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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成20年8月1日(金) 臨時閣議後)


1.発言要旨

 13時半から臨時閣議がございまして、辞表を提出してまいりました。特段それ以外のことはございませんでしたので、手続きだけしてまいりました。
 昨年の8月27日に安倍内閣で環境大臣を拝命してから、8月から8月までですから、足かけ1年間、環境行政に携わらせていただき、ありがたく思っております。加えましてこの1年間というのは環境ということでは、節目であったと思っております。特に昨年のバリでのCOP13から始まった一連の国際会議を経て、7月7日のサミットまでの間、気候変動、特に温暖化防止気候変動に関しましては、国際会議が沢山ございましたけれども、そういうところに参加させていただきまして、それなりの議論をさせていただきました。本当にありがたく思っておりますし、その流れの中で、日本の役割としての国際社会の中での気候変動に対する役割、それから国内での世論の高まりを受けた国内でやるべき第一約束期間での様々な環境の問題についても手がけられたということで、私にとっては、大変やりがいのあった時期に環境大臣を努めさせていただいたということで、皆さんにも感謝を申し上げたいと思いますし、やり遂げたというすがすがしい気分で今日を迎えさせていただいたということでございます。本当にありがとうございました。

2.質疑応答

(問)就任以来1年間で環境行政でこういう成果をあげられたと思われることと今後引き継がれるであろう課題についてお聞かせ下さい。

(答)これから日本が国際社会の中で果たすべき役割としての環境分野というのは非常に大きいと思います。そういう中で、私なりにはダボスで総理が国別総量目標をおっしゃったということを一つの節目に、7月7日からのサミットにおいて日本がそれなりに国際社会の中でプレゼンスを示せたということに、多少お役に立てたかなというように思っておりますので、成果といえば成果です。これから先は排出量取引等については、もっと具体的な制度設計までやりたいという思いはありましたけれども、福田ビジョンの中にも示されましたように秋の試行、それから、その後の本格的な施行ということに次の大臣にしっかりやっていただきたいと思っております。

(問)任期中にやり残したこと、あるいは心にかかっていることはありますか。

(答)水俣病の決着に向けて、特に園田PTでの結論を受けて、環境省あるいは大臣としての私の役割にベストは尽くしたつもりではありますが、結果は出せませんでした。心残りでありますし、引き続き環境省としてはより精力的にやってもらいたいというような思いが残っています。

(問)水俣病問題の今後の打開策といったことに対して、後任の大臣なりに望まれることをお聞かせ下さい。

(答)行政は継続性が大事であります。今朝も申し上げましたが、私と最も一緒に汗をかいた総合環境政策局長も事務次官になっておりますし、加えて環境保健部長として厚生労働省から来た原部長もその分野においては専門家でありますから、そういう人間がしっかりと継続して努力をしてもらいたいと昨日、今日の段階で立ち話ではありますが、しっかり伝えてあります。この趣旨を次の大臣にも引き継いでいただきたいと思っております。

(問)先ほどの臨時閣議で総理の方から労いというか、特に環境分野については何かありましたか。

(答)低炭素社会を構築していくということについては、今後ともやっていきたいというような趣旨の話しはございました。

(問)留任なり交代、後任を巡っての改造についてのご発言はありましたか?

(答)そういう人事の話しは全くお互いにしないということであります。

(問)サミット期間中に知床世界遺産について会議がございまして、その知床も残るようになりました。今後その自然環境を守っていく世界遺産ということについてどのようにお考えですか。

(答)特に自然遺産については、環境省は、気候変動という問題だけではなく、生物多様性あるいは自然環境を守っていくという重要な使命がありますから、そういう中で既に遺産に指定されているところ、これから候補にしていくところを含めまして、できるだけ自然を残すための努力は環境省は先頭に立ってやっていくべきだと思っております。ですから、知床に限らず、よりそういう分野に力を注いでいくべきだろうと考えております。

