化学物質対策の国際的動向

化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)
    1.会議の開催
    2.「化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)」
        の設立
    3.化学物質の環境上適正な管理のための行動
    4.IFCSの活動

(参考1)「化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)」について

(参考2)「アジェンダ21第19章の実施についてのディスカッションペーパー」
    序  文
    プログラム分野A:化学的リスクの国際的なアセスメントの拡大及び促進
          〃      B:化学物質の分類と表示の調和
          〃      C:有害化学物質及び化学的リスクに関する情報交換
          〃      D:リスク低減計画の策定
          〃      E:化学物質管理に関する国レベルでの対処能力の強化
          〃      F:有害及び危険な製品の不法な国際取引の防止

(参考3)「化学物質の環境上適正な管理の実施のために優先的に取り組むべき行動に関
          する決議」より

    プログラム分野A:化学的リスクの国際的なアセスメントの拡大及び促進
          〃      B:化学物質の分類と表示の調和
          〃      C:有害化学物質及び化学的リスクに関する情報交換
          〃      D:リスク低減計画の策定
          〃      E:化学物質管理に関する国レベルでの対処能力の強化

transparent.gif                                                              [IFCS]の索引へ
化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)

  アジェンダ21の採択を受けて、1994年(平成6年)4月にストックホルムにおいて、「化学
物質の安全性に関する国際会議(ICCS)」が開催された。ここで、アジェンダ21第19
章「有害かつ危険な製品の不法な国際取り引きの防止を含む有害化学物質の環境上適正な
管理」の実施のための議論がされ、「化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IF
CS)」の設立に至った。

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1.会議の開催

    1994年(平成6年)4月25~29日の5日間にわたり、スウェーデンのストックホルムで、我
  が国を含む 114ヶ国の代表、各種国連機関等の国際機関、民間団体(NGO)の参加に
  より開催された。なお会議は、スウェーデン政府の招待の下で、国連環境計画(UNE
  P)、 国際労働機関(ILO)、世界保健機関(WHO)の事務局長によって召集された
  ものである。

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2.「化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)」の設立

    1992年(平成4年)の「環境と開発のための国連会議(UNCED)」では、アジェンダ
  21 第19章に定める、有害化学物質の環境上適正な管理に関する6つのプログラム分野で
  の国際協力の重要性が強調されている。また、UNCEDの準備過程の一環で、化学物
  質のリスクアセスメント及び管理のための政府間機構の必要性を検討する専門家会合が
  1991年(平成3年)12月16~19日にロンドンで開催されており、化学物質の安全性に関する
  政府間フォーラムの創設を含めた一連の勧告がされたが、これらの勧告について、さら
  に考察し行動を起こすための政府間会合を開催するよう、UNCEDの場でUNEP、
  ILO及びWHOに要請がされていた。
    こういった状況を踏まえて開催された本会議では、「化学物質の安全性に関する政府
  間フォ  ーラム(IFCS)」の設立の必要性等が議論され(参考1)、その設立が正式
  に決議された。
  なお、IFCSに委任される事項は、以下のとおりとされている。

 (1)化学物質の安全性に対する共同行動の優先順位を明らかにし助言し、適切な範囲で、
    化学物質の労働環境の暴露を含むハザード同定及びリスクアセスメント、環境上適正
    な化学物質の管理のための協調した国際戦略を勧告する。これには、特に開発途上国
    での高い必要性を考慮したリスク削減計画、リスク伝達が含まれる。
 (2)化学物質の安全性の分野で、活動的な国内、地域及び国際団体による協力の確保に助
    力し、この分野での努力が団体間で重複しないようにする。
 (3)国内の調整メカニズムの強化とともに、特にインフラの整備、訓練、教育、研究及び
    モニタリング、情報提供に関連した化学物質管理の国内の能力の強化を促進する。
 (4)化学物質の調和した分類及びラベル表示の国際的な合意及び遂行を促す。
 (5)科学知識のギャップを明らかにすることに助力し、訓練や教育、技術移転を含む情報
    交換及び科学・技術協力を促進する。
 (6)化学物質の安全性に関して勧告された国際戦略の実施について、現在行われている活
    動の効果を定期的に再検討し、さらに進んだ活動についての勧告を行い、必要な範囲
    で、フォローアップのメカニズムの強化又は創設を助言する。
 (7)政府に対し、化学物質の安全性に関する作業について、特に法制面に言及して助言し、
    政府機関、政府間機関及び非政府機関の相互の協力を促進する。また、これらの機関
    とその他の国連内外の団体との間の仕事を、適正に、かつできるだけ明瞭で整合性の
    ある方法で分担するよう奨励する。
 (8)主要産業の事故を含む化学物質による事故の防止、対策、対応について、国際協力を
    促進する。
 (9)化学物質による中毒の予防及び対応に関するプログラムの強化を促進する。
(10)参加国の政府の承認によって、フォーラムの意図及び目的に沿った上記以外の任務を
    遂行する。

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3.化学物質の環境上適正な管理のための行動
    さらに会議では、アジェンダ21 第19章の実施に向けて、以下の6つのプログラムのそ
  れぞれについて、優先的に取り組むべき行動が議論され(参考2)、その結果、優先的
  に取り組むべ  き行動に関する決議がされた(参考3)。

 (1)化学的リスクの国際的なアセスメントの拡大及び促進
 (2)化学物質の分類と表示の調和
 (3)有害化学物質及び化学的リスクに関する情報交換
 (4)リスク低減計画の策定
 (5)化学物質の管理に関する国レベルでの対処能力の強化
 (6)有害及び危険な製品の不法な国際取引の防止

