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中央環境審議会 総合政策・地球環境合同部会
第10回地球温暖化対策税制専門委員会


  1. 開催日時 : 平成14年6月13日(木)15:30~16:25
     
     
  2. 開催場所 : 東条会館 4階 吹上の間
     
     
  3. 出席委員 : 12委員
     
    飯 野 靖 四
    天 野 明 弘
    大 塚   直
    中 里   実
    森 田 恒 幸
    横 山   彰

      
    委員長
    委員 
    委員 
    委員 
    委員 
    委員 
     浅 野 直 人
     飯 田 浩 史
     小 幡 純 子
     桝 井 成 夫
     安 原   正
     横 山 裕 道

    委員
    委員
    委員
    委員
    委員
    委員

  4. 議 題
     
    1. 温暖化対策税制のあり方について
    2. その他
       
       
  5. 配布資料
     
    資料1 我が国における地球温暖化対策税制について(中間報告案)
     別添 道路特定財源の税率変更に伴う二酸化炭素排出量の変化
     ~暫定税率が有する二酸化炭素排出抑制効果~
    参考資料1 委員名簿
     

  6. 議 事

    午後 3時30分 開会

    ○飯野委員長 それでは定刻となりましたので、ただいまから地球温暖化対策税制専門委員会第10回会合を開催したいと思います。
     さて、前回、中間報告案について活発なご議論をいただきました。本日は、前回のさまざまなご意見を踏まえた中間報告案の修正版を作成しておりますので、これを再度ご確認いただき、委員の皆様の合意が得られれば、中間報告として取りまとめることとしたいと考えております。本日の会合は17時30分までの予定です。会場の都合で、時間厳守で行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
     では、事務局の方から資料の確認をお願いいたします。

    ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。黒いクリップでとめてある資料
    の方を外してごらんいただければと思います。
     表紙をおめくりいただきますと、次に資料一覧がございます。その次に資料といたしまして、「我が国における温暖化対策税制について(中間報告案)」でございます。そして、最後に参考資料といたしまして、いつもの委員の方々の名簿でございます。以上でございます。
     すみません、カメラ撮りの方は、ここまでということでお願いいたします。以上です。

    ○飯野委員長 よろしいでしょうか。それでは前に進ませていただきます。それでは早速、中間報告案についての議論に入りたいと思います。資料に沿って事務局から説明をお願いいたします。

