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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成21年9月7日(月))


1.発言要旨

 本日9月7日の事務次官等会議でございますが、国会提出案件1本と政令2本、人事は、国際代表ですが、我が国の国際的な交渉の代表についての命ずることや免ずることが8本ございました。環境省関係は特にございませんでした。私の方からはそれ以上申し上げることはございません。以上です。

2.質疑応答

質問
先程、民主党の鳩山代表が都内の講演会のスピーチで90年比25%削減を目指すと 明言されております。これに関して3点ほどお聞かせください。まず一点目は、この発言に対してどのように受け止めていらっしゃるか。2点目は、環境省としてこの中期目標の達成、実現に向けてどのように対応を取って行かれるか。3点目は、この90年比25%削減という中期目標そのものへの評価、どのような見解をお持ちなのかをお聞かせください。

今日の次官会議後の会見も時間を変えていただきましてありがとうございました。私も現場で聞かせていただきまして、それが終わった後すぐに戻ってきたわけであります。まず、最初の第一点目の受け止め、感想ということだと思いますが、大変身が引き締まる思いといいますか、いよいよだなぁと感じました。もちろん、選挙戦中からマニフェスト等で書いてございましたので、中身についてはもちろん知ってはいるのですが、それがもうすぐ総理になられる方の方針として、はっきり国際的に語られたということでありますので、そういう意味では、大変厳粛に、いよいよだなぁということで、そういった実感を持ったというのが感想でございます。
 それから、達成に向けた対応ということでございます。総理になられる方の方針ということですが、この後、実際に組閣をされ、そして環境大臣の発令をされ、その大臣の下で議論をして、具体的にそれをどう実現していくかということについて省内で議論できる。また、政府の中でどんどん議論するというのが、新しい内閣の今後の方針と聞いておりますので、そういう中で関係の府省の大臣と環境大臣もおそらく協議されるということだ思いますが、そういった中で達成に向けて環境省としては精一杯やっていきたいというふうに思っております。
 評価ということですが、事務方が総理の御発言について評価というのは、大変僭越な気もするのです。やや個人的になるかもしれませんが、いくつか思うことがございます。一つは、IPCCの科学的知見に則って判断をするということをおっしゃっていらっしゃいました。そういうことでありますので、これは先進国全体として2020年くらいには、25%くらいは削らないといけない。そうしないと80%削減までの道のりが大変険しいものになるということは、かなりIPCCのレポート等について言われていたわけでありますので、そういう意味で言いますと科学的知見重視ということなのかなということで、それはそれで大変クリアな御意見だと思いました。京都議定書を達成した後、2013年以降、2050年という長期目標でありますと40年くらいあって、そして80%までいかなければいけないとすれば、単純に言えば、20%ずつくらい削るということですから、京都議定書はマイナス5しかやっておりませんので、そういう道のりからいっても、科学的なことを離れて、そういう相場観があるのであろうとも思っておりました。そういう意味では、その中で日本がどういう役割をする、あるいは日本がそれだけ突出したら不公平ではないかというようないろいろな議論はあると思いますものの、先進国並みにやっていこうとのお考えと受け止めた次第でございます。それから、もう一つは、元々の現内閣といいますか、麻生総理の提案も05年比15%真水ということですが、これは、交渉の第一歩だという言い方をされております。交渉如何については、積み上げていくということだったと思いますが、それをその小出しにするのではなく、言い回しは正確ではないと思いますが、国際交渉上、国際交渉が前に進むことにあたって、日本が大きく貢献したなぁと言われるようにしたいとおっしゃっていらっしゃいました。これが交渉態度として大きく変わったというと変ですが、また一つのお考えを示したのかなというように、評価といいますか、感想を思ったところでございます。
 2点申し上げると申し上げたのは、一つは科学的知見の重視ということと、交渉についてのスタンスといいますか、交渉を前に進めるために積極的なことを言うということだと思います。いずれにしましても、国連で22日に詳しくということでもありますし、各国の御賛同なり、これは何%計算できるかは、国際ルールによるわけですが、国際ルールができなければ積み上がらないわけでありますけど、そういうことが前提になるという風におっしゃっておりましたので、そういうことの交渉を含めて、道のりはなかなか大変だと思います。いずれにしても2つの観点がクリアであったというのが私の評価でございます。

質問
今の質問からですが、90年比25%減というのはいずれも高い目標で、達成が難しいというか、無理ではないかというのが産業界を中心にあると思いますが、家庭にも負担が及ぶといった不安があると思いますが、実現性や経済的な負担という点についてどうお考えでしょうか。

これから新大臣の御指導の下、きっちりと解明し、説明していかなければならないと思います。ここで頭ごなしに「いや、大丈夫です」とか申し上げるのは、少し僭越かなと思います。ただ、私の一般的な受け止めですが、真水でマイナス25というのは大変厳しいとは思いますが、国立環境研究所につきましても、今、御指摘のとおりですが、いろいろな投資とか対策を取れば、技術的にはもう少し真水でも大きな数字が出せるという結論を出していますので、そういったものを使いながら、説明をしていきたいと思います。また、技術があれば、対策をやるにはお金がかかるということに尽きると思いますが、お金は外国に出て行ってしまうものではありませんので、国内に留まって新しい製品を作ることに投じられるので、今みたいに需要がないという時に、それこそグリーンニューディールではありませんが、むしろ経済を前に進めるという効果もあるのではないかと思います。鳩山代表がおっしゃっていたように炭素に依存しない経済づくりは、むしろ日本にとってはチャンスなんだということをおっしゃっておりましたとおり、そういった側面があるということも今後の作業の中で環境経済大研究とかいろいろなことで研究を進めておりますので、そういった成果なども援用しながら、国民の皆様の御心配に応えられるように環境省としてもしっかりやっていかなければと思っております。

