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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

小沢大臣記者会見録(平成22年5月7日(金))


1.発言要旨

 私から何点か申し上げたいと思います。まず、気候変動に関する、いわゆる閣僚級会合の結果でございます。2日から5日にかけてドイツとオーストリアを訪問しまして、ドイツではボン近郊で、ペータースベルクという場所ですが、いわゆる閣僚級会合に出席をしました。今回の会合は、COP15以降閣僚級で集まる初めての会合でありましたので、ドイツのメルケルさん、それから次期議長国のメキシコのカルデロン大統領、お二人の呼びかけによって開かれた会合でございまして、35の国の閣僚の出席があって、極めて友好的な雰囲気で意見交換ができたということだと思います。カンクンに向けて有意義な会合だったと思っています。私は、全体会合でスピーチをさせていただきまして、地球温暖化対策基本法案の日本の今の状況を紹介するとともに、とにかくCOP15の教訓を踏まえて、いわゆる議事的手続きではなく実質的な議論を行う、そういう手法を考えるべきだという話の提案、さらにはまた、いわゆる国連のCDMの柔軟な適用、そういったことも考えるべきだという提案をさせていただきました。
 あと、バイの会談は解振華さん、あるいはまたコニー・ヘデゴーさん、あるいはまたスペインの大臣等々と行ってまいりました。
 それから、短い時間でありましたが、翌日せっかくですからウィーンを訪問しまして、オーストリアの農林環境水資源省のマンク次官と、EUの気候変動の意思決定の在り方というのは一体どういうものなのかというような話をお伺いして、一口にEUと言いますけれども、オーストリア、あまり大きな国ではありませんが、そういった国がEUの中で意思決定にどういう関与を持っているのか等々、大変有意義な話が、イメージが大変湧いた会合ができました。
 それから同時に、国連工業開発機構のユムケラー事務局長のところを訪問しまして、意見交換をさせていただきました。この国連工業開発機関というのはUNIDOといいますが、日本では知名度ありませんけれども、かなり大がかりな国連の機構でありまして、いわゆる開発と貧困、そういった問題を主に扱うところでありますが、現在は気候変動問題も扱っていていただいておりまして、気候変動対策における技術の重要性を確認するとともに、技術による貢献を適切に評価する仕組みの必要性で一致をいたしました。同氏は、近い将来の国連事務総長候補ともいわれている方でありまして、大変有意義な会合ができたと思っています。6月に日本にお越しになると言っていました。
 それから、OECDの環境保全成果レビュー審査会合でございますが、4日に大谷政務官に日本政府の代表として審査に臨んでいただきました。内容はもう公表しておりますので、皆さん方御案内のとおりでありますが、若干、石炭の使用によって、日本のいわゆる温室効果ガスの排出が諸外国に比べて多いという指摘の新聞記事がございましたが、全体としては、地球温暖化基本法の話も含まれておりまして、大変、そういった意味では、私どもとしては積極的に評価をしていただいていると思います。石炭の使用に関しても、あくまでも原子力の今の状況がやや停滞をしている状況なので石炭の使用が多い、こういう書き方になっている点も、ここはぜひ皆さんにもしっかりと注目をしていただいて、一過性のものであるという認識だということを是非御理解をいただきたいと思います。いずれにしても、現在基本法で行われているような内容が指摘をされているわけでありまして、それがしっかり通っていけば、ある意味ではOECDの勧告を超えた対応が日本政府としてできるというふうに我々としては思っておりまして、これは環境省のある職員の言葉でありますが、OECDの勧告を、今まである意味ではテコに、日本の環境政策をやってきたけれども、今回は完全にOECDの勧告を、今の我々の政策は追い越しているというふうに思っていると、いうふうに思っております。
 それから高速道路の無料化社会実験によるCO2排出量の検討、前から皆さんにお約束をしていた件ですが、若干遅れて申し訳ありませんでしたが、本日発表をいたします。11時から記者レクをさせていただきます。国土交通省と、それから環境省で一体で発表するという話になるわけであります。今後また社会実験を行っていきますけれども、そこに至るまでの予備的な検討を行ったということでありまして、それをまた11時からの会合で詳しく見ていただければいいのですが、実際のデータや、それに基づく知見が不足していることから、両省の統一的な見解とするには至っておりません。両省の事前検討では、今回の無料化社会実験は、自動車のCO2排出量全体に及ぼす変化はごくわずかであり、ほぼ中立であるという結論になっておりまして、具体的に言いますと、現在の自動車からのCO2総排出量の増減は、国土交通省の試算は0.1%マイナス、25万トン/年マイナスというデータ、環境省の試算は0.1%プラス、33万トン増加という話になっておりますが、両省であわせて、それを発表させていただきたいというふうに思っております。引き続き今後の社会実験等を通じて両省で検討を行ってまいります。
 それから、生物多様性の10年という提案を、5月10日からナイロビで開催されるCOP10の準備会合において提案をしてまいります。この生物多様性の10年という話は、一言で申し上げると、いわゆるCOP10には米国が入っておりません。でありますので、米国を含めて、いわゆる国連全体の中で生物多様性の10年というのを決めて、そして、しっかりとそういったことをやっていこうという趣旨であります。ポスト2010年目標に盛り込まれる予定の2020年までの世界目標に関し、生物多様性条約の枠組みを超えて、他の国連機関や米国等も参加した国連システム全体で目標達成に向けた取組を推進していきたいという趣旨で提案をさせていただきます。現在の2010年目標は達成されなかったと評価される見込みでございますが、その理由の一つには、目標達成に向けた進捗状況の認識が欠けていたことが挙げられます。生物多様性10年の取組を通じて、10年間の進捗をきちんと確認していくことは、次期世界目標の推進に大きく貢献できるものと考えての提案でございます。以上です。

