本文へジャンプ
ここから本文
環境省大臣記者会見・談話等>副大臣・大臣政務官記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

原子力組織制度改革法案等の閣議決定に当たって

平成24年1月31日
環境大臣・原発事故の収束及び再発防止担当大臣 細野豪志

1. 今回の改革は、事故の教訓を踏まえて、放射線から人の健康と環境を保護するという目的のために、規制制度・防災体制とこれを運用する行政組織について抜本改革を図るもの。

(1)組織の独立性

 原子力規制庁が、科学的知見に基づいて公正に判断を行うことを確実にするために、独立性を確保する。

  • 今般の改革で、経済産業省など原子力利用側からは明確に分離。
  • さらに独立性を高めるため、緊急時対応以外の判断は環境大臣から原子力規制庁長官に法律上委任。
  • 原子力安全調査委員会が第三者的見地から規制の独立性を監視。必要な場合には原子力規制庁長官、環境大臣等に対して勧告を行う。

(2)世界最高水準の規制の導入

 今般の事故の教訓を踏まえて、規制制度全体を強化する。

  • 事故は起こらないという前提に立った規制から、人と環境を確実に守れる規制へと転換し、重大事故への対策を義務付ける。重大事故に対応できない事業者は、原発の運営はできなくなる。
  • 最新の知見を既存施設にも反映する規制を導入し、既に許可を得た施設にも最新基準への適合を義務付ける。基準を満たすことができない原発は廃炉になる。
  • これらの規制強化の上、さらに、発電用原子炉について運転できる期間を原則として40年とする。

(3)強固な防災体制の構築

 事故の教訓を踏まえて、強固な防災体制を構築する。すなわち、

  • 原子力災害対策本部の体制・機能を拡充するとともに、その事務局となる原子力規制庁の体制を、「緊急事態対策監」、「原子力地域安全総括官」の設置等により強化する。
  • また、防災指針を法定化し、防災基本計画を策定。併せて地域防災計画の策定をはじめとする自治体の防災体制整備を支援していく。

(4)健康管理対策の実施

 原発事故による放射線障害に対する健康管理を所掌とし、福島県と協力して実施する。
 また、(独)放射線医学総合研究所の放射線障害防止に関する業務を共管とするとともに、放射線審議会を所管する。

2.このような仕組みに基づき、「安全規制と防災対策のための国内外の知恵と人材の結集」に取り組むとともに、国民の不安に向き合う「透明性の高い組織への転換」に取り組んでいく。

(1)民間を含めた幅広い人材の積極的登用

 民間をはじめ幅広い人材を結集し、

  • 原子力規制庁長官については、広く官民を問わず優れた人材を求めていく。
  • 利用と規制の分離の徹底の観点から、一定クラス以上の幹部職員についてノーリターン・ルールを適用する。
  • 原子炉に精通している人材(例:原子炉主任技術者等の資格を有する者)、国民目線に立って適切に広報・報道に当たれる人材等を民間に求める。
  • 緊急時対応の体制を強化するため、警察庁や防衛省等とも広く人事交流を行う。

(2)国際的な知見と人材の活用

 世界の英知を集めて原子力規制庁の専門的知見を高めるため、

  • IAEAをはじめとする国際機関と一層緊密に連携していくとともに、
  • ・ 外国人の専門家をアドバイザーに任命し、助言を得ていく。

(3)専門性を持った人材の育成と組織文化の一新

 安全規制を支える優れた人材を育成するとともに、人の健康と環境を守ることを使命とした組織文化を作り上げるため、

  • 民間企業での取り組みを参考に、倫理規範等の策定・周知を通じ、職員全体に、安全文化を徹底する。
  • 研修制度を充実し、例えば、今回の事故の経験をしっかりと記録・分析し、徹底的に学んでもらうことにより、将来への教訓として活かしていく。
  • 「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」の閣議決定を踏まえて、JNES等の原子力規制庁を支える機関についても、業務と組織の在り方の抜本的な見直しを進める。
  • 国際原子力安全研修院(仮称)の設置準備を進める。福島に拠点を整備する。

(4)国民に開かれた透明性の高い組織への転換

 国民に向き合う組織として「透明性」を高めていくため、

  • 原子力規制庁の情報公開ガイドラインを策定し、開示請求を待たずに幅広く情報を公開する。
  • 広報とともに広聴を担当する課を設けて、国民の声を安全規制、防災対策に活かし、また、分かりやすい言葉で情報を発信していく。

 新しい原子力安全規制の体制を早期に発足させることは、喫緊の課題。国会において早期にご審議いただき、是非とも4月1日発足を実現したい。

▲Page Top