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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成20年6月27日(金))


1.発言要旨

 本日の閣議案件ですが、一般案件3件、国会提出案件15件、政令4件です。環境省請議はありません。
 私からの発言ですが、一つは「クールアース・デー」についてです。先週の地球温暖化対策推進本部において、毎年7月7日を「クールアース・デー」とすることが決定されましたが、環境省において「クールアース・デー」に向けた各府省での取組について資料を取りまとめて、今朝の閣僚懇談会において報告いたしました。これを受けまして、官房長官からは、各府省に対して、定時退庁の励行を含め、関連施設の消灯など地球温暖化防止の取組を徹底するとともに、所管団体等に一斉消灯への協力を要請していただくよう発言がありました。皆さまにおかれましても「クールアース・デー」について周知を図っていただくよう御協力をお願いします。具体的な話につきましては、配付した資料のとおりであります。
 もう一つは「エコ・ファースト」制度についてであります。先日創設しました「エコ・ファースト」制度について、日産自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社、株式会社滋賀銀行、株式会社びわこ銀行、NECパーソナルプロダクツ株式会社から、地球温暖化の防止や循環型社会の構築等に向けた取組についての約束の申し出がありましたので、7月1日火曜日の14時から発表等を行います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)「クールアース・デー」ですが、去年までもライトダウンのイベントなどはあったと思うのですが、今年は「クールアース・デー」としてこれだけいろいろな取組をされるということで、大臣としてはどういうふうにこれから広めていくお考えでしょうか。

(答)それぞれの家庭でも、ちょっとした時間で結構ですから電気を消していただくということで、例えば団らんの中でも環境のことを考えていただく、あるいは子供たちと電気がどういうふうにできているかというようなことについて話をしていただく、そういった機会になればと思っています。
 「クールアース・デー」は国民の皆さんに環境のことを考えていただくという趣旨に加えて、そういうことに参加をしてくださる人たちがたくさんいるということで、日本の環境意識が高いことを世界に発信していく趣旨もあります。七夕の日と北海道洞爺湖サミットが重なったこともあり、良い機会ですから、今年から「クールアース・デー」ということで、大いに国民の皆さんにも知っていただきたいし、行動していただきたいと思っています。

(問)サミットと7月9日のMEMの合意について、50年50%削減は難しいのではないかという見通しが出てきていますが、環境大臣会合では50年50%合意をというメッセージを出したわけですが、どのように受けとめていらっしゃいますか。

(答)環境大臣会合においては、特に議長総括の中で、50年50%ということも含めて、是非、首脳間でしっかりと前向きな合意を作ってもらいたいというメッセージを発出しました。それについて、今度は首脳間の議論の中で、そういうことを実現してもらいたいと強く思っていますし、今、私は悲観的だとは思っていません。これからの議論だろうと思いますが、是非、環境大臣会合で取りまとめたようなことが実現するように、私も更なる努力をしたいと思っております。

(問)国内排出量取引についてですが、昨日、経産省と環境省が案を発表して、経産省の案は、必ずしも総量を規制するという感じでもないのではないかと思うのですが、やはり総量を規制しなければ意味がないと思うのですが、大臣はどうお考えでしょうか。

(答)私も、いわゆるベンチマークのようなもので、削減ポテンシャルを積み上げるだけでなく、合計のキャップというのが必要だろうと思っています。ただ、これは制度設計をどうしていくかという議論が始まったところです。最初からこれは駄目、あれは良いという話は建設的ではないと思います。それぞれの考え方を持ち寄って、最終的にあるべき姿を作っていけばいいと考えています。
 排出量取引制度の議論が始まったことは、私は前向きに捉えるべきだと思うし、最終的な目標はやはりキャップアンドトレードだろうと思っています。キャップのかけ方については、環境省なりの考え方を皆にしっかりと理解してもらいたいと思っております。

(問)排出量取引ですが、本格導入の場合には、現在のアイデアとは違うものになる可能性が高いということになると、ギャップが生じて、インセンティブが働きにくいのではないか、投資マインドが冷えるのではないかという見方もあるのですが、本格導入に向けてのメッセージというものを出す必要があるのではないかと思うのですが。

(答)試行的なものが本格的導入と制度的に異なったものとは、私は考えていません。試行的なものが、本格的導入の制度につながっていくようにしなければいけないので、削減努力がインセンティブにならないような制度では意味がないわけですから、そこは一番の哲学だと思っています。ただ排出量のやりとりをすればいいということではなく、最終的には国別総量目標を達成するための手段ですから、そういう目的に適う制度は、そこを外すわけにはいかないだろうと思っています。

(問)自主行動計画に基づいて設定している目標についても取り入れるというふうに環境省案にありましたが、現行の自主行動計画でも既に目標を達成している業界が多い中で、クレジットが大量に余剰が出るのではないかと、そうすると仕組みとして成り立つのかという気もするのですが、その辺は大臣はどのように考えてらっしゃいますか。

(答)試行的な段階のところでは、多くの参加企業を求めるという趣旨においては一つの考えではあると思います。しかし、私は何回も申し上げているように、第1約束期間のマイナス6%でさえもセクターによってはなかなか難しい部分もあるわけで、これから中期目標あるいは長期の50%削減という話になれば、今のまま自主行動計画をやっていって本当にできるのかということについて、私は極めて難しいと認識しています。
 これから25%以上削減していくときが必ず来ると思うけれども、そういうときに向けて、しっかりとした排出量取引のような制度設計をしていかなければいけないだろうと考えています。足下の話で、多くの企業に参加していただくということと、これからそれが実効あるものになっていくということについては、進化をさせていかなければ完成型にはならないと思っていますので、スタートの時点で緩いからそのとおり全部いくということではないと思います。参加していただいて徐々に完成型に近づけていくということと、どっちが先なのかというのは、それぞれ考え方がありますから。

