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大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成20年12月16日(火))


1.発言要旨

 私の方から1つご報告をいたします。閣議後の懇談会でも発言をさせていただいた内容ですが、COP14についてご報告をさせていただきます。先週11日及び12日にポーランドで開催されたCOP14閣僚級会合に出席してまいりました。会合では、G8議長国として、2050年までに世界全体の排出量の少なくとも半減を国連の枠組みの下で共有すべきことを訴えました。また、昨今の金融不安の中で気候変動対策が遅れるのではないかという雰囲気があるわけですが、こういう時だからこそ気候変動対策に積極的に取り組むべきであり、これを将来の新たな経済成長のバネとすることが肝要であると主張いたしました。
 また、米国や中国を如何に責任ある形で巻き込んでいくかについて、各国閣僚との二国間会談を行いました。これは、非常に人間的環境を作るという意味でも有意義だったと思っております。オバマチームという認識を持ってケリー上院議員とも会談しました。気候変動問題に日米が一致して協力していくこと、経済成長のために積極的に環境政策を進めるべきこと、科学に基づく行動原理を持つべきということ、それから、途上国を巻き込むためにも先進国が野心的な中期目標を持つべきだということも意見が一致したところでございまして、今後、アメリカのオバマチームとも連携を取って、次期枠組みに主要経済国全てが参加する形になるように頑張っていきたいと思います。
 COP14の成果でございますが、COP15の合意に向けて各国の意見、立場、違いを明確にすることにあったと思います。そういう意味では、本来の目的を達したCOP14であったと思います。今後、この違い、一致している点、違っている点が明確になりましたので、この1年間かけてこの溝を埋めていくべく努力をしていかなければならない、その先頭に日本が立っていくと決意しておりまして、その点を今日の閣僚懇談会でも報告をし、麻生総理からも全力で頑張って欲しいと発言があったところでございます。
 会議の詳細については、本日午後、竹本地球環境審議官が報告いたします。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)COP出発前に大臣は、今回の会議ではCOP15に向けて政治的なモメンタムが維持されることが非常に重要ではないかとおっしゃっておりましたが、その点はいかがでしょうか。

(答)各国の主張の中に金融危機だからこそ地球温暖化問題、気候変動問題に力を入れると各国政府が示さなければいけないという発言が相次ぎました。そして、それが今回の議長声明の一番最初に入っております。そういう意味では初期の目的を達成できたのではないか、モメンタムは維持された、それ以上に勢いがついたと思っております。

(問) 先週12日に与党税制大綱がまとまったと思いますが、大臣もかねてから税制グリーン化などについて主張を述べられておりましたが、その点について評価をお聞かせいただけますか。

(答)今回の税制改正要望において、環境省としては、内需拡大、環境投資拡大の観点から環境税の創設を含め、税制のグリーン化を大胆に実施すべき旨、要望いたしました。今般、大綱におきまして、環境税の検討を含め、低炭素化を思い切って促進する観点から、税制全体のグリーン化を推し進める旨の力強いメッセージが盛り込まれたことは大いなる前進であると思っております。さらに、中期プログラムの基本骨格となる税制抜本改革の全体像の中に一項目おきまして、低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化を推進すると盛り込まれたことも非常に意義深いと思っております。
 大綱の中に低炭素化という言葉が8回、グリーンという言葉が6回使用されていることから、この税制のグリーン化を進めるという意気込みが大綱の中に書かれたものと評価をしております。

(問)今回のCOP14ですが、各国の溝を埋めていくのに日本が先頭に立つとお話がありましたが、日本が先頭に立つ意味でも中期目標を明確に出来ていないというところがなかなか先頭に立てない理由と現地で感じたのですが、今後、溝を埋めるために改めて日本の決意、何が必要になるかお伺いできますか。

(答)今回8カ国、アメリカは2チームと懇談しましたので、9回バイの会談を行いました。その中に発展途上国のグループに入る中国や南アフリカの代表とも話をし、また先進国グループのEUとアメリカとも話しをしました。その中でまず日本が中期目標に対してどういう作業の過程にあるかを説明して、基本的に理解をしていただいたと思っております。そして、先進国の間からは、アメリカのケリーさんとの話しにあるように、まず、地球全体で半減させるためには、先進国の努力と同時に、途上国の責任ある参加も必要であると途上国も含めて理解をいただいたのではないかと思っております。そういう意味で、先進国の目標と途上国の責任ある参加、一つのものという形で決める必要があるということも理解をいただいたと思っております。その理解の下、先進国が野心的な目標を出さなければ、途上国も責任ある参加という踏み出しがなかなか得られないであろうということについても先進国間、特にアメリカの新しいチームの間でも合意をしたところです。私は日本がリーダーシップを取ると何度も言っていますが、その大きな柱の一つに野心的な中期目標を掲げるということも入っているとご理解いただいて良いかと思っております。また、それだけではなくて、その他の技術協力のあり方、それに伴う資金援助のあり方、コ・ベネフィットアプローチ等も一緒に議論しながら、汚染の問題と同時に地球温暖化問題、前進をするという手法、コ・ベネフィットアプローチも含めて一生懸命日本の態度、姿勢を訴えてリーダーシップを発揮していきたいと思っております。 