    ○三好環境経済課長 環境経済課長でございます。それでは、私から資料に沿いまして、中間報告案のご説明をさせていただきます。前回ご議論いただきました点を踏まえまして、幾つかの修正を行っておりますので、その点にポイントを置きながら、全体を改めてご説明申し上げます。
     まず、表題でございますけれども、「我が国における温暖化対策税制について」としております。前回、「制度オプション」ということを含む表題をつけさせていただいておりましたけれども、前回の議論を踏まえまして修正いたしております。その部分にかかります内容的な修正につきましては、後ほどご説明申し上げます。
     それで、何ページかおめくりいただきまして、「我が国における温暖化対策税制について」というところから内容でございます。まず、四角1の「取り進め方について」の前に、前文を書いております。この構成自身は前回のとおりでございますが、前回のご議論を踏まえまして、冒頭に「温暖化対策税制は、税制を活用して経済的インセンティブを付与し、各主体の経済合理性に沿った行動を誘導することにより」ということで、温暖化対策税制を検討してきた趣旨について、改めて述べているところでございます。
     この四角1の「取り進め方について」のすぐ前のところについて、改めて申し上げますが、これまでの本専門委員会の検討と、その後の地球温暖化対策推進大綱の決定によるさまざまな取組に触れ、「この大綱において税・課徴金等の経済的手法については、他の政策手法との比較を行いながら、様々な場で引き続き総合的に検討することとされている」とした上で、「去る6月4日、我が国として京都議定書を締結したことを受け、また、現在包括的かつ抜本的な税制改革の検討が進められていることも踏まえ、中間報告として、取りまとめる」ということで、現時点で取りまとめる趣旨につきまして、言及をいたしております。
     続きまして「取り進め方について」ということで、基本的な構成は、これも前回お示ししました案と同じでございます。改めて申し上げますと、「基本的な考え方」といたしまして、「効率的な対策を推進していくために、現在政府が検討を進めている税制改革全体の中で、税制面での温暖化対策の取組が適切に位置づけられることを強く期待する」ということを示した上で、地球温暖化対策推進大綱によります「ステップ・バイ・ステップのアプローチ」を紹介し、この考え方に沿って取り進めることが適当であるということにさせていただいております。
     (2)といたしまして、「第1ステップの対応」ということでございます。大綱の中では自主的取組と補助金等による助成措置や普及啓発等の促進策が中心となっているということでございますが、これまでの議論を踏まえまして、その中にあっても公共事業やエネルギー政策の推進に当たっては、温暖化対策との統合を図ることが必要であるという基本的な考え方を述べまして、現在、経済財政諮問会議等において見直しが議論されている道路等の特定財源等についても、温暖化対策の観点に立って、課税の在り方と使途の両面からこれを見直すという「税制のグリーン化」を推進すべきだという基本的な考え方を述べております。
     次のページに(a)と(b)ということで、(a)につきましては、道路特定財源について触れております。ここにおきます基本的な考え方は、使途の面につきましては、「現在この特定財源により進められている対策をより一層強化し」という表現としております。また、課税の在り方に関しましては、「暫定税率が来春期限切れを迎えることになるが、仮にこの税率が本則税率に戻る場合には、CO2排出が増加することが強く懸念される」ということで、「少なくとも現行税率の水準は維持し、CO2の排出増加を回避すべきである」という点、さらに、これまでの議論を踏まえまして、「税率水準を維持する場合にあっては、炭素含有量を加味した課税標準とすることも考えられる」というふうにさせていただいております。
     なお、(注)といたしまして、前回、森田委員からご紹介いただきました国立環境研究所のAIMプロジェクトチームの試算を紹介させていただいているところでございます。また、別添といたしまして、詳しいペーパーを添付させていただいているところでございます。
     次に(b)といたしまして、同じく化石燃料・エネルギーへの課税である石油税・電源開発促進税のような、他の特定財源につきましても、「従来の支出状況にかんがみ、より一層の使途のグリーン化を進め、温暖化対策に資する予算を拡充することが考えられる」とした上で、具体的にはということで、「現在これらの特定財源等により進められている対策をより一層強化し」ということで、幾つか例示を掲げさせていただいているところでございます。
     なお、(c)といたしまして、「なお、併せて、税収を温暖化対策に充当する際には、地方公共団体が実施する対策に充てることも十分考慮すべきである」ということで、地方公共団体の役割に言及いたしております。
     第1ステップの対応としたしましては、さらに[3]といたしまして、ここにございます低公害車・低燃費車あるいは省エネルギー型の住宅・建築物等に対する税制優遇措置等を積極的に位置づけることが必要であるということを述べているところでございます。
     (3)といたしまして、「第2ステップ以降の対応」ということで、これも基本的なところは同じでございますが、改めて申し上げれば、地球温暖化対策推進大綱に基づき、「2004年度に実施される対策進捗状況のレビュー等において必要とされた場合には、第2ステップ以降早期に、CO2排出削減を主目的とした温暖化対策税を導入すべきである」というふうにしているところでございます。
     その際、ポリシーミックスの問題でありますとか、あるいは第2ステップ以降に温暖化対策を導入する可能性を事前に明示することが早期対策の実施を進めるメリットを与える点から望ましいという点でありますとか、税制改革全体の中で検討することが必要であるというような点について言及しております。
     その下でございますが、「また」ということで、改めまして地方公共団体が果たすべき役割ということについて言及しているところでございます。
     それで、四角2といたしまして「課税タイプについて」ということで整理をいたしております。これは、前回の案では、制度オプションということで整理をさせていただいたものでございますけれども、これにつきましては、さらにさまざまな要素が組み合わさって初めて制度のオプションであるといえるというようなご指摘がいろいろございましたので、改めまして、この点につきましても課税タイプということで整理いたしたものでございます。
     改めて申し上げれば、間接税のような課税方法と、排出そのものに課税する直接税のような課税方法に区分できるとした上で、I番といたしまして、化石燃料上流課税、それからII番といたしまして化石燃料下流課税、それからIII番といたしまして排出量課税としております。このIIIについては、前回は排出課税というふうにしていたわけですが、前回、排出課税といいますと、ある特定の排出を測定するというイメージができ上がってしまうということで、排出量課税ということで、若干、呼び名を変更して、課税タイプとして整理したものでございます。
     上流と下流につきまして注として説明した上で、3つの課税タイプについて、[1]の効果、[2]の簡素さ、それから[3]の他の政策手法との組み合わせという観点から検討が必要となるとしています。
     そこで、先ほど申し上げましたように、様々な要素が組み合わさって初めて制度オプションになるというご指摘でございましたので、「なお」といたしまして、「今後より具体化していく上で必要な税の目的、税率、税収の使途及び税収中立とするか否か等の要素については、他の政策手法との組み合わせの在り方を考慮し、温暖化対策全体の中で検討することが必要である」というふうにさせていただいております。
     続きまして、「3つの課税タイプ」に沿いまして、整理をしているところでございまして、この基本的な構成は同じでございます。前回のご議論でございました「電力の扱いについて」のところと、それから「原料としての化石燃料使用の扱いについて」ということにつきましては、(注)の形で少し前回よりは丁寧に説明をさせていただいたところでございます。その後の効果[1]、[2]、[3]につきましては、基本的に同じでございます。
     それからII番の「化石燃料下流課税」につきましても、基本的な整理は同じでございます。III番の「排出量課税」につきましては、先ほど申し上げましたように、排出課税とありましたものを排出量課税としております。それから、類似の制度ということで、前回から「公害健康被害の補償等に関する法律」の制度をご紹介させていただいているところでございますが、制度の趣旨、目的の違いでありますとか、あるいはどういう意味でこれを例示として挙げているのかということを、きちんと書くべきであるというご指摘がございましたので、「制度の目的は異なるものの、排出量に基づき、排出者から直接徴収する制度という点で類似しているといえる」ということで、どういう意味で類似の制度というふうに考えているかという点を丁寧に書いたところでございます。その上で[1]、[2]、[3]という観点から整理をしているという点は同じでございます。
     それから(2)といたしまして、「3つの課税タイプの組み合わせ」という点につきましては、同じでございます。課税タイプは互いに排他的ではないということで、いろんな組み合わせが考えられるという点に言及したものでございます。
     それから、(3)の「税収の使途」でございますが、これも基本的には「地球温暖化対策推進大綱に掲げられた各種対策の推進のための財源に充てることが考えられる」というふうにさせていただいておりますが、前回の議論も踏まえまして、「なお」といたしまして、「税の目的や税率にもよるが、必ずしも税収を特定の施策に充当する必要はなく、一般財源や税収中立とすることも考えられるのではないかとの意見もあった」ということで紹介させていただいているところでございます。
     それから、(4)といたしまして、「政策的な優遇措置等」を整理いたしております。ここにございます[1]、[2]、[3]は基本的に同じでございますが、[3]の国境税調整につきまして、前回の議論を踏まえまして、国境税調整の可能性を検討する必要があるということの言及をいたしたところでございます。
     それから四角3番といたしまして「今後の検討課題」ということを整理いたしております。先ほど来、申し上げておりますが、課税タイプということでございますけれども、前回の整理では、組み合わせの方を中心に課題を整理していたわけですけれども、課税タイプということで、改めましてこの課税タイプに応じまして、具体的な温暖化対策税の制度の案を構築していくことが必要であるということを掲げまして、その後に役割分担の考え方でありますとか、組み合わせる場合の検討課題の整理ということ、それから、制度の案による効果・影響についての定量的な分析というふうに整理をし直したところでございます。以上でございます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。それでは、これにつきまして、ご意見等ございましたら、どうぞお願いいたします。それでは、天野先生どうぞ。

