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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成21年7月9日(木))


1.発言要旨

 今日の事務次官等会議の案件は、一般案件が1件、法律案が1件、それから政令が3件ありまして、3件目が環境省の関連でして、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法施行令であります。これは施行令といっても、実はものすごく技術的なもので、法律案の中に税金の特例が書いてありまして、例えば被害者手帳で交付する医療費は消費税法の適応になりませんとか、法人税の特例の部分の読み替え規定を作るとかというもので、税の特例とセットのもので、判断のいらないものです。横並びですとか、相手が政令なので、政令で直さなければならないものがあったので、昨日、法律が成立しましたので、とりあえずそこの部分を手当てしたということです。純法技術的なものなので、どちらを先にやってとか順番がつくようなものではございません。案件は以上です。
 昨日、水俣病の特別措置法が本会議で成立いたしました。私どもとしては、被害者の救済と水俣病問題の解決のための枠組が与えられたということで、本当にありがたく、心から感謝しております。ひとえに園田先生を始めとする立案に当たられた国会議員の先生方の大変な御尽力の賜物だと思っております。環境省としては、その趣旨を大切に、救済の実現と問題の解決に全力で当たらなければいけないと思います。ただこれを進めるに当たっては、熊本県、鹿児島県、新潟県といった地元自治体と緊密によく連絡を取らなければいけませんし、またなによりもいろいろな立場、意見をお持ちの被害者団体がいらっしゃいますので、これから丁寧にお話していくということがまずあって、それから協議をして理解を得ていくということが非常に大事になります。そういう積み重ねによって、救済の実現、問題の解決がだんだん現実のもの、確かなものになっていくように、こつこつとやっていかなければならないことだと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

質問
水俣病の特別措置法の話ですが、具体的にはこれからということになると思いますが、救済の中身について、多少なりとも見えてきた部分、スケジュール等がありましたらお願いします。

与党の立案過程では、私どももいろいろな想定、検討もしてきました。しかし、国会で各論点、全体に渡って、真剣な議論がされまして、それぞれについて修正もされた訳で、今回こういう形で特別措置法が立案、成立したということでございますから、この国会での議論、そして修正された内容について私どもも深く受けとめて、その趣旨を一度しっかり反芻してみて、今まで検討してきたことだけによるのではなくて、国会での議論、修正された趣旨を反芻して、しっかり考えていく必要があると思います。そういう作業は拙速に行うのでなく、救済の実現のためによく考えてみるという必要があると思いますので、この場で予断を持って何か申し上げるのは控えたいと思います。

質問
一方で、患者団体の中には一刻も早い救済をという声もありますが。

いろいろな意見がありますので、やはり立法に当たられた先生方の指導をしっかり受けていくということと、例えば、実際にどのように検査をするのかといった事柄も自治体とよく相談しないと現実的ではありませんし、そういうこともしていかなければなりません。そういうことをした上で、しっかりと被害者の方々とお話をしていくということになると少し時間がかかると思います。他方で、これだけの関心の事項ですし、中身について不安に感じている方々もいらっしゃると思いますので、国会での議論や事実の経過などを事務的に説明するということを、県とも相談して、必要があればする、今お示しできるものがないから知らん顔をするということではなくて、できるだけ丁寧にお話をしていくということが大切で、そのためにどういうことをしたらいいかということを事務方と地元自治体で相談したほうがいいと私はこの瞬間思っています。

質問
先ほど水俣で経過を住民に説明するとおっしゃったのは、何か環境省として地元で説明会を開くということでしょうか。

やり方については県と相談をしたほうがいいと思っています。実際にどう動かしていくかということをしっかり考えて、自治体ともよく相談しないとすぐにはなかなか決められないことがたくさんあると思いますけれども、その間国会では決まったけど、まったく説明がないというのもどうかと思います。自治体の思い、意見もあるでしょうし、受けとめられる方もそんな決まらないような話を持ってくるなとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんから、そこはそれぞれご相談をして、聞きたいとおっしゃるところには私は分かっている範囲の経過なり法案の内容なりを説明するところから始めたらどうかと思っています。

