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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年7月3日(金))

1.発言要旨

 今日は私の方から最初に1点、発言をさせていただきたいと思います。
 水俣病被害者救済法案につきまして、昨日、与党と民主党との協議で合意が得られたということでございます。これは、自民、公明、民主の三党で新たに作り上げた法案と言っても過言ではなく、大変ありがたいと考えております。関係の議員の方々のご尽力に深く感謝をしたいと思っております。ぜひとも国会での審議が進み、早期に法案が成立することを念願しております。救済の枠組が示されれば、環境省としても全力で取り組んでいきたいと思っております。むしろ環境省としてはこれから、大きな仕事が待っているということで、この枠組の成立、そして救済されるべき方が救済されるべく、全力をあげていきたいと思っております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)今の水俣病法案の話ですが、改めてかなり長い歴史のある問題ですし、この法案ができるまでもいろいろと時間がかかった訳ですけど、最終的な解決を期待する声、いやいや終われないという声もある中で、率直な大臣のご所感、ご感想をお聞かせ願えますでしょうか。

(答)まだこれから国会でご審議いただくところでございますので、国会で早く成立させていただきたいということをまず最初に申し上げたいと思いますけれども、もし国会でこのような結論が得られますれば、私はこれまでの公害問題、公害行政、環境問題のひとつの大きな区切りになる、エポックメイキングな立法になるのではないかと思っております。
 水俣病はある意味では環境行政の原点でございます。私個人のことを言って申し訳ないのですが、私は昭和45年に大学に入りました。技術系の大学ですけれども、当時、いわゆる学問の大権威が間違ったことを言ったことが、非常に大きな苦しみを多くの方に与えることになった。いったい技術、学問とは何のためにあるのかということを、学生の間で真剣に議論したことを覚えております。そういう意味では、私自身の技術者としての原点でもございましたし、また環境庁、環境省の存在のひとつの原点であったと思います。もちろんその解決に向けて、50年を越える年月、地域の方々、そして被害者の方々が本当に努力をしてこられた。その中でひとつひとつ解決に向けて、努力をしてきた訳でございますが、今回はその大きな区切りを迎えることができるのではないかと思っております。まだまだ多くの課題が残されている、これは皆様もご存知の通りでございますので、その課題の解決に向けて全力をあげていきたいと思っております。法案に反対されている方々がいらっしゃるのも我々も承知しておりまして、法案の中にも紛争の解決という条文がございます。ご理解がいただけるように全力をあげていきたいと思っております。

(問)法案が国会を通ってからということが前提になりますが、環境省としてはこれからがむしろ大きな仕事ともおっしゃいましたけれども、当面どういうことが課題になってくるのか、大臣として早急にこの辺りをやっていきたいということがもし今の段階であれば、お教えください。

(答)今後、救済の範囲について、より具体的な方針を定める必要がございます。これは立法に関わってくださった議員の先生方や患者団体の皆さん、また患者団体に入っていらっしゃらない救済を求めていらっしゃる方々ともよく相談させていただきながら、はっきりとした基準を作るということがまず先決だと思います。その上で必要な予算をしっかり確保すること、概算要求の時期でもございます。これがまずやるべきことだと思っております。

(問)法案の中には調査研究というものが盛り込まれたかと思いますが、今後どんな調査研究があるべきだとお考えでしょうか。

(答)先ほど申し上げました、今回救済の範囲が拡大されました。そういう中で、いわゆる水俣病との関連性と言いましょうか、他の原因でも似た症状が出てくるということもありますので、水俣病との関連性についての研究ということも必要になってくるのではないでしょうか。また今後、幅広い地域でございますし、そういう中で救済されるべき方は能うかぎり救済していかなくてはならないと思っておりまして、そういう方に申請をしていただく方法等についても検討していかなくてはならないと思っています。

(問)先ほどおっしゃった紛争の解決ということですが、実際に不知火患者会と団体側はあくまでも司法解決を目指すとおっしゃっています。そういった方々の理解が得られていない部分もあります。そういった方々へのアプローチをどうなさるのかということと、予算の方ですが、概算要求にはどんな形で要求されているのか教えていただけますでしょうか。