    ○天野委員 どうもありがとうございます。基本的には、大変結構な案ができたというふうには思っております。ただ、全般的に拝見しまして、3つか4つ、少し細かい点で意見を申させていただきます。
     まず最初、3ページですけれども、OECDのパフォーマンスレビューのことが書いてありますけれども、これは14年1月に公表されたのは、たしか結論と勧告の部分だけであって、本文はつい最近出てきたものですので、ちょっと書き方が不正確かなというふうに思います。公表されたものと、ここで引用されているものがちゃんと整合するようにお書きいただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。
     それから、2点目は6ページなんですが、これは政策論では、普通、効果があるかどうかということと、それから、その効果を達成するためにどれぐらいの費用負担があるかということと、それから、代替的な政策手段を比較して、より効果的なものを選ぶという視点がありまして、この[1]、[2]、[3]というのは、大体それに対応しているというふうに思いますが、ただ費用の点は、ここに書いてある「簡素」というのは、政策を実施するときの費用のことを主として書いておりまして、実際に政策が実施されて、それが国全体の経済的な費用にどういう影響を及ぼすかという点までは入ってこないというふうに考えられます。
     したがって、ここは行政管理費用と、削減目標達成のための国民経済的な費用というふうに書くべきなんですけれども、これをいたしますと大改訂になってしまいますので、今回はそれは申し上げません。ただ[2]番の「簡素」というところが、少しそういう意味では限定的だということだけを指摘させていただいて、一番最後のところで、それを補うような修文をしていただければというふうに思います。それが第2点です。
     それから、第3点は細かい点ですが、7ページの[3]の「他の政策手法との組合せ」の例としまして、一番最後のところに「また、国内排出量取引制度と組み合わせる場合も同様と考えられる」という表現が使われています。これは7ページ、8ページ、9ページの3ページにわたって同じ表現が3カ所出てきますが、この書き方ですと、国内排出量取引制度というのは、グランドファザリングで行われるというふうな前提があれば成り立つんですが、これがもしオークションであれば、事情が違ってくるので、そういう点、少し不正確ですので、例えば許可証給付型の国内排出量取引制度と組み合わせる場合というふうに限定していただければ正確になるんじゃないかと、細かい点ですけれども、そういうふうに思います。
     それから、最後は11ページの「今後の検討課題」というところですが、ここに挙がっている3つの課題というのは大変重要だと思いますけれども、第1ステップの政策手法の見直しのようなことが、必ずしも明確に出てまいりませんし、それから、先ほど私が申し上げましたような、それぞれの政策手法の費用対効果の比較検討という視点が全体を通して余り見えておりませんので、最後のところにもう一つ、ブレットをつくっていただきまして、例えば第1ステップの政策手法を含め、各政策手法の費用対効果の比較検討というふうなことを今後の課題という形で入れていただけないかなというふうに考えております。以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。そのほか。はい、それでは横山委員どうぞ。