(問)この1年は、特に温暖化等で政策が国内も動いた時期かと思いますが、振り返られて自己採点をするとすれば何点くらいの出来だったと思われますか。

(答)62点くらいではないでしょうか。60点だと1点マイナスとなると落第点になってしまいますが、62点くらいだとちょっとケアレスミスをしても60点になるかと思いますので。半分ジョークですが、私は与えられた仕事をひたすらやってきました。あとの評価は国民の皆さんがしてくださることと思っておりますので、自分で及第、落第という評価は付けるべきではないと思いますけれども、環境全体のことで言いますと一歩前に進んだということについては、私だけがということではありませんが、全体的な1年間の進歩の仕方と言いますか、発展と言いますか、そういうことについては、大いに高い点数があってしかるべきだろうと思います。これは、私の仕事ではなく、環境全体の方向性が進んだということについてです。

(問)水俣病についてあと一点ですが、現在は膠着状態となっておりますが、その解決ということについては、PTの緊急対策というものがベースになっていくべきとお考えでしょうか。

(答)原則はそうです。ただし、これから熊本の県議会、知事、各市町村などが議会の意思もそれぞれお示しになっているところもありますので、園田PTの案を一つの基本に解決策を探っていくということは一つの方法だとは思っておりますが、チッソの方も色々な話しがあるようですし、例えば分社化などという話しなど漏れ聞いておりますので、そういう意味では色々と状況が変わってきている部分もありますので、そういう中での現実的な解決策というのは、それぞれ関係者の間でうまく合意ができるところがあればということであります。

(問)大臣は、地味な分野でありますが、廃棄物リサイクル施設を視察されるなど熱心に回られたと思います。それに対して廃棄物リサイクル行政の今後のあり方について思われることがありましたらお聞かせ下さい。
 もう一つ、引き続き環境政策、環境行政をみていく場合、大臣は何処を中心に見ていこうと考えておりますか。

(答)廃棄物リサイクルは持続可能な社会を作っていくうえで不可欠な一番重要な分野だと思っております。特に食料の無駄を出さないということのリデュースの部分も重要ですが、それが一方的に廃棄されるのではなく、それなりに利用されて、またくるっと回るリサイクルループのようなものをそれぞれの分野で確立していくということが、これからの社会の根本のところに、完全に制度として定着しないといけないと思っております。そういう趣旨では、決して地味な分野ではなく、そういうインフラに支えられて初めて環境というものが持続可能なものになると思っていますので、引き続き、私も今の任務を離れた後も、しっかりとこういうような分野についてはサポートしていきたいと思っておりますし、党でも仕事をしていこうと思っております。

(問)1年間に率直にお感じになった環境行政の弱点とか、限界点とかをお聞かせ下さい。

(答)立つ鳥跡を濁さずですから、今後の建設的な意味で話しをすると、経済と環境というのは、車の両輪ということでありましたけれども、以前は環境の方の車が小さい車でありましたから、前に進まずグルグルまわってしまったところもありました。けれども、今年はサミットもありましたし、様々な世論の応援もあって、経済と環境のバランスが少し取れてきたと思っております。ここのところが、一番我々にとっても難しいところでありましたし、私は、就任のときに「戦う環境省だ」と申し上げたのですが、戦いというのは、バランスをどういう風にとっていくのかということだったと思います。方向としてはバランスが良くなってきたと思っておりますので、良かったのではないでしょうか。

(問)大臣として今後、環境大臣経験者としてこういうところに力を入れて行きたいとか政策がありましたら教えてください。

(答)かつての長官あるいは大臣経験者が沢山おいでですが、そういう中に私も入れていただくわけです。そういう中で議院内閣制において大臣の役割と与党の役割というのは、私は行政の中に入って、つくづく党の重要性というのは再認識しましたので、やれることは与党にも沢山あると考えています。ですから、野心的なこととか、調整がなかなかつかないことについては、むしろ党が主導した方が前に進みやすいこともあると思いますので、大臣経験者の先輩達と力を合わせて環境省の行政がより前に進むように私なりに立場は違っても役割を果たしていきます。

(問)具体的に中期目標を確定するということでしょうか。

(答)それからあとは排出量取引などいずれも本格的決断をしなければならないときがあるでしょうから、役所の意志決定よりもむしろ与党としてのエンジンの方が強力なときがあるかもしれません。

(以上)

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