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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

江田大臣就任記者会見録(平成23年6月27日(月))


1.発言要旨

 皆さんこんばんは。全く図らずも、環境大臣、法務大臣と兼務をするということになりました江田五月でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 環境行政については、つい先ほど省議室で幹部の皆さんに御挨拶を申し上げたときに、皆さんもお聞きいただいた方が多いかと思いますが、私は60年代の後半、大学を卒業して社会人となるころに、ちょうど四日市とか水俣とか、そうした大変な、大きな公害問題の真っ最中でございまして、やはり歴史は大きく変わっていく、21世紀というのは本当に環境の世紀になっていかないといけないと、そんなことを痛感をしておりました。
 しかし一時期、司法の世界に身を置いて、国会に初めて出てきてもう34年になりますが、この間、環境委員会といったところに所属をしたことはありません。環境行政自体については、もちろん、こういう時代に生きている政治家として関心は当然ございましたが、鳥類保護連盟の関係で野鳥の保護に関わるとか、あるいはGlobeという組織がありまして、地球環境国際議員連盟ですが、その関係で衆議院時代に関わっているとかということぐらいでございまして、今回は環境行政、こういう政治状況の下で担うということになりました。
 今、当面する課題としては東日本大震災後のがれきをどうするのか、がれきの処理というのは環境省の仕事で、災害廃棄物、これがまだ皆さん御承知のような状況なので、地域の住民の皆さんの近くから、一刻も早く仮置場に移す、こうしたことを具体的にやっていかなければならない。
 あるいはまた、その後の東北の特徴を活かした環境負荷の低い新しい地域をつくっていくために、環境省として努力をしていくとか。また、そうした災害の関係だけではなくて、低炭素社会の実現、地球温暖化の防止、そして環境といった視点から新しい経済の在り方を考えていくとか。いずれにしても、21世紀の最重要課題の一つである環境問題に、何らかの貢献ができれば大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

2.質疑応答

(問)朝日新聞社の平井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。先ほど、菅総理が会見をされて退陣の一定のめどということで三つの法案をあげられました。この中には環境省が特に大事な問題と掲げている地球温暖化対策基本法案の成立は盛りこまれていませんでした。この会期延長国会の中でこの法案についてどう扱っていくのか、お願いします。
(答)これは法案として出されて、重要な法案ではあるけれども、国会審議の進捗を各会派にお願いしているところだと思っております。まだ具体的に審議のめどが立っていない状況だと聞いておりますが、各会派の御議論を是非お願いしたいと思っています。延長国会、長いと言えば長いですが、しかし課題もたくさんあるので精一杯前へ進めていくために汗はかきたいと思いますが、いわゆる菅総理の今後ということとのからみで言えば菅総理がこのことを掲げていないということは、それは菅総理の考えであって、そのことによって別にこの法案が環境省として重要でないということを示しているなどということは毛頭ありません。

(問)NHKの渡辺と申します。今回の閣僚の人事ですけれども、菅政権にとってどういった意味があると江田さんは考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)延長国会に入って本当に1日1日が菅総理大臣の言葉で言えば、菅さん自分のエネルギーを燃焼しつくすそういう1日1日になっていくんだと思っております。そんな中で復興基本法ができて、本部ができて、そして担当大臣が決まってそれに基づいて必要な若干の調整をしたということで。まあそうした調整の中で松本前環境大臣が復興対策の大臣になったので環境行政が私の方に回ってきたということだと思います。私もあのどう言いますか、まだ若いつもりではおりますが、しかし国会に長くいるので、まあここは菅さんも私が別に環境の専門家ではないということはよくわかっているとは思いますけど、この急場をとにかく乗り切って菅首相が自分自身この燃焼し尽くすそのプロセスを環境の面から支えてくれとこういうことだろうと思っております。
私も精一杯努力していきたいと思います。

(問)毎日新聞の江口と申します。環境の専門家ではないが、菅総理の燃焼し尽くすというところを環境の面から支えてくれということなのですけれども、一方で、法務大臣と環境大臣の兼務というのは過去にたぶん例がなくて、非常に、物理的にも難しいのではないかなと、素人ながら思うのですけれども、その辺はどのように対処されていかれるつもりでしょうか。
(答)やさしくないと思います。だけど、全力を尽くすということに尽きます。

(問)新潟日報の井川と言いますが、先ほどの閣僚の質問に関連してなのですけれども、政務官に自民党の浜田さんを起用したというところで、今後の重要な法案が控えていると思うのですが、これに与える影響についてお伺いします。めどとか反発について。
(答)まだ、これは、今日一日、国会の中の状況、あるいは各会派の動きなど、私も十分把握をしていないので、どういう影響かというのは図りかねます。ただ、そこはいろいろな人と相談を十分しながら、菅総理大臣が熟慮して決めたことだろうと思っておりまして、良い結果に繋がっていけばと思っております。