    ○横山裕道委員 私も全体的にはいいと思うんですけれども、中環審が幾ら出しても、経済財政諮問会議とか政府税調がなかなか取り上げてくれないのでは、余り意味がないわけで、例えば、そういうところにもメッセージを送るんだという意味で、2ページの「取り進め方について」の基本的な考え方の中で、「現在政府が検討を進めている」というところに、その2組織ぐらい入れたらいかがでしょうか。そこで、そうすると自分たちの問題だというふうに考えるのではないかというふうに思います。
     それから2点目は、7ページの「電力の扱いについて」というところで、原子力、水力、風力、太陽光云々というところがありますが、私も含めて何人かの方が、原子力、水力を入れてほしいと言ったのは、この逆の意味で言ったと思います。それが風力、太陽光まで入れて、化石燃料起源以外の電源には課税されないこととなると、わざわざ書いてほしいからああいう発言をしたのではなくて、やはりここは、原子力、水力については、省エネとか環境政策上の観点とか視点から、別途検討するぐらいにしていただけないかなと思います。ここでわざわざ、原子力も入れないんだということを中環審で言うのには反対です。以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。それでは、どうぞ。

    ○桝井委員 いま横山委員がおっしゃったように、このまとめが、やはり現在進められている政府税調なり経済財政諮問会議の方にいかにアピールというか、伝わるかということも大きな点だと思います。その点で、4ページの、ここも一番大事なところだと思うんですが、道路特定財源についてのところで、少なくとも現行の税率水準を維持し云々とあるところで、「なお、税率水準を維持する場合にあっては、炭素含有量を加味した課税標準とすることも考えられる」というところなんですけれども、この環境税の導入については第2ステップで入れるんだというようにはっきり言っている。それより、だけど、これからのあれを見ますと、もう既に環境税をどうこうするんだと、入れるかというのはもう既に始まっていると、この道路特定財源ということを、一つの大きな問題として、というのは、見直しがもうすぐそこまでタイムテーブルに上っているわけですから、その中に、ここの部分をどのようにもっと書くかというところだと思うわけですが、この書き方は、非常に抑えて遠慮した形に過ぎないかと。
     やはりアピールというか、提言するというところに、このところを、例えばなぜ炭素含有量を加味した課税標準とすることがいいのか。要するにこれは、将来の環境税を入れる場合の予備的な議論を早目にするという意味で非常に意味があるわけだろうと思いますけれども、ここのところをもう少し、それこそ強目に出していいんじゃないかと、そう遠慮することはないんじゃないのかしらと、考慮、検討するべきであるというふうにしてもいいし、なぜこれを炭素含有量を加味した課税標準にするのかということを若干説明してもいいんではないかと。その意味を説明してもいいんではないかというように考えます。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。そのほか。大塚委員どうぞ。

    ○大塚委員 少し細かいところで恐縮なんですが、先ほど、天野先生がおっしゃったところと関係するんですけれど、例えば7ページの下の[3]の最後のところの「国内排出量取引制度」との組み合わせの場合の話なんですが、各主体の税負担額を明確にするというのは、場合によってはゼロになるということも含めてというふうに私は考えていたので、余り気にはならなかったんですけれども、多分、先ほども天野先生のご指摘はゼロになるということもあるからということかなと思うんですが。
     もう一つ、議論し出すと気になってくるところは、化石燃料上流課税ということにした場合には、国内排出量取引制度と組み合わせる場合には、還付をするかどうかという問題が多分出てくると私は思っているんですけれども、今ここでそんな議論をし出すと大変なことになるのかもしれないので、余りやらない方がよければ、適当に抑えた形でもいいんですけれども、そういう問題があるんですけれども、もしお答えいただけるとしたらで結構なんですけれども、その点あたりはどういうふうにお考えになって、この「同様」というふうに書かれたのかなというのは、一応伺っておきたいところではあるということでございます。