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4.IFCSの活動
    IFCSは、本会議と会期間会合(ISG)から構成されている。本会議は3年に1回
  開催されることとされており、次回は1997年2月カナダのオタワで開催される。この間に
  会期間会合が2回開催されることとされており、1回目は1995年3月にブリュッセルで開催
  され、2回目は1996年3月にキャンベラで開催された。


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(参考1)「化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)」について
                        (ICCS会議資料(IPCS/ICCS/94.2)より抜粋)

政府間フォーラムの必要性

17  国連の「国際化学物質安全性計画(IPCS)」は、1992年秋に、アジェンダ21 第19
  章の6つのプログラム分野に関する国際、地域的組織の活動について調査を行った。1993
  年1月に出された仮結果によると、11の国際、地域的団体が6つのプログラム分野に関連
  する作業を行っており、31の共同プログラムが進行中であることがわかった。すべて合
  わせて 225のプロジェクト分野が報告された。
18  この数字は、化学物質の安全性の分野で多くの作業が進められていることを示してお
  り、調査をさらに詳しく検証すると、興味の範囲は非常に大きく、社会の多くの部分が
  関わっていることがわかる。さらにこの調査は、ロンドン会合(「環境と開発のための
  国連会議(UNCED)」に先がけた1991年12月の化学物質に関する政府間の専門家会
  合)のディスカッションペーパーの言葉を再確認している。それは、化学物質のリスク
  評価と管理のための国際的活動全体が今や非常に複雑であり、全体のシステムを理解す
  るものは専門家を含めてもわずかしかいないということである。
19  政府と化学物質の安全性に関する活動を行う様々な国際団体の間の、より緊密で直接
  的な接触によって、成果を最大限に利用するとともに、関連するプロジェクトに政府が
  参加する機会を増やすことができる。
20  ロンドン会合で提出されたディスカッションペーパーには、政府間機構、すなわち国
  の政府によって直接任命された代表者によって運営される機構の必要性について、2つ
  の基本的理由が記されている。
  (i) 国の関心が、化学物質の安全性は多くの問題の1つでしかすぎない政府機関や組織
    によって間接的に表明されるより、このような機構への参加で直接的に表明される方
    が、より効果的である。
 (ii) ここで行われる調整には、国内での作業とともに国際的な作業が含まれる。
21  化学物質の安全性の分野に関しては、これから先あまり遠くない将来までは、アジェ
  ンダ21、特に第19章の実施に優位が置かれる。これは、政府の第一の、そして真っ先の
  任務である。実施を成功させるには、国の戦略、計画、政策、そしてプロセスが非常に
  重要である。また、国際協力が国の努力を支援し、補完するべきである。国連内外の国
  際、地域、小地域的な組織・団体も貢献すべきである。できるだけ多くの国民の参加と
  NGOその他の団体の積極的な参加も奨励されるべきである。
22  これらを達成するためには、すでに築かれた方法や道に加えて、新たな手段が利用さ
  れるべきである。政府同士の幅広い、そして直接的な接触も必要である。各国の代表者
  の発表に基づいた必要性、機会、優先順位について、関係するすべての団体間で論議さ
  れなければならない。
    もちろんこのような討論は、疑いなく相互交流であり、新しい方法を見いだし、新た
  な機知に活力を与えるものである。
23  先に示したような国際活動への国の参加には、国内における化学物質の安全性を促進
  するための努力に向けた多大な協力と有効な調整が必要となる。このような国の方向付
  けの重要性は、アジェンダ21やロンドン会合でも表明されている。
24  ロンドン会合で提案された政府間フォーラムの設立は、次のような可能性を高める。
  -特に開発途上国の格段の必要性を考慮に入れて、すべての国における化学物質のリ
    スクアセスメントと管理のための一致した国際戦略を創り出し、勧告する。
  -活動の優先順位を明確にし国際プログラムに取り組むために、政府を通して国や地域
    の諸機関での調整のための支援を行う。
  -特に訓練、教育、情報提供に関して、化学物質の管理のための国の能力を強化する。
  -国際戦略を実施するための進行中の活動について、その効果を定期的に検証、評価し、
    勧告を行う。
  -政府が行う化学物質の安全性のための作業を支援し、政府やNGOの間においてこの
    ような活動の調整を進め、国連内外の機関の間で出来る限り単純明確で論理的な方法
    で作業の適正な分担を進める。
25  提案された化学物質の安全性のための政府間フォーラムは新しい機関ではなく、単に
  化学物質の安全性を促進するために国内、あるいは国際的な努力を統一し、強化するた
  めの道具にすぎないことを頭に入れておくべきである。

transparent.gif                                                              [IFCS]の索引へ
(参考2)「アジェンダ21第19章の実施についてのディスカッションペーパー」
                                (ICCS会議資料(IPCS/ICCS/94.6))
序  文

1  アジェンダ21は動的なプログラムである。「環境と開発に関するリオ宣言」に含まれ
  るすべての原則を十分に尊重しながら、異なった国や状況の、また地域の対処能力や優
  先度の違う多様な行動者によって実行されてゆくであろう。アジェンダ21は、必要性や
  状況の変化に伴い、時とともに進化し得る。この過程は持続可能な開発のための新しい
  グローバルパートナーシップの開始を記すものとなるであろう。

(  中      略  )
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プログラム分野A:化学的リスクの国際的なアセスメントの拡大及び促進

