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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

江田大臣記者会見録(平成23年7月8日(金))


1.発言要旨

 おはようございます。今日は8時15分から閣議と閣僚懇談会がございました。
 私の方から1点御報告をしておきます。「東日本大震災によって生じた廃棄物の処理の特例に関する法律案」、これが今日閣議決定されました。この法律案は、震災によって生じた膨大な量の災害廃棄物の迅速な処理のために、環境大臣が市町村に代わって処理を行うことができるようにするという特例を定めたものでありまして、なるべく速やかに国会で協議していただきたいと思っております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日、先ほど大臣もおっしゃっていただきましたが、がれきの円滑処理に関する法律が閣議決定されました。この法案の持つ意味、震災から3ヶ月が経って、これから処理が本格的に始まっていくと思うのですけれども、その中で、この法案が持つ意味、ないしは復興にどう活かされていくべきなのか、その辺り、大臣の御所見をお願いします。
(答)災害廃棄物の処理が遅々として進まないじゃないかという多くの方々の御批判がありますよね。しかし現実には、大変な被災の中で市長村の処理能力が大変傷ついたと、あるいはなくなってしまったというようなところもございましたが、各市町村とも大変な御努力をいただいて、かなりの程度進んでいると。既に仮置場に移動させたというところも多々あるという状況ではございます。今、8月の末までには、生活している場のすぐ近くの廃棄物については、ほぼ完全に仮置場まで持っていけるようにということで進んでいるわけですが、しかし依然としてやはり、異常に処理能力に難状を極めている、そういう市町村がないわけでもないし、国の方がそうした市町村の仕事を代行してスピードアップしようということでございまして、更に費用負担について、これは、既に補助率のかさ上げなどで市町村負担というものが極小化しているところですが、これもしっかりと対応策を決めて、厳密には市町村負担というものがないようにしていこうということでございまして、これで今後、災害廃棄物の処理が飛躍的にスピードアップするというように考えています。

(問)今月の11日で死刑廃止国際条約発効から20年を迎えるのですけれども、日本ではいまだに死刑という制度がありますが、改めて、大臣の死刑についての御認識をお伺いできますでしょうか。
(答)死刑の問題というのは、私の法務大臣就任の時にもお話をいたしましたが、なかなか悩ましいことであって、しっかりと考えていきたいと思います。千葉元大臣が死刑執行を命令されて、これは本当にいろいろな深い深い思いがあって命令されたことだと思うのですが、その後にいくつか宿題を残しており、その中の一つに、大臣の下で省内の勉強会を残しておられました。これは私の方でも引き継いで、これまで外部の方の御意見を伺ったり、あるいは省内で議論をいろいろと整理をしたりしておりますが、これを更に続けていきたいと思っております。国民の皆さんの御意見というものもあり、同時にまた世界の流れもあり、今おっしゃられた条約から20年という、その間に国際社会の中で死刑廃止をしている国がだんだん増えてきているというようなこともあって、世界に開かれた日本としてこれからどうしていくべきかしっかり考えていきたいと思います。
(問)未執行者が戦後最多の119人になっているのですけれども、この状況についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)戦後最多ということにはなっていますが、最近、裁判員制度の中で、裁判員制度が定着してフル稼働ということになってきて、準備に時間がかかった事件、これは、死刑求刑事件というのはやはり準備に時間がいろいろかかるのだろうと思いますけれども、これが次第に結審を迎え、判決を迎える時期になってきているということもございます。ただ、これはまだ裁判が確定する段階までには至っていないかと思いますが、そんなこともあってこのところ死刑判決が目立つようになっているという感じはしております。ただ、いっぱいたまったから急いでやらなきゃとかそういう話でなくて、やはりしっかり考えていくべき課題だということは変わりません。