    ○三好環境経済課長 ちょっと幾つかの点があろうかと思いますが、まず今の大塚先生の点、あるいは冒頭の天野先生のご質問について、私が十分に理解できていないのかもしれませんが、ここは減免を行っているようなポリシーミックスが実施されているがということで、減免を行うためには、税負担額が明確になっている必要があるだろうということで、自主協定あるいは、国内排出量取引についても、一体それぞれがどれぐらい排出し、どれぐらい負担しているかということがわかっていないと、税と組み合わせることは難しいのではないかという程度の意味で書いております。もし至らない点がありましたら、また改めてご指摘をいただければというふうに思っております。
     それから、電力の扱いでございますが、これは前回も私の方からご説明いたしましたが、これ自身は現在の大綱にございます原子力の立地ということが前提に、その上で税というものの手法としてどういうものがあるかということについて検討していただいていると考えておりまして、その意味でここに書きましたのは、こういう化石燃料型の課税をした場合に、電力がどうなるのかと、かかるのかかからないのか、電力にはかからないですから、電力に対してどういう影響があるのかということについて、前回ご指摘がありましたので、そのことについて注釈の形で説明したということでございます。

    ○飯野委員長 天野先生。

    ○天野委員 今のご説明なんですが、英国で自主協定を結ぶ場合には、気候変動税の80%を免除するという規定があるんです。ですから80%ですから、残りの20%が課税されるというわけで、このやり方というのは、そういう意味では税負担額というのははっきりしているわけです。ですから、それと同じような仕組みを国内排出量取引制度と組み合わせるというのであれば、全部オークションにするというやり方はなくて、排出許可証をどれだけ提供するか、無償で何割提供するかということになるわけですから、もし税がかかっていれば、税額の例えば80%を無償で提供する、これで完全に対応するわけです。ですから、そういうふうな無償供与がなければ、こういう言い方はできなくて、全部オークションで買ってきなさいということであれば、どういう形で上の減免制度と対応するのか、同じようになるのかというのはわかりませんので、そういう意味で私は質問したわけです。

    ○大塚委員 天野先生にまた教えていただきたいですし、ご議論させていただきたいんですが、そういうことでしたら、それはそれでわかったんですけれど、ここは国内排出量取引と税のポリシーミックスかなと私はここを読んでしまったので、イギリスの制度のことを必ずしも言っているわけではないというふうに読んだものですから、幾つか読み方があるのかなというふうに感じています。
     それから、「同様と考えられる」という最後のところは、僕は各主体の税負担額を明確にするということを特に言っているのかなというふうに思ったので、多分いろんな読み方ができる文章になっているのかなと今思いましたけれども。

    ○三好環境経済課長 今、大塚先生がおっしゃっていただいたのですけれども、I番とII番の[3]のところの記述を比較してごらんいただければと思うんですが、[1]の場合は上流ということでございますので、各主体の税負担額を明確にするような方法を検討する必要があるというふうにさせていただいております。それは、ある意味でそういう意味では、下流のところでの自主協定なり国内排出量取引制度を前提にした書き方になっているという点では、ご指摘のとおりかと思います。そういう意味で「同様と考えられる」というのは、各主体の税負担額を明確にするような方法を検討する必要があるという意味で同様ということでございまして、この点がIIの方の[3]ですと、組み合わせになじみやすいということで同様であるというふうなつもりで原案は作成しているということでございます。

    ○飯野委員長 よろしいですか。

    ○大塚委員 確認させていただきますが、一つは国内排出量取引制度と組み合わせる場合というのは、税と国内排出量取引という意味なのか、今、天野先生がおっしゃったような協定も含めて3つを組み合わせるという意味なのかということだけ、はっきりしておいていただいた方があるいはいいかもしれません。両方どっちも明確にはしなくてはいけないということですかね、どちらの場合についても。

    ○三好環境経済課長 ここは、例えば英国ではということで、そもそも例として書いておりますので、一応、英国型が念頭にあるということでございます。ただ、同様であるというのは、税負担額を明確にするような方法を検討する必要があるということで同様であるというふうに使っているつもりであると。

