毒ガス弾等とは何か ~旧日本軍製造の毒ガス兵器~
 
     
     
 
国内に遺棄されている可能性がある旧日本軍製造の毒ガス弾等には、次のような特徴があります。
毒ガス弾等の形としては、砲弾のような形状のもの、毒ガス成分をビンに入れたもの、
筒状のもの、壺形のもの、ボンベなどがありますが、
腐食して原形をとどめないものもあります。
発見される形態としては、工事現場などでの掘削工事で地中から発見されたり、
漁船が底引き網で海底から引き揚げたりした事例が報告されています。
 
     
 
 
 
終戦後、連合軍によって撮影された旧日本軍の毒ガス弾(写真提供・オーストラリア戦争記念館)
 
     
     
 
 

1997年、
広島県大久野島の海岸で発見された
発射あか筒の燃えがら
(長さ約20cm、直径約5cm)

 
       

 

終戦直後、連合軍によって回収された毒ガス容器
(写真提供・オーストラリア戦争記念館)
 
       
 
北海道の屈斜路湖から回収された
50キログラム投下きい弾
(長さ約107cm、直径約20cm)
 
       
 
神奈川県平塚市の工事現場から発見された
青酸の入った球状ガラス瓶
(直径約7~8cm)
(写真提供・国土交通省)

注記:様々な色の瓶が存在
 
       
       
 
     
 
旧日本軍毒ガスの種類には次のようなものがあります
 
     
     
 
旧日本軍
での名称
種類
化学物質
においの特徴
急性症状
きい剤
びらん剤

マスタード、
ルイサイト
もしくは
両物質を
混合して使用

カラシ臭
ゼラニウム臭
マスタードは、皮膚に付着すると数時間後に赤い斑点を生じ痛みを伴うびらん症状を起こす。目や呼吸器の粘膜を冒し、水疱、潰瘍を生じる。ルイサイトは、マスタードより効果が現れるのが早く、皮膚に付着したり目に入ると耐え難い痛みを生じる。
あか剤

くしゃみ剤
(嘔吐剤)

ジフェ二ル
シアノアルシン
(DC)、
ジフェニル
クロロアルシン
(DA)

ニンニク臭
+
アーモンド臭、
無臭

低濃度で鼻、喉、目の粘膜に激しい刺激を与え、くしゃみ、せき、前額部に痛みを感じる。高濃度では、呼吸器深部を冒し、嘔吐、呼吸困難、不安感を生じ死亡する例もある。
みどり剤
催涙剤
クロロアセト
フェノン
りんご花臭
目や喉を刺激して激しい催涙効果を示す。死に至らしめることは、ほとんどなく、暴動の鎮圧用に配備されていた。
あお剤
窒息剤
ホスゲン
干し草臭
呼吸器系に作用して喉や気管支を刺激し、肺に障害を起こして死に至らしめる。
ちゃ剤
血液剤
青酸
アーモンド臭
体内に吸収された後、血液成分(ヘモグロビン)、全身の組織に作用して呼吸障害を起こし、睡眠を伴い死に至らしめる。
しろ剤
発煙剤
トリクロロ
アルシン
刺激臭
高濃度では、目、皮膚、気道に対して腐食性を示し、この蒸気を直接吸入すると重症では肺水腫を起こす場合がある。
 
     
 
出典:遺棄化学兵器の安全な破棄技術に向けて(日本学術会議報告 平成13年7月)
   International Chemical Safety Cards(ICSC1989)他
 
     
 
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