平成11年(1999年)版 「化学物質と環境」 |
第1編第1部 平成10年度化学物質環境調査結果の概要 |
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第4章 環境調査結果の評価 |
物質名の後ろに◎のあるものは平成10年度調査で検出検体があったもの。 | |||
[化学物質環境調査(水系)] | |||
1. | ジブチルスズ化合物◎ | 2. | フェニルスズ化合物◎ |
3. | ジフェニルスズ化合物◎ | 4. | アニリン◎ |
5. | 4-エトキシアニリン◎ | 6. | o-クロロアニリン◎ |
7. | m-クロロアニリン◎ | 8. | p-クロロアニリン◎ |
9. | 2,4-ジクロロアニリン | 10. | 2,5-ジクロロアニリン◎ |
11. | 3,4-ジクロロアニリン◎ | 12. | o-トルイジン◎ |
13. | m-トルイジン | 14. | p-トルイジン |
15. | アクリルアミド | 16. | ピリジン◎ |
17. | N,N-ジメチルホルムアミド◎ | 18. | N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド |
19. | N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド | 20. | N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド |
21. | ベンゾチオフェン◎ | 22. | ジベンゾチオフェン◎ |
23. | 非イオン系界面活性剤◎ | 24. | フェノール◎ |
[化学物質環境調査(大気系)] | |||
〔参考文献〕 |
[化学物質環境調査(水系)] | |
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水質、底質及び魚類についての平成10年度の調査結果の概要とそれに対する評価は、次のとおりである。なお、調査媒体及び調査地点は、それぞれの化学物質について、調査の必要性が高い媒体、地点を選んでいる。 本調査では、試料採取はほとんどが9~11月に行われ、環境試料の分析は主として調査地点を管轄する地方公共団体の公害等試験研究機関で行った。試料の性状や、利用可能な測定装 置が異なることから、各機関での検出限界は、必ずしも同一となっていないが、ここでは、調査全体を評価する立場から、同一化学物質に対しては実行可能性を考慮して1つの検出限界を設定している。 今回の調査結果、24物質(群)中17物質(群)(ジブチルスズ化合物、フェニルスズ化合物、ジフェニルスズ化合物、アニリン、4-エトキシアニリン、o-クロロアニリン、m-クロロアニリン、p-クロロアニリン、2,5-ジクロロアニリン、3,4-ジクロロアニリン、o-トルイジン、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、非イオン系界面活性剤、フェノール)が、何れかの調査媒体から検出された。調査結果の概要を物質(群)別に示せば、次のとおりである。 なお、下記の文章中、水質の単位「ppb」は「μg/L」、底質の単位「ppm」は「μg/g-dry」、魚類の単位「ppm」は「μg/g-wet」を意味している。 また、調査した物質によっては、今回の調査の統一検出限界値が前回より高くなっているものがあるが、それは主に測定方法の変更(例えば、測定機器をGC-ECDからGC/MS)等によるものであり、その反面信頼性が向上しているものが多い。 |
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1.ジブチルスズ化合物 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | ジブチルスズ化合物は、塩化ビニル及び塩化ビニルを主体とする共重合樹脂、塩化ビニルと塩化ビニル用変性樹脂のポリマーブレンド用の安定剤としての用途がある。平成9年度の生産量は8,351トン(有機スズ系安定剤総量として)である1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | ジブチルスズ化合物は、昭和58年度の一般環境調査の結果、水質からは検出されず、底質からは、25地点中2地点、75検体中3検体から検出され(検出限界値:水質0.1~0.4ppb、底質 0.01~0.044ppm)、昭和59年度には、水質及び魚類からは検出されず、底質からは、46地点中2地点、138検体中6検体から検出された(検出限界値:水質0.08~10ppb、底質 0.003~0.07ppm、魚類 0.003~0.05ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、ジブチルスズ化合物は、水質で13地点中8地点、39検体中20検体、底質で12地点中12地点、36検体中36検体で検出された。検出範囲は、水質で0.003~0.017ppb、底質で0.002~0.27ppmであった(統一検出限界値:水質0.0021ppb、底質 0.002ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、ジブチルスズ化合物は、水質及び底質から検出され、検出頻度が共に高いことから、今後より詳細な環境調査を行い、その推移を監視するとともに、情報収集に努めることが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○ジブチルスズ化合物の検出状況 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2.フェニルスズ化合物 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | フェニルスズ化合物は、トリフェニルスズ化合物の分解により非意図的に生成されるほか、過去に一部の化合物(オキソジフェニルスズ)は、ポリ塩化ビニルの安定剤としての用途があった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | フェニルスズ化合物は、平成元年度の一般環境調査の結果、水質からは、23地点中9地点、67検体中14検体、底質からは、19地点中11地点、55検体中28検体、魚類からは、18地点中11地点、54検体中28検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.03ppb、底質 0.015ppm、魚類 0.015ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、フェニルスズ化合物は、底質で46地点中14地点、134検体中31検体で検出され、水質では検出されなかった。検出範囲は、底質で0.016~0.76ppmであった(統一検出限界値:水質 0.01ppb、底質 0.016ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、フェニルスズ化合物は、前回の平成元年度調査と比べ検出頻度は減少傾向にあり、今回は底質でのみ検出された。今後は一定期間をおいて環境調査を行うとともに、情報収集に努めることが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○フェニルスズ化合物の検出状況 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3.ジフェニルスズ化合物 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | ジフェニルスズ化合物は、トリフェニルスズ化合物の分解により非意図的に生成されるほか、過去に一部の化合物(オキソジフェニルスズ)は、ポリ塩化ビニルの安定剤としての用途があった。