PRTR用語解説
【変異原性数】
突然変異を引き起こす性質のことで、発がん性などと関連がある。発がん性の疑いのある化学物質のスクリーニング(ふるい分け)に変異原性試験が用いられている。
試験管や培養器内のような人工環境を用いる実験系で行うin vitro の試験方法としては、微生物を用いる復帰変異試験(Ames 試験)が代表的なものとされ、これを補うものとして、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験も行われている。さらに、生きた動物をそのまま用いる実験系で行うin vivo の各種試験法がある。
なお、労働省通達で強い変異原性を示す物質が特定されている。また、EU 指令では、変異原性を次のように分類している。
カテゴリー1
ヒトに対して変異原性があることが知られている物質。
物質への人の暴露と遺伝性の障害との間の因果関係を確立するのに十分な証拠がある。
カテゴリー2
あたかもヒトに対して変異原性であるようにみなされるべき物質。その物質への人の暴露は、遺伝性の障害を生じさせる恐れがあるという強い推定を与えるための十分な証拠がある。
カテゴリー3
突然変異作用を及ぼす可能性があるためヒトに対する懸念を引き起こす物質。
適切な変異原性試験からの証拠があるが、これはその物質をカテゴリー2 に入れるには不十分である。