聞こえてしようがありません。
 ぜひ、お願いは、一番重要な地球規模で実効あらしめる、そして限りある資源、資金、お金、それを有効に活用する。そのためにどうするかという本来のところに戻って、今、京都で決められたこの仕組みは、よくここに整理されたとおりです。その仕組みを今のような制約的なものでなくて、もっと実効あるものに変えていただくという意味が非常に大きいと思います。そういうお願いでもあるわけです。
 ですから、今の枠組みで、先生からご指摘いただき、大変耳が痛いわけですが、土俵が違う、それでしたら、その土俵を変えていただきたいというお願いを込めて、私はかねがねこの問題に意見を言っている。先生、おっしゃるとおり、本当に削減が重要か。これは国にとどまりません。アジア、そして地球規模で、このことを考えるべきものでありまして、私は日本を含めて、国内でやるということに反対ではありませんが、国内でやって、限りある資金が大変非経済的に使われる。だとしたら、先進国全体でもう少し別なフレームをつくったっていいというふうに考えるわけで、2012年はそう遠くないわけですから、そういう意味で、この柔軟性措置をさらに実効あらしめるべき枠組みに変えていただくということも考えて、お願いを申し上げたいというふうに思います。

○森嶌委員長 全く賛成で、私も中環審をやめた後、桝本さんと協力して、ビヨンド京都で一緒にやりましょう。――どうぞ。

○永里委員 先生のおっしゃるとおりで、京メカは、国民の税金で払われるわけですが、その国民の税金そのものについて、僕らは問題を提起しているわけで、国民の税金というのは、企業からの税金も含まれているわけですけれども、環境税を新たに導入しなくても、今の中の税そのものをよく見直して、特にエネルギー関係の税金をよく見直した上で、整合性のあるように、それから、むだのないように、非常に効果があるようにということで、環境税の狙いそのものについて反対しているわけではないんです。狙いは地球温暖化の削減です、CO2の削減ですから、そういうことについて反対しているわけではないんです。だから、佐和先生のお話でもありますとおり、キャップをかけるとか、規制をかけるというよりは、環境税の方がよろしいというのは、それはそうだと思います。
 ただ、我々は、それよりもさらに今の税制そのものを見直してほしい。新税をあえてする必要はないのではないかということを言っているわけです。また特に、原子力が、なぜ京メカから外れているのかとか、これは地球温暖化に寄与するわけです。その原子力の技術移転みたいなことは外れているとか、そういうこともありますし、それから、京都議定書に入っていないところはカウントされない。さらにいえば例えば、企業が、あるいはNPOがオーストラリアで植林を一生懸命やっていますけれども、こういうのはカウントされない。これは、今の京メカそのものに欠陥がある、非常に参入障壁が高いということを意味するわけで、今後のことを考えますと、この辺のことを直さない限り、途上国は入ってこないし、アメリカ、オーストラリアが入ってこないだろうと思います。
 私が言いたいのは、国内で一生懸命頑張ることによって高いコストをかけるよりも、京メカをもっと使いやすくして、特に国連の職員たちが、自分たちの仕事のために京メカを非常に事務的に複雑にしているというふうに、あえて言いますが、そういうのに乗らないで、新しい枠組みでやってほしい。正論をはく限りにおいては、世界の人たちは日本に同調するのだろうと思っています。
 以上です。

○森嶌委員長 おっしゃるとおりだと思います。――とうぞ、武田委員。

○武田委員 ありがとうございます。お二人のお話と若干ダブるかと思いますけれどもお許しいただきたいと思います。
 先ほどの環境省さんからの京都メカニズムについてのご説明をお伺いしますと、非常に抑制的な表現をされているというふうに非常に強く感じました。確かに国内対策が基本だということはおっしゃるとおりでございますけれども、地球温暖化の問題は、まさに全世界の問題でございまして、CDM等については、全世界的な排出量の削減という事業そのものでございますし、何よりも、先ほどもお話がありましたが、コストパフォーマンスという点では、圧倒的な違いがあるわけです。ですから、これを余り否定的に、抑制的に考え過ぎないで、政府としても積極的に支援していく、評価していくというふうに考えるべきだ、そうしてもらいたいという思いを非常に強くいたしました。
 以上でございます。

○森嶌委員長 どうぞ、佐和委員。

○佐和委員 多少長くなるかもしれませんが、まず、2ページを見ていただきたいんですが、JIとCDMと書いています。これを見ると、途上国と先進国という名称が変わっているだけで、仕組みとしては全く同じように書かれています。しかし、実は大きな違いがあって、JIの場合は、もともと割り当てられて排出権――“排出権”という言葉をあえて使わせていただくと、排出権を、例えば日本がロシアにJIをした場合は、排出権が移転されるわけです。ところがCDMの場合は、新たに排出権が生まれる。つまり途上国へ、例えば中国に投資をして削減した分というのは、日本に入るということは、まさにアディショナルなものであるということが1つ。それから、クリーン開発メカニズムというのは、えらくさらりと触れられたわけですけれども、実はこれを認証するためにはどういう基準が必要なのかというと、少なくとも実際にカナダか何かの例が既に前例があるというお話でした。カナダでしたか? 1件だけ既に理事会で認められたものがあるというのがございましたけれども、アディショナリティという言葉の意味の解釈なんですけれども、それはプロトコルが、京都議定書がなくても投資するような投資、そういう投資については、仮にCO2の排出削減をいくばくかに果たしたとしても、それはCDMとして認めない。つまり京都メカニズムがあって初めて、言いかえれば炭素クレジットという付加価値が加わることによって初めて、投資のインセンティブが生まれる、そういうふうな投資をCDMと言うんだというのが、もともと文献等で書かれていることなんです。
 そうしますと、例えば最近いろいろ話題の1兆 2,000億も日本が環境対策に使っているけれども、一体どんな効果も、その評価もしていないじゃないかという話がありますけれども、例えば新幹線を引くとか、原子力発電所のために国が 3,000億のお金を出すというのは、それが1兆 2,000億の相当大きな部分を占めているわけですが、そういうのはほかの目的、例えば新幹線を引いて交通の利便性を高めるという目的があって、たまたまそれがあれば自動車の走行がそれだけ減るであろう、だから、CO2の排出削減につながるという付随的なものなんですね。だから、そういうのはCDMの、いわばアナロジーで言うと、それは温暖化対策とは言えないわけです。結果として温暖化対策になっているけれども、ということなんです。
 ですから、繰り返しになりますが、中国への投資でも、それがもし炭素クレジットという付加価値がつかなくても、収益が上がるから統一するというようなのは、これはCDMとは認めない。さっき、桝本さんがおっしゃったODAが、なかなかCDMとは認められないというのも、結局、そういうところから来ているわけです。京都議定書がなくても、ODAはなされていたであろうから、ということなんです。
 それから、植林に関しては、これは先進国、例えば日本で植林をするという場合は、何10年か先に伐採したときには、今度は排出になるわけです。ということは、何10年というオーバータイムで見れば、吸収した分ということで削減量としてカウントしたものが、それを伐採したときに排出量となるということで、オーバータイムには収支バランスがとれるというところ、途上国に植林した場合は、そこで植林が始まって以来、ずうっと吸収された分というのカウントされるわけですが、伐採するというのは途上国の自由ですから、そういうことでなかなかCDMにはカウントしにくいという面があるんだと思います。
 それから、もっと重要な問題は、アメリカが京都議定書を離脱したということによって、もしアメリカが離脱しなかったら、これは僕のラフな計算なので余り数字を信用していただく必要はないわけですが、先進国全体で90年プラス8%ということになるわけです。少なくとも5%削減ということを約束しているわけですから、13%分を余計に排出するということになる。それはCDMで稼いでくるしかないということで、アメリカが離脱しなければ、CDMのインセンティブというのは物すごくあるし、それから、そこで獲得したクレジットは非常に高い値段で売れるという、そういう予想が立つわけです。だからCDMもやるということで、それでいろいろな世界じゅうの非常に数多くの企業がCDMをやる。そして、それが認証されると、その結局として当然、それを手元に置いておいても仕方がないから、お金にかえたいということで、そのために市場がおのずからクリエイトされてくるというのが大体の予想だったわけですが、アメリカが離脱したことによって、少なくとも私の計算によると、残りの先進国、もちろん旧ソ連、東欧も含めるわけですが、ビジネス・アズ・ユージュアル的に見まして5%強マイナスになるんですね。ということは何を意味するかというと、排出権の価格というのは、ほとんどただ同然になるということで、モデル計算なんかする人の話によると、アメリカが離脱する前には、モデルによってさまざまですけれども、平均すればカーボン1トン当たり50ドルというような数値が出たんですが、今は3ドルないし5ドルというところまで、ほとんど10分の1以下まで値段が下がっている。
 問題は、そうすると、残念なことに市場がクリエイトされないという、そういう厄介な問題になる。市場がクリエイトできないということになりますと、12年ごろになって、日本がロシアから買おうというときに、完全に日本はまさに足元を見られているというやつで、非常に高値で、完全に売り手市場というんでしょうか、売り手の言いなりになってしまいかねないという、そういう危険があるので、そういう意味でも、私は京都メカニズムに頼ればいいじゃないかというのは、なかなかCDMのインセンティブが阻害されているということに加えて、それから、結局は国同士の相対取引になるのではないかということも含めますと、なかなか京都メカニズムを頼りにして12年を迎えるというのは、大変危険だ。言いかえれば、国内対策をもっと励むべきだというふうに思います。
 以上です。

