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大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成21年3月31日(火))

1.発言要旨

 今日は、閣議が長引きまして会見を延期したことをお詫び申し上げます。
今日、私から申し上げることはございませんので、質問をお受けします。

2.質疑応答

(問)先週の金曜日、政府の中期目標検討委員会が選択肢、経済的影響などの分析を出しました。これについての評価と大臣の就任直後のインタビューの中で25%の数字を挙げてお話していただきましたが、今回の選択肢の中にも25%の分析が入っております。これだけコストがかかるとも書いてあるのですが、大臣として引き続き25%という数字を念頭に掲げていくのかについてお伺いします。

(答)まず、先週金曜日の中期目標検討委員会についてどう思うかについてのご質問にお答えしたいと思います。一言で申し上げますと、やはりモデル分析には限界があると感じました。私も技術者で、技術上のモデルですが、シミュレーションモデルを作って数値解析を行ったことがありますが、前提条件として入れた方程式以外の動きは絶対に出てきません。実際、自然の場合どうなるかというようないろいろな要素が無視されて、当たり前ですが、シミュレーションの中に入れた差分方程式、微分方程式のまましか結論として出てきません。その結果が、今回にも出てきているのではないかと思います。すなわち、まず、温暖化対策を行ったことによって、社会が変わる、技術開発が行われる、それによって競争力が増す、いわゆるグリーンニューディール的な結果をほとんど考慮していないとのことでした。また、そのことによって、省エネ効果が出てくるということも考慮されていない、まして、何も対策を取らなかった時に社会が負担しなければならない温暖化対策コストも対象に入っていないことをよく分かった上で、シミュレーションから出てきた結果を総合的に検討しなくてはいけないのではないかと思った次第です。シミュレーションの1つ1つの各研究機関のモデルの分析がありますが、限界を理解した上で、中期目標検討委員会の先生方にはご検討をいただいて、国民に分かりやすい選択肢を提示していただければと思いました。発言された先生方の発言録も読ませていただきましたが、そのような問題点をしっかりと指摘をされた先生もいらっしゃいましたので、その点は心強く思った次第です。
 第2点目の25%削減ということについてですが、非常に大きなコストがかかることで、今でも考えは変わらないのかというご質問ですが、先ほど申し上げましたように、当然、コストはかかるし、負担はあるのですが、それに対応する社会上のメリット、国際競争力の向上、経済の活性化、全く新しい社会である点も考慮に入れて考えなくてはいけないと思っております。25%は、まだ選択肢のうちの1つで、ここに決めたわけではありませんが、十分、日本社会として対応可能な選択肢の1つと考えております。
 それに関連しまして、私も分析結果を一生懸命勉強して、1つ1つこの数字が何を言っているかを理解するのに2~3時間かかりました。皆様方は、全部分かっているのかもしれませんので、このような言い方をすると申し訳ありませんが、是非ご理解いただくために、分析の専門家による勉強会を、この記者クラブで持たせていただきたいと思います。国環研の実際に分析を担当している方と勉強会をやりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

(問)選択肢ですが、先日示された表の中に国際比較として、限界削減費用として、アメリカ、EU、先進国全体と比較した数値が載っていましたが、一方で、GDPあたりの対策コストを均等化するという指標で再分析した数値が載っていませんでした。大臣もご承知のとおり、限界削減費用でやりますと日本は非常に有利な数値になると思いますが、国際交渉上も日本はいろいろな指標を組み合わせて、先進国間の公平性を如何としようと言っている中で、特定の指標だけの数字だけが載ったことについては、いかがでしょうか。

(答)GDPあたりの費用を一定にした時の分析結果については、最終的にはきちんと評価されて選択肢の中に入ってくると理解をしております。今回、計算結果が載らなかったのは、2つの研究機関の間でその数字を載せることについて、研究者レベルでの前提の認識が一致しなかった、故にもう少し議論をしてから、2つの研究機関の研究者としても納得した上で、この条件でやったらこうなりました、このモデルでやったらこうなりましたと載せたいという意味で、今回は載せなかったと理解しております。
(事務方)やはり相当、議論の差がありましたので、出すのは混乱を招くということだと思います。