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | ジフェニルスズ化合物は、平成元年度の一般環境調査の結果、水質からは、24地点中4地点、72検体中5検体、底質からは、19地点中13地点、53検体中31検体、魚類からは、20地点中17地点、59検体中48検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.06ppb、底質 0.005ppm、魚類 0.005ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、ジフェニルスズ化合物は、水質で45地点中6地点、133検体中12検体、底質で46地点中30地点、138検体中79検体で検出された。検出範囲は、水質で0.00037~0.0017ppb、底質で0.00079~0.21ppmであった(統一検出限界値:水質 0.0003ppb、底質0.00072ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、ジフェニルスズ化合物は、水質及び底質で検出され、底質からの検出頻度は高かった。また、検出濃度レベルは全体として減少傾向にあるが、今後は一定期間をおいて環境調査を行うとともに、情報収集に努めることが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○ジフェニルスズ化合物の検出状況 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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4.アニリン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | アニリンは、染料、媒染料、中間物(アニリンソルト、ジエチルアニリン、スルファニル酸、アセトアニリドなど)、ゴムの加硫促進剤、医薬品、有機合成、火薬原料、ペントースの検出試薬、鉄、クロム、鉛などの定量試薬としての用途がある1,2)。平成9年の生産量は249,579トンである1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | アニリンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質からは22地点中13地点、68検体中40検体、底質からは、22地点中15地点、68検体中48検体検出され(検出限界値:水質 0.02~0.2ppb、底質0.0008ppm)、平成2年度には、水質からは37地点中15地点、104検体中33検体、底質からは、39地点中28地点、116検体中81検体、魚類からは、30地点中10地点、89検体中27検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.02ppb、底質 0.002ppm、魚類0.001ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、アニリンは、水質で47地点中1地点、141検体中1検体、底質で43地点中36地点、120検体中95検体で検出された。検出範囲は、水質で0.074ppb、底質で0.0021~0.21ppmであった(統一検出限界値:水質0.06ppb、底質0.002ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、アニリンは、水質及び底質で検出され、底質からの検出頻度は高いことから、一定期間をおいて環境調査を行うことが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○アニリンの製造方法 アニリンはニトロベンゼンを鉄の微粉と塩素で還元蒸留、触媒を用いてニトロベンゼンを水素で還元、クロロベンゼンをアンモニアと加熱、あるいは、ベンゼンとアンモニアから触媒を用いて反応させて得られる1)。 |
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○アニリンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○アニリンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○アニリンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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5.4-エトキシアニリン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | 4-エトキシアニリンは、食品添加物、医薬品、各種染料、染料中間体製造用中間体としての用途がある1)。平成9年の輸入・生産量は1,000トン(推定)である1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | 4-エトキシアニリンは、昭和52年度の一般環境調査の結果、水質及び底質からは検出されず(検出限界値:水質 1~5ppb、底質 0.5~1.0ppm)、昭和60年度には、水質及び底質からは検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.05ppb、底質 0.005ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、4-エトキシアニリンは、水質で13地点中1地点、39検体中1検体で検出され、底質では検出されなかった。検出範囲は水質で0.36ppbであった。(統一検出限界値:水質 0.3ppb、底質 0.02ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、4-エトキシアニリンは、水質から検出されているが、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○4-エトキシアニリンの製造方法 4-エトキシアニリンは、p-ニトロフェネトールを水素で還元すること、又はニトロベンゼンとエタノールからマグネシウムと硫酸を用いて合成される1,13)。 |
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○4-エトキシアニリンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○4-エトキシアニリンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○4-エトキシアニリンの生態影響15) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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6.o-クロロアニリン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | o-クロロアニリンは、ファストイェローGベースとして知られ、ナフトール染料の中間体、3-ヒドロキシジフェニレンオキシドなどの原料、医薬及び農薬中間原料、樹脂架橋剤としての用途がある1)。