    ○天野委員 英国型というのは3つ入っていますね。自主協定と税と排出取引と3つ入っているんですよ。ですから、そのうち1つだけ外して、上の2つを話をして、3つ目も同じだというのは、何か例としては非常におかしな挙げ方だと思うんですけれども。もし、英国の制度をいうのであれば、3つとも入っていますという言い方をすれば、それでわかりますけれども、これは2つだけ取り上げて、3つ目を入れるとしたら同じだというのは、私には理解しにくいんですが。

    ○三好環境経済課長 わかりました。「。」で切って「また」と書いたところが誤解というか、ちょっと至らなかったと思いますので、表現を考えさせていただきたいと思います。

    ○飯野委員長 ほかに何かご意見ございますでしょうか。では、森田先生、どうぞ。

    ○森田委員 天野先生が最初のご発言の最後におっしゃられた、今後の検討課題、第1ステップの検討課題というのを書き加えるべきであるということでございまして、私は大変賛成でございまして、やはり第1ステップでいろんなところで税のグリーン化とか、あるいは行政措置とかいった、経済的措置が検討されていくだろうと思われますけれども、それを総合的に税制の望ましいグリーン化の方に向かっているかどうかということについて、きちっと横断的に評価するということがどうしても必要になってくるかと思うんです、第1ステップ。
     これはどこでやるだろうかということについてはあれですけれども、ぜひとも審議会あるいはどこかのしかるべきところでリーダーシップをとって、そういったものの横断的な環境面からの評価ということを実施していただきたいというような提言が、どうも一番最後の「今後の検討課題」というところに、ひとつ盛り込んでいただきたいということです。それだけです。

    ○飯野委員長 わかりました。

    ○浅野委員 今の点、森田先生が今ご指摘されたとおりだと思います。決して第1ステップについての点検というのは、全部を取り上げてという文脈をこの中で出す必要はないのかもしれません。この報告書はあくまでも温暖化対策税制という観点からの報告書になるわけですけれども、それにしましても、今後、この対策の大綱の第2ステップの議論というのは、環境省だけではなくて、もっと政府を挙げてという検討になるわけですから、そこに出してくるさまざまな材料というのは、やはりそれぞれのところで責任を持って仕込んで出していかなくてはいけない。そうすると、やはりこの問題に関して、環境のサイドからの仕込みというのは、やはりこの方が出さなければいけないということになりますから、森田先生の言われるとおりだと思います。
     そして、炭素税という話は第2ステップであるが、とりあえず、まず道路財源であるとか、その他の特定財源のグリーン化というところが、多分できそうなものがあるんだからやってみようというのは、ある意味ではパイロットスタディーみたいな意味があるわけですから、そのパイロットスタディーをやってみて、これはこういう効果があったんだと、ここは十分ではなかったんだというようなことは、今後、話を広げるときに非常に重要な意味を持ってくるんです。ですから、やはりそのことをきちっと入れておくという必要はあろうかと思います。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。そのほか。では、課長お先に。

    ○三好環境経済課長 今のご指摘の点は、私ども、とにかく第2ステップ以降の対応のところで、先ほどちょっと読み上げさせていただきましたが、当然のことでございますけれども、この大綱のステップ・バイ・ステップのアプローチでレビューが行われるという際に必要とされた場合に、早期にということでございますので、全体の大綱、地球温暖化対策のそういう大きな枠組みの中の見直しの中での税の役割ということは念頭にあったのはご指摘のとおりでございます。そのあたりにつきまして、今後の課題等につきましては、そのことがわかるような形で考えさせていただきたいと思います。

    ○安原委員 私も今回示されました案文では、今の時点におけるペーパーとして、この程度でやむを得ないのかなと、全体としてそう思います。あと、細かい点でございますが、6ページの上のパラグラフのところで、「これを素材として、国民的な議論が行われることを期待する」。いろんな段階でいろんな材料をもとに、この環境税についての議論が行われて、理解が深められるというのは、そのとおりだと思うんですが、どちらかというと、この課税タイプの材料で非常に国民的な議論が巻き起こるのかどうか、それはやはり、一番最後の11ページのところの今後の検討課題について、各課税タイプに応じた具体的な制度の案ができて、初めて国民的な議論が活発に行われることになるんだろうと思います。したがって、その案の検討をできるだけ急いでいただければと思います。
     それから、10ページのところの「税収の使途」のところですが、新たに入ったんだと思いますが、第1パラグラフの2、3行のところですが、「必ずしも税収を特定の施策に充当する必要はなく」と、えらく強調されているんですが、一般財源としても、一たんそういう財源がある程度生じる、それをできるだけ環境対策、温暖化対策の方に必要な場合に緊急性があれば、それを振り向けていくということは、当然、一般財源としたとしても、そういう具体的な対応はあり得るわけですから、「必要はなく」というほど強調しなければいかんのかどうか、そこはちょっと案文を工夫していただいた方がいいんじゃないかなという気がいたします。以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございます。そのほか、何かお気づきの点がございますでしょうか。はい、どうぞ。