○森嶌委員長 どうもありがとうございました。
 では、鮎川さん、どうぞ。

○鮎川委員 ありがとうございます。
 京都メカニズムがすごく利用しにくい、というような発言が何名からかあったと思うんですけれども、京都メカニズムの詳細ルールというのは、国連の事務が勝手に決めたのではなくて、いかに京都メカニズムによる削減を実効性のあるものにするか、そして京都メカニズムが抜け穴にならないようにして、大気に効果的なものにするか、京都メカニズムをやったおかげで、全体としての排出量が増大しないようにするためにということで、世界の国々がCOPで議論して決めたものであって、これに日本も同意したわけです。ですから、これは環境にとって、つまり温暖化防止にとって有効にするために、こういうふうにちょっと複雑なルールになっているということを、ご理解していただきたいというふうに思います。
 また、オーストラリアのことを永里先生、おっしゃいましたけれども、これがクレジットにつながらないというのはオーストラリアが批准していないからであって、これはオーストラリアにもっと働きかけていかなくてはいけないということがあると思います。
 京都メカニズムなんですけれども、やはり補足性ということが大原則になっておりまして、これをそういうことを踏まえつつも、さらに京都メカニズムを有効に利用するためには、WWFとしては国内キャップ・アンド・トレイドの市場を日本でもつくって、EU市場とリンクするというようなことでやれば、もっと京都メカニズムのクレジットが取得しやすくなり、国内削減が最もコスト効果的に実施できるようになるのではないかというふうに思って、そういうことを提案しております。
 対策税をもってしてクレジット取得のための予算獲得のためとするとしたら、環境NGOとしては、これは納得がいかないと言わざるを得ない。そういうクレジット取得ということに関して言えば、国は別に予算化すべきだというふうに思います。
 つい最近なんですけれども、ゴールドスタンダードといって、私たちが提案しているホスト国に対して持続可能な開発を支援し、そして追加性があって、大気にとってプラスになるというプロジェクトの第1号がニュージーランドで発生したんです。ですから、これはJIになるんですけれども、そういったクレジットをどんどんやっていくようなインセンティブを国内でつくっていかなければいけないのではないか、というふうに思います。
 以上です。

○松田委員 この分野では素人なので、余り難しいことはわからないので、私の日本語で話しますと、私は社会システムというのが大学でも専門ですし、ずうっとこの分野にかかわっていて、ごみの問題の専門家なんです。今、ごみの有料制という話が、やっと国民の間で、その方がいいというふうになってきたんですけれども、今までごみ処理料金というのは全部税金でやっていたんです。それでみんなだれも考えてこなかったんだけれども、余りにもごみ問題が大変になってきて、やっぱりお金を払った方がいいというふうになってきているんですが、そのときに、この幾つかの個別リサイクルをつくるときに、企業の方たちが参加していただいたときの議論と全く同じで、何かお金を払うということに対する不安感が産業界の方にあると、お金を払いたくない、お金を払いたくない、だから代案ということになっていくんですね。
 この京都メカニズムという話も、先ほどの森嶌先生のお話を聞いていると、やっぱり税金で払うんだと、わかったんです。だから、産業界の方たちは、自分たちがお金を払いたくないから、京都メカニズムはいい、いいと言っているのかなとか思ってしまいまして、お3人の産業界の方のお話を聞きながら、うーん、なるほどと思ったことは、タイムラグの話が抜けているのかなというふうに思いました。多分、2012年までには、国際条約で決まったことは日本としてはきちっとやってみせていく。その中でリーダーシップをとっていく。けれども、その姿勢を見せながら、2012年以降のことについてのプログラムの組み方というのを国際社会の中できちっと論点をとっていく。そのときにはやっていない人がいろいろ言っても発言権がないから、まずは、環境税というのをきちっと話し合った上で、税調などもああいうふうに動いているし、自民党も動いてくださっているわけですから、ここで代案をつくっていこうというふうにしたらいかがでしょうか、ということを産業界の方たちに考えたんですけれども。

○森嶌委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、時間が大分オーバーいたしましたので……

○佐和委員 CDMにせよ、JIにせよ、そうなんですけれども、仮に、今、何か投資を始めて2年後ぐらいに、それが例えば発電所なら発電所が稼働し始めた。そうすると、2008年以前の削減量もカウントされるわけです。CDMに関してはそれはいいとして、問題は第2コミットメントピリオドに、ずうっとその投資による削減分というのは、第2コミットメントピリオド、第3コミットメントピリオド、発電所というのは何10年ももちますよね。火力発電所でも20年、30年ぐらいもちますね、それがずうっと勘定し続けられるんですね。

○清水温暖化対策課長 第2コミットメントピリオドの議論がまだ決まっておりませんので、もし、そこで同じような制度になれば当然それが連続という議論になるのではないかとは思います。

