本文へジャンプ
ここから本文
環境省大臣記者会見・談話等>政務三役会議後記者ブリーフ要旨

大臣記者会見・談話等

政務三役記者ブリーフ会見録(平成21年11月11日(水))


1.発言要旨

 私の方からいくつか発表させていただきたいと思います。主に三点発表させていただきます。一つは地球温暖化対策税の意見、それから二つ目が温室効果ガス、排出量2008年度の件、それからあとは私の海外出張の件、以上3つでございます。
 まず御手元に、皆さんのところに「平成22年度是正改正要望 地球温暖化対策税の具体案」というのが入っていると思います。横紙のこれです。先程三役会議において地球温暖化対策税のこの案を決定をいたしました。環境省として決定をしたとこういう意味でございます。地球温暖化対策税はマニュフェストにも記載されておりますようにですね、鳩山総理が表明された2020年までに1990年比で25%削減という新しい目標を実現するために、あらゆる手段をあらゆる政策を総動員するということの中の一つの大きな柱だと思っております。この地球温暖化対策税は、環境の観点から税体系を再構築するという意味で、私はグリーン税制とこう申し上げておりますが、それの根幹をなすものでありまして、課税とそれにより確保した税収を地球温暖化対策に使うことでCO2削減効果と経済活性化を共に期待できる幅広い分野でCO2排出削減効果を期待できると言った大きなメリットを持っているものと考えております。このため早い導入が必要だと考えておりまして、平成22年度から導入可能な具体案ということで作成をさせていただきました。詳細は田島副大臣、大谷政務官から御説明をいたしますが、概略を説明いたしますと、原油、ガソリン、軽油等の石油製品、天然ガス等のガス状炭化水素、石炭を対象に、輸入者、採取者の段階で課税を行うとともに、ガソリンについては、これに加えて、ガソリン製造者等の段階で課税する仕組みとしております。税率については、暫定税率廃止を前提に税制全体として一定のCO2削減効果の確保を図ると共に、国の温暖化、地球温暖化対策に必要な財源を賄えるように設定いたしました。税収額は、総額約2兆円ということでございます。ガソリンについてはですね、全体の税負担水準をEU最低基準を目途に設定し、結果的には現行水準より1リットル当たり5円程度下がります。一方で、地球温暖化対策税と揮発油税や石油石炭税などの化石燃料課税全体の世帯当たりの直接の税負担額は、暫定税率が課せられている現行税制全体と比べて年間1,127円、月額94円の増加になります。実施時期につきましては、平成22年4月を要望していますが、これにつきましてはいろいろな考え方や御意見もあるので税調等で今後議論を深めていきたいと思っております。使途は、特定財源等はしませんけれどもチャレンジ25プロジェクトを始め、地球温暖化対策の歳出、減税に優先的に充てることと望みたいと考えておるところでございます。新税というと、経済のマイナス効果ばかりが強調されがちですが、このような使途となる政策と相まって、国際的な低炭素社会への流れにいち早く対応した経済行動を形成することができると確信をしているところでございます。今後税調において十分な議論を行い実現されるよう全力で取り組んでまいりたいと思っておりますので、また、皆様方の御支援もよろしくお願いしたいと思います。
 二つ目でございますが、2008年度の温室効果ガス排出量速報値、これは渡ってるんですね。渡っていませんか。それでは先ほどの温暖化対策税で渡っている資料として、神野先生の談話が入ってますね、神野先生の談話もいただいておりますので、それも見ていただきたいと思います。それでは、速報値の方でありますけれども、後ほど2時からですね、事務方から詳しく報告を申し上げることになっているようですが、2008年度の温室効果ガスの総排出量は、約12億8,600万トン。基準年90年の総排出量と比べると1.9%増加、約2,440万トンです。1.9%の増加となります。2007年度と比べるとエネルギー起源二酸化炭素排出量の減少が著しく、総排出量としては、6.2%、約8,520万トンの減少となります。2007年度と比べると排出量が減少した原因としては、金融危機の影響による年度後半の急激な景気後退に伴う産業部門をはじめとする各部門のエネルギー需要の減少などが挙げられます。産業部門の排出量は、前年度比10.4%、約4,880万トンの減少であります。これにより、2008年度単年度に限れば、吸収量の確保やクレジットの取得が順調に進むという前提の元で、京都議定書の目標達成の目安に達していると言えると思います。しかし今後、景気動向で通常の状態に戻れば、それは排出量は増加する訳でありますので気を緩めることなく対策を実施してまいりたいと思っております。
 それから、最後が私の出張が決まりまして、皆さん御案内のようにプレCOP15がコペンハーゲンで行われます。開催日は、11月16日、17日ということでありまして、15日の夜にデンマーク政府主催の閣僚級晩餐会がありまして、そこからスタートいたします。そこに行ってまいります。15日日曜日の12時半成田発、帰りは19日10時40分成田着で行きます。バルセロナでの会合を受けて、閣僚級会合になるわけでありまして、それも12月最終会議に向けてのある意味では、閣僚級としてはですね、それに向けてしっかりと、首脳級会合に多分12月はなるでしょうから、それに結び付けていけるように仕事をしたいと思っています。私からは以上でありまして、後は、また皆さんからの御質問でお答えしたいと思います。