    ○横山彰委員 議論が出尽くしているかもしれませんけれども、一つは地球温暖化の対策税制を入れたことによって、税制全体のグリーン化がどこまで進んだのかということの評価の尺度、その辺について、今後の検討課題のときに、レビューというお話も委員各位から出ているわけですけれども、それをどういうふうに理解したらいいのかということが、かなり重要になってくるのではないかと思うんです。
     私が申し上げたい点は、例えば短期的に言うと、今、一般財源化等のお話が出ている、それから暫定税率を本則税率に戻そうということは、いわゆる活力という観点で、今の論調、世論、マスコミも含めて景気のことがかなりあると。そういう中で、今回はこの基本的な考え方の中で、少なくとも活力の部分について、この委員会は地球温暖化対策税制をどういうふうに位置づけているのかということが、今一歩よくわからない。そういう点で、いや、活力ということ自体には、論点から外していいんだということなのか、その辺が基本的な考え方として、ここの文章の中にどういうふうに盛り込めということではないんですが、基本的なスタンスとして、どういうふうな立場をとろうとしているのかということが、やはり問われてくるんだろうと思うんです。
     そうしたときに、ただ単にグリーン化ということではなくて、構造改革として、よく今でもマクロ経済で非ケインズ効果ということで、財政再建と経済成長は両立するんだというような、ケインジアンの考えとは違う考え方の理論的な主張もマクロ経済学で新たになされているわけですから、そういう点で、このグリーン化ないし今回のこうした地球温暖化対策税制を構築することが、日本全体として活力と主張している論者あるいは雇用を重視する論者に対しても説得力を持ち得るのかどうかということについて、何らかの一文がどこかに欲しいなと。これは個人的な意見です。

    ○飯野委員長 そのほか。では天野先生、またどうぞ。

    ○天野委員 今のご指摘、大変重要だと思います。つまり、環境政策を実施する際に、それがマクロ経済に非常にマイナスの負担をかけるような要素を持っているのは困るということで、例えば、現在これは総合政策部会の方で私はいろいろ申し上げているんですけれども、現在の環境政策というのは、随分予算をたくさん使った政策が多いわけです。ですから、現在の財政状況なんかから言いますと、そういうものをできるだけ減らして、こういった経済的手法を使うということが、環境政策そのものを効率化して、なおかつ国全体に与えるネガティブな影響というのを小さくしていくという政策になっていますので、ここではそういう意味では、経済的手法なわけですから、そういうものを導入することの意義をきちっとお書きいただければ、自然にそういうことが出てくるかと思います。これが一つ。
     もう一つは、海外でもよく使われている手法ですけれども、環境税の税収を使って、雇用を増加させるような形で税収を使う。労働税といわれているようなものの引き下げ、そういうものに税収を使うということが雇用対策になるということが期待されておりますので、そういった点。ここで触れるかどうかは税収の使い方にかかわりますので、こういう中で触れるのが適切かどうかはわかりませんが、一般的にはそういうふうなことも海外では、マクロの問題というのを意識して採用されている手法だということは言えるんじゃないかというふうに思います。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。そのほか、ございますでしょうか。では三好課長、どうぞ。

    ○三好環境経済課長 今ご指摘の活力との関係につきましては、私どもも意識はいたしているところでございまして、例えばでございますが、税の効果のところで、インセンティブ効果に加えまして、技術開発等による経済活性効果についても、その観点から見たりしております。今の天野先生のお話をお借りすると、税そのものがそういう効果を持っているのではないかという点があろうかと思いますけれども、一応、私どもとしては、そのあたりについては、あと何カ所かそういう形で言及させていただいているところでございます。

