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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年4月17日(金))

1.発言要旨

 今日は、始めに私の方から3点申し述べさせていただきます。
 第1点は、今日、閣僚懇談会で東京オリンピック誘致のことが話題になりました。文部科学大臣から誘致に全力を挙げたい、また、評価委員の方が近々来られるということで、誘致に向けて内閣としても全力を挙げたいと話しがありました。それを受けて、私は発言をさせていただきまして、今回のオリンピックは、地球環境に配慮した日本にしかできないオリンピックというのが1つのテーマになっていますので、環境省としても全力を挙げて支援し、また、いろいろな提案もできればさせていただきたいという趣旨の発言し、文部科学大臣から一緒に頑張りましょうという話しがありました。
 2点目は、これまで頑張ってきました「緑の経済と社会の変革」につきまして、20日月曜日の15時30分目途で記者会見を開いて、とりまとめについて私から内容を説明し、公表させていただきたいと考えています。1月6日に総理から指示をいただいて以来、鋭意検討を進めてきたものでございますので、どうか報道の皆様におかれましても、是非積極的に取り上げていただくようよろしくお願い致します。
 3点目ですが、徳山製造所東発電所第3号発電設備計画に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出についてでございます。本日、株式会社トクヤマの徳山製造所における石炭火力発電設備の増設計画について、環境影響評価法に基づく環境大臣意見を経済産業大臣に提出いたします。本件は、自家発電ではありますが、石炭火力発電設備の新たな建設を伴う計画でございまして、温暖化対策の観点から慎重に対応すべきと考えて検討してまいりました。これまでも申し上げているとおり、石炭火力はエネルギーセキュリティの観点から必要であることは理解する一方で、長期目標及びこれから決められる中期目標との整合性を考えれば、少なくとも二酸化炭素の排出原単位が最先端であることが必要であり、古い性能の悪い施設と置き換わるなど、真に必要なものに限定すべきと考えております。こうした観点から今回の計画について、検討したところ、主に次の点を考慮して認めることといたしました。
 1つ目は、コージェネレーション、すなわち発電と併せて製品製造のための蒸気を含めた高効率のエネルギー利用を行うことで、最先端技術であるIGCCと同等の0.7㎏-CO2/kWh程度の二酸化炭素排出原単位となっていること。2つ目は、古くて悪い性能の既設石炭火力発電設備と置き換わることによりまして、2012年までの第一約束期間の二酸化炭素排出量は減少すること。3つ目は、自家発電施設であるため、売電を通じて他の一般需要家に二酸化炭素排出増をもたらすことがないこと。主にこの3点を理由に認めることとしました。
 しかしながら、将来的には二酸化炭素排出量の増加が見込まれていますので、単に計画を認めるのではなく、株式会社トクヤマ全体として、二酸化炭素排出量をできる限り低減するための最大限の取り組みを求めるとともに、その効果等をしっかりと把握するよう、強く要請することとしております。詳しい内容につきましては、後ほど事務方から発表させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは以上3点です。

2.質疑応答

(問)先日、中期目標の検討委員会で、全ての選択肢が出揃うことができました。今日には総理の懇談会があります。改めて中期目標の選び方、あるいはお考えについてお聞かせください。