2.質疑応答

(問)まず、ボンの閣僚級会合の件ですけれども、コペンハーゲン合意に基づく交渉というものについて、また改めて提案されたということですが、COP16に向けて、交渉そのものが前進するだけの材料が得られたというふうにお考えなのかというところがまず一点と、もう一点、ヘデゴーさんとバイで会われた時に、アメリカ、中国の参加を前提に、京都議定書の延長について容認するような御提案があったというふうに聞いているのですが、それについて日本として、改めてどういうふうに臨むお考えなのか、その2点をお願いいたします。
(答)COP16に対して本当に徹底的な結論を得られたかという話になれば、非公式の閣僚級会合でもありますし、そこまでは、得られたというふうに申し上げることはできませんけれども、十分有意義な会合だったというふうに思います。特に、ある意味でいうとCOP15の後、大変疲労感が皆ありまして、これは条約事務局含めてなかなか動きがなかった。そこを、正に前に向けた動きをスタートできたという意味では、これは大きかったというふうに思っています。
 それからあと全体会合は、ある意味でいうと、それぞれの国の主張ということでありましたけれども、その後のワーキンググループでの会合は、かなり突っ込んだ専門的な議論もしておりますし、そういった意味では、個別の部門の問題に関しては、かなり有意義な議論が、何の結論が得られたという話にはなりませんけれども、有意義な議論ができているというふうに思っています。
 それから、ヘデゴーさんとの話ですが、これはいつもヘデゴーさんが言っている話でして、ある意味で2本立ての話なんですね。米国と中国も、いわゆる数値目標という意味で言いますと、なかなか京都議定書のような形での付属書I国みたいな形での参加は望めないでしょうということを彼女は前提にして、しかし、いわゆる条約が空白になるのは困るので、京都議定書の単純延長は延長として行って、その上で、米国、中国をどう取り込むかという2本立てについてどう考えるかというのは、ヘデゴーさんとのいつもの議論でございます。日本としては、決定的に米国、中国が、後からでも必ず入ってくるという確証があるのだったら構わないけれども、そういった確証というのは得られないわけなので、そういった状況においては、日本としては、いわゆる京都議定書の単純延長というのは認められないという今までの立場を改めて申し上げたということです。