質問
今後どうなるのかというタイムスケジュールはいつ示されるつもりでしょうか。

ちょっと難しいですね。そこを含めてよく考えさせていただかないと。やはり行政がものを考えていく訳ですから、実際に体制が取れるかということが問題になってきます。じゃあ自治体は私達が相談した時にどのぐらいあれば答えられるのか、まだやっていませんし、私自身もまだちゃんとイメージできていないので、もうちょっとよく保健部内でも議論し、自治体とも相談をしないと、ちょっと上手く描けないと思います。

質問
経過というのは法案成立の経過ということでしょうか。

今知っていることと言った方がいいかもしれません。地元で法案の中身について、正確に知っておられるかどうか分かりませんから、まずは事実の御説明というところからでもやっていったらどうかと私は思っています。

質問
それは最初は被害者団体からということでしょうか。

それは県と相談します。今の段階は事務的にということです。

質問
今後、一時金の額など措置の中身の話がされていくと思いますけれども、ちょっとはっきり誰が責任を持ってその話を進めていくのか見えない部分があるのですが、次官としてはどのようにお考えでしょうか。

法律上は政府に委ねられているので、いずれにしても私達が責任を持たなければならないと思います。ただし、これは先ほども申し上げたとおり、法案の全体に渡って、国会で大変真剣な議論が行われた訳ですから、私達もこういうことで議論がされたということは承知しておりますけれども、これからそれを具体化していく時に、国会での議論、修正などをした趣旨に沿っているかどうかということも必要な範囲で相談をしていかなければいけません。最終的には政府において救済の方針を決めるということになっておりますので、私達としては責任を持って、そこは逃げも隠れもできませんから、ちゃんとできるよう努力していく、そういうことだと思います。

質問
具体的に、救済措置の方針の中でこれから決めていくことというのは、どういう形になるのでしょうか。

それは最初に申し上げた通り、私達はこれまで準備している間にいろいろ考えたことはありますけど、今回これだけ議論になったものですから、もう一度ここでしっかり考え直して、どういうことが必要かということを考えることが大切です。それまでは個々の話は予断を持って言えません。

質問
解散総選挙が近いのは間違いないと思いますが、それによって影響を受けることはあるのでしょうか。

早く救済してくださいという方がいらっしゃいます。それに応えなければいけない。ただし一方では、園田先生も言っておられたように、いろいろな団体、方々もいらっしゃって、願わくは全ての人とちゃんと話ができて、解決に向かわなければならない。その二つの要素があると思います。自分のところを早くやって欲しい、おっしゃっている方にも応えなければいけませんが、やはり全ての団体、いろいろな主張の方と願わくは全部話をして解決したいということをどうやって動かしていけば円滑にいくかということです。それでまた不信、不満が起こるといけませんから、そこのやり方はよく考えなければならないと思います。少し政治的配慮ということをおっしゃったと思いますけれども、そうではなく、そこはよっぽどしっかり考えなければならないと思っています。

質問
現時点で、環境省として、被害者団体と交渉に加わるという構えでしょうか。

法案を説明するのと同時に、誰がどうやって交渉するかということを含めて、いっぺん考えを聞いてくる必要があるかもしれませんね。そこはぜひ柔軟に、丁寧に聞いていくというところから始めないといけないと思います。

質問
その作業というのは、先ほどおっしゃった説明会の中でされていくということでしょうか。

説明会という形になるか分かりません。よく説明をしていくという作業が必要だと思っています。

質問
チッソ、それから昨日態度をはっきり示さなかったと言われている昭和電工ですが、そちらとの話し合いはどう進めていくおつもりでしょうか。

同じ被害者ですから同じように救済を実現しなければならないと思いますが、地域によって今までの経過、それぞれの団体の方の考え方が違うのも事実ですから、そういう面では新潟、阿賀野川の水俣病をどう解決に導いていくのかということについては、もう少し県と相談していく必要があると思います。やはり熊本県の方が非常にたくさんの方がいらして、先鋭的な問題になりましたので、熊本県とはずいぶん話をしていますけど、新潟県とは全体的にどうやって解決にもっていくか話をしないといけないと思います。