平成9年の輸入・生産量は500トン(推定)である1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | o-クロロアニリンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、魚類からは検出されず、水質からは38地点中5地点、120検体中12検体、底質からは、39地点中12地点、113検体29検体から検出され(検出限界値:水質 0.02~100ppb、底質 0.0003~1.0ppm、魚類 1.0ppm)、平成2年度には、水質からは26地点中4地点、78検体中7検体、底質からは、22地点中10地点、64検体中25検体、魚類からは24地点中1地点、72検体中2検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.02ppb、底質 0.003ppm、魚類 0.001ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、o-クロロアニリンは、底質で45地点中7地点、133検体中17検体で検出され、水質では検出されなかった。検出範囲は、底質で0.0051~0.056ppmであった(統一検出限界値:水質 0.09ppb、底質 0.005ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、o-クロロアニリンは、底質から検出されているが、底質での検出頻度は低いことから、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。しかし、生態影響については、より詳細な情報を引き続き収集することが必要である。 *生態影響に関する評価は、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)=0.0003mg/Lから判断されたものである。 |
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【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○o-クロロアニリンの製造方法 o-クロロアニリンは、o-ニトロクロロベンゼンをギ酸と鉄粉で還元することにより合成される1)。 |
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○o-クロロアニリンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○o-クロロアニリンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○o-クロロアニリンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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7.m-クロロアニリン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | m-クロロアニリンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、魚類からは検出されず、水質からは40地点中4地点、128検体中10検体、底質からは、41地点中12地点、121検体34検体から検出され(検出限界値:水質 0.04~100ppb、底質 0.0001~1.2ppm、魚類 1.0ppm)、平成2年度には、魚類からは検出されず、水質からは15地点中2地点、45検体中3検体、底質からは、15地点中10地点、43検体中24検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.02ppb、底質 0.003ppm、魚類 0.002ppm)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | 今回の調査の結果、m-クロロアニリンは、底質で44地点中5地点、130検体中11検体で検出され、水質では検出されなかった。検出範囲は底質で0.0046~0.022ppmであった。(統一検出限界値:水質 0.11ppb、底質 0.0045ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 以上の調査結果によれば、m-クロロアニリンは、底質から検出されているが、底質での検出頻度は低いことから、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。しかし、生態影響については、より詳細な情報を引き続き収集することが必要である。 *生態影響に関する評価は、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)=0.001mg/Lから判断されたものである。 |
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【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○m-クロロアニリンの製造方法 m-クロロアニリンは、m-ニトロクロロベンゼンを還元することにより合成される13)。 |
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○m-クロロアニリンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○m-クロロアニリンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○m-クロロアニリンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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8.p-クロロアニリン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | p-クロロアニリンは、染料中間体としての用途がある24)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | p-クロロアニリンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、魚類からは検出されず、水質からは40地点中5地点、128検体中9検体、底質からは、41地点中12地点、121検体39検体から検出され(検出限界値:水質 0.02~100ppb、底質 0.0005~1.2ppm、魚類 1.0ppm)、平成2年度には、水質及び魚類からは検出されず、底質からは、15地点中7地点、42検体中15検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.05ppb、底質 0.008ppm、魚類 0.005ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、p-クロロアニリンは、底質で45地点中9地点、135検体中24検体で検出され、水質では検出されなかった。検出範囲は底質で0.0053~0.020ppmであった。(統一検出限界値:水質 0.07ppb、底質 0.0053ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、p-クロロアニリンは、底質から検出されているが、底質での検出頻度は低いことから、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。しかし、生態影響については、より詳細な情報を引き続き収集することが必要である。 *生態影響に関する評価は、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)=0.0001mg/Lから判断されたものである。 |
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【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○p-クロロアニリンの製造方法 p-クロロアニリンは、p-クロロニトロベンゼンを鉄粉と塩酸で還元することにより合成される24)。 |