(答)今日これから奥田懇談会がございます。また、20日月曜日には、国民の皆様との意見交換会第1回目が東京で開かれまして、私も参加させていただく予定にしております。その場で次のような基本的考え方に立って中期目標を選ぶべきではないかということを3つお話しさせていただきたいと思っております。これまでも申し上げてきたことですが、地球の破滅的環境破壊から救うために科学の要請に基づいた選択でなければならないことでございます。国連の下で世界の科学者がIPCC報告書という形で提言を出しました。その提言に則って応えるものでなくてはならないことが第1点でございます。第2点目は、地球全体で排出抑制を行っていくためには、今や1位、2位の排出国である中国、アメリカの参加が次期枠組みにどうしても必要です。この中国、アメリカ及び主要排出国、途上国の中でも排出量の多い国を参加させるためには、これまで二酸化炭素を出してきた主要先進国がしかるべき中期目標を掲げなければ中国の参加は見込めません。中国が参加しなければアメリカも参加しないとアメリカは既に言っております。こういう事を考えれば野心的なものでなくてはならない、世界全体の枠組みが組める中期目標でなければ、日本のリーダーシップを発揮することができないと考えております。第3点目は、グリーンニューディール、緑の経済と社会の変革を月曜日に発表させていただきますが、これからの低炭素社会を日本が世界をリードしていく、そのことによって日本の経済そのものが発展していく、ある意味で志のある中期目標でなければ国民が希望を持って新しい社会を作っていこうということにならないと思います。志のある中期目標。この3点が大事ではないかということを今日の奥田懇談会でも、また国民の皆様との意見交換会でも申し上げたいと思っております。

(問)6案の中身ですが、我々一般国民にはとても複雑で難しくて一体どこがポイントなのかわからない状態なのですが、どの選択肢が将来どう行き着くのかという話を、政治としてもう少しリーダーシップをとっていくべきだと思いますがその点如何でしょうか。

(答)おっしゃるとおりで、福井委員会から出てきた報告書及び今日の奥田懇談会で出てくるであろう説明書を見まして、この目標だったらこういう社会になるとすぐイメージできない。私自身もそうでした。これから一ヶ月以上の議論があるわけですが、わかりやすいものを提示したい、私も環境大臣として、政治家として提示して国民の皆様に議論していただきやすいものを作りたいと思っております。ただ、研究者と議論をするのですが、わかりやすいものを作ると正確でなくなる、少々正確でなくてもよいからわかりやすいものが大事だと政治家は言うのですが、研究者は間違ったことを国民に言うわけにはいきませんから、これを言うならここにこういう但し書きを書く必要がありますと、いつもそういう論争をする。それで但し書きを書いていたらいよいよわからなくなってしまう。そういうところでいつも迷ってしまうのですが、できるだけ正確でわかりやすいものを環境省としても作りたいと思っております。

(問)先日、水俣病の患者団体と会われて、チッソの分社化と地域指定解除、これに強い抗議を表明されております。今日民主党が独自案を出すことになっており、いよいよ与野党間の協議が本格化すると思いますが、なかなか患者団体の強い抵抗があると協議も難しいと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

(答)与党から法案が出されて、これから与野党間協議が進められると認識しておりまして、与党PTの基本的考え方である、認定患者への対応がこれから未来に渡ってしっかりとしたものになること、揺るがないこと、それから救済されるべき方が救済されること、そして原因企業が地域にしっかりと根を張ってこれらの救済をずっと責任を持っていくこと、この3点が与党PT案の骨格だと思っておりまして、その実現に向けて環境省としても頑張っていきたいと思っております。先日私は、直接お話を聞きました。5月1日も現地に伺いまして慰霊祭に参加すると同時に現地を見させていただき、皆さんのお声を聞きたいと思っております。不安に対してもしっかりとお答えして、不安を取り除いていけるように努力をしていきたいと思っております。

(問)追加経済対策に入っている省エネ家電のポイント還元事業で、大きな事業ですので制度設計が大変で、省内の人繰りが大変だと聞いております。この背景に環境省は人数が少ないですが、各省一律の計画的な定員削減をしなくてはいけないという事情があると思いますが、大臣として定員管理のあり方についてどうお考えでしょうか。

(答)定員削減については、政府の大きな方針ですので、その方針に乗っ取って進めて行かなくてはいけないと思っております。そして、その枠の中で仕事の重要性のプライオリティーといいますか、時間的な優先度をしっかり把握しながら、人員配置を適正に行っていくしか解決策はないと思っております。政府全体で今までは、省内だけでのマンパワーのやりくりでしたが、予算については、いろいろな予算の執行の仕方、工夫がされて省庁を越えた配分がされるような仕組みもできてまいりました。マンパワーにつきましても政府全体で適正配分ができるような形になればと思っておりまして、そういう努力は今後していかなくてはいけないと思っております。特に環境省は、全省庁の中でも一番残業が多いと言われておりまして、これから新しい社会を作っていく上で非常に大きな仕事をしている割にはマンパワーが少ないということですので、その点についても人員の拡充になるように頑張りたいと思います。