11  化学物質が引き起こすかもしれない人の健康への被害と環境への悪影響のリスクを評
  価することは、その化学物質の安全かつ有益な使用を計画するのに欠くことができない。
  アジェンダ21 第19章 §13に記されているプログラム分野Aの目標は以下の通りである。
  (a) 国際的リスクアセスメントの強化。数百の優先すべき化学物質あるいは化学物質群
    (地球的に重要な汚染物質及び汚濁物質を含む)は、現行の選択及び評価基準を用い
    て西暦2000年までに評価されるべきこと。
  (b) 健康又は環境の観点からの暴露限界と社会・経済因子の観点からの暴露限界とを峻
    別する、厳密なレビューと科学的コンセンサスを基にして、数多くの有害化学物質に
    対する受容可能な暴露についてのガイドラインを作成すべきこと。
12  第一の目標を達成するためには、特にこれまで完全な評価を受けたことのない大量生
  産されている200の化学物質の評価を、1997年までに完了することが提案される。目標が
  達成された場合は、2000年までにさらに 300の化学物質について評価すべきである。
13  国際化学物質安全性計画(IPCS)の環境保健クライテリア(EHC)文書は、最
  も総括的でオーソリティーのある化学物質の有害性の評価である。このような評価の作
  成は、資源集約的な活動である。現在IPCSは、年平均で14のEHCを作成し、こう
  した文書の作成にはそれぞれおよそ150,000ドルの費用が掛かり、最低でも2年の期間を
  要する。
14  さらに多くのEHCを作成して1997年と2000年の目標を達成するためには、かなりの
  量の情報源を増やすことが必要である。科学的価値を落とすことなくEHCの作成を合
  理化することは可能ではあるが、目標を達成するための他の方法も慎重に考えるべきで
  ある。
15  多くの場合、あまり総括的ではないが良く構成された科学的評価で、情況(毒性学的
  データ、使用形態等)によっては十分かも知れない。国際的に受け入れられるリスクア
  セスメントの作成を早めることは、国際的に合意されたガイドラインに従った文書化や
  リスクアセスメント手順、国際的なアセスメントの綿密なレビュー、そして質の高いア
  セスメント作成のための政府の努力によって容易になる。
16  クライテリア作成のためのガイダンスは、現在IPCSによって関係する機関との協
  議のもとで作成されている。このガイダンスは早期に完成されなければならない。リス
  クアセスメントの方法を統一する進行中の作業も促進すべきである。
17  様々なタイプのリスクアセメントの優先順位設定の基準をできるだけ早く合意すべき
  である。これらの基準は、1997年までにリスクアセスメントを行う化学物質の第一回の
  リストを作成するために、できるだけ早く利用されるべきである。他の優先的化学物質
  が明らかにされた場合は、リストは拡大される。
18  国家当局や経済協力開発機構(OECD)、欧州共同体委員会(CEC)、その他の枠
  組みの中で、様々な種類のアセスメントが作成されている。これらのアセスメントが、
  どのようにして世界中で受け入れられるアセスメントの基礎となるかについて現在、話
  し合いが行われてい  る。
19  提案中のIPCS/国際化学物質有害登録制度(IRPTC)/欧州化学工業生態・
  毒性センター(ECETOC)による計画中、準備中、あるいは出版されている基準文
  書の目録を、緊急事項として完成すべきである。これは、リスクアセスメントを行う化
  学物質の優先順位リストを作成し、1997年までに評価される物質の数が現実的であるか
  どうかを決める際に、役立つであろう。
20  いかなる化学物質の完全な評価も、十分なデータを利用できるかどうかに依存してい
  ることから、ICCSは次のことを勧告したいとしている。
  (a) 産業界はデータをさらに収集し、提供するよう奨励される。
  (b) リスクアセスメントが行われる前に、それぞれの物質の成分や使用に合わせて最低
    限必要な情報のためのガイドラインを作成することを考えるべきである。
21  段落11で述べた第一の目標に関係する他の長期目標には次のことが含まれる。
  (a) 国際的に調整された研究を奨励し、化学物質の暴露による潜在的リスクへのより深
    い理解を生み出すこと。これには、例えば毒素の作用メカニズムが含まれる。また、
    代替法の開発、有効化、そして使用を奨励することによって、有害性実験における脊
    椎動物の使用を減少することに留意すべきである。
  (b) 開発途上国からのデータも含めて、人に関する正しいデータや、疫学的データや暴
    露データの収集と利用を増やすべきである。
22  第二の目標は、これまで国際機関があまり関与していない分野を扱っている。化学物
  質のリスクアセスメントを暴露のガイドライン数値に直すための科学的方法と原則を確
  立する必要が  ある。この目標を達成するために、多くの実務的問題を考慮する。
  (a) 国際機関によって人への特定の暴露ルートや特定の環境生態系への暴露レベルのガ
    イドラインが設定されている化学物質の目録づくり
  (b) 異なるタイプの人や環境への暴露許容量を設定する原則を確立している、入手可能
    あるいは計画中の国際ガイダンス文書や国内ガイダンス文書の目録作り
  (c) 健康や環境への影響について安全係数を設定するための原則の合意
  (d) 地下水中の化学物質にガイドライン数値を設定することに注目する必要性
23  可能であれば、出版されたどのようなリスクアセスメントにも、特定経路を通じた人
  への暴露や特定の環境生態系への暴露に対する許容範囲のガイドラインを含めるべきで
  ある。
transparent.gif                                                              [IFCS]の索引へ
プログラム分野B:化学物質の分類と表示の調和

