平成11年(1999年)版 「化学物質と環境」 |
第2編 最近の化学物質関連の調査・研究等の概要 |
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4.ダイオキシン類緊急全国一斉調査結果について |
-平成10年度実施(概要) |
平成11年9月24日 環 境 庁 環境リスク評価室 大気規制課 地下水・地盤環境室 水質管理課 水質規制課 土壌農薬課 |
環境庁では、全国的なダイオキシン類(*1)の汚染実態を把握するため、平成10年度に、環境保健部、大気保全局及び水質保全局が共同で、大気、水、土壌、底質等の環境媒体の汚染実態について、全国統一的な方法で把握する標記調査を実施した。 今般、ダイオキシン類総合モニタリング調査検討会(座長:池田正之京都大学名誉教授)での評価を踏まえ、その結果を取りまとめたものである。 |
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1 | 発生源周辺、大都市、中小都市、バックグラウンド等について全国約400地点(媒体によって異なる)で、大気(夏、秋、冬及び春の4回測定)、降下ばいじん(夏及び冬の2回測定)、公共用水域水質(夏の1回測定。ただし、発生源周辺のみ夏及び冬の2回測定)、地下水質(夏の1回測定)、公共用水域底質(夏の1回測定)、土壌(夏の1回測定)及び水生生物(秋の1回測定)の各媒体について、ダイオキシン類(コプラナーPCBは一部地点で測定)の濃度を測定した。 その結果は、以下のとおり。 |
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(下記表の各媒体毎の上欄は「PCDD及びPCDF」、下欄は「ダイオキシン類」) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2 | 各地点分類(発生源周辺(重点地域含む)、大都市、中小都市及びバックグランド)間のダイオキシン濃度レベルについて比較すると、大気、降下ばいじんなどで発生源周辺、大都市・中小都市、バックグラウンドの順で低くなる傾向にあった他、バックグラウンドではほぼ全媒体において、他の地点分類より低い傾向にあった。なお、地下水質については、全体的に低い濃度レベルにあり、各地点分類間で濃度レベルにほとんど差異は認められなかった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3 | コプラナーPCBについては、ほとんどの環境媒体で、概ね8割以上の地点で、総TEQ値に占める割合が10~30%以下であった。 なお、水生生物については、7割以上の地点で、50%以上を示した。 |
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4 | 各環境媒体間の関係について解析を行ったところ、大気と降下ばいじんではある程度の相関関係が見られたが、その他の媒体間ではデータにかなりのばらつきがあり、明らかな相関関係は見られなかった。 各媒体間の関係をより正確に評価するためには、環境中での挙動や各媒体中でのダイオキシン類の特性等の科学的知見や関連データの一層の集積を進める必要がある。 |
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5 | 精度管理については、精度管理計画書の事前審査、専門家等による測定機関への査察及び測定結果の詳細な検討並びに共通試料の測定を実施した。これらの結果、分析能力上問題となる機関はなかった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今後、環境庁では、これらの検討結果を踏まえて、環境基準の設定や、環境中の挙動調査研究等を行うとともに、引き続き全国のダイオキシン類による環境汚染状況について把握するための調査を実施し、ダイオキシン対策を推進していくこととしている。 |
(*1) | ここでは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)及びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)にコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)を含めて「ダイオキシン類」という。 |
(*2) | ここでは、「平均値」とは「算術平均値」をいう。 |
(*3) | 「中央値」とは、データを大きさの順に並べ換えたとき、ちょうど真中にくる値をいう。 |
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