質問
水俣のスケジュール感ですが、地元での説明はもちろん県との調整もあるかと思いますが、だいたい早ければ今月中ということでしょうか。

そのような作業が必要であろうと私が思い切って言ったわけで、これから何をどういうステップでやっていくかを考えるのは、昨日成立したばかりでありますし、内容は最後のところでいくつも修正が盛り込まれておりますので、まだ環境保健部はそこまで検討が進んでいない状況です。しかし、私はやはり今、内容やスケジュールが示せることが無くてもいろいろな立場で非常に心配されている方もおりますし、あるいは情報が必ずしも十分でなく不安になる方もおりますから、そういうことを説明する気持ちがあるということを生煮えではありますが申し上げておかなければいけないと思っています。

質問
救済の範囲や一時金の額はまだ決まっていないと思いますが、具体的に優先順位をどこかに付けて取り急ぎやっていくような取組なのですか。例えば救済範囲についてもより詳しく内容を決めていくなど、全体の目標の中でこれは最優先でやっていくようなものがあるのでしょうか。

よく意味が分かりませんが、そういう構造をしているのでしょうか。今ご指摘のあったことについては、私はよく分かりません。被害者の方々が救済を求めておられ、それにどう応えていくか、しかしそれは理屈だけではなく、今までのいろいろな経過、立場、感情の問題を一つ一つほぐしてお話をしていくということですので、今のようなご指摘のようにメカニカルにいくつかあって順番のあてはめをやればできるようなものではないような気がします。

質問
救済措置の方針について、例えば遅くてもいつまでにというお話はありますか。

今聞かれてもお答えできません。

質問
昭和電工が受け入れについての態度を表明していないことについてはどのように思われておりますか。

熊本、鹿児島の救済をするのは、チッソが非常に大きな債務超過で支援をしながらやっているわけですから、そこができる形にしないと救済できないということがあったので先行して議論が煮詰まったわけです。昭和電工の方はそのような事情がありませんので、これから自治体も被害者の方も皆が納得できるような救済の内容を作っていくという作業だと思います。そうしたときに負担ができるような形を作るような部分は直接要らないわけですから、そういう面では別に遅れているわけではありません。どういう救済にするのか、被害者側の団体を受け入れられるのかどうかについて、新潟県の場合はしっかりやらないと昭和電工も検討ができないと思います。それは、被害者団体、自治体、企業と、これからだんだん具体的な中身を詰めていくに即して、煮詰めていく話しだと思います。それが結局、解決の方向に向かって終息するようにしなければならないと思います。今、訴訟をされている方や被害者団体の方もかなり厳しいことを言っておりますので、しっかり話しをしていくことから始めないと、先もって昭和電工がどうするか、県がどうするかというよりは、まず県ともよく相談して、被害者団体の方とよく話しをしていくことから始まるのではないでしょうか。

質問
内容としては、熊本、鹿児島と基本的には同じ形のものを作られるのでしょうか。

「予断を持って決めない」と言いながら言うのはおかしいと思いますが、基本的の考え方としては、皆さん被害者は同じと思っているのではないでしょうか。被害者の間に差異があるとかではなく、被害者の方は同じく被害者であると各団体共に思っていると思いますし、これからよく話しをしていかないといけないと思っております。

質問
解釈すると枠組みが決まれば、昭和電工が原則に則って負担するのは当然という考え方でよろしいでしょうか。

解決することに目掛けて昭和電工も努力をしていただきたいですし、チッソの場合と違って、努力しようにも会社の体制を直していただかないと努力できませんという事情はないわけですから、解決に目掛けて被害者の方も自治体の方もちゃんと話しをしていく方向で議論が進めば、昭和電工もその議論に入っていただけると私は思います。基本的には解決したいという気持ちはあると思います。

