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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成20年10月21日(火))


1.発言要旨

 閣議が終了いたしまして、私から一点だけ最初にお話させていただきます。昨日、総理もご出席いただいて、奥田座長の地球温暖化問題に関する懇談会が開かれました。懇談会では、排出量取引の我が国における試行についての原案が示され、スタートの了解をいただきました。それから、中期目標について、専門の検討委員会を設けて、福井前日銀総裁を座長としてオープンな場で議論をしていただくということについても了解を得たところでございます。それを受けまして、今日の全閣僚が出席しての地球温暖化対策推進本部で排出量取引の試行を今日からスタートさせることが正式に決定されました。この試行につきましては、できるだけ沢山の事業所、会社に参加していただくということで、私からも各省庁に所管企業の参加を促していただきたいとお願いをしたところでございます。是非成功させ、我が国の実情にあった排出量取引の経験を積み、その案を世界的なルール作りに役立たせていきたいと思っております。
 それから、昨日の懇談会の中期目標の検討につきましては、オープンな場でいろいろなケースについて国民に選択肢を示す形で議論をし、最終的には政府が決断いたしますが、国民のみなさんの意見をいろいろな形で反映できるということで良い姿だと思っており、私は環境大臣として意見を申し上げたところでございます。その基本は科学の要請に答えるものでなくてはならないという趣旨の発言をさせていただきました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)排出量取引の試行がいよいよスタートしましたが、沢山の企業に入っていただきたいということですが、どれぐらいのオーダー、何社、何千社、何万社、何十万社に入っていただきたいのでしょうか。
 また、一部の業界、鉄鋼業界などでは、業界単位で参加するということを伝え聞いております。議論の中で小魚の中にも鯨がいるとうまくいかないのではないかという議論があったと聞いておりますが、大臣のお考えをお伺いできますでしょうか。

(答)第一点ですが、できるだけ沢山、数千社、できれば数万社の大台にあがる数の方に参加していただいて、スタートさせたいと思っております。主な企業、これは大企業、中小企業、地域の中核企業等は、軒並み入っているという形に是非したいと思っております。
 第二点ですが、今日応募をスタートさせるということですから、まだ提案書が来ておりません。当然鉄鋼業界からも参加していただけると思っておりますが、どんな形で参加するのかというのは、応募を見て議論させていただいきたいと思っておりますが、基本的には業界団体での参加は認めないという原則があるということをここでお話をさせていただきたいと思っております。

(問)先ほど大臣がおっしゃった、我が国の実情にあったということはどういう意味でしょうか。

(答)ものづくりが我が国の産業の基本でありますし、また、今回の金融工学をベースにおいたこの金融破綻から我々が得る教訓は、実体経済をベースにおいたものでなくてはなりません。その中でも特に日本はものづくりに優れている、そういう経済を発展させ、かつ温暖化を阻止する技術開発に結びつくような制度でなくてはいけない、マネーゲームに走ることであってはいけないという意味で申し上げたところです。実際の技術開発に結びつくような制度にしていかなければいけないと思っております。

(問)その際にはキャップというのはかけない方が良いというお考えでしょうか。

(答)いいえ、基本的に今回の制度はキャップアンドトレードです。もちろん、架空の技術を夢想して数字だけ積み上げていっても意味がありません。そういう意味で我々はセクター別アプローチ、実質の技術を積み上げていくということで、現実的なものでなくてはいけない。しかしながら、最後は我々が目標としているものとのギャップが生じたときには、そのギャップを公平に負担して、そこで各負担を持ったところが、技術開発やその他の手法に全力をあげるということで、世の中が進んでいくと思っておりますので、キャップ無しというものではないと思っております。ただし、今回スタートさせるにあたっては、我々自主目標をその目標として良いとして、できるだけ沢山の事業者に参加していただく、そのことが今回の非常に大きな目標でありますし、そういう形で最初はスタートさせますが、最終的にはキャップアンドトレードの練習ということでございますので、そういう方向を目指していきたいと思っております。

(問)会計検査院から合併浄化槽が無駄になっているという指摘がありました。合併浄化槽の無駄を無くすための事業で、結果、無駄になっているということですが、今後、環境省としてどう取り組んでいかれるのでしょうか。

(答)これについては、疑念を抱くようなことがあったことは遺憾に思っておりますし、我々も反省をしております。したがいまして、指摘された事項で一つ一つ改善に取り組んでいきたいと思っております。たとえば、設置はしたけれども接続はしていなかったという事柄については、補助金を出すときの要綱の中にこれまでは当たり前すぎて書いていなかったのですが、1年以内に接続しなければいけないということを入れるなど要綱の変更等を行いたいと思っております。
 それから、法定検査の未受検については、地方自治体にお願いしなければなりませんので、地方自治体へ協力要請等をしっかりやっていきたいと思っております。

(問)中期目標についてですが、改めて今回本格的な議論が始まるわけですが、その議論で期待することは何でしょうか。
 以前、大臣はマイナス25%という数字もあげてお話をされておりましたが、その数字についてどうお考えでしょうか。

(答)今回の中期目標を検討していただく専門委員会ですが、大前提として2050年までに世界で半減をする、そのためには先進国は、それ以上のマイナス60%からマイナス80%の削減が必要であることは、国として認めたところでございます。そのためには、2020年から2030年の間に世界全体をピークアウトさせなければなりません。そのピークアウトさせるために先進国の目標としての中期目標があるわけで、まずはそういう大前提があるということです。その上で、将来安定化させる二酸化炭素濃度、550ppmの場合、450ppmの場合、それ以上の場合等、具体的に数字やパターンを示して、この場合はどういう努力が必要になるのか、この場合は中期目標がどうなるのか、という国民に解りやすい形で、550ppmになった場合は世界がどういう状況になって、人類としてどういうコストを払わなければならないのかということを国民のみなさんに解りやすく提示し、議論をしていただければと思っており、それが期待です。

(問)具体的な数値目標はありますか。

(答)具体的な数値については、最終的には来年のしかるべき時に政府の方で責任を持って決めたいと思っております。その中で国民のみなさんにも納得していただくためにも、先ほど申し上げたような前提、将来招く結果、その時にかかるコスト等を国民のみなさんに解るような形で議論していただければと期待をしております。

(以上)

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