(問)一昨日なのですが、水俣病問題に関してですが、関西訴訟の原告お2人が、一昨日付で熊本県から患者認定されるということがありまして、最初の認定申請から38年かかっているのですけれども、それについての受け止めが一つと、関西訴訟原告については、原因企業のチッソが、その後行政認定されたケースでも、裁判でも補償問題が解決済みだということで、新たに補償協定というのを結ぶのをチッソは拒否しているのですけれども、その点について国としてなにか対応をとられるおつもりはないかお願いします。
(答)38年かかったということについては、これはやはり大変長い時間をかけてしまうことになったことは、認定された患者さんにとっては大変な苦労、あるいは苦痛であっただろうと思うので、申し訳ないことだと思います。それと、今の訴訟で損害賠償が認められたケースで、補償との兼ね合いがどうなるんだという話ですね。これはなかなかやっかいな法律問題を抱えていることでございまして、チッソと当該患者さんとの間のことでは、これは判決というものがあるわけですから、判決に従わざるを得ないということになるわけですが、しかし公害健康被害の関係を処理する行政の立場は、また行政の立場として別の立場があるということも理解できないわけではないので、しっかりと関係者と協議をしていきたいと思います。

(問)先ほどの、がれき処理の特例法案の話に戻るのですけれども、この法案によって飛躍的にスピードアップが期待できるというお話でしたけれども、具体的に、例えば、どれくらい早く処理できるというのが見込まれるかとか、もうちょっと詳しくその辺教えていただけますか。
(答)今もちょっと申し上げましたが、現実に各県ごとに今の進捗状況をみると、あくまでも生活している、あるいは避難している、そういう、つまり生活している場の近くのがれきを仮置場に移動させるという話ですが、もう100%済んでいるような市町村もございますし、ただ、少ないところは早いけれど、多いところはなかなか大変、まだ十数%しか進んでいないというようなところもあるのが事実で、がれき全体で考えてみると、なかなか進んでいない、まだ3割程度しか進んでいないというような報道もあったようですけれども、そういう状況であるのは確かですよね。だけど一方で、市町村の行政能力も相当回復をしてきていると思われますし、この法案がちゃんとできましたら、国が代行して、当該市町村でできない場合はもっと広域の取組をするとか、あるいは広域自治体に協力をお願いしているのも、これもまだ調整段階ですが、これからその調整を終えて、自治体の作業に入るという段階にもう入ってまいりますし、民間へ委託というのもあって、これも市町村の委託よりも、国がそれを引き取ると、もっと広域的視野でいろいろな民間委託ができるようになることもありますし、また再委託の政令も先日出しましたし、国といっても、国が実際に廃棄物を処理する実働部隊を持っているわけではありませんが、国が調整することによって、いろいろなそういう能力をフル稼働させることが、更に一層できるようになると思っていて、そんな観点から8月の末にはほぼすべての地域で、お住まいの近くからがれきを移すことはできるようになるだろうと思っております。で、今度は移した後のがれきをどうするんだという、これも更に大きな問題なのですけれどもね、という状況です。

(問)関連してなのですけれども、岩手、宮城とは別に、福島では、焼却後の灰の処分というのが問題になってくると思うのですけれども、そこら辺はどのように。
(答)これも、この間指針を出しまして、避難区域や計画的避難の場所、ここはなかなか困難な状況ですけれども、それ以外のところで、更に、中通りの一部については大丈夫ということを出して、そういう場所で焼却をする、これをやってください。で、焼却をした結果出てきた主灰とか飛灰とかは、放射線の量によって仕分けをして、8、000ベクレル以上と以下に分けて、それぞれに処理の方針を定めるといったことをやっていますので、これは環境省として、放射性物質による汚染のおそれがあるということはあっても、そこは責任を持って処理を進めていきたいと思っております。