○森嶌委員長 それでは、次の環境税をめぐる最近の状況についてご報告いただきたいと思います。よろしく。

○鎌形環境経済課長 それでは、資料2でございますけれども、環境税をめぐる最近の状況ということで資料を用意させていただきましたので、ご説明申し上げます。まず、ここでは政府税制調査会と、それから与党の動きをご説明申し上げます。
 政府税制調査会の動きなどは、前回も少しお話し申し上げたところでございますけれども、そのあたりからちょっと経過を申しますと、環境税についてのご議論をいただいたということで、まず、前回の小委員会の前の時点で、10月12日に政府税制調査会の総会の基礎問題小委員会、この合同の会合が開かれまして、環境税について、若干ですがご議論いただいた。それから、11月12日には総会、基礎問題小委員会の環境税を議題とするということで、2時間ばかりご議論があったというふうに聞いております。
 その後、そういった議論を踏まえまして、11月25日には答申という形でまとめられております。それが資料2でお配りしたものでございまして、政府税制調査会の答申自体は、全体さまざまな税目に関しての記述がございますけれども、環境税に関しての部分をピックアップして、そのまま抜いてきて、ここにご紹介させていただいております。個別税目の課題という中で、地球温暖化問題への対応、こういったくくりの中で書かれてございます。
 幾つかのパラグラフに分かれてございますけれども、第1のパラグラフにつきましては、温暖化問題、京都議定書発効の見込みがある、ということなどの温暖化問題をめぐる背景が書かれてございます。それで、全体として民生、運輸部門を中心とした増加があるので、早急に追加的な対策を検討することが求められているということでございます。
 それから、次の、「その一環として……」ということでございますが、環境税関係につきましては、国、地方の温暖化対策全体の中での具体的な位置づけを踏まえて検討せねばならない。現時点では、必ずしもそれは明らかではないとされておりますけれども、地球温暖化対策推進大綱の見直し作業を通じまして、環境税が果たすべき役割が具体的かつ定量的に検討されることが必要ということになっております。
 それから、3番目のパラグラフは環境税の役割ということに関してでございますけれども、ここでは、本来ということでございますが、価格インセンティブを通じた排出抑制効果を重視すべきということで述べられております。
 それから、財源の関係でございますけれども、追加的温暖化対策の財源の確保に重点を置くことに関しては、既存の予算との関係とか、税収の使途を特定することの是非について慎重な検討が必要というふうにされております。
 最後のパラグラフは、まとめということでございますけれども、環境税は国民に広く負担を求めることになるということで、その導入を検討する際には、国民の理解と協力が不可欠だということ。
 それから、幾つかの課題を挙げてございまして、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、既存のエネルギー関係諸税との関係、その他、税制全体の中での位置づけなど、多岐にわたる検討課題があるということを紹介されています。そして、今後、温暖化対策全体の議論の進展を踏まえ、環境税に関する多くの論点をできる限り早急に検討せねばならないということでございます。
 これが政府税調の、ことしの、平成17年度税制改正についての答申のまとめということでございます。多くの論点をできる限り早急に検討せねばならない、ここが結論ということになってございます。
 以上が政府税制調査会をめぐる動きでございます。
 それから、与党をめぐる動きでございますけれども、横長の資料で、環境税の骨子ということで、自由民主党環境部会・農林水産部会と右肩に書いてある資料がございます。来年度の税制改正要望につきましては、私どもも税制改正要望を出して、与党にもご議論いただいてと、こういうような流れをしているわけでございますけれども、与党の中では、自由民主党の中では、最終的には、今、税制調査会、いわゆる党税調と言われるところでございますけれども、そこで来年度の税制改正についての議論が行われているという、こういう状況でございます。
 そこの一般的な仕組みを申し上げますと、自由民主党の中に各政策課題に分かれて部会というものがございまして、ここで環境部会とか、農林水産部会とか、それぞれの行政分野に分かれた部会がございまして、そこでその分野の関係で税制関係をどうしていくかということが、税制改正の部会要望という形でとりまとめて、それを税制調査会に上げていくというシステムがございます。そういう中で、先月になりますけれども、11月17日には農林水産部会、11月18日には環境部会から、環境税の創設について、税調の方に要望として上げるということが決められております。
 その中で、具体的な中身をどうするかということにつきましては、私どもは環境省の具体案、前回の小委員会でもご説明させていただきましたけれども、11月5日に出したものです。これを与党の方にもご説明していたわけでございますけれども、環境部会と農林水産部会の間で、具体的な案を、環境省の具体案を“金科玉条とせず”ということでございましたけれども、そういう中で具体的な案がつくられて、すりあわせが行われて、それが先週末に両部会の案としてまとまって、税調の方に上がっている。これが今、お配りしておるものでございます。
 それで、具体的な中身でございますけれども、前回、環境省の具体案をご説明させていただきましたが、そことの違いを中心にお話し申し上げますけれども、まず、趣旨のところの2番目に「温暖化対策に税収の全額を充てる」という記述がございます。環境省の案として出させていただいたときには、温暖化対策と、それから雇用の促進など、企業活力の維持、向上というものに充てるんだというような形にしてございましたが、この自由民主党の両部会の案では、温暖化対策に税収の全額を充てるということとされております。
 それから、税収の使途の関係でございます。その下の括弧でございます。京都議定書の目標達成のための温室効果ガス排出抑制対策や森林吸収源対策ということのほかに、技術開発とか、環境教育など、中長期的な温暖化対策の強化を図るということも特徴的でございます。
 それから、課税対象、課税段階につきましては、環境省が出させていただいた案と共通ということでございます。
 税率について、でございますけれども、ここに炭素1トン当たり 3,000円ということになってございます。電気にしますと、全国平均で1キロワットアワー当たり31銭、ガソリンでいいますと、1リットル当たり 1.9円ということでございます。これにつきましては、環境省が案を出させていただいたときは、炭素1トン当たり 2,400円という形で出させていただいておりました。そういう意味で、税率をアップされた案になっているということでございます。この場合の平均的な家計の負担は、年間約 3,700円ということでございます。
 それから、その下に、なお書きがございますが、電気に関しましては電力会社によりましてさまざまな電源コストの違いということがあるわけでございますが、そういった違いによって税率を調整するということが書かれてございます。
 それから、税収額は 6,000億円ということで見込まれています。環境省が案を具体案として出されていただいたときは、 4,900億円というふうに見積もっておりました。
 それから、その裏に参りまして軽減措置でございます。おおむね環境省の具体案として出させていただいたものと共通してございますけれども、違いがございますのは、まず1番目の「○」の国際競争力の確保などのところの2番目の「・」です。エネルギー多消費型製造業に属する企業に関しての軽減策でございますけれども、従来、環境省が出させていただいた案につきましては、一定の多消費の業種を指定して、その業種に属する企業は軽減するというような発想でございましたが、その「・」の2行目ですが、「一定の削減努力が行われている場合」ということで、削減努力が行われているという要件が付加されてございます。
 それから、2番目の「○」でございますけれども、そのうちの3番目の「・」でございますけれども、LPGについて、税率の2分の1の軽減ということが加わってございます。
 それから、その下の二重課税の回避。発電用石炭等の免税ということでございます。これは環境省案では明示的にされていなかったかと思いますけれども、環境省案の段階でも、電気の関係は消費段階で課税ということでございますので、発電用の燃料については免税、これは発想としては変わっていないことでございます。
 それから、使途につきましては、先ほどお話ししたとおり、地球温暖化対策に全部充てるということでございます。
 それから、実施時期につきましても、これは環境省案と同様でございますが、5年後を目途に効果を検証し、税率、税収の使途等について見直しを行うということが書き加えられてございます。
 それから、効果につきましては、CO2削減量として 6,500万トン、基準年比約5%ということとなってございます。環境省案の段階では 5,200万トンということでございました。
 以上のようなことで案がつくられて、昨日、自民党の中では、税調が部会から要望のヒアリングをするということがございました。そういう意味で、こういった案が税調で紹介されて、また今後議論されていくという状況にございます。
 それから、同じ与党の公明党につきましても、並行して検討が進められておりまして、私どもも環境省案のその中身もご説明させていただきましたし、あるいは自民党の中でこういう動きがあるということもご説明させていただいておりまして、そういう中で公明党においても検討がなされているという状況でございます。
 とりあえず最近の状況は以上でございます。

○森嶌委員長 政府税調それから自民党について、ここでご意見を伺っても相手が違いますので、ご意見は伺わないで、それぞれこの文章について、これはどういう意味かということで、ご質問等がございましたら、伺いたいと思います。――どうぞ。

○佐和委員 自民党税調での議論について何かご存じなんでしょうか。つまり、どういう反応かということを。

○鎌形環境経済課長 実は、きのう、ヒアリングが行われたという段階でございまして、実際に、具体的に、こうすべき、ああすべきとかいう議論はきのうの段階まではまだ行われてございません。まず、各部会からこういう中身についての説明をしたというところまでということでございます。まだそういう意味では具体的な議論はされていないということです。

○佐和委員 関連してお伺いしたいんですけれども、消費税率の引き上げというのがございますね。それが大体、今、自民党税調あるいは政府税調としては、何年度から10%ないし15%に引き上げるということを予定なり計画されていらっしゃるのでしょう。それとの関連性はいかがなものでしょうか。

○鎌形環境経済課長 すみません、少し先のことになると思いますが、ちょっと政府税調の答申でどういうふうに書かれているかということについて、すみません、ちょっとお時間をいただきます。