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○p-クロロアニリンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○p-クロロアニリンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○p-クロロアニリンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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9.2,4-ジクロロアニリン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | 2,4-ジクロロアニリンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質からは24地点中4地点、68検体中7検体、底質からは、22地点中7地点、68検体中12検体から検出された(検出限界値:水質 0.02~0.3ppb、底質 0.0005~0.001ppm)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | 今回の調査の結果、2,4-ジクロロアニリンは、水質及び底質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.07ppb、底質 0.008ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 以上の調査結果により、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○2,4-ジクロロアニリンの製造方法 2,4-ジクロロアニリンは、m-ジクロロベンゼンのニトロ化により製造することが推定される。 |
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○2,4-ジクロロアニリンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○2,4-ジクロロアニリンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○2,4-ジクロロアニリンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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10.2,5-ジクロロアニリン | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | 2,5-ジクロロアニリンは、塗料、顔料の中間体としての用途がある1)。平成9年の輸入・生産量は200トン(推定)である1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | 2,5-ジクロロアニリンは、昭和59年度の一般環境調査の結果、水質からは検出されず、底質からは、6地点中1地点、18検体中1検体から検出された(検出限界値:水質 0.05~0.1ppb、底質 0.0006~0.012ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、2,5-ジクロロアニリンは、底質で12地点中1地点、36検体中1検体で検出され、水質では検出されなかった。検出値は底質で0.010ppmであった。(統一検出限界値:水質 0.07ppb、底質 0.005ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、2,5-ジクロロアニリンは、底質から検出されているが、底質での検出頻度は低いことから、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。しかし、生態影響については、より詳細な情報を引き続き収集することが必要である。 *生態影響に関する評価は、生態毒性の情報から判断されたものである。 |
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【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○2,5-ジクロロアニリンの製造方法 2,5-ジクロロアニリンは、p-ジクロロベンゼンをニトロ化し、さらに還元することにより合成される1)。 |
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○2,5-ジクロロアニリンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○2,5-ジクロロアニリンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○2,5-ジクロロアニリンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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11.3,4-ジクロロアニリン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | 3,4-ジクロロアニリンは、染料中間体及び農薬原料としての用途がある1)。平成9年の輸入・生産量は500トン(推定)である1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | 3,4-ジクロロアニリンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質からは24地点中2地点、68検体中4検体、底質からは、22地点中10地点、68検体中31検体から検出(検出限界値:水質 0.04~0.3ppb、底質 0.0008~0.003ppm)、昭和59年度には、水質からは検出されず、底質からは、6地点中1地点、18検体中1検体から検出された(検出限界値:水質 0.03~0.1ppb、底質 0.0003~0.012ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、3,4-ジクロロアニリンは、底質で13地点中2地点、39検体中4検体で検出され、水質では検出されなかった。検出範囲は底質で0.012~0.015ppmであった(統一検出限界値:水質 0.09ppb、底質 0.01ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、3,4-ジクロロアニリンは、底質から検出されているが、底質での検出頻度は低いことから、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。しかし、生態影響については、より詳細な情報を引き続き収集することが必要である。 *生態影響に関する評価は、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)=0.00002mg/Lから判断されたものである。 |
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【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○3,4-ジクロロアニリンの製造方法 3,4-ジクロロアニリンは、o-ジクロロベンゼンをニトロ化し、さらに還元して、又はp-クロロアニリンを塩素化することにより合成される1,13)。 |