24  本プログラムの目標は、アジェンダ21 第19章にも記されているように、具体的な安全
  性データシートと容易に理解できるシンボルを含む地球規模で調和された有害性の分類
  と一致したラベル表示システムを、可能ならば2000年までに、利用できるようにするこ
  とである。
25  1992年に設置されたIPCS「化学物質の調和された分類システムのための調整グルー
  プ」の枠組みの中で、綿密な作業計画が、関係する国際、地域的、国内機関及びNGOに
  よる技術的作業を通じて、分類基準やラベル表示、具体的な安全性データシート、ハザー
  ド伝達における関連する訓練を含む既存のシステムの調和を徐々に図るために施行され
  ている。
26  進行中の作業は、例えば国際労働機関(ILO)化学物質協定(1990)とそれに伴う勧
  告、 危険製品の輸送のための国連専門家委員会による勧告、化学物質実験のためのOECD
  ガイドライン、危険な物質の分類、梱包、ラベル表示に関する法律、規則及び行政条例
  をより正確にするための欧州評議会指令、またはIPCS国際化学物質安全性カードと
  いった既存の国際的及び地域的な関連の文書、ガイドライン、勧告及び調和のための活
  動に基づいて進められている。
27  分類基準に必要なすべての専門的な作業は、1997年までに完了すべきである。一致し
  たラベル表示と安全性データシートを含むハザード伝達の調和に関する作業は、2000年
  までに完了すべきである。IPCS調整グループによる作業の結果は、政府が取り入れ
  る地球規模で統一された実用的なシステム(すなわち職場や輸送、消費者、農業分野に
  適用でき、人の健康や環境に適応する)の基盤として役立つべきである。農薬のラベル
  表示においては多くの作業が残っている。
28  IPCS調整グループは、合意や一致した意見の上で作業を行っている。このような
  フォーラムでは、統一化につながる様々な技術的解決法を解明して議論するためには議
  論の自由が不可決であるが、グループが明らかにした合意を得ない専門的問題には、さ
  らに、おそらくより  公式的な解決のメカニズムを生み出すことが必要である。
29  進行中の専門的作業を容易にして、アジェンダ21第19章で記されている期限までに作
  業を完成するためには、ICCSは次のことを勧告したいとしている。
  (a) 分類の基準に関する進行中の専門的作業を1997年までに完成させる。
  (b) ラベル表示と安全性データシートを含めた分類システムを統一して調和したハザー
    ド伝達システムを確立する作業を、2000年までに完了する。
  (c) 分類システムの調和に関して関連当局間で一致した国の立場をとるようにするため
    に、関連当局の間で十分な協議が行われるよう国は保証すべきである。
  (d) 調和に関する専門的作業を、すべての国連加盟国で国レベルで法的に適用できる文
    書や勧告に直すための国際枠組みを確立する。
30  本プログラム分野に関する進捗状況の報告書をフォーラムのために1997年までに準備
  する。
transparent.gif                                                              [IFCS]の索引へ
プログラム分野C:有害化学物質及び化学的リスクに関する情報交換

31  本プログラム分野について、アジェンダ21には次の二つの目標が記されている。
  (a) 関係当事者間での化学物質の安全性、使用及び放出に関する情報交換の強化の促進。
  (b) 西暦2000年までに、化学物質の輸出の事前承認(PIC)手続きで得られた経験を
    考慮しつつ、国連環境計画(UNEP)が採択した改正「国際貿易における化学品の
    情報交換に関するロンドンガイドライン」、国連食糧農業機関(FAO)の「農業の
    流通及び使用に関する国際行動規準」の法的規制手段を通じた可能な限り強制力のあ
    る適用を含む、可能な限り完全なPIC手続きへの参加及び実施を達成すること。
32  交換される情報には、化学物質リスクを評価するために必要なデータ(危険性の証明、
  用量作用関係及び暴露評価)、 危険性やリスク評価の所説、このようなリスクアセスメ
  ントを行うための方法体系などが含まれている。特定の化学物質に対する既存の法的規
  制を含めた可能なリスク管理方法の情報も交換されるべきである。予防手段や対処能力
  構築のための成功したアプローチの詳細についての交換も注目すべきである。効果的な
  情報交換システムは、化学物質管理の国の能力を強化する上でかなり貢献するであろう。
33  情報交換を容易にするためには、データの収集、保存及び提供のためのメカニズムが
  必要である。理想的には、データベースにおける有効なデータを鑑定するような方法が
  可能になるべきである。
34  多くの情報源や交換方法が国際機関や国内団体、学界及び民間団体から提供されてい
  る。
35  ICCSは、以下にあげる目標に向けた作業を開始するための勧告と、1997年までに
  進捗状況についての報告書を提出する勧告を行いたいとしている。
  (a) すべての政府機関、政府間機関及びNGOの情報提供能力を最大限利用するために、
    国内、地域的及び国際レベルでの情報交換のネットワークを強化すべきである。
  (b) 交換される情報の種類と交換方法の双方について、主要な使用者グループの要求に
    見合うように調整されるべきである。情報提供の方法は、範囲が簡潔で短いファクト
    シートから、CD-ROMのように複雑ではあるが購入可能な電子による供給システムまで
    及ぶべきである。
  (c) 化学物質による非常事態時の対応に有効な情報源を明確にし、これらの情報源への
    アクセスを直ちにすばやく利用できるようにすべきである。
  (d) IPCSは、地域での適切な情報交換を容易にする可能性を見出すべきである。
  (e) 化学物質に関する情報交換を受け持つ国内機関を創設し、あるいは適切に強化すべ
    きである。
36  本プログラム分野の目標をサポートするためにICCSは、国際機関からの関連デー
  タをCD-ROMや他の適切な電子メディアに適切な検索・更新装置とともに、統合する費用
  と利益について、考察したいとしている。また、使用を容易にするための指導マニュア
  ルとともに、アクセスを必要とするすべての国が利用できるように考慮したいとしてい
  る。以上に加えて、 次についても考慮する必要がある。
  (a) 電子形態による情報の一般的な作成、利用及び交換を促進すること。
  (b) 開発途上国による既存の国際的なデータ源(商業上のデータ源も含む)へのアクセ
    スを向上すること。
  (c) 国内の情報源やCECのEUCLIDデータバンクといったプログラムから、IR
    PTCデータバンクといった国際データバンクへの、専門家によるリスクアセスメン
    トも含めたデータの寄与を増やすこと。
  (d) 化学物質の安全性に関連するデータバンクについて、範囲の提示や有効なデータを
    持つデータバンクの提示も含めて、リストを作成すること。
37  PIC手続きに関して、ICCSはILO化学物質協定(1990)の規定を考慮して、
  1997年に向けて以下のことを勧告したいとしている。
  (a) すべての国が、PIC手続きに参加するために国内指定当局を任命すべきである。
  (b) PIC手続きに関する国際的な法的拘束力のある文書に含まれる必要のある要素や
    含まれうる要素についての評価を終了すべきである。
  (c) PIC手続きを必要とする化学物質を輸出するすべての国は、輸入国の決定に反し
    て輸出が行われないことを確実にするために、実施や施行のための規約を含む必要な
    メカニズムを持つべきである。
  (d) すべての開発途上国や経済的に過渡期にある国は、ロンドンガイドラインとPIC
    手続きを施行するための訓練を受けるべきである。
transparent.gif                                                              [IFCS]の索引へ
プログラム分野D:リスク低減計画の策定