○森嶌委員長 あと2年足らずは上げないんじゃないですか、小泉さんがおられる間は。

○佐和委員 それは間違いないと思いますけれども。

○森嶌委員長 では、それはちょっとお待ちください。――では、桝本さんどうぞ。

○桝本委員 お伺いしたいのは、これまでもここで、そして我々も産業界としても5兆円のエネルギー関係税、それから温暖化税で1兆 2,000億、小泉総理ご自身も揮発油税との関係などというご発言もある。こうした税全体を見直す予定と、最終的に自民党の環境部会のそういう部会で出てきた環境税の議論というのは、一体どういう関係で進むんでしょうか。これはそういうことを全く無視して、これだけどんどん行っちゃうんですかね。そのところを、ちょっと観測で結構ですから、教えていただきたいと思います。

○鎌形環境経済課長 既存エネルギー関係諸税などとの関係については、ここの場でもいろいろご議論いただいていたかと思いますけれども、環境省の案をつくる段階では、私どもの考え方としては、道路関係の諸税につきましては、趣旨、目的なり、受益と負担の関係が相当異なるということで、それは別途の議論の課題でありましょう。石油石炭税に関しては、一部使途の類似とかございますので、何らかの整理が必要だということで、ご提案申し上げて、それをまた与党の方にもご説明して、私どもの環境省の案を1つベースにして議論をしていただいているということかと思います。
 そういう中で、今、全体の中での動きはどうなっていくのかというご質問でございますけれども、まさにそういうことは税調なりで、ご議論されることだというふうに思いますので、我々としては、先ほど申し上げたようなスタンスで案をつくって、全体の中で議論していただくということでご提案申し上げているということでございます。ですから、その後、どういうふうに動いていくかというのは、我々としてもどうこうなるだろうということは、ちょっと申し上げにくいことかと思います。
 そういう、先ほどの消費税のお尋ねなんですけれども、いつごろ、どうなるかという話で、確かに新聞情報なり、いろいろな方々のご発言なりであるとは思うんですけれども、政府税調の今回の答申自体では、いずれにしても引き続き検討を進めるというようなことしか記述がございませんので、私の方からお答えを申し上げるのは大変申しわけありませんけれども、そういう意味で、ちょっと時期的な問題はどうだということは、なかなか申し上げられません。

○森嶌委員長 佐和先生のご質問、わかりました?

○鎌形環境経済課長 今の政府税調の答申の中では、引き続きということでしか、書かれておりません。

○佐和委員 仮に、8年度としますよね。そうしますと、環境税を先送り、先送りしていけば、ますます消費税との重なりといいますか、時期が近くなるということで、導入しにくくなるのて、しょうがないから今回一挙に入れてしまえというような意見が出てくる可能性があるんじゃないかなというように、私は予想するんですけれども。

○鎌形環境経済課長 ちょっと補足でございますけれども、消費税の議論の中でやればいいのではないかというようなご議論もいろいろあったり、あるいは別にやるべきだと、いろいろなご議論があろうかと思いますけれども、消費税との関係でいいますと、環境税というのは、二酸化炭素の排出量に応じた課税であるというところが、決定的に消費税と違うわけです。そういう意味で趣旨も効果も違う、そういう例だと思いますので、そこは私どもとしては別に議論すべき課題だというふうには思っております。

○森嶌委員長 今のご質問は、鎌形課長がどう考えているかではなくて、以前は、消費税が3%で5%も上がらないのではないかというときには、当時の大蔵省としては環境税に非常に熱心だったわけです。そこで取ってこようという……取ってくるというのは、まさに言葉が悪い。

○佐和委員 そういう意味では、政府税調が3つ目のパラグラフのところに、「本来、価格インセンティブを通じた排出抑制効果を重視すべきであろう」と書かれているということは、やはり消費税の流れを薄めてしまうということは、みずから否定しているというふうに読めますね。

○森嶌委員長 それは鎌形さんにお聞きにならずに、自由にご解釈いただくということで、ほかに何かご質問ありますか。なければ、次に進ませていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、3番目の議題に進ませていただきます。もう既に冒頭に申し上げましたけれども、年内に、この小委員会を一区切りさせたいというふうに考えております。ですから、一々、今までやってまいりました過去15回を振り返って、このときにこうやったということは申しませんけれども、スタートのときから、“初めに税ありき”とは何だということで、かなり各論と申しましょうか、具体的な議論に入るまでに時間がかかったわけです。今まで環境税そのものがいいか悪いかという議論はございました。「環境税とは何なのか」ということについて、専門的な見地からは、専門委員会で議論はされており、政策的な見地からいろいろな、専門委員会というのは学者が税法とか経済学とか、そういうところから検討されたわけですけれども、産業界や言論界、地方自治体あるいはNGOの方なども入っていただいて、環境税というものを理論的な検討も含めながら、具体的に政策的に検討するという機会がなかったように私は考えております。ぜひここで環境税に賛成するとか、反対するとかいう立場を離れて、きちっと客観的に検討したいということで、私としては努めてきたつもりであります。
 しかし、入り口で少し時間がかかった。1つには当初、京都議定書が割合早い時期に発効するであろうということで、2年ぐらい前からのスケジュールがあったわけですがなかなか発効しなかった。ところが、ごく最近になって発効するということになり、いろいろ周囲の状況が変わったということもございました。そして、今の報告にありましたように、最近では政府税調、あるいは自民党でも取り上げるというようなことで、かなり急ピッチにいろいろなことが展開をしているということもございました。
 しかしながら、先ほど申しましたように、論点をいろいろな観点から、こういう問題があるということで、あるいはこういう点を検討すべきであるということで検討しているのは、私の見るところ、この小委員会だけだとは申しませんけれども、この小委員会でやってきたというふうに思っているわけであります。
 しかしながら、この小委員会が、ここでこういうことにすべきだというふうに結論を出すまでに十分に政策的にも、あるいは数量的な点でも、まだ合意に至っているとは、私としては考えておりません。全体的なご議論は、趨勢は、私はあると思いますけれども、なかなかそうもいかない。
 それよりも、私はここで議論をきちっと詰めて、これについてはこういうご意見があったということをしっかりと論点を詰めておくということと、その論点をめぐって事務局にきちっとした資料を用意しておいていただく。そして今後、さらに政府税調や各政党、国会で議論をしていただくときに、あるいは国民がこの問題について判断をするときに、単なる印象論ではなくて、我々としてデータを提供できるようにしておくということが、この小委員会の役割ではないかと思います。それに向けて、この小委員会としては、年末に取りまとめをしておきたいというふうに考えております。
 そこで、事務局に、今まで議論をしてきたことをもう一度振り返って、論点を整理をしてもらいました。そして参考資料についても、今までの資料をもう一度整理をしてもらっておりますので、それについて説明をしていただきまして、どういうふうに、どういう形で取りまとめるかについてご意見を……。中身は今まで議論したことですから、もう一度議論するのは、また次回にしまして、どういうふうに取りまとめるかについて、きょう、ご議論いただきたいと思います。
 それでは、お願いします。

