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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成20年12月5日(金))


1.発言要旨

 最初に私から4点ご報告いたします。
 1点目は、本日閣議で、地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令、つまり改正温対法に基づく排出抑制等指針の施行日を12月12日に定める政令を閣議決定いたしました。排出抑制等指針については、その案について11月30日までパブリックコメントを行ったところであり、現在解析中です。解析の結果を踏まえて必要があれば修正し、12月12日に関係12省庁の共同告示として指針を公表する予定です。
 2点目は、今週の1日、2日に、韓国の済州島で第10回日中韓三ヶ国環境大臣会合(TEMM10)が開催され、出席して参りました。中国、韓国の環境大臣と初めてお会いし、人間的関係を作り、様々な分野で議論を交わし、今後の協力関係を確認してきたところであります。議論の成果の主なポイントは、まず、第一に気候変動対策につきましては、中国と韓国に次期枠組みへの責任ある参加を要請しました。三ヶ国の大臣は長期目標に係る共有されたビジョンについての合意の重要性を認識し、COP14、さらにはCOP15での合意に向けて作業することの必要性を強調しました。第二に、越境大気汚染及び漂流漂着ゴミについて両国に対策強化を要請し、今後の協力について合意をいたしました。第三に、環境教育に係る新たな取組として三カ国の学生団体の交流の機会を設けることについて提案し、両国から前向きな反応が得られました。第四に、2010年に名古屋開催の生物多様性条約COP10への協力を両国に要請し、両国は成功に向け協力を確認しました。以上4点でございます。私からの個人的な感想でございますが、2つあります。一つは、韓国の主張でグリーン成長という言葉が何度も使われまして、李明博大統領の基本的な施策の非常に高いプライオリティに置いているという説明がありました。いろいろな気候変動の問題等を環境制約として捉えるのではなく、次の経済発展の大きなチャンスとして捉える考え方、これは我が国の麻生総理も強調されておりますが、韓国も非常に強い意識を持っていることが印象的でした。もうひとつは、この三ヶ国環境大臣会合を非常に重要な東アジアの核としていきたいという思いを、韓国、中国共に持っていると強く感じました。具体的には三ヶ国だけでなくて、国を広げようという提案もされましたが、私からはそれは今後慎重に議論していきましょうと答えたところであります。
 3点目は、今週月曜日からCOP14がポーランドのポズナンで開催されております。昨日までの4日間の概要について、以下のとおり報告を受けております。一つ目は、COP14の開会挨拶では、新議長となったノヴェツキー・ポーランド環境大臣などから金融危機のもとでも気候変動の対応を行う必要があること、最新の科学に基づいて行動する必要性などが訴えられたということであります。二つ目に、共有のビジョンに関するワークショップでは、我が国、これは外務省の大江審議官からですが、G8の合意である2050年に世界全体の排出量を少なくとも半減する長期目標を全ての締約国と共有することを主張しました。三つ目に、削減ポテンシャルに関するワークショップでは、我が国、これは環境省の森谷審議官からですが、一つは、先進国の目標を決定するためには、世界全体の必要削減量と削減ポテンシャルの両面を考慮する必要があること、もう一つは先進国間の比較可能性が重要であることを主張いたしました。四つ目ですが、様々な議題において実質的な議論が開始されたところであり、まだ結論文書の案などを詰めるには至っていないと報告を受けております。来週の11日、12日と閣僚級会議が予定されておりまして、私も国会のお許しを得て、是非参加したいと考えております。我が国としては、長期目標の共有、それから全ての主要排出国、主要経済国が参加する実効ある枠組みの構築など、我が国の意見が今後の議論をリードするものとなるようしっかりと主張していきたいと考えております。また、昨今の金融危機の中にあっても、交渉を加速化し、地球温暖化対策に世界全体で取り組む決意を強い政治的メッセージとして発出することが大事ですので、この点についても頑張っていきたいと思っております。また、これまでの会議の詳細については今日の午後、事務方からレクをさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。
 4点目は、12月7日日曜日に柏崎刈羽原子力発電所の視察に参ります。視察の目的は、2007年度の温室効果ガス排出量の速報値を発表いたしましたが、2006年度と比べて大きく排出量が増加しております。その原因が原子力発電所の利用率が低下し、電力排出原単位が悪化した影響が大きいと考えておりまして、温室効果ガス排出量の削減のためには、原子力発電所の利用率の向上が大変重要でございます。このため、昨年7月の中越沖地震の影響で停止している柏崎刈羽原子力発電所について現在の状況を見ていきたいと思っております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問) COPについてですが、現在までのところ先進国と途上国間の意見の隔たりが大きいと伝えられておりますが、大臣来週参加の意向を示されておりますが、どのように意見の違いを埋めていこうとお考えでしょうか。

(答) 先進国としての排出削減に向けての大きな役割と義務、これを明確にする必要があると思います。それから世界全体として排出抑制をしていかなければならない必要性、こういうものを訴えていくことによって溝を埋めていきたいと思います。また先進国間の公平な目標設定等の方法論、セクター別アプローチですとか、排出ポテンシャルの分析手法、こういうものを日本として優秀な手法を提案しておりますので、このような手法の提案をしてゆきたいと思っております。そこで重要なのは先進国がその決意を表明することだと思いますけれども、一面的なことだけではなく全体として、たとえば全主要排出国が参加する枠組みを作ることが大切である、そのためにはどのような技術移転の方法があるのか、また資金面での協力ということも重要になってくると思います。中期目標ということもその中の一つだと思います。そういうことをパッケージで議論しますということで、一つ一つ別々に決められるものではありませんので、全体をパッケージとして決める。その重要さとその方向性として大変野心的なものを日本として先進国として持っているということを指し示す必要があろうと思っております。