(問)来週、週明けからケニアである、生物多様性の作業部会及び閣僚級会合ですが、COP10の議長国としてどのような成果を期待されるのか、日本としてどういうリーダーシップを議論の中でとられるのか、その辺りについてよろしいでしょうか。
(答)これはもういつも言っておりますけれども、ポスト2010年の目標設定と、ABSとカルタヘナ、この3本柱で結論を得たいというふうに思っています。率直に言って、ポスト2010年目標に関しては、ある程度期待できると思っておりますが、ABS、カルタヘナ等々は、なかなか難しい局面だとは思っておりますけれども、しっかり努力をしてまいりたいと思います。

(問)高速道路なのですけれども、今日詳しくはこれからだということですが、結構時間がかかったように思うのですが、なぜここまで遅くなったのかということと、国交省とマイナスとプラスで分かれているというのは、どういう形で今後、解釈して理解したらよろしいでしょうか。
(答)後ほどモデルの説明等も聞いていただければと思いますが、いつもの話でありますけれども、モデルを作るに当たってやはり意見が違うわけです。色々なモデルの前提が。で、最終的に一つのモデルでの実験に、いわゆるシミュレーションにならなかったという話であります。時間がかかったというのは、そこの議論もなかなか収束がつかなくて、私と前原大臣と最終的に話をした上で、それぞれの、別々の試算ではあるけれども、同時に発表しましょうと。お互い共有するものとして。これはあくまでもモデルですから、そういうものですねということで共有しながら、今後社会実験の中で具体的な、社会実験をしていけば実際のデータが出てきますから、そういうものをしっかりやっていきましょうということです。最大のポイントは、誘発交通の見込みをどうするかというところで、国土交通省のモデルは基本的には誘発交通を見込んでいないという話であります。

(問)辺野古の移設問題で総理が現地に行かれて、辺野古にも桟橋案ということでやりたいと説明をされているわけですけれども、元々IUCNがジュゴンに関してはCOP10で重要案件にしていきたいというのは、去年スペインでもその姿勢を示している。あと桟橋案に対しては、日本のNGO自然保護協会などが反対を表明しているのですけれども、環境大臣として、現在の総理提案について、ジュゴン保全あるいは極限の浜サンゴ、最大級の浜サンゴが辺野古地区に確認されているのですけれど、サンゴとジュゴンの保全に関して、環境大臣として今後どのような形で発言されていかれるのかという姿勢を伺いたい。
(答) 当然のことながら、大変関心を持って見守っていますけれども、現時点においては、具体的な内容が明らかではありませんので、そのことでコメントして混乱を引き起こすのも良くありませんので、そこは控えさせてもらいたいと思います。本当に関心を持って見ておりますので、具体的な内容が出てまいりましたら当然のことながら、私としての、あるいは環境省としての見解も出させてもらいたいと思っています。

(問)「生物多様性の10年」なのですけれども、今度ナイロビでは、国連総会でそういうものを決定するという決議をしなさい、という決議案みたいなものを出すのですか。
(答)提案をするということです。決議案みたいなところまでは今回考えていない。あくまでも提案。出来れば、ですから12月の国連総会で最終的に決めたい、と。
(問)9月には国連の生物多様性のハイレベル会合があると思うのですけれど、そこで総理がそういったことについて提案されるような予定は。
(答)それは、提案をしていくことはしていきたいと思っております。ただ、全体のスケジュール感は今のような感じです。
(問)最終的に採択は12月だと。
(答)はい。

(問)高速道路のことで。一般的には無料化したら増えるという認識がかなり、国民にすると思うのですけれども、それに対してもう一度、環境大臣として、無料化というのは増えるのか減るのかということに対してどういう考え方をすれば良いのか、その辺を。
(答)今、国民の皆さんは増えるというのが一般的だという御意見がありましたが、我々は実は選挙の時は、渋滞が緩和されるのでCO2は逆に減るのだという話を言ってまいりました。でありますので、そこはまだ統一的な見解はできていないので、そこをしっかりとデータを作っていくことが大事だと思っております。社会実験が始まっていけばデータの蓄積ができますから、それをしっかりやることがまず重要だと思います。

