環境省大臣記者会見・談話等>大臣談話等


「極端な気象現象と地球温暖化に関する懇談」に関する大臣談話(平成22年8月11日)

  1. 今夏は各地で猛暑が続き、梅雨前線による大雨もあり、各地で被害も出ている。国外においては、ロシアで記録的な猛暑、中国やパキスタンでは大雨による洪水の被害が出ている。気象庁によると6月の世界平均気温は統計開始以来6月としては最高タイを記録し、地球温暖化の影響もあると考えられるとしている。

  2. 私は、地球温暖化政策に責任を持つ当事者として、昨今、世界や日本で、大雨や熱波といった極端な気象現象が多発し、洪水や干ばつが起きていることに危機感を覚え、本日、気象庁、海洋研究開発機構、東京大学、国立環境研究所の専門家にお集まりいただき、科学の立場からのお話を伺った。これらの専門家によると、大雨や熱波の頻度は、今後、地球温暖化の進行によって増加する可能性が非常に高いということであった。

  3. そうなれば、今、世界各地で見られるような、洪水や熱波により多くの市民の生命や財産が危険にさらされ、更には、水資源の需給バランス、あるいは食料生産などに大きな影響が出ることが懸念される。

  4. こうした状況を見ていると、率直に申し上げて、私自身は、地球温暖化の影響が顕在化しているのではないかと感じている。最近の猛暑や大雨は明らかにひと昔と異なっていると、私たちの世代の多くの方が実感されていると思う。

  5. 昨今、地球温暖化の進行に疑問を呈する論調なども見受けられるが、IPCCの報告に明確にされているとおり、地球温暖化は疑う余地はない。私は、これを放置することは重大な危機をもたらすことを、専門家の意見も得て確信した。

  6. こうした、現実に進行している温暖化とそれによる影響について、正確な科学的知見を集約し、国民の皆様にも提供することが必要と考え、「気候変動の影響に関する専門家会議(仮称)」を設置することとした。この会議は専門家のご協力をいただき、科学の立場から、私はじめ環境省に情報提供いただくとともに、広く最新の科学的知見を国民へ定期的に提供するものとしていきたいと考えている。

  7. 地球温暖化による被害、国民生活への悪影響に対する危機意識を国民の皆さんと共有し、一刻もはやく地球温暖化の進行をくい止めることが必要である。政府としては、2020年までに1990年比で温室効果ガスを25%削減することを世界に宣言し、あらゆる政策を総動員した「チャレンジ25」の取組を推進しているところであり、国民の皆さんに対しても、皆で手を携え、具体的な行動を起こすことが必要であることを強く訴えたい。