○鎌形環境経済課長 それでは、資料3に、これまでの議論の議論のまとめという形で、素案という形で出させていただいております。温暖化対策税制に関する考え方及び留意点というペーパーでございます。これは、中間取りまとめ以降の議論を中心に、それ以前の議論も含めてはございますけれども、温暖化対策税制をめぐる考え方と、それから個別の論点についての留意点をまとめたということでございます。
 それで、まず、1ページの「はじめに」でございますけれども、この委員会での議論の経過ということでございます。この部分につきましては、今後、環境税をめぐって、さまざまなところでの検討も年内進んでいくと思いますので、そういう状況も踏まえながら、もう少し、これは次回になるかと思いますけれども、この小委員会の検討の位置づけも含めて、少し書き加えていきたいというふうに考えております。
 それから、2番目から本題になりますけれども、「基本的考え方」というところでございます。まず中間取りまとめまでは、各ほかの施策と温暖化対策税制との比較などを含めて、税の具体的な仕組みはどうかということよりも、税の温暖化対策についての位置づけなりが議論されてきたかと思います。そういう意味で、ここでは全体をまとめる上で中間取りまとめも踏まえながら、あるいはそれに至る議論の過程も踏まえながら、ここにまとめるということとさせていただいております。
 それで、1つ目の「○」でございますが、中間取りまとめにおいての記述というか、中間取りまとめのまとめをレビューしてございます。それで、そのときに、ここの3行目から4行目にかけてございますが、それぞれの政策と温暖化対策税制を別紙のように比較した結果ということで書いてございます。別紙というのは、18ページ、後ろから2枚目の裏側の紙になりますけれども、つけてございます。これにつきましては、中間取りまとめに至る過程で、各政策手法につきまして、公平性、効率性等の観点から比較をした議論をしたというときの議論を、そのまま引き写してきているということでございます。何回かにわたりご議論をいただいたかと思います。それで、左から事業者等による自主的取組、情報提供などの手法、それから規制、補助金、租税特別措置等、税・課徴金、国内排出量取引、京都メカニズム。京都メカニズムの部分は、きょうもご紹介がありました。それぞれにつきまして、公平性の観点でどうか、効率性の観点でどうかというようなまとめをしてございます。
 例えば、税のところでいいますと、公平性で言えば、すべての主体に対策への係わりを求めるとか、あるいは効率性という観点から言うと、市場メカニズムを通じて、合理的に対応がなされ得る、社会全体で最初のコストの削減とか、あるいは次ページに参りまして、効果というところでございますと、税の場合には、家庭などを含めた経済的要因を与えるなど、それから税収の活用などが考えられるということなどが掲げられてございます。あと、長期的効果では排出削減や技術開発のインセンティブが継続的に働く、とかいうようなまとめをさせていただいておりました。これは議論の過程でさまざまご議論いただいた上で修正してきたものでございますが、そういった過程を踏んで議論したということを残す意味で、一番後ろにつけてございます。
 1ページ目に戻りますけれども、そういった中で、あとは中間取りまとめの要約ということでございます。要約の仕方について、まずい点があれば、いろいろご指導いただければと思います。
 公平性、透明性、効率性、確実性、こういった観点に照らして有力な追加的施策ということが位置づけられていたかと思います。
 それから、次に温暖化対策税制の効果として、価格インセンティブ効果、財源効果、アナウンスメント効果と、この3つが整理されておりました。
 それから、温暖化対策税制を制度設計するという場合については、温暖化対策税制の長所が生きるように、かつ、ほかの政策の長所も生かして、それぞれの短所を補うような組み合わせをしていくべきだということ。それから、この中で、特にすべての主体に対して対策を求めることができるというのが、温暖化対策税制の長所なので、こういった点を踏まえて行くべきだということを一番下の「○」で述べております。
 それから、次のページ以下でございますが、あと、それぞれ個別の課題ということでございます。
 3番目の効果でございます。これについては、これまでの議論の中で出させていただいたものの抜粋でございます。まずはエネルギー価格が需要に与える影響ということで、エネルギー需要の最終消費の価格弾力性に関する分析を掲げてございます。短期では効きにくいが、長期には効果があるというようなことでございます。
 それから、3ページ目の中ほど、2)でございますが、世論調査に見る温暖化対策税制の効果ということが掲げられてございます。仮に電気やガソリンの値段が上がった場合に、その節約への気持ちが強くなるかどうかという等の質問のまとめでございます。
 それから、次の4ページ目でございますけれども、具体的仕組みに関します個別の論点として、課税標準、税率の水準ということでございます。課税標準につきましては、特段大きな議論はなかったと思います。二酸化炭素または化石燃料を対象として、その消費量等に応じて課税をするということでございます。
 それで、あとは税率の点でございますけれども、2番目の[2]は、税率を相対的に高くしていく場合、あるいは相対的に低い税率と、それから税収を活用した行政措置等を組み合わせるというようなこと。そういった選択肢があるということが議論されてきたわけでございますけれども、いずれにしても税率の具体的な水準というのは、現在、大綱の評価を見直して必要とされる追加対策を実現する上で、税制をどういうふうに位置づけていくかということを踏まえて適切に決定していくべきということが留意点ということでございます。
 それから、課税段階につきましてでございます。これも従来、出してきた資料をレビューしておりますけれども、まず我が国の化石燃料の多用な流通経路に即しますと、ここにございますように、累計としては最上流・上流・下流と、こういうふうな累計があるということでございます。これは、これまで縷々ご紹介してきたとおりでございますが、そういった累計がありますが、これらを組み合わせる課税、ハイブリット課税も考えられるということ。これもご議論いただいた内容でこざいます。
 それから、6ページ目は、そういった上流・下流というものを、どのような場面で課税するかということを設定していく場合に、それぞれのメリット、デメリットがあるということのまとめを、かつていたしました。税の価格インセンティブ効果では、下流の方が働きやすいだろう、上流の方には、転嫁を確実にしていくということが必要でしょうということ。それから、減免や還付措置に関しましては、個々に特定のものについての減免をするのは、なかなか上流ではやりにくい。下流にするとやりやすいということ。それから3番目の徴税事務の執行可能性では、上流課税の方は納税義務者が比較的少数なので効率的だ。下流の場合には、納税義務者が多数にのぼってくる。こういったようなそれぞれのメリット、デメリットがあるという分析です。
 それで、7ページ目でございますが、以上のようなメリット、デメリットを踏まえましての検討が必要ということでございますけれども、今も環境省の具体案はハイブリット課税ということで出させていただいておりましたけれども、こういった適切な徴税が行われる限りにおいて下流課税を採用して、これを上流課税と組み合わせていくハイブリットということが考えられるということですが、ただ、幾つか留意点があるということで、上流課税を行う燃料種につきましては、価格の転嫁が確実に行われる仕組み、価格が転嫁されていることを消費者に確実に実感できる、こういった仕組みを構築する必要がある、こういう留意点があろうかと思います。
 それから、下流課税を行う燃料種につきましては、下流に行くほど納税義務者が大きくなるということでございますので、例えば電気や都市ガスへの課税等の形を含めた特別徴収義務者の設定による行政コストの縮減、こういったことを検討をするということ。
 それから、電気の課税につきまして、そういったことを採用する場合には、電力供給会社の電源構成に応じて税率を変えていくような方式、あるいは全国の電源構成の平均的なものに応じていくか、そういったものが考えられるわけでございますが、それをどういうふうに選ぶかについては、その効果、影響を公平性との観点から検討していく、ということが必要だという、これは課題でございます。
 それから、8ページ以下でございますけれども、軽減方策についてでございます。8ページ、9ページは、既に小委員会でご紹介した資料でございますけれども、諸外国でさまざまな軽減措置が行われているということでございます。
 こういったことを参考に検討すべきということでございますが、10ページ目でございます。10ページ目では、以上のような諸外国のものも参考にしつつ、幾つかの累計がありますということを小委員会でもご紹介いただき、ご議論いただいたということでございます。
 それで、ここでは4つに分けてございますが、1つは国際競争力、産業構造の激変緩和への対応など、産業活動への配慮ということでございます。エネルギーコスト比率が高い業種とか、原料炭コークスなど、代替が困難なもの、これが負担軽減の対象として考えるべきでしょうということ。
 それから、低所得者層、中小企業者層に対する配慮ということで、まず、ご家庭でいいますと光熱費、所得に対する逆進性が見受けられるということで、こういった、かつて電気税、ガス税などでの免税店ということも参考にしながら、負担軽減の配慮を行っていくということ。あるいは中小企業についても、経済影響の緩和のための検討が必要でしょうということです。
 それから、ⅲでございますが、温暖化対策の観点からということでございます。削減、排出削減努力を行う者に対しての軽減などが考えられるということでございます。
 それから、4番目が、温室効果ガスをそもそも排出しないような化石燃料の使い方、これについては免税とする、こういった4つぐらいの累計が考えられるだろうとこういう整理でございます。
 それから、11ページ以下は税収の使途ということでございます。税収の使途につきましては、まず、すべてを温暖化対策の財源とする。あるいは一般財源として、幅広い目的に活用する。そして3番目に、その両者を組み合わせていく、こういったようなことが考えられるということでございます。
 諸外国の事例は既にご紹介したとおり、ここに掲げたとおりでございます。
 それで、次に参りまして、実際にどういう使途と考えるべきかということについて、でございますが、ご議論いただいていた結果でございますけれども、温暖化対策税制の税収を温暖化対策に充てるとした場合、どういうものに充てるかについては、京都議定書の6%削減約束達成のために、どういった対策が必要になるか、そういったことを踏まえる必要があるということでございます。必要な対策というのは、今、地球温暖化対策推進大綱の評価見直しの作業が進められておりまして、どういった対策を進めるべきかということが、その中で明らかにされていくことになります。そういった対策の中には、規制とか自主的取組で実効性を上げられるというものもあれば、確実性をより高めるために、経済的措置による促進策が必要なものもございます。そういう意味で、そういったものが、つまり経済的措置による促進策が必要、その中で、特に追加的財源が必要かどうか、こういったことを検討して、この温暖化対策税制の使途を検討をしていくべきだと、こういう流れです。
 これも、使途についてのご議論をいただいたときに、何段階かに分けて絞り込みをしたような表でご説明したその流れをここに書いてあるものでございます。追加的財源は必要性の要件としては、今後、大幅な普及導入が必要であるというようなこととか、あるいはその導入によって大きな削減量が見込まれるとか、それから、削減対策としての費用対効果が高い、あるいは先行導入の必要性が高い、こういったようなメルクマールから選びとっていくのではないかということでございます。
 こういった考え方で、今現在、温暖化対策税制の税収は取るべき対策として考えられるというものは、ここに掲げてございますように、交通対策、産業対策、それから生活の関係、あるいはクリーンエネルギー転換、代替フロンなど森林対策、京都メカニズム、これこれなどが考えられるだろうと、こういった項目が上がってまいります。
 繰り返しになりますが、具体的に、どういう対策に税を充てていくかということについては、温暖化対策大綱の評価見直しで、どういった対策が必要とされてくるか、そしてその中で追加的財源が必要なものは何か、こういったものを検討した上で考えていくということだということでございます。
 それから、13ページ目に参りまして、このほか、今は直接6%削減を達成するための対策ということでございましたが、さらに中長期的な取り組みが必要ということで、技術開発とか、都市構造の転換とか、環境教育など、温暖化対策税制の税収を充てるということも考えられるということでございます。
 それから、普及啓発に関してさまざまな議論がございました。環境省では、環境省に限ってですが、平成16年度には約11億円の予算を使って、さまざまな11億円の効果、11億円と少い予算でございますけれども、大きな効果が出るように努力をして、さまざまな啓発を進めているところでございますが、今後とも、その一層の施策の充実が望まれるということでございます。
 それから、既存の温暖化対策関係予算の見直しということについてでございます。平成16年度においては1兆 2,586億円の温暖化対策税制予算があるということでございます。それで、これにつきましては、資料をもってご紹介もいたしましたが、地球温暖化対策を主な目的とするものと、あるいは温暖化対策と位置づけられ、結果として温暖化、温室効果ガス削減に効果があるもの、こういったものがございまして、後者の方が全体の77%ということでございました。これらの予算はもともと別の目的から予算化されたものなので、温暖化防止効果が高いとか低いとかいうことで、予算の増減をするというのはなかなか難しいというようなことで、こういった観点から見ると、新たな財源を検討するということが必要ではないかということでございます。
 ただ、既存の温暖化対策に使われる予算は、大綱の評価見直しの中で、全体として検証されているということでございますが、さらに新しく温暖化対策税制が入った場合に、その税制の活用となる対策についても、しっかりとした評価が行われる必要があるでしょう。検証評価はしっかり行われるべきということでございます。
 それから、次のページに参りまして、目的税・特定財源に対する考え方ということでございます。温暖化対策にその税収を使うということで、目的税・特定財源が課題になってまいりますが、特定目的にしていくという意味では、目的税・特定財源というのは有効な仕組みですが、財政の硬直化の一因になるということとも指摘がございますし、租税の基本的な考え方に照らすと、一般財源が基本的には望ましい、というようになされているということでございます。
 そういう意味で、具体的に設計する場合には、目的税・特定財源にすることも考えられますけれども、そうではなくて、一般財源として位置づけて、温暖化対策のための補助金や、減税財源とするというように明確化するというような工夫もあり得るのではないか、ということでこざいます。
 それから、(4)地方公共団体の関係でございますが、地方公共団体でもさまざまな温暖化対策が行われております。そういう中で、温暖化対策税制が導入された場合には、地方に対してもその財源の確保を図るため、税収の一定割合を地方財源とする必要があるのではないかということでございます。かつ国と地方の関係の今の議論を踏まえますと、可能な限り地方公共団体の自主性を損なわないということも必要でございますけれども、温暖化対策に充てていくという場合には、確実に温暖化対策に用いられるような、そういった措置を考えるべきと、そういう留意点でございます。
 それから、8番目、エネルギー関係諸税との関係でございます。これも小委員会でご紹介いたしました資料でございますけれども、揮発油税を中心として、道路整備財源に充てるという部分がございます。このほかに航空機燃料とか、あるいは石油石炭税、電源開発促進税、それぞれエネルギー関係の税金があるということを、ここでご紹介させていただいています。
 それから、16ページでございますが、それぞれの税につきまして、歳入、歳出、どのような考え方かということでございます。それで、基本的にはそれぞれ、その上の方にございますのは、特定財源としてあるものは受益と負担の関係で、例えば道路でありますと、道路整備の費用を利用者が負担するということ、あるいは1つ飛んで石油石炭税で言いますと、エネルギー対策の費用をエネルギー利用者が負担する、こういった考えのもとに整理されているということでございます。
 それが温暖化対策税制の場合には、CO2の排出者に公平な負担を求めるということでございまして、そういったところで、そのCO2の排出量に比例してご負担いただくかどうかというところの違いが出てまいります。
 それから、使途につきましては、道路財源は道路の費用ということ。それから、石油石炭税の場合にはエネルギー対策ということでございますが、税収の一部はCO2排出抑制にも充てられる、こういう関係があるということでございます。温暖化対策税制の場合には、一番下、右下にありますが、3つのパターンが考えられるということでございます。そういったことを踏まえまして、どうしていくかということでございますが、先ほども申しましたように、まず、既存エネルギー関係諸税は受益者負担の考え方で課税されているということで、基本的には温暖化対策税制と歳入、歳出の考え方、趣旨、目的は異なるということでございます。ただ、中では石油石炭税につきましては、繰返しになりますが、税収の一部がCO2排出抑制のための政策に充てられるということでございますので、関係については、所要の整理の検討が必要であろうということでございます。これが1つの留意点ということでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