質問
国の方から昭和電工に態度を伝えられていることはあるのでしょうか。

熊本と鹿児島は結局チッソを支える体制を作るための議論が非常に長く先にありましたので、議論が行われていますが、新潟の方は県とも相談して今被害者団体の方も非常に厳しいことを言っておられるのですから、ちゃんと解決に持っていくようにどういうように話しを持っていくのか、丁寧にほぐしていかなければならないのですから、解決に持っていくためにどういうことをすればよいのかをよく相談して県でも考えていただき、その線に沿って私たちも最大限の努力をしたいと思います。

質問
ラクイラサミットで、G8の交渉が終わりました。温暖化についても宣言案というものが出まして、この中では世界全体で2050年半減を目指して、先進国が80%減らすというものとか、気温上昇を産業革命前から2℃に止めることを認識するという文言も入り、このあたりを昨年より進歩したという受けとめの声もありますが、次官はどう受けとめていますでしょうか。

宣言案をすべて読み切れた訳ではありませんが、生物多様性の問題などいろいろな重要論点について、宣言案には盛り込まれていると思います。ただ一番関心の高い気候変動の問題については、今、御質問のあったように、平均温度が2℃以内に抑制する科学的要請を認識すること、以前からの我々の主張ですけれども、世界全体の2050年半減ということ、その上で先進国で2050年に80%、またはそれ以上削減ということ、以上3つ、かなりにくっきりしたメッセージが盛り込まれていると思います。これから主要経済国を含めたMEFの会合が開かれると思いますが、いずれにしてもこの首脳宣言で先進国の率先した決意や強いメッセージが出てきた訳でございますので、MEFの会議も期待ができると思います。それから何よりもCOP15に向けて、サミットでだんだん確かにしていくという面で、G8の首脳宣言でこういうことがきちんと踏み込んで発出されたということは、大変これからの交渉に向いて強いメッセージだと受けとめております。

質問
先ほどのサミットの話で、MEFの議論にも期待したいとおっしゃっていましたが、世界全体で半減という目標に中国は非常に大きなプレイヤーですけれども、胡錦涛国家主席が急遽帰国されたことで合意は難しくなったという見方も出ていますが、それについてはどうお考えでしょうか。

それについては分かりません。分かりませんが、こないだのTEMM(日中韓三ヵ国環境大臣会合)でもそうですけど、数年前から原則論は言っていましたが、最近は非常に中国が環境対策に対して真剣になっていることを感じておりますので、これからの議論にも期待したいと思います。

質問
サミットの宣言で2℃に抑えるということが盛り込まれましたが、これを受けるにあたって関係省庁で事務的に詰めたということはあるのでしょうか。

サミットですので私の方からは言えませんので外務省に聞いてください。私どもとしては、基本的には元々、科学の要請を踏まえることを各省の中でも非常に強く主張しておりましたので、やはりこういう形で2℃というクリアな線が出されて、科学の要請に従っていく。これから中身をどうするのかの交渉は難しいと思いますが、2℃の科学を尊重していくというメッセージが出されたことは非常に歓迎すべき事だと思っております。

質問
与党がこの前、低炭素社会の基本法案を出しましたが、国会日程等難しいところもあると思いますけれども、環境省として、次官はどういう期待を持っていらっしゃるでしょうか。

議員提出法案でございますので、注視していくと人ごとのようになりますが、国会の審議を見守りたいと思います。ことほど左様にどう低炭素社会を作っていくか、これから本当にその骨組みをどうやっていくかということについて、非常に国政の場でも深い関心を抱いていただいているということ自体は私どもも引き締まる思いでありますので、国会で御議論が進めば、それに応じてさらに努力をしていくということでございます。

(了)

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