38  アジェンダ21 第19章 §48に記されている本プログラム分野の目的は、広範囲なリス
  ク削減のオプションを含めた幅広いアプローチを採用し、そして広範囲なライフサイク
  ル分析から導かれた予防手段を取り入れることによって、許容できないあるいは不当な
  リスクを除去し、経済的に実行可能な程度まで、有害化学物質によって引き起こされる
  リスクを減少することである。
39  リスクの削減は、化学物質の環境上適正な管理計画の最終目標である。プログラム分
  野Dで検討される行動に加えて、他のプログラム分野で検討されるいくつかの行動の目
  的もまた、化学物質のリスクを削減することにある。特に、プログラム分野Dとプログ
  ラム分野E(化学物質管理に関する国レベルでの対処能力の強化)には強い結びつきが
  ある。
40  リスク削減活動は主に国内の問題である。産業界は、リスク削減措置の実施に貢献す
  る特別の責任がある。化学物質の取引を管理するためのより巧みな技術の利用と国際的
  に合意された原則規範が、二つの特定の問題の分野に関係している。より巧みな技術を
  促す方法についての作業は、とりわけUNEPと国連工業開発機関(UNIDO)によっ
  て行われ、国際取引における倫理規範は、UNEPの支援の下に作成された。これらの
  分野におけるすべての努力が奨励されるべきである。
41  国内リスク削減計画が欠如している国が多いが、比較的小さいコストで恩恵が得られ
  る場合には、直ちに明らかにされ、直ちに管理できる特定のリスクを削減するために、
  これらの国々において即時の行動を容易にする試みがなされるべきである。途上国にお
  けるこのような行動には、職場での衛生改善と管理の実行などが含まれる。コストが高
  くなる場合もあるがその他の行動として、不必要な農薬の廃棄、より良い排出管理技術、
  そして化学物質廃棄地域の浄化がある。すべての国において、化学物質リスクに対する
  市民のより深い認識は、こうしたリスクを削減するために重要である。
42  ICCSは、2000年に向けて設定された目標の基礎を得るため、国内リスク削減計画
  の進捗状況と政府の経験に関するレポートを1997年までに準備することを勧告したいと
  している。レポートには、幅広い可能なリスク削減方法について記述すべきである。ま
  た、費用効果分析の結果と、さらに統合された化学物質規制と汚染規制イニシアチブの
  価値についての評価を含めるべきである。(汚染規制については、アジェンダ21の別の
  部分でさらに詳しく述べられている。)
43  民間がアクセスを持つことができる汚染放出と移動の記録(排出記録)の作成は、比
  較的新しいアプローチで、いくつかの工業国では成功しているようである。これらの記
  録を新たな工業国を含む他の国にも広げる可能性と有用性について評価され、1997年ま
  でにレポートを準備すべきである。
44  ほとんどの農薬は、環境中に意図的に広く放出されている有害化学物質である。国は、
  農薬安全戦略について検証し、より安全で適切な農薬の使用を促進したり、より良い使
  用管理によって農薬の使用を削減したり、または代替的な害虫管理技術を導入すること
  によって農薬リスクの削減することを考えるべきである。この分野における提案されて
  いるOECDイニシアチブを考慮した進捗状況についてのレポートを、1997年までに準
  備すべきである。
45  大規模な化学物質事故の防止、対策及び対応のためのプログラムや手順は、近年国際
  レベルでかなり進展してきたが、国内レベルでは十分に実施されていない。したがって、
  行動のための次の特定の目標を1997年に向けて設定すべきである。
  X国は、大規模な工業事故防止のためのILO協定と勧告(1993)の原則と一致したシス
  テムを導入すべきである。また、X国は、APELL(UNEPプログラム「緊急事態
  に関する地域レベルでの意識の喚起と準備」)を実施すべきである。(Xは会議で数値
  目標に置き換えられる。)
46  毒物管理センターに関して、次の特定の目標が1997年に向けて設定される。
  X国は、関連する臨床及び分析設備を持つ毒物管理センターを設置すべきである。そし
  て、異なる国々で中毒データを記録する調和したシステムを構築するにあたり、かなり
  の進展がみられるべきである。
47  長期目標の一部として、ICCSは先進国が有害化学物質の代替を発見する努力を払
  うよう勧告を行いたいとしている。有害物質の有害性のない、あるいは有害性の少ない
  物質による代替は難しく、代替される物質と可能な代替物の双方についての深い知識を
  必要とする。政府は産業界と協力して、代替を促進するよう奨励されるべきである。
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プログラム分野E:化学物質管理に関する国レベルでの対処能力の強化

