1995年度 水質・底質モニタリング調査結果の概要
分析法等の概略
(1) 試料の採取
(2) 試料の前処理及び試験液の調製
(3) GC/MS/SIM分析
(ア) GC/MS装置のパフォーマンステスト
(イ)GC/MS測定条件
(ウ) 定量
(エ) 精度、正確度のチェック
(4) 検出限界目標値
(参考)
試料の前処理及び試験液の調製法(ジクロロベンゼン類以外)
〃 〃 〃 (ジクロロベンゼン類)
代表的測定質量数
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(1) 試料の採取
各調査地点で、原則として秋期に水質及び底質各1検体を採取した。採取方法は「水
質・底質モニタリング調査マニュアル(1991年版)」(平成3年7月環境庁保健調査室、
以下「マニュアル」という。)に基づいて操作した。なお、精度管理のため、分析操
作に先立って均一化した試料を二分し、分析試料A、Bとして調製した。分析の結果、
A、Bの数値の差が許容範囲を超える場合は分析をやり直した。
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(2) 試料の前処理及び試験液の調製
試料の前処理及び試験液の調製は、原則として参考に示す方法に基づいて行った。
なお、分析試料には溶媒ブランクを含むこととした。
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(3) GC/MS/SIM分析
(ア) GC/MS装置のパフォーマンステスト
分析開始前に、GC/MS装置が期待される性能を保っているかをテストするた
め、調査対象物質等を含む標準溶液を作成し、GCに導入して分離度等を確認した。
また、MS装置については、マニュアルに示したDFTPP(デカフルオロトリ
フェニルホスフィン)を用いた管理チェックを行った。
(イ)GC/MS測定条件
参考に示す質量数で測定した。
(ウ) 定量
定量は、分析対象物質のサロゲート化合物あるいは内標準物質に対する相対感
度係数(RF値)を用いて行った。
5段階以上の濃度でRF値を求め、その相対標準偏差が20%未満ならば、平均
RF値を用いて試料中の対象物質を定量した。日毎のRF値の変化は、±20%を
超えてはならず、1日のドリフトは±15%以内とした。
なお、サロゲート化合物を用いた同位体希釈法により定量した物質は、HCB、
ジクロロベンゼン類、ターフェニル類、BHT及びベンゾ[a]ピレンの計9物質で
ある。それ以外の11物質は、内標準法により定量した。
(エ) 精度、正確度のチェック
クロスチェック用の未知サンプルを使用した。
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(4) 検出限界目標値
水質については0.01ppb、底質については1ppbとした。
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(参考)
試料の前処理及び試験液の調製法(ジクロロベンゼン類以外)
水質試料(1L) 底質試料(50g、湿泥)
│ │
├──────HCB-13C6─────────┤
├──────p-ターフェニル-d4 ──────┤
├────── BHT-d21 ─────────┤
├──────B[a]P-d12 ─────────┤
NaCl 50g│ ┌─アセトニトリル抽出(50ml、振とう10min
(海水は20g)│ 3回│ │ 超音波10min)
ヘキサン抽出(50ml×2回、各10min) └─遠心分離(3000rpm、10min)
│ ├──ヘキサン、飽和後10ml追加
│ 振とう(アセトニトリル分配、5min)
│ ┌─────┤
│ ヘキサン層 アセトニトリル層
脱水(無水Na2SO4) │ │
│ (20ml、10min) 5%含水アセトニトリル抽出│
減圧KD濃縮、1ml (20ml 10min) │
│ ┌──┴─┐ │
5%含水シリカゲルカラム ヘキサン層 アセト │
クロマトグラフィー (廃棄) ニトリル層─┤
(10mm i.d.、1g) ├──5%NaCl、500ml
┌───┴───┐ ヘキサン抽出(50ml、10min)
ヘキサン20ml 10%アセトン-ヘキサン20ml ┌───┴──┐
└───┬───┘ ヘキサン層 水層
減圧KD濃縮、1ml │ │
│ 水洗(5%NaCl、20l) │
├─ナフタレン-d8 ┌──┴──水層──┤
├─フルオラテン-d10 ヘキサン層 ヘキサン抽出(50ml、10min)
├─(ペリレン-d12 ) │ ┌──┴───┐
│ │ ヘキサン層 水層(廃棄)
GC/MS/SIM │ │
│ 水洗(5%NaCl、20ml)
└──────┤
脱水(無水Na2SO4)
│
減圧KD濃縮、1ml
│
5%含水シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(10mm i.d.、5g)
┌──────────┬─────────┤
Fr.1 Fr.2 Fr.3
ヘキサン、20ml 1%アセトン含有ヘキサン、 10%アセトン含有ヘキサン、40ml
│ │ 50ml │
│ │ 減圧KD濃縮、1ml
│ │ │
│ │ 活性炭カラムクロマトグラフィー
│ │ (2.5%活性炭含有無水Na2SO4、10g、10mm i.d.)
│ │ 30%アセトン含有ヘキサン、20ml
└──────────┼─────────┘
減圧KD濃縮、1ml
│
├─ ナフタレン-d8
├─ フルオラテン-d10
├─ (ペリレン-d12 )
│
GC/MS/SIM
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試料の前処理及び試験液の調製法(ジクロロベンゼン類)
底質試料(50g、湿泥) 水質試料(500ml)
│ │
├─精製水 500ml │
├─10%CuSO4 50ml │
└────────────────┤
│
├ o-ジクロロベンゼン-d4
├ 沸石
├ ヘキサン 5ml
│
│
循環式水蒸気蒸留、1時間
│
脱水(無水Na2SO4)
│
濃縮1ml
│
├ (ナフタレン-d8)
│
│
GC/MS/SIM
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代表的測定質量数
┌────────────────────────────┐
│ m/z 化 合 物 名 │
├────────────────────────────┤
│ 146,148 o、m、p-ジクロロベンゼン │
│ 181,219 α-、β-HCH │
│ 284,286 HCB │
│ 230 o、m、p-ターフェニル │
│ 373,375 trans-、cis-クロルデン │
│ 407,409 trans-、cis-ノナクロル │
│ 263,277 ディルドリン │
│ 318,246 p,p'-DDE │
│ 235,165 p,p'-DDD、p,p'-DDT │
│ 205 BHT │
│ 252 ベンゾ[a]ピレン │
│ サロゲート化合物(同位体希釈法用の標準物質) │
│ 150,152 o-ジクロロベンゼン-d4 │
│ 290,292 HCB-13C6 │
│ 244 p-ターフェニル-d14 │
│ 222 BHT-d21 │
│ 264 ベンゾ[a]ピレン-d12 │
│ 内標準物質 │
│ 136 ナフタレン-d8 │
│ 212 フルオランテン-d10 │
│ 264 ペリレン-d12 │
└────────────────────────────┘