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○3,4-ジクロロアニリンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○3,4-ジクロロアニリンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○3,4-ジクロロアニリンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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12.o-トルイジン | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | o-トルイジンは、アゾ系及び硫化系染料、顔料原料、有機合成、溶剤としての用途がある1,41)。平成9年の輸入量は599トンである1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | o-トルイジンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質からは22地点中4地点、68検体中8検体、底質からは、22地点中11地点、68検体中27検体から検出された(検出限界値:水質 0.1~0.6ppb、底質 0.002~0.012ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、o-トルイジンは、底質で12地点中3地点、36検体中7検体で検出され、水質では検出されなかった。検出範囲は底質で0.054~0.074ppmであった(統一検出限界値:水質 0.08ppb、底質 0.0043ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、o-トルイジンは、底質から検出されているが、検出頻度及び濃度レベルから考えて、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○o-トルイジンの製造方法 o-トルイジンは、o-ニトロトルエンを鉄と塩酸で還元することにより合成される1,42)。 |
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○o-トルイジンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○o-トルイジンの急性毒性等試験結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○o-トルイジンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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13.m-トルイジン | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | m-トルイジンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質からは22地点中3地点、68検体中4検体、底質からは、22地点中12地点、68検体中32検体から検出された(検出限界値:水質 0.08~0.2ppb、底質 0.001~0.004ppm)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | 今回の調査の結果、m-トルイジンは、水質及び底質で検出されなかった。(統一検出限界値:水質 0.2ppb、底質 0.01ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 以上の調査結果より、想定される濃度レベルから考えて、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○m-トルイジンの製造方法 m-トルイジンは、m-ニトロトルエンを鉄と塩酸で還元することにより合成される1,42)。 |
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○m-トルイジンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○m-トルイジンの急性毒性等試験結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○m-トルイジンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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14.p-トルイジン | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | p-トルイジンは、有機合成原料、染料製造用の特殊溶剤としての用途がある1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | p-トルイジンは、昭和51年度の一般環境調査の結果、水質からは22地点中6地点、68検体中11検体、底質からは、22地点中14地点、68検体中35検体から検出された(検出限界値:水質 0.02~0.2ppb、底質 0.0004~0.0008ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、p-トルイジンは、水質及び底質で検出されなかった。(統一検出限界値:水質 0.09ppb、底質 0.007ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果より、想定される濃度レベルから考えて、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○p-トルイジンの製造方法 p-トルイジンは、p-ニトロトルエンを鉄と塩酸で還元することにより合成される1)。 |
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○p-トルイジンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○p-トルイジンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○p-トルイジンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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15.アクリルアミド | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | アクリルアミドは、凝集剤、土壌改良剤、繊維の改質及び樹脂加工、紙力増強剤、接着剤、塗料、石油回収剤の原料、サイジング剤、トリリングマッド添加剤、セメントスラリー添加剤としての用途がある1,41)。平成9年の輸入・生産量は56,500トンである1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | アクリルアミドは、昭和50年度の一般環境調査の結果、水質からは検出されず(検出限界値:1ppm)、平成3年度には、魚類からは検出されず、水質からは、51地点中5地点、153検体中11検体、底質からは、50地点中7地点、150検体中20検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.05ppb、底質 0.0005ppm、魚類 0.0013ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、アクリルアミドは、水質及び底質で検出されなかった。(統一検出限界値:水質 0.15ppb、底質 0.009ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果より、想定される濃度レベルから考えて、分析方法の改良を行い、再度環境調査を行うことが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○アクリルアミドの製造方法 アクリルアミドは、アクリロニトリルを硫酸に注加し溶媒抽出する、アクリロニトリルと水から触媒を用いる、又はアクリロニトリルを酵素を用いて水和することにより合成する1)。 |