48  本プログラム分野は、化学物質の環境上適正な管理のための能力の構築に専心する。
  アジェンダ21 第19章 §58に記されているように、目標は、2000年までに制定と施行の
  ための立法と規定を含めて、化学物質の環境上適正な管理のための国家システムが、可
  能な限りすべての国で作られるべきであるということである。
49  ほとんどの国々で、化学物質の安全性を促進するための国の対処能力をかなり強化す
  る必要がある。多くの国々、特に開発途上国では、それらは大部分存在しない。アジェ
  ンダ21には化学物質の適正な管理のための次の基本的要素が記載されている。
  (a) 適正な立法
  (b) 情報の収集と普及
  (c) リスクアセスメントと解釈の能力
  (d) リスク管理政策の確立
  (e) 実施と思考の能力
  (f) 汚染地区と中毒にかかった人のリハビリテーションのための能力
  (g) 効果的教育プログラム
  (h) 緊急時に対する対応能力
50  化学物質の安全性を促進する努力をする際、念頭に置くべきことは予防は治療を勝る
  ということで、そして化学物質に対する一般市民の認識は、促進のための欠くことので
  きない牽引車であるということである。
51  本分野で達成されなければならないことが膨大であるため、先進国からの追加的財源
  や支援だけではなく、例えば先進国と途上国間の2国間支援の取り決めを促進したり、
  十分な地域協力を促進することなど、どのようにして既存のシステムと資源を最大限利
  用するかについて革新的に考える必要性がある。支援計画の場合には、支援を必要とす
  る国が持続的に責任を持っていくことが成功するために必要不可欠であることが強調さ
  れなければならない。
52  本分野における必要な能力強化を達成する行動は、教育の促進、アジェンダ21 第36章
  で記されている一般市民の認識と訓練、そしてアジェンダ21 第7章の中の能力構築のた
  めの国内メカニズムと国際協力に対する総括的な考察を基本とするべきである。したがっ
  て、特定の国における行動計画には次のことが含まれる。
  (a) 国の必要性と優先順位を明らかにするために、現在参加しているプロセスを促進す
    る。
  (b) 既存の人的資源の最良の利用の可能性への認識や、既存の機関やNGOの有効性を
    高めることを通じて、技術的、専門的人的資源の開発や機関の能力の開発を重要視す
    る。
  (c) 即時の問題のみに集中するよりは、新しい長期的な難問に対処する能力を高める制
    度化された構造を開発し、強化することに取り組むための計画の作成と実施に時間を
    費やす。
  (d) 人の健康や環境への化学物質のリスクとこのようなリスクの可能な削減について幅
    広い市民の認識を得ることを促進する。
  (e) 化学物質リスクに効果的に対処するために、すべてのレベルでの教育と訓練を促進
    する。
53  国際団体によって既に行われているこの分野での活動を拡大するにあたり、能力構築
  のための国連開発計画(UNDP)によるイニシアチブである「能力21」を考慮すべき
  である。
54  化学物質管理の国の能力を増強するための作業の長期的な基礎として、この分野での
  現在の状況と今後の必要性についての「国のプロフィール」を逐次最新化することは大
  切である。このようなプロフィールは、遅くとも1997年までにすべての国でできるだけ
  早く作成されるべきである。この分野での国際機関による作業を支援するために、国連
  訓練調査研修所(UNITAR)は重要な役割を果たすことができる。
55  プログラム分野B、C及びDで論じられたいくつかの活動は、国の能力を確立し強化
  する上で重要な手段である。しかしながら、適切な国の法律、実施、施行能力を抜きに
  しては多くは達成できない。したがって、途上国の政府は、支援を受けながら化学物質
  の安全性のための国の法的基盤を確立して強化するための措置を講じるべきである。開
  始にあたって総括的な法律は必要ではないが、最も基本的な必要事項は満たされるべき
  である。
56  化学物質の安全性に必要な措置を開発する必要がある基本的な分野に関するガイドラ
  インは有用であろう。ガイダンスを作成するUNEPによる努力は奨励されるべきであ
  る。直ちに対処すべき基本分野は、有害化学物質の輸入に関してである。PIC手続き
  の厳守及びILO化学協定(1990)における規定の監視に加えて、化学物質の安全性につ
  いての専門家と関税当局  の間の活発な協力が費用効果的であることが証明されている。
57  アジェンダ21は、適切ならば化学物質の安全性活動に関わるすべての関係者のための
  国内調整メカニズムを確立して強化することを考慮すべきであると述べている。このよ
  うな機構は、1997年までに大半の国々で設置されるべきである。これは、すべての関連
  分野において化学物質の安全性に関する問題へのより深い理解を促すであろう。
58  能力構築を支援する教育プログラムや訓練コースを、国内や地域レベルでさらに計画
  すべきである。特に開発途上国では、例えば技術スタッフや政策決定者などの訓練を受
  けた人々の中核をつくる必要がある。技術支援とともに、教育や訓練に関する活動は現
  在様々な国際団体、政府及びNGOの支援のもとに行われている。しかしながら、調整
  が不足しているため、多くの重複やギャップがある。したがって、この分野での調整を
  改善する必要がある。
59  長期目標として、すべての国で国内化学物質登録制度を設立すべきで、開発途上国が
  危険な製品の輸送に関する国連勧告を実施するよう注視すべきである。
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プログラム分野F:有害及び危険な製品の不法な国際取引の防止

