PRTR用語解説
【作業環境許容濃度(日本産業衛生学会)】
許容濃度の定義
ア 許容濃度とは、労働者が1 日8 時間、1 週間40 時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に暴露される場合に、当該有害物質の平均暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。
イ 最大許容濃度とは、作業中のどの時間をとっても暴露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度である。一部の物質の許容濃度を最大許容濃度として勧告する理由は、その物質の毒性が、短時間で発現する刺激、中枢神経抑制等の生体影響を主とするためである。実際には、最大暴露濃度を含むと考えられる5 分程度までの短時間の測定によって得られる最大の値を考えればよい。

許容濃度等の性格
ア 許容濃度等は、産業における経験、人および動物についての実験的研究から得られた多様な知見に基礎を置いており、許容濃度等の設定に用いられた情報の量と質は必ずしも同等のものではない。
イ 許容濃度等を決定する場合に考慮された生体影響の種類は物質等によって異なり、ある種のものでは、明瞭な健康障害に、また他のものでは、不快、刺激、中枢神経抑制などの生体影響に根拠が求められている。従って、許容濃度等の数値は、単純に、毒性の強さの相対的比較の尺度として用いてはならない。
ウ 許容濃度等は、安全と危険の明らかな境界を示したものと考えてはならない。