(問)原発の再稼働で、安全宣言が経産省の方から出たと思ったら、今度はストレステストをやるとかいう、かなり外から見て、迷走気味に見えるのですけれども、この事態について所感をお願いします。
(答)これは、今日も閣議と閣僚懇談会、特に閣僚懇談会で議論になりましたが、確かに、外から見てと今おっしゃいましたが、迷走気味という印象を与えてしまったことは大変申し訳ないと思っております。ただ、これまでの基準と、これまでの仕組みで安全だということで十分なのかというところにクエスチョンマークがあり、今、現に福島原発の事例を見て、クエスチョンマークがついているわけで、そこで、今、法改正などまだしていない段階ですから、現実には、現在のいろいろな仕組みの中で判断をしていかなければいけないのだけれども、しかし、総合的により慎重な判断で、点検後の再稼働についての判断をしていこうということで、混乱しているような印象を与えたことについては、これは、誠に申し訳ないことであるけれども、至急、その辺りのことを整理をして、しっかりとした、内閣としての対処の方針を出すということでございまして、今、至急検討中ということでございます。その途中経過なので、それ以上のことは、ちょっと私の所管外ですので差し控えておきたいと思います。
(問)この件をめぐって海江田大臣が、時期がきたら責任を取ると辞意をもらすまでに至ってますけれども、このことについてお願いします。
(答)そういう解釈をされているようですけれども、もちろん、海江田大臣が、現場の町長さんに了解をお願いしたけれども、それが後に混乱して、撤回したいというような表明になっていったことで、海江田大臣が大変責任を感じているのは事実でございますが、今申し上げたように、まだ今、最終的にこういう方向でいくということを至急整理をしている最中ですので、その整理がしっかりできれば、それは海江田大臣もそうした方向で、これからの原子力行政を進められると思います。

(問)先日の予算委員会で、菅総理が、原発の構外の放射性物質の汚染とかを対処することを、環境省を中心に考えているらしいというような指示が出たというふうなことなのですけれども、それに対してはどのように対応されていく予定でしょうか。
(答)これももう御承知のとおりで、今回のような、つまり原発のサイトの外に放射性物質が飛び散って、そして広範囲に、放射能汚染のおそれのある、そういう物質が散在するに至ったというケース、想定できていないのですよね。原子力発電所とか、あるいは放射性物質を扱う大学、研究所などのサイトの中におけること、これはいろいろあるのですけれども、今、この事態で、どういうふうにするかということの法整備、これは環境省がやはり、汗をかいて、しっかり作っていかなければいけないと思っております。ただ、その法整備と、現実に今ある放射能汚染のおそれのある災害廃棄物の処理と、これをどういう関係にさせるかというのは、なかなか困難ですが、私の方としては、法整備は法整備で、なかなか、検討しなければならない項目が多岐に渡るので、しかしそうやって、全体の構図ができなければ、現に目の前にある災害廃棄物の処理もできないということでは困るので、これはあくまで汚染のおそれがあるということではあるけれども、やはり災害廃棄物であることは間違いないですから、廃棄物の処理を所管する環境省は、責任を持って、可能な限り、その処理を行っていこうということでございます。放射性物質によって汚染された廃棄物の処理については、法体系の整備に前向きで取り組んでいくということは申し上げられますが、どういう手順で、どこまでどうなるかというのは、今、これから検討するということでございます。

(問)先ほど、がれきの特例法案について、大臣、今後の費用負担の在り方について、考えていくというふうにおっしゃいましたけれども、それは、現行の国と市町村の負担の在り方を変えていくということでいいのでしょうか。
(答)既に補助率のかさ上げはいたしましたし、また、そのかさ上げでもなお地方負担分は残るわけですが、それについても一定の手当てをすることは考えておりますが、そんなところをしっかり、今回、今日閣議決定した法案で、とりあえずは災害特例債ということになると思いますが、それを後に交付税でしっかり填補するということにして、市町村負担というものはゼロにすると。それが今回の法案の中身ですので、これを早急に成立させたいと思っています。ただ、野党の方も法案は出しておられまして、これは、制度上も地方負担なしで国が全部ということになっているわけですけれども、それはやはり、廃棄物の処理は地方自治体、市町村の事務であるという、その大原則との関係でどうなるのかという問題がありますので、私どもとしては、そこのところの大原則は大原則として、しっかり堅持をしながら、しかし、事態の重大性、緊急性を考えて、地方自治体の負担はないように、財政上の措置で手当てをするということを考えているということです。

(問)先ほど、二つ前の質問であったことの関連なのですけれども、原発の外の放射性廃棄物の法律についてなのですが、現段階で新法をお考えか、あるいは現行法の改正で対応されるおつもりなのか、また、今国会での提出も視野に入っているのかどうか教えてください。
(答)これはまだ検討中です。細かな検討ということにはなっておりませんが、新法という可能性もあると思います。

(以上)

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