(問)排出量取引の試行についてですが、参加企業が501社ということで、大臣は以前から数千、数万の単位と言っておられましたが501社の結果についていかがでしょうか。

(答)まだ結果ではないと思います。途中経過で第一次の集計締め切りという認識でおります。501社のほとんどが大企業で、産業界の排出という観点からみれば、排出量の7割をカバーする企業に入っていただいていると思っております。しかしながら、私は数千、できれば万の単位と言ってまいりました。日本の産業の実情にあった排出量取引制度、そのノウハウや知見を得るための試行でございますので、中小企業の方にも入っていただかなければならないと思っております。今回は、ある意味で大企業に入っていただき、その様子を見ながら逐次中小企業の方に参加をしていただくことになろうかと思います。初めての試みですから、少し様子を見ているというところではないでしょうか。  
 COP14でも感じましたが、今後、気候変動、地球温暖化、環境問題が経済のキーになる、経済発展のバネになると考えれば、今後多くの企業に参加していただけると確信しておりますし、今回の501社については、途中経過の数字という認識でございます。

(問)選挙の話しですが、自民党の古賀誠議員が次期選挙は比例の自民党だという主旨の発言があったと一部で報じられておりますが、公明党の立場で皆さんの間、幹部の間でのリアクションや思われていることはありますでしょうか。

(答)幹部の間でのリアクションはありません。私個人の感想ですが、古賀選対委員長の発言の真意の全体図を掴んでおりませんので何とも申し上げられませんが、党の選対委員会どうしではきちんと打合せをしながら進んでいると認識をしております。自民党の方が比例区は自民党というのは当然で、公明党として、自民党の方に比例区は公明党と言うようお願いしているケースはないと私は思っております。

(問)来年度予算についてですが、今回復活折衝は原則廃止ということで、事前の財務大臣との折衝が重要になってくるかと思いますが、斉藤大臣として財務大臣に対してどのようなところを重点的に予算の配分をと訴えていくのでしょうか。

(答)いわゆる復活折衝はありませんが事前に大臣間交渉はあるものと認識しております。その場で私が強調したいのは、我々が概算要求で要求しているものに対してどのような財務当局が答えを用意しているかによります。それを認識しておりませんので、どこを強調したいかは言えませんが、基本的に3Rの推進のための諸施策、水処理等では浄化槽の推進、補助率のアップについてもお願いをしております。地球温暖化対策等でも太陽光発電、世界一奪還に向けての諸施策を盛り込んでいるところでして、これらの予算の付き具合をみまして財務大臣に折衝したいと思っております。

(問)14日の日曜日、放鳥された10羽のうち1羽のトキの死骸が見つかったということですが、これに対して大臣の所見をお願いします。

(答)1羽1羽無事に自然界の中で自立して生きていってほしいという強い思いがありましたので、ニュースを聞いた時は大変残念でした。しかしながら、自然放鳥をしたということの中には、厳しい自然の中で生きていくということも含まれておりますので、こういう現実も受け入れなければいけないと思っております。今しばらく残りの9羽、うち1羽については、まだ確認されておりませんが、注意深く見守りながら放鳥の結果を分析して今後の方針を立てていきたいと思っております。

(問)今後弱っている場合、緊急時の捕獲については、何か方針はお考えでしょうか。捕獲するお考えはあるのでしょうか。

(答)専門家会合で逐次議論をしていただいておりますが、放鳥をしたということで、自然の中でどのように群れを作り自立して生きていくかの様子を見たいというのが基本だと思っております。このままいけば自然放鳥した個体数が減ってしまうというようなことが高い確率で予想されるような場合には、それなりの措置もあり得るのではないかと私自身は思っておりますが、基本的に現地の専門家の皆さんの結論を参考に決めていきたいと思っております。

(問)それなりというのは捕獲という意味と考えてよろしいでしょうか。

(答)今後残された9羽がこうなるのではないかと科学的に明確に予測されるような場合には、そういうこともあり得ると思っております。

(以上)

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