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○アクリルアミドの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○アクリルアミドの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○アクリルアミドの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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16.ピリジン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | ピリジンは、ゴム・塗料工業の塩基性溶剤、工業原料、エタノールの変性、分析用試薬、医薬(スルホンアミド剤、抗ヒスタミン剤、鎮静剤)、無水金属塩の溶剤及び反応媒介剤、界面活性剤、加硫促進剤としての用途がある1,42)。平成9年の生産量は4,000トン(推定)である1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | ピリジンは、昭和55年度の一般環境調査の結果、水質からは3地点中1地点、9検体中2検体、底質からは、3地点中2地点、9検体中6検体から検出され(検出限界値:水質 0.1~0.2ppb、底質 0.002~0.01ppm)、平成3年度には、水質からは、12地点中2地点、 36検体中7地点、39検体中19検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.1ppb、底質 0.005ppm、魚類 0.003ppm)。6検体、底質からは、13地点中6地点、39検体中18検体、魚類からは、13地点中7地点、39検体中19検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.1ppb、底質 0.005ppm、魚類 0.003ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、ピリジンは、水質で11地点中2地点、33検体中6検体、底質で11地点中2地点、33検体中6検体で検出された。検出範囲は、水質で0.29~0.41ppb、底質で0.013~0.019ppmであった(統一検出限界値:水質 0.1ppb、底質 0.0092ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、ピリジンは水質及び底質から検出されているものの、その検出頻度は低かった。しかし、複数媒体から検出されていることから、今後一定期間をおいて環境調査を行うことが望ましい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○ピリジンの製造方法 ピリジンは、アセトアルデヒドとアンモニアより、あるいはアンモニアとアセチレンより合成される1)。 |
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○ピリジンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○ピリジンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○ピリジンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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17.N,N-ジメチルホルムアミド | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | N,N-ジメチルホルムアミドは、人工皮革またはウレタン系合成皮革、スパンデックス繊維、分析化学用、医、農薬品・染料中間体合成用の溶剤、各種ポリマー溶媒、ガス吸収剤、色素の溶剤としての用途がある1,2,70)。平成9年の生産量は36,000トン(推定)である1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | N,N-ジメチルホルムアミドは、昭和53年度の一般環境調査の結果、水質及び底質からは検出されず(検出限界値:水質 10~50ppb、底質 0.1~0.3ppm)、平成3年度には、水質からは、16地点中7地点、48検体中18検体、底質からは、16地点中3地点、48検体中9検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.1ppb、底質 0.013ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、N,N-ジメチルホルムアミドは、水質で12地点中2地点、36検体中5検体、底質で12地点中4地点、36検体中10検体で検出された。検出範囲は、水質で0.08~0.11ppb、底質で0.0033~0.03ppmであった(統一検出限界値:水質 0.07ppb、底質 0.003ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、N,N-ジメチルホルムアミドは、水質及び底質から検出されているものの、検出レベルは平成3年度調査に比べ減少傾向にある。しかし、生産量が多く、複数媒体で検出されていることから、生産・使用動向を見ながら、今後一定期間をおいて環境調査を行うことが望ましい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○N,N-ジメチルホルムアミドの製造方法 N,N-ジメチルホルムアミドは、ジメチルアミンと一酸化炭素との反応、またはジメチルアミンとギ酸メチルとの反応により合成される1)。 |
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○N,N-ジメチルホルムアミドの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○N,N-ジメチルホルムアミドの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○N,N-ジメチルホルムアミドの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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18.N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド | ||||||||||||||||||||
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(1) | N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、有機ゴムの加硫促進剤の用途がある1)。 | ||||||||||||||||||