(答)まず司法解決を目指しておられる方々に対しましても、紛争の解決ということで、我々、今回の立法の趣旨を立法に関わられた議員の方々ともよく連携を取りながら、ご指導いただきながら、ご理解をいただくように努力をしていくということでございます。今の段階では、そのような努力を我々は全力をあげてやっていきたいということしか言えませんけれども、そういう方向性でございます。
 それから予算の件ですけれども、この予算はシーリング外でございます。そういう意味ではシーリングの中の概算要求づくりとは別のところで進めていかなくてはならない訳ですけれども、まず来年度分として十分な予算が準備されるように努力をしていきたいと思います。

(問)大臣は当初、与党案があるべき姿だとおっしゃっていました。救済対象の範囲はずいぶん拡大された結果になったと思いますが、その点はどのようにお考えになりますか。

(答)この法案は、先ほども申し上げましたように、与党案、民主党案それぞれ協議をいただいて、3党で作られた新たな案というように認識しております。これは正に立法府の太宗を占める議員、政党がお決めになったことでございますので、正にそこに立法の主旨がございます。そういう意味で、国権の最高機関における、立法の主旨を尊重したいという意味です。

(問)先ほど大臣は今後具体的な方針づくりに着手されるということをおっしゃっていましたけど、まず一点、いつぐらいまでにつくられるお考えかということと、一時金の額が与党案150万円、民主党案300万円ということですけど、与党案から引き上げてくるようなこともあるのか、その2点お願いします。

(答)まずスケジュールですけれども、これはできるだけ早く、概算要求の件もございます。立法に関われた議員の方々とも、被害者団体の方々ともよく協議し、決めていきたいと思います。それから一時金の額についてですが、これは正に立法に関われた議員の方々ともよく相談をしながら、立法の主旨に則った額が決められるものと思っております。

(問)夏ごろまでに救済方針が定まるということでしょうか。

(事務方)予算要求は8月末までに決定致しますけれども、基本方針も全部いっぺんに決めるかどうか分かりませんし、これから関係者とよく相談をして決めていきたいと思います。今の段階では、まだ国会も通っておりませんし、いつ頃と言うのは難しいと思います。

(答)基本的には先ほど申し上げましたように、いわゆるシーリングの外ですので、ある程度自由なところがございます。シーリングの中であれば、正に8月いっぱいに決めなければいけませんけれども、そういうことも考慮しながら、しかしできるだけ早い時期に方針を決めなければならないと思ってます。

(問)調査研究についてですが、先ほど大臣、救われるべき人が申請できるような研究というお話をされましたが、それはいわゆる全戸の調査というものを視野に指示されているのでしょうか。

(答)いえ、全戸の調査を視野に入れているといったような具体的な方針がある訳ではございません。地域社会におけるいろいろな問題も指摘されております。そういう問題の存在も考慮にしながら、救われるべき人が能かぎり救われる、その合理的な方法はどういうものかということについても調べていきたいと思っています。また先ほどは言いませんでしたけれども、ある意味ではこの有機水銀による健康被害というものは、この水俣、新潟が世界の中でも最初に指摘された大きな例でございます。こういうものの長期的な経過、調査ということも重要でして、そういう意味を含めた調査研究ということでございます。

(問)全戸調査が選択肢のひとつと考えられているのか、考えていないということなんでしょうか。

(答)今のところ考えておりません。

(問)チッソの分社化について、昨日新たに条件を付けて決まったという形になっていますが、それについてはどうお考えでしょうか。

(答)昨日の合意の通りだと思います。あれ以上でもあれ以下でもないということでございますけれども、一時金の支払いに合意を得た後でなければ当然認められませんし、そういう意味で、環境大臣としてもそこのところはしっかり見ていきたいと思っております。ただ資金の捻出、そしてチッソが地域において、しっかり地域に根ざした企業として、雇用や社会的責任を果たしながら、存続していくこと、これは地域の皆さんから強い要望としてございました。そういう社会的責任を原因企業が果たすためにも、この部分につきましては、今回の法案の骨格のひとつと認識しております。

(問)2004年の最高裁判決から今回の与野党合意に至るまで5年ほど必要としたのですが、そのことについての受けとめをお願いします。

(答)2004年の最高裁判決では、正に国、地方自治体の責任が問われました。その真摯な反省に立って、我々環境省としてもこれまで取り組んできたところでございますけれども、そのことも踏まえながら、今回立法府でこのような立法がなされたものと思っております。ある意味でできるだけ早い解決を図らなくてはなりませんでして、我々環境省も環境省で努力をしてきましたけれども、5年の歳月がかかってしまいました。この間いろいろな議論がある中で、今回国会でおまとめいただいたということに敬意を表したいと思います。