    ○飯野委員長 そのほか、何かあとお気づきの点、ございますでしょうか。よろしいですか。はい、どうぞ。

    ○横山彰委員 今、事務局からのお話、非常にごもっともで、私自身、反論はしませんけれども、この骨太というような形の議論をすると、こういう地球温暖化対策税制そもそも論で、日本の経済構造や社会の構造を変えるんだという強い主張が、やはりどうも前面に出ていないのではないかということなんですよ。
     経済財政諮問会議にせよ、政府税調にせよ、都税調にせよ、日本の産業構造をどういう形に中長期的なビジョンとして描くのかといったときに、税制のグリーン化は確かに国際約束の京都議定書の削減をすることに目的があるわけですけれども、もっともっと根本のところで言ったときに、やはり構造改革としては、極めて重要な論点なのではないかと。その構造改革が今言われているような構造改革とは違う、別のパラダイムとしての日本の社会の描き方として、こうした税制のグリーン化、地球温暖化対策税制というものを、やはり位置づけるんだという強い意志が示されているかどうかということだけで、その表現の仕方は私、どうやってここに盛り込んでいただけばいいのかということにもなるのかもしれませんけれども、やはり立場、立場からいえば、もっと対峙をする、主張してもいいのではないかという個人的な意見を持っているということです。以上です。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。ほか、ございませんか。天野さん、もう一度どうぞ。

    ○天野委員 やはり京都議定書の締結に引きずられている面があるのは事実だと思います。むしろ、もし大上段で議論するとすれば、持続可能な社会、構造改革をするためにも、こういう税制の改革が必要だということは、頭のところでぼんとおっしゃっていただくことが、いいかもしれないというふうに思います。

    ○飯野委員長 いいですか。はい、どうぞ。

    ○浅野委員 環境基本計画の前の方をずっと見ていって、上手に理念のところをきちっと入れていけばいいんじゃないんですか、社会経済システムそのものを変えましょうとか、いろいろ言っているんですね。

    ○三好環境経済課長 委員長といろいろ相談しまして……。

    ○飯野委員長 よろしいでしょうか。
     いろいろご意見いただきましたけれども、とにかく、なるべく早くこの中間報告をまとめたいと思っておりますので、先生方のご了解が得られましたら、私と事務局が相談をいたしまして、まとめたいと思いますので、委員長一任とさせていただいてよろしいでしょうか。
    (「賛成」との声あり)

    ○飯野委員長 ありがとうございます。それでは、本日の議論を踏まえた修正を行い、中間報告として、なるべく早く公表させていただくことにしたいと思います。短期集中的な議論で、委員の皆様方には大変ご苦労をおかけ申し上げましたけれども、おかげさまで時宜にかなったまとめができたと思います。環境省には、これを踏まえて積極的に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
     また、検討課題は引き続き残されておりますので、この専門委員会は、また継続してまいりたいと考えております。炭谷局長から一言何か。

    ○炭谷総合環境政策局長 それでは、本専門委員会のご議論の一応の締めくくりということになりますので、一応ごあいさつ申し上げたいと存じます。
     まず、この専門委員会でございますけれども、4月に再開いたしまして、きょうまで非常に短時間の間に集中的にご議論いただきました点について、ご多忙の先生方にかかわらず、熱心なご議論をいただいた点について、厚く御礼申し上げます。
     まず、4月に本専門委員会を再開いたしましたときに、私から、ここでは温暖化対策のスケジュールに従い、着実な検討を進めるとともに、必要に応じて税制改正の動きに対応して、政府税制調査会等の場における審議に貢献していくことを念頭に置いてご検討いただきたいというふうに申し上げたところでございます。政府の税制改革の基本方針がまとまろうとしているこの時期に、この間の温暖化対策の進展を踏まえた中間報告をまとめていただくということになりました点について、重ねて御礼申し上げます。
     また、本日、おまとめいただいた中間報告では、大体、次のような点にまとめられるんじゃないかなというふうに認識いたしております。一つは温暖化大綱上の第1ステップにおける道路等の特定財源の見直しに際しては、温暖化対策の視点から、そのグリーン化を推進するとともに、現行暫定税率の水準を維持すべきこと。また、2番目には、2004年度に実施される温暖化対策の進捗状況のレビュー等において必要とされた場合には、第2ステップ以降、早期にCO2排出削減を主目的とした温暖化対策税を導入すべきこと。さらには導入する際に考えられる課税タイプについて、今後の議論のベースとなる整理をしていただいたわけでございます。
     この中間報告は7月に予定されている中央環境審議会総合政策部会にて、ご報告させていただく予定であり、また広く国民各層のご意見を伺うこととしたいと考えております。環境省といたしましては、この中間報告を踏まえまして、温暖化対策を進める上での税制面での対応の重要性を訴えつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
     委員長からもございましたように、専門委員会でのご議論が、今後の課題に取り組む形で継続していくこととなりますので、委員の先生方におかれましては、引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

    ○飯野委員長 ありがとうございました。ほかに何か、皆さん、ご意見ございませんでしょうか。ありませんでしたら、時間が早く終わったんですけれども、きょうはこれくらいで終わりたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

    午後 4時25分 閉会