2.質疑応答

(問) 改めて温暖化対策税ですけれども、暫定税率の衣替えじゃないかという議論がありますけれども、それに対する御見解をお願いします。

(大臣) チャレンジ25でですね、あらゆる政策を導入していくという話の時に当然のことながらこの温暖化対策税もその大きな柱になるというのは、もう記者の皆さん方も御案内の通りであります。そういった意味では、暫定税率の時期とある意味では廃止の時期とこの新税のスタートが重なるということにはなるわけですが、基本的にベースになる考え方は全く違うということでありまして、私どもとしては環境省かねがねですね、この温暖化対策税は創設をしたいとこう思っている中で、CO2の25%カットを国連で鳩山総理が表明して、大きなそういう流れの中でそれを実現していくことが不可欠と判断をしているわけでありまして、決してそこはたまたま時期が近いとこういうことでありますけれども、元々の考え方は大いに違うとこういうふうに考えております。積極的に是非25%カット、あるいはまた新しい経済構造を作るために我が国にとって必要不可欠な税だとそういうふうに御認識を賜りたいと思います。

(問)規模2兆円程度という規模感については、これはどういう御判断からでしょうか。

(大臣)お手元の資料のところにチャレンジ25のために必要な予算額というものを付けていると思いますが、これは国立環境研究所の試算でありますけれども、そこにありますように大体2兆円から3兆円の間で必要だという話がありまして、そういうことの中の最も国民的な負担が低いという意味で約2兆円を軸に考えさせていただきました。同時にですね、ガソリンに関しましては、やはり先ほど申し上げましたようにヨーロッパの基準、世界各国の状況等を見まして決めたわけでありまして、そういう中での全体設計になったとこういうことでございます。

(問)税調のヒアリングの際には使途の部分で福祉にも使うべきだという意見も出ていましたけれども、一般財源にされるということですが、その点他の使途についてはどのようにお考えでしょうか。

(大臣)環境省としては温暖化対策に使っていただきたいという思いでございまして、それは申し上げていきたいと思っておりますが、その使い方はこれは政府全体のことでもありますので、いろいろな議論がこれから展開されるものと思っております

(問)大臣、4月に暫定税率がなくなって、少し間を置きたいとおっしゃっていましたが、そこら辺はどうなりましたか。

(大臣)環境省、環境政策の立場からはですね、4月からスタートするのが望ましいとこういうことでございまして、その立場を若干離れて、私政治家個人とこういう話でいった場合にはですね、まあ国民の皆さんが暫定税率が下がったねと、こう思っていただける期間があったほうがいいのかなというのは今でも思っているところでありまして、まあ税調の議論の中で深めていきたいとこう思っているところです。ただ環境政策の観点からは、それは4月からが望ましいとこういう意味で、そこは私も当然のことながらそういう思いで提案させていただいたということでございます。

(問)税調で地方環境税の議論もするという話が出ていますが、そことの関わりというか、棲み分けというのはどのようにお考えでしょうか。

(大臣)是非そこも環境政策の観点で考えていただきたいなとこう思っておりまして、一つ目の横書きの資料の一番下のところに、軽油についての個別の課税については、税制調査会において別途ガソリンに準じて検討が必要という書き方をしているんですね、こういう思いであります。ただ地方税ということになればですね、それは総務省の方でやっていただけるとこういうことのようでありますので、私どもとしてはこういった考え方で是非お願いしたいということでお任せをしたいとこう思います。

(問)ガソリンの税率が5円程度下がるということで、CO2の増加についての御意見をお伺いしたいと思います。

(大臣)それについては確かに増加することになるとこういうように思っておりますが、そこは前から申し上げておりますように、暫定税率というものは元々はあっておかしな税金なわけですから、まずそれをやめると。そのいわゆるCO2排出の増加に関してはあらゆる手段でそれをキャンセルアウトしていくということが必要だと思っておりまして、今回のこの税制もそうでありますし、この税収から上がってくる予算としての対策、そういったもの全体で止めていくことが必要と、こういうように思っております。まあ率直に言って、この地球温暖化対策税の全体像の紙を見ていただいてお分かりのように、Aの部分がガソリンへの課税分になっているわけですけれども、これが先ほど申しましたEU基準に照らして、これ以上下げるとやはり今御指摘のようなCO2の排出があまりにも増大しすぎるということで入れさせていただいたと。こんどはここのCの部分ですね、このCの部分、いわゆるCO2排出のエネルギー源全てにある意味では均等にかけていく、この税制が望ましいと、我々としては、環境政策的には最も望ましいというように思うわけでありますが、それは前から申し上げているように担税力とか、あるいはCO2排出の影響等を考えてこういう形を取らせていただいたと、こういうことでございます。