60  長年の間、有害及び危険な製品の倫理にもとる国際的な取引が多く行われてきた。U
  NEPとFAOによるPIC手続きの開始は、このような取引を止めるための一致した
  行動である。不法な国際取引がどのような要素で構成されているかを示す法律がかなり
  多くの国々で施行さ  れたときに、さらに効果的な段階を踏むことができる。
61  PIC手続きに関する法的に拘束力のある文書を作成する可能性について、プログラ
  ム分野Cで論議されている。さらに、段落40で述べた国際取引における倫理規範の作成
  と採択が前進のための重要なステップとなる。

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(参考3)「化学物質の環境上適正な管理の実施のために優先的に取り組むべき行動に関
          する決議」より(IPCS/IFCS/94.Res.2)
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プログラム分野A:化学的リスクの国際的なアセスメントの拡大及び促進

 1  様々なタイプの健康及び環境のリスクアセスメントの必要性を明確にし、多様なタイ
  プのリスクアセスメントの優先順位を決定する基準を合意するべきである。これらの基
  準を用いて1997年までにリスクアセスメントのための初回の化学物質(高生産量化学物質
  を含む。)のリストをできるだけ早急に作成するべきである。
 2  健康及び環境のリスクアセスメントを実施して報告するための調和したアプローチを
  できるだけ早く合意するべきである。このようなプロトコールは、国家当局や国際機関
  によって行われたリスクアセスメントの完全利用を可能にするために国際的に合意され
  た原則に基づくべきである。
 3  1994年までに、完了したものや進行中のものも含めて適切なリスクアセスメントの調
  査記録を作成するべきである。
 4  業界は、必要なデータを出来る限り提供するよう奨励されるべきである。
 5  人への暴露データ、発展途上国からの信頼性のある健康影響データを得るべきである。
 6  第1、2項で勧告した活動の結果を考慮し、また国連機関、経済協力開発機構(OEC
  D)その他の機関によって行われた評価を十分利用して、1997年までにさらに200の化学
  物質を評価するべきである。
 7  第6項の目標が達成された場合は、2000年までにさらに300の化学物質を評価するべき
  である。
 8  暴露限度について、安全係数の設定を含めて、ガイドライン作成のための一般原則を
  調和させ文書化する必要がある。各国は、人間への暴露と特定の環境生態系への暴露に
  対する暴露限度のガイドラインを、できるだけ多くの化学物資についてガイドラインの
  調和と活用可能性を考慮して作成するべきである。
 9  化学物質への暴露による潜在的リスクに対し、より一層の理解を深めるための国際的
  な共同研究開発を推進するべきである。
10  毒性実験における脊椎動物の使用を一層減らしていくための試みを、これに代替する
  方法を開発し、有効なものにするよう奨励することによって行うべきである。
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プログラム分野B:化学物質の分類と表示の調和

 1  現在行われている分類基準に関する専門的な作業は、1997年までの完了を可能にする
  よう強化されるべきである。ラベル表示と安全性データシートを含めた分類システムを
  統一して調和したハザード伝達システムを確立する作業は、2000年までに完了されるべ
  きである。
 2  各国は、分類システムの調和のための一貫した国の態度をとるために、十分な協議を
  行うようにするべきである。
 3  調和のための専門作業の結果を、国内レベルで法的に適用できる文書や勧告に直す国
  際的な枠組みを適当な時期に確立するべきである。
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プログラム分野C:有害化学物質及び化学的リスクに関する情報交換

 1  すべての政府機関、政府間機関及びNGOの情報普及能力を最大限利用するために、
  情報交換のためのネットワークを強化するべきである。
 2  交換する情報の種類と交換方法の双方を、言語の違いや識字率を十分考慮して、主な
  使用者グループの要求に見合うようにするべきである。
 3  経済的に可能であれば、1997年までに、適切な検索・更新装置とともに、CD-ROMある
  いはその他の電子メディアに国際機関から得られた情報を統合するべきである。
 4  化学物質による非常時の対応に有効な情報源を確立し、これらの情報源へのアクセス
  を直ちに可能にするべきである。
 5  すべての地域において地域的協力と情報交換ネットワークをできるだけ早く確立する
  べきである。
 6  化学物質に関する情報交換を担う国内機関を必要に応じて創設、あるいは強化するべ
  きである。
 7  1997年までに、すべての国が化学物質の輸出の事前承認(PIC)手続きに参加する
  ために国内指定当局を任命するべきである。
 8  PIC手続きのボランタリーな実施の問題点を評価し記述するとともに、PIC手続
  きに関する効果的で法的拘束力のある国際的文書を作成する作業を継続するべきである。
 9  PIC手続きが必要な化学物質を輸出するすべての国は、輸入国の決定に反して輸出
  が行われないようするために、1997年までに実施や施行の規定を定めた必要なメカニズ
  ムを持つべきである。輸入国も必要なメカニズムを持つべきである。
10  すべての開発途上国と経済的過渡期にある国で、1997年までに国連環境計画(UNE
  P)が採択した「国際貿易における化学品の情報交換に関するロンドンガイドライン」
  とPIC手続きを施行するための訓練が実施されるべきである。
11  取引されるすべての危険物質について、最近合意された「化学物質の国際取引に関す
  る倫理規範」に提案されるように、安全性データシートの普及を推進するべきである。
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プログラム分野D:リスク低減計画の策定

