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ま え が き



 現在、我が国では約5万種の化学物質が流通していると言われ、化学物質の持つ様々な有用性は私たちの生活を豊かにしてきました。
 これらの化学物質のなかには、環境中に放出され人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがあり、化学物質による環境汚染としてこれまでしばしば社会問題化してきました。また、近年、化学物質の種類や、生産・輸入量は増加傾向にあり、化学物質による環境への影響は、多様化、複雑化しつつあると考えられています。
 このような状況のもとで化学物質安全対策を適切に進めていくには、化学物質による人の健康や生態系に好ましくない影響を生じさせるおそれ、即ち 「環境リスク」 をできるかぎり定量的に評価し、その結果に基づきこの「環境リスク」を総体として低減させる対策を検討すること等が必要であると考えられており、この基本的な考え方に基づき、化学物質安全対策を円滑に進めるため、平成9年4月に環境安全課に環境リスク評価室が設置されました。
 環境安全課では、旧保健調査室時代を含めて昭和49年以来、一般環境中における化学物質の残留状況を継続して調査し、その結果などを 「化学物質と環境」 として公表してきており、平成9年版「化学物質と環境」は、平成元年度より開始された第2次化学物質環境安全性総点検調査などのうち、専門委員会において、検討・評価された平成8年度調査の結果を中心に構成されています。これらは、化学物質の「環境リスク」の評価等を行う上で基礎となる情報を提供するものの一つと考えています。
 最後に、本誌に収録された調査にご協力いただいた多くの試験研究機関や研究者の皆様に深く感謝の意を表するとともに、本誌が関係者各位に活用され我が国の環境保全に役立てていただけることを念願いたします。




平成10年1月

環境庁企画調整局

環境保健部環境安全課