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大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成20年7月18日(金))


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、政令が3件、配布が1件、これは月例経済報告でございます。政令3件のうち1件が環境省主請議でございまして、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令案」です。この政令案は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図るために、国内希少野生動植物種としてオガサワラハンミョウやオガサワラシジミ等を追加するとともに、ルリカケスを国内希少野生動植物種から削除する等の改正を行うものであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

質問
 勇退することが決まったということで、大変お疲れさまでした。次官になられてから1年10ヶ月だと思いますが、一番印象に残ったこと、逆にやり残したことや、次に就任する予定の西尾次官に期待すること、この三点についてお話いただけますか。

→ 本日が最後の会見になると思いますので、今の質問の点も含めてお話ししたいと思います。一昨年の9月に事務次官を拝命してから、足かけ2年にわたり、記者会見等を通じて記者の皆様方に大変お世話になりました。
 この間、特に地球温暖化対策を中心とした環境問題の波が、日本中、あるいは世界中に、例えば気候安全保障、クライメート・セキュリティという言葉が頻繁に使われるようになってきたということもその代表例だと思いますが、かつてない大きなうねりとなって広がっていった2年間だったと思います。
 少し遡って、環境省に入って特に思い出深いことを三つほど上げさせていただきたいと思います。
 一つは環境税です。私が総合環境政策局長のときでございますが、平成16年の秋から冬にかけて、17年度税制改正要求として環境税の仕組みを構築しまして、政府税調、党税調に持ち込みました。与党税調では、連日100名近い議員の方が賛否両論で激論を交わしまして、環境税推進議員連盟というものも生まれて、議論をしたわけでございます。力を尽くしたつもりですが、実現はできませんでした。ただ、この環境税というものが、経済的手法の一つとして温暖化対策に極めて有効な手法だと私どもは思っておりますので、その後も毎年、環境税について主張し、要求してきております。必ずいつの日か、遠からず実現できるものと信じておりますし、また、期待しているところであります。
 二点目の思い出は、21世紀環境立国戦略であります。低炭素社会の構築、循環型社会の構築、それからこれが一番大事なのですが、言わば命と命のつながりを大切にする自然共生社会の構築、こうした三つの社会の構築を柱として、環境政策としてどういうことを行っていくかという中期戦略でございます。特別部会を設けて、委員の方々の意見や、環境省の若手職員のアイデア等、豊富にそういうものを入れて創り、平成19年の6月に閣議決定をいたしました。これも非常に思いが深いです。
 三点目は、まさにこれが中心ですが、地球温暖化対策をめぐる国際交渉です。IPCCの第4次報告等も背景として、昨年末のバリの会議から、最近の動きだけでも、本年1月に総理のダボス演説があり、本年5月には鴨下環境大臣が議長として議長総括をおまとめになったG8環境大臣会合、これをはじめとした様々な国際会議やワークショップ、そしてその後、総理の福田ビジョンがあり、先般の洞爺湖サミットがありました。ずっと繋がっていったわけでございます。これらを通じて、地球温暖化対策の新しい枠組みの構築に向けて、確実な一歩が踏み出されたと思っております。
 私どもは今、低炭素社会の入り口に立っているわけです。そして、産業構造も、就業構造も、あるいは我々のライフスタイルも、大きな変化が予想されます。日本というのは非常に環境力が強い国です。例えば、自然との共生を図る知恵や伝統があるし、世界最先端の環境技術・エネルギー技術、環境保全に携わる豊富な人材、そして水俣病のように現在進行形の問題もありますが、深刻な公害を克服してきた経験もあります。このように大きな知恵と経験を持っている国として、環境から拓く経済社会発展、つまり、環境を良くすれば経済や社会や地域が発展していく、貧困や飢餓も救われていく、そういうものを目指して、これからも日本発で、アジアに、そして世界に発信していく必要があると思いますし、環境面で世界に向けてのリーダーシップを取ることが必要であるし、また、できると思っております。
 私自身は、来週からは環境省顧問ということで、一歩離れた立場になりますが、引き続き環境省を応援して、微力ですがお役に立てればと思っております。
 事務次官の後任の西尾君は、環境行政、環境政策を熟知されておりますし、安心して、そして期待を込めてバトンを渡せると思っております。
 残した課題という御質問についても、大体今申し上げたことに尽きるのですが、低炭素社会や自然共生社会、循環型社会の構築に向けてこれから歩を進めていくための基盤作りは、ある程度はできたと思います。これを一歩一歩確実に実施に移していくこと、着手していくこと、例えばこの秋には排出量取引の試行も早速始まりますし、冬には税や予算の戦いも控えています。第14回のCOPをはじめ、第15回COPに向けての国際会議の流れもある。あるいはマイナス6%の目達計画のフォローアップも毎年着実に実施することになっていますから、こうしたことがこれからずっと押し寄せてくる、そういう一つ一つの政策実施、着手をきちっと進めていくこと、これが残されたと言いますか、大事な課題だと思いますから、そういうものをこれから環境省として一丸となって進めていくことになると思うし、進めていくことができると思います。

質問
 絶滅のおそれのある野生動植物の話ですが、絶滅危惧種が9種類さらに指定されるということで、ある種の危機感と、ルリカケスが削除されるように、指定されることによるある種の効果も出てきていると思うのですが、危機感や期待感について御所感をお伺いできますでしょうか。

→ 今回9種類追加いたしますが、いずれも小笠原群島に生育している種でございます。小笠原群島は、御存じのように海洋島として独特の島としての生態系を有し、独自の進化を遂げた固有種が多いところでございますが、一方で外来種の影響等を受け、極めて深刻な状況にある種が多いわけです。環境省としても世界自然遺産の登録に向けて進めておりますので、小笠原の野生生物種の状況の把握や保護対策の検討を行ってきており、特に法規制を要すると思われるものについて9種、今回追加するものです。
 今回追加された9種については、違法な捕獲や採取等の監視に努めるほか、国の関係機関や地元と調整しつつ、種の保存法に基づく保護増殖事業計画を策定し、生息状況のモニタリングや生息環境の改善などの取組をしていきたいということでございます。
 削除したルリカケスですが、平成5年の指定後、ルリカケスを補食する外来種のジャワマングースの防除事業がかなり進展したこと、また、ルリカケスが生息している森林もかなり回復してきており、生息状況に改善が見られてきましたから、今回削除することとしたわけです。
 今後とも、国内希少野生動植物種については、先般の第3次生物多様性戦略においても、15種ほど指定を増やすと明示しておりますので、今後も順次選定作業を行っていく所存です。 

質問
 環境問題は、昔と違って非常に多種多様になって、関係者も、経済から非常に広くなって、前は環境と言えば環境省の独壇場だったのでしょうが、どの省にも環境担当があるし、予算も多かったりしています。環境問題にどういう立場でどういうことをやるのが、環境省としての役割かということについて、どうお考えでしょうか。

→ 確かに、環境行政、あるいは環境政策の対象としているものが、年々複雑化し、複合化し、かつ国際化してきています。そういう意味で、環境省としても十分視野を広くして、今おっしゃったような経済面の分析等も含めて、いろいろな意味での環境の総合官庁となる必要があると思います。言い換えれば環境省というのは、環境という問題を扱う総合官庁として中心に位置していると思っておりますので、これからも幅広い視野を持ちながら、様々な複合化・国際化しつつある環境というものを総合的に捉えていきながら、各省庁も含めてよく連携を図りつつ、環境省が中心となって幅広い環境行政を進めていくべきだと思っております。

(了)

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