○森嶌委員長 このまとめ方についてのご意見を伺う前に、私自身がちょっとだけコメントをしておきますと、1ページ、基本的考え方のところに、京都メカニズム等の対策で「別紙のように比較した」とあります。比較した結果、「有力な追加的施策であり、効果があるとされた」というんですけれども、これについては、残念ながら我々は十分そこまでいっていない。桝本さんは年中フラストレーションを起こしておられたんですけれども、残念ながら、私はそこは桝本さんのフラストレーションはちょっと過剰ではなかったと思うんですけれども、残念ながらここでは議論できなかった。
 と申しますのは、それ以前に、環境税の問題点、論点というのは、先ほども言いましたように議論されていなかったので、ここでは、ともかくそこをきちっと議論したいということは先行いたしました。そこでまずそれを議論してからということだったのですけれども、ほかの施策と比較するというところまではいっておりません。確かに有力な追加的施策であるというふうには、これは地球環境部会でも言っておりますし、それを前提としてここでは議論してきたわけですけれども、そこで中間取まとめをもう一度やってみますと検討に値する。だから検討してきたんですけれども、そこで検討した結果、ほかのに比べてこっちの方が効果あるという結論は我々は、私は少くとも委員長として出していないと思うんです。少なくとも、ある効果はあると思います。比較してこっちの方が効果があるというところまでは、残念ながら、私はある程度の効果があると思っているんですけれども、ほかと比較してこっちの方が効果があるというふうには思っていません。桝本さんがおっしゃるほど、普及啓発の方が環境税よりはいいとは思っていませんが、そこをきっちり、まだやっておりませんので、私はここの書き方は公平性とか、効率性とか、確実性というのは極めて抽象的なものの言い方ですから、これでこの結論を導くのは、私はこのまとめ方としては、少なくとも座長としては、これで皆さんに基本的考え方としてやってくれというふうには申し上げられない。
 ですから、私どもはこういう公平性とか、確実性とか、効率性とか地球環境部会の中間取りまとめで有力な追加的施策であるというふうに言われ、そして我々もこういう観点から検討に値するというふうに考えて、いろいろな問題点を、論点を検討してきた。そして、その点では、私はそれ以外の点については、私はかなり検討してきたと思いますが、まだ不十分かもしれません。そして、少なくとも今後もきっちりと検討に値するというふうには考えています。
 その意味では、私は今後も検討を続けるべきだと思っていますが、今の我々の段階で、教育や普及啓発と比較した結果、効果があるというところまでは言えない。少なくとも、ある効果があるということはわかりますが、比較した結果、効果があるという書き方は、ここの議論から言うと、行き過ぎではないかと思いますので、これにつきましては、どう書くかはともかくとしまして、そこは改めます。そのように改めるという前提で、皆さんお読みいただきたいというふうに思います。
 なお、きょう、ここで時間もありませんので、むしろ、次回が、12月22日を予定しておりますので、皆さんのあくまでも新たにこういうことを申し述べたいということをおっしゃっていただいても、もう時期におくれたので、今まで言ったこともないのを改めておっしゃるのは困ります。今までおっしゃったことで、そうではないじゃないかということがございましたら、ぜひとも事務局の方に言っていただきたい。、それに基づいて、私も含めて事務局と文章を直しまして、22日より前に第2次のドラフトを皆さんにお回しいたします。それに基づいて22日に議論をさせていただきます。きょうのところは、全体の構成等について何かお考えがあればやって、細かい点については、一度送っていただいて、それを盛り込んで、後でお送りいたしますので、それを22日にご検討いただくということにしたいと思います。
 では、この順番でいたします。――どうぞ。

