PRTR用語解説
【IRIS】
Integrated Risk Information System。EPA により作成・維持されているデータベースで環境中の様々な化学物質への暴露から起こるヒトの健康影響についての情報が収載されている。
IRIS は当初、リスクアセスメントや意志決定、行政活動における利用のため、化学物質の一貫した情報に対する要求の高まりに応えるべく、EPA のスタッフ向けに構築された。IRIS には次のカテゴリーの情報が収載されている。
非発がん性の慢性毒性評価(RfD 、RfC )
発がん性評価
飲料水衛生勧告
法規制
物理化学的性状
参考文献
改訂履歴

制約
ア RfD とRfC は生涯暴露の仮定に基づいているため、一生涯より短い暴露の状況では、適正な適用ができない可能性がある。
イ 一般的にIRIS の値は、ヒトの発病率や、化学物質暴露がヒトにもたらす作用のタイプを正確に予測するには、有効に用いることができない。これは、動物からヒトへの、また高い試験用量から低い環境暴露への外挿に伴う不確実性のような、リスクアセスメントに含まれる多くの不確実性によるものである。化学物質の暴露から起こる有害な影響のタイプや標的器官は、実験動物とヒトでは異なる場合がある。さらに、化学物質への暴露以外の多くの要因がヒトの疾病の発生や程度に影響する。
ウ IRIS に収載されているRfD 、RfC 、スロープファクター、ユニットリスクを変更すると(例えば、RfD の算出に用いられた係数よりも大きい、または小さい不確実性係数を用いること)、化学物質暴露により引き起こされる健康リスクを推定する上で、RfD 等の値を適用できなくしてしまったり、ゆがめてしまう。