(2) | 今回の調査の結果、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、水質及び底質で検出されなかった。(統一検出限界値:水質 0.1ppb、底質 0.0047ppm)。 | |||||||||||||||||||
(3) | 以上の調査結果より、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||
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○N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの製造方法 N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、2-メルカプトベンゾチアゾールとt-ブチルアミンとを酸化剤の存在下で反応させて製造される1)。 |
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○N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの検出状況 | ||||||||||||||||||||
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○N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||
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19.N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、ゴムの加硫促進剤としての用途がある1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、昭和52年度の一般環境調査の結果、水質及び底出からは検出されなかった(検出限界値:水質 0.02~0.08ppb、底質 0.0023~0.02ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、水質及び底質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.21ppb、底質 0.01ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果より、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの製造方法 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、2-メルカプトベンゾチアゾールとシクロヘキシルアミンを反応させることにより合成される1)。 |
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○N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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○N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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20.N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド | ||||||||||||||||||||
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(1) | N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、ゴムの加硫促進剤としての用途がある(推定)。 | ||||||||||||||||||
(2) | 今回の調査の結果、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、水質及び底質で検出されなかった(統一検出限界値:水質 0.3ppb、底質 0.01ppm)。 | |||||||||||||||||||
(3) | 以上の調査結果より、現時点では特に問題を示唆するものではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||
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○N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの製造方法 N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、2-メルカプトベンゾチアゾールとシクロヘキシルアミンを反応させることにより合成される(推定)。 |
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○N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの検出状況 | ||||||||||||||||||||
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○N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||
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21.ベンゾチオフェン | ||||||||||||||||||||||||||
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(1) | ベンゾチオフェンは、医薬製造原料、チオインジゴ製造の中間体としての用途がある13)。 | ||||||||||||||||||||||||
(2) | 今回の調査の結果、ベンゾチオフェンジは、底質で12地点中4地点、36検体中11検体で検出され、水質及び魚類では検出されなかった。検出範囲は底質で0.0023~0.023ppmであった(統一検出限界値:水質 0.05ppb、底質 0.002ppm、魚類 0.001ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||
(3) | 以上の調査結果によれば、ベンゾチオフェンは、底質から検出され検出頻度がやや高いことから、今後一定期間をおいて環境調査を行うとともに、情報収集に努めることが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||
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○ベンゾチオフェンの製造方法 ベンゾチオフェンは、スチレンまたはエチルベンゼンと硫化水素との反応により合成される13)。 |
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○ベンゾチオフェンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||
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○ベンゾチオフェンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||
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○2,5-ジクロロアニリンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||