(問) COPにも関連しますが、TEMM10で中韓環境大臣と会談されたわけですが、先ほどの発言によりますとCOP14、15での合意の必要性というか、作業の必要性というのを合意されたということですが、今までの日本提案などで中韓はもう少しきつい対策というか、次期枠組みを求められているかと思いますが、この点についてもう少し具体的な言及というのは相手方からはなかったのでしょうか。

(答) 共通だが差異ある責任という原則を一貫して主張されておりましたけれども、しかしたとえば中国ですと原単位についてこういう具体的な目標を持って何もしないわけではないと、大きな目標を持って努力しているし、まずそういう途上国としての立場を理解して欲しい、そういう主張はございました。また韓国におきましても基本的に共通だが差異ある責任というもとで、その責任を果たしていきたいというような表現がありました。日本からは韓国についてはOECDに加盟している国ですので、明確な目標を持ってやって欲しいという要望をいたしました。

(問) 韓国に対して明確な目標を持ってやって欲しいという日本の発言に対して韓国はどのような反応でしたか。

(答) 先ほど申し上げた原則論をまずおっしゃいました。その上で努力をしているという表現があったところです。具体的には太陽光発電や、再生可能エネルギーの普及に力を入れたい等具体的な言及がありました。

(問) 柏崎原発の視察の件ですが、現在再稼働に向けて時期の検討が進められている段階かと思いますが、このタイミングでお出かけになるのは、早期の再稼働を促すということでしょうか。

(答) いえそういう目的はございません。一つ一つ地震の被害があったところが復旧に向けて作業が進んでいる、その作業の状況を見に行くというだけで、早期の再稼働を促しにいくという意図は全くございません。

(問) 先日の日経新聞インタビューで、オバマ次期大統領の中期目標について、もう少し野心的なものであっても良いのではないかとおっしゃたかと思います。来年の話にもなりますが日本としてはアメリカとの協調は大事ですが、そうありながらもアメリカにより野心的な削減幅を促していくような外交がでてくるかと思いますが、ヨーロッパとのバランスを見ながら、また日本としての中期目標を立てて行かなくてはいけないということがあって、なかなかデリケートなバランス外交が求められるかと思いますが、オバマ政権との温暖化対策についてどのようなビジョンがありますでしょうか。

(答) インタビューであのような言い方をしたのは、オバマ次期大統領が2050年で80%削減するということをおっしゃっていますが、そういう目標を達成するために今から2020年までの間にピークアウトさせて現在と同レベルになるということでは、2050年80%削減というのはなかなか厳しいものがあるのではないかという趣旨であのような発言をしました。おっしゃるように非常にアメリカとの関係は今後微妙であり大切だと思います。一番大切なのはアメリカ、中国、インドそしてその他の途上国、主要排出国が参加した新たな枠組みを作るということが最も大切でして、そのためにいろいろな駆け引きや、日本としての立場の表明の仕方や時期ということを考えて行かなくてはいけないと思いますけれども、最も大切なのは先ほど言ったようなことで、それを達成するために一つ一つ考えながら日本としても行動していきたいと思います。

(問) より中期で高い目標を求めていく、促していくということはされる予定ですか。

(答) それも含めて今後検討していきます。

(問) 沖縄の泡瀬干潟の問題ですが、まだ係争中ではありますが、係争中にも貴重な珊瑚や藻場が失われるとして、昨日大臣宛に地元の団体が環境省として何か対応して欲しいと要望書を持ってこられたかと思いますが、それについての受け止めと今後の対応について教えてください。

(答) アセス法上、環境大臣に意見を求められたり、また環境大臣が意見を言える立場にはないと聞いております。少し勉強してみたいと思います。

(問) 3日の環境省と経済産業省の合同審議会の中で、政府や産業界が温室効果ガスの削減義務を守るためにどのくらい排出権を買わなくてはいけないか、現在の価格にすると7000億円という試算もあるのですが、経済不安の中でこの7000億円という数字についてどのようにお考えかお聞かせ願います。

(答) まだ京都議定書の目標について達成できないという状況にはございませんし、また今後の努力によって大きく変わってくると思います。もちろん今の段階でCDMを利用して排出枠の算定に入っているものもございますけれども、7000億円という数字はそれに加えて今後我々が努力すれば削減できる分も入っていると思います。そういう意味でできるだけその金額なり、外国から排出枠を買ってくる量が少なくなるように今後残された4年余り全力を挙げなくてはいけないと考えます。できるだけその金額を少なくしたいというのが正直な私の気持ちです。

(問) 同じ審議会で小名浜の石炭火力も話題になったのですが、大臣の先般の会見に対して、エネルギー安全保障とか自主行動計画の枠内であるということを理由にして淡々と進めるような話が出ているのですが、改めてどのようにお考えでしょうか。

(答) 私の考えは全く変わっておりません。

(問) 今週自民党の税調の方で環境省が提案していた環境税が長期的な検討課題となりましたが、その結果になったことで所見をお聞かせください。

(答) 今年度実現しなかったという状況にあることについては残念でございます。しかしながらまだ議論が行われており、また与党の税制改正大綱に中に基本的な考え方、つまり環境税も含めて税制のグリーン化を推進するという基本的な低炭素社会づくり基本計画の中に盛り込まれた考え方が、しっかりと盛り込まれることが大事だろうと思っておりまして、そうなるように我々も頑張っているところでございます。

(以上)

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