(問)石油通信の斉藤と申します。原発のことについてお聞きしたいと思います。環境エネルギーの成長戦略会議の環境エネルギー会議で、玄葉大臣が原発依存度を引き下げるという中長期方針を示しました。江田さんもかつて科技庁の長官を歴任されたと聞いているのですけれども、一方で60年末に、そういった水俣病の問題等、非常に当時の大衆運動のうねりの中で、そういった公害問題というのにも注視されていたかと思うのですが、今その原発の問題についても、非常に放射線の問題というのは、非常に厳しいものがありますが、大臣の個人的な思いとして、原発に対してどう思われていらっしゃるのか、依存度の引き下げ、経産省も推進するという方向で、いろいろ個別のルールもあるとは思うのですが、そのあたりの考え方についてお聞きしたいと思います。
(答)今回の原発事故に遭遇をして、やはりこれは、別に環境省とかあるいは私個人とかではなくて、国全体で、本当に深刻に、真剣に考えていかなければいけないことだと思っております。菅総理大臣が、復興構想会議を立ち上げるときに、梅原さんにお願いをした。そうすると梅原さんが、文明災と言ったかな。文明災だという言葉を使われたと言うんですね。初めは良く分からなかったが、天災とか人災とかという意味で文明災。つまり今の日本なり、あるいは人類の文明が抱えている、一つの泣き所といいますかね、現実化した災害だというようなことを梅原さんが言われていたということで、そういうある種の問題感覚というものを、私も共有していきたいと思っております。私、今お話しになったように、科学技術庁の長官をやったこともあるのですが、その時に、細川内閣は国の政策は引き継ぐということで、原発についても原発政策は引き継いでいたのですが、しかし、従来の原発政策というのは、科学技術庁の前に鎖を張って、怪しい奴は入れないという自民党時代の原発政策を進めていたのですが、それはもうまずいと。霞ヶ関で見えないことが、原子力発電所の現場で見えているということもいっぱいある訳ですから、現代という時代に生きている我々ですから、原発賛成でも反対でも、あるいは推進も脱原発も、いろいろな人たちが一緒に議論していくことが必要なのではないかということを言っておりました。その時に出会った言葉なのですが、19世紀の終わりか20世紀の始めに、イギリスの物理学者で、サー・オリバー・ロッジという人がいるのですが、この人がアメリカのサイエンティフィック・アメリカンという雑誌に論文を書いたと言うのですね。その論文は、水素の原子、これは、理屈上は質量1なのですね。しかし、実測上は、1.000いくつとかいう、ほんとにわずかなのですが、誤差があると言うのですね。で、水素の原子のわずかな誤差を、将来人類はその原子から取り出すことができるようになるであろうと。これは核分裂よりむしろ核融合の話なのですけれども、それが人類にとって、プラスになるのかマイナスになるのか、利益になるのかそれとも災難になるのか、それはそのときの人類の文明の程度によると、こんなことを書いてあるのですね。私はやはり、なかなか核エネルギーというものを本当の意味で使いこなす文明に人類というのは到達できるのかなと、そんなことを思いながら、今の状況をなんとか克服していきたいと思っております。

(問)熊本日日新聞の渡辺といいます。よろしくお願いします。先ほど大臣の発言の中で60年代の公害問題で水俣病という発言がありましたが、昨年5月に水俣病に関しては新たな救済策が始まり4万人の方が申請されているという状況がありますが、大臣、水俣病問題の現状認識についてお伺いします。
(答)長い長い、本当に長い歴史があって、私も詳しいことまで今の状況を把握している訳ではありませんが、やっとここまできたのかなというふうに思っています。熊本の蒲島知事も非常に努力されてチッソという会社をいったいどうするのだということで、この会社を水俣病の被害救済部分だけを分離してといういろんな議論がありましたよね。それがここまできて、今、一つのかなり大きな合意というところまでたどりついているので、これは是非、一つこの合意に基づいて、被害者の皆様が、しっかり救済されなければいけないし、こうしたことが二度と起きないようなそういう結果に結びつけていかなければいけないと基本的にはそういうふうに思っています。

