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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

斉藤大臣記者会見録(平成20年9月19日(金))


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、環境省関連としては共同請議で、皇居周辺北の丸地区の整備について閣議了解が得られたところでございます。また来週は火曜日がお休みですので、水曜日の9時から閣議ということになりました。24日の国会召集も閣議了解をしたところでございます。
 私の方から三点お話をしたいと思います。第一点は、昨日、EUのディマス欧州委員と電話会談をいたしました。これは9月初頭の訪問予定をこちらがキャンセルいたしましたので、お詫びも兼ねてお話をさせていただいたところです。ディマスさんはギリシャ出身で、ラフカディオ・ハーン、小泉八雲のファンだということで、私も島根県松江の出身なものですから、ハーンの話から入りまして、和やかな会談を行いました。
 主な内容ですが、長期目標を気候変動枠組条約全締約国で共有することの重要性、途上国の差異化の必要性について再確認をしたところでございます。それからコベネフィットアプローチなど、中国・インドを枠組みの中に取り込んでいく活動について、日本のリーダーシップを求める、また、アメリカの参加についても、EUと日本が共同してリーダーシップを発揮して頑張っていこうという話もありました。また、セクター別アプローチへの協力を求めたわけですが、ディマスさんからは、国別総量目標に代替するものではないけれども、非常に重要な考え方であり、検討に値するという回答がありました。10月22日にパリで日本が主催するセクター別アプローチに関する国際ワークショップに関しても、重要かつ有用な会議であり、EUからも出席するというお返事がありました。また、10月から我々としても排出量取引について試行を始めるという話をしたところ、成功を祈る、将来のEU-ETSとのドッキングも踏まえて、有用な知見を得られることを望む、今後、情報共有等を行っていこうという話もありました。
 第二点は、トキの放鳥です。来週9月25日木曜日に、新潟県佐渡島で実施するトキの試験放鳥及び記念式典を行いますが、秋篠宮同妃両殿下の御臨席を賜ることとなりました。このことはトキの野生復帰に向けて地元で大変努力・御協力をいただいた皆さまにも喜んでいただけるのではないかと思います。放鳥まであとわずかですが、成功するように全力をあげていく所存でございます。
 三点目ですが、本日午後と来週月曜日に視察をいたします。本日の午後は、兵庫県加東市にある使用済家電製品のリサイクル及びリサイクル技術の研究・開発・実証を行う松下エコテクノロジーセンターです。使用済家電のリサイクルについては先日、東京エコタウンのフューチャーテクノロジーを視察いたしましたが、今回の視察は、メーカーが行っていて、リサイクルの現場で得られた知見や情報を製品の設計・製造に役立たせるという過程を持っている点が今までと違う点であり、ここを中心に見てまいりたいと思っております。
 広島については、マツダの本社を訪問して、次世代自動車の一つの候補である水素ロータリーエンジン、及び水素ステーションなどを見てきたいと思っております。その後広島県北部に行き、食品をリサイクルして水素を製造する研究を広島大学がやっているのですが、そこにタカキベーカリーが協力をして、廃棄する食パンの耳から水素を作る研究をしておりますので、水素エネルギーの供給サイドということで見てきたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先日もお伺いしましたが、排出量取引の分科会が開かれまして、制度案などが出されましたが、今後の環境省の対応と、評価をお願いできますか。

(答)内閣官房の下に置かれている地球温暖化に関する懇談会の政策分科会が開かれまして、政府として考えている排出量取引の原案を提示させていただきました。まず、たくさんの民間企業に入っていただくことが最も肝要だと思いますので、そういう意味では、例えば経団連の自主行動計画の目標をそれぞれの目標としてスタートすることも評価をしているところでございます。実際にやってみて、良い点、悪い点を見つけ出すことが最も肝要でございますので、そういう意味では、たくさんの会社に入ってもらってスタートできるのではないかと評価しております。

(問)トキの放鳥なのですが、再来年のCOP10に向けて、生物多様性という意味からも非常に重要な転換点だと思うのですが、その点についてもう少し御所見をいただければと思うのですが。