 1  直ちに解明して直ちに規制できる化学物質リスクは、すべての国でできるだけ早急に
  削減するべきである。十分な経済力のある国は他の化学物質リスクの可能な削減のため
  の計画も、遅滞なく作り上げ法制化するべきである。なお産業界は、汚染者負担の原則
  (PPPの原則)により、リスク削減計画の実施に貢献する特別の責務がある。国内リ
  スク削減計画における政府の経験と進歩状況について、2000年に向けた目標の基礎とす
  るために、1997年までに報告書を提出するべきである。
 2  汚染物質の放出と移動の登録制度を、新たに工業国となった国も含めてより多くの国
  に広める可能性と有用性を評価して、1997年までに報告書を準備するべきである。
 3  最近採択された「化学物質の国際取引における倫理規範」はまず第一に、すべての国
  の産業界が広く遅滞なく受け入れるべきである。
 4  化学物質の生産、使用において、クリーンテクノロジーの開発、使用を促進する努力
  が強化されるべきである。
 5  各国は、人の健康及び表流・地下水を含む環境を保護するために、農薬安全性戦略を
  見直すべきである。農薬によるリスクを、適切でより安全な農薬の使用や、より良い管
  理による農薬使用の減少、代替的な害虫管理技術の導入によって減少することを考える
  べきである。進捗状況についてのレポートを1997年までに準備するべきである。
 6  25ヶ国以上が新たに、1997年までに、主要産業事故の防止に関する1993年の国際労働
  機関(ILO)会議、国連欧州経済委員会(UN/ECE)の産業事故の越境影響に関
  する原則等に従って、大規模な工業事故を防止するシステムを導入するべきである。
 7  50ヶ国以上が新たに、1997年までに、とりわけUNEPのAPELLプログラム及び
  主要産業事故防止に関するILO規範(1991)を助けとして、教育・訓練を含む事故予防・
  対策の国家的なシステムを導入するべきである。
 8  40ヶ国以上が新たに、1997年までに、関連する臨床及び分析施設を持つ毒物管理セン
  ターを設置するべきである。そして、異なる国々で中毒データを記録する調和したシス
  テムを構築するにあたり、かなりの進展が見られるべきである。
 9  高リスクで管理不可の化学物質の代替品を見つけ導入することにも優先的に注意を払
  うべきである。政府、産業界、化学品消費者は、実現可能な範囲で、より有害でない新
  物質、効果的に汚染を防止する新プロセス及び技術も開発するべきである。
10  リスク削減行動は第一義的に国内責務であるが、国際的なリスク削減計画も、国際上
  の観点からの問題のために是認される。
11  すべての国が危険製品の輸送に関する国連勧告の実施のために法制化するとともに、
  特に分類と表示の国際調和に関する文脈での勧告の改訂に対応できるよう注意を払うべ
  きである。
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プログラム分野E:化学物質管理に関する国レベルでの対処能力の強化

 1  多くの開発途上国で化学物質管理の国の能力を強化するには、先進国からの財政投資、
  支援に加えて、既存のシステムをいかにして最良の方法で使用するかについての革新的
  な考え方が必要である。先進国と途上国間の相互援助の取り決めが、奨励されるべきで
  ある。効果的な地域協力は最重要である。
 2  1997年以前のできるだけ早期に、現在の化学物質管理能力と改善の特別な必要性を示
  す国のプロフィールを作成するべきである。
 3  できるだけ早急に、化学物質に関する立法と施行の包括的なガイドラインを、とりわ
  け1990年ILO化学物質会議の原則を考慮して作成するべきである。
 4  1997年までに、化学物質の安全性に関わる国内のすべての関係者の連絡を確実にする
  ためのメカニズムを大半の国で設置するべきである。
 5  開発途上国で、技術者と政策決定者双方の訓練された人々の中核をつくるために、国
  内及び地域レベルで教育プログラムや訓練コースをさらに計画するべきである。
 6  教育、訓練及び技術支援の分野での活動の調整をより進めるために努力するべきであ
  る。
 7  長期目標として、すべての国で化学物質情報の制度を設立し、総括的な法律を制定し、
  実施のための手順を確立するべきである。化学物質リスクについての市民の認識を高め、
  リスクを防止するキャンペーンを継続するべきである。
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プログラム分野F:有害及び危険な製品の不法な国際取引の防止

  有害で危険な製品の不法な取引を防止するための法的な国際手段の基礎として、十分多く
の国々で規制のための法律が制定されるまで、PIC手続きの強化を含めて、状況を改善す
るためのあらゆる努力を払うべきである。