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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成20年6月2日(月))


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、一般案件3件、政令2件、人事1件、報告1件、配布3件です。特に環境省関係はございません。
 私から、5月19日からドイツ・ボンで開催されていた生物多様性条約第9回締約国会議、COP9について申し上げます。最終日30日の全体会合の冒頭、COP10を日本の愛知県名古屋市で2010年10月19日から10月29日で開催することが満場一致で決定されました。
 COP9で決まった主な事項についていくつか申し上げます。1番目として、バイオ燃料については適切な政策枠組みの策定と適用や、バイオ燃料生産の正負の影響に関するモニタリングの継続等が各国に求められました。
 2番目として、生物多様性と気候変動については、気候変動枠組み条約における種々の検討作業への生物多様性条約からのインプットの内容等について検討を行うための専門家グループを設置することが決まりました。
 3番目として、ABSと言っておりますが、遺伝資源へのアクセスと利益配分については、2010年までに検討を終了することになっている国際的枠組みについて、2010年までに作業部会を3回、専門家会合を3回開催することになりました。専門家会合のうち1回は日本がホストし、今年中に行うということです。枠組みの内容については、法的枠組み、非法的枠組み、あるいはそれらの組み合わせといった議論がありましたが、それについては幅広く考えていくことで合意されました。
 4番目として、海洋・沿岸の生物多様性については、保護を必要とする海洋保護区の生態学的な基準が採択されるとともに、専門家グループの会合を設置することが決まりました。
 5番目として、2010年目標を含む戦略計画の見直し及びポスト2010年目標の設定に向けた検討スケジュールとして、2010年までに作業部会を1回、科学技術助言補助機関を1回開催するとともに、並行して2010年目標の達成状況を評価するための地球規模生物多様性概況第3版、GBO3を2010年5月に公表することで合意されました。
 より詳細な情報等については皆様に何らかの形でお配りすることになると思います。
 大臣は、30日午前の閣僚級会合の場で、神戸で開催されましたG8環境大臣会合の成果としての「生物多様性のための行動の呼びかけ」やそれを受けたSATOYAMAイニシアティブなど日本の取組や生物多様性基本法の成立等について紹介されました。
 また大臣は、30日午後の全体会合では、COP10の日本開催決定を受けて、愛知県知事、名古屋市長らとともに壇上に上がり、各国からの支持に対する謝辞とともに、COP10の成功に向け各国や条約事務局と協力し、地元とも一体となって努力していくことを表明されました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

質問
 福田総理が、ドイツ・メルケル首相との会談の中で、中期目標について明確にするということをお話されましたが、これはどのような趣旨の発言だと受け止めていらっしゃいますか。

→ 両者の対談について、気候変動等を中心に話し合いがあったことは承知しておりますが、どのような感じでおっしゃって、それに対してどのような返答があったか等、まだ詳細について承知しておりませんので、留保させていただきたいと思います。

質問
 次官御自身は、日本の中期目標の表明についてはどのようなお考えなのでしょうか。

→ 中期目標については、まさにG8環境大臣会合で、IPCCの科学的知見を考慮し、実効的な目標を設定する必要性が認識されました。それに尽きると思います。中期的目標を設定する必要がある、それはIPCCにおけるこれまでの科学的基盤、知見を考慮したものでなければいけない、かつ実効的なエフェクティブなものでなければいけない、こうした3点に沿って中期目標についてこれから検討を進めていかなければならないと思っております。

質問
 昨年のバリ会合で、鴨下大臣は25%~40%だと、日本もそれぐらい言わないといけないとおっしゃっていましたが、次官は25%~40%ぐらいは言わなければいけないだろうとお考えでしょうか。

→ 25%~40%というのがIPCCの一連の作業の中の一つの数字としてはっきりと存在します。バリ会合もそうですが、神戸会合においても、現にそうした発言が数カ国からこの数字も含めて議論があったことも事実です。そうしたこともすべて含めて、「IPCCの科学的知見を考慮し、実効的な目標」ということで最後取りまとめられたということです。そこに、言わば私というよりも環境省、鴨下環境大臣の思いが込められていると思います。そうした線に沿ってこれから議論が続けられるのだと思います。また、大臣もおっしゃっておられますように、日本としていつ中期目標の数値を提示するのかということは、まさに国際交渉そのものの中で考慮していく話でもあります。
 福田総理とメルケル首相との会談でどこまで突っ込んだ話があったかは承知しておりませんが、いろいろなバイ会合、あるいはマルチ会合等を通して、どのようなタイミングで、かつ日本としてどのような数字、どのような実効的な目標を出していくのかということが肝要だと思いますので、それが今適切かどうかということを私が責任を持って言うことは差し控えるべきだと思います。

質問
 ABSに関してですが、現時点での環境省、日本政府のABSに関するスタンスをお聞かせください。

→ 遺伝資源へのアクセスと、それに対する利益分配をどのようにするかということについて、いくつか論点はありますが、一番の論点になっていることは、それを拘束力のある法律的なものとして取りまとめた方がいいのか、それとも、ボンガイドラインというものがありますが、このガイドラインに沿って進める方が実践的で良いのかという、法的枠組み等を巡っての議論です。
 即ち、法的枠組みをつくるという議論、これは開発途上国などが中心ですが、それと、むしろつくらず非法律的なもので、ガイドラインに沿ってそれぞれの国の事情を勘案しながら進めていく方が良いという議論、二つに分かれており、またその組み合わせのような議論もあります。
 そうした状況をよく見ながら、せっかくこうした専門家会合ができましたし、日本も1回ホストをすることになりますので、よく議論を進めていきたいと思っております。

質問
 日本としては今のところ、非法的な枠組みということを考えているのでしょうか。

→ 日本が主張したのは、今、ボンガイドラインということを紹介いたしましたが、かつてのそうしたものを通じてでも十分効果的なものもできるのではないか、もう少し効果や問題点を見定めながら枠組みを考えていってはどうかというようなことだったと推量しております。こうした意見に対し、開発途上国などから様々な議論があったと聞いておりますので、経済産業省とともに、それらをよく見極めつつ検討していきたいと思います。

(了)

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