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22.ジベンゾチオフェン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | ジベンゾチオフェンは、化粧品、医薬品の中間体としての用途がある78)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | ジベンゾチオフェンは、昭和58年度の一般環境調査の結果、水質からは検出されず、底質からは、15地点中2地点、45検体中6検体から検出された(検出限界値:水質 0.05~0.1ppb、底質 0.001~0.007ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、ジベンゾチオフェンは、底質で13地点中10地点、39検体中28検体、魚類で13地点中5地点、39検体中15検体で検出され、水質では検出されなかった。検出範囲は底質で0.0022~0.14ppm、魚類で0.00071~0.013ppmであった(統一検出限界値:水質 0.02ppb、底質 0.0021ppm、魚類 0.00034ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、ジベンゾチオフェンは底質及び魚類から検出され、底質では検出頻度が高く、魚類でもやや高いことから、より詳細な環境調査を行うとともに情報収集に努めることが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○ジベンゾチオフェンの製造方法 ジベンゾチオフェンは、硫化フェニルを赤熱管中を通すか、または2,2-ジフェノールを五硫化リンと共に加熱することにより合成される78)。 |
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○ジベンゾチオフェンの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○ジベンゾチオフェンの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○ジベンゾチオフェンの生態影響 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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23.非イオン系界面活性剤 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | 非イオン系界面活性剤は、昭和57年度の一般環境調査の結果、水質からは24地点中8地点、72検体中17検体、底質からは24地点中22地点、72検体中54検体から検出された(検出限界値:水質3~10ppb、底質 0.1~0.2ppm)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | 今回の調査の結果、非イオン系界面活性剤は、水質では15地点中3地点、45検体中7検体、底質では14地点中10地点、42検体中29検体から検出された。検出範囲は、水質で3.5~22ppb、底質で0.0086~12ppmであった(統一検出限界値:水質 3ppb、底質 0.082ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 以上の調査結果によれば、非イオン系界面活性剤は、水質及び底質で検出され、底質で検出頻度が高いことから、今後成分別の分析方法の開発を検討し、より詳細な環境調査を行うことが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考:主な非イオン系界面活性剤 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○非イオン系界面活性剤の検出状況 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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24.フェノール | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(1) | フェノールは、ビスフェノールA、アニリン、2,6-キシレノール、フェノール樹脂(フェノール、ホルムアルデヒド樹脂)、消毒剤、歯科用局部麻酔剤、ピクリン酸、サリチル酸、フェナセチン、染料中間体、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-DA)、合成香料、農薬、安定剤、可塑剤、界面活性剤の原料としての用途がある1)。平成9年の生産量は832,731トンである1)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2) | フェノールは、昭和52年度の一般環境調査の結果、水質からは検出されず、底質からは、3地点中1地点、9検体中3検体から検出され(検出限界値:水質 0.2~10ppb、底質 0.01~0.1ppm)、平成8年度には、水質からは、46地点中34地点、136検体中76検体、底質からは、49地点中45地点、129検体中110検体、魚類からは、45地点中27地点、133検体中63検体から検出された(統一検出限界値:水質 0.03ppb、底質 0.0054ppm、魚類 0.02ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(3) | 今回の調査の結果、フェノールは、水質で10地点中5地点、30検体中15検体、底質で10地点中8地点、29検体中23検体、魚類で11地点中8地点、30検体中16検体で検出された。検出範囲は、水質で0.066~0.70ppb、底質で0.012~0.50ppm、魚類で0.024~0.062ppmであった(統一検出限界値:水質 0.03ppb、底質 0.0054ppm、魚類 0.02ppm)。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(4) | 以上の調査結果によれば、フェノールは、水質、底質及び魚類の全ての媒体から検出され、検出頻度も高く、前回の平成8年度調査と同様の傾向を示していることから、今後詳細な環境調査を行い、併せてリスク評価を行うことが必要である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【 参 考 】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○フェノールの製造法 ベンゼンとプロピレンより、酸性触媒を用いたキュメンをつくり、キュメンを空気酸化して、キュメンヒドロキシペルオキシドとし、これを硫酸存在下分解して、フェノールとアセトンを生成し分離する1)。 |
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○フェノールの検出状況 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○フェノールの急性毒性試験等結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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○フェノールの生態影響等結果11,109) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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