(答)生物多様性という意味からも非常に象徴的なことだと思っております。よく、なぜトキばかりやるんだという批判があって、それは私、環境大臣のところにも届いておりますが、一つは、地域の方と一体となって努力をしなければこれは成功いたしません。自然に復帰して自力で生きていくためにもエサが無くてはいけない。例えばそれは水田のドジョウだったりします。その水田に生きる生物が、過去の高度成長期、農薬をたくさん使いすぎたことでなくなってきました。根本的に農業のやり方も変えていこうという地域の方の大変な努力無しには成功しないわけです。そういう意味で、佐渡のトキは地域の方の協力を得て、ある意味では我々環境省が、生物多様性、種の絶滅ということを言う前から地域の方々が努力をされておりまして、その点が一つの大きな点ではないかと思います。
 また、トキが自立して生きていくには地域の生態系が非常に多様なものでなければならないわけで、トキが野生で生きていくこと自体が生物多様性を表すと思いますので、自立して生きていくトキを見ることは非常に大きな意味があると思います。私たちは里山イニシアチブというものを提案しておりますが、トキの放鳥を成功させることが日本全国で生物多様性を守っていくための国民意識の高揚に繋がるものと思っていて、最終的にはトキだけでなく、現在絶滅が心配されているような生物についても、その保護が行き渡る、また、自立して生きていける環境ができるための最先端の出来事だと思っております。うまくまとめられませんでしたが、そういう思いです。

(問)排出量取引の試行に戻りますが、大臣がおっしゃっていたたくさんの企業、たくさんというのは何社ぐらいなのでしょうか。

(答)数千社です。今具体的な数字は言えませんけれども、少なくとも上場企業等については全て、そして多くのそれに連なる協力会社、中小企業の方を含めて、全部入っていただくことを念頭に入れております。

(問)たくさんの企業というお話がありましたが、一方で産業界の協力というか参加を促すために制度が、結局、キャップはかぶされることになったと思うんですが、骨抜きというか、これでは肝心のCO2削減効果が得られないのではないかという意見がこの前の分科会でも出ていて、産業界に譲歩し過ぎたとの批判もあるわけですけれども、どのようにお考えですか。

(答)譲歩し過ぎたとは思っておりません。まず、先程も申し上げましたが、枠組みに入ってもらって排出量取引の経験をしてもらう、また、目標に向かって排出量を抑える、原単位を抑える技術開発等の努力をしていただく枠組みに全部入ってもらうわけですから、私は大きなステップだと思っています。そうすることによって、例えば1年ぐらいやるといろいろな経験が得られます。現実には排出量の抑制に結びつかなかったのではないか、という結果も出てくるかもしれません。その時には、この制度をより効果的にするために、ではどうしようかということを、参加企業の方と建設的に話し合うことは当然するわけでございまして、小さく産んで大きく育てるという意味では、誕生すること自体が大変大きなことではないかと認識しています。

(問)例のチッソ支援の話で幹事会を開かれたと思いますが、どういう決定があったのかということと、もし大臣が閣議でなんらかのご発言があったとしたら、そのことを教えていただきたいのですが。

(答)チッソ支援については、今日、閣議では発言しておりません。昨日、支援者会議の幹事会があったということで、今回9月25日の支払いについては先日私が申し上げたとおり、国が全面的にお支払いをし、被害者の救済を第一に考えるということでございます。
 御質問は今後どうなるかということだろうかと思いますが、全ての被害者の救済に向けて、チッソが原因企業として次の一手に踏みだすことが全ての大前提になろうかと思います。これまで県と国とチッソが信頼し合いながら枠組みを作ってきたわけですが、その信頼にひびが入ることのないようにチッソに考えていただきたいと思っております。

(問)チッソから一歩踏み出すことが重要とおっしゃっていたかと思いますが、先日はチッソからは何も言ってきていないと話をされていましたが、今後の戦略というか、どのようにお考えになっているのか、直接訴えるお考えはあるのか、そこら辺をお聞かせいただけますでしょうか。

(答)今最もやらなくてはならないのは、与党プロジェクトチームが出した、全ての被害者の救援に向けて動き出すことだと思っております。動き出すためであれば私はなんでもやるつもりですけれども、私はそのことについて、我々の考え方は何度も向こうに伝えてございます。チッソがこれについてどう考えるのか、どう一歩を踏み出すのかが次の段階だと思っております。

(問)ディマスさんとの電話会談で、国内排出量取引について、将来のEU-ETSとのドッキングを、ディマスさんがおっしゃったということは、おそらくドッキングを期待されてのことだと思いますが、それに対する大臣の反応を教えて下さい。

(答)日本もこの試行を通じて、経験を積んで、我々としての考え方もしっかり申し述べたいと、日本の考え方も入った全体の市場を作っていくことも重要ではないかと、このように申し上げたところであります。

(以上)

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