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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成20年12月19日(金))


1.発言要旨

 私の方から最初に4点お話しさせていただきます。
 1点目は、今日の閣議に先立ちまして、経済対策閣僚会議が行われまして、1つ目は生活防衛のための緊急対策、2つ目が平成21年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度の2件がございまして、2つとも了解をされました。まずは、生活防衛のための緊急対策については、先週麻生総理より概要が公表されたものでございますが、今回中身が決定されたものでございます。これは、後の閣議後の閣僚懇談会でも話しが出たところでございますが、財務大臣から第一次補正、それから10月30日に決定した生活対策、そして今回の緊急対策、合わせて財政措置として12兆円、金融措置として63兆円、合わせて75兆円程度の対策になるということです。このうち財政措置の12兆円を取ってみてもGDPの2%であり、この数字は米国の1.1%、英国の1.4%、また、欧州の1.5%と実際に金融機関が破綻しているこれらの国々の経済対策と比べても遜色のないものであります。これを国民の皆さんに訴えていこうという話しがありましたことを付け加えさせていただきます。平成21年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度については、見通し0.0%成長、名目0.1%成長という数字を基礎として果断な経済対策を打っていこうという基本的態度が了承されたところでございます。
 2点目は、閣議の前に地域活性化統合本部会合が開催されまして、地方再生戦略の改定が行われました。そして、地方再生戦略の3本柱の1つに低炭素社会づくりという視点が新たに盛り込まれ、また具体策として環境モデル都市の報告が行われました。地方再生戦略における低炭素社会づくりに関して、一つに、バイオマスタウン構想や都市計画などの地域づくり関連施策とも連携しつつ、地方の特色をいかした取組が必要であること、二つに、環境省は、各府省等と連携して環境モデル都市の取組やその成果の普及、地域における二酸化炭素削減計画の策定について、幅広く支援を行っていきたい旨、私の方から発言をさせていただきました。これが地域活性化統合本部会合の中身でございます。
 3点目は、閣議におきまして、12月12日に中央環境審議会から報告を受けた環境基本計画の進捗状況の第2回点検結果を報告させていただきました。環境省ではこの報告を踏まえて、各種施策の検討及び展開を率先して取り組んでいきたいと決意表明し、関係大臣に各府省での協力をお願いしました。
 4点目は、トキの分散飼育の実施地の決定についてです。トキの保護につきましては佐渡の地元の皆様の大変なご理解とご協力によって、野外放鳥まで進むことができました。地元の皆様に心から感謝を申し上げているところでございます。その上で、鳥インフルエンザ等の感染症による絶滅危機の回避、1カ所だけですと心配もございますので、トキの飼育繁殖に関わる専門家のご協力を得まして、危機を回避するためにトキの分散飼育についての検討を行ってきました。今年の3月に石川県、島根県出雲市、新潟県長岡市をトキ分散飼育の検討対象地と選定し、専門家を含め現地調査や検討等を重ねてまいりました。12月15日にこれらの3つの自治体からトキ分散飼育の実施の正式な申し出がありましたので、環境省として検討を行い、トキ分散飼育にふさわしい取り組みを行っていただけるものと判断し、3つの自治体をトキ分散飼育実施地に決定いたしました。
 なお、トキの引き渡しにつきましては、トキの飼育繁殖に関する施設及び体制の整備、技術向上等の準備が整った自治体から順次行うこととしております。それぞれの自治体の状況により約1年~3年後になる見通しでございます。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日水俣病に関する与党のプロジェクトチームが開かれまして、来年度中の全面解決を目指すことと、チッソの分社化について園田座長から考えが示されましたが、環境省としてそれを受けてどのように対応していきますでしょうか。

(答)与党プロジェクトチームの園田座長から、補償が確保される大きな最も大切な前提の下で、チッソ側と分社化を含めた解決があるのか協議をしていきたいと方向性が示されたと聞いております。これを受けてチッソ側からも与党プロジェクトチーム解決案に前向きに取り組んでいきたいというコメントがありました。これは大変重要なメッセージだと思っております。環境省としては、与党プロジェクトチーム案を実現することが患者の皆様の救済につながると思っておりまして、その実現に全力を挙げるというのが基本姿勢でございまして、この解決策が進むのであれば、環境省としても全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

(問)オバマ次期政権のエネルギー気候変動チームが固まったようですが、来年の交渉を含めて大臣のご感想を伺えますでしょうか。

(答)気候変動環境チームが決まりました。エネルギー相に元ノーベル賞受賞者が就くなど大変強力な布陣だと認識しております。また、政治側の代表者であるケリー上院議員とも先週COP14で45分間にわたりゆっくり議論をしてきたところでございます。アメリカの気候変動に対応する環境政策はこれから大きく変わってくると思います。中国、インドを取り入れた新しい国際枠組み作りに、アメリカがリーダーシップを発揮していくことは間違いなく、ケリー上院議員との会談でもそれを感じた次第であります。そのような中で、日本がアメリカと連携しながら次期枠組み作りにリーダーシップを発揮していくことが非常に重要だと思います。ここで日本が立ち後れた姿勢を示せば、アメリカとEUが先行し、そこに中国、インドが連なるという形になって、日本だけが大きく取り残されるという構図が、最も避けなければならない構図だと思います。今日本が環境政策について踏み込む躊躇をすれば、そうなる可能性は大きいと私自身は認識しておりますので、アメリカの新しいチームとよく連携をとって、日米で政策に対するリーダーシップを発揮していくという方向性を明確にしたいと思っております。これは、先日の閣僚懇談会でも、私から申し上げ、総理からもそういう方向で頑張って欲しいとお話があったところでございます。