(答)きちんと出して我々が議論をする1つの大きな材料にしたいと思っております。

(問)そうすると、今後、それも含めてパブリックコメントにかかるということですか。

(答)当然、そういうことだと思っております。今回、私はこれまで3月いっぱいまでには大きな方向性を出して、6月に決定すると申し上げてきましたが、3月いっぱいまでに大きな方向性を出すまでに至らないことに対して、大変申し訳ない思いでございます。先ほど言ったような形で、GDPあたり費用を一定化させた時の分析結果が間に合いませんでした。また、長期目標との整合性という面でこの中期目標の分析結果が間に合わなかった、最終的には、当然、長期目標は現状に対してマイナス60~80%という長期目標と整合性のある中期目標でなければならないわけで、その整合性についての分析結果も当然出てくると思います。この2つの点で3月いっぱいまでに間に合わず、大きな方向性を出すまでに至らないことは大変残念です。ちょうどAWGも始まったところで残念ですが、できるだけ早く分析結果も出していただいて、方向性を出したいと思います。

(問)先ほど、中期目標検討委員会で示された選択肢について、省エネ効果やグリーンニューディール的な発想が盛り込まれていないという話しでしたが、内閣官房では、これを基に国民の意見を聞くと言っておりますが、大臣としては、国民の示す選択肢としては不十分、情報が欠けるということで、改善を求めていくことはお考えでしょうか。

(答)先ほど申し上げましたように、この数値シミュレーションモデルというのは、こういうものであるとはっきり申し上げて、ここで出てくることの他にこういう効果も当然考えなくてはならないのではないでしょうか、その効果はこのモデルの計算結果には入っていません、などと明確に説明した上で、国民の皆さんが議論していただくのは当然だと思っております。そこは主張していきたいと思っております。

(問)それは、内閣官房に対してでしょうか。

(答)内閣官房に対してでもあり、私自身、国民の皆さんの前に立って一生懸命訴えていくつもりです。
 大体、数値シミュレーションは、ある平衡になる所を目指してイタレーションをやっていくわけですが、経済の数値モデルというのは良く分かりませんが、技術の数値シミュレーションにすれば、まさに方程式で表している理想の状態にしかならないのです。経済の場合は、分かりませんが、いわゆる見えざる神の手だけでやったのが最も効率が良い経済モデルなのではないでしょうか。そういう方程式の方が立てやすいですから、いろいろな境界条件を入れますと、数値シミュレーションは本当に複雑になって本当に訳が分からなくなりますから、非常に単純化して数値シミュレーションをやりたい、数値モデルはそういうものです。その辺の条件をはっきり示すことが、技術者としての良心、倫理だと思います。

(問)日本版グリーンニューディールの件ですが、大臣は、3月中を目途とおっしゃっておりましたが、少しずれ込んでいる理由といつ頃になりそうでしょうか。

(答)理由は、経済対策の基礎になります政府の成長戦略の後に、成長戦略と整合性を持たせる形で出したいと思っているからでございます。成長戦略よりもはるかに大きな経済全体のあるべき姿と社会の変革を出したいと思っておりますので、低炭素革命は、成長戦略でも、我々が出そうとしている構想でも、その一部になります。一部ではあっても整合性を持たせなければいけないので、その後に発表したいと思っております。

(問)細かい話しで恐縮ですが、福岡県の小石原川ダムの建設に関して、絶滅危惧種のスイゼンジノリが自生している川にアセスをしていなかったことが、今、問題になっています。アセスをしなかったことと再調査すべきかどうかの大臣の所見をお聞かせください。

(答)小石原川ダムについては、アセスをしております。平成16年に環境影響評価法に基づく環境影響評価手続きは終了しております。このスイゼンジノリの問題につきましては、水資源機構におきまして、学識経験者による検討会を設置する予定と聞いております。その学識経験者の検討会の結果が先だと思います。

(以上)

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