(問)救済の範囲についてですが、今回大幅に拡大されたということになった一方で、いわゆる認定基準の見直しということには触れられていないのですが、その辺り、今後国としてご検討するお考えがあるのかどうかお願いします。

(答)認定基準につきましては、最高裁判決におきましてもこれが否定をされておりません。認定基準につきましては、医学的根拠、社会的根拠があるものと認識しております。そういう意味で認定基準の見直しについては考えておりません。

(問)来週、サミットとMEFがありますけれども、それに対する期待と、先日四大臣会合がございましたけど、そこでどの辺りを主張されたのかということをお聞かせください。

(答)サミット、それに続く主要経済国フォーラム(MEF)が約20ヵ国でございます。最大のテーマはCOP15に向けての国際合意を目指す、ひとつの大きなマイルストーンになる、政治がCOP15の合意に向けて、大きな政治的メッセージを出すということが今回の最大のポイントだろうと思っております。先日四大臣会合がございまして、基本的な方針について話し合いを致しました。その中で私は政治的メッセージを主要国が発すべきであるということと、それから具体的な検討項目に入りますけれども、いわゆるフィフティフィフティ、世界全体で2050年までに50%削減する、半減するということを国際社会全体として、G8では昨年洞爺湖サミットで認められておりますが、ある意味ではこのMEFで途上国の中の主要排出国も含めた形で合意するということも、ひとつの大きなポイントになろうと思います。このフィフティフィフティを合意するためには、先進国全体で2050年までの80%削減ということを決断すべき時にきているのではないかと意見表明させていただきました。四大臣会合は政府の合意の結論を得るという場ではございませんけれども、他の大臣からはそのことに対して、反論は出なかったところでございます。最終的には麻生総理がMEFの会合等で、状況を見ながら、日本として決断されることになるかと思いますけれども、そういう方向性でMEFに臨むべきでないかということを環境大臣として意見を申し上げたところです。繰り返しになりますが、大きな反論はありませんでした。

(問)今お話になった長期目標のところですが、先進国全体で80%という考えと日本自身がどうするのかという考えがあると思いますが、四大臣会合では大臣はどのようにおっしゃったのでしょうか。

(答)先進国として80%削減するということを決断すべきだということは、日本としても、先進国全体80%分をある程度分担することになりますけれども、数字を計算してみますと80%削減という数字は大きく変わりません。ということは日本も2050年までに80%削減するということとほぼ同義と私は認識しております。中期目標は決まりましたけれども、この中期目標、そして長期目標についても日本のパス、今後の進むべき道、低炭素化ということをCOP15前に明確にするべき時にきているのではないかということでございます。

(問)サミットとMEFの話ですが、先進国全体で80%削減については、主要国の間で多少交渉が難航しているような印象も受けるのですけれども、最終調整に向けて今どのような状況でいらっしゃるのか、知見をお聞かせください。

(答)これはひとつひとつの項目で議論すると、それぞれ袋小路に入っていくのですが、やはり最終的にはワンパッケージで考えなくてはいけないのではないかと思います。その時に先進国全体で80%削減の対として、世界全体で50%削減ということがございます。このフィフティフィフティを達成するためには、先進国から途上国に対しての技術支援と資金援助というものが必要不可欠です。この技術支援と資金援助の姿をどう示すのか、そしてフィフティフィフティをどう確保するのか、そして私はフィフティフィフティを今回のMEFで合意するというのが非常に大きなエポックメイキングになると思いますが、そういうもの主要排出国で合意できるということになれば、私はどうしても主要先進国間で80%削減ということはどうしても求められる。私はその場で日本がリーダーシップを取るべきではないかと思いますし、総理は必ずそのようなリーダーシップを取られるものと思っています。そのことは決して、先進国間に過大な負担を求めるということではなくて、ある意味でまったく新しい世界の地平を切り開いていく、化石燃料に頼らない地球を作っていくということの今回が糸口になる、そんな思いです。

(問)今日、東京都議会選挙が公示になりました。今回の結果が衆議院選に大きな影響を及ぼすという見方がございますけれども、大臣は今回の結果が政権運営に影響があるとご覧になっているかどうかお願いします。

(答)地方議会選挙でございますので、直接国政に関係はないと思っておりますが、しかしながら首都決戦でございます。心理的には非常に大きな影響があるのではないかと認識しておりまして、私は公明党に所属しておりますので、公明党の勝利、友党であります自民党の健闘、結果としての自公で過半数確保ということに全力をあげたいと思っております。

(以上)

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