(問)もう1点お願いなんですが、排出量の方は勉強会を開いていただけるということですが、税についてもちょっと御検討いただけないでしょうか。事務方の説明でも。

(大臣)じゃあ、それは検討させてもらいましょうか。

(事務方)ちょっとそれは事務方だけというわけにもいきませんから、できたら時間を決めてですね、この後副大臣に来ていただいて、例えば1時から会見室でやるというのはいかがでしょうか。あとは副大臣を中心に。副大臣、1時でよろしいですか。

(副大臣)はい。

(大臣)税の専門家であります田島副大臣にお願いします。

(問)排出量の方ですが、家庭とか民生とか依然と増えていると思いますが、国民一人一人、どういうことが必要になっていると思われますか。

(大臣)正にそういう問題意識を我々も強く持ってまして、これからの、要は副大臣級のチームがありますですね、それで対応策を今練っているところでありますが、正に日々の暮らし、正にそこに焦点を当てて対策を打っていきたいとこう思っているんです。ですからこないだ皆さんにも参加してもらいました、前東大総長の小宮山邸のようなですね、ああいったモデルケースを大いに活用していきたいと思っておりますし、あそこはあれで80%減だそうですから、しかもそれは市販のものを使ってのことですから、太陽光パネルにしても、ヒートポンプにしてもですね。そういった話を浸透していけばですね、十分に私は25%達成は可能だと思っています。それをチャレンジ25のいわゆる広報宣伝で、実は朝もそういった会議をやらせていただきましたが、国民運動という形で広く、12月初旬くらいで新しいパブリシティをキックオフしたいとこう思って今準備をしています。

(問)国民一人一人が、それこそ自らCO2を減らすという意識というのが必要になってくると。

(大臣)そうですね。国民の皆さんが一緒に減らす、国民一人一人も自分のこととして減らす、で政府としても最大限バックアップする、そういう正に三者一体の運動を作れないかとこう思って、今やっています。それはいつも申し上げていることですが、けっしてマイナスの話ではなくて、小宮山先生の言葉を借りて言えば、大変快適な環境を作ると。電気料も安くなって、そしてすぐに部屋も暖まる、涼しくすごせる、快適な環境を作る中でCO2を削減していくことができるのだから、こんないいことはないじゃないですかと。こういう動きをですね、しっかりとわくわくしてやっていこうと思っています。

(問)税率でガソリンだけが別立てになっているところの理由をお聞きしたいのと、暫定税率廃止とのインターバルですが、4月に導入したいというお気持ちだということですが、もし許容範囲としていつ頃まで許容できるか、その2点についてお願いします。

(大臣)ガソリンに関しては先ほども申し上げましたように、一つはCO2排出の影響に対する影響が大きいということの中で、諸外国の例を見てもですね、割とこういう形になっているわけです。参考に今回させていただいたのはEUの基準ということでありまして、それを参考にして決めさせていただきました。それともう一つはまあ担税力と言いますか、それもあるわけでして、例えば石炭も今回は増やしておりますけれども、一気にですね4倍、5倍の価格の上昇につなげる話は、激変緩和の意味からもそれは望ましくないだろうとこういう観点ももちろんあって、全CO2排出品目への課税というものはこの辺が限度かなとこういう思いでございます。それから実施時期に関しては、環境政策としては4月からのスタートが望ましいということでありまして、あとは国民の皆さん方にどういうように受けとめていただけるか、それによるものとこう思っています。

(問)産業界、あるいは経産省の反対があると思いますけれども、その辺りはこの内容で理解が得られるとお考えでしょうか。

(大臣)まあ税がなければですね、それにこしたことはないというのは当たり前のことだろうとは思っておりますけれども、ただ先ほど申し上げましたように、本当に地球のために必要な経済構造を作っていくということの第一歩としてはですね、納得をしていただければいけないし、そのことは逆に経済的なチャンスにも繋がっていくわけですから、これをインセンティブにしてですね、大いに技術革新をしていただきたいとこういうように思っていますし、また別に、別途軽減措置もそれは経済界の皆さん、あるいはまた所得の低い皆さん方を含めて、手当はしっかりとしてまいりたいとこう思っておりますので、こういったことできめ細かく対応することで納得をしていただけるものと思っております。

(問)現行制度から世帯当たりの負担は年間1,127円の負担増と書いてありますけれども、これを見てますと、CO2の削減効果はいくらかあるのでしょうか、どれくらいあるというように試算されているのでしょうか。

(大臣)前回の試算で、これは排出量取引は何%削減するという話が明確にあるわけですが、税の場合にはそれを受けて各国民の皆さんがどうかとこういうことなので、きちっとしたそういう数字は出せませんけれども、価格効果としては2%と環境省としては思っておりまして、これに加えていわゆる予算措置での軽減効果もありますので、ただこの予算措置は本当に削減、今回は大きいところにぴしっと予算を付けていただければ大きくなるけれども、そこがどうなるかとこういう話もありますので、総じて5、6%くらいの削減効果が期待できるものとこう思っています。

(以上)

▲Page Top