質問
民主党の人事などがだんだん固まり始めていて、国家戦略局に脱官僚を掲げている菅直人氏が就任という話がありますけれども、菅氏が脱官僚を掲げながらトップに就かれるということに対して事務方といいますか、次官の方から御意見があれば、どういうように思われているでしょうか。

脱官僚といいますか、当然そういった今までの官僚制ということに対する御批判もあって、こういう選挙結果にもなったのだと思います。そういう意味で、それぞれの役所によって、お考えとか官僚の果たしている役割というものは違うと思いますので、一概には申し上げられませんけれども、私ども環境省であれば、前の次官会見の時にも少しそのような御質問があって、2回程お答えしましたけれども、環境省は新しい役所でもあり、国民目線でやってきたつもりではあるんですが、それが独りよがりになっていないかどうか、もう一度よく点検して、初心に帰って国民目線でやっていかなければいけないというように思っております。脱官僚とか反官僚というスローガンの問題ではなくて、ちゃんと国民のニーズに応えた行政をしていくということが一番大事ではないかなと思っております。

質問
補正予算などでまだ執行していないものというものは、環境省の中にはあるのでしょうか。

環境省の補正予算ですと、ちょっとうろ覚えで申し訳ないのですが、1,800億円ぐらいの補正予算だったと思います。これは環境省の本予算に見合うぐらいの大変大きな金額なんですが、そのほとんどがエコポイントのお金でございまして、それについてはどんどん執行が始まっております。いくつか例えば設計段階とか、設計の公告をしていて契約に至っていないというものもあると思いますし、私が記憶しているところでは大所はもうすでに執行が始まっていますけれども、小さいところも含めていっても、補正予算ですから、景気対策で早くやるということがやはりどうしても任務でございますので、使わないと景気が良くなりませんから、そういう意味で例年でございますが一生懸命やっていて、そんなに残っているところは、少なくとも金額ベースでは大きくはないのではないかと記憶はしております。

質問
中期目標の件で質問ですが、今回90年比25%という数字を打ち出して、また先ほど次官がおっしゃったように、これまでの現政権と姿勢を変えられたということは、実際に国際交渉を前に進める原動力になるというようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。

それは交渉ごとですので分かりませんけれども、ただやはり私のところはできないとか、これじゃ嫌だとか言っていると交渉はあまり進まないのは事実だと思います。ですから、自分達としてはこういう条件が満たされればこんなこともできるということを明らかにする作戦もあるのではないかなと思います。何と言いますか、地球を守るための競技みたいなものですから、自分だけが得になるようなルールというわけにもいかなくて、やはりみんながそれぞれ得意な地球に対する貢献の仕方というものがあると思いますので、そういうものが認められるように、俺はこういうのが得意だからやりますというようなことをみんなが言うという方が、これはできない、あれはできない、あなたの言っているルールはいやだと言うよりは建設的な結果ができるのではないかと思います。私は本当に少ない経験で、京都会議の時の経験ぐらいしかないのであまり難しいことは分かりませんけれども、みんながそれぞれが、力を出せることというのは互いに違っていますので、それがみな活かせるようなルールを作るというポジティブなことは大事でないかなと思います。

質問
25%に関連してですが、鳩山代表は基準年を90年にして発言したわけですけれども、次官としては90年比としたことをどのようにお考えですか。

私は特段の違和感はございません。というのは05年比であれ、90年比であれ、どちらの言い方も想定しているわけです。そもそも京都議定書の90年というのを使われた理由というのは非常に単純でございまして、枠組条約が90年の排出量に戻すと言うことを唱って、対策を始めたと言うことです。何故枠組条約が90年かと言えば、92年に枠組条約が署名された時の直近年の90年。だからこれから国際ルールができるのでその前の状態にまず戻す。あるいはそれに比べて削り込んでいくということが採用されたのだと思うのです。そういう意味で90年というのは特に他意のある数字ではありません。例えば日本にとって得だとか不利だとか。そういう基準年をそういう意識で選んだものでは全くないんです。でもある年を選ぶとそこからみんなで同じ数字で削減すると、損な国、得な国があるというのは事実です。ですので、京都議定書では削減率が差異化されたということでありまして、日本について言えば、最終的にマラケシュ合意まで含めると、CO2については90年比プラス0.5%で国際公約が果たせるという約束になっておりますので、そういう意味で別に90年だから不利だとか、05年だから得だとかそういう損得の話でないはないような気がいたします。ですからどんな削減率であれ、90年比で言えばどれくらい、05年比で言えばどれくらいとかいうのは、京都議定書に入っていない国もありますから、そういう年号を翻訳しながら使っていくのは別におかしいことだとは思いません。環境省自体として90年比でなければだめだとか、90年比はおかしいと言ったことはなかったと思います。常に90年を一つのレファレンスにしてきたじゃないかと個人的には思います。ここに地球局がいませんのでよくわかりませんけれども、少なくとも私はそういうように思っております。質問に戻りますと、90年比で発言されたということについて特に違和感があるということではございません。

(了)

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