○桝本委員 今、委員長森嶌先生のお考え方に、私も賛成でございます。私から申しますと、若干漏れているところもあるように存じますので、それをペーパーで出させていただき、それをご斟酌いただいて、ご議論を次回すると、ぜひお願い申し上げます。
 ただ、1点、きょうは、説明をお伺いしていて、ぜひお願い申し上げたいのは、例えばこういうような検討をすることは「難しい」というご説明が後半にありました。それから、この税は、「別の目的だ」というご説明もありました。私は税もあらゆる制度も一種の時代的役割をもって誕生し、時代的役割が変わるに従って、その改廃を含めた検討をしていくというのが非常に難しいお仕事ですが、重要なお仕事だと思います。仮に別の目的である、あるいはこの検討は難しいという立場をとれば、私は冗談ぽく申せば、これから年金問題は別にして、例えば高齢者対策税とか、あるいは少子化防止税とかいろいろな税金が次々ふえていっちゃうに違いないので、ぜひこれは、別の目的の税の時代的役割のいかんを十分検討して税の組立を考え直していただく。それが行政とお国の非常に大きい役割だと思います。
 それから、難しいというのもよくわかります。しかし、これは難しいものを新しい税が必要だからといって、新しいものだけ取って、難しい方はいじらないという、この考えも私らには全く理解ができない。ぜひ、自分の財布をいじるつもりで、この環境税等のご検討を賜りたい。
 それから、基本的には、先生、さっきおっしゃられたとおりで、順番等、組立も、きょうの素案については若干意見がありますので、それは長くなりますから、次回にさせていただきますが、ぜひ先ほど先生もおっしゃられた線でお願い申し上げたいと思います。

○森嶌委員長 皆さんからいただいたのは、私は皆さんがご議論をされた限度において、私の方で取り入れます。恣意的にやるつもりはありませんので、お気づきの点がありましたら、ぜひ難しくなく書いてください。――どうぞ、永里さん。

○永里委員 ありがとうございます。
 ほかの委員会でもちょっと言ったんですが、この新たな税をつくるようなときには、今後の日本がどうなっていくか、明日の日本をどうするかというようなことを考えた上でやらないといけないと思うんです。だから、極端な言い方をしますと、この税金によって子々孫々どうなっていくかということ、そういうことを考えた場合に、新税を導入する以上は、既存の税との見直しが絶対に必要であろうと思います。だから、エネルギー税の体系をすっきりさせるとか、そういうフィロソフィでやらないといけないだろうと思うんです。“急がば回れ”と言いますけれども、そういうところからやっていった方が、本当は早く目的が達成されるのではないかと思います。
 だから、ぜひ森嶌委員長には、最後の22日とおっしゃっていますけれども、先生の思う通りに、思うところを本当に、すなわちほかとの税との関連も含めて、この考えをどうするかということをやってほしいのです。

○森嶌委員長 なお、先ほど申しましたように、今までいろいろ言っておりましたけれども、何も言わないことを新たに書き込むつもりはありません。それから、皆さんも、ないものねだりをしないで、それで、自分でこういうことを書けとか、ここは今まで言っていなかったじゃないかというふうに言っていただくようにして、挙証責任を人に転換しないで提案をしていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

○永里委員 わかりました。そういたしますので、よろしくお願いいたします。

○森嶌委員長 どうぞ、武田委員。

○武田委員 ありがとうございます。
 12ページの後段のところでございますが、今さらここをどうしてくれと言うつもりはございません。今後のことについてご参考までに申し上げたいと思いますが、ここに列記されている諸施策については、先ほど、冒頭に委員長からもお話がございましたが、民生、運輸についてどのように対応するのかということにつきましては、この具体的な施策を具体的に、どのように実行して、どのように成果あらしめるのかということこそ一番大事なことだと思うんです。環境税導入するのは手段であって目的ではないわけでございまして、ここのところを民生、運輸を中心とした排出量のコントロールをどのようにやるのか、できるのかということこそポイントだと思うんです。
 今のところはマクロ計算しかされていないので、具体的な積み上げがなされていないということで、1つのご参考までにということでございますけれども、現在、経済同友会の地球環境エネルギー委員会では、具体的な施策の積み上げの試みを、今、やっております。残念ながら、まだ最終的なところに至っておりませんので、まだ発表に至っておりませんけれども、参加企業の代表的なところからのヒアリング、具体的には削減努力のヒアリングをやっておりまして、現在、約20社からの具体的な削減のヒアリングをやっております。これを約1年続けてきておりまして、そのベストプラクティスを積み上げていくということによって、どのような効果が発揮できるのか、ということをサンプルしてみようということをやっているわけです。
 ここに書かれているような低燃費機器、高効率機器への更新とか、国民の省エネライフスタイルとか、そういう具体的な実践、これはそれぞれの参加企業が電化製品なり、車なりを供給しているわけですし、また、参加企業の社員が一国民としていろいろな試みを実践しているということをベースにして算定しているわけでございますけれども、その計算をいたしますと、全体で、ベストプラクティスを全国に普及していくと、1億トンを超える削減ポテンシャルがあるという計算がされるということがわかってまいりました。したがって、我々はそれを、できれば今月中、遅くとも来年早々には1つの試案として発表したいと思っておりますけれども、そのためには財源が要るよという話も、もちろん出てくるわけでございまして、財源をどうするかという議論はもちろん必要なんでございますけれども、我々としては、新税もともかくとして、従来議論のありましたように、エネルギー諸税の5兆円とか、環境対策費一兆数千億とかいう問題の見直しということが、まず先決だろうというふうに思っておりますけれども、いずれにしても、ここにあるような具体的施策の積み上げによってどうなるのか、どうするのかということが非常に大事だと思いますので、一つの試みを検討しているということを申し上げたいと思っております。