(問)水俣病ですけれども、今日民主党の独自案が出されるようですけれども、与党案とかなり開きがあるようですが、民主党案についての評価と今後の与野党協議の見通しについてお聞かせください。

(答)民主党案については、出されるということは聞いておりますが、内容については見ておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。今後、与野党間でしっかりと議論されて先程申し上げました3つのことが成就できるような案を国会でまとめていただけるものと確信しております。

(問)徳山の件ですけれども、まず1点、大臣はかねて小名浜については、否定的とまでは言い切れないのですが、かなり厳しいご意見を語っていらっしゃいましたが、どこが違うかというと先程ポイントを挙げていただいたところかも知れませんが、改めて違いについてと小名浜についてもいずれ意見を出されると思いますがそちらの方については考え方に変化がないのでしょうか。
徳山は、石炭火力増設するのは太陽電池の原料を作るためにやるわけですけれども、太陽電池の増産をする一方で、川上の方で石炭火力でCO2がいっぱい出てしまうというのは国民の目から見て一体どうなのかという意見も出てくる気がするのですがそのあたりについてどうお考えでしょうか。

(答)まず第1点目の小名浜火力についての考え方ですが、基本的に変わっておりません。まず排出原単位が0.8を超える非常にある意味で最先端のものではないこと。そして、売電を通じてその排出原単位の良い電気に置き換わって最終的に二酸化炭素排出量を増やすものであること等を考えれば、今回の場合と大きく異なると考えております。
それから2点目の最先端の省エネ製品を作るけれども川上のところで石炭火力を使うのはいかがなものかということですが、今回製造過程を見てみますと例えば天然ガスを使うことも可能ですが、工場の立地条件上、天然ガスを使うことができないという制約もございました。しかし、その分、コジェネ及びバイオマス混焼等を使ってIGCCと同等の排出原単位を実現していること。そして、質問の答になっていないかも知れませんが、将来生み出してきた生産物が大きく二酸化炭素排出抑制を社会全体として促すものであること等も考慮に入れて今回認めることとしたところでございます。

(問)これまで出ている経産大臣の意見と知事意見があったかと思いますが、これと比較して大臣の意見は大きく違わないと考えるのか、それとも一歩認めるという方向に踏み込むとお考えなのかお聞かせください。

(答)ある意味でこれからの石炭火力のあり方について、1つの方向性を出すことができたと思っております。つまり排出原単位は最先端のものであること、中長期目標と整合性のあるものであること、そして置き換わる電力が良いものと置き換わることがないこと、こういう判断基準に基づいて今回認めることとしましたので、そういう意味では前の方向に一歩踏み込んだ1つの意見ではないかと私自身は自負をしております。

(問)来週イタリアには行かれるのでしょうか。

(事務方)昨日、参議院議院運営委員会の理事会で了承はいただきました。

(答)来週は、火曜日からG8環境大臣会合に行きまして、低炭素技術、気候変動、生物多様性、それから日本の提案によります子どもの健康と環境について議論してきたいと思っております。気候変動につきましては、COP15に向けて正式に何かを決めるような会合ではありませんが、結果として20カ国の環境大臣が集まりますので、しっかりバイ会談も行って合意形成の一歩になればと、その努力をしてきたいと思っております。子どもの健康と環境については、日本が提案した内容ですので、私が基調講演をさせていただく予定にしておりますが、この問題についても世界的枠組みができる第一歩になればと思っております。

(問)5月1日の水俣の慰霊式へのご出席については、決まっておりますでしょうか。

(事務方)国会の了承を得る必要があります。

(答)是非行きたいと思っておりますし、ご了解は得られるものと思っております。

(以上)

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