(問)水俣病の与党プロジェクトチームに関して、チッソからプロジェクトチーム解決案に前向きに取り組みたいというメッセージがあったということですが、これは環境省に対してメッセージがあったということでよろしいでしょうか。

(答)環境省というよりも与党プロジェクトチームが昨日行われ、園田座長が記者発表されたということが、チッソに伝わり、また水面下でも園田座長と後藤会長がお話になったという状況の中で、社会全体に対してチッソ側から意見表明があったと認識しております。特にチッソ側からのコメントに、宛先はないと認識しております。

(問)予算のぎりぎりのタイミングでチッソ支援の追加予算の要望をされましたが、これについての大臣の考え方を伺えますでしょうか。

(答)与党プロジェクトチームがこのような形で動いております。先程申し上げましたように環境省としても、与党プロジェクトチーム案の実現がポイントでありますので、財政当局に、もし全てが整ったときに是非それを実行したいということで、お願いをしているところでございます。

(問)それは解決に向けた省としての強い意志を示したという見解でよろしいでしょうか。

(答)与党プロジェクトチームが実際にこのように動かれておりますので、全体が調整されて解決策を実行するとなったときにその財政的基礎が必要だからであります。

(問)チッソの分社化に関して、以前は新救済策の実現が先だという見解だったと思いますが、そこは転換ということになりますでしょうか。

(答)救済策を完遂することが大前提です。その大前提の下で、与党プロジェクトチーム案が実現する可能性があれば、それを検討していきます。もちろん検討すべき色々な課題があると思いますが、与党プロジェクトチーム案の救済策が100%実行されるという大前提の下での話とご理解いただければと思います。

(問)トキの分散飼育地に決まった3自治体にどういうことを期待されていますでしょうか。また、地元の佐渡からはトキを島の外に出したくないという意見も強いのですが、それに対して大臣はどう思われていて、今後分散飼育地について更に出していく考えはあるのでしょうか。

(答)この3自治体については、今後科学的な基礎にたって、専門家の方とよく協議をしながら進めていただきたいと思っております。また、準備については、専門家からもご意見を聴き、よく調査しながら進めていきます。その準備が整わなければ、なかなかトキをお渡しすることにならないと思いますので、成功に向けて人材の育成等準備をお願いしたいと思っております。それから、佐渡の皆様のお気持ちでございますが、これまで長年にわたって、自治体や住民の皆様がトキを愛し、飼育、そして放鳥に向けて大変なご努力をいただきました。そのことに対しては非常に深く感謝しておりますし、今回も他の地域で分散飼育することについて、複雑なお気持ちがあることは、私も非常によく理解しております。そういった皆様の気持ちに配慮しながら、しかしながら、例えば鳥インフルエンザ等の危機に対応するために、また、種を絶滅させないために、危機回避として分散飼育するという科学的な理由についても是非ご理解を賜りたいと思っております。これまでのご努力、ご協力、ご理解に対して、心から感謝をしていることは、何度言っても言い過ぎではないと思っております。

(問)これから、分散飼育地を増やしていくというお考えはないのでしょうか。

(答)基本的にこの3地域で行いまして、様子を見ながら専門家会合で検討していただきますが、今回の危機回避という目的を考えれば、それほどたくさん増やすということはないと思います。

(問)放鳥したトキの給餌について新潟県知事と佐渡市長から環境省の方針を見直して欲しいという要望書が出されたということですが、それについて大臣のお考えを伺えますでしょうか。

(答)私宛に新潟県知事及び佐渡市長連名の要望書が寄せられました。お気持ちは非常に理解できますが、専門家の方の意見をよく聞きながら一つ一つの施策を決めていきたいと思っております。

(問)方針については変更されるお考えはありますでしょうか。

(答)長い視野で考えたときに、放鳥されたトキが自然の中で繁殖し、増えていくために、科学的な研究、調査を行い、データをとっていくことが今回の大きな目的になります。そのような長い視野の下で、専門家の方と今何が最も適切なのか協議をしながら、将来にわたって給餌をするとかしないといった固定的な方針を出すのではなく、その都度状況を見ながら決めていきたいと思っております。今回の基本的な事業の方向性については、科学を基礎としながら長期的視野の下でトキの自然繁殖を図っていくことを見失わないようにやっていきたいと思っております。

(以上)

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