○森嶌委員長 なお、来年3月までに、大綱の見直しをやりますので、中環審あるいは産構審の地球環境部会で、ぜひ、経済同友会のその案を持ち込んで、具体的に大綱の見直しのときに、武田委員が委員でおありになれば、なを好都合ですが、そうでなくても、経済同友会の委員がそれを持ち込んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○佐和委員 まず、2点申し上げたいんですけれども、1つは、先ほど来問題にされている1ページ目の2つ目の「○」、2.の最初の「○」のところでございますが、これは、確かに有力な追加的施策であることが結論されたというふうにすれば、それである程度、桝本さんもご納得いただくんじゃないかなと思うんですが、つまり、効果があるなんて、こんなこと、一々書く必要はないんですよね。
 それで、その下に、下記の観点に照らして、と書いてあって、公平性、効率性の次に「確実性」とあります。確実性というのは、これは少なくても京都議定書のコンテクストで話している場合には、つまり6%の削減目標が達成できるということが確実であると、そういうふうに読む人が多いと思うんです。むしろ「有効性」と書くべきなんです。ここの文章に書かれていることは、まさに有効性である、効果があるということをいっているわけです。ですから、そこのところは「確実性」という言葉は、ちょっと僕なんかからみると、「公平・効率」ときたら、「有効」と書いた方がいいと思います。
 それから、もう一つは、全体の問題として、私は温暖化対策税制が望ましい施策であるということの1つの大きな理由というのは、日本が市場経済の国だということなんです。つまり一方で努力した者が報われるような社会をつくろうじゃないかというようなことを、経済界の皆さんがおっしゃっていますよね。つまり努力したものが報われるような社会をつくるため温暖化対策税は役割を果たし得ると同時に、規制的な措置というのは、規制緩和撤廃が言われる折から、極力最小限にとどめるべきである。つまり、個々の消費者、あるいは企業の選択の自由というものを確保する、そのためにはどうすればいいかということを、もっとひとつの大前提として打ち出すべきだと思います。
 以上です。

○森嶌委員長 これは、きょうは初めておっしゃったのではなく何回も言っておられますから、これは……。

○佐和委員 それから、さっき、数量的な評価というのは、後ろの表を見ても定性的なことばかり書いてあるわけです。定性的な比較はやっているんだけれども、数量的な評価がないと、先ほど来問題にされているように、これが一番効果があるかのような書き方はできない。しかし、数量的な評価ができるのかというと、私は計量経済学者として明確に申し上げたいんだけれども、それはできない。やってみないとわからないということです。

○森嶌委員長 そうなんですよね。ですから、なかなか定量的なことはできないときに、隠してこれだと言われても、言う方からすると困るんです。それはそれといたしまして……。――小林委員。

○小林委員 実は内容的な話じゃないんですが、これをご説明をいただいて少し気になったのは、実は議事次第の中には「中間取りまとめ以降の論点の整理」というふうに書いてあるんですが、資料3は、今度は「税制に関する考え方及び留意点」というふうに表題が変わってしまっておりまして、それを見ていて思ったんですが、この「関する考え方」はだれの考え方なの? というふうに「?」を持ったんです。つまり、この小委員会で議論をした内容が取りまとめられているのかな。何か議論した内容を集約した形で、環境省の考え方を書いておられるような気がするんです。ですから、中身は議論のときに、議論されていない内容で、その議論した問題点の答えが書いてある部分が何点か出てきています。そういう意味で、もし、この資料をこの小委員会が一たんここで終わって、次の小委員会に引き継がれていくのだとすれば、この小委員会の中で何が提起され、そこで何が議論されたかということを整理していただいた方がいいのではないか。これですと、この報告書ベースに何を次に議論をするの、というのがよくわからないという点がございます。
 そういう意味で、この資料の扱い方というか、次にどう使っていくかという点を押さえて整理していただいた方がいいんじゃないかというイメージでございます。

○森嶌委員長 私としては、最初に申し上げたように、ここで何を議論したかということをきちっと客観的に整理をするということをしているので、先ほど冒頭に、全部をきちっと読んだわけだわけはなくて、私も皆さんと同じ状態で、きょう、これを見たわけですので、小林委員がおっしゃるようにいたします。

○小林委員 もう1点、これは森嶌委員長にお願いしたいんですが、そういう意味で、できたら森嶌委員長個人のコメントをつくっていただいて残していただければ、一番いいかなという気がしております。

○森嶌委員長  では、永里委員のご提案もありますので、何らかの形でこれは委員会というよりも、例えば、「はじめに」か何かで、どういう考え方でこれが運営されているのかということも含めてあれをしたいと思います。ちょっと普通の委員会とこの委員会は、環境税という問題もありましたけれども、ここの委員会が置かれている位置と申しましょうか、1つは向こうに地球環境部会というのがありまして、ここはいわば小委員会というので、下請を、環境税だけを持ち込まれているところがあります。仮にここで結論を出したとしても、それはほかの政策をあれするのと違って、そのまま法律なり何なりになっていくのかというと、ここから政府税調に行ったり何かして、こちらが言ったからといって、すぐそのままいかない。私、今まで幾つもやったんですけれども、その中では極めて異例な委員会である。そこで私はともかく皆さんの意見をしっかり聞く。できれば、表に行って、皆さんの意見も聞くという形で整理をしたいというので、その意味ではちょっと違うスタイルの議事運営もやってきましたので、なぜ、どういう考えでこの委員会をまとめてきたのか、その意味では 桝本委員に、何でもいいからモーニングを着て結婚式に来てくれと申し上げたのは、そういう趣旨であります。
 では、松田委員。

○松田委員 最終回には、産業界の方にお願いしたいんですが、今までの産業界のご発言というのは、組織としての鎧を着た意見であって、個人というか産業界個々人の意見というのではない気が、私はしております。全体的な日本の社会はどうあるべきかということを考えて、環境税を考えろという、産業会の3名の方のご発言、全くそのとおりでして、だからテーブルについていただきたいんです。
 それで、この最終会をまとめるときに、またお3人がガーンと産業界の鎧を着た意見をおっしゃると、まとまらなくなってしまいますし、そのことは次のところで、また具体的に話し合えばいいということで、私は何かここに来て、産業界の方たちがカッコよく環境税について自分たちは意見は言うけれども、それについては、きちっとした方向性を持っていくというふうなことで最後はまとめていただけると、カッコいいなと個人的に思っております。
 本当にどうもありがとうございました。

○森嶌委員長 それでは、先ほど申しましたけれども、この具体的な文章あるいは構成も含めてですけれども、ご意見ありましたら、7日、1週間ぐらいの間に書き込んだ形で、どんな形でも結構ですので事務局にお寄せいただければ、私は9日からCOPに行きまして、18日かそこらに帰ってくるので、COPにいても連絡とれますよね。

○鎌形環境経済課長 では、だいたい7日ぐらいまでいただいて、まとめて連絡とらさせていただきます。

○森嶌委員長 まとめて、それをアルゼンチンに送っていただいて、向こうにも環境省の人がいるから、向こうの環境省の人にこっちへに送ってもらって、というような形で、それでまた、22日より少し前に、皆さんにお送りして、22日にはリバイスバージョンを皆様にお見せをして、ここではリバイスバージョンに基づいて議論をしていただくということで、佐和先生、お忙しいから、先ほどおっしゃったことを盛り込んで、何かお書きいただきますか。

○佐和委員 いいえ。

○森嶌委員長 では、先ほどのご意見を入れるということで……。
 それでは、22日、水曜日ですが、14時から、場所は虎ノ門パストラルだそうでございます。詳細はまたご連絡を申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 何かほかにご発言ございましょうか。局長、よろしいしゅうございましょうか。
 それでは、本日は時間を超過しましたが、これにて終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午後0時08分閉会