(問)NHKの中村と申します。よろしくお願いします。温暖化対策の関係なんですが、今、原発事故が起きて、原発のこれからの政策というのも今までどおりの原発の政策ではいけないというなかで、基本法に盛り込まれている25%という中期目標について、大臣は、見直しについて、必要と思われるか否か、見直しについてどうお考えかお聞かせ下さい。
(答)同じことを繰り返すようですが、今日、ついさっき就任したばかりで、まだ、その辺の細かなことまで、把握していないし、勉強も出来ておりません。しかし、基本的に、この温暖化対策、新しい文明に我々の社会を繋げていくというためには、やっぱり数値目標があって、そして、それを達成していく努力をしていかなければならないので、確かに原子力発電というものがカウントされて数字が出てきているというのも事実で、その原子力発電自体が大きな問題にぶちあたっているのも事実ですが、しかしそれなら、何か他のことを考えていかなければならない、再生エネルギーや省エネなどいろんな知恵が普通の庶民から出てきているわけではないですか。原発がこうなっているから、だから直ぐに目標は、レベルダウンということではなく、やっぱり一所懸命その目標達成のために汗をかき知恵を絞り、国民みんなで議論を起こしていく、これが必要な時代だと思います。

(問)NHKの柴垣です。環境大臣を任命されるにあたりまして、菅総理からどういった指示があったかということと、御自身として一番力を入れたいこと分野でも結構ですから教えていただけませんか。
(答)指示書は、いただきました。封筒に入っておりました。法務大臣の時は、読み上げでしたが、今回は、封筒に入っておりました。震災に伴う災害廃棄物の処理の問題、低炭素社会の実現に取り組むこと、次の世代へ良好な環境を引き継ぐために地球温暖化対策、これを強力に進める、更に生物多様性とか様々な環境問題を前に進めてほしいという、そういう観点だと思います。私としては、これまで政府が進めてきたこと、あるいは私ども野党時代に主張してきたこと、これももちろん重要なことではありますが、とにかく当面する課題としましては、東日本大震災への対応ですので、ここに何を一番大事と考えるかと言われれば、今は、それが一番大事なテーマだと思っております。

(問)朝日新聞の長富といいます。よろしくお願いします。前任の松本環境大臣から何か引継を受けておられることはありますでしょうか。
(答)たぶん引継は明日ですね。今まで引継の時間がありません。

(問)菅総理大臣からは、いつごろどういった言葉で就任要請があったのでしょうか。
(答)今日の午後4時ごろですか、いろいろやっているのだけど、ひょっとしたらお願いしなくてはいけないか、と、申し訳なさそうな声で電話がありまして、まあよく考えてくださいと言っていましたら、7時過ぎに、先ほどの件、やはりお願いすることになりました、ということでした。何か、私の方も、環境省の皆さんには申し訳ないけれど、心が浮き立つという感じではありませんが、しかし、精一杯頑張ります。

(問)環境コミュニケーションズの金井と申します。先ほど質問で出たのですが、原子力発電について長期的にやめていく方向だとか、あるいはこれまで以上の安全を確保しながら進めていくべきだとか、大臣の個人的な見解でけっこうですから、思いはいかがでしょうか。
(答)この点は、あまり個人的な見解を述べるテーマではないと思っております。今申し上げたことでだいたいの感じというのはおわかりいただけるのではないかと思いますが、さはさりながら、現在我が国の電力の3割ぐらいでしょうか、原子力発電に依存しておりますし、それを産業界の皆さんもいろいろな必要性もあるでしょうし、国民の毎日の生活ということもあるでしょうし。しかし、こういう事態に立ち至っては、私どもこれまでのような電力はもういくらでも青天井で使っていいという、そういう時代ではないということもよくわかってきているわけですから、みんなで英知を絞っていかなくてはいけないと思います。原子力発電というものの安全神話自体が崩れていて、私も科技庁長官をやった人間で自分自身の責任も痛感しているのですが、長時間にわたって全交流電源がダウンしてしまうということをリスクとして想定しなくていいのだという、そういう原発の問題を自民党政権から引き継いでやっていて今回の事態になっているわけですから、そこは根幹から考え直していかなくてはいけないと思います。