(問)現段階ではニュートラルという感じなのか。
(答)今日の結果は、一言で言うと、そう大きな差はないと、こういう意味では中立的かなと思っております。

(問)5月1日に水俣の犠牲者慰霊式に、大臣としても初めての御参加だったと思いますけれども、あの場に立たれて、患者、遺族の祈りの言葉など聞かれて、どういうことをお感じになりましたでしょうか。
(答)改めて患者の皆さんたち、あるいはまた遺族の皆さんたちの気持ちを聞けたというのは、本当に、私としても、政策遂行の立場の人間としても良かったと思っております。心からの哀悼の思いを捧げてきたつもりでおりますけれども、さらに具体的な政策が効果が上がるように、しっかりとやっていかなければいけないと思っています。

(問)特措法の救済の申請受付も始まりましたけれども、今後の具体的なスケジュール感、判定委員会とか、その辺りはどのようになってますでしょうか。
(答)とにかく実際に動かしてみて、最終の締切りは皆さんも御承知のように今回は特に設定しておりませんので、そういった意味では、まずどういう申請状況になっていくのか、そこを見てから、そういう状況を見極めながら判断をしていきたいと思っております。いずれにしても現時点では、この前も知事や市長さんたちにもお願いをしてきましたけれども、あるいはまた患者団体の皆さんにもお願いをしてきましたけれども、政府としては周知徹底をさせていただいて、とにかくこぞって申請してもらいたいと思っておりますし、それは県としても市としても、あるいは団体の皆さんたちからも声かけをお願いしたいと、今はそういう段階だと思っております。

(問)「生物多様性の10年」なのですが、データ等も含めた2020年までの、何か行程表みたいなもの、というふうなイメージなのでしょうか。そうすると、COP10で決める2010年目標との違いというか、住み分けというか、そいういうのはどのように。
(答)これは少し言い方が難しいのですけれど、要するにCOP10にアメリカが入ってくれていれば良いわけですが、入ってないので。そういう意味では、中身は全く一体で決まっていけばそれで良いと僕は思っているのですが、アメリカをどう巻き込んでいくか、と。あるいはまたアメリカだけではなくて、この条約に入っていない国をどう巻き込んでいくかという、ある意味での日本からの意志、提案だというふうに受け止めてもらうと良いと思います。

(問)高速道路の件で、国交省と様々な議論があった結果、6月から新しい料金体系が始まるかと思うのですが、今後の無料化に向けての議論の中で、今回の結果というのはどういう影響を与えてくるというふうにお考えですか。
(答)それは先ほど申し上げたように、今回の結論というのは割と中立的だったので、いわゆる6月からの話は、それは政府全体として、どういうふうな形になっていくか政府全体として決めていくということに関しては、全く影響ないというふうに思っております。中立的だったと思っております。

(問)先週、新宿御苑で、総理も生物多様性のイベントにお見えになって、1日に100種以上絶滅しているのだというのを、御自身訴えられていたのですけれども、ずっと私何回も同じ質問をいつもしておりますが、今回の政府、総理が表明された辺野古移設案というのは、ジュゴンへの生態系には影響はあるのか、あるいは無いのか。大臣はどのようにお考えですか。
(答)そこは、ですから、まだ結論は得られていないというふうに思っております。もちろん、これまでの政府のアセスの報告は聞いておりますけれども、これからの話に関しては、先ほども申し上げたように、具体的な内容が固まって以降、私としても、そういう見解を申し上げたいと思っております。関心は高く持っているつもりでおります。

(問)沖縄訪問の件で、一閣僚として今回の訪問の評価というのはどのようなものですか。
(答)いろいろな見方があるのでしょうけれども、やはり国のトップが、ある意味で、逆風の中、しかし国民の皆さんと直に話をしに行きたいという思いで行動を起こしたところを、私としては評価を申し上げたいと思っておりますし、それに至るまでのいろいろなやり方ということに関してはよく見えないところもありますけれども、私自身も直接加わっていませんから、しかし、最後はやはり自分がやるんだという、総理の大変強い決意は感じたというふうに思っています。
(問)それでは、今回の訪問を評価されているということですか。
(答)そうです。それは。

(以上)

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