(問)MEMについて、今までサミットの中で他の国が主催する温暖化会議がインプットされたのは初めてだと思うのですが、基本的にこれはまったく別のものとして考えてよろしいのでしょうか。MEMというのが温暖化の国際交渉の一つのグルーピングで、サミットというのはG8のもので、一部報道を見ますとすごく混乱を招くような内容もあって、MEMの合意内容がサミットに影響している、あるいはリンクしているような報道もあるのですが、基本的にこれは分離したものであるという認識でよろしいのでしょうか。

(答)私はそれにすべて答える立場ではありませんが、神戸で行われた環境大臣会合でも、その問題が一部の国から出ました。例えば中期・長期目標についてはMEMでやるべきという話もあったわけですが、私がそこで整理したのは、あくまでもG8プロセスの中で議論をするのがG8サミットであるから、その中での議論を一番主体とするべきであって、MEMはまた別の話だと、私なりに位置付けて議長総括させていただきました。その考えは今も変わりません。ただ、既に我々は議長総括をしたものを首脳に委ねたわけですから、ここから先は各首脳がそれぞれの判断でMEMの位置づけをお考えになるのではないかと思っています。

(問)大臣は先ほど50年半減をまだ悲観していないとおっしゃいましたが、一昨日の夜ですか、福田総理とブッシュ大統領の電話会談などもあったようですが、そういうことも踏まえて、今、政府内では、別にまだ悲観するような状況ではないということなのでしょうか。

(答)具体的にはこれから交渉に入るわけですから。例えばソウルで開催されたMEMの実務者会談の中でも、いろいろな考え方があるというのは確かだったけれども、50%削減について断念したという話はどこにもないわけですから。

(問)閣議後、横浜市長と総理のところに行かれたという話を聞いたのですが、どういうお話があったのでしょうか。

(答)「クールアース・デー」のライトダウンキャンペーンについて、横浜市は非常に熱心にやってくれていますので、今までの進捗状況について、私と横浜市長が総理に中間的な報告をしました。参加企業がどれだけあるとか、どういう自治体がやってくれているとか、ランドマークのようなものでどういうところが消えるとか、そういったことの報告です。

(問)排出量取引ですが、今後の関係省庁の調整というのはどういうスケジュール感と言いますか、低炭素社会の行動計画に間に合わせるような形になるのでしょうか。

(答)最終的には多分どこかで調整しなければいけないのでしょうが、まだ今は、例えば我々は自主参加型の拡大をしていって、最終的にそれなりのあるべき形を作ろうということで作業が始まったところです。それぞれのところでそういう作業が始まって、それぞれが完成させてどこかでもう一度やるのか、それともある程度全体的にプロトタイプができた段階でどこかで一つのものにまとめるのか、そういうことについてはこれからではないでしょうか。

(問)所管ではありませんが、原油価格の高騰や、東電が値上げの発表をしたことが環境に与えるインパクトというのはどんなふうに見ていますか。

(答)足下では非常に国民の皆さんがお困りになっているということですから、これについて我々はしっかりと対応しなければいけないし、政府としても、昨日も原油価格高騰に伴う政府と与党の会合が開かれました。そういう意味ではきちんとした対応をしないといけません。それと同時に、中長期的には原油がこのまま高止まりすることは十分に予測されますので、やはり化石燃料、特に原油等に依存しないような低炭素社会を創っていくという意味において、ピンチを活かしていくということにはつながるだろうとは思っています。できるだけ早い段階で、低炭素社会に向けたイノベーションを進めていくことも考えながら前に進んでいかなければいけないと思います。

(問)環境税を導入するには既に高いという抵抗が強くなってくるのではないかと思うのですが。

(答)環境税は原油だけにかけるわけではありません。炭素全体ですから、そういう趣旨においては別の次元の考えだろうと思います。例えば原油高騰に伴う歪みのようなものに税収を充てていくという考えもあるかもわかりません。

(問)先ほどのMEMの話で、大臣は、私の考えではMEMとG8の合意内容は別だとおっしゃっていたのですが、それは日本政府としては別に考えていて、他の首相の受けとめ方はそれぞれの国の首相の受けとめ方だという趣旨でよろしいでしょうか。

(答)5月の環境大臣会合の議長総括としての私の考えということです。そういう意味では、今回はG8サミットの一連の会合ですから、G8プロセスを重視するべきということについて、私の考えは議長総括にきちんと盛り込まれているという趣旨です。

(問)日本政府の中では、MEMとG8の位置づけについて、完全に分離するべきなのか、あるいは優遇するべきなのかという議論はまだ行われているということでしょうか。

(答)そうではないでしょうか。ただ、私はすべてその辺のことが分かっているわけではありませんから。

(問)排出量取引に関して、国内目標達成の手段として機能しなければ意味がないという考えとお聞きしたのですが、中期目標と排出量取引をいつ頃リンクさせるべきと大臣はお考えでしょうか。

(答)2013年以降の次期枠組みで、日本が中期目標をどのような形で合意するかということを受けて、排出量取引が十全に機能するような制度設計はあって然るべきだと思います。加えて、京都議定書の約束期間においても、自主行動計画等の進捗管理がきちんとできていないということになれば、早い時期に排出量取引等の経済的手法が導入されることも想定して、我々は準備を進めるべきだと思います。

(以上)

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