(問)今ありました原子力の問題で、追加で恐縮です。やはり科技庁のときもそうですけれども、いわゆる規制の問題、放射性物質の規制を、規制行政の在り方が、特に今、国会のほうで大きく取りざたされています。環境省がやるべきではないかという議論もあります。そこはいろいろあるようですけれども、大臣はその辺はどのようにお考えでしょうか。放射能規制行政の担当所管として環境省がなるということについての御認識をお伺いしたいと思います。
(答)申し訳ありませんが、その問題は十分まだ検討をしておりません。環境省のほうでは検討があるのかもしれませんが、私自身、そこは十分お話しできるほどの検討を自分自身としてしているわけではありません。ただ、私が科技庁をやっているころは、科技庁という中に原子力局と安全局があって、それぞれに原子力委員会と安全委員会があって、しかしこれはあくまで科技庁であって、実際の商業炉というのは通産省がやっていて、この通産省が所管をしている各炉のいちいちの設計変更など、これはもう、細かい細かい設計変更がいっぱいある。それが全部、この二つの委員会の審査を経てやるというのは、かなり密度の濃いチェック行政をやっていたので、私はやはりその後の橋本行革の下でのチェック体制の変化というものは見直していかなければいけないものだと思っております。そんな中で、安全保安院が今の姿でいいのかとか、あるいは安全委員会が内閣府でいいのかとか、いろいろ考えなければならないところはあると思います。今日のところはその辺りです。

(問)エネルギーフォーラムの和田と申します。今の質問に関連するのですが、仮に、原子力安全規制の一部分的な権限が、環境省の方に帰すべきではないかというお話がきた場合、大臣としては、最初から議論をしないというわけではないということでしょうか、1点です。
 2点目は、がれきの処理なのですけれども、かつて社会党で岩垂さんという環境相の方がいらっしゃいましたけれども、がれきの処理について、ちょっと関係はないのですが、大臣御自身、がれきの処理が進んでいるとお考えでしょうか、それとも遅れているというふうにお考えでしょうか。
(答)規制行政の権限が環境省にふられた場合如何というのは、まだ、よく考えていますとしか、ちょっと言いようがありません。どういう経過でそういう議論になっていくのかというプロセスもあるでしょうし、十分考えなきゃならんことだと思います。
それから、がれきのことで、岩垂さんという懐かしい名前を今、お挙げになりましたが、私はがれきの処理は、確かに遅いといえばそれは遅いです。早いとは言えないと思います。この点は、国としても、というだけではなくて、やはりがれきの処理にかかる皆が、本当に心して取り組まなきゃならん課題だと思います。
ただ、これ、先ほども省議室で申し上げたのですが、がれきといっても、やはり一つ一つにいろいろな人の思いが詰まっているものなのですよね。しかもそれを、24万ですかね、自衛官のうちの10万人を投入して処理をして、その筋骨隆々の自衛官の皆さんが、体も心もくたくたになるまでやって、こういう状況というので、それだけやはり事態が深刻なのだということだと思っております。ですから、私ども、更に精一杯の努力をしますし、これから進んでいくのではないかと思っております。是非そこは、私は法務大臣の時に、災害廃棄物の処理の指針を、これは副大臣会議が中心でですが、つくった時に、こういうことでいこうという、ある種の背中を押す役割は果たしたのですが、その後のマスコミの皆さんから、懐かしいアルバムが出てきてというような、もちろんそれはそのとおりなのですが、そういう報道の度に心は本当に痛みます。しかし、その心を鬼にしても、これはゴミだと言わなければいけない、そういう状況もあるので、そこのところは、自衛隊の皆さんだってやはり、このがれきの下にまだ御遺体があるかもしれないという、それをやっているというね、そこを是非皆さんからも、国民の皆さんにお伝えいただきたいと思います。

(問)地球温暖化対策のために必要な地球温暖化対策税が、先ごろ成立した税制改正法案からもれています。いつごろ導入が必要とうふうにお考えか。
(答)法案を出しているのですよね。ですから、出している法案を極力早く成立をさせていただきたいと、私ども、国会にお願いをする立場でございます。

(問)温暖化の国際交渉について伺いたいのですけれども、これまで政府は、京都議定書のいわゆる単純延長というのに反対してきましたけれども、江田大臣も同じようなお考えでしょうか。それから、国際交渉を、江田大臣としてどのように見ていらっしゃるのか、私見で結構ですので教えていただければと思います。
(答)やはりこれは政府の方針として、すべての主要な国々が入った約束でなければ、なかなか実効性があがらないので、そのための努力を一所懸命にやらなければいかんと。単純に延長するというだけでは、やはり足りないのではないかという、そういう立場でこれまできていると思いまして、私もそれはそうだと思います。そんな中で、国際交渉は、何をやっているのだというお叱りが、あるいはあるのかもしれませんが、精一杯、交渉していかなければいけないと。
 これは多様性の話ではありますが、去年でしたか、名古屋のCOP10で、松本大臣も、本当に、私も見ていてハラハラドキドキしながら、最後にやっとまとまってという。だから、やっとというのは何か悪い意味で言うのではなくて、最後まで努力をして、そして本当に汗をかいて、誠心誠意尽くして国際合意ができあがるということがございますので、精一杯、